1. XYZマーダーズ
脚本にコーエン兄弟が参加してますが、まさに『赤ちゃん泥棒』に似た流れ。悪党二人組みの馬鹿笑いが全く同じで極悪人といえどもどこか愛すべきキャラクターとなっている。ただし『赤ちゃん泥棒』のほのぼの感は当然なく、徹底的に残酷で、その残酷さを笑いへと転化させるためのおバカエッセンスが大量に降りかけられる。B級ネタにチープな画作り、そしてホラー、ロマンス、アクションとなんでもありの節操の無さがおバカを加速させる。とろい主人公がヒーローになるってことで『スパイダーマン』の原型を見ることが出来る・・なんてことはない。 [ビデオ(字幕)] 6点(2006-11-08 11:15:09) |
2. エル・スール
『ミツバチのささやき』同様にスペイン内戦の傷跡を背景とし、少女の成長を描く。窓から差し込む光が、庭のブランコが、道が、木が、家が時間の経過を、そして父と娘の関係の微妙な変化を語ってくれる。それは雄弁であっても常に慎ましく静かに語りかけてくる。情景は前作以上に美しく、そのうえで画面に映るすべてのものがさりげなく何かを語っている。映像で語るとはこういうことなのか!とあらためて驚かされる。さらに画面には映らないもの、「南」の情景までもが頭に浮かぶ。その情景はこの映画を観ている間に変貌してゆき、最後には郷愁すら感じさせてしまう。おとなしいくせしてすごいやつ(映画)なのだ。 [DVD(字幕)] 8点(2006-05-02 13:19:59) |
3. エンゼル・ハート
昔、雑誌で『ナインハーフ』のスタッフか共演者がミッキー・ロークのことを女たらしで女を見りゃ声をかけるというゴシップ記事を見たことがある。その後、『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』の関係者が彼のことを「イヤな奴」と言っている記事も見た。どちらも映画での役そのまんまの性格。私はこれらをすごくいいようにとって、「役になりきっているんだ」と解釈をし心の中で彼を絶賛してました。(かわぐちかいじの漫画『アクター』の影響もあり。)そしてデ・ニーロとの共演となるこの作品、見ないわけがない。相変わらずかっこいいではないか。だらしなさがかっこいい。ああ、なんでボクシングの試合なんてしたんだ。してもいいけど負けてほしかった。あの猫パンチが炸裂していなかったらその後も好きでいられたかもしれない。 あっ映画のこと書いてなかった。けっこう好きです。暗い映像、ジメジメした雰囲気、よりグロいシーンを想像させる演出もなかなかのもの。西洋の悪魔についての知識があればあるほど楽しめるものかも。 6点(2004-08-23 12:45:54) |
4. エイリアン2
シリーズ中、唯一「映像派」とは言い難い監督ではあるが自分の得意なラインで見事に出来あがっている。ハラハラドキドキ楽しめる。でも前作の「まるで自分がそこにいるような緊張感」はこの作品では感じることが出来ない。あくまでも映画の世界と割り切れる恐怖である。1より2のほうが評価が高いのは十分理解できるが個人的には断然1を推します。 6点(2003-12-10 13:53:20) |
5. エレファント・マン
映画館を出ると、みんなハンカチで目頭を押さえていた。当時中学生の自分の目には一滴の涙も出なかった。複雑な思いで映画館を出た。当時、差別が悪いとか言う以前に差別をするという概念すら自分には無いと思っていた。でもこの映画を観に行こうと思った理由の一つは布袋を被った象男の顔である。見世物小屋の観客と同じだと気づきかなり自己嫌悪。泣いているどころではなかった。今Revewをするにあたり考えると、ポスター、新聞等の宣伝で明らかに見世物小屋の観客として映画を観させようとしていた。成功させる為なのかもしれないが、映画の中でもなかなか顔を見せない作りで、好奇心を盛り立てているように思う。もしかしてリンチは意図的に映画の観客を見世物小屋の観客に(差別をする側に)したのかも。(必死で自分をフォローしてます) 人間は皆、同情をしていても同時に差別もしているのだろう。映画の観客と見世物小屋の観客の違いは、映画では見世物小屋以外のメリックが見れることである。つまりメリックの一生を見ることで、自分が差別をしている事に気づかせてくれる。ようするに「あなたは自分の気づかないところで差別によって人を傷つけているかもしれませんよ」というメッセージを投げかけているのでは?と思う。そう考えるとこの作品はかなり他には見られない秀逸さがある。ただ人に薦めようとは思わない。なぜなら自己嫌悪に貶めるようにつくられた映画なんだから。(まだフォローしてる..) 7点(2003-07-08 17:45:54)(良:1票) |