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プロフィール
コメント数 2383
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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1.  七つの顔 《ネタバレ》 
“和製アルセーヌ・ルパン“多羅尾伴内がスクリーン初登場!GHQにチャンバラ映画製作を禁止された苦肉の策で、時代劇専門の大スター片岡千恵蔵で初の現代劇を撮るという奇策は関係者の危惧をものともせず大ヒットして映画史にその名を刻むことになりました。 こういう際物的な出自なんですが、これがどうして、テンポの良い探偵映画の秀作なんですよ。この映画の特徴は、終戦翌年でまだまだ復興にはほど遠い状態の東京なのに、画面に戦禍の跡や闇市やボロ着の庶民などが一切映らないところ。劇中「引き揚げ」「公職追放」の二語だけがセリフにありましたが、徹底的にファンタジーの世界に徹しています。これなら戦争の傷跡が癒えない庶民が熱狂したのもなんか納得できます。千恵蔵の変装はどう観ても千恵蔵にしか見えないのはご愛敬ですが、彼のコミカルな演技は当時の観客には新鮮だったでしょうね。チャンバラの代わりに拳銃を撃ちまくるというわけですが、殴り合いでの千恵蔵の身のこなしは想像以上に俊敏で、重厚な無線付きオープンカーを駆ってのカーチェイスまで見せてくれたのはさすが大スターという感じです。監督はマキノ一家の松田定次でさすがエンタメの極意が判っているし、ストーリーはルパンもののほぼ翻案ですけどトリックは正統派推理小説そのものでした。 古い映画ですけど観て損はない一編だと思います。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2020-11-22 20:03:45)
2.  ナイト・オブ・ザ・スカイ 《ネタバレ》 
おフランス版『トップガン』というテイストの作品ですが、どちらかというとおフランス版『ファントム無頼』という感じです。原作が60年前から連載が始まったバンド・デシネつまり漫画で過去に二回TVシリーズが製作されるほどでこれが三回目の映像化、仏国内では根強い人気があるみたいで『エリア88』みたいな感じですかね。仏空軍のミラージュ・ライダーである二人の大尉が陰謀に巻き込まれてゆき国家の危機を解決するというのが大筋ですが、漫画原作のせいかかなり荒唐無稽というか大雑把なお話しになってます。ストーリー展開は尺が短いせいもあって猛スピードで、説明過多なストーリーテリングが嫌いな私でも「もうちょっと背景説明してよ!」といいたくなるほどです。でもこの映画の見どころは圧倒的な迫力の空撮シーンで、もうストーリーなんかどうでも良くなります。もちろん主役はミラージュ2000で、ハンディ・カメラの同乗撮影だけでなくカメラポッドを使った空対空撮影も多用されており、またこの映像が美しいんだな。軽快な戦闘機であるミラージュだけあって、離陸直後から急上昇してゆく機内から撮った映像は凄い迫力です。戦闘機同士の格闘戦もスピード感が凄くて酔っちゃいそうなぐらい、やっぱ『トップガン』を凌駕していますね。でも飛行中にパイロットがiPadで音楽を聴くってのは、いくら何でもやり過ぎじゃない? と言うわけで飛行シーンにプラス二点でこの点数です。しかし仏空軍の将校の制服はカッコよすぎです。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2020-08-16 21:12:19)
3.  ナイト&デイ
トム・クルーズとキャメロン・ディアス、『バニラ・スカイ』以来の共演。『バニラ・スカイ』はシリアスな映画だったので、キャメロンお得意の能天気ラブコメ風味路線でのトムとの共演は、やはり豪華です。そのトムが冒頭からドラッグのやり過ぎイカレてしまったような変なエージェント、でもジェイソン・ボーンばりに超無敵です。とにかく、危険なシーン大好きなトムの願いを叶えましょうという感じで、旅客機内の激闘・不時着から始まり過剰なアクションの大盤振る舞い、もちろんCGやVFXは駆使していますが彼はこれでは欲求が満たされなかったのか『M:I』シリーズではスタントなしで飛行機にしがみついたりする始末、この人はほとんどビョーキです。ちっとも役作りしないのでイーサン・ハントと見分けがつかないけど、どうせ脚本も遊びまくってほとんどおバカ映画領域に踏み込んでいるので気にしないことです。トムはこの怪演を突き通すのかと思ったら、だんだんまともなキャラになってしまうのは残念でした。所々でキャメロンをクスリで眠らせて強引にショートカットするストーリーテリングも、ほんと笑わせてくれます。こういうなにも思い悩むことなく没頭できる映画ってほんとイイですよね、『チャーリーズ・エンジェル』シリーズにも通じるところがあります。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-02-08 23:35:12)
4.  7500(2014) 《ネタバレ》 
前のレヴュアーの方、途中でオチに気が付いたとのことですが、恥ずかしながらわたくしめは全然ダメで意表を突かれてしまいました。ですけどストーリーテリングにはけっこう疑問が残りますね。 飛行中の旅客機の中で男が突然死するところから異変が始まるわけで、その後の怪異現象を見せられると、これはいわゆるパンデミック・ゾンビものなのかと思っちゃいます。飛行中の航空機という密室で繰り広げられるゾンビ劇ってなんかそっくりのB級ホラーがあったよな、って余裕こいていたらあの結末です。それはそれでいいんですけど、そしたらあの勿体ぶった怪異現象はいったい何だったの?と首を傾げたくなります。こういった思わせぶりな見せ方は清水崇の得意技ですから、しょうがないのかもしれません。でもこれは日本人的な怪談趣味にはマッチしていることは認めます。 ちなみに、この脚本家はギリシャで実際に起こったヘリオス航空522便墜落事故を参考にしてますね。信じられませんが本当にこんな事故があったんです、CSで放送している『メーデー!航空機事故の真相と真実』でやってました。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2017-07-28 22:19:00)
5.  ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド ゾンビの誕生 《ネタバレ》 
追悼ジョージ・A・ロメロ。天寿を全うしたのかもしれないけれど、もう少し長生きしても良かったのかな。ほんとにメジャーな映画賞とは無縁な人でしたが、あと10年ぐらい生きていればオスカー名誉賞ぐらいは貰えたかもしれなかったのに、ロジャー・コーマンですら与えられてるんですからね。星の数ほどいる映画人の中でも、彼のように若くして一つのジャンルが確立されるような映画を撮って、その後50年近くそのジャンルだけで飯を食ってきたという人は、他に見当たらないです。ゾンビもの以外のロメロ作品はほんと駄作ばっかりですけど。 さてその原点となったのがこの『リビング・デッド』というわけです。正直今の眼で観れば怖いという感じは全然しませんけど、その全編に漂う禍々しさと不条理感は半端じゃないです。登場人物たちはすぐにゾンビたちに囲まれてしまうんですけど、この登場人物たちがみなキャラがえぐいというか鬱陶しいやつばかりです。ヒロインと思った女性は冒頭でゾンビに襲われてからはショックでほとんど痴呆状態、正気に戻ったらあっという間にゾンビたちの餌食。カップルさんはうっかりミスでガソリンをこぼして車ごとまる焼けにされてしまいます。仲の悪い夫婦は、夫はその卑劣な性格がたたって黒人青年に射殺されゾンビ化した娘に妻とともに喰われてしまいます。この人たちが交わす会話は、身の上話や感情的なところはほとんどなく、ただお互いに「上に行け、下に行け」といったセリフばっかりなんですが、聞いているとほんとに鬱陶しい限りです。 本作がその後のゾンビ映画と決定的に違うところは、原因はともかくとしてもほぼ一晩でゾンビたちが制圧されてしまうところです。ゾンビの出現とそれに対する社会の対応は、ロメロにとっては当時の米国の社会問題や人種問題を暗喩する材料だったんですね。ラスト近くで鳥獣よりも簡単に銃で狩られてゆくゾンビたちなんかは、実に象徴的な映像です。風刺の道具だったゾンビが大うけしてジャンルというか記号の様な無敵の存在になるとは、さすがのロメロも予想すらできなかったでしょう。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2017-07-22 23:39:46)
6.  ナイトクローラー 《ネタバレ》 
観る者を不快にさせる映画としてよく『ファニー・ゲーム』が引き合いにされますけど、私にとっては『ファニー・ゲーム』なんてかわいいものに感じるぐらい、今までに観た今世紀の映画で最悪に不快にさせてもらえた映画でした。この映画のたちの悪いところは『ファニー・ゲーム』の例の巻き戻しシーンと違って決定的に観客が席を立ちたくなるような破断点がないことで、かく言う自分もこのゲス野郎に最後は正義の鉄槌か天罰が下ることを願いながら観続けたのに、まさか最後はサクセスストーリーだったとは…最高に後味悪しです。でも映画としての完成度は高いことは間違いないです。ジェイク・ギレンホールの見事な役作りにも完敗しました。確かに『タクシー・ドライバー』のトラヴィスを彷彿させるところはありますけど、本作のルー・ブルームと決定的に違うところはトラヴィスには他者が見て「善」と感じられなくもないものを心の中に持っているところでしょう。このルーという人間には「心」がないんですよね。劇中ディレクターと助手以外の人間との自分からの接触はほとんど皆無、そしてセミナーなんかでよく使う怪しげな経営理論を妙に落ち着いた口調でまくし立て続けるのもたまらなく不愉快です。レネ・ルッソの演じるディレクターとは肉体関係を持ったことはセリフのやり取りから判りますが、映像としてはいっさい二人の関わりを見せないところなんて実によく練られた脚本だと思います。 よく出来た映画だと思いますが、難点としては「二度と観たくない」と軽いトラウマになってしまうことですね(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2016-11-25 20:58:28)
7.  何かが道をやってくる 《ネタバレ》 
“Something Wicked This Way Comes”といえば最高傑作と評する人もいるぐらい名高いレイ・ブラッドベリの長編小説ですよね。確かにダーク・ファンタジーですけど、これをディズニーが映画化しちゃったというのは微妙でした。ちょっとジュブナイルによりすぎてしまって、原作の持つダークさが薄れてしまっています。監督が怪談ものを撮らせたら凄腕のジャック・クレイトンですから、もうちょっと何とかならなかったのかと思ってしまいます。でもパム・グリア―姐さんの魔女だけはなかなか色気があってよろしかったです。 噂によると本作は現在ハリウッドでリメイクが撮影中とか。監督は『高慢と偏見とゾンビ』の脚本家なんだそうですけど、どうせならティム・バートンかテリー・ギリアムに撮ってほしかったところです。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2016-10-01 20:41:37)
8.  長く熱い週末 《ネタバレ》 
“さあ、サッチャー政権も誕生していよいよ狂乱の80年代の幕開けだ!ロンドン・ギャングの親玉である俺(ボブ・ホスキンス)にも一世一代の大儲けのチャンスが巡って来た!と言うわけで、アメリカまで行って出資者を見つけてきたし市会議員も抱き込んでるからロンドン再開発を仕切って欧州一のビッグ・ボスに成り上がってやる!ん、でも帰国してみたらなんかシマの様子が変だぞ、これはいったい…” と言う感じでお話しが進む、ロンドン・ギャングのボスの破滅への2日間です。ボブ・ホスキンス、このエネルギッシュな豆タンク親父はギャングのボスにはピッタリのキャラです。ホスキンスの女房がヘレン・ミレンで、社交力があって仏語がペラペラの堂々たるインテリ姐御ぶりにほれぼれとさせられます。お話しの方は少々複雑で、実はホスキンスを狙っているのは泣く子も黙るIRAでしたという展開になってくると、イマイチ訳が判りませんでした。もはや命運が尽きたホスキンスの表情を長回しで見せるのがラストですが、これはこの人の持ち味が全て出ている様な良い演技でした。 彼自身も本作の次の作品ではイアーゴを演じているんですけど、全体の雰囲気としては『オセロ』の様なシェイクスピア悲劇風のギャング・ストーリーでした。これもお国柄ですかね。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2016-04-29 23:51:15)
9.  謎の要人悠々逃亡! 《ネタバレ》 
まず邦題が最高の優れもの!誰のお仕事かは存じませんが(水野晴郎ってことはまさかないでしょう)、これほど映画の内容を的確に伝える邦題は滅多にあるもんじゃないです。 ヒッチコックが脱走ものを撮ったらこんな感じになるんじゃないかと思える洒落っ気が楽しいところですが、これも主演にジェームズ・ロバートソン・ジャスティスを使ったのが勝因でしょう。この人『ナバロンの要塞』などの主に60年代の戦争映画で良く見かける髭面のいかにも英国紳士という風貌の俳優ですが、主役を演じている映画となると非常に珍しいです。劇中で空軍将校に化けようとすると「空軍の規則では髭はNG」と言われて海軍将校に変更するエピソードがありますが、これは一種の楽屋落ちでしょう。実際この人の髭を生やしていない顔は映画では観たことないですから、髭は完全に彼のトレードマークなんでしょうね。 この映画で実行される脱走は『アルゴ』の作戦とほとんど一緒です。まさかCIAの担当者が本作を観て考えついた計画ではないでしょうが、まさに“事実は映画よりも奇なり”ということですね。ラストの敵味方の戦後の再会も微笑ましいし、こういう登場人物が誰も死なない戦争映画というのもまた良いもんです。
[DVD(字幕)] 7点(2014-10-12 20:45:18)
10.  何故彼女等はそうなったか 《ネタバレ》 
エログロ路線に突入する直前の新東宝映画で、こんな良心的な佳作を製作していた会社があんな風になっちゃうなんて何とも皮肉としか言いようがないです。『しいのみ学園』の清水宏が再び香川京子を起用して撮った作品です。もうこの映画はひたすら香川京子を愛でるのが正しい観かたです。ストイックに生徒の少女たちに愛情を注ぐ先生というキャラは、もう彼女以外には考えられない当たり役です。更生施設で彼女の愛情に守られてきた少女たちが出所するやいなや厳しい家庭環境から悲惨な運命に翻弄される、清水宏の脚本はエミール・ゾラの小説を思わせる冷徹さです。いったん世間に戻ってしまった少女たちの現実にはなんの助けも差し伸べられない無力な存在として香川京子を描く視点は、この映画を単なるヒューマニズム賛歌にすることなく余韻を残してくれます。 まだ辞書に“人権”という言葉が載ってなかったかの様な時代ですから、出所した少女たちに対する家族や世間の偏見がひどいことと言ったら無残なものです。昭和30年代は牧歌的な時代だったという幻想をふりまくのが最近の流行りですが、現実にはこういう残酷な世相の貧しい時代だったというのが正しいところでしょう。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2014-03-14 00:00:26)
11.  ならず者部隊 《ネタバレ》 
50年代はハリウッド製戦争映画の不作の年代で、本作もその中の一本。南部の大農園主であるR・ワグナーが徴兵されて(たぶん)フィリピン戦線に派兵され、農園の小作人たちと同じ部隊で苦労しながら人間性に目覚めてゆく、というのが大まかなストーリーです。アメリカは州兵単位で師団を編成するので、同郷の地主と小作人が同じ部隊で肩を並べて戦うというのはまああり得る話でしょう。軍隊はどこの国でも階級が同じならみな平等というのは大原則ですが、アメリカ南部のように貴族的な風習が残っているとちょっと面白いことになる場合もあるわけです。映画としては良くあるパターンなんですけど、それを戦争映画にしたところがユニークと言えなくもない。 この映画の唯一の見どころは、実はワグナーの上官であるB・クロフォードのキャラ設定なんです。異常に臆病で自分に対して敬礼をさせない(自分が指揮官であることがばれると狙われるから)。常に二人の美青年兵士に警護させていて、彼らとホモセクシュアル関係にあることが暗示されている。この二人だけは上半身裸で、実に変な雰囲気なんです。そんなクロフォードも解任されてしまいますが、そのとたんにきちんと階級章をつけた軍服とヘルメットを着用してジープに乗りこみ、あっという間に狙撃兵に撃たれて死んでしまいます。まるで覚悟の自殺みたいな最期で、名優らしい存在感がありました。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2012-09-29 23:32:16)
12.  眺めのいい部屋 《ネタバレ》 
20世紀初頭の時代設定で同時代の日本と比べると贅沢な生活ですけど、登場人物たちは上流階級の人たちではなくあくまで中産階級と新興ブルジョワであるところがこの作品のミソでもあります。その時代の英国がいかに豊かな社会であったかが偲ばれます。ヘレナ・ボナム=カーターのカマトトぶった振る舞いもヴィクトリア朝時代の女性のカリカチュアみたいなもんですが、ピアノでヴェートーヴェンを弾くところなぞは中流階級の新しい女性像を巧みに表現しているとも言えます。この作品の面白いところは、“Poor Charlotte(可哀想なシャーロット)”とみんなから陰で煙たがられるマギー・スミスと、スノッブを絵に描いた様なダニエル・デイ=ルイスの絶妙なキャスティングで、両名の憎たらしいいまでの好演は見事でした。使用されているプッチーニのオペラもまったりとした物語に良くマッチしているし、ジェームズ・アイヴォリーの趣味の良さに、素直に脱帽させられました。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2012-05-16 01:18:59)
13.  ナッシュビル 《ネタバレ》 
不思議とソフト化されなかったので“まぼろしの名作”扱いだったのですが、ようやくDVDとなり気軽に観られるようになりました。“24大スター共演”なんてアルトマンのブラック・ジョークみたいなもので、実際は個性派バイプレイヤーと新人俳優の大集合です。カントリー・ミュージックの聖地が舞台の音楽群像劇だと思っていましたが、実はカントリーではなくてどちらかと言うと大統領選挙がメイン・テーマですよ、この映画。凄いのは劇中使われるカントリーはすべて歌っている俳優の自作ということで、あの名曲"I'm Easy"もキース・キャラダインが作ったと言うのにはびっくりです。このキース・キャラダインが演じるのが女にモテモテの(というより異常に女癖が悪いと言う方が正解)歌手なんですが、リリー・トムリンを口説くために"I'm Easy"を歌うシーンで会場に居合わせたキースお手付きの三人の女がみんな「私のために歌ってくれてるんだわ❤」とうっとり顔になるところは大傑作でした。 アルトマン作品の頂点であることは確かですし、群像劇としては完璧ではないでしょうか。本作のラストがジョン・レノン暗殺事件に影響を与えたなんて指摘もあるそうですが、そう言われてみると劇中で発砲する男とレノン射殺犯のマーク・チャップマンが良く似た風貌なのが不気味です。
[DVD(字幕)] 8点(2012-03-09 20:55:48)
14.  NINE(2009) 《ネタバレ》 
オリジナルのストーリーを大体忠実にミュージカルしていますが、同じフェリーニ原作のミュージカル『スイート・チャリティ』が元ネタを徹底的に再構築した手法に比べると、女優がひとりずつ一歌を披露する平板な構成はちょっと古めかしいのではないでしょうか。オリジナル『81/2』の伝説的なフィナーレをどういう風にミュージカルとして見せてくれるのか期待していたのに、思いっきり肩すかしくらわされたのにはがっかりです。 とは言え各女優たちのパフォーマンスはやっぱ素晴らしく、特にぺネロぺ・クルスのダンスのエロさはちょっと凄まじかったです。ミス・キャストと評判悪いデイ・ルイスですが、あれでセリフがイタリア語だったらイタリア男としての違和感はなくなったと思いますよ。もっとも、ルイスはハビエル・バルデムが降板したためピンチヒッターだったそうなので、しょうがない面もありますけど。そしてソフィア・ローレン、その美しさはやっぱ凄い存在感でした(ソフィア・ローレンは考えてみればフェリーニの映画に一度も出演してないのですが)。
[DVD(字幕)] 6点(2011-04-10 22:04:55)
15.  流されて… 《ネタバレ》 
冒頭からブルジョア女が喋るわ喋るわ、実にうるさい女です。物語の前半は戯画化された階級対立がメインプロットで、妙に党派的な会話が目立ちます。J・ジャンニーニとブルジョア女が無人島に流されてからはSMチックな主従が逆転するエロストーリーになるわけですが、けっこうポルノチックでうるさいブルジョア女がだんだん変貌してゆくのは見ものです。 全体にコメディ調に撮られていますが、J・ジャンニーニの妙に外した様なコメディ演技はけっこう面白い。彼ははじめから終りまで髪はボサボサで髭だらけなので、顔がアップになると眼ばかりが強調されることになり、改めてこの人の「眼力」には感心させられました。 それにしてもL・ウェルトミューラーは、映画史に残る変態女流監督ですね。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2010-08-07 20:39:42)
16.  何かいいことないか子猫チャン 《ネタバレ》 
若き日のウディ・アレンが脚本を書いて世に出るきっかけとなった迷作。かなりくどいユダヤチックなドタバタコメディですが、今回鑑賞してふたつのことに気づきました。 まず本作は実はフェリーニの『81/2』のパロディなのです。まあ主人公は女がほっとかないモテ男であるという設定だけパクった様なものですが、セラーズの奥さん役に『81/2』の狂女サラギナを演じて強烈な印象を残すエドラ・ゲイルを持ってきたところはなかなかのセンスです。本作でも唯一の「非美女」として文字通り暴れまくっています。あと、ハレムで女たちにムチをふるうマストロヤンニの夢のシーンをそのまんま使っちゃてますし(かぶっている帽子まで同じ)。 そしてもうひとつは、これまた迷作であるあの『カジノロワイヤル』に多大な影響を与えていることです。アレン、セラーズ、アンドレス、そしてカメオ出演ですがオトゥールとキャストはかぶっていますし、スタッフはバカラックはもちろん、プロデューサーも一緒です。そういやアレンはノン・クレジットですが『カジノロワイヤル』の脚本にも参加していますね。 『カジノロワイヤル』にオトゥールが出てくるのは1シーンだけでセラーズに向かって「あんた、リチャード・バートン?」と聞くのですが、このシーンの意味がずーと判りませんでしたが本作を観てなぞが解けました。本作にはやはり1シーンだけバートンがカメオ出演していて、逆にオトゥールに「どこかでお会いしませんでした?」と尋ねるセリフがあるのですよ。要はこのシーンのお返しをオトゥールはしてたんですね、それにしても芸が細かいですな。 とは言え、本作はアレンの脚本がいじられ過ぎたのか監督の能力不足か、あの『カジノロワイヤル』にすら遠く及ばないのは残念です。全盛期のロミー・シュナイダーをはじめ、豪華な女優陣で目の保養をするのがベストかな。
[ビデオ(字幕)] 5点(2010-07-13 00:39:51)
17.  ナオミ・ワッツ プレイズ エリー・パーカー 《ネタバレ》 
ナオミ・ワッツまぼろしの初主演映画にして、全編にわたりナオミ・ワッツファン感謝祭状態。なんせ、90分のうち確実に三分の二はナオミ・ワッツのアップショットなんですから。また、まるでお笑い芸人の様な彼女の顔芸の数々には苦笑させられます。しかしこれを観てつくづく感じるのは、ナオミ・ワッツって何でブレイクするのにこんなに時間がかかったのだろうということです。ハリウッドの俳優陣の層の厚さを思い知らされます。ナオミよ、大丈夫、君がオスカーに輝くのはきっともうすぐだから。
[DVD(字幕)] 7点(2010-06-06 12:29:54)
18.  ナバロンの嵐 《ネタバレ》 
名作『ナバロンの要塞』の一応後日談というわけですが、マロリー少佐とミラー軍曹(それぞれ前作より階級がひとつ上がっているところは芸が細かい)のスピンアウトストーリーと言った方が正解。それにしても、よくもここまでというくらい無残な出来には腹が立ちます。まずR・ショウがぜんぜんキース・マロリーらしくなくて、明らかにミスキャストです。ショウは上手い役者だと思っていましたが、軽妙なセリフが上滑りしちゃってなんかヘンテコでした。彼は本作の公開直後に急死していますから、死期が迫っていたことが演技に影を落としていたのかも。H・フォードも相変わらずのやる気なさそうな演技で、特殊部隊の猛者らしさはゼロです。旧ユーゴでロケしただけあってT34戦車がドイツ戦車役を務めていますが、これがまた雰囲気が出ていないんだなあ。マクリーン御大が原作を書いているのですが、どうもカネに目がくらんででっち上げたとしか思えず、R・ショウともども晩節を汚してしまいました。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2010-05-10 00:56:10)
19.  ナバロンの要塞
さすがに製作後50年ですからスリルの盛り上げ方など古めかしいところはありますが、特攻作戦ものとしては元祖でありジェットコースタームービーとしても現代に通じるものがあります。マロリー大尉やスタブロ大佐など登場キャラがよく作り込まれていますし、「ウソも方便」ではありませんが架空のナバロン島をめぐる英独両軍の動きもディティールが良くできていますね。冒険映画の古典としての風格すら感じさせられます。
[映画館(字幕)] 7点(2010-05-09 23:07:42)
20.  ナイト・オン・ザ・プラネット
オムニバス好きな自分ですが、この作品が今まで観たなかでのベスト・オムニバスです。冒頭L.Aで夜が始まり、最後のヘルシンキで朝が来るという一夜の出来事なのですが、地球上ではこれだけのドラマが生まれたのですね。私には何も起こらなかったヘルシンキの話が意外と琴線に触れました。そしてジーナ・ローランズ、さすがいい味です。
[DVD(字幕)] 9点(2009-09-03 21:43:03)
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