Menu
 > レビュワー
 > かっぱ堰 さんの口コミ一覧。3ページ目
かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1246
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
評価順123
投稿日付順123
変更日付順123
>> カレンダー表示
>> 通常表示
41.  バルーンリレー 《ネタバレ》 
主人公の中学生女子は冒頭の表情を見ると可愛らしいと一瞬思うが、実は徹底して高圧的で傲慢で暴力的なので呆れてしまう。しかし相手の男子が打たれ強く温和な好人物なのでかなり救われている。主人公は終始無自覚で衝動的に見えるが、それでも一連の出来事を通じて二人の間にも人知れず微妙な変化が生じていたらしい。自分としてはこれの当事者になりたいとは決して思わないが、他人の目で見る限りは微笑ましい関係の二人だった。 そのほか全体としてはかなり笑えるコメディになっている。主人公と男子のやり取りが基礎的に楽しいが、花嫁(演・美波)の真剣な顔も可笑しく、また古舘寛治氏もいい味を出していて飽きることがない。ちなみに序盤に出て来たボスの娘というのが怖いおねえさんかと思ったら、終盤で手下の大男と並べてみると極端に小柄で変に可愛らしい。最初に出た時には身長がわからないようにしていたようで、これはうまく騙された。 なお少し困ったことだと思うのは、題名にかかわらずバルーンのリレーが徹底していないことである。この映画は2010年「シネマプロットコンペティション」の受賞作を原案にしたとのことだが、当初はどうなっていたのか気になるところである。
[DVD(邦画)] 6点(2015-08-18 00:37:00)
42.  はなればなれに(2012) 《ネタバレ》 
2012年の東京国際映画祭などに出品されたのは86分版であり、ほかに今年は100分版というのが劇場公開された(されている)とのことだが、自分が見たのはDVD収録の86分版だけである。映画のほかにノベライズ本があり、読むと少し細かい背景事情や登場人物の心理も記されているが、この映画ではなかったものとして扱うしかない。ちなみに同じ邦題のフランス映画は見たことがない。  そのような前提で思いついたことを適当に書くと、まず主演女優に関しては完全に騙されたという印象があった。この人が出るからには、ほんわかして心癒される笑顔が見られるはずだと思っていたらそれはラストの一瞬だけで、実際は仏頂面が大半だったのは全く意外だったが、まあ当方が勝手に思い込んでいただけのことで怒っても仕方ない。小型で軽快なウシ科動物(通俗表現でいうカモシカのような)を思わせるスタイルの良さだが、劇中ではその運動能力を使い余したような怠惰な雰囲気を出していた。 個別の場面としては、まずは海の見える屋上の絵画的な美しさが目立つ。また3人で腰かけていた火山島の岩場海岸は箱庭的な印象があり、個人的には「春の祭典」第1部背景画を思わせるものもあったが、あるいは皆で銭湯に出かけたようにも見えた(水鉄砲で襲撃されたのはそういう意味だろう)。ダンスやテニスの場面では、一人ひとりの即興的な動きが大きく発展しまた収束していく様子が、人間の理性で仕切れない世界の偶発性とか刹那性の表現に思えなくもなかった。 全体構成に関していえば、ばらばらだった3人がたまたま一定時間だけ居場所を共有し、またそれぞれの動きに返っていったということだろうが、それで以前と何がどう変わったのかはわからない。吸殻入れを常備することにしたとかいう変化はあったようだが、そもそも世界の出来事など全てが偶発的で因果関係を確定できるものでないとすれば、細かく詮索しても仕方ない気がする。 以上、特に映画愛好者でもない一般人の感想としてはこの程度である。正直よくわからない映画だった。  なお映画と関係ない話だが、ノベライズ本にある子どもの写真のエピソードは、人間という存在への根源的な敬意の念を呼び起こすものになっていて感動的だった。これを映像化しても意味不明になりそうな気はするが。
[DVD(邦画)] 5点(2015-05-06 01:28:29)
43.  発狂する唇 《ネタバレ》 
林間の乱闘がなし崩し的にカンフーアクションになっていくのは巧妙で可笑しい。また劇中で主人公がゲロを吐いていた理由が、終盤に至って突然明らかになるのは意外感があった。 しかしそれ以外は面白くない。以前に短編小説で、とてつもなく不謹慎で下品にもかかわらず笑いが止まらないものを読んだことがあるが(要は筒井康隆のスラップスティック系の作品だが)、仮にそういうものを目指したのだとすれば成功例とは思えない。 そのようなことで、自分にとってはほとんど無価値な映画である。ただし怒りを覚えるようなものでもないので0点にはしない。
[DVD(邦画)] 1点(2014-12-28 19:23:42)(良:1票)
44.  パズル(2014) 《ネタバレ》 
[2018/9/29改訂]「先生を流産させる会」(2011)の内藤瑛亮監督の映画である。今回もまた暴力的な堕胎場面を出して来ているが、ここは「先生を…」が物議を醸したことをネタにしたセルフ・パロディのようでもあり、やはり問題のある人物だと思う理由が増えた形になっている(流産監督と言われたがっているとしか思えない)。  ところで今回も、外見はともかく基本的には人命尊重について考えさせる映画になっている。 制作側の真意は不明だが、とりあえず倫理や法律を度外視して純粋な感情問題として考えてみると、全ての人間は他人にとって①生きていてもらいたい ②生きていて構わない ③生きていないことが望まれる、のどれかに分類されると思われる。ほとんどの人間はほとんどの他人にとって②だが、この映画で死んだのは基本的に③であるから、非道な映画のようでも観客の反発を回避するよう作られているといえる。 しかし多くの他人からみて③であっても親にとっては①の場合が多いはずで、劇中でもバカ息子の死に狂乱するバカ親が出ていたことからすれば、そういう手前勝手な親心を踏みつけにする意図があったようでもある。劇中では“教師/刑事である前に親”との主張もあったが、本当に正しいのは“親である前に人”であり、親たるものの心情がいかなる場合も肯定されるわけはない。劇中の殺人刑事が③並みの扱いで死んでいったのは妥当な結末といえる。 文明人の立場としては、生物種としての人類全ての生命を尊重すべきこととされており、現実にもそのような態度をとるのが普通である。しかし実は③のようなのが無様に死ぬのをこういう映画に期待するとか、あるいは現実にはないだろうが、主人公のような男が(これも③だが)やったのを見て内心ほくそ笑むというのが本音であり、そのような本音と、綺麗事の倫理や法律とのギャップを認識させる映画と受け取った。ただし綺麗事はともかく法律は絶対であるから殺人を実行してはなりません。 ちなみに、親が極悪人なら子も同罪とはいえないが、理事長の娘については親がケダモノで不幸だったと思うしかない。  ちなみにヒロイン役の女優は嫌いでないが、可愛く見えないのは別にいいとして、さすがにこれで女子高生役では見た目としてきついものがある。また馬場ふみか嬢は当時まだ出始めだったろうにいきなりこんな役でいいのかと思ったが、その後はまともな役もやっているようで結構なことである。
[DVD(邦画)] 6点(2014-12-14 09:27:47)
45.  吐きだめの悪魔 《ネタバレ》 
技術的価値については何ともいえないが、見て面白くはない。 最初から最後までグロ映像が満載というならまだしも、中間に位置する全体の1/2程度は単なる街のゴミ連中の話が延々と続くだけである。全てが酒の毒で死ぬわけではなく、普通に死ぬ人間が何人もいる。あるいは最初から最後まで徹底的に不謹慎でブラックな映画で通すならそれでもよかったが、実際には鑑賞者が普通に死んでほしくないと思う人物もいて、かえって半端な印象を受ける。これでは何をやっているかわからない。この映画自体がゴミのようだ。 ところで劇中ではゴジラの話が出たり登場人物が巻き寿司を食っていたりBANZAIと叫んだりニッポンのビニ本でも買えと罵倒したりして、日本の存在感が妙に大きい。主要キャストの女事務員もJane Arakawaという人なので日系人だろう。これは”Japan as Number One”の時代だったことと関係があるのかも知れず、あるいはベトナム戦争と合わせて理解すべきものとも思われるが、そんなことを真面目に読み解こうとするのもアホらしい。当初の思いつきレベルのプロットにいろいろ付け足して100分以上にしたものの、伸ばした部分が全部無駄にしか見えていない、どこまでも半端な映画である。
[DVD(字幕)] 1点(2014-06-11 20:27:53)
46.  晴れのち晴れ、ときどき晴れ 《ネタバレ》 
舞台となった瀬戸内海の景観や、古い港町の風情が美しく映像化された映画である。キャストに関しては、特に主人公の娘役がしっかりした感じで好印象だった。普段はもっと普通にかわいい人のようだが、この映画では情けないような恨みがましいような表情が特徴的で微笑ましい。脇役にもベテランが多いので安心できる場面も多く、ほか地元のエキストラも多数参加していたようで、地域住民の支持と支援を得て作り上げた映画ということが窺える。   以上が評価すべき点だが、しかし残念ながら褒めていれば済む映画では全くない。 実態としてはとにかく主人公があまりにバカでやかましく、始まって数分で見るのが苦痛になる。以降も最後まで共感できない(したくもない)人物のままなのは“トラさん”映画として致命的である。また笑いを取るにしても、単なるバカでは寒々とするばかりで失笑さえ生じない。音楽を止めてシーンとしても笑えないものは笑えないのであり、これでは真面目にやっている役者が気の毒になる。 そういう不快な点を抑えて印象を好転する要素がドラマ部分にあるわけでもなく、説得力のない展開を適当に重ねて都合よく「男はつらいよ」の形式に当てはめたようだが、そのせいで特に終盤が理解不能なものになっている。最後まで主人公に全く進歩がなく無責任に去っただけに見えているのは、この映画単品で見れば欠陥としか思えず、この調子では続編も期待しようがないだろう。 そもそもご当地映画のはずであるのに、夜間に若い女性を拉致する住民がいるなどという話を作ってしまっていいのかどうか。人情物、地域興しといった無難な題材を扱っていて、程度の問題はあるにせよおおむね感動的な物語だろうと予想していたにもかかわらず、実際見ればこれほど不快に感じられた映画というのも珍しい。  恐らくは地元の皆さんが期待を寄せていたであろう映画を酷評するのは誠に心苦しいのだが、そういった理由で本心を偽るのも不誠実であることから、ここは正直に点をつけておく。
[DVD(邦画)] 2点(2014-05-26 21:21:44)(良:1票)
47.  バカバカンス 《ネタバレ》 
同じ監督の「くらげとあの娘」(2014)というのを見たのでこれも見たが、けっこう共通点があるように見える。こういう作風ということなのか、あるいは後の映画の方でアイデアを流用したということか。 まず題名のとおり、主人公が本物のバカに見えるのは非常に苛立たしい。これが思春期の少年少女なら少し優しい気持ちで見てあげることもできなくはないが、一応の大人が主人公であるからにはこんな奴は勝手にしろと突き放して終わりである。これで以前は彼女と一緒に住んでいたということ自体がそもそも信じられないが、特に変だと思ったのは、男女関係をすっ飛ばしていきなり子どもに結びつこうとするところである。 個別要素を見れば共感または理解が可能なものも当然あり、また映画的表現の範囲として許容できるものもあるわけだが、全体として見れば自分としては拒否感を催すものになっている。要は一般向けにできておらず初めから間口が狭いのだと思われる。 ちなみに個別の場面としては、劇中男女が別々の場面で同じように耳の中を洗っていたのには嫌悪を覚えた。
[DVD(邦画)] 3点(2014-05-18 01:23:31)
48.  パセリ 《ネタバレ》 
情けない男が成仏できない霊につきまとわれる話である。いかにも低予算でTVドラマのような印象だが、少し笑わせて少し泣かせるストーリーにはなっている。 劇中のゆうれいはすらりとした長身で清潔感があり、ぎょろっとした大きな目で覗き込まれると怖いかもしれないが、甘ったれたような声は愛らしい。日記の中で主人公への思いが募っていく様子は少し心を打つものがあり、また終盤では拗ねたように笑ったり泣いたりの表情が変転するのが愛おしく思われる。 形式上の主人公はともかくとして実際このゆうれいが最大の見どころだが、ほか終盤では主人公の恋人が後の方で何気に場を盛り上げていたのがいい感じで、また途中から入って来たミュージシャンの男も変なキャラクターだが面白くないこともない。映画としてどうかということはあるだろうが個人的には嫌いでないお話だった。 ちなみに、ゆうれいが部屋に上がるときはちゃんと靴を脱いでいたようで、また部屋が暗ければ電気をつけるというのも固定観念にとらわれない態度で好印象だった。
[DVD(邦画)] 5点(2014-05-18 01:23:27)
49.  ハッピーフライト(2008) 《ネタバレ》 
本日、ANAで747型の運航を終了したという報道があったが、狙って投稿したのではなくたまたまである。 まず航空会社のPRとしては、こんな心許ない乗務員が登場するのを許す会社の鷹揚さに感心するが、中身には全部目を通しているはずなので、劇中の出来事は基本的に会社の考え方を反映しているものと考えられる。具体的には勘違いの鳥マニアは明らかな危険要因だが、飛行機オタクは迷惑なことはあってもいい関係を保っておく必要があるらしい。一方で乗客は何を怒鳴ろうがわめこうがあくまでお客様であり、どれだけ理不尽でも誠意をもって接すればかえって上客になってくれる、といったようなクレーマー対策なのだと思われる。航空会社としては緊急事態の場面は容認しても、お客様を悪役扱いすることだけは絶対避ける方針なのがよくわかった。 そのほか実際どうかはわからないが、運航乗務員の心構えとして「こういう時はまず笑え」というのは個人的に好きなタイプの物言いである。  ところで劇中で可笑しかったのは、とぼけた機内放送を聞いて吹石一恵が険悪な顔をしているのに、綾瀬はるかが天真爛漫な笑顔で客と一緒に笑っていた場面である。本来はこういった主演女優の持ち味を楽しむ映画だというのはよくわかる。 ただ個人的にはそれよりも、裏ヒロイン?であるグランドスタッフ(演・田畑智子)の方に注目してしまった。あまりに頑張って疲れてしまって不平を言いながらもなお頑張らなければならなくなって、それで少し貸しを返してもらうつもりでちょっと職場を抜け出したらどうやらしあわせの道が開けてきて、それで元気をもらってまた頑張ってしまって、というような感じだろうか。何か非常に愛しく思える人物だった。 ほかにも同僚のグランドスタッフなど各部署の出演者が多彩で楽しめる映画になっている。平岩紙さんに関してはサイドストーリー「歯医者発、しあわせ便」も必見である。
[DVD(邦画)] 7点(2014-03-31 21:49:24)(良:1票)
50.  パッチギ! 《ネタバレ》 
沢尻エリカ鑑賞が目的で見た。序盤は単に愛くるしい感じを出しているだけだったが、後になって主人公とのやり取りが出ると登場人物の人柄も加えた魅力が見えて来る(終盤の「あほ!」がいい)。外見的には首から下に行くほど肉付きがいいのは目に余るものがあるが、それはまあご愛嬌というところである。この映画には続編があるようだが、沢尻エリカが出ていないので絶対見ない。 なお主人公がヒロインに電話した場面では、いきなり日本語で「キョンジャですけど」と答えたところで変に気分が高揚してしまったが、これは個人的な事情(気恥かしい記憶)によるものである。  ところで(1)死んだ若者の伯父は、役者の実年齢から推定すると日韓併合の頃の生まれであり、その後に何らかの法的手続(紙きれ)に基づいて徴発されて来たというのが本人の体験として語られている(戦後に帰らなかった理由は不明)。また(2)ヒロインの家族は、下関-徳山-大阪-京都と移動して現在に至ったことをヒロイン本人が記憶していることから、1950年代に南側から日本に渡航したと想像される(朝鮮戦争との関係か)。さらに劇中では(3)釜山から密航して来た若者も出ており、これは単に本人の意志による密入国だろう。これだけでも3パターンが出ており、つまり今いる人々が実は様々な経緯で日本に来ていることをこの映画自体が認めているわけである。 これに加えて“言語は必ずしも客観的事実を伝えるためだけにあるのではない”ということだけ押さえれば、この映画に出る日本側の責任論は、実は観客がそれ自体として真に受ける必然性のないものであり、単に劇中の若者らを隔てる障害として機能しているに過ぎないと理解することも十分可能と考えられる。 その上で自分としてはこの映画を、特殊な条件のもとでの真直ぐな青春物語として素直に受け入れることができる。兄妹それぞれの結末にも安堵して、今後を祝福したい気になった(続編は絶対見ない)。また兄妹の母親の人物像も安心感を与えてくれる。  それで評点としては、映画外の事情によりこの監督の映画を絶賛する気には全くならないので、わりと好意的である旨を示す程度の点数にとどめておく。ただ、こんないい点を付けることになると事前には全く思っていなかったので、やはり実際に見てから判断すべきだというのが実感である。
[DVD(邦画)] 6点(2014-02-17 22:53:05)
51.  蝿男の呪い 《ネタバレ》 
ハエ男シリーズの3作目である。1965年にもなってまだ白黒かと思うが、同年の「大怪獣ガメラ」も白黒だったので他人のことは言えない。 場所がケベック州モントリオール(の周辺)というのはこれまでと同じであり、Delambreというフランス風の名字も引き継がれている。今回は基本設定との関係もあって第1、2作の経過が忠実に踏襲されているわけではなく、家族の個人名も違っているが、しかし基本的には第1作を祖父の世代として今回は孫世代までが出ており、1作ごとに世代交代しているのが律儀である。その間次第に研究が進展している印象はあるが、さすがに3世代にわたってもまだ完成せず、依然として化物製造機にとどまっているとなると家系そのものが呪われた雰囲気も出て来る。加えて遺伝的性質が世代を超えて受け継がれていくという設定は、リメイク版の ”FUSION” を先取りしたもののように感じられる。 一方で転送機に関して特に新しいアイデアはないが、機械そのものが不備なこと(それでも人間で実験しないと気が済まない)、及び当初からのネタである物体の融合とか統合の失敗とかが材料として豊富に使われており、映像面はともかく内容の禍々しさはリメイク版にも匹敵している。またドラマ部分についても、新婚の夫婦それぞれに秘密があり、最初は妻の方が変かと見せておいて実はどっちが変だかわかったものでない、という展開は少し工夫が感じられる。 劇中ではハエ男はもちろん(第2作の写真のみ)ハエさえも出ず、新旧各2作の間に挟まって番外編的な印象もあるが、これはこれでハエ男シリーズのまともな一作として数えていい気がする(個人的利害に関係ないのでどうでもいいが)。  なおラストでは続編を匂わせるキャプションが出るが、呪いの家系は断たれてしまったので、これがどうすれば次回に続くのか想像もできず、さすがにこれはもう終わりだろうとしか思えない。
[DVD(字幕)] 4点(2014-01-27 20:49:00)
52.  蝿男の逆襲 《ネタバレ》 
むかし怪獣図鑑などで慣れ親しんだハエ男の写真(ヴィンセント・プライスと一緒に映っている)は、前作ではなくこの続編の方だということがわかった。より本物に近いようだが頭がでかすぎて、中の人が大変そうな感じに見えている。  内容に関しては、古い映画のためか浮ついたところがなく真面目に見える。当初は陰謀含みのサスペンス調かと思ったが、結果的にはそれほど大した話に発展するわけでもなく、要はモンスターに殺される悪人を準備するための設定だったと思われる。 また物質転送機については前回と同じ構造だろうが、今回は転送の過程を分解と再生の二段階に分けて説明しており、これは原作に出ていたような、時間差をつけての融合をやってみせるためのことだと思われる。しかし基本的には“前回やり残したことをやってみました”というだけの内容であり、それも何の工夫もなしに同じ過程を再度行うのではさすがに考えが足りない。さらに本来は人類史に残るはずの偉大な発明の成果が、今回はただの化物製造機にしかなっていないのは情けない。  ところでハエ男が生成してしまった後の、人間としての意識の所在が前回と異なっているのは新しい趣向である。今回はハエ男が明らかにモンスター扱いになっており、相手が悪人とはいえ劇中で二人も惨殺しているが、頭が完全にハエだったのなら主人公が道義的な負い目を感じなくて済むことになり、これはハッピーエンドのためには都合がいい。この点はリメイク版より配慮が行き届いていると感じられる。 一方で、ハエにならなかった右手だけが人間としての情を示していたりするのは微妙な表現である。今回はヒロイン役が若い独身女性のため美女と野獣的な人員配置になり、美女の寝室にハエ男が忍んでいくなどという場面もあったりするが、これほど衝撃的な事件をものともせずに最後は若い男女がめでたく結ばれるという能天気な結末は、後のリメイク版の先駆けかとも思われる。  なお劇中の悪人(悪徳業者)の本業が葬儀屋だったのを見ると、北米にも「おくりびと」的な偏見があったのではないかと疑われる。
[DVD(字幕)] 4点(2014-01-27 20:48:57)
53.  蝿男の恐怖 《ネタバレ》 
物質転送機という発想はいかにも荒唐無稽である。音や映像が遠くに送れるなら物体も可能というつもりだろうが、“原子が空中を光速?移動”するというなら電話やテレビなどとは原理が根本的に違うだろうし、それよりなら「どこでもドア」方式の方がまだしも現実的に思われる。ただしわが国の「電送人間」(1960)をはじめ、その後の各種特撮の小道具として使われるようになったことからすれば、その独創性だけは評価しなければならない(映画でなく原作の方だが)。USSエンタープライズの転送装置も、このような事故を繰り返しながら改良されていったと考えると恐ろしい。  それで内容に関しては、昔の映画らしくきっちりまとまった印象を受ける。基本的には屋内中心の静的な環境の中で話が展開し、リメイク版のバイオホラーと違うのはもちろん、昔の特撮映画のイメージからもかけ離れている。そのため初見時(10数年前)にはとにかく地味な映画としか思えなかったが、改めて見ればそれなりに見所はあると感じられる。 劇中で一応の問題提起と思われたのは、人間とそれ以外とをどこで区別するのかということである。当初、妻は「理性」「知性」「心」を重視しており、またこういったものが失われかけたことで夫も死を決意していたことから、精神面が重要だということは夫婦間でも一致していたらしい。しかし一方、妻が内心で葛藤しながらも冷徹な表情で夫の殺害に協力し、事件後「あれは死んでよかったんです(I'm glad the thing is dead.)」とまで言っていたのは、要は夫の顔を見てしまった嫌悪感の方が主な動機ではないか。自分としても、夫がハエ面のままで妻にキスをしようとした場面には非常な違和感を覚え、たとえ人間の心があったにしてもハエ男が人間の女性を愛することは許容できなかった。劇中人物は妻を含めてみな理性的な人々だったが、それでも心が大事などというのは綺麗事という冷たい現実を淡々と突きつけているようでもあり、この点はリメイク版との大きな違いに思われた。  ところで劇中では、兄も実は弟の妻に心惹かれていたが2人の意向を尊重する形で譲り、その後はずっと独身で通してきたらしいことが示されていた。事件の結果、弟は失われたがその名誉は守ったまま、愛する女性とその息子と3人の安定的で穏やかな生活が実現していたようで、これは素直にハッピーエンドとして受け取れる。続編などなければよかったのだが。
[DVD(字幕)] 7点(2014-01-27 20:48:53)
54.  ハワイの若大将 《ネタバレ》 
若大将映画はこの年になって初めて見たが、どうせ昔の娯楽映画だからと小馬鹿にしていたところ結構楽しくて可笑しく、やはり長期にわたりシリーズ化しただけのことはあると思える。主人公は自然体で飾ったところがなく素朴ともいえる好青年で、何をやっても能力的には完璧なのだろうが、人が良すぎて損したり抜けたところがあったりするのは好感が持てる。嫌味が感じられるとすれば名門私立大学の学生で、恋の相手が社会に出て働いているのに男連中は遊んで暮らしているように見えるところかも知れないが、当時の感覚はよくわからず、今となっては何とも思わない。 一方ストーリーとしては、誰がヒロインかは最初からわかっているわけだが、劇中では主人公に思いを寄せる女性が3人も出て(この辺は嫌味か)、多少の波乱もあるものの2人は別々に片がついていき、残った本命と結ばれるというのが予定調和的で心地いい。星由里子さんはレギュラーだけあってきれいで可愛らしく、劇中の男どもがヒロインの純潔?を守る戦いには手に汗握る(笑)思いだった。  以上、ほとんどシリーズ共通のことを書いているのかも知れないが、現時点ではこれしか見てないのでごめんなさいということで。 なお失礼なことだが、中丸忠雄氏といえば個人的には「電送人間」(1960)の印象が強いので、劇中のヨット部監督が爽やかで真面目な人柄だったのは意外だった。
[DVD(邦画)] 6点(2013-05-27 18:59:11)
55.  バンビ、ゴジラに会う 《ネタバレ》 
以前に動画投稿サイトで見たことがあったのか、オチは知っていた。知っていても特に印象に残っていなかったということは、初見時にも大して評価していなかったのだろう。年を取ると感性が鈍っていちいち驚くのが面倒臭いという面もあるが、こういう一発芸はもうパターン化した気もして正直それほど衝撃的にも思えない。 それでもとりあえず何か書いておくことにすると、まずこれと似たような印象のアニメとしては「ピカドン」(1979)があるが、しかしあっちは7分もあってそれなりの前振りもあり、何より出来事の内容をみな知っているのでこのアニメほどの反則感はない。それより、そういうものを思い出すこと自体がゴジラ=水爆大怪獣と知っている日本人だからこそのことであり、こういうアニメを作って得意になっている北米人はゴジラ=トカゲとしか思っていないのだろうから呑気なものである。 ところで、この小編がわれわれに訴えようとしているのが何かといえば、それは平和を無慈悲に踏みにじる暴力の理不尽さ、ということに違いない。しかしバンビというのはわれわれ人類にとって無条件に守るべきものなのだろうか。ゴジラ=トカゲならバンビ=シカであり、それ自体が人類に益をなすものともいえない。かえって国内では近年、山間部でのシカによる農業被害が深刻になっており、農林水産省によれば野生鳥獣による全国の農作物被害額は平成23年度で226億2703万円に上っているが、そのうち1/3強の82億5990万円がシカによるものである。地域別では北海道だけで60億8549万円の被害が生じているほか、西日本での被害が大きい。このような状況は現地に「営農意欲の減退、耕作放棄地の増加等をもたらし、被害額として数字に現れる以上に農山漁村に深刻な影響」(農水省パンフより引用)を及ぼしている。このままでは、地域によっては人間がシカに駆逐されることさえ危惧されるのであり、それでも北米人があえてバンビに肩入れしようとするなら、われわれはゴジラを支持すべきと考える。国は平成24年度補正予算で「鳥獣被害防止緊急捕獲等対策」として129億3800万円もの事業費を計上し、捕獲活動の強化等による集中的な被害対策を実施しようとしているが、むしろここはゴジラに山間部のシカ退治を任せることを考えてもいいのではないか。 以上で字数は制限ぎりぎりで、音読すれば2分以上はかかるが、このアニメは実際には1分半程度である。
[DVD(字幕なし「原語」)] 1点(2013-03-16 10:44:21)
56.  パコダテ人 《ネタバレ》 
主演女優のおかげもあって部分的には見るべき場面もある。一つだけ書くと、人間が涙する代わりに雨が窓ガラスを伝って落ちたのは非常に印象的だった(偶然ではないと思われる)。 しかし残念ながら映画全体をほめる気には全くならない。他人と違う⇒それは個性⇒すばらしい、とかいう短絡的な発想がそもそも気になるが、それでも「ハッピーが生えてきた」というのがキャッチコピーであれば、あくまで主人公の姉のノリのまま全編を通せばいいだろう。にもかかわらず、後半の波乱要素の中にはかなり不快で笑えないものが含まれており、ご当地映画にそんなものを持ち込んで一体何を表現したいのかと思う。どこか別の場所でやれと言いたい。 一方ストーリー的には2つのカップルの関係が並行的に進むわけだが、うち社会人カップルの方は終盤まで本筋と関係がなく、存在意義が不明なのは残念である。TV中継の前のプロポーズで初めて両者がつながるわけだが、その直後に製薬会社の重役連が真相を明らかにしなければ、この男は単なるバカに終わっていたところである。ついでに連行場面で「調査団長」がわざわざ悲痛な顔をして見せるのは苛立たしい。顔など出さなくていい。 そういうわけで、見ていて次第に腹が立って来る映画である。ただし高校生の2人はあくまで純粋で可愛らしく、またシングルファザーと女性保育士の関係も微笑ましいのは結構なことで、その点まで否定するつもりはない。
[DVD(邦画)] 3点(2012-07-27 21:26:56)
0110.88%
1272.17%
2614.90%
3987.87%
418014.45%
532726.24%
628522.87%
717814.29%
8614.90%
9171.36%
1010.08%

全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS