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なんのかんのさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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41.  ヒア・マイ・ソング 《ネタバレ》 
アイルランドの妖精は老人の姿をしているのか。主人公の青年の取り巻きもけっこう年取ってたし。ロックの楽団の老人たちなんか、ほんとおとぎ噺的。この老年で固めたのはストーリーの要請もあるけれど、主人公の年齢コンプレックスの裏返しかもしれない。「まだ30なんです。平和な時代に生まれて」いうこのコンプレックスの由来はなんなんだろう。若さゆえの倣岸さが感じられなく、謙虚という美徳なのかもしれないが、若いモンはもちっと覇気があってもいいんじゃないか。ガラガラの荒れた店が満員になるところは、もっと見せどころになるのに、あっさりしてた。ラストの迫力を出すため、その前は地味にいったのか。アイルランドの部分、出航を決めて時計が鳴り出すとこなんか好きだなあ。深い井戸のとこもちょっといい。かつての「ナポレオン・ソロ」のイリヤ・クリヤキン、D・マッカラムに会うのはたぶん『大脱走』以来だ。
[映画館(字幕)] 6点(2011-12-31 09:56:01)
42.  ピノイ・サンデー 《ネタバレ》 
屋外に置かれた家具って興奮させる。『太陽の帝国』や『ギルバート・グレイプ』が思い出されるし、私のテレビ単発ドラマ歴代ベストワンである別役実の「あの角の向こう」では、気の弱い西村晃の引越し荷物の家具が家が建つべきだった土地に放置された。最近観たばかりの中国の内モンゴル映画『冬休みの情景』ってのでも、雪の積もった路上に椅子が数脚置かれていて、登場人物たちが長回しで10分ほどそこでダベるシーンがあった。そしてこれ、路上に放置されてる真赤なソファ。もうそれだけで見事に映画の素材になっている。台湾へ出稼ぎで来ているフィリピン人コンビが、それを自分の宿舎まで運ぼうとする話。異国での門限のある暮らしの中で、ささやかな寛ぎを求める気持ちが、その赤いソファに集約されている。ちょっと望郷の思いも込められた、ゆったり腰を下ろせる場所。それを街中で運んでいるとバイクのおじさんが突っ込んできたり、飛び降り自殺しようとしているビルの脇を通ると受け止めに使われそうになったり、コメディとしてのいろいろな趣向が次々に起こり、運搬を邪魔していく展開。土地勘があればもっと楽しめる映画かもしれない。川を越えるところで力尽き、というか心の切り替えが起こり、陽気な歌を歌いながらソファに乗ったままボートのように流れていく。彼らの心もコセコセした現実から広々したところへ流れ出たようで、いいシーン。それにしても室内にあるべき家具が屋外に出ただけで、なんで映画はああイキイキするのだろう。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2011-10-10 11:03:53)
43.  美女と液体人間
東宝の変身人間もののなかでは、これが見せ物としては一番楽しめる。ドロドロしたものが這い寄ってくる感じ。一番人間離れした怪物で、漁船のエピソードなんかうまい。人が融けていく。でも根本問題として、被爆した被害者が「人類の敵」になっていくことの後味の悪さがずっと残り、本当なら怪物の側から描かなければならないものを、それを恐怖の対象にしてしまっているズレは、いくら見せ物映画だとしても無視できない。野暮なこと言ってるのかもしれないが、どこかで過去の被爆者差別や現在の福島の花火への視線とつながっている気がする。完全な安全を求めるあまりの異端への恐怖。恐怖映画はそういった恐怖に乗っかってしまわず、そういう恐怖を撒き散らしているものへの想像力を働かして真の恐怖の対象を見極める自負があってほしい(初期の安部公房に、社会の底辺層の人々から液体人間に変身していって地球がその洪水に満たされる、といったSF短編の傑作「洪水」がある。「赤い繭」の第二話。そこにあった、刑務所の囚人が液化して逃亡したり、工場主が飲もうとしていたコーヒーに溺れたり、といったほうがよっぽど映画的なイメージ)。最後、炎のなかで二人の液体人間が立ち上がっているように見えるの、あれが新たな人類のアダムとイブになっていくのだ、ってな展開だとSFとして正しいんだけど。カーチェイスの場で車窓に展開する町の風景がしっかり50年代であった。悪漢が「トランクいっぱいの五千円札だよ」と言ってるところでも、最高額紙幣がそれであった時代をしみじみ思う。樋口一葉ではない。
[DVD(邦画)] 6点(2011-10-03 09:59:23)
44.  瞳の奥の秘密 《ネタバレ》 
見どころはサッカー場のワンシーンワンカット。あれどう撮ったのか。空撮していたカメラが次第に競技場の上空から観覧席に舞い降りてきて、そのまま犯人逮捕のドラマに受け継がれていく。ラジコンヘリからカメラマンの手にあんなにスムーズに渡せるとも思えず、途中CGでのごまかしがあるんだろうが、シロートの私はただ唖然とするのみ。そこからだってすごいよ。犯人は建て物のなかを逃げ回りトイレから飛び出したり塀を飛び降りたり、カメラもちゃんと塀を下りてくる。そして競技中のグラウンドに至るまでのワンシーンワンカット。溝口やアンゲロプロスのじゃなくて、相米の力業で見せるやつ。カットの頭でプールで泳いでいた奴がカット尻では着替えて帰っていく、っていうようなあの相米タッチが、地球の裏側で生きていた喜び。堪能しました。もひとつドキッとしたのは、ゴメスがイレーネに性器をペロンと出すとこ(やがてゴメスはイサベル・ペロンらしき人物のボディガードになっていくのだが)。あれで彼が強姦犯と分かるってだけでなく、イレーネが被害者の女性に・主人公が被害者の夫にと、登場人物が重なり、ラストの発見へ向けて全員のドラマ的配置が定まる仕掛け。またあの行為は主人公の深層心理を突いてもいる。でも堪能するという画像ではなかったな。暗い時代と、被害者の夫の暗い復讐とは見事に釣り合っているのだが、そこからさらに「忘れ得ぬ愛」ってことで主人公のほのぼのとしたロマンスと照らし合わせているのは、ちょっと煩雑な気がした。ロマンスを織り込まねば観てもらえぬほど、もう悪い時代はアルゼンチンの中で過去の歴史になってしまっているのか。
[DVD(字幕)] 6点(2011-07-30 10:11:15)
45.  ピアノ・レッスン 《ネタバレ》 
ピアノは決して解放じゃないのよね。人の世と別の世界への解放であって、閉じた場所での安息ってことか。ピアノは言葉の代わりにはならない。ベインズがエイダにとってピアノが重要であることを直感で知るのは、彼が文字を読めないことと関係があるんだろう。ピアノは彼女の安息の閉じた箱なのに、それを取り戻すレッスンのために彼女が開かれていってしまうあたりが話の中心。音楽は鍵盤を指が触れて生まれるもの、その鍵盤がまず取り外され現実の愛へとかわり、その代償に指も取り外されるわけ。とにかく海辺のピアノという情景が優れており、ジャングルの濃密な空気はあまり感じられなかった。浜辺で娘が踊るとこがいい。あの娘は単なる通訳じゃなく、同志のようでもあり、また批判者にもなり。
[映画館(字幕)] 6点(2011-03-08 12:21:06)(良:1票)
46.  人でなしの恋 《ネタバレ》 
時間も手ごろ、テンポもよし、だけどなんか稀薄な感じが全編にあるんだな。映画としてドキリとする瞬間を待ち続けて、ついに訪れなかった、というか。日本美にばかり寄りかからない姿勢はよく、出だしもスマート。料理もイキている。つやつや輝いているカユと、冷たくなっているカユの質感の違い。別に女性監督だからということでなく、感性の問題だろう。“道具”がなおざりにされてなかったのもいい。絵の道具、料理の器具など。青い世界と赤い世界の対比があり、赤は愛の色。蔵の中はもう少し暗いほうがいいんじゃないかと思ったが、あとで翳った場面との対比を見せたかったのだろう。男の「人でなしの恋」が、ラストで女によって反復される。
[映画館(邦画)] 6点(2009-12-20 11:56:57)
47.  百万円と苦虫女 《ネタバレ》 
喫茶店から早足で去る蒼井優とそれを自転車で追う森山未来のシーンがいい。それもそこまでの二人が接近していく描写(飲み会のエピソードとか)が丁寧だから生きる。ずっと人間関係が生じそうになると逃げてきた彼女、かき氷の天才とおだてられても、桃もぎが上手と持ち上げられても、人間関係がややこしいことを引き起こすに違いないという確信があって、その前に去ったり、逃げ遅れてややこしさに捕まったりの“逃亡生活”を送ってきた。でもやっぱりしゃべる相手の誰かが欲しかったんだよな。このガーデニングコーナーの仕事で、初めておだてられずに叱られたが、そのかわり後ろ姿に「おやすみなさい」と手を振る相手を見つけられた。その嬉しさが喫茶店で「しゃべりすぎてしまう」シーンにつながる。あの早足で去ろうとするスズ子さんの「しゃべりすぎ」を後悔する恥ずかしさ、でもそれより、他人に開かれた自分に対する戸惑いのようなもののほうが強く、後ろで泡食ってるナカジマ君も戸惑いの極致、「これから村八分です」と絶望してみせ、しかしそういう態度を示せる相手がいることへのさらなる戸惑いもあって、あんたたちとってもいいよ、と声をかけてやりたくなった。このシーン最高。ナカジマ君の後半は、問いつめられたとき「百万円たまっても行かないでね」としゃべっちゃえばよかったわけでやや不自然なんだけど、まあどっちも「なにやってんだか」と不器用なカップルだったということで、納得してやるか。 
[DVD(邦画)] 6点(2009-07-03 12:05:16)(良:1票)
48.  ピノキオ(1996)
ディズニー版もそうだったけど、ピノキオって原作は悪童物語の傑作なのに、映画化されるとかわいくなってしまうんだな。悪の誘惑に乗ってくる悪ガキに見えない。それだけのせいではないだろうが、ラストで人間になると幻滅感が場内に漂った。いや、これは大事な問題なのかも知れない。アニメ的なものと実写とで、見ているこちら側の心の位置が微妙に違っているのではないだろうか。実写は記録として客観的に見ているのに、アニメになるとやや主観に寄っている、ということはないか。その主観が引き剥がされる感じが幻滅感になっているのでは。アニメと実写の合成された映画を見ているときに感じる、どうも落ち着かない感じ、案外あんなところに映画の秘密が隠されているような気がする。子どもがロバに変身するとこなんか、ディズニー版のほうがはるかに怖かった。全編アニメだと、SFXが浮いてしまうという心配がないわけだ。こちらでは、ピノキオが一時間待って時計塔の前に立っていると犬が小便ひっかけにやってくる、ってとこにのみ映画を感じた。ラストのクジラも弱かったなあ。
[映画館(字幕)] 6点(2009-05-16 12:07:49)
49.  ピースメーカー
ドリームワークス第1回作品というのにしては夢のない陰鬱な映画。無垢の人がたくさん死ぬ。「仕方がない、これが現代なんだ」という言い訳が製作者サイドにはあるわけだし、確かにそういう警告としての役割りも映画にはあっていいかも知れないが、こう悪夢の可能性をハリウッドが先回り先回りしていくと、それらがかえって現実感を失い、世の中の生々しい悲惨が単純なものに感じられてしまうという危険もある。実際同時多発テロのときアメリカ人はまず第一に、ハリウッド映画のようだった、という印象を受けたわけだ。この映画には、世の中の悲惨に対するアメリカの、こっちにこないで、という正直な気持ちが反映しているとは言える。まあ悲惨の存在を見ているだけ日本よりはマシか。それにしても、放射能がドラマに全然影響を与えないのは、いつもながら困ったもんだ。
[映画館(字幕)] 6点(2009-03-01 12:15:23)
50.  人のセックスを笑うな 《ネタバレ》 
長回しって、ある時間のかけがえのなさをその場の空気ごと捉えることもできるが、ちょっとの違いでただルーズにカメラを回しているようにも見える。見る側の気分に左右される要素が大きい。年上の女に、え? え? という感じで裸にされていく年下の男の子を捉えたりすると、その丁寧な言葉づかいもあいまって、とても充実した時間を封印できる。気まずさを描くのはこうするしかない、というように。でも空気マットを膨らませるところでは、緊張が抜けてみえた。たぶんこちらの気分の微妙な差なのだろう。長回しってほどではなかったが、バックする忍成の車の移動撮影なんか新鮮だった。一番よかったのは、だだっ広い畑の中のバス停のベンチの二人、その所在なげな感じをタップリ見せた後で男がバイクを反対方向に向け、とそこでカメラが突然向こうの反対側に移り、二人で乗って行くところを捉える。このカットつなぎの効果が生きるのも、前半の長さがあるからだろう。蒼井優・忍成修吾と『リリィ・シュシュ…』の顔が出てるが、あれも北関東で上映時間もほとんど同じ。
[DVD(邦画)] 6点(2009-02-08 12:01:47)(良:1票)
51.  ヒトラーの贋札
「今日の銃殺より明日のガス」ってセリフは記憶に残るな。たとえそれが利敵行為と分かっていても、とりあえず今日の銃殺を避けようとするもんなあ。まして職人気質をくすぐられれば、歴史に残る贋札を作りたいと思っちゃう、そこらへんの「分かっちゃいるけどやめられない」の心理がナマナマしかった。『戦場にかける橋』で、つい捕虜たちが立派な橋を作りたくなった心理と同じだ。長期的な視点を持てないのではない、分かっちゃいるけど、現在の切迫がそちらの目を塞ぐのだ。歴史はこうしてクネクネと、理想へ直線的には動かないようにできてるのだな。ナチが悪役笑いするのには閉口。ナチの怖さは人格の卑しさから来るのではない。いたって有能な人物たちが、合理的思考に基づいてガス室の発明にまで至ったところにその怖さがある。この映画でだって、ユダヤ人の職工を使えば後始末が簡単、と合理的に考えるところが一番怖かった。よくナチと日本軍は同一視されるけど、どっちかって言うと対極にある。ナチは合理主義のバケモノ、日本は精神主義のバケモノだった。あっちは無駄を病的なまでに排斥する狂気、こっちは無駄が出れば出るほど気合いが入ると思い込んでいる狂気。
[DVD(字幕)] 6点(2009-01-17 12:09:46)(良:2票)
52.  美術館の隣の動物園
韓国の理想の男像って、ゴツッとしたモロ師岡タイプのようだ。民族によって“いい男”はずいぶん変わる。女優のほうは桑野通子似で理解可能。ケンカで始まるラブ・コメディと、いたって平凡な枠組みだが、ポイントはふたりで作るシナリオの映画中映画が入るとこ。それぞれの空想の中で、ふった女・憧れの男が演じてる。この部分はスタイリッシュな構図で、まさに“夢”のように描かれる。ツンケン女が自転車を蛇行させる内気な娘になり、議員秘書が天文学趣味の獣医になる。ラストで映画中映画とこの二人が融合するあたりが映画ならではの楽しみ。
[映画館(字幕)] 6点(2008-08-31 11:10:55)(良:1票)
53.  ピストルと少年
最初のうち少年はやたら反射する面に向かい合う。テレビに向かい合い、鏡に向かい合い、電話番号を書きとめるために窓ガラスに向かい合う。その自分の反射から、姉に向かい合いたいという気持ちにダーッとなだれ込んでいく。そうか、ピストルを向けることによって、初めて自分以外の人と向かい合えるようになったのか。彼の漠然としていた欲望が、刑事が登場することで明確にされてしまう。あるいはもう観念していた少年を姉が引きのばしていってしまう。ぼんやりしていた彼の欲望を、周囲の思いやりやお節介が、よってたかって大ごとにしていってしまう。しばしば子どもが起こす事件についての、これはひとつの解釈だろう。車に固定されたカメラからの視点が多く、カーブを切ってフロントガラスに建物の像が入ってきたり、光の向きが変わっていったりするとこが好きなんだ。
[映画館(字幕)] 6点(2008-04-06 12:20:16)
54.  ピンチクリフ・グランプリ
とにかく人形の動きが丁寧で驚かされる。楽団の演奏のところなど、ピアノやベースの指つかいまでが、たぶんかなり正確で、現実の演奏を記録してそれを参考にしたのかもしれない。動きが実になめらか。もっともここまでなめらかだと、着ぐるみの人間が芝居する実写と違わなくなってしまう。アニメは、本来動かないはずのものが動いてる! って驚きが基本だと思うんだけど、動きをリアルにすればするほど、その驚きが薄れてしまうというパラドックスがある。つらいところだ。CGの普及で、毎日のように奇抜なコマーシャル映像に浸かっている我々の目が、刺激に麻痺してしまっているということもあるだろう。その目で見ると、ストーリーの展開もいささか素朴すぎて感じられる。でもだからこそ、この丁寧な仕事は見ていて気持ちいい。すがすがしい。崖の上の自転車修理工という孤高の主人公の栄光を、この作品にも捧げたい。
[DVD(吹替)] 6点(2008-01-23 12:20:01)
55.  人も歩けば
若水ヤエ子はもっと評価されていいのではないか。なんとなくズーズー弁で笑いをとるだけの二流どころの印象だった。岡本喜八の「結婚のすべて」だったと思うが、結婚相談所員の役で出てきたときの演技がなかなかでオッと思ったことがあり、本作でも、金持ちふうの着物でとがった眼鏡かけ、探偵金田一小五郎につきまとう役で、むっつりすればするほどおかしい。この人はズーズー弁より、眉間にシワよせた不機嫌顔で笑いをとっていたのだ。この名前もしかして、水谷八重子のもじりだったのかな。
[映画館(邦画)] 6点(2007-12-07 12:22:53)
56.  百年恋歌
ふつう3つの時代を描くとしたら、1911年1966年2005年と順にやるもんだろ。ところが66→11→05とくる。この監督にとっては60年代ってのがベースになってて、そこから過去を振り返り、未来を眺めるんだ。兵役のために去っていく男は、過去では革命に参じて去る。自転車は未来ではバイクになる。話を理解するのは正直言ってかなり困難な映画で(とりわけ現代篇)、この監督ずいぶん遠くへ行ってしまったなあ、と寂しかったが、光と煙の美しさには圧倒された。ビリヤード台を照らす電灯の光の中にただよう煙、現代篇でやたらヒロインがすぱすぱ吸う煙草とそれを照らす蛍光灯、屋台の食事での湯気さえ美しい。そういえば「煙が目にしみる」が流れていたっけ。
[DVD(字幕)] 6点(2007-11-07 12:18:26)
57.  ヒルコ 妖怪ハンター 《ネタバレ》 
せっかく「古事記」をベースにしてるのに、オリジナルなものを創出できなかった。宣伝では、世界的レベルで作ったとか言ってたが、どこのことを言ってたのか、自国の文化からしか生まれないオリジナルなものを作り上げることが世界性のはずだ。夏の校舎の静かな感じはそう悪くないのだが。手作りの兵器も悪くなく、あそこらへんのユーモアをもっと生かせなかったか。殺虫剤が最終兵器になるの。自転車に乗って夜の廊下を走るってのもいい。のどかな昼のピクニックの幻想になって、主人公が月島嬢に穏やかに電動ノコギリで首を切られそうになるとことか。理科室、給食室、音楽室、用具室などが舞台になる。給食室が一番力が入ってたか。校舎ってのは、やはりホラーの舞台にふさわしい。
[映画館(邦画)] 5点(2013-08-05 09:08:50)
58.  必殺!5 黄金の血
市井の平凡人が実は…ってやつだが、その「実は」にも、一人で正義やってるのもいれば、集団で「影の組織」やってるのもある。集団だと個性を使って、アンサンブルの楽しみを出せる。これはそっち。話としてはバブル経済に新興宗教ブームを加味。メンバーのいろいろの手立ての具体物が面白さなんだが、もう少しひねりを入れて膨らませたいところ。なぜか堀ぎわの材木置場が出ると、時代劇の情緒を感じてしまう。酒井法子はそういう役とはいえ、ちょっとね、とノートに記されているが、全然記憶にない。花火がドーンと上がり、当時の娯楽作品としてはまずまずと思った半面、こんな程度で褒めちゃいけない、という気持ちもあった。
[映画館(邦画)] 5点(2012-10-05 10:14:38)
59.  秘密の花園(1993)
荒れ果てた庭のほうが子どもは興奮すると思うんだけど、ワビサビの東洋の子どもだけですか。冒頭がインドの砂漠で、花園との対比がはっきりしている。あちらの考えでは、荒廃とか砂漠とかには価値がなく、あくまで人工の庭園になって価値が出てくるらしい。弱さとかおびえは「臆病」として排斥されるべきものと当然視されている。その衰えも自然の一部として愛でることが出来るとは、あちらではまったく考えないらしい。ま、そういう時代の原作なんだから、そう思って見ようとはするのだけれど、それにしちゃ花園に迫力がないよなあ。あの荒廃の魅力を覆すだけのものが感じられない。病弱の子が立ち上がる、ってのにはやっぱりホロリとさせられるが、全体として「子ども」のイメージが狭い気がした。
[映画館(字幕)] 5点(2011-05-13 09:50:08)
60.  瞳が忘れない/ブリンク 《ネタバレ》 
レトロアクティヴヴィジョン(逆作用視覚)ってのがポイントで、見たものを遅れて認識することがある、っていう角膜移植後の後遺症、これうまく使えばいいサスペンスになれるモチーフなのに活かせなかった。主人公が今ぼんやり見えているものが、もしかすると過去の出来事かもしれない、という不安を感じてないみたいで。普通のスリラーの、犯人の像が現われる不安だけになってしまっている。現実感覚の不安になってないの。もったいない。それに元盲目なら、相手が闇の中で襲ってきたらこっちのもんでしょうが。なんかせっかくの新味を出せる設定を、いままでのスリラーの手続きだけでこなしてしまったみたい。移植した先をたずねまわるイビツな愛って動機はいいんだけど。
[映画館(字幕)] 5点(2010-10-01 09:58:51)
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