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ミスター・グレイさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 565
性別 男性
自己紹介 三度の飯より映画好きです。どうぞよろしく。
※匿名性ゆえの傲慢さに気を付けながらも、思った事、感じた事を率直に書いていますので、レビューによって矛盾が生じていたり、無知による残念な勘違いや独善的で訳分らん事を書いているかもしれませんが、大きな心でお許し下され。
※管理人様、お世話になっております。
※レビュワーの皆様、楽しく読ませて頂いております。

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1.  プラトーン 《ネタバレ》 
これは初めて見た時に非常にショックだったことを覚えています。しかし曲りなりにもその後、数々の作品を見て、その怪しげな眼力が一進一退を繰り返している今、改めて見てみると、あの時のショックは映画的なショックではなく筋書きの政治的なショックだったのだと思い至りました(ここでは政治的なことは棚上げするが、その側面も今考えると胡散臭い)。 確かに力業ではあるのですが、単純に言って一人一人の兵士の顔ですらボヤけて見えますし、いくつかある見せ場のシーンにしても、それ自体ではかなりつまらなく失敗しているとすら思います。…ただそれでも、今が初見だったら不満だったであろうウィレム・デフォーが天に手を掲げ散ってゆく様や、トム・べレンジャーの悪役っぷりは出会った当時の衝撃的な映画の記憶として既に脳のどこかにしっかりと焼き付いてしまっているので、あのシーンを迎える度に身震いしてしまうのです。
[DVD(字幕)] 7点(2012-03-26 18:33:49)
2.  フレンジー 《ネタバレ》 
ここで最も驚くべきことは観客の心理を自由自在に誘導してしまう巧みさです。「サイコ」でも感じたことですが、その傾向はより強く、主人公はとても感情移入できるキャラクターではないにもかかわらず殺害された前妻の所にやって来る時には、〝行ってはダメだ!〟と思わされてしまいますし、真犯人がピンを失ったことに気付いた時には〝大変だ、死体が握ってる!〟とドキドキさせられ、ヒッチコックに完全に感情をコントロールされてしまうのです。
[DVD(字幕)] 7点(2012-03-09 18:42:21)
3.  BROTHER 《ネタバレ》 
たけしの舎弟である寺島進は〝命を張ってきます〟などと宣言せず〝ちょっと用が…〟とまるでトイレにでも行くかのように、たけしに別れを告げる。だが彼を置き去りにし走り出したリムジンはどんどん小さくなっていき、次に見送る寺島進の精悍な面構え、そして車中のサングラスを掛け表情は分からないがたけしの無言のアップとなる。これは交わした言葉とは裏腹に、見事に紛れもない今生の別れのシーンとなっています。通じ合った者同士の間には無粋な言葉は存在しない。これぞ真の〝Brother〟なのです。
[DVD(邦画)] 8点(2011-11-30 18:46:03)(良:1票)
4.  フランケンシュタイン(1931) 《ネタバレ》 
研究所の禍々しさは現在においてもホラー映画のお手本のようですし(怪物に生命を与えるシーンが特に凄い)、あるいは怪物を追い詰めて行くタイマツの群れは圧倒的で、そこから風車小屋炎上へと繋がる流れも見事としか言い様がありません。・・・しかし、肝心の怪物自体は魅力に乏しい感じがします。暴れているシーンはただの腕っ節の強いヤツにしか見えませんし、不幸にも誕生してしまったという哀愁も物足りません。何も感傷に浸らせてくれと言っているわけではありませんが、湖のほとりで女の子と遊ぶシーンをもっとじっくり見せてほしかったです。  それと腕がダラリと垂れ下がっていたりするのに生きていたりする人物の生死の不明瞭さも気になるところです。
[DVD(字幕)] 6点(2011-07-05 18:39:49)
5.  ブラック・スワン 《ネタバレ》 
「レスラー」のダーレン・アロノフスキー監督だということ以外、事前情報なしで見たので、てっきり「レスラー」のようなバレリーナ版の映画かと思っていたのですが、最初と最後以外はバレエとあまり関係なく、ナタリー・ポートマンがもっとキャーキャー叫んでいたら完全無欠のホラー映画になっていました。  例えば、いつだって何かが間違って映りやしないかと不安を煽る鏡の多さ、あるいはライバルやヴァンサン・カッセルよりも怖い魔女のような母親の住居。外よりも家の方が危険な予感がするほどで、ぬいぐるみが溢れる時間が静止した部屋は、まるで魔女に囚われている子羊の一室のようですし(故にラストの観客席で感極まった母親と舞台上の娘の目が合う瞬間はちょっと感動的だ)、ケーキを丸ごと捨ててしまおうとするシーンなどは特に怖く、良く出来たホラー映画だと思いますし、つまるところ単純でありふれたお話をよくここまで盛り上げたと思いますが・・・、最大の見せ場であるラストのバレエシーンにCGを多用したことは大いに不満が残ります。露骨なまでに目の色を変化させたり手を黒い翼に変化させ過剰に暗黒面のイメージを出そうとしていますが、これは裏を返せばポートマンの演技力を全く信じていないということです。  それからウィノナ・ライダーが枯れて登場した時、ミッキー・ロークやマリサ・トメイのように泣かせてくれるのかと思ったのですが、別の意味で泣けちゃうような役でした。
[映画館(字幕)] 6点(2011-06-07 18:49:14)(良:2票)
6.  ブラザーズ・グリム
グリム兄弟の魅力の無さ、森を案内するレナ・ヘディのつまらなさ、モニカ・ベルッチの登場シーンの少なさ、あるいは森のイメージの面白味の無さ…と、一向に満足できないものだったのですが、どうもテリー・ギリアム監督の興味もこれらのことには端から無かったように思えます。では一体、監督は何を見せたかったのか?それは良く分かりませんが、ピーター・ストーメアが最も活き活きしていたのは確かです。しかし何にせよ、彼が一番目立っているのは、映画が不調に終わっている証でもあるでしょう。
[DVD(字幕)] 5点(2010-09-13 18:21:12)
7.  プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂 《ネタバレ》 
ダスタンは軽業師の如き動きを見せますが、こういうアクロバティックなアクションこそ全体の構図が重要であるのに、ほとんどの場面で一つ一つの動作を大写しにしているだけなので、誰が何処で何をしているのかサッパリ分かりません。また、移動が多いのですが大移動も小移動も場所の感覚が全く出ておらず、距離感なども皆無に近いので、いきなり重要な場所で、いきなり関係者がフレームインしてくるという雑な有様です。  それからこれは、時を超えた愛の映画?らしいですが、嘘ツキのお姫様がダスタンを信じて真実を告げるシーンなどはもっと繊細に撮ってくれないと愛の存在など信じられません。さらに信じると言えば、兄貴も弟も証拠が提示されるまでお互いを信じておらんじゃないかと…。兄弟だからという理由で信じるということは、無条件で信頼するということですからね。
[映画館(字幕)] 4点(2010-06-30 18:34:24)
8.  不死身の保安官 《ネタバレ》 
この映画は不自然な組み合わせが見所で、英国紳士で世間知らずのお坊ちゃんジョナサンは西部の無法地帯で保安官に任命され、酒場を仕切るブロンドのグラマーな女主人ケイトは凄腕のガンマンでドレスの腰にホルスターを巻きつけ、大団円の結婚式ではイギリス男とアメリカ女と先住民が横一列に並んでしまうという可笑しさなのです。しかもここで面白いのは、この英国紳士が郷に入れば郷に~とはならず、地のままでボケ倒し?どんな危機的状況に陥っても一発も実弾を発射することなしに見事、事件を解決してしまうところです。ということでコメディ色が強いわけですが、最も印象深いのは凄腕のケイトがジョナサンに銃の手ほどきをするシーンで(ケイトに銃を使う見せ場が無いのが残念ですが、凄腕という設定はこのシーンのために作られたものでしょう)、射撃するケイトは魅惑的に口を半開きで狙いを定め、エロティックに銃の説明をし、手取り足取り指導しながら二人の距離が少しづつ近づき、口付けをするとケイトの興奮が高潮に達し銃をズドンとやる…。 ウォルシュ監督のロマンスシーンはいつもながらの流石の出来栄えで、そして本作においても結ばれる男女は些細な誤解からやっぱり一度はケンカをするのです。
[DVD(字幕)] 8点(2010-02-16 18:19:16)(良:4票)
9.  不可能な世界への旅行
映画に物語を持ち込んだために、と言いますか、舞台装置のような張りぼてセットのために横を正面とする映像は、リュミエールの映画などと比べると明かに躍動感に欠けています。しかし、メリエスの映画は驚くほど幻想的で、あのトリックの数々こそが驚異というものであり、メリエスの独創性はやっぱり凄いと思います。
[ビデオ(字幕)] 7点(2008-08-04 18:25:50)
10.  無頼の谷 《ネタバレ》 
いきなりキスシーンから導入しており甘いラブロマンスが始まるのかと思いきや、強盗暴行殺人がおき空気が一変します。幸せだった婚約者が倒れている姿が映り、手は力なく放り出され(ディートリッヒの事切れる瞬間の手も同じ)、物語の鍵となる送ったはずのブローチがなくなっていることが分かります。そして主人公の銃の装着を合図に復讐劇が開始されるのですが、この冒頭から復讐開始までの一連の演出と運びの巧さはまったくもって簡潔であり完璧です。 この主人公は情報のためなら投獄されることも辞さない復讐鬼と化しても、決して殺人鬼と化さない一本気な男で、ディートリッヒが仕切る犯罪者の隠れ家(このチャカラックの入り口が実に良い)へ潜入するのは通過儀礼のようなものであり、ディートリッヒの存在といい、挿入歌といい全編に伝説的な雰囲気が漂っています。カラー作品ですが、広大な自然や澄み切った空などは映し出されることなく澱んだ空気となっている暗さも印象的です。それからもう一つ忘れてはならぬのは床屋での大乱闘で、この過剰さが良いです。
[DVD(字幕)] 8点(2008-04-28 18:05:52)(良:2票)
11.  フローズン・タイム
〝動〟の世界である映画で〝静〟を描く。この映画の見所は〝凍れる時〟にあると思うのですが…その静止シーンがことごとく良くないのです。皆が静止している中、男一人がいそいそ動き回る奇妙な空間が全くと言って良いほど生かされていません。せっかくナイスバディのお姉ちゃんを店内に揃えているのに何故にもっとじっくりと見せてくれないのか…などと思春期の少年のようなことを言っているのではないのですよ。ぜんぜん時間が止まっている感じがしないと言っているのです。ラストで舞い散る雪が静止するシーンも一瞬しかないので、これは技術的および資金的問題かもしれませんが。  この監督さんはファッションフォトグラファーらしいです。なるほど洗練されたセンスがありオシャレですし、瞬間の美を捕えるその職業に相応しい題材を扱っています。がしかし、やはり映画は瞬間ではなく瞬間の連続ですからしっくりこないのです。意地の悪い物言いをしますと、わざわざ映画にしなくとも文章付きの写真集で十分だったのではないかということです。確かにいくつか凝ったシーンもありますが他の映画から借用してきたレベルに感じられます。この作品の面白さはほとんどキャラクターの奇抜さと普遍の恋愛物語に頼っており、フットサルのシーンなどは取り分け酷い出来だと思うのです。
[映画館(字幕)] 6点(2008-01-30 18:22:24)
12.  プライベート・ライアン
映画館で観終った後、席を立つのが嫌になるくらい虚脱感に襲われたことを覚えている。もう冒頭から圧倒された。ノルマンディーのオハマビーチ上陸シーンは戦場に放り込まれたように臨場感が溢れており、凝視できない光景に気分が悪くなった。実際の戦場など知らない私がリアルだなんて言えないが、悲惨さは十分過ぎるほど伝わってきた。その後始まる本題の物語自体も端的に戦争の不条理さや虚しさを描いている。大局には関係の無いたった一人の命を救うために他多数の命が犠牲になっていく遣る瀬無さ。人物造型は単純だが、ハンクスの教師という設定や同行し観客に近い目線を担うアパムの通訳という設定は、人を育てたり関係を築いたりする資質が戦争下では逆に人を潰すための道具として使われてしまう悲劇を誇張している。・・・だが、全編通して見ると反戦としての訴えはそれほど強く感じられなかった。というのも最後の戦闘シーンが冒頭のそれとは全く違うものになっているからだ。最初の戦場ではハンクス以外の人物の区別がつきにくく、数多の無名の兵士たちの命が一瞬にして奪われ累々たる屍が築かれていく恐怖がある。だが最後の戦場は一人一人の〝顔〟が見えるのである。こうなると娯楽アクション映画と同じで、ハンクス一行の命の方がその他の無名の兵士たちの命よりも重く感じられてしまうのだ。これはドラマとして必然的に起こってしまったことだと思う。神に祈りを捧げ狙撃するバリー・ペッパーなど恰好良く見えるし、バズーカを担いだトム・サイズモアや戦車に発砲し続けるハンクスの姿もまたしかりだ。つまり物語が始まると娯楽要素が強くなるのだ。語弊があるかもしれないが映画である以上、戦争であってもドラマやある程度の娯楽的アクション性を有するものだとも思う。そしてスピルバーグは反戦へのメッセージと映画としての娯楽の二頭を追った。その結果、融合はされておらず冒頭の悲惨な戦場はこれから開始する戦争舞台の壮大なメロドラマのための言い訳に見えてしまう。それは勘繰り過ぎなのかもしれないが、そのアンバランスさがこの映画の印象をどこか腑に落ちないものにしている。
[映画館(字幕)] 7点(2007-08-03 18:29:41)(良:3票)
13.  ふくろうの河
【93分オムニバス版鑑賞】 台詞はほとんどなく映像だけで迫ってきますが、これが叙情的であり寓意に富んでいて見応えがあります。とりわけ三話目の「ふくろうの河」が素晴らしいです。絞首刑が実行されようとする緊張感!男の逃亡の躍動感!とにかく泳ぐ泳ぐ、走る走るで後ろを振り向くことなく止まらず前進し続ける男の姿は凄まじい生命力を感じさせてくれます。それにあのオチの見事さ。これは傑作です。各映画祭で短編賞を受賞したこの三話目が出色ですが、他の二話もなかなか捨てがたい秀作なのです。 一話目…虫の音が聞こえる静寂の森の中、月明かりに照らされ見張りをする兵士、このシチュエーションだけでもうすでに劇的です。それに回想シーンでの白い鳥篭と黒い鳥のメタファー。 二話目…英雄に憧れる子どもの視点から過酷な戦場風景を幻想的に映し出すことによって、逆に悲惨さを痛烈に訴えています。血だらけの兵士をピエロと錯覚させるところなど巧いです。 どの話も台詞が少なくラストに共通のちょっとしたオチが用意されていますが、これが非常に強烈な反戦へのメッセージとなっています。実際に南北戦争に従軍した原作者ビアスの嘆きを見事に映像化しているのではないでしょか。
[DVD(字幕)] 9点(2007-05-21 18:25:35)
14.  ブラックブック
いやぁ~凄かった。実話を基にしているみたいですが、政治的なことより単純に娯楽として面白かったです。何が凄いって回想シーンから導入していくので主人公の無事が完全に保証されているのにもかかわらず、劇中ハラハラドキドキしっぱなし。ポール・ヴァーホーヴェンが「女王階下の戦士」以来、正統派の映画も撮れるんだという事を見事に証明してくれました。もちろんエロもグロも要所でしっかり見せますが人間模様、殊に女性の描写がやっぱり良いです。内容についてはネタバレしてしまうとつまらないので控えますが、ヴァーホーヴェンの新しきファム・ファタール、カリス・ファン・ハウテンの美しいこと美しいことっ!歌声も素敵なんですが、彼女の素晴らしさはニコール・キッドマンのような気品が良い意味で無いこと。自由奔放と言いますか、あけすけと言いますか早い話がエロいんですねぇ。女性はどう思うか知りませんが男はああいう女性に弱いんですよ。鏡の前で下の毛を染めるシーン、汚れた足を便器の水で洗うシーン、もうやりたい放題で参っちゃいましたよ。それから彼女の友人となるロニーもまた凄いキャラクター。強いと言うか、しぶといと言うか、まぁたくましいんですね。もう生命力が溢れ出ているのです。この魅力的な女性たちと取り巻く多種多様な男たちとの妙、最後まであっという間に時間が過ぎてしまいました。
[映画館(字幕)] 9点(2007-03-28 18:47:40)(良:2票)
15.  フランティック
ストーリー自体は格別面白いわけでもないですし些か冗長な感じもしますが、これが実に惹きつけられるのです。例えば屋根の上をスーツケースを持って歩くシーン、リチャードの心情の表われや靴がスッーっと落ちていく巧さ、鳩の存在までもがとても良い。それから犯人との取引きシーンの緊張感、赤いドレスの妻と赤いスカートのミシェルの交差などなど、どの場面をとっても取り分け派手なシチュエーションではないのに一つ一つに気分が高揚させられます。それに大の男三人が痴漢撃退スプレーでやられて慌てふためくところなんてユーモアも感じさせます。謎めいた女の怪しげな雰囲気も良いですし、大スターハリソン・フォードも役者ハリソン・フォードとして良いのです。
[ビデオ(字幕)] 8点(2007-03-22 18:54:21)
16.  フェイス
仁義溢れる男の世界がカッチョ良いじゃないですか。特に感心したのがR・カーライルの〝姿〟の良さ。元来ダメ男を演じて魅力を発揮するカーライルですが今作は彼の出演作の中でも(投稿時点の作品までで)最もクールに撮られています。本作の監督が以前観た同カーライル出演作の「ラビナス」(「司祭」も)と同じだった事に気付き彼に興味が湧いて調べてみたところナント〝彼〟ではなく〝彼女〟でした。そう言われてみればアントニ〝オ〟じゃなくて〝ア〟ですね。女性と判明すれば逆に納得の出来で、語弊を恐れず言葉悪く言いますと女子が描くマニアックな男の妄想世界です。マニアックだから見場の良し悪しとかそんなレベルではなく、ある種の男の本質をついた理想像と言いますか要所がおさえられていて物凄くカッコイイのです。最後に歩き回るカーライルの姿など哀愁が漂いまくっていてしびれます。男ながらに惚れます。よぉーし、私も黒のスーツで決めてやる~と思いましたが、ネクタイはずしたその姿は冠婚葬祭帰りさながらですし、何より胴長短足の完全無欠の日本人体型の私には似合わないのでやめときます(泣)。
[ビデオ(字幕)] 8点(2007-01-17 18:13:21)
17.  フォレスト・ガンプ/一期一会 《ネタバレ》 
公開当時、話題になっていたので劇場まで足を運んだのだが、はっきり言って気に入らなかった。合成ばかりが目に付いたしアメリカ的だと思ったし、何よりフォレストの対比として悲惨な人生を歩まされるジェニーの描き方が嫌だった。だが月日を経て何度か見返すうちに気に入るようになり現在ではDVDも持っている。・・・と、前置きはこれぐらいにして・・・・・・人生哲学をファンタジックに描いた本作はシンボリックな描写が非常に印象深い。〝走ること〟もその一つで〝生〟の象徴として捉える事ができ、フォレストの人生の転機が〝走り〟によって持たされるところなど微笑ましい。さらに興味深いのがダン中尉の描き方で、死を願う彼の両足を奪い、落ちぶれた姿で凍った坂道を転げ落とす。人生の歩みを止めた彼に課せられた試練を表しているようである。だが神様と仲直りのシーンで彼は一人で泳ぎ、最後の登場シーンでは小奇麗な姿で自らの足で立つ。赤信号から青信号へと変わり人生を再び歩み始めたことを体現させるあたりが寓話的で面白い。ダン中尉を演ずるゲイリー・シニーズは悪役を得意とするが「二十日鼠と人間」でもそうだったように聖なる愚者の守役が実によく似合う。
[映画館(字幕)] 10点(2006-12-13 18:21:45)
18.  武士の一分 《ネタバレ》 
原作は短編も短編なので映画化に当って相当変更されていると予想していたが、割りと忠実にシンプルに仕上げている。鑑賞前は現代風の代表のような木村拓哉さんに時代劇なんて似合うはずがないと危惧していたがハウルに続いて健闘を見せている。そして作品そのものがキムタクナイズされている。重苦しくなってしまうところも時に喜劇調を織り交ぜ彼の特性を生かしながらも作風を損なわず融合させたのは見事だ。脇を固める登場人物たちも僅かな登場ながら強烈な印象を残す。剣術道場師範や医者などは物足りないと思うほどだが、主題はあくまで新之丞と加世と徳平の三人が成す家にあるからであろう。気に食わぬ仕事、切腹が待つ厳しい武家社会、冷たい親戚に囲まれながらもささやかで穏やかな幸せに価値を見出している。殊に印象深いのは加世が〝蛍はまだ出ていない〟と嘘をつくところで、しびれるものがある。しかし、思い込みかもしれないが若干気になるのは台詞が説明のように感じられるところ。活字ではない情報量の多い映像なれば必要以上の言葉は要らなかったと思う。ましておしゃべりは嫌いだとあれほど言っていたのだから。無言の中にというのが日本人の愛する奥ゆかしさだと認識しているのだが、もはや時代錯誤なのであろうか。日本人の一分はもうそんなところにはないのかもしれない。・・・・・・ところでシネコンで観たのだがチケット売り場で数人の子どもたちが〝たけしのいっぷん〟と笑いながら連呼していた。そんな映画があったら・・・ぜひ観たいゾ;。
[映画館(邦画)] 7点(2006-12-02 23:53:18)(良:1票)
19.  不思議惑星キン・ザ・ザ 《ネタバレ》 
クー、クークー!あっ、いかん、完全にキン・ザ・ザにはまってしまってキン・ザ・ザ星雲語?でレビューしそうになってしまいました。いや~当初はイタイ作品かと思っていたら最高じゃないですか。稀に理屈なしで無条件に好きになる作品がありますが、まさにそれですね。  キン・ザ・ザのデザインの秀逸なこと!これはちょっと天才入っていますよ。地球社会におけるお金のようにカツェ(マッチ)が全てであるのも笑えます。おじさんの〝地球では人の上下を見た感じで判断する〟という台詞がありますが、これも結局のところキン・ザ・ザと同じ事です。人種差別はもとより、人物情報が十分でない限り、どうしたって服装や身につけたもので判断します。そして基本的に身なりには財力が反映します。ステータスだとばかりにブランド品を纏う日本人には理解し易い事じゃないでしょうか。未開人めと罵倒するキン・ザ・ザの人々が愚かに見えるのは巡り巡って地球人に対する皮肉。それでも付き合っているうちに助けてあげたくなってしまい、植物にするのは酷だと抗議するのはやはり地球人擁護なんでしょうね。当時、多民族、社会主義国家であったソ連にとっては資本主義社会を描いた斬新な作品だったと思います。 ・・・ところで道端で回転ランプのついた車が通ったら「クー」やってみて誰かが「クー」って反応してくれたら相当嬉しいでしょうね。まぁ率先してクーする勇気は持ち合わせておりませんが…。最後になりましたがキン・ザ・ザに向けて一言。クー、クークー、クー!・・・・・・キューって言わないで下さい。賛辞なのですから。さすがに字面じゃ分らないですかね。だったら態度で示します。9点献上。だからキュー点じゃないって;。
[DVD(字幕)] 9点(2006-07-29 13:47:36)
20.  ブロークン・フラワーズ 《ネタバレ》 
刑事ナッシュもといドン・ジョンソンもといドン・ジョンストンは無気力、無口、無表情で劇中一切笑顔を見せなければ怒りもしない。さらに一財産築き昔はプレイボーイという設定。そんな捕らえ所の無いキャラクターだがビル・マーレー(最近どんどん良い俳優になってる!)が演じているせいか何処かトボケていて可笑しく、情けなくてそのうえ哀愁を感じさせる。作品自体も相変わらずのハイセンスさで、手紙のピンクの象徴が象徴を生み出し憶測が憶測を生んでいく母親探しもなかなか面白い。だが、映画はヒントを散りばめながらあらゆる答えを出さない。彼女のうちの誰の息子なのか、ただのイタズラだったのか、それとも思い出し忘れた別の女の息子なのか…。さらにサンドを奢った男が息子なのか、カルバンクラインのモデル風の男か、ジャージを着たむさい男か、それとも全く別にいるのかいないのか…。またドンは過去の栄光にすがるようにドン・ファンの映画を観ながらソファーでダラリのカウチポテト的生活から脱却できるのか…。そしてブロークン・フラワーズとは他人から見れば微妙な生活を送るドンの昔の彼女たちのことなのか、それともドン自身のことなのであろうか…。答え欲しがりの私としてはこの結末はハッキリ言って消化不良でないわけではない。しかしこの旅でドンはある意味彼女たちの〝過去〟(思い出)と〝未来〟(過去からの変化)と〝現在〟(現状)を目にしたとも思う。過去よりも未来よりも現在が大事だと悟る旅は自照の旅でもある。自分の人生、時の流れを我に返って感じさせる本作は観ると何だかとっても胸が詰まるのである。
[映画館(字幕)] 8点(2006-05-01 18:05:52)
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