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プロフィール
コメント数 2383
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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1.  ファイティング・ダディ 怒りの除雪車 《ネタバレ》 
リメイク版ではリーアム・ニーソンが起用されているそうだが、まさに北欧に生まれたリーアム・ニーソンともいうべき男ステラン・スカルスガルド。ぞのいかつい容貌には惚れ惚れさせられてしまいます、そういや本作では一切笑顔というか緩んだ表情を見せませんでしたね。まさにバイキング子孫の北欧男という感じなんですが、最近売り出し中の息子のビル・スカルスガルドが親父とは似ても似つかないラテン系の顔なのが不思議。 私が感じたのは、監督のこの映画での撮り方は北野武の風味が強いなということ。たしかにギャング同士の会話などにはタランティーノ風味もあるかもしれませんけど、場面転換や遠景に拘りを感じさせる景色の見せ方などは、北野武が撮ったと言っても違和感がないんじゃないですか。劇中で死人が出るたびに入る十字架と死者の名前のカットも、実にシュールで雰囲気があったなと思います。言われてみると「そうかな?」と納得はしますが、個人的にはこの映画が観終わるまでコメディだとは感じませんでした。でも観たときにはちょっと理解できなかったラストは、コメディとして観ればとてつもなくシュールなセンスですよね。 ノルウェーというととても民主的で平和な国というイメージがありましたが、当たり前ですがノルウェーにもギャングや反社がいるんですね、おまけにセルビア人マフィアも。あとノルウェー人がデンマーク人を嫌っていることも判りました(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2024-04-15 21:59:09)
2.  ブラック・スキャンダル 《ネタバレ》 
なんかとても既視感がある物語だというのが感想だが、そう、スコセッシの『ディパーテッド』が浮かんできたんだよね。実際のところどっちも舞台はボストン、『ディパーテッド』でジャック・ニコルソンが演じたフランク・コステロは、ジョニデが演じたバルチャーがモデルなんだとか。もちろん『ディパーテッド』はフィクションなんだけど、ノン・フィクションが原作の本作と較べても、良く出来た脚本だったなと思います。中盤でステーキのレシピをダシにしてFBI捜査官に因縁をつけるシーンは、これまた『グッドフェローズ』でジョー・ペシが見せる恐怖の因縁付けのもろパクりというかオマージュなんでちょっと呆れました。でも熱演だったことは評価せんといかんと判っているけど、ジョニデの禿げ頭ギャングはどうしても違和感があるんだよな。自分には、『パブリック・エネミーズ』も含めて彼のギャング役はどうしても馴染めないんだよな。本作での彼の役柄は、家族との絆は深いがただただ冷酷非情で陰険なギャングの親分、それも最後までチンピラ感が抜けないキャラでした。これじゃあ手下たちから裏切られて証言されてしまったのは、もう自業自得としか言いようがない最期でした。邦題を『ブラック・スキャンダル』とした意図には、ギャングの犯罪よりもFBIとギャングの癒着がこの映画のテーマだと解釈した結果だと思いますし、それは正解だったと自分は考えます。 事実を追っただけなのでしょうがなかったのかもしれませんが、決して後味が良くない陰惨な物語でした。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2023-09-11 21:39:09)
3.  プロミシング・ヤング・ウーマン 《ネタバレ》 
私はフェミニズムにも#MeTooにも正直言って関心は薄いけど、あのバカ医学生たちがやらかしたことは普通に弁解の余地がない立派な犯罪でしょ。その事件で親友ニーナが自殺してしまったキャリー・マリガンの復讐譚を見せられるわけですけど、彼女自身もやっぱおかしいんじゃないでしょうか。事件から7年たって、飲み屋で泥酔したふりをしてヤルことを目当てに声をかけてきた男たちを懲らしめるのが唯一の趣味みたいになっている、これじゃセルフ美人局ですよ(笑)。そんな彼女が医学部の同級生だったライアンと偶然再会してから親友が自殺に追い込まれた顛末がフラッシュバックの様に蘇ってきて亡きニーナに成り代わったように復讐に邁進し始める、でもニーナの母親が言った「前へ進んで、お願い、みんなのために…」という歎願がほんとは正論なのかもしれない。最初は学生時代の女友達や教授には嫌がらせみたいなレベルだったけど、この女も相当性格が悪い(笑)。それがライアンの秘密を知ってからはどんどんエスカレートしてゆき、自分にはちょっと衝撃的だったラストの展開になってゆくのです。 この映画で感情移入出来るキャラには巡り合わなかった気がするし、みんなクソみたいな連中で復讐は成就したと言ってもカタルシスはなくて正直言って後味はすごく悪い。でも後半の脚本の構成力はとくに秀逸、怒涛の展開は息を飲まされました。だいいちキャリー・マリガンが演じるヒロインの名前が“カサンドラ”というところからして意味深、性被害を訴えても男性優位の社会では信じてもらえない・相手にされなかったという悲劇を、ゼウスに呪いをかけられたギリシャ神話のカサンドラに重ねているような気がします。 どうしても意味が理解できなかったのは、途中からチャプター建ての様にシーン転換のカットにⅠ・Ⅲ・||||(何故かⅣではない)というローマ数字があるところで、最後にはその||||に斜線が入るんです。どなたかこの意図するところをご教授いただけませんかね?
[CS・衛星(字幕)] 7点(2023-06-15 23:15:05)
4.  ブレット・トレイン 《ネタバレ》 
恐るべきパラレル・ワールド、ニッポン!ここでは超豪華シンカンセン・ゆかりが東海道をリニア新幹線の様にぶとっばしている!でも東京駅を夜に出発して京都駅に着くころには夜が明けているけどね(笑)。ここは海外のサブカルマニアが妄想しているニッポンそのものって感じです。主演が日本カルチャー大好きなブラピを起用しているのは、さすが製作者たちは判ってらっしゃる、なんせ『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』のことをインタビューで熱く語る人ですからねえ(笑)。 伊坂幸太郎の小説が原作らしいけど、私は未読。でもこの列車に乗り込んでくる魑魅魍魎たちの関係が恐ろしいまでにややこしい。とくにホワイト・デス(マイケル・シャノン)長老(真田広之)殺し屋ウルフの三人もがかつて妻が殺されて復讐を企んでいてその回想シーンが挿入されてくるので、余計にストーリーを把握するのに苦労させられました。まあこの映画全編が伏線だらけみたいなものですから、最後に(けっこう強引だけど)綺麗に回収してくれたのは快感でしたけどね。京都についてからのブラピたちとホワイト・デス一味の対決が始まるともうほんとに何でもあり状態、新幹線同士がなぜか正面衝突までするという滅多に見れない光景まで拝めるんですからね。そんなカオスの中でも、狭い車内で見せる真田広之の刀裁きはさすがに見事でした。ラストでチラッと登場するサンドラ・ブロック、『ザ・ロストシティ』に続いてのブラピとの共演、でも『ザ・ロストシティ』とは逆で彼女の方がカメオ出演みたいな感じだったのが面白い。そしてなぜかノン・クレジット出演のチャニング・テイタム、あれはもう彼のパブリック・イメージを逆手にとったセルフ・パロディって感じですかね、そういやこの人も『ザ・ロストシティ』に出演していたなあ… 余談ですが、Bulletをブレットと表記するのはいかがなもんですかね、発音はどう聞いてもバレットなんですけど。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2023-05-13 23:44:35)
5.  プロデューサーズ(1968) 《ネタバレ》 
日本人にはいまいちウケが悪いけど、やはりメル・ブルックスはハリウッド・コメディの巨人だと間違いなく言えるでしょう。なんせ、アカデミー賞、エミー賞、トニー賞、グラミー賞を全て受賞するという偉業を成し遂げた人ですから。そんな彼の最高傑作はと問われれば、異論はあるかもしれないけどやはり『プロデューサーズ』じゃないかな(『ブレージング・サドルス』もいい勝負ですけどね)。ショー・ビジネス業界が舞台で意図して駄作を製作したのにどういうわけかヒットして製作者が窮地に陥る、というプロットはこの映画が始祖でその後さまざまなコメディに使われてウディ・アレンにも影響が感じられます。だいいち、その一晩で上演打ち切りになるはずの『ヒトラーの春』というミュージカルが、もうぶっ飛びすぎています。ナチスをコケにするのはブルックスのお家芸ですけど、ここまで吹っ切れてナチスの歴史を笑いものに出来たのは、ブルックスを始めゼロ・モステルやジーン・ワイルダーがユダヤ系だからでしょう。奇人変人しか登場しないうえに特に前半のゼロ・モステルの芝居はくどすぎてゲップが出そうですが、『ヒトラーの春』のオープニングを観たら劇中の観客と一緒でもう口あんぐりです。「これはきっとブロードウェイでヒットしたのを映画化したんだろうな」と思っていたら、なんと2001年が初の舞台化だったそうで、純粋なミュージカル映画である2005年版の方が『ヒトラーの春』をじっくり堪能できそうです。ショービジネスの世界は投資がモノを言うということを教えてくれた一編です。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2023-02-10 23:11:27)
6.  フォックスキャッチャー 《ネタバレ》 
ジョン・E・デュポンは明らかに母親には疎まれていたし、マーク・シュルツは兄に育てられた不幸だった家庭環境のせいで、自分を導いてくれる人間を常に求めている男。兄弟ともにとはいえオリンピック・レスリングの金メダルを獲得したスーパー・アスリートなのに、どこか自信なさげな表情が離れない男でもある。そんなマークとデュポンの出会いは、カルト教祖と信者のような関係の始まりだったと言えるでしょう。自家用ジェット機内でデュポンにコカインを勧められて戸惑いながらも手を出してしまったり、どんどんデュポンの領域にはまり込んでしまう。そんな二人の関係に結婚して穏やかな家庭を持つ兄デイヴが入り込んでくる。ある意味、これがマークを正気に戻してデュポン教から脱会することに繋がるけど、彼の身代わりになるかの様にデイヴがデュポンの沼に落ちてしまい悲劇的な結末を迎えることになる。 とまるで男同士の三角関係のような展開でもあるのですが、男同士が絡み合うレスリングがプロットなだけにホモセクシュアル的な雰囲気を感じる人もいたでしょう。また無音で暗転するシーンが多いのとロングで撮った引きの撮影が多いところもこの作品独特のリズムを形成しています。ベネット・ミラーはよく似たテイストの『カポーティ』を撮った人でもあり、暗い雰囲気の実話犯罪をモチーフにした映画は十八番なのかもしれません。スティーヴ・カレルとチャニング・テイタムの、全編を通してまったく笑顔を見せない演技も強烈な印象を与えてくれます。カレルに至ってはもう怪演と言える領域ですね。デュポンもそうですが、カーネギーやロックフェラーといったアメリカの古い財閥一族には、ジョン・E・デュポンの様な人間が存在する素地があるような気もします。 良く出来てると思うけど、観ていてほんと疲れたし万人にお奨めできる映画ではないかと思います。 観て気分が上がる要素は皆無でが、それでも俳優たちの濃い演技を堪能する愉しみはあったかと思います。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2022-10-22 22:20:10)
7.  プリズナーズ・オブ・ゴーストランド 《ネタバレ》 
日米映画界のヤバい奴二人、園子温とニコラス・ケイジがタッグを組むという異色の映画。話題になりそうな要素は十分だったのに、園子温が例の騒動を起こしてしまって世間から無視されてしまった感はあります。まあ映画自体の出来からいってもしょうがなかったかもしれませんけどね。 ストーリーの基本はファンタジー。いつの時代かどの国なのかは不明な世界にサムライ・タウンという町があり、そこはテキサスのおっさん風のガバナーと呼ばれる権力者が牛耳っています。まずこの町がまるで田舎の吉原みたいな江戸時代の宿場町風なのがぶっ飛んでいます。住民は江戸時代ぐらいの着物姿で皆キツネやひょっとこ風の能面をつけています、そして住民の半分は遊女です。そんな町にも銀行があって、そこに強盗に押し入って逮捕されるのがニコラス・ケイジ、“バンザイ”と叫びながら突入してくるのが可笑しい。収監されていたニコジーは、ガバナーから失踪した(逃げた)孫娘のバーニス(実は愛人)を自爆装置が付いたスーツを着せられ五日間のうちに連れ帰ることを命令されます。この町の外部はゴーストランドと呼ばれて下層民の一団(プリズナー)が廃墟みたいなところで生活していてバーニスもこの場所にいるわけですが、お話しはここから『マッドマックス』チックな展開となるわけです。 ニコジーの登場シーンからして褌一丁姿、なぜかママチャリを漕いで街から出てゆく、もうこの辺りから訳が判らん世界線です。実はこの映画はサムライ・タウンなどのセットには凝っているというかカネがかかっており、プリズナーの居住区なんかもかなり大掛かりな造りです。実はこの映画は園子温のフィルモグラフィ中でいちばんカネをかけてるんじゃないかと思います。この映画の設定というか世界観はシュールの極みで、好みが分かれるところでしょうが自分は好きです。というわけで好意的に観ていた自分でしたが、後半になってくるとストーリーが破綻というか訳わからなくなってきて、「やはりいつもの園子温映画だな」というのが感想です。この人の映画って、掴みはイイんだけどたいてい途中からグリップが効かなくなって暴走しちゃうんだよな。そういう意味では、やはり本作は典型的な彼の映画だと言えるでしょう。 とは言え園子温に思い通りにやらせるなら、ハリウッド映画の規模の方が彼の異能を活かせるんじゃないかとも思えてきました。ここしばらくは日本映画界での活動は厳しそうだから、いっそのことハリウッドに拠点を移しちゃえばとも思います。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2022-09-30 20:58:02)
8.  ファイナル・デッドサーキット 3D 《ネタバレ》 
久方ぶりに観返しいたしましたが、もうここまで来るとシリーズ三作目あたりと展開なんかほとんど一緒です。もう完全に製作陣も開き直っちゃったのか、サーキットでの惨事からは登場人物たちの細かい描写は一切なくひたすら順番に惨死してゆくのを見せるだけ、エンドロールを除いたら78分という尺はシリーズ最短じゃないでしょうか。死神代理人みたいなトニー・トッドは顔を出さないし、一作目から観ている自分みたいなファン(?)はいいとしても初めての人たちにはパラノイア見たいに順番に拘る死神さんには訳が判らなくなるでしょうね(シリーズを観続けてるこっちにしても理解不能ですけど)。3D化しておりシリーズ中もっともカネをかけたみたいで、各人の死にざまというか人体破壊はそのグロさはMAX、エスカレーターに巻き込まれて肉片と化すなんてよく考えつくなと感心すらしますが、これって中国で実際に起こった事故だそうです。でも主人公のお友達、筋肉バカのハント君の死にざまだけはもう笑うしかありません、あんなことってあり得ますかね?真空ポンプじゃないんだから(笑)。けっきょく死神さんもめんどくさくなったのか、前作に続いて中心キャラを三人まとめてラストで始末、トラックに押しつぶされる三人はレントゲン・スケルトン状態なので男女の区別もつかないけれど、わずかな時間差なんだろうけどやっぱ順番通りなんだろうね(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2022-02-28 20:29:12)
9.  ブリキの太鼓 《ネタバレ》 
この映画は、ダンツィヒ(現在はポーランド領グダニスク)という都市と20世紀初頭からのドイツとポーランドの関係について多少なりとも知識がないと見通すのが大変かもしれません。そしてブリキの太鼓・スカートの中・オスカルの超能力・小さい人々、など様々な何かを暗喩しているアイテムが散りばめられており、予備知識があればそれらの意味を推測する手がかりとなるのかもしれません。 思うにオスカルの母親アグネスこそが、ドイツ人のアルフレート、ポーランド人のヤン、ユダヤ人のマルクスに愛され、彼女こそがダンツィヒという都市を体現しているんじゃないかと思います。そのアグネスが産んだオスカルが実はヤンの子だということは、ドイツとポーランドの間で帰属が揺れ動いたダンツィヒの歴史の擬人化なんだと思います。今の眼で見ればさほど刺激は感じませんけど、なんか癖の強いエロティシズムが当時は衝撃的だったのは理解できます。オスカル役のダーヴィッド・ベネントがまた映画史に残る怪演子役で、とくにアンナとの絡みは北米で児童ポルノ認定されたってのも判らなくもないです。オスカルがサーカス団に加わって戦場慰問でフランスへ行くシークエンスには独特の味があり、そこで出会う団長べブラが私にとってはこの映画でもっとも印象深いキャラでした。彼こそが肉体的成長を止めたオスカルの完成形なのかもしれません。 二時間四十分のDC版での鑑賞でしたが、観終わってみて私の大好きなエミール・クストリッツァの『アンダーグラウンド』に似ている感じがしてなりませんでした。ユーゴスラヴィアという国家とダンツィヒという都市の違いはもちろんですけど、一つの共同体の崩壊というのは共通のテーマです。でもこの映画には『アンダーグラウンド』でクストリッツァが訴えた哀愁とノスタルジーは微塵もなく、時代に流されて消えてゆく人間像が前面に出ていたように感じます。これは監督シュレンドルフというか原作者ギュンター・グラスの個性なんでしょうね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-11-22 23:07:12)
10.  ファミリービジネス 《ネタバレ》 
大して年齢は変わらないし風貌も似ている要素は皆無だけど、さすが二大名優、こうやって丁寧に演技されるとちゃんと血が繋がっているように見えるんですよね、ショーン・コネリーとダスティン・ホフマンは。祖父がスコットランド人でシチリア系と結婚し、その息子がユダヤ系と結婚して妻の両親と過ぎ越しの祭りを祝うという風景は、NYではいかにもありそうな感じがしていいですね。葬儀ではアイルランド系が集まって“ダニーボーイ”を合唱するし、人種の坩堝と呼ばれる街ならではの風景です。でも肝心のストーリー展開が盛り上がらないんじゃ、どうしようもないかなと思いました。監督したのは名匠シドニー・ルメットなんですけど、彼に期待を寄せた人には肩透かしを喰らった感が強かったでしょうね。彼が撮ったクライム系の作品は、すべて犯罪は失敗して報いを受けるという結末なのが特徴。そういう意味ではモラリストだったんでしょうけど、そんなルメットにクライム・コメディ調の作品を撮らせたってのは、やはり失敗だったかなと思います。肝心の盗みのシークエンスが、隠されていた裏事情を含めて奇妙なほどに盛り上がらない。いくら親子三代の絆がメインテーマだよと言われても、“盗み”でワクワクさせてくれなきゃあかんですよ。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2021-08-09 22:44:41)
11.  プロフェシー/恐怖の予言 《ネタバレ》 
どうしてこうなっちゃったのかねえ・・・ジョン・フランケンハイマーは御贔屓の監督なんですけどねえ。 まあ一応は環境問題を裏テーマにしているけど、結局はモンスター映画にしたかったんだなってのは理解できます。でもこの二つの要素の繋がりがぎこちなくて、そこに先住民問題までぶっこんでいるからストーリーラインがもうグダグダ。誰が書いた脚本なの?って良く見るとそれはデヴィッド・セルツァー、『オーメン』のオリジナル・ストーリーを考えた人ってことでちょっと有名ですけど、『嵐の中で輝いて』でしっかりラジー監督賞と脚本賞も頂いたちょっと酸っぱい人です。タリア・シャイアの妊娠、怪しい雰囲気の先住民の長老、ランボーのような存在かと思いきや大して活躍もせずに死んじゃうアーマンド・アサンテ、これらは伏線となるのが普通の映画ですけど、そもそも伏線を張る気もないのでとうぜん回収もされずに投げやりとしか受け取れない雑なストーリーテリングです。水俣病まで持ち出して来てメチル水銀中毒の恐ろしさを強調しますが、いくら妊婦でも一回汚染された鮭を食したぐらいで胎児に異常が出るわけはないでしょ。そして“カターディン”とかいうらしいドロドロのクマちゃん、ほんと単なる血まみれのクマにしか見えずセンス・オブ・ワンダーにかけること甚だしい、これじゃあ盛り上がりませんよ。 フランケンハイマーはこの後にも『D.N.A./ドクター・モローの島』で自らのキャリアに泥を塗りたくる大失敗をしでかすのですが、SF・モンスター系は彼には鬼門だったと言えるでしょう。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2021-06-24 22:52:29)
12.  フィツカラルド 《ネタバレ》 
ほとんど誇大妄想狂の男が妄想した夢を追い求める物語を、狂ってるとしか言いようがない監督が間違いなくあっちの世界に片足を踏み込んでいる俳優を使ってこの世に残した奇跡の一編です。ご存じ、ヴェルナー・ヘルツォークとクラウス・キンスキーの最凶コンビの『アギーレ/神の怒り』以来のアマゾン秘境ものですが、クラキンとコンビ再結成するまでにはやはりいろいろあったみたいです。当初は主役がなんとジャック・ニコルソンで企画が始まったのにビビったニコルソンに逃げられ、ジェイソン・ロバーズを主役に迎えて撮影開始したのは良いが彼はロケ地で赤痢に罹って降板、困ったヘルツォークが嫌々ながら起用したのが因縁深いクラキンだったというわけ、しかしオファー受ける方もやっぱどうかしています(笑)。  しかしこんな突拍子もないストーリーを考えつき、実際に映画化しちゃうヘルツォークがいちばんの狂人で、フィッツカラルドはまさに彼の分身だと言えるでしょう。とにかくあの船に山越えさせるシークエンスの映像は、素手だけで山を切り拓く土木工事のドキュメンタリーを見せられている錯覚にすら陥りました。そしてジリジリと斜面を登ってゆく船、これはとんでもない映像を見せられてるんだと自覚させられました。何百人もいたんじゃないかと思える先住人のエキストラも、現代に同じような撮影をしたら人道問題で炎上必至でしょう。船が急流を流されてゆく映像も危険極まりない撮影ですが、『アギーレ/神の怒り』で筏に俳優を載せて急流下りをさせたヘルツォークですから、「今度はボロとはいえちゃんとした船だから、ヘッチャラでしょ」と感覚がマヒしていたのかも(笑)。 そして意外だったのは、このストーリーがハッピーエンドで幕を閉じたことでした。船上でのクラキンが見せる爽やかな笑顔は、最高の表情です。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2021-06-21 22:10:20)
13.  深く静かに潜航せよ 《ネタバレ》 
『Uボート』登場以前に製作された潜水艦映画の中ではかなりの良作、まるで『白鯨』のパロディのような荒唐無稽な展開ではあるが、ロバート・ワイズが職人の腕で見どころのある作品に仕上げています。 海軍全面協力でガトー級潜水艦の実物が使われて、意外と高速で海上を疾走する姿や内部の細かいメカなんかも丹念に見せてくれます。このクラスはとっくに米海軍では現役引退した骨とう品ですけど、他国では戦後に供与されたまだ第一線で配備されていたころですね。船員室や食堂などが狭いながらもきちんと整備されていて、さすがUSネイヴィー、同時期のUボートや伊号潜水艦とはえらい違いです。そして日本じゃどうあがいてもモノにできなかったレーダーを装備、波間に先っぽだけ出ている潜望鏡でも探知できたっていうから、そりゃ日本が勝てるわけありません。対する帝国海軍の駆逐艦アキカゼ、豊後水道で米潜を四隻屠ったという触れ込みですが、VFX用プロップなのに艦影がフレッチャー級駆逐艦と同一なのはお粗末。またソナーで米潜を追い詰めますけど、情けないことに帝国海軍には水中聴音機しかなく最後までソナーを開発できなかったというのが史実です。だいいち、直進してくる駆逐艦のような細い船体に真正面から魚雷を発射しても、相手が進路を変えない限りまず命中しないし、命中しても角度が浅すぎて魚雷が弾かれてしまう確率が高い。つまりクラーク・ゲイブルの必殺技は昔の少年漫画に出てくるようなレベルのお話しなんですが、それをここまで説得力あるというかもっともらしいお話しにできたのは、ひとえにロバート・ワイズの力量の賜物と言えるでしょう。人間ドラマとしては艦長と副長の対立という『ケイン号の叛乱』に通じる緊迫感があるテーマですけど、なんかゲイブルは意外とまともでランカスターもほとんど艦長に逆らわないし、拍子抜けさせられた次第です。そしてなんか物足りないなと感じてましたが、本作だけでなくハリウッド製の潜水艦映画には潜水艦特有の密室性や閉塞感が感じられないんですね。それもお国柄かな?
[CS・衛星(字幕)] 6点(2021-06-06 22:32:37)
14.  ブラック・クランズマン 《ネタバレ》 
黒人刑事が主人公という共通点から『インサイド・マン』の様なポップでコメディ的な要素がある物語だろうと思って観始めたら、冒頭の活動家がアジ演説するシーンの撮り方や、終盤でハリー・べラフォンテの昔語りトークをKKK首領の演説とカットバックさせて見せるなど、これはちょっと自分が期待していたストーリーテリングじゃないなと嫌でも気づかされました。合衆国の人種対立を扇動的とすら捉え兼ねない作風で撮っていた昔のスパイク・リーに戻った感すらあります。それだけトランプ大統領という存在に怒りと危機感を持っていたってことでしょう。小中学生でもなければ大抵の人はKKK首領のデュークがトランプのカリカチュアの役目を果たしていることは理解できるでしょうが、ラストの実写フィルムでトランプ本人を出しちゃったらあまりにイデオロギー色が強くなりすぎて逆効果だった気がします。 潜入刑事ものとしては、お約束のドキドキ・サスペンスは効果的に織り込まれています。でも、アダム・ドライヴァーがポリグラフにかけられそうになるところやKKKの構成員が黒人刑事の自宅を訪ねてくるところなんかは、あれで切り抜けちゃうなんてちょっと雑な脚本構成だと思わざるを得ません。また、白人は概していわゆるホワイト・トラッシュの低レベルなキャラで、対する黒人登場人物たちは大学生などのインテリや善良なキャラばかりというのも、ちょっと型にはまり過ぎている感があります。人種差別問題を“ブラック・パワーvsホワイト・パワー”という視点に持ってゆきたいという意図も感じましたが、なんか単純すぎるように感じました。 ラストはハッピーエンドとはほど遠いカタルシスのない幕の閉じ方でしたが、これはスパイク・リー映画の持ち味でもあるので我慢しましょう。最後の実写フィルムを見せられると、50年以上経っているのにアメリカ社会は全然進歩していないことに愕然とさせられます。先般の大統領選挙の結果を見ますと、トランプは敗れたといえ国民の半数近くが隠れKKKメンバーになってしまったような感じがします。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-04-18 23:47:36)
15.  ブレードランナー 2049 《ネタバレ》 
そうか、SF三大ブラック企業の雄タイレル社は倒産しちまったか、でも『エイリアン』のウェイランド湯谷や『バイオハザード』のアンブレラと比べるとそれでもタイレルにはまともなところもあった様な気がしますが、その後釜にはウォレス社というはるかにブラックな企業が収まっていて、新御三家の誕生です(笑)。 80年代SFをリードした映画群の中で唯一シリーズ化されなかった『ブレードランナー』にもついに続編が登場というわけです。どういう展開なんだろうと恐る恐る観てみましたが、レイチェルがデッカードの子供を妊娠・出産とは予想をはるかに超えた展開でした。まさかレプリカントが妊娠できるなんて、こうなってくると人間とレプリカントの違いは何なのかという素朴な疑問に行き着きます。そしてAIのジョイが加わってきて、本作はまさに人間・レプリカント・AIの境界線はどこにあるのかという実存的不安がテーマだともいえるんじゃないでしょうか。あ、それから、デッカードは爺さんになって登場しますから、一部のファンの中で燻っていた“デッカード・レプリカント説は”公式に否定されたってことになりますね。老人ホームで余生を過ごすガフも姿を見せてくれてあの折り紙を相変わらず造ってましたが、エドワード・ジェームズ・オルモスもほんと老けましたね。新ブレードランナーであるライアン・ゴズリングもそれなりに雰囲気は出てましたけど、この人はシリアスな作品に出てくるとどれも同じような演技パターンなので、自分としてはちょっと食傷気味です。 “レイチェルの産んだ子は実はあの人だった…”という幕の引き方は正直上手いと思いました。けどレプリカントの抵抗軍みたいな連中が登場してくると『猿の惑星』や『ハンガーゲーム』みたいな最近流行の“抵抗もの”みたいな安っぽい話しになるのかとガックリきました。しかもあの終わり方からすると、レプリカント抵抗軍を前面に持ってくる続編を撮る気なんじゃないかとゾッとしてしまいます。頼むからもう止めてくれ・・・
[CS・衛星(字幕)] 6点(2021-02-27 22:35:07)
16.  フォードvsフェラーリ 《ネタバレ》 
確かにこの映画は『フォードvsフェラーリ』というタイトルにしてはフェラーリ側からの視点は無いに等しい、しいて言えば『フォードvsシェルビー&マイルズ』とするのが正しいんじゃないでしょうか。アメリカ人ならともかく、普通はカネは唸るほどある大資本フォードじゃなく、職人気質に徹して高級車一本路線のフェラーリの方を応援するでしょう。それではストーリーの前提からして成り立たないので、やはり職人とレース馬鹿のシェルビーとマイルズとフォードのエスタブリッシュメントとの対立という構図の脚本というありふれたストーリーラインになってしまったのはやむを得なかったかもしれません。この映画での66年のル・マンは主題ではなくいわば舞台装置なので、ル・マンの持つ独特の雰囲気を味わいたいのなら、やはりマックイーンの『栄光のル・マン』がお奨めです。 それにしてもクリスチャン・ベイルの役作りと演技は相変わらず凄いですね。『バイス』のチェイニー副大統領と同一人物とはとても信じられません。ケン・マイルズに成りきるためにまたまたデ・ニーロ・アプローチでなんと30キロ減量したそうです。あんたねえ、『バイス』できつい思いして「肉体改造はもうやめると」言ってたのに、こんなこと続けたら寿命がすり減りますよ…
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-12-09 22:15:02)
17.  フォーカス(2015) 《ネタバレ》 
観てて特に退屈はしないけどなんか物足りないんですよね、これはウィル・スミスが主演の映画に私が共通して抱く感想でもありますけど。本作でも「俺ウィル・スミス、なんか文句あっか!」てな感じの存在感ばかりが目立って、とても腕利きの詐欺師には見えない。前半はフットボール場の賭けを含めて(もっともこれは詐欺と言えるのか?)騙されっぱなしだけど、スミスの騙す演技と素の状態の演技がほとんど一緒なので(監督はこれがコン・ゲーム映画のストーリーを際立たせると思っているみたいだけど、それはどうかな?)イマイチ観てる方としては乗り切れない。そして後半になるとガラッと趣が変わる感じですが、まさか最後のオチがオスカー受賞したあの名作コン・ゲーム映画の再利用とは驚きでした。マーゴット・ロビーの女スリのキャラも謎めいて引っ張ろうとする演出でしたが、まさか単なるバカだったというのはサプライズ。でもねえ、ウィル・スミス、あんなことされちゃあ普通死ぬでしょ(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2020-07-27 21:32:53)
18.  プレデターズ(2010) 《ネタバレ》 
そんなに数をこなしたわけではないけれど、今まで観たプレデター派生作品の中では、いちばん観れたという感じがします。 それまでシュワちゃんやらダニー・グローヴァ―といった人間離れしたキャラが主人公だったところに、優男キャラ専門かと思っていたエイドリアン・ブロディを引っ張ってきたのが最大のサプライズかな。それでもハードボイルドなキャラはそれなりに嵌っていたし、なにより、役作りで鍛えたんでしょうけど筋肉ムキムキの上半身は驚きました。他の七人の猛者はそれぞれが王道のキャラ付けなのですが、やはり登場するなり靴をぬいで裸足になったヤクザ・ハンゾーがインプレッションが強いですよね。途中で都合よく日本刀を見つけてプレデターと真剣決闘をするところなんか侍と極道を混同してるんじゃないかとお叱りも受けていますが、ロバート・ロドリゲスがプロデューサーですからこれは確信犯だとお見受けします。考えてみればこの映画に登場するプレデターの数はは人間より少なかったような気がしますし、『プレデターズ』とは実は登場する八人の人類のことだったんじゃないかと思います。 何のために出演したのか意味不明のローレンス・フィッシュバーンや、プレデターと話をつけて宇宙船を操縦させて脱出(しかも大失敗)というトンデモな作戦などツッコミどころも当然あります。でも脱出作戦はすべて水泡に帰して状況は絶望的なのに前向きなセリフで閉めるブロディには、なんかカッコよさを感じてしまった自分でした。あの二人には、フィッシュバーンがうちた立てた前人未到の10シーズン・サバイブの記録を破ることを期待します。 どうしても気になるところ:フィッシュバーンがブロディたちを殺そうとしたのは、食料として活用するのが本当の目的だったのでは…肉なんてハリネズミ風猟犬ぐらいしか見当たらない土地なのに、あんなに肉付きが良いガタイなのはヘンだ(恐)。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-03-23 23:28:04)(良:1票)
19.  復活の日 《ネタバレ》 
自分は80年代の邦画の質が下落したのは角川映画と、「とりあえず監督は深作欣二」という安易な風潮が映画界に蔓延したことが原因だと思っています。たしかに70年代後半から80年代にかけての深作欣二のフィルモグラフィは、アクション時代劇からSFまでないのは恋愛映画ぐらいのなんでもあり状態、まるで60年代のロバート・ワイズみたいな感じでしょう。でもワイズと違ってSFに関しては惨憺たる出来で、このジャンルを彼は根本的に理解していなかったとしか言いようがないです。 原作は小松左京で、彼のSF長編第一作目になります。もちろん『日本沈没』より前の作品で、分量としては『日本沈没』の半分もいかない小説ですが比べ物にならないほど雑な作品です。原作の九割は謎のウィルスによって人類がほぼ滅亡するまでのお話しで、映画で半分を占める南極に残った人々のストーリーはほとんどエピローグのような語り口になています。映像としては人類が滅亡するまでの過程を丹念に見せるのが醍醐味なのに、やたらテロップとニュース映像を多用していて、深作欣二はそこから完全に逃げたって感が強いです。当然のことですが映画の後半部分の脚本はかなり書き込まれたものとなっています。草刈正雄たちがワシントンに到着した途端に地震が起きたり、相互確証破壊システムによって発射された核兵器の放射能がウィルスを無力化させたり、なんかご都合主義が鼻白みますがこれは原作通りなので大目に見てやって下さい(原作では、発射されたのは中性子爆弾が多数を占めていたので、放出された中性子がウィルスを変化させたが地球の大気には放射能と違って残存しなかった、という映画以上のご都合主義です)。南極の人々の関心はいかにして人類を存続させるのかということに集中しているようになっていますが、男女比が百対一では鼠じゃないのだからもうアウトでしょ。南極社会は完全に一妻多夫制になってしまうわけですが、この「産めよ増やせよ」状態は現在の世相では炎上間違いなしでしょう。 カネを積んだことが判るのはオリビア・ハッセ―を始めとする渋いハリウッド俳優たちで、まあ彼らもプロですから最低限の仕事はしましたって感じですかね。もっと凄いのは実際にチリの潜水艦をチャーターしたり南極でロケしたりしているところでしょう。マチュピチュにまで足を運んでロケしたりここまで来ると木村大作カメラマンの単なる暴走と言えなくもない。雄大な風景を「どうだ、凄いだろう」とドヤ顔で見せることに費用をかけるなら、もうちょっと脚本をしっかりさせて欲しかったですね。
[映画館(邦画)] 4点(2019-12-13 23:54:28)(良:1票)
20.  ブラニガン 《ネタバレ》 
『マックQ』の続編かと思いきや、主演が刑事でジョン・ウェインということ以外は共通点はなく、役名もジェームズ・ブラニガン(あとアイルランド系であるという設定はお約束です)。勤務地もシアトルからシカゴになっていますけど、二作とも当時の刑事もの映画で定番だったNYを舞台にしていないのは、ジョン・ウェインのNY嫌いが反映しているのかな? 『マックQ』の翌年の製作なのに、ジョン・ウェインはやけに老けて衰えた感じは濃厚でした。この映画は『ブラック・レイン』や『レッド・ブル』などの刑事バディ+異文化衝突パターンの元祖みたいなものです。ロンドンでブラニガンとはからずもコンビみたいな関係になるのがリチャード・アッテンボローで、チビの世襲貴族の警視と大男のシカゴ刑事の凸凹コンビはいい味出していました。軽いコメディタッチのストーリー・テリングも軽快で、ジョン・ウェインも刑事役二作目で肩の力が抜けてきた印象です。監督はというと、英国ノワールの快作『電撃脱獄・地獄のターゲット』のダグラス・ヒコックスじゃないですか、どおりでブラニガンを狙う殺し屋がモーゼル・ミリタリーを使ってたわけです、この監督はほんとモーゼル・マニアですね。刑事ものは悪役に魅力があるかが評価のポイントの一つだと思いますが、悪徳弁護士を演じたメル・ファーラーが実にいい味を出していました、さすが名優です。 ジョン・ウェインの人生はこの後5年足らずで、ほとんど遺作に近い本作で刑事役は終わりました。もし彼の刑事役挑戦が10年いや5年でも早かったら面白い刑事ドラマの連作が残せたかもしれません。この映画の様に一作ごとに勤務地や役名を変え、ジョン・ウェインのキャラがアイルランド系大男の刑事という設定にしていたら面白かったでしょうね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2019-11-29 23:22:09)
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