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1.  PLAN 75 《ネタバレ》 
想像した通り『世にも奇妙な物語』みたいな近未来SF映画でした。 冒頭の、保険に加入するみたいにPLAN75を検討して契約するお婆さんがリアル。 最初の老人施設襲撃事件に、老人ホーム入口の厳重なボディチェックが示すように、高齢者を守ることにお金も人も掛けなければいけないタテマエと、PLAN75の法案を通してしまうホンネ。結局、異口同音に『ジジババは早く死ね』って言ってる。 それだけ余裕のなくなった未来社会を描いたSFだけど、ミチの家の台所には'80年代が全盛期だった、チャーミーグリーンっぽいのと粉末クレンザーっぽい懐かしい洗剤。PLAN75の存在以外は全部今の時代と一緒。  ミチのような高齢者は、生き続けるためには78歳になっても働かなきゃいけない。働く=世の中の役に立たなきゃいけない。役に立たないなら世の中から必要とされなくなる。だったら死ぬしかないよね。って、自分で選んで結論を出したように誘導させる恐ろしい社会。 世の中の役に立たない高齢者が沢山居る社会は、実は豊かで余裕のある社会なんだろうなと思い知らされる。今後の高齢化社会を心配している日本って、やっぱり豊かなんだなぁ。 死を選んだミチが、最後の施設で薬や水を渡す若い職員に、いちいちお礼を言う姿がとても日本人らしい。ミチさん、この若い人たちの未来のために、自分の死を選んだんだよ?なんでお礼言うの?お礼言うのは職員の方でしょ?なんて思ってしまう。 最後、ミチは自ら死ぬのを止めたんだと思った。けどwiki見ると手違いでガスが出なかったって、そうだったんだ。ちょっと伝わりにくい。  年寄りの話をよく話を聞いてくれる優しいオペレーターは、PLAN75を選んだ老人が心変わりしないよう誘導するのが仕事。 他の人と一緒に埋葬された方が寂しくないという方も…と勧めていた職員。合同プランの行き着く先は産廃ゴミ。 ボウリング場でミチのストライクに一緒に喜ぶ若者たち。そうなんだよな、こんな社会になって困ってるのは政府の方で、若者たちじゃないんだよな。 政策や社会が優しい言葉で『ジジババは早く死ね』って言ったとしても、私も一緒になって声を荒げるのは、避けたいな。…あ、私ももうすぐアッチ側か。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2024-04-25 15:38:56)《新規》
2.  プレデター 《ネタバレ》 
“PREDATOR”『捕食者』これは良いタイトル。地球上の食物連鎖の頂点と言える人間。ただし道具(武器)を使うことが前提なんだけど、それを上回る地球外の知的生命体との戦い。 そして最後は人類最強の男(シュワルツェネッガー)と生身でぶつかり合う。アツい。夏向きのアクション映画ですね。  学生当時、友達の家の映画鑑賞会で観ました。みんなでワイワイ「シュワにアポロに安岡力也に宍戸錠。マルシアも出てくるぞ」なんて楽しんでましたよ。ただ対ゲリラ・パートは結構グロいんですよね。まだホラー耐性の弱い私は、最後まで観られるか、正直自信が無かったです。 で、最初にあのモザイク宇宙人を観た感想は『ショボ…』でした。でも今思うと、凄く良く出来てました。まだ攻殻の熱光学迷彩が世に出る前。しかもCG全盛になる前の時代。特撮であの光学迷彩を表現してたって思うと、時代を先取りしててスゴいの一言。 そして河童のようなアーマー姿に『・・・弱そう』。う~ん…当時のSFだから、こんなモンかって思ってました。で、マスクを取った姿に『ウゲッ!グロ!キモッ!!』って。 あのグロい顔の造形も素晴らしく、映画の宇宙人キャラの中でも、かなり知名度高いんじゃないかしら?エイリアンに匹敵する造形だと思います。  凄くシンプルなストーリーも好感度高いです。シンプルなんだけど、実は最初要人の救助のハズが、ゲリラ殲滅&機密情報の奪取になり、何故か謎の襲撃者からの脱出劇と2転3転してます。いま同じ内容で映画を作ると、回りくどい説明とか伏線とかが入ったりして上映時間が長くなりそうですね。 特殊部隊員はキン肉マンばっかり。ジャングルを行軍するにはカロリー消費量とスタミナ面が心配になるけど、冒頭のダッチとディロンのアツい握手でリアリティなんてアッサリ吹き飛びます。 「血が流れるなら殺せる」「銃を持ったものから先に殺す!」「(泥で)見えないんだ」こんなセリフからもシンプルに観せる工夫が感じられます。  ヘリでジャングルを後にするダッチのエンディング。アンナその後どうなった?とかプレデターの正体とか全無視のとってもシンプルな終わり方。これはオープニングで宇宙船からジャングルに射出されるプレデターと対になってます(※ダッチ達もOPで、ヘリでジャングルに来ますね)。ジャングルというリングで、勝者のみがリングを後にする。みたいな。 ほんとね、こういうので良いんだよって言いたくなるアクション映画。
[ビデオ(字幕)] 7点(2023-08-02 23:18:39)
3.  フェア・ゲーム(2010) 《ネタバレ》 
“FAIR GAME”『恰好の的』。なんか1995年の方の映画だと思ってました。 イラクは大量破壊兵器を保有しているから、世界平和のためにぶっ潰す。なんかもう無茶苦茶だなアメリカって、開戦当時思ったモンです。 私にとってリアルタイムの戦争だった湾岸戦争。その想像してたのとぜんぜん違う“実際の戦争”。アメリカを中心とした多国籍軍の最新兵器の前に、開戦直後からタコ殴りにされていたイラク。そんなイラクが終戦から僅か10年ほどで、世界を脅かす大量破壊兵器を保有なんて、まるで輩がイチャモンつけてるようにしか思えませんでした。  ニジェールから500トンものウランと、中国から6万本のアルミ管を輸入したっぽい?ホラやっぱり、アメリカにもマトモな人がいて、兵器製造なんて否定してる。でもリビー補佐官のような結論ありきな人間に握りつぶされる。はい開戦。ホントに輩のイチャモンだったなんて…  突然CIA工作員だと暴露されたヴァル。まるで無一文・真っ裸で日常生活に放り投げられるような恐怖。バリバリ働く奥さんと仕事の少ない夫だったのが、暴露以降、水を得た魚のように闘うジョーが頼もしい。それにも増して、普通の医者なのにスパイさせられて、とかげの尻尾切りされたハッサン先生とお兄さんたち科学者家族が可哀想過ぎる。 戦争のきっかけとなったブッシュの一般教書発言は知らないけど、妻のヴァレリー・プレイムの名前は知っている。情報操作は都合の悪い真実から目を背け、力を奪われた弱者を恰好の的とする。それは工作員だと暴露されたヴァルであったり、敗戦からインフラ整備すらままならない状態のイラクであったり。
[インターネット(字幕)] 6点(2023-05-12 01:57:39)
4.  ブレードランナー 2049 《ネタバレ》 
前作から30年後(現実世界ではナント35年後)の世界。ネクサスも6型から9型の時代に。あの退廃した世界観を継承した、外伝的な作品だと思っていました。 レプリのK(=ジョー)とAIのジョイ。これがロボット同士とかアンドロイド同士の恋愛とかなら想像の範囲でしたが、それぞれ別な目的で人間に尽くすために造られた2人の、2人だけの世界。ある意味可愛らしいバーチャルな恋愛がとても興味深かったです。ずっとこの路線で行ってくれてよかったと思ったんだけど…  デッカードが出てくる辺りから、なんか話が前作の“単なる後日談”になってしまったような、せっかく広がった世界観がちっちゃくなってしまったような、ジョーとジョイの恋愛がオマケになってしまったような、そんな印象を持ちました。レイチェルのコピーが当時の髪型と格好そのまんまで出てくるのなんか、ファンサービスのハズなんだろうけど、この映画の主人公ってジョーとデッカードのどっちなんだろう?って思ってしまいました。ガフは嬉しかったけど。 レプリは歳を取らない=デッカードは人間。という解釈で良いのかな。ジョーの出生。2021.6.10と掘られたの木馬。今から28年前って事になるけど、このミスリードも、ジョーの見た目年齢が28歳位の時にレイチェルの遺骨を発見するよう仕組まれていたんだろうか? 前作を踏襲しているのか、ロイ同様にデッカードを“生かす”ジョー。ホントどっちが主役だろう。  中盤からの登場ながら、最後まで物語の中心人物だったデッカード。当時のハリソン・フォードはシリーズ物の復刻版に引っ張りだこで、クリスタル・スカル、フォースの覚醒と、全盛期さながらにグイグイ前に出てきてたっけ。だけどこのブレードランナーのデッカードは、もうちょい控えめなポジションでも、良かったかもしれません。 私は前作のロイたちレプリの脱走事件って、あの時代では良くある事件だったと思ってます。もちろんタイレルの社長と、その右腕とも言えるセバスチャンが殺されてるから、結構大きな事件かもだけど、ブレードランナーって職業が認知されるくらいには、レプリの脱走事件は頻発していたと。 事件の背後でデッカードとレイチェルがコソッと逃げて、警察に追われることもなく、人知れず幸せに暮らしましたとさ。って、そんな小さな愛の物語がブレードランナーだったって思うからでしょうか。 だからこそ本作では、ジョーとジョイの、小さな愛の新たな物語が一番興味があったんだけどね。そこにスポットを当ててこそ、ブレードランナーの続編なんじゃないかな?って。
[ブルーレイ(字幕)] 6点(2023-05-11 23:39:07)
5.  ブレードランナー/ディレクターズカット<最終版> 《ネタバレ》 
~『ブレードランナー』の続き~ 「(同じ作品のレビューは)2つで充分ですよ~解って下さいよ~」ってことで、最近DVDで買ったのが〈最終盤〉と書いてました。  良く解らない『フォークト=カンプフ検査』。裏返しの亀とか茹でた犬とか突然のインパクトある言葉から、人間でも絶句してしまうけど、レプリはそれ以外の反応が出るんだろうな。何度観ても良く解らない。 今さらながら“赤目”に気がついた。レプリは角度によって目が赤目現象になるのね。きっと撮影の時、赤目になる照明に視線の角度を合わせて撮っただろうから、偶然の産物ではなく、故意に赤目にしてたんだろう。 「(俺じゃない)誰かが追うだろう」ってセリフの時にデッカードも赤目になる。こっちは偶然だったろうけど、ここからデッカードもレプリって後付(ウラ)設定も出来たんだろうな。原作も読んだけど、ネットが普及するまで、そんな設定思いも付かなかったわ。  非武装のゾーラ(女)を背後から撃つデッカードと、それを観て驚きと怒りを表すレオン。撃たれて苦しむプリスにとどめを刺して、苦悶の表情のままのプリスを放置するデッカードと、キスをしてプリスの舌を納めるロイ。感情豊かなレプリに対し、人間味の薄いデッカード。透明な酒(チンタオ)を濁す赤い血が、彼が人間である証明とでも言わんばかり。過去が造り物と知り涙するレイチェルに対しては人間臭さを見せるデッカード。  寿命が来て静かに死んでいくロイ。手には釘(痛み、争い)と白い鳩(平和、自由)。鳩の側でなく釘の側の手でデッカードを引き上げる。ロイの遺言、自分の生きた証を、自分達を創り出した人間に語ったのか、自分達とは違う寿命のない新型レプリに語ったのかで、解釈も変わってくる。私はデッカードは人間であってほしいと思うなぁ。 一番最後のドライブのシーンがない。重たい空ばかりの未来映像のなか、開放感ある最後のあのシーンが、この映画の清涼剤として機能していたんだな。って思ったわ。だからたぶんDVD買い直すわ。その際未見の〈FC版〉にしようか迷うところだけど…
[DVD(字幕)] 8点(2023-05-06 14:36:52)
6.  ブレードランナー 《ネタバレ》 
“Blade Runner”レプリカントを処分する職業の名称なんだけど、なんか『非合法な医療器具(メスとか)の運び屋』って意味の小説タイトルから拝借したそうな。医者(警官)じゃないけどガン細胞(レプリ)を見つけて切り取る(処分する)仕事。ってニュアンスだろうか?  初見はサイバーパンク目覚ましい'80年代後半。近未来リアルSFの金字塔として超有名な本作。ターミネーターみたいな派手なSFだと思っていたのが、思いのほか静かな映画で驚いた。近未来が舞台のハードボイルド映画なんて想像してたのとあまりに違った。 火を吹き上げる工場の煙突。薄暗いモヤモヤの空(光化学スモッグ?)。身体に悪そうな雨(酸性雨?)。空飛ぶパトカー。動く写真。奥行きのある写真。ウロコに書かれた製造番号。大画面で映される芸者風の女性。強力ワカモトがコカコーラと同等に映される。ゴルフ用品?怪しい日本語表記。中国っぽい自転車の行列。ネオンの「ジッジッ」って音。傘の柄にもネオン。箸で器用にうどんを食べるハリソン・フォード…これこそ私達の近未来。  和洋中ごちゃ混ぜな世界観。'70年代まで主流だった便利で明るい未来とは別な、退廃的な未来像。漠然とした不安を感じさせる世紀末以降の世界として、どこか説得力と力強さがあった。あの時代によくこんなワケ解んない世界を映像化したよ。凄いよリドリー・スコット。 そうそうレイチェルの凄い髪型。あれってきっと芸者の日本髪から着想したんだろうな。物凄い肩パットとともにレトロ感を感じさせるようになってしまった。もちろんあの凄い髪型から、どうやったか謎だけどウェービーな下ろし髪にした際の可愛さアップにホッとしてしまう。  舞台は2019年11月。いつの間にか現実が近未来を追い越してしまった。サイバーパンク世界の時代はついに来ること無く、ブレードランナーですら過去の物語になってしまっていたわ。 色々なバージョンが有るこの作品だけど、私が当時何回も繰り返し観ていたのは、レイチェルの寿命について説明のあるバージョン。ビデオには“完全版”って書いてあった気がしたけど、多分こっち。 いわゆる“完全版”も、どこかで観た気がするんだけどなぁ。  ~『ブレードランナー/ディレクターズカット<最終版> 』へ~
[ビデオ(字幕)] 9点(2023-05-06 14:34:00)
7.  ブルース・ブラザース 《ネタバレ》 
“The Blues Brothers”『ザ』を抜いてます。邦題ではジェイクとエルウッド兄弟を。原題では架空のバンド名を表しているんでしょう。 テレビ番組のバンドが人気になって映画になって…って、ポケビやピコ太郎が映画になったようなイメージだったのかなぁ?この映画以外でザ・ブルース・ブラザーズ・バンドを観る機会って無かったから。でもUSAフォーアフリカでダン・エイクロイドが参加してるのが不思議だったけど、このバンドがあったから。なんだろうなぁ。でもエルウッドでなくダン・エイクロイドだし、格好も黒ずくめでなく普通なのは、飢餓救済の真面目な取り組みだったからかな。  私が映画に興味を持った頃、E.T.なんかと並んでビデオ化されていない人気作品の一つとして知名度が高く、そんな本作がいよいよビデオ化、レンタル化しますよって時は、すごくワクワクしたのを思い出します。 ただテレビで放送していたのを先に観た記憶も有って、確かネオナチのエピソードがばっさりカットされていて、最後の大ジャンプのシーンだけ急にナチが出てきて、???この人達だれ?ってなった思い出もあるから…初見の記憶はちょっと曖昧です。  期待したほど盛り上がれなかった。というのが当時の感想です。ロック、アクションの合間にストーリーって感じの構成。洋楽は好きだったけど、出てくるミュージシャンが私が聞く洋楽より一つふたつ前の世代の大物なので馴染みが薄く、1曲しっかり歌い切る間に飽きてしまったのかも?う~ん。カーアクションは目を見張る物があったし、2人のキャラも面白い。けどお子ちゃまにはウケないのかも?  今回結構久しぶりに観たんだけど、展開知っていると面白かったわ。そしてJベルーシはもちろん、レイ、J・ブラウン、アレサら既に亡くなった方々が、コメディ映画で楽しそうに演じているのを観るのもほっこりする。あぁキャリーもJ・キャンディも出ている。 こんな書き方すると私(よりちょい上)世代にとっては懐古映画としての価値が高いのかもしれないけど、パトカーがガッチャンガッチャン壊れるのも大掛かりだし、エルウッド本人がシートベルト無しで(たぶん)ガチ運転してるところなんか、当時のアクション映画すげーって思えました。
[地上波(吹替)] 7点(2023-04-16 15:41:52)
8.  ブロンコ・ビリー 《ネタバレ》 
“Bronco Billy”『荒々しいビリー』。東海地方のレストランチェーンの名前は、この映画と無関係ではないだろう。たぶん。 イーストウッドがソンドラ・ロックとイチャイチャしたいがために創った映画なんでしょうね。ほかの共演作同様、最初から恋人とか夫婦とかでなく、恋の始まりから描いていくあたり、現実の恋を盛り上げる調味料として機能したんじゃないでしょうか?  コメディだからいい加減な点はあっても不思議じゃないけど、コレはどうだろう?って点も目についたかな。アントワネットもジョンも世間からは行方知れずになっただけだろうに、どうして殺人事件にまで発展したんだか?アントワネットも新聞見たなら、生きていることを伝えれば解決しただろうに。そもそも30歳までに結婚して遺産を相続?とかって話はどこに吹っ飛んだのかな?  主人公のビリーもすぐ怒る性格。「半年も無給だから…」ってビリーに気を使いながら言うリンチに対し、全員を雨の中整列させて恫喝。いや半年は厳しいだろうに、それを金の亡者呼ばわりって… 浮気した妻を銃で撃ってしまったり、浮気相手は親友だから撃たなかったり。テント火災で起死回生の案が列車強盗って…孤児院を無料で慰問する人物なのに。その場その場で起きることを観ている分には楽しめるけど、ふと経緯を振り返ると、あれれ??ってなる。だけどテレビでぼんやり観るのには最適な作品だったと思う。 '80年の作品と考えると完全に下火になっていたカウボーイ映画を、旅一座の物語として現代劇に組み込む手法は、なかなか面白いアプローチ。確かに、私も本作がテレビのロードショーで流れていたのを観たときは、西部劇だとは思わずに観ていたからなぁ。
[地上波(邦画)] 5点(2023-04-10 00:21:27)
9.  フォレスト・ガンプ/一期一会 《ネタバレ》 
“Forrest Gump”人名。なんだけど『間抜けのフォレスト』って意味になるんだとさ。フォレストの半生を描いた映画。 知能と足腰にハンディキャップを持ちながらも、母親に愛情を注がれ、アメフトのスターになり、戦争の英雄になり、ピンポン外交のエースからエビ漁船の船長から社長と、順風満帆な社会生活を送るフォレスト。 父親に虐待され、女子大を中退してストリップ劇場で働き、ヒッピーになり、体を壊していくジェニー。フォレストもジェニーは正反対の生き方をしているけど、アメリカの光の部分を生きるフォレストと、闇の部分を生きるジェニー。二人併せて近代アメリカ史という描き方なんだろう。 フォレストのために学長とも寝る母と、自分の欲望を幼い娘にぶつける父。フォレストの父親はどんな人物か語られず(休暇中と言っていたが)、ジェニーの母も亡くなったとされている。どちらも片親なのも、フォレストとジェニーは2人揃って表裏一体ってことなんだろう。  『一期一会』という邦題サブタイは、ありきたりだけどなかなか秀逸で、フォレストとジェニーの二人の出会いが、たまたまスクールバスで隣りに座ったこと。親友ババともバスで隣に。ダン中尉とは軍病院の病室で隣に。たまたま隣りに座った人との縁がフォレストの人生を変えていく。自分の人生を、たまたまバス停で隣りに座った人に語りかけるフォレスト。映画を観る人はフォレストの隣で、自分の歩んできた人生とフォレストの人生を重ねて観る事になる。  '81年のバス停から、幼少期の'50年代を思い出すことから始まる。当時の映像にフォレストがちょこちょこ入り込んでいるのも、CG技術があったからこそ出来た映像。プレスリー、ベトナム戦争、ケネディ、ジョンソン、ウォーターゲート、ジョン・レノン。この映画はフォレストの個人的な成長を描きながら、同年代のアメリカ人なら誰もが知っている人物、出来事。 そんな近代史を絡ませることで、「そういえばあの頃、俺は…」と、観るものに強い共感を感じさせたんじゃないかな。
[地上波(吹替)] 8点(2023-03-05 00:48:08)
10.  フル・モンティ 《ネタバレ》 
“The Full Monty”『フルチン』…キャー(笑) 世間でよく言われる『スッポンポン』訳でも良いんだけど、アタマにTheが付いてるし、せっかくだからコッチ選びます。 フラッシュダンスを観てたら、どうしてもこの映画をまた観たくなりました。メインのダンスが吹き替えなことでなく、溶接の火花にツッコミ入れるなんてWhat a feeling!!  そんなわけで大好きな映画の一つです。失業して追い詰められた男たちが、なりふり構わず大金を手に入れるためにストリップショーを開く。素人の中年男たちのストリップだし、公開当時はキワモノ作品の一つって思ってたけど、やたらと周りの評判いいのね。で、薦められるがまま観たらハマってしまいました。 ウォーターボーイズや少林サッカーなど、こういう、素人が集まって努力して、挫折ありトラブルあり、笑いあり涙ありで、最後に本番でドカンと爆発する映画の、もしかしたら元祖にして、完成形にも思います。…イギリスと日本って同じ島国だし、感性似てるのかな? 映画同様、失業率の高かった斜陽国家イギリスが、クール・ブリタニアと称して音楽やファッションを新しい産業として世界に発信する中で、イギリスの現状を自虐的に観せる、ある意味開き直りとも言えるこの映画もまた、世界に“COOL!”と受け入れられたのかもしれない。  この映画の一番の魅力は、ある意味失業以上に悩みを抱える、愛すべき登場人物たち。 子供に会えなくなる。ストリップに通う妻。浪費癖の妻。高齢の母の介護。名前がホースなのに小さい。ジェラルドがすぐ勃ってしまう悩みを、勃たなくなったデイブに相談するシーンは、相談する方も聞く方も、どっちも辛かったろう。 腹にラップを巻いてチョコバーを食べるデイブ。この時の音楽がロッキーのトレーニングの曲っぽいのもたまらない。同性愛に目覚めたロンパーとガイを横目に「あいつらゲイを極めちまった」には毎回笑わされる。悩んでても辛くても、前向きな彼らに何度笑わされ、何度勇気づけられたことか。 ハリウッドの大作ばかり好んで観ていた当時の私に、貴重な一石を投じてくれた作品です。
[ビデオ(字幕)] 10点(2023-01-10 21:17:09)
11.  フラッシュダンス 《ネタバレ》 
“Flashdance”『(見た目が派手な)カッコいいダンス』…とかだろうか?“What a feeling”『サイコー!』だし“” 今回始めて観たんだけど、これだけ有名な映画だと、後発作品に美味しいところをパクられまくって、せっかくのオリジナル見所がスカスカになってる恐れがあるんだけど、この映画は充分に楽しめたな。 あの有名なイスに掛けて水ザバー!のシーン、近くに座ってるおっさんが、水掛かったことに驚いてるのが面白かった。モービーズ、自由度の高いわ。  モービーズでアレックスはプロダンサーを、親友ジェニーはプロスケーターを、友人リッチーはコメディアンを目指してる。すぐ近所にヌードを売りにするザンジバーがあって、栄光と挫折の構図がとてもわかり易く描かれているのも良い。何にでも忖度する今の時代だと、ジェニーはあの後主旨転換して前向きにザンジバーで働くって話になってそう。そうなるとアレックスも何にも言えないんだよな。方向性は違うけど、それぞれが目指すべき目標があるから、そこを目指してガムシャラに頑張っている若者が輝いてるんだよ。 社長のニックと付き合って、ポルシェに乗って高級レストランに行っても、養成学校のオーディションは実力で行きたいアレックスの気持ち、歳を取るとゴチャ混ぜになるけど、その線引の大切さって、あるよねきっと。  ジェニファー・ビールスって凄く華のある女優さんだなぁって思った。写真で見ても素敵だけど、動くとここまで可愛いんだ。肩からずり落ちるシャツの着こなし。…『色の風』って書いてあるのかな?シャツ下でモゾモゾやってブラだけ取るのなんて、タマラナイでしょう。“Maniac”掛けて黙々と踊るシーンがもう格好良いのなんの(…吹き替え?知らないそんなの)。 95分という尺もちょうどいい。モービーズ仕込みの“新しいものを取り入れる姿勢”で、オーディションで派手なブレイクダンスするのもイイ。ダンスのフィニッシュ観せないのも、審査結果を観せないのも、なんかイイ。コレがイイ。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2023-01-10 00:13:57)
12.  フットルース 《ネタバレ》 
- Footloose - “足のおもむくまま”。 束縛もなく好きなことが出来る状態のことでしょうか? “ロックとダンスが禁止の町”なんて、このネット社会では考えにくいことだけど、身の回りで起きた問題を集落の人達で話し合い、警察権も含めてその町独自のルールを作り、みんなで守っていく。最近の画一的な街並みと、独自性のない田舎町を観ていると、それはそれで、ある意味悪くないんじゃないか?って思えてきた。  反対派のリーダーはムーア牧師で、この街のルールのキッカケはムーアの息子の事故死。抑圧されるムーアの娘。なんだけど、序盤のアリエルの車2台に跨っての自殺行為にはゾッとしたわ。過剰な抑圧は、こんな恐ろしい方法で開放されるのか。って。よく『ケンカをしたことがない子供が手加減できなくて殺してしまった』なんて聞くけど、まさにって感じ。聞き馴染みあるイントロの『ヒーロー』が掛かるトラクターレースののどかさと比べて、アレは怖い。  転校生が閉鎖的な町を変えていく物語なんだけど、基本的にレンがするのは若者への働きかけ。衝突ではなくきちんと議会で説得しようというのが、時代でもあり理想的な解決方法に思える。なにせ町の住人が良かれと思って決めたルールだから、変えるのも彼らの話し合いなのは当然。今の画一的で独自性のない街では、ルールは誰かから与えられるもので、自分たちで作るものじゃない。だから変えようがないのかも。 ルールを破らず新しい事を創造する。隣町でのダンスパーティ開催でお互いに歩み寄りを初めるのは、若者も住人も、とても大人らしい対応に思う。  自分たちでダンス会場を設営して、ワイワイ盛り上がり。開催前の若者たちの、何をどうして良いのかわからない感・手持ち無沙汰感がとても良い。 そして始まってからの盛り上がり。終盤のプロ並みのダンスを見せるこいつら何者だ?感もひっくるめての大団円。'80年代上旬の懐かしいロックがまたいい塩梅で懐かしさを感じさせてくれて、とてもスカッとする映画。
[ビデオ(字幕)] 6点(2022-11-19 22:06:43)
13.  ブラックブック 《ネタバレ》 
- Zwartboek - “黒い本”オランダ語です。この映画の存在を知らなくて、タイトル観てもピンと来なかったけど、バーホーベン監督と知って俄然観てみたくなりました。 ナチスとユダヤ人という題材+バーホーベン監督なのに、思いのほかグロさが控えめで、これは“きれいな(人格の)バーホーベン”が創ったんだな。とても観やすい内容で、一部を手直しすればゴールデンタイムでも放送出来そう(…無理か)。  とても長い映画だけど全然退屈しなかった。隠れ家生活、助けてくれる青年、家族との再会、裏切り、レジスタンス入りととってもスピーディで、じっくり考える間もなく次の行動をしなきゃいけない。私もラヘル→エリスになった気分。 ナチスとユダヤ効で重たい気分になりそうだけど、効かないクロロホルムとかちょっとユーモアを感じてしまうのは、さすが娯楽映画のバーホーベン。ラヘルが大量のインシュリンを打たれた時、期限の方が出るかと思ったけど、チョコの方だった。でも伏線回収美味いよバーホーベン。陰毛染めるトコなんてマニアックだなぁって思ってたらシッカリ生きてるぞその伏線。フランケンの醜い全裸と汚いおケツと放尿シーン。大量の糞尿ぶちまけの本気度はさすがのバーホーベン。お色気も多めで抜かり無いぞバーホ―ベン。  最後の不穏な空気からスエズ動乱に続くそうだけど、その直前(映画冒頭)に聖地巡礼でロニーが、オランダ開放当時の彼氏(意外にも続いてたのね)と一緒に訪ねてくるところも面白い。 ナチスが支配したらナチスに。開放されたら解放軍にと器用に生きるロニー。対してラヘルは頼るものを次々失い、信じた者に次々裏切られる。最後ムンツェと静かに暮らしてほしかったけど、ねぇ。でもハンスへの静かで残酷な復讐はスカッとした。 リアリティを求めると話は変わってくるけど、映画らしいディフォルメとテンポの良さが娯楽サスペンスとしてよく出来ていました。
[インターネット(字幕)] 8点(2022-10-09 17:11:32)
14.  フィールド・オブ・ドリームス 《ネタバレ》 
-Field Of Dreams- “夢の球場”ケビン・コスナー全盛期の映画。ケビンのナチュラルな魅力が出ていて、素直にカッコいいなぁ。 ハリウッドが本作のような“怖くない幽霊の映画”を創ってきたことに、まず驚いた。だって幽霊の理解度って、繊細な日本の得意分野と思っていたから。アメリカ人にとって宗教的に幽霊ってどんなポジションなんだろう?? そしてジェームズ・ホーナーの“いかにも奇跡が起きそうな”音楽が、この不思議な物語を盛り上げる。  いやほんと、アメリカ人って野球が好きなんですねぇ。この映画も野球愛、歴々のプロ野球選手に対する尊敬の念に溢れています。アメリカ人の精神・共通認識は野球を通じて育まれてきたのかもしれません。 シューレス・ジョーと1919年の“ブラックソックス事件”なんて題材を持ち出すのが凄い。どれだけマニアックな題材なのか知らないけど、日本だと遡ってせいぜい、戦前の沢村栄治(巨人の星の再放送で知った)とか、事件だと江川の入団事件('78年だって)くらい?アメリカの野球の歴史の長さと浸透度が凄い。 とうもろこし畑の真ん中で、伝説の野球選手が夢の対決をする。これこそ大人のファンタジー。アメリカの夢。野球少年の憧れ。でしょうねぇ。野球はすべてを受け止める。過去の事件を水に流し(タイ・カッブ以外)、父との関係も修復する。  レイとジョーの70年を隔てたキャッチボールに始まり、15年前に亡くなっていた父とのキャッチボールに終わる。何も話して無くても心が通じ合ってる気持ちになれる。キャッチボールってもともと、野球の練習の肩慣らしだと思うんだけど、誰かとのコミュニケーションとして、これほど頭を空っぽにして出来る運動って、他にないかも?だからって訳じゃないけど、この映画も頭を空っぽにして楽しむ映画です。キャッチボールみたく。  天の声って何?自分が死んだときを知っている1919年の選手たちってどんな存在?突然1972年にタイムスリップ?若いグラハムは球場の外から入っていったぞ?最後のヘッドライトの川、どこで聞いてどこから来たの?正直言ってやってることはもうメチャクチャ。 これもし、レイが独り身で、理解ある可愛い奥さんが居なかったらもう、とんでもない結末になってたと思う。 なので、ここでの評価がメッチャ割れてるけど、それも解る気もする。  この映画は父の歴史から始まる。アイルランド系で第一次大戦に行って…。この時のレイは家族の生活のために、細々と農場経営を続けて、淡々と生きていく毎日。そこで一度立ち止まって、過去を振り返ることから始まる。奥さんの名演説の中に「'60年代を生きたなら理解できるはず。あなたは'50年代を2度生きて'70年代に飛んだのよ」隠しても誤魔化しても、あの会場の人はみんな'60年代を生きてきたのは事実。 父の歩んだ歴史、野球の歩んできた歴史、アメリカが歩んでいる歴史。それらは自分の存在を考える時、決して切り離せない関係で、歴史が有ったからこそ今の自分がある。良いことも悪いことも全部受け止めて、それを飲み込んでこそ前に進める。淡々と生きるのではなく、前を向いていこう。  この映画は、日本に最新技術で押されていた当時のアメリカ人に、自分たちの歴史、アメリカ人であることを誇りに思う気持ちを湧き起こしたんだろう。 だから逆に言うと、この映画に日本に関するものは出て来ない。純度100%アメリカの、それも“ど田舎(心の故郷)”の話だ。 主人公の仕事が第一次産業(農業)なのも、アメリカが日本に勝る部分なのと、日本ってキーワードを出さなくて良い分野。 最後のヘッドライトは言うまでもなくアメ車の群れ。どこから聞いたか、アメリカ人がアメリカの誇りを胸に、次々球場に集まってくる。 この映画を、アメリカ同様に野球が国民的スポーツの日本に持っていく。怖くない幽霊を理解している日本に持っていく。 この映画はアメリカから日本への挑戦状、というか、アメリカ人の決意表明だったのかもしれない。・・・それか私の考えすぎかもしれない。
[ビデオ(字幕)] 9点(2022-08-28 14:44:50)
15.  フリー・ウィリー 《ネタバレ》 
-Free Willy- “ウィリーに自由を” ウィリーは人名ウィリアムズの略みたい。 今回初めて観たんだけど、最後の大ジャンプってCMとかで流れてなかった?う~ん…真偽は定かじゃないけど、'90年代の映画予告(TVロードショーの番宣かも?)って、こういうデリカシーの無いネタバレCMが多かったと思う。  さてマイケル(ジャクソン)の美しい主題歌と共にインパクトの強いこの作品、ファミリー向け作品に似合わない、怖格好いいマイケル(マドセン)と、怖怖いマイケル(アイアンサイド)が出てくる3大マイケル祭り。 マドセンの方はお決まりの“動じない男”を好演。一方アイアンサイド演じるダイアル社長。ウィリーが客を呼べるなら水族館の目玉にしようって、経営者なら普通の判断だし、アクシデントがなければ実際プールの改修をして、ウィリーは幸せに暮らしただろう。それよりもともと芸も出来ない大食らいのウイリーを、今までずっと生かしておいたのも、ダイアル社長、根は優しい人なんじゃないかな?って。水槽の破壊はもう一人の悪者ウェイドのアイデアだったし。 しかし殺し屋とかマフィアとかを演じてきたマイケルたちが『ファミリー向けのシャチの映画に出ませんか?』と言われて、承諾したところを想像すると、なんか微笑ましさを感じる。  分かる範囲でウィリー役のシャチは全部背びれが曲がっていたので、同じ個体かアニマトロニクスなんだろう。芸をしたり、口の中に手を入れて舌を撫でたり、どこまで本物か解らなかったのは正直凄いと思った。だけどウィリーを吊り上げての脱走劇、夜中から朝まで水槽から出しっぱなしで、山登って脱輪してって、計画が雑すぎる。実際あの程度の水(しかも真水)を掛けるだけで、シャチって生きられるの? モチャモチャしてる所でダイアル社長が出てきて、最後の最後に良い人ぶりを見せてくれるのを期待していたけど、普通に保険金狙いの悪い人だった。 さて、最後の大ジャンプに戻るけど、人間に飼われ続けたウィリーが、まだ見ぬ大海に飛び出すのって凄い勇気が必要なんだろう。それを、グレンたちに新しい里親に馴染むことが出来ないでいるジェシーが後押しする。信じて飛び込む勇気を持つよう、自分に言い聞かせているようだ。 エンディングの大海原を泳ぐシャチの群れとマイケルの“Will You Be There”が多幸感を増してくれる。  だけどでも、映画の後にウィリー役のケイコの話を読んで、何だかシュンとなってしまった。 オズの魔法使を観たあとにジュディ・ガーランドの過酷な人生を知ったときみたいに。 劣悪な環境の水族館のシャチを使って映画を撮って、また劣悪な環境に戻す。それが話題になったから莫大な費用を掛けて、無理やり野生に戻そうとする。 映画撮影からのこの一連の流れ、クジラとかシャチとか自然保護とか大好きなのは解るんだけど、全体的に、なんっっかズレてる気がしてならない。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2022-08-22 23:37:22)
16.  復讐するは我にあり 《ネタバレ》 
偶然タクシーに乗り合わせた老弁護士と意気投合した榎津。すき焼きの肉を買い、金槌と釘を買う。あぁ、この弁護士さんも殺されるんだな…って思ったらもう殺されてる!!買ってきた金槌で殴るんじゃないんかい!クローゼットに死体をそのまま押し込んで、酒を口に含んで吹きかけて、金槌で扉を打ち付ける。なんて雑な隠し方。まさにサイコパス。  榎津の正体がバレてからの、ひさ乃婆さんとの牽制バトル。お互いに殺人経験があるためか、ひさ乃の嗅覚、感の良さと理解力が静かな攻防を盛り上げる。奇妙なバランスを保って、このまま穏便に行くかと思ったところ、突然の殺人。何で2人を殺そうと思ったのかな… 榎津は寿司を3人前出前。きっと殺人後に3人前を注文している。先のすき焼き(肉を400gも買ってる。2~3人前?)といい、既に殺した人間の食事も用意する辺り間違いなくサイコパス。  交通網の発達した'60年代、全国を飛び回った実在する殺人犯の経緯をベースにしているそうな。う~ん、確かに榎津って、あっちこっちに移動して犯罪を犯してたなぁ。最近では広域移動犯は珍しくないけど、『連続殺人犯がこの街にも来ているかもしれない』って、当時は怖かったろうな。 でも映画は状況を理解するのにちょっとややこしいところがある。管轄を超えて逃げる榎津に翻弄される警察組織に、もう少しスポットを当ててくれていると、広域逃走劇として解りやすかったかもしれない。本作は榎津の足跡と家族、そして犠牲になった浅野親子に焦点を当てている。そのため後半はあさの旅館を根城にしているため、広域移動犯罪の醍醐味が薄れてしまった気がする。  最初の専売公社社員の殺人から、このタイトルの意味(なにか理由があっての復讐劇か?)がどこかに結びつくかと思ったけど、そういう訳でもなく、タイトルは新約聖書の一節『悪人に復讐して良いのは我(神)だけに許されたこと』…みたいな意味らしい。 現在(逮捕後と犯行時)と過去(戦後)がハッキリと区切られること無く描写されるのと、時代はケネディ暗殺後('63年くらい)なのに、街並みや走ってる車は現代('78年くらい)と、こんな辺りもちょっとややこしい。 榎津親子の確執がどこから発生したか。なぜ加津子は義父をそこまで愛したか。もう少し説明がほしい所も多いけど、倍賞美津子の美しい裸体には驚いた。
[インターネット(邦画)] 7点(2022-06-21 22:37:03)
17.  ブリット 《ネタバレ》 
-Bullitt- 人名。ブリット群って地名にもなってる。 中学か高校の頃にテレビで観て、これぞハードボイルド!マックイーンはカッコいいなぁって思わせてくれた作品。 フランク・ブリット=刑事。ロクに寝てないのに叩き起こされて仕事するところとか、食事がTVディナーや病院食だったり、まさに職業を擬人化したような人物。これで自分の不運をボヤいていたらダイ・ハードだ。タートルネックにホルスターぶら下げたスタイルも特徴があって、一時期の刑事スタイルの完成形だったように思う。  ストーリーをろくに覚えてなくて、今回久しぶりに鑑賞。オープニングがめちゃくちゃカッコイイ。撃たれて重症のスタントン刑事に付き添ったりは、その後の一般的な刑事ドラマだと、すっ飛ばしそうな描写だと思うから、この映画にリアリティを増す要因になっていると思う。 本作の目玉と言えるカーチェイスが中盤に挟まれる。マスタングとダッジ・チャージャーのアクションは確かにカッコいい。犯人グループが中年~初老の男というのは、今の目で観ると新鮮。最後の空港での追跡も印象的。滑走路で飛行機を横目に犯人を追うシーンは、想像以上に大変だったんじゃないかな。  '68年の作品で以降の刑事アクション作品に与えた影響は計り知れない。ただアクション映画の恒で、カーチェイスも空港のアクションも、後発作品に、より派手により大袈裟に上書きされていった結果、今の目で観ると目玉とするには物足りなくも思えてしまう。 やはり偽ロスが隠れ家の鍵を開けた理由がわからない。奥さんを助けるための取り決めとかだろうけど、物語がブリットの掴んだ情報だけで進むからか、観る側として消化不良に思えた。チャルマース上院議員も、もっと事件に絡んでたんだろうけど、ブリット視点だから説明不足なのかな。その辺も“刑事=警察組織の歯車”を描きたかったんだと納得するしかないか。 スルメ要素とツッコミ要素が多そうなので、期間を開けてまた観てみようと思う。
[地上波(吹替)] 5点(2022-05-15 20:22:01)
18.  フューリー(2014) 《ネタバレ》 
-Fury- “怒り”主人公の戦車に付けられた名前。 戦闘シーンは迫力があり生々しい。戦場で戦車がどう使われたか、どんな戦い方があるのかがよく分かる。大砲を撃つ、機関銃を撃つ、踏む(痛い!)。 戦車の弾も①厚い装甲を貫く弾②炸裂して鉄片を撒き散らす弾③人体にこびりついて燃える弾(怖い!)。 本物のティーガーⅠ戦車が出るのも凄いことのようで、シャーマン戦車をバッタバッタと倒していく。  前半部分で戦場の悲惨さ、不条理さをキツめに描写しているため、多少の変な描写にも目を瞑って観られたけど、後半から素人目にも嘘くささが目立ってしまったのが残念。 合唱行進するほど士気の高い武装SS大隊300人を発見してから、戦闘に入るまでの長~~~い準備時間。ノーマンが走れる距離のちょい先に大隊が居たんだよな?戦車を包囲されてから反撃するフューリーの面々と、一箇所の敵に単純な反撃を繰り返すゾンビ並みの知能のSSの方々。 コレ、戦闘が終わってみたら敵は訓練上がりの少年兵ばかりってオチか?って思ったけど、そうでもなく。そもそも序盤に少年兵が、パンツァーファウスト1発で味方戦車を丸焼きにしてるし。少年兵のより威力の弱いパンツァーファウストしか持ってないSS大隊の謎。  戦闘が終わり、若い兵士に見逃されるノーマン。私コレ、ドイツ兵から見えなかったんだと思ったんだけど、見逃したんだとしたら意味不明。さっきまで歌を歌ってた仲間がコイツ等にたくさん殺されたのに、見逃す意味って何?そりゃ序盤に捕虜の射殺シーンがあるけど、ノーマンもそうなるとは限らないし…こんな後半から逆算すると、いろいろ変な映画だなぁって思える。 ドイツもアメリカもどっちも悪いことをしてるけど、射殺された捕虜はアメリカ兵の上着を着ていた事を強調していたから、どこかでアメリカ兵を殺した悪い奴って印象付けしているし、下品な戦車兵たちもドイツ人女性をレイプまではしないで、同意の上で抱く。そんな所がアメリカが酷いことをした理由の言い訳に思える。だけどどうにも、兵士というより海賊や山賊みたいな登場人物たちに、魅力を感じにくかったな。
[インターネット(字幕)] 4点(2022-03-13 15:15:44)
19.  フラッシュ・ゴードン 《ネタバレ》 
-Flash Gordon- スーパーヒーローの名前かと思ったら、普通に人名でした、ビックリ。フラッシュも超人的な力を手に入れるのかと思ったら、ずっと普通のアメリカ人だもんな。 当時としても懐かしさを感じるアメコミのコマと、印象的なQUEENの歌を融合したオープニングは、今の目で見ても格好良い。 1934年から続く歴史ある漫画だそうだから、それが如何にして現代に蘇るか、とても興味深かったことだろう。 まさかね、こんな映画になるなんてね…  スターウォーズを意識して制作されたらしいから、オーラ姫のセクシーな衣装は、EPⅥのレイア姫の先を行っていたとも言える。 惑星モンゴ住民の、きらびやかな民族衣装も素晴らしい。タカ族とバリン以外の民族はほとんど出番が無いのに。あ、チャリ・チョコのウンパルンパの人発見。キラキラ衣装の中に“FLASH”Tシャツのフラッシュだけが浮いている。フォーマルなパーティにカジュアルな格好できた人みたいだ。 ミン皇帝への貢物の式典。アルデンティアのサン王子に自死を強要とか怖すぎる。シリアス路線でも行けただろうに、フラッシュが大暴れで、この映画の方向性がよく解らなくなる。「ゴー!フラッシュ!ゴー!!」ゆるーい大乱闘と、ゆるーい結末。真面目なスペースオペラにする気はないようだ。そもそも天変地異のボタンが英語表記な時点でアレだったけど。 サン王子とは対象的に仰々しいフラッシュの処刑。墓石も立派すぎる。棺の裏が鏡張り。なんだろう?このこだわり?  ザーコフ博士の洗脳シーン。動物と人の顔の融合、ナチスドイツの攻撃のサブリミナル映像はハッキリ言って怖い。レベル6でも耐え切る謎の強靭さ。 やたらとチュッチュ、イチャイチャするシーンが多い。だけどデイルとオーラ姫のキャット・ファイトは、良かったよ。 でも父の“営み前”に精力剤を飲むのを知ってる娘ってのも、どうかなぁ… 死んだと思ったら生きていた。が2回も。あの建物にロケットサイクルがあるならさぁ、フラッシュが操縦できるならさぁ…って思ってしまう。  タカ族軍団と戦艦の闘いがメインなんだろうけど、迫力もなければ緊張感もない。 地球滅亡と戦艦の特攻。このスケール感のチグハグなクライマックス。カウントダウンに間に合うのか?ってハラハラ感も希薄なゆっくり具合。 でもまさか、ミン皇帝の最後がZガンダムの最後と被ってるとは思わなかった。 THE END ? いや、それは無理っしょ。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2022-02-23 17:40:03)
20.  ブラック・レイン 《ネタバレ》 
-Black Rain- “黒い雨”。原爆のことを表しているのかと思ったけど、親分の「3日間防空壕に入っていた」ってセリフから、恐らく本土大空襲全般のことを表現してたんだな。爆弾の熱は日本人を焼き殺し、生き残った日本人には黒い雨が降り注いだ。そして親分曰く“金を崇拝するアメリカ人のような日本人”佐藤が生まれた。 監督はアメリカ人が映画を観てイメージする、スキヤキ・ゲイシャのステレオタイプな日本人像ではなく、家電や車で世界を席巻した、生まれ変わった今の日本を表現しようとしたんだろうか? そういう意味では今までの日本表現に比べ、スタイリッシュな都市像が表現されている。リアル・ブレードランナーの世界。  新しい日本人・佐藤と対極なのが松本。松本のような実直で真面目な古い日本人が、如何にして戦後から現代を生きているか。英語を学び、チャーリーとカラオケを歌い、ニックから“時にはブチかます”ことを学ぶ。古い日本人はアメリカから学び、どんなものでも吸収して今に至っている。 若くて気さくなアメリカ人チャーリー。どんな相手でも仲良くなれる彼は、さしずめ新しいアメリカ人だろうか?何でも吸収する姿勢は松本に近い。  そしてニックだ。妻と別れ、雨の日に子供をバイクで迎えに来るダメな父親(ってか母親も窓から見送るなよ、風邪引くだろ。きっとニックに懐いてる自分の連れ子には愛情がないんだわ、この母親)。仕事でも仲間の汚職に加担して、自分も賄賂を受け、それをチャーリーに言えないでいる。 金を崇拝とまでは行かないが、汚い金で子供を養う彼は、本質では佐藤と似ているのかもしれない。 この映画、本当はニックという汚職警官のダメっぷりを、もっと丁寧に描くべきだったと思う。だから最後の空港のシーン、シャツの下の偽札原板の意味がイマイチ“??”な感じになった。  ニックは日本の警察に原板を渡さなかった。松本はニックが原板を隠していることに薄々気が付いていたと思う。でも原版の話はするけど、調べるつもりもなかった。原版の使いみち、オイシイ話をするニック。 ここでお別れだと言ってシャツを渡す。そもそも松本に、日本で買ったシャツを渡すのは変なのに。空港には警護の警官も来ていたと思うと、松本と2人きりで話せる場として、あの狭い立ち食い蕎麦は好都合だったんだろう。 「後ろに気をつけなカウボーイ」原版をバレずに上手く使えよ。と、松本は絶対そんなコトしないの解っていて原版を託すニック。 ちなみにこのセリフ、内務調査前の別れ際にチャーリーがニックに掛けた言葉。 あの時、チャーリーもニックの汚職に薄々気が付いていたけど、ニックの自発的な更生を望んでいたのかもしれない。 …とここまで、松本に影響されて汚職から足を洗う決意をしたニックの照れ隠し。ニューヨークに帰ったら内務調査で真実を話す戦いが待っている。 あの戦争で日本人が変わったように、ニックのようなアメリカ人も、きっと変われるハズだと。 はにかみ笑顔のマサと、満面の笑みでサムズアップのニックさん。テーマソングも相まって、2人ともカッコええ…
[ビデオ(字幕)] 7点(2022-02-11 15:46:12)(良:1票)
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