21. ぼくんち
二十一世紀という現代をまったく感じさせない、それは子供が子供らしくあった、いかにも昭和三十年代のレトロ感覚を意識したような作品世界。本作の舞台であるうらぶれた島の人々は極貧に喘ぎ、日々生きていくことに精一杯で、願わくは島を離れての自立を目指している。しかしここに登場する大人たちは勿論、子供たちもマトモには描かれてはいない。その風変わりさが原作の持ち味という事なのだろうが、その点を阪本順治監督は十分にこなし切れていないように思う。とくに主役の子供たちと観月ありさとの絡みの演技に微妙なズレがあり、重要なシーンにもかかわらず間延びした印象を受けてしまう。これは監督の意図的な演出なのかも知れないが、だとしたら狙いは何なのか、聞いてみたいところ。歯切れのいい面白いシーンも少なくないが、全体的に見るとなんともテンポの悪い作品だと言える。 6点(2003-08-03 15:17:31) |
22. 北極の基地/潜航大作戦
A・マクリーンのベストセラー小説の映画化。米ソ冷戦時代、両国の軍事基地を撮影した衛星が、誤作動で北極の英軍基地付近に落下する。そのフィルムの回収をめぐり、一触即発の戦争の危険をも孕む、米ソの熾烈な闘いを描いたもの。超大作というフレコミではあったが、ただ、上映時間がいたずらに長いというだけで、肝心の北極のシーンの大半はいかにもセットと分かるレベルで、シネラマの大画面ではミグ戦闘機の編隊飛行が、唯一迫力あるシーンだったように記憶している。男性アクションの名作を数多く世に送り出してくれたJ・スタージェス監督としては不本意な作品だったと言える。 6点(2002-05-09 18:17:33) |
23. 暴走機関車
黒澤明脚本によるハリウッドでの映画化だけど、本来予想されるべき映像にダイナミズムがなく凡庸な演出に終始しているのは、やはり監督の責任だろう。出演者が体当たり演技で頑張っているだけに、残念な仕上がりとなってしまった。 6点(2001-03-15 15:47:44) |
24. ボーン・コレクター
クライマックスの“犯人”の登場のしかたは少し唐突で、あれだけ猟奇的な殺人を犯したわりにその動機や心理描写が希薄だ。エンディングの大団円も甘ったるい! 6点(2000-04-26 15:30:51) |
25. 暴走パニック 大激突
深作欣二といえども、秀作ばかりを連発するという訳にはいかない。大きな話題ともなったS・ペキンパーの「ゲッタウェイ」にヒントを得たような単なる思いつきの、いわゆる東映のお仕着せ企画に、ここではむしろ深作自身があまり乗り切れていない印象を持った作品。女の前ではやたらカッコをつけてはいるが、所詮優柔不断な軟弱男に対し、邪険にされても尚すがり付くような薄幸の女といった、主人公たちの大時代的な設定の図式に安直さを感じるし、脇役たちのハチャメチャぶりも悪ノリの域を一歩も出ない。確か「日本映画としては良く出来ている!」との声もあったカーアクションだが、郊外の埋立地を壊れてもいいような中古車が走り回っているという程度のレベル。それでも面白いと言ってくれる映画ファンがいるという事は実に有難いものだ。 5点(2003-08-18 00:19:22) |
26. ボイス
鳴り物入りで公開された韓国製ホラーだが、話の基本は怨念話。要は「火曜サスペンス劇場」に無理矢理ホラーを結びつけたような作品だと言えるだろう。昨今、この作品に限らず、原因が究明されるに従って急速につまらなくなってくる、実に底の浅い作品が多いのには困ったもの。本作も少女の熱演以外に見るべきものは殆ど無く、壁の中に埋め込むという設定もリアリティ云々以前の問題で、もぅ無茶苦茶!(笑) 4点(2003-06-07 15:43:15) |