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1.  僕のワンダフル・ライフ 《ネタバレ》 
転生のドラマということで老衰や病死や銃の被弾などによる看とりのシーンが幾つかあるが、 煽情的な愁嘆場に陥ることなく抑制的なトーンで区切りをつけ次の犬生に移っていくのがいい。  邦画でも『いぬのえいが』というオムニバスがあったが、本作は転生を扱うことでオムニバス形式を採りつつ 一匹のキャラクターと飼い主のドラマで全体を貫いているのが特長だ。  モノローグによる犬の擬人化、動物と人の別離・流転・再会のドラマはスピルバーグの『戦火の馬』あるいは さらに遡ってジョン・フォードの『香りも高きケンタッキー』の感動をふと呼び覚まさせたりする。  ラストで犬種も変わってしまっているデイジーが、自分が生まれ変わりであることを熟年に達した飼い主に如何に伝えるか。 ある小道具を介しての二者のやり取りが実にいいのだ。
[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2017-10-09 23:02:31)
2.  僕らのごはんは明日で待ってる 《ネタバレ》 
ドラマの設定は手垢のついたパターンであり、そこに食事の趣向で 独自性を出したのだろうが、双眼鏡や青空や握手の演出も含めて小手先の印象である。 前作同様、不器用男が走る横移動の(これまた陳腐な)ショットをどうしても入れたいようだが、病院の待合室でパンにかぶりつく シーンのほうがまだ力強い。  雄弁なダイアログは二人の個性の描写として許せるのだが、 食べ物の好き嫌いがないとか、イエスのように優しいとか、エピソードの中で描写 すべき事まで台詞で説明というのもどうなのか。  ラストが揺れる白いカーテンである割には、病院の屋上ではためく白いシーツを 画面に載せないなど、主題系としての不徹底が目に余る。
[映画館(邦画)] 3点(2017-01-09 14:32:49)
3.  ぼくは明日、昨日のきみとデートする 《ネタバレ》 
流れていくレールと、光に満ちた車窓の風景。オープニングから照明に対する意識が非常に高い。  陽の当たる窓際に立つ小松菜奈。さらにホームでは自然の順光が、デートの際にはアンティークのランプやイルミネーションの光が、 映画スクリーンや水面の反射の照り返しが、多種多様な光でもってひたすら彼女を賛美するように輝かせる。 あるいはホームに入ってくる電車のライトが彼女を徐々に照らし出していく。美術教室の外光が彼女をまるで異世界のように包む。 それら映画の要でもある光の操りは、ドラマの主題にもかなったものだ。  時間を視覚化する針時計、砂時計、メリーゴーラウンド、交差する複線のレールや月光と、モチーフの映画的活用も巧い。 理屈は荒唐無稽だが、黒板に描かれた円環の図一発で納得させる強引さを買う。  後半の劇伴の過剰さ、エピローグの蛇足感が少々玉に瑕だが、主演二人の清潔感と彼らを魅力的に撮りあげたスタッフの技が 伝わるのがなによりだ。
[映画館(邦画)] 8点(2016-12-18 19:50:55)
4.  ぼくのおじさん(2016) 《ネタバレ》 
確かに松田龍平は適役だし、甥っ子とのコンビネーションも良い。『まほろ』シリーズなどを始め類似した変わり者キャラクターをあてがわれながらも 作品ごとに微妙に演じ分けている。  狙った間延びとは云え、ハワイのパートでさらにダレ気味になってしまうの痛いが、東宝戦争映画を始めとする邦画が目を向けてこなかった 真珠湾攻撃によって苦難を被る日系移民や二世部隊についてさらりと言及するあたりの配慮がいい。 高台から望遠したパール・ハーバーの景観も1ショット、「家族」三人の背と共に慎ましく挿入されており感慨を沸かせる。  山下印の青い空に、風に揺れるコーヒーの木の緑と赤が映える。
[映画館(邦画)] 5点(2016-11-07 20:18:55)
5.  祝(ほうり)の島 《ネタバレ》 
毎週月曜日の上関原発反対デモや埋め立てに対する海上抗議行動、4年に一度の神舞と呼ばれるイベントなど、 鎌仲ひとみ監督のドキュメンタリーとかぶる部分も多いが、こちらも現地に密着して島の人々の生活を丹念に記録している。  一本釣りの漁師の船に同乗しての取材。漁獲されたタコを浜で開いて天日干しの作業をする女性達の和気藹々とした姿。 時折インサートされる、高台から見下ろす島と「宝の島」と太陽の景観。それらのショットの寡黙さこそ、作り手のスタンスの明示である。  島の小学校の入学式が行われている。在校生二人と新入生一人の計三人は、どうやら長女・長男・次男だ。 来賓はご近所さん達なのだろう。校長先生、父親の挨拶が和やかな雰囲気の中で行われている。 新入生となる次男がお父さんそっくりなのも微笑ましい。 入学式が終わって下校する笑顔の三人を、子供たちの視線の高さに合わせてカメラが追う。  その3人兄弟である生徒たちが教室で仲良く合唱するシーンがとりわけ感動的である。 彼らの元気な歌声が、島の情景へと被さっっていく。  抗議行動の切実な叫びをラストに持ってくるかと思いきや、年越しの静かなシーンから続けて、生活音の流れる静謐なエンディングが慎ましい。 纐纈あや監督の美徳である。
[DVD(邦画)] 8点(2016-10-19 22:10:59)
6.  ボーダーライン(2015) 《ネタバレ》 
高空から撮られた地表や街並みのショットが、ただそれだけで静かな不穏と緊迫を醸し出す。 スコープサイズの画面に美しく広がる地平線と独特の雲とトワイライトは、血生臭いドラマと対照を為す形で印象深い情景を見せつけてくる。  銀行の監視カメラ映像、暗視スコープ映像など、様々な媒体の挿入も効果的に決まっている上に、環境音に似せたBGMも画面から浮く事がない。  中盤のバーでのジョン・バーンサルや、ベッド脇に置かれた札束バンド、そしてラストのベランダで銃を持つエミリー・ブラントなど、フォーカスを巧妙に外すことで逆にそのぼやけた対象を強く意識させ観客に注視を促すという、サスペンスと情感の演出にもついつい乗せられてしまう。  べニチオ・デル・トロ自身の佇まいもさながら、特に後半の彼が凄みを増していくのは、暗闇と影を相乗的に活かした撮影にも拠るところも大だろう。 レースカーテンの揺れる奥に佇むデル・トロ。彼の表情に落ちる陰影の黒味は彼の内面を見事に具象化している。
[映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2016-04-25 23:25:50)
7.  僕だけがいない街 《ネタバレ》 
状況設定と時間操作におけるいわゆるご都合主義も、開き直ってここまでやればこれも映画の特権と自分を納得させるしかない。  単に犯人探しの観点から云っても、校舎玄関でのズームを交えた主観ショット一つで誰にでも犯人の目星はつくだろうが、 それによって犯人であろう人物の善良な身振りに凄味が加わることになったと見ることも出来なくもない。  子供たちの佇まいもよく、虐待を受けている少女が石田ゆり子の作った朝食のウインナーを口にするショットなどに少し心を動かされたりもするのだが、 そこでは映画内部と外部がほどよくせめぎ合っている。が、それも長くは続かない。 少年と少女が互いに交換した誕生日プレゼント、赤い帽子と水色の手袋が何ら視覚的に活かされないのもはっきり怠慢である。 ラストで森カンナかその娘がそのプレゼントを大事に持っている、くらいのことが出来ないものか。 広げた掌、繋ぐ手のモチーフは幾度も反復しているというのに。何故、あの大樹も最後に活用するとかしないのだろう。はっきりと、拙い。  逆に、有村架純のほうには雨あがりの陽を浴びせるといった演出をもってくるのに、彼女の人物像あるいは(外部的)背景が薄いために大して心に響かない。 あれほど饒舌に語っていたはずなのに。語られる言葉が全般的に観念的すぎるのである。
[映画館(邦画)] 4点(2016-03-24 23:39:06)
8.  ボーイ・ソプラノ ただひとつの歌声 《ネタバレ》 
この種のドラマでは、演奏後の大喝采や敵対していた少年との和解や教師たちとの別れのシーンをオーケストレーションで盛り上げて ベタ&ウェットに演出するパターンを和洋問わずさんざん見せられてきたが、本作はその点、物足りなさを感じてしまうくらい淡白でドライだ。  子供たちは安手の仲直りの段取りなど踏まないし、ドラマチックな別離のハグも握手もない。 演奏会を前に皆で一致団結して頑張りましょう的な安手のチームワークもない。 その簡潔な視線と短い台詞のやりとりの中に真情を込める節度あるディレクションがよろしい。  ここでは少年と大人たちとの関係が重視されており、大人への成長が一つの主題となっている。 少年期のみの音域というのもドラマのポイントで、発表会大成功の単純なサクセスストーリーに終わらないのも脚本の妙だ。  次のシーンの音や音楽を先行させて前のシーンに被せる、いわゆる音のズリ上げを用いた繋ぎが多用されていているのだが、 対話の中に合唱が重なってしまって煩わしい部分もある。やりすぎは良くない。
[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2015-09-13 20:20:09)
9.  ボヴァリー夫人(1933) 《ネタバレ》 
本来ならば190分の作品が無残にも半分以上切られてしまっているのだから、 現在残されているバージョンで物語を追おうとすることには無理がある。 特に前半部の欠損が多いのか、いきなり場面が結婚後に飛んでいたりと展開の 慌ただしい事この上なく、混乱すら来たしてしまう程だが、それは少なくともルノワールの非ではない。  逆に物語を放棄する分、それぞれのルノワール的画面の映画性をより良く味わえるだろう。  確かにヴァランティーヌ・テシエは薹が立った印象でヒロインとしての魅力には欠けるのだが、 終盤の病床シーンの芝居などは圧巻だ。  家禽の行き交う田園風景の風情や、並木道を進む馬車の縦移動の緩やかな運動感もいい。 屋内シーンでもぬかりなく窓を解放しドアを開閉し、外の世界の広がりを豊かに画面に取り入れる。  パンフォーカスによって二間の部屋の奥、その又先にある屋外空間の事物・空気まで意識を伸ばしている。 『市民ケーン』(1941)に先駆ける、この意欲的な世界把握。傑出と云っていいだろう。
[DVD(字幕)] 7点(2015-07-13 16:55:07)
10.  ボクサー(1977) 《ネタバレ》 
『あしたのジョー』と『ロッキー』を折衷したような定番物語に 自らのルーツである演劇的な空間も採り入れつつ、 木場等の下町的ロケーションも意欲的に活用する。 当時の現役・元現役プロボクサーの記録映像的な趣向もあれば、 試合シーンに風音を響かせて心象化する実験的試みもある。 (成功しているとは云い難いが) そのごった煮で雑然とした印象が、魅力といえば魅力か。 当時のハングリースポーツ、ボクシングの泥臭さと哀調が強調されていて 独特の風情がある。  清水健太郎のファイトシーンも頑張っている。
[DVD(邦画)] 7点(2015-07-09 23:59:29)
11.  吼えろ鉄拳
初っ端から真田広之が銃弾の嵐を受けるように、登場人物の死も数限りない。 死臭漂う作品でありながら、一方ではコミカルなギャグも満載であるという辺り、 まさに出鱈目である。 が、そうした渾身の荒唐無稽こそが鈴木則文の魅力だ。  延々と続く追走、追走がまるで退屈にならないのは街中に 飛び込んだ大胆なゲリラ的ロケ撮影に漲るパワーと意欲ゆえである。  国内外、豊富な雑踏ロケーションでのアクション撮影には大胆さだけでなく 綿密な準備と段取りが必要なことだろう。  高層ビルの合間を素手とロープで昇り降りし、塀を飛び越え、断崖からジャンプする。 映画は様々な高低の装置を創り出し、垂直のアクションを展開する。  その個々のアイデアから積み上げられた逃走シークエンスであるがゆえに 観る者を飽かさず、俳優達がそのアクションを命懸けでこなすがゆえに 感動的でもある。 真田広之の運動神経、反射神経の素晴らしさ。それらは今現在の彼の活躍を 大いに納得させる。  断崖から落ち、波間に浮かぶ志穂美悦子の亡骸。 彼女を包む鮮血の「本物らしくない」鮮紅色。映画の赤である。  千葉真一の見せ場作りも抜かりない。      
[DVD(邦画)] 7点(2014-04-13 21:46:46)
12.  ホワイトハウス・ダウン
ドラマの中に登場するメディアが、テレビ報道から今やネット動画へ。 変わらぬ王道プロットだけに、そんな細部の差異が約20年の時代変化を感じさせる。  コンビの掛け合いは『リーサル・ウェポン』や『48時間』を彷彿させつつ、 二者の人種関係の社会的変化も隔世の感である。  ホワイトハウスは黒煙に包まれ、白シャツは綺麗な黒へと染まっていく。   格闘アクションはひたすら無骨で泥臭く、それを追うカメラも乱雑である。 建物の空間性を活かしきっているようにも思えない。  そんな格闘、爆発、破壊の描写を差し置いて、最も感動的なアクションを 担ってしまうのが、少女ジョーイ・キングの旗振りであるところが楽しい。  
[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2013-12-29 01:29:33)
13.  ボディ・アンド・ソウル
オープニングの、屋外練習用リングの俯瞰から 窓際のベッドで魘されるジョン・ガーフィールドへと移るショットの暗く不穏な情緒が 秀逸で、映画後半に時制が戻る際に反復される同一構図のショットでは そこに至るドラマの蓄積も相まって悪夢的イメージがさらに増幅されて印象深い。  リングサイド下からあおり気味に捉えられた実録風のファイトシーンの迫真と、 裏切りを知ったガーフィールドの狂気を帯びた表情が緊張に満ちた見事なモンタージュを象る。 負のスパイラルの中で主人公が葛藤するドラマのラスト、 観客を掻き分けながら駆け寄るヒロインの姿と、二人の後ろ姿のシルエットに 見る者も救われる。  助監督にはアルドリッチ。納得感がある。
[DVD(字幕)] 9点(2013-09-16 07:18:49)
14.  ボーン・レガシー 《ネタバレ》 
序盤、二階建てのレイチェル・ワイズ宅の外壁を身軽に登ったジェレミー・レナーが、 階上の採光窓を蹴破って二階廊下の侵入者を拳銃で狙撃する。  家屋の構造と空間を活かした、アクション映画らしきアクションは後にも先にもこの1ショットのみと云っていい。  それ以外は、前三部作を踏襲した高速カット割りがことごとく映画の運動を殺す。  マニラロケによる車線無視の乱雑なカーチェイスも頑張ってはいるのだが、 そこで終わりでは締まらない。 少しは徒手格闘の見せ場も無くては、敵暗殺者の脅威が際立たないだろうに。  何よりも、延々と続く近視眼的なアップの連続、その芸の無さが耐えがたい。 
[映画館(字幕)] 3点(2012-10-21 23:06:17)
15.  坊やに下剤を
トーキー第一作として、うがいや水洗トイレなどの水をめぐる音響を まず採り入れるあたりがルノワールらしいが、 何よりも全編ひっきりなしの対話の応酬が耳を引く。  連音(リエゾン)を巡ってのやりとりや、大仰な感嘆詞の連発など、 フランス語の発音自体の面白味をトーキーに活かしている。  主要な登場人物は5人、舞台は主に4つの屋内空間という簡素さ。  カメラはフィックスのフルショット主体で、登場人物の芝居も演劇調だが、 ドアからの出入りの活用と、複数のカメラでのアクション繋ぎによって 画面にアクセントを付けている。  印象的な効果音は、おまるの破砕音と水洗トイレの水流音。  少々物足りない感もあるが、あれもこれもと欲張らない分、 その即物的な音響はストーリーと絡んだ形で響き、 SEだけを浮き上がらせてはいない。そこが賢明なところだ。  お話自体は他愛ないが、スピーディなダイアログが映画を満たしている。 
[DVD(字幕)] 6点(2012-06-24 08:46:55)
16.  帽子箱を持った少女 《ネタバレ》 
娘ナターシャ(アンナ・ステン)と青年イリヤ(イワン・コワル=サムボルスキー)の 出会いと再会のシーンを始めとして、画面にたびたび登場する「両足」が 一つの主題と云っていい。  足や長靴そのものは勿論、凍った架橋で何度も滑って転ぶギャグや、 テーブル下での駆け引き、雪原の白い地平線を歩む登場人物など、 足を使ったアクションの充実もそうした印象を強化する。  人物の表情のアップとスラップスティックのロングショットの使い分けも メリハリが利いている。  その中で、奥行きを駆使した二人のラブシーンの画が印象深い。  ソファに座った二人を、奥にナターシャ、手前にイリヤの横顔を配して構図を決める。  当初は偽装結婚だったが今は本当に結婚したいと告白する彼女と、 周囲から賞金目当てととられるためそれは受けられないと固辞する青年。  その対話が、手前と奥それぞれフォーカスを変えた同一構図でショットが反復される。  現在なら1ショットのうちに簡単にピントを送れば済むところを、 当時の浅い焦点距離の限界のなかで手間をかけてフォーカスを調整し 奥行きを作りだそうと健闘しているのが良く伝わる。  現在の特権的な立場から見れば、ぎこちない繋ぎに見えてしまうだろうが、 そこには二人のすれ違う想いが画面として強く表現されているゆえに感動的だ。  映画のラスト近く、ナターシャが間違って自分の指を針で刺してしまうと、 イリヤはその指を口に含む。  すると彼女は次にわざと自分の唇を針で刺して、 彼に一歩二歩とすり寄りながらキスをせがむ。  その彼女のお転婆な歩みの動作がとてもキュートで可愛らしい。  そしてラスト、想い叶ってキスし合う二人のツーショットが幸福感一杯だ。
[DVD(字幕なし「原語」)] 9点(2012-06-20 21:46:24)
17.  僕の彼女はどこ?
鮮やかなテクニカラーが全編に亘って画面を彩る。  アバンタイトルの背景イラストと文字を始めとして、ステンドグラス・屋外の木々・屋内装飾・ベレー帽・衣装・劇中絵画・ポーカーテーブルなどなど、光の三原色(赤、青、緑)が徹底的に駆使されているあたりは、D・サークらしいこだわりぶりだ。  その混合であるシアン、マゼンタ、イエローもまた乗用車、ストロベリーシェイク、ドレスなどにそれぞれバランスよく配され、映画をさらに楽しくカラフルに染めている。 そしてその配置もポイントごとなのでケバケバしくなく、極めて上品だ。  その光の三原色が、映画ラストにおいて素晴らしい雪の「白」へと結集するのもテクニカラーの必然的帰結と云って良いだろう。  チャールズ・コバーンのユーモラスな演技も楽しいが、彼になつくおしゃまなジジ・ペルーもまた実に愛らしい。  質素な暮らしに戻ることを喜び、二人が興じるダンスシーンの幸福感は最高だ。  犬のペニーもまた素晴らしい。単に人間に仕込まれた芸を披露するだけの『アーティスト』のアギーなど足元にも及ばない。  演出家も予想できないような巧まざるリアクションを見せてくれてこそ、優れたアニマルアクターといえるだろう。  
[DVD(字幕)] 10点(2012-05-13 23:52:47)
18.  僕は戦争花嫁
戦禍の生々しく残るドイツの街並みを往くサイドカー。 その狭いシートに押し込められたケイリー・グラントとその横で颯爽と運転するアン・シェリダンの図が、このスクリューボール・コメディの女尊男卑を端的に物語る。  前半はドイツの農村の牧歌的なロケーションの中で繰り広げられる異性間闘争が軽妙で楽しいが、後半は結婚した二人と「男性社会的」組織との闘争となる。  狭いサイドカーや浴槽に押し込められ、ペンキ塗りたての柱に登らされ、さらには干し草の山に突っ込み、と散々な目に遭わされ続け、ベッドでゆっくり眠る事すらままならないケイリー・グラントの被虐の連続に、後半は笑いも少々弾けづらい。  その反面、結婚申請を邪魔した男性士官を派手に盆で殴り、グラントをリードしていくアン・シェリダンがひたすら痛快だ。 
[DVD(字幕)] 7点(2012-04-17 23:54:22)
19.  僕等がいた 前篇 《ネタバレ》 
同じ生田斗真出演、同じ釧路地区ロケでありながら、俳優にきちんと方言指導を施し、ロケーションを多彩に展開してみせた『ハナミズキ』の仕事のほうが数段誠実である。  主人公を取り巻く人間関係の展開、男女の距離の見せ方、映画的交通手段のあり方、季節の提示、携帯電話の用法など、様々な観点においてあまりにも演出が貧困でレベルが低い。  特に最初に挙げた二点のいい加減さは、作り手の単なる怠慢に他ならない。  方言は人物の人間味の演出と上京のドラマを語る上で必須の要件だろうし、主演二人の実力からすれば雑作もないことであるのは過去の出演作に明らかでありながら、それを課すことが出来ないのはスタッフよりもキャスト優位の環境ゆえか。それら手抜きの集積によってキャラクターの生活感が失われていく。  説話の効率の悪さも致命的である。  一例だが、生田斗真と吉高由里子が噴水のベンチで語り合うのを、本仮屋ユイカが見ていたというシーン。縦の構図一発で十分に語れるものを、俳優のスケジュールの都合かどうか知らないが、ショットをただただ官僚的に連ねひたすら説明に勤しむ。その繰り返し。 おまけに、使いどころを間違えているとしか思えない劇伴音楽がひたすら耳障りだ。  そうした陳腐で不出来なドラマと、要領の悪い語り口が駅での別れまで延々と続く。 結果、この程度のオハナシが自堕落に引き延ばされ、詐欺のごとく二時間超まで弛緩する。  そして結局、肝心の主演二人の人物像すら満足に描写できていないという体たらくだ。  後篇まで付き合う気は無い。
[映画館(邦画)] 1点(2012-03-31 23:39:01)
20.  ぼくのエリ/200歳の少女 《ネタバレ》 
あちらこちらのサイトで「一つ覚え」のようにあげつらわれる検閲批判をこそ嗤う。  それは問題のショットが、単に通俗的な種明かしに過ぎないだろうからだ。 一義的な「正解」を映画に説明してもらわないと安心ができない観客たち。  相手の性別や種族がどうであれ、少年がその存在に既に惹かれ、受け入れている以上、彼が何を目撃したとしてももはや問題ではない。 本来ならば、リーナ・レアンデションが自身の性について語る2つの台詞と、カーレ・ヘーレブラントの目線のショットのみでニュアンスは誰にでも十分把握出来るはずだ。  彼の主観による下半身ショットは、酸で焼け爛れたベール・ラグナルの右半面を窓ガラスへ「ぼかし」気味に反映させた後さらにわざわざ明瞭に露呈させる2つのショットと同様、通俗的インパクトの為の蛇足にすぎないと言っても良い。  原作に依存した「模範解答」など、映画の解釈の多義性を狭めるだけだ。 そのような「外部情報」に依らずとも『ぼくのエリ』は、具体的画面の有り様において映画単体で十分素晴らしいのだから。  検閲を問題とするなら、解釈の「ボカシ」をではなく、画面自体の汚しを問題とするべきであるし、映画が、冒頭から「赤」の連鎖(あるいは伝播)を明確な視覚的主題としているなら、問題のショットに写るワンピースの色の有り様にこそ敏感になるべきだろう。
[映画館(字幕)] 8点(2011-10-19 22:27:21)
010.11%
150.53%
2202.14%
3384.06%
4717.59%
510311.00%
610811.54%
721522.97%
821823.29%
911412.18%
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