1. M★A★S★H/マッシュ
《ネタバレ》 戦場や軍隊というものに関して戦争映画からの知識しかないが、アメリカ軍ってのは他の国(とくに日本)なんかと違って、わりとくだけたイメージがあって、だからこの作品でのハチャメチャ行為も突拍子も無い行為には見えず、つまりコメディとしてとらえられずに鑑賞していたんだけど、中盤あたりからそのハチャメチャさがどんどん加速していきコメディ色が強くなってくると段々と面白くなってきた。ハチャメチャさが増大するごとに彼らの本業である手術シーンの大真面目ぶりがより強調されてゆく。ここに命を奪い合う場所で命を懸命に救うという矛盾が浮かび上がってくる。この作品はたしかに反戦映画なのだろうが、他の反戦映画のようなストレートさはない。というか、戦争を批判せずに戦争の本質を批判するという高尚(?)な技を使う。ハチャメチャ主人公は最初から最後まで軍の規律を破り続ける。ここは徹底している。勝手に使用できないジープで転任するシーンから始まり、日本での軍の病院では許されない民間人の子供の手術まで。その一方で軍の規律に従順な者を貶めてゆく。軍規を守って戦争に従事することとどんな人間でも片っ端から助けてゆく行為のどちらが人間的か。また軍規を破るというのは軍隊というシステム、あるいはそのシステムを構築した上層に君臨する者を批判するということ。この上層に君臨する者たちが戦争を起こすのだ。まわりくどい反戦映画である。でも本質を突いている。 あと、アメフトの応援をするホットリップ看護婦長に大いに笑ったのだが、彼女は権威の象徴として登場したことで散々な目に遭ったあげくに権威がなんの役にも立たないことを自覚して権威という服を脱ぎ捨てるという、この作品の要とも言える役回りを任されている。 [DVD(字幕)] 7点(2008-10-08 16:06:06) |
2. 魔笛(1974)
ベルイマンが「オペラ」で認める2作品のうちの1つがこの「魔笛」なのだそうです。この作品を観た際にオペラを専門とする方のトークショーがあったのですが、第二幕がモーツァルトのスコアよりも構成がうまくわかりやすいと絶賛されていました。難解にとられがちなベルイマンですが、彼は映画はエンターテイメントだと言い切っています。そしてそのエンターテイメントは観客のためにあると。それが顕著に表れているのがこの作品だと思う。上記の第二幕の脚色もそうですが、本来のドイツ語ではなくスウェーデンの子供たちにもわかるように(そもそもテレビ放映用に作られている)スウェーデン語が使われており、さらに歌のシーンで字幕板まで登場します。それでもちゃんとオペラ歌手を使って作ってあります。一部の富裕層だけに楽しまれる「オペラ」を大衆にまだ引き下げ、いやこの場合“引き上げた”と言う方が的確でしょうか、つまり芸術は全ての人が楽しむ権利を持っているということがベルイマン思想の根底にあることがじゅうぶんに伺われます。クローズアップの多用はオペラグラスで観た視点ということかもしれませんが、映画だけが持つ視点でもあり、真上から、あるいは真後ろからの視点という劇中劇でありながらも演劇には不可能で映画では可能な視点の提供は「これは映画である」という主張のような気がしました。とにかく「映画」と「オペラ」を楽しみました。 [映画館(字幕)] 7点(2007-03-12 16:24:48) |
3. ママ
さすがに強盗の心配はしたことないですけど、窓から落っこちるんじゃないかという心配は常々あります。ヨメさんが家にいるのに。(ウチの子供は昼寝をしないがヨメさんは昼寝をする。オイオイ!)最近窓に柵がわりの小さなベランダ(と言っていいのか)をつけました。でもその気になれば簡単に乗り越えられます。他にも危険はいっぱい。玄関から吹きぬけの二階から落ちることだってあり得る。(実はつい最近、そういう事故を目撃しちゃったんです。)ひとときも目を離さずに子供を見るのは不可能。一方、好奇心旺盛な子供は何をしでかすか予測不可能。今日も無事でいることに、健康であることに、子供を守ってくれたすべての者に、すべての偶然に感謝です。ママの涙に共感します。毎日が感謝。もちろんヨメさんにも感謝。 7点(2004-09-29 11:00:19)(良:1票) |
4. まわり道
普通、ロードムービーというのはその道すがらに起こる事件や同行者との葛藤等を通して、そこに主人公の成長が見られたり感動があったりするものだが、この作品にはそういったものが何も無い。実際にはいろいろなことが起こっているのに主人公が起こっていないと思っているから、何かが変わるなんてことがあるわけがない。旅をすれば何かを得れるだろうと思うのはとんだ間違いで、本人が何かを得ようとしなければ何も得ることは無い。最初から最後まで”まわり道”ですべて無駄に終わる。ロードムービーを否定したようなロードムービーである。私にはちょっと難しいのか、良さがあまり解からない。でも嫌いではない。印象に残るのは散歩道での延々と無駄に続く会話と景色。そして終始何も語らないナスターシャ・キンスキーの瞳。 6点(2004-02-19 13:56:28) |
5. マッドマックス
リアルタイムで見た人の評価が高く最近見た人の評価が低いような。私もリアルタイムで見てかっこいいと思ったクチです。思春期真っ只中に見たダークなヒーロー像は感情移入するのにうってつけのヒーローだったのです。当時の私の妄想の中ではよくうちの親や弟は殺され私が鬼と化し復讐に行ったものです・・・。 そして言うまでもなくインターセプターの加速時の音には誰もがしびれたはず。家族が殺されるシーンはショックだったが、なんでそんなところを逃げる?と思ったこともよく覚えている。 7点(2003-10-23 13:38:01) |