1. マダムと泥棒
《ネタバレ》 前半は『黄金の七人』のような完全犯罪もので、それはそれで十分面白いのですが、後半ウィルバフォース夫人に正体がばれてからはさらに面白い。おばあさんがゾロゾロ現れるあたりは抱腹絶倒。その後の疑心暗鬼もサスペンスがあってよいです。ちょっと人物の心理展開に「?」となる部分もありますが、大きな傷ではないでしょう。なんと言っても、五人組の末路と最後のオチが強烈。なかなか練られた脚本ですが、キャストもそれぞれうまくてバランスがとれています。『名探偵登場』はアメリカ的なミステリ・コメディでしたが、こちらはいかにもイギリスという気がします。邦題は原題にずいぶんと負けていますね。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2016-02-05 23:31:11) |
2. マックィーンの絶対の危機(ピンチ)
《ネタバレ》 やはり個人的には『人喰いアメーバの恐怖』という方がピンと来ます。かなり久しぶりに見ました。字幕で見るのは初めてですね。 低予算B級映画で、そういうのは嫌いではないのですが、これは残念なところが結構ありました。まず、本筋に関係のないスティーヴと仲間たちの会話が結構長い。つまり、時間稼ぎが多いということです。そのおかげで、前半はかなりモタモタした印象を受けてしまいました。あの辺はカットしてもよかったと思うのですが、短すぎて映画として成立しなくなるかもしれませんね。あと低予算ということで、映像的には見どころが少ない。怪物が人を襲うところは、暗い上にあっという間に場面が切り替わって、なにが何だかわかりません。クライマックスのレストランが燃え上がるところもまったく映さないし。警部の顔をながめてもしかたがないですね(かわいい女の子ならともかく)。 ということで、覚えていたほど面白いとは思いませんでしたが、アイデアはいいと思いますし、怪物がちゃんと映っているシーン自体はよくできていたと思います。最後も気が利いています。 あと、主題歌が脳天気で笑ってしまいました。これがいちばん意外だったかも。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2014-08-12 20:44:21) |
3. 真昼の決闘
《ネタバレ》 社会派西部劇といった趣ですね。帰ってくるならず者がどれだけ悪くて、かつてどんなことをしたのかは、実はどうでもいい。そいつが帰って来るということが起こす波紋が、本作の主題ですから。起こるであろう悶着を、保安官個人の問題として片付けていいのか、そいつは本当にほかの町の人には危害を加えないのか。結局仮定の話であり、そこには正論などありません。単純に正義とか悪とかいった言葉で片付けられないだけに、現実感があります。ほぼリアルタイムで進行するのも、物語のリアリズムを生かすためでしょう。 主人公の保安官は、苦悩しながらも“信念”を持った人間として描かれています。何となくドラマ『男たちの旅路』を思い出しました。少なくとも、信念を持つことは重要ではないかと思います。 本作の弱点は、当時のハリウッド映画の原則として、「主人公が勝利しなくてはいけない」という限界を破れなかったことでしょう。「力には力で対抗するしかない」という、いかにもアメリカ的な解決をとっています。しかしそれでも、新妻に助太刀させるという皮肉な結末を迎えています。人を射殺した彼女がこれからどんな人生を送るのか、それでまたドラマが作れそうです。そういう点からしても、一筋縄ではいかない深みのある作品でした。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2011-11-24 20:58:45) |
4. まらそん侍
《ネタバレ》 なにしろ55年も前の映画ですから、のんびりのびのびしたコメディに仕上がっています。家宝が金のキセルとか、とぼけた味が出ていますね。もっともお笑いだけでなく、恋のさや当てに友情物語と、青春ドラマの側面が強かったように思います。それにキセル盗難がからむのですから、下手をすると散漫な展開になってしまいそうですが、そこをうまくまとめていたのがよかった。特にお糸は、花を添えるだけでなく必然性のある役回りで、こうした人物配置もうまかったと思います。 出演者では、勝新太郎の色男ぶりにビックリ。テレビの座頭市以降しか知らないので、本当に別人かと思うくらいです。悪党トリオのトニー谷・益田キートン・旭輝子も楽しいのですが、藩主夫妻の会話がいちいち漫才になるのがおかしかった。マラソンをしているのに絶対まともに走らない大泉滉もいて、おなかいっぱいです。難しいことを考えずまったりと楽しむのに最適な映画でしょう。あまり知られていないと思いますが、もっと知名度が上がってもいいかも。 [地上波(邦画)] 7点(2011-10-15 17:37:19) |
5. マーティ
《ネタバレ》 これはよかった。誠実な男女の出会いを描く一方、子供の結婚によって孤独となる親の問題を扱っていて、現代でも十分通用するところがあります。晩婚化が進んでいるのでなおさら。普通のカップルが登場するだけなのに、これほど魅力的な物語が展開するとは、まさにマジック。アーネスト・ボーグナインといえば、こわもてのおじさんというイメージがありますが、まったくちがった役で意外性があり、しかもぴったりはまっています。適度にユーモアもあって楽しめます。知名度は低いと思いますが、隠れた秀作ですね。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2010-09-21 19:53:46) |