1. ミーン・ストリート
《ネタバレ》 ”ダメ”なロバート・デニーロが凄い。恐いくらい上手い。70年代の汚ったない街角の画もそれなりに情感たっぷりで引き込まれます。 ダメな奴はダメなまま。借金を返せないレストランは人手に渡る。ある晩は抗争の一端で人が撃たれて死ぬ。そんなミーン・ストリートをゆらゆら漂うデニーロとカイテル。 冒頭の8ミリとか全編のすすけた雰囲気とかはまさにスコセッシ節が全開。散文詩のように苦い時代を切り取っているけれど、これがほんとに「散文」で、時に冗長でおさまりが悪く(長いケンカのシーンとか)感じます。物語の中心となる大筋を一本びしっと決めてほしかったな。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2018-12-04 17:05:35) |
2. ミスター・グッドバーを探して
《ネタバレ》 D・キートン扮するテレサは心が壊れてる。メンヘラな彼女が生きたのが退廃感漂う70年代だというのが状況の酷さを加速しているよう。父権主義の強すぎな父親から逃げ出して、酷薄な教授、わが身可愛い生活保護課の男、ゆきずりの男たちに至ってはヒモに前科者に泥棒警官に、と手当たりしだい試してみたけど結局彼女は“グッドバー”氏には巡り会えなかった。 メンヘラであばずれではあってもそれは彼女の一面で、他方では他者への共感性が強く優しいテレサ。妹を理解し、聾の生徒たちには心を込めて接し、男の嘘八百な身の上話に胸を痛める。男との情交の合間に汚い部屋で授業用の資料を作る、先生テレサ。 彼女をめった刺しに追い込んだのは一体何なのか。婦人運動だの性の解放だのとかまびすしかった時代に、R・ブルックスが一石を投じたような衝撃作。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2013-11-11 01:13:17) |
3. ミッドナイト・エクスプレス(1978)
《ネタバレ》 ひぃー、これは“ミッシング”と並ぶ、“外国で捕まっちまったらエライことになるんだぞ”映画でした。これまた実話というのが恐怖二倍増し。主人公はたしかに馬鹿で愚かなアメリカ人の若者だけれども、当初の懲役で罪は償ったと思うよ。なにも見せしめに終身塀の中でいじめ続けられなきゃならないことはない。彼女との面会の場面は“囚われることの非情”がピークに達して印象強烈。アルバムに「実弾」、このくだりはおお、と思ったものです。 [ビデオ(字幕)] 7点(2013-05-09 00:22:03) |
4. ミツバチのささやき
お話に奥行きがありすぎて、自分がどこまでたどり着いているのか分からないけれどこの映画は他の何と比べることのできない唯一無二の存在。この映像。洗い落としたような素朴な色彩。びょうびょうと風が吹き渡る荒野にぽつり、と一軒の廃屋、井戸。目が慣れるのに時間がかかりそうなほど暗い室内と、陽の光でそこだけ切り取られたように白く輝く窓枠。そこにぽん、と置かれたアナ・トレント、彼女の瞳。映像が伝える静かな衝撃に身体が震えるようだ。少女という生き物が内包する精神世界を、妖精のようなアナ・トレントが奥へ奥へと案内してくれる、夢見ているような1時間半。 [ビデオ(字幕)] 8点(2012-10-26 00:43:19) |
5. 未知との遭遇
意外といろんな解釈が飛び交いそうな一筋縄でいかないお話でびっくり。楽しい娯楽大作、ではないのですね。映像は今この時代でも絢爛で、マザーシップ登場でウチのテレビがびかびかと光り輝いた時はちょっとおお、とのけぞったほど。当時映画館で観れていれば、さぞ強烈な思い出になっただろうと思われる。五音の旋律でコミュニケーションを取ろうとしてるけど、どういう意味があるのか判然としないまま打ってるのが心許ないよお。母船の中の会話が漏れて、「直帰って書いといて」とか「つぶあんにしとけば良かった」とかいう意味だったらどうするんだ。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2012-02-07 01:50:29)(笑:1票) |