21. 夜の上海
日中共作ということで、親しみやすい内容になっている。 音楽が秀逸。 海外での男女の一期一会を描いた内容は、とても好き。 ヴィッキー・チャオ、ディラン・クォが、日本人俳優と共演しているのも、とても新鮮だ。 キャストがとても魅力的でもある。 純粋なアジア映画として観た時に、少し不協和音を感じなくもない。 だが、日本人が仕事で上海に行き、そこでひょんなことから、中国人女性と一期一会の出会いが生まれるという設定に関し、日中共作の良さが発揮されていたように思う。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2014-10-27 22:45:36) |
22. 四十二番街
ストーリーはありきたりなもので、ミュージカル映画として成功したという意味での歴史的価値はあるかもしれないが、作品の面白さとしてみると、凡作の様にも思える。 ただ、逆に新鮮に感じられた点は、全編をミュージカル調で突き進む型のミュージカル映画を、今までに沢山観てきた中で、ミュージカル映画の元祖とも言われる本作は、ほぼ9割は普通のドラマであり、ラストのブロードウェイ・ミュージカルの本番シーンだけが、純粋なミュージカルという構成だったというところ。 いわゆるお馴染みの、“全編を歌って踊る”ミュージカル映画が苦手な人でも、難なく入り込める新鮮さが、むしろこの古きミュージカル映画にはあったりするのが、現代からみると面白い。 [ビデオ(字幕)] 5点(2011-05-05 23:49:22) |
23. 42丁目のワーニャ
舞台劇の練習中をそのまま撮影して映画化したという、何とも不思議な味わいのする作品。 会話が中心だが、この会話がまた面白い。 理屈っぽいけど、分かりやすく、そして興味ひかれる会話の数々。 特にドクターとワーニャの語りは面白かった。 名匠ルイ・マル監督の遺作であるが、遺作として申し分ない出来ではないだろうか。 様々なジャンルの映画に常に挑戦し続けてきたルイ・マル。 その最後を結ぶ作品が、これまた斬新な設定内容で、最後まで守りに入らないルイ・マルの、映画作家としてのチャレンジマインドに敬服する思いである。 [ビデオ(字幕)] 7点(2011-04-22 19:42:44) |
24. 夜の大捜査線
都会の刑事と、所轄内におけるその所轄警察官との力関係に興味をそそられた。 話の内容に関してはそれなりに理解できたが、うまく犯人が見つかりすぎという印象はぬぐえない。 しかも、都合よく犯人の目星が二転三転し過ぎ。 その分、二時間ドラマを観るような飽きにくさと、卒のない面白さは感じられた。 黒人を刑事を演じたシドニー・ポワチエは、地味ながら確かな実力を感じさせた。 警察署長役のロッド・スタイガーの演技も負けず劣らずに良い。 二人の確かな演技が土台にある、安定感を感じる作品でもあった。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2011-02-19 18:12:02) |
25. 酔いどれ天使
三船敏郎が20代の頃の作品で、後年の脂ギッシュで貫禄のあるイメージがあるだけに、新鮮味を感じた。 話としては卒がなく楽しめる内容。 脚本ありきの黒澤映画は多少苦手だが、これは案外すんなり観られた。 ヒューマニズムがいきすぎていないのが良い。 『赤ひげ』までいってしまうと、クド過ぎるので・・・ [CS・衛星(邦画)] 6点(2010-07-08 22:21:01) |
26. 欲望という名の電車(1951)
《ネタバレ》 夫を自殺で亡くしたショックから、色情狂になり、幻聴・幻覚・妄想状態に陥った姉。 それをあくまで温かく包容し、味方の立場を貫き続ける妹。 乱暴ものながら、妹を愛し、あくまで家族を守りたいと思う不器用な妹の夫。 そして、姉に翻弄され騙されるみじめな中年男。 これらの主要人物のキャラクターはそれぞれはっきりと描かれており、それが複雑で哀しい人間ドラマを盛り立てる。 姉は自分が老けて醜くなっていくのをひたすら恐れている。 これは女性だからこその心理かもしれないが、人間なんてものはやがては老いて朽ち果てて、最後には死んでいくのが当然であり、そんなことにこだわり狂気する姉は愚かだとしか思えなかった。 この作品を女性が観た場合と男性が観た場合とでは、この姉に対する感情移入の度合いが異なってくるかもしれない。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2010-05-31 23:49:05) |
27. 四畳半襖の裏張り しのび肌
《ネタバレ》 何でもアリの内容だが、そのてんこ盛りな内容の割には面白くはない。 だが、撮影方法が斬新で、様々な趣向が凝らされており、撮影技法を堪能できた。 それにしても、あの主人公の少年は気色が悪かった。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2010-04-13 19:17:12) |
28. 汚れた血
多様なジャンル性を持つ作品で、音楽・近未来SF・ロマンス・サスペンス・犯罪などの要素が複雑に絡み合い、なお且つヌーヴェル・ヴァーグ的な風味を併せ持ったフランス映画だ。 主人公アレックスが、音楽にのって右へ右へくねりながら疾走するシーンは特に印象的。 そして、レオス・カラックスならではの、青や赤や黄色を使った色使いも美しい。 前半は、小難しいフランス映画と思い、嫌気が差し始めたが、後半になるにつれ、その不思議な世界に酔いしれるまでになった。 二度三度観たら、いや観る気は起きないが、もし観たらその世界観に更に浸れるかもしれない。 次は『ポンヌフの恋人』を観ようかな。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2010-03-08 23:43:24) |
29. 夜よ、こんにちは
サスペンス的演出がなかなかに良く、緊迫感をもって楽しめる。 ただし、題材が個人的には興味をひかれるものではなかったのが残念である。 ブルジョアと労働者階級との闘争に、キリスト教会的権威も絡めた内容だが、そんなことに大した興味のない人が観ても、十分に楽しめるとは言い難い。 [DVD(字幕)] 4点(2010-01-01 02:52:44) |
30. 楊貴妃
本作でもやっぱりオープニングは重厚感があって素晴らしかった。 溝口後期の作品は、オープニングだけでも楽しめる。 しかし内容は評判通り、あんまりよろしいものではなかった。 明らかに溝口が苦手なジャンルに手を出したというか、そもそも、日本人オールキャストによる日本語の楊貴妃物語なんて、設定に無理がありすぎる。 そんな無理な設定で、よく完璧主義の溝口が最後まで匙を投げず撮りきったものだと感心してしまうほどだ。 おそらく部屋のセットとか調度品を見せたいがためであろう引いたショットが続き、名優、森雅之の演技すらも堪能できない結果となっている。 ただし、全てがダメかと言ったら、そうでもなくて、溝口作品ならではの奥深さと気品が画面全体に広がっていた。 そして、京マチ子じゃなく、当初の配役であった入江たか子の楊貴妃で観てみたかったという思いが沸々と湧いてきた。 [ビデオ(邦画)] 5点(2009-11-15 00:42:29) |
31. ヨコハマメリー
《ネタバレ》 久しぶりに号泣し、心が打ち震える程の感銘を受けたドキュメンタリー。 横浜は伊勢崎町の名物白塗りおばあちゃん“メリーさん”を追ったドキュメンタリーではあるが、実質的には、シャンソン歌手の永登元次郎氏の人生が綴られた構成になっている。 若き日の想い出、死ぬほど愛した人との想い出、それらが永登元次郎氏の歌には込められている。 DVDに特典映像として収録されている、永登元次郎ラストショーを観た時、人生というものの美しさ、儚さ、残酷さ、そして素晴らしさに心を打ちひしがれた。 私も、死ぬ間際にはこういう心境で死を迎えたい。 そう、切に思った。 本作を観た後に、このDVD特典映像を観ることをオススメする。 この特典映像を観ることによって、この作品と出会えた事の感動が、心にざわざわと湧いてくるに違いない。 本ドキュメンタリーは、紛れもない傑作。 この映画を作り上げた監督に賞賛の拍手を送りたい。 [DVD(邦画)] 8点(2009-04-20 00:08:19) |
32. 欲望のあいまいな対象
観ているこちらも翻弄されるほどの内容。 老人が10代の娘に性欲を刺激され、侮辱を受けながらも必死に追いかける様は、男にとっては目を覆いたくなるような辛辣な内容だ。 随所に見られる刺激的で突飛な出来事は、飽きさせない有効なスパイスとなっている。 遺作らしいが、最後にこんな傑作を作ったブニュエルは凄い人物と感心させられた。 男の偏執的な性愛を描かせたら、ブニュエルの右に出る者はいないだろう。 遺作にして、私が観たブニュエル作品の中で最高に面白かった。 [ビデオ(字幕)] 7点(2008-11-29 22:12:53) |
33. 夜の河
エロチシズムを安っぽい濡れ場でみせることなく巧く描いている。 最近の邦画をみると、「とりあえずベッドシーンを入れておこう」といった安易な演出、安易なエロシーンが多く、レベルが低いと感じる。 しかし本作には、そのような稚拙で安易な演出はなく、光の加減や足袋などを映すことによって絶妙に描いている。 山本富士子と上原謙は、両者とも完璧な演技をみせてくれる。 ただし、不倫というテーマはやや苦手なので、その辺が少しひっかかった。 [ビデオ(邦画)] 7点(2008-10-06 00:21:15) |
34. 用心棒
相変わらずヒューマン臭が強く、うまくまとめすぎ感のあるストーリーは、私の黒澤作品に対する苦手意識を払拭するには至らなかったが、娯楽作品としてまずまず楽しめた。 それにしても、司葉子が3番クレジットにしては、出番が少なすぎる! 黒澤映画は、男を優先し過ぎ!! [CS・衛星(邦画)] 7点(2008-09-05 00:22:22) |
35. 夜の流れ
《ネタバレ》 最初の興味は、私の好きな監督である成瀬巳喜男と川島雄三が共同監督である作品だということだった。 しかし、その興味は司葉子のまばゆいばかりの美しさの前にあっという間に消し去られてしまった。 司葉子の美しさは、撮る監督によって大きく上下に振れる。 その中にあって、成瀬巳喜男がその遺作である『乱れ雲』で、司葉子の美しさを完膚なきまでに映し出した様に、やはり成瀬巳喜男が司葉子の美しさを最もうまく引き出すことのできる監督だと思われる。 司葉子の美白、特に首元から鎖骨にかけて、そしてスカートから伸びるほっそりとしたふらくはぎ。 もう、これは観ているだけでため息のでる芸術品。 その芸術品を観ることができるだけでも本作は十分な価値があった。 話としては、男女の醜いまでの惚れた腫れたを、しつこいくらいに描いている。 無理心中をはかる情けない中年(北村和夫)、金で芸者をものにしようとするが、無理と分かった途端、情け容赦なく金で一切の関係を清算する初老の男(志村喬)、戦争の傷を言い訳にして年上の女を翻弄した挙句に面倒になって逃げる去る板前(三橋達也)、その板前に逃げられ包丁で男を刺し殺そうと狂う中年女(山田五十鈴)、芸者たちに酒を飲ませ車で乱暴をはたらこうとするボンボン学生達、男にふられて自殺未遂を何度も起こす女(市原悦子)、などなど、まるで「男女泥沼の群像大河メロドラマ」の様相だ。 そのしつこさとジメジメとしたストーリー展開は、決して心地の良い類いのものではなく、観た後の気分は鬱々としたものになった。 そういう意味では決して好みの作品ではないが、男女の泥沼的で汚らしい愛憎劇を徹底的に描ききった部分は評価したいし、何より司葉子が最も美しく撮られた作品の一つとしては高く評価したい。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2008-08-24 21:22:10)(良:1票) |
36. 四畳半襖の裏張り
《ネタバレ》 セックス・シーンがほとんどで、いかにも日活ロマンポルノといった感じの作品。 内容は非常に乏しく、当時の日活の低落ぶりを実感できる。 出てくる女優も魅力に欠ける。 そんな中、唯一楽しめたのが、部分に挿入される文字の数々。 なかなか含蓄のある面白い言葉が多かった。 [ビデオ(邦画)] 3点(2008-08-08 01:21:41) |
37. 夜のピクニック
《ネタバレ》 80kmをひたすら歩くロード・ムーヴィ。 前半は話が掴みづらく、やや難儀したが、後半がなかなか良い。 そして音楽がいいせいか、観終えた後の気分が意外と良い。 地味な作品だが、スピンオフ作品『ピクニックの準備』も観てみたい、と思わせる魅力があった。 そして本作のテーマとなっている「歩行祭」。 これって良いなぁ。 こんな高校祭が、自分が高校生の時にあったら、しんどいけど、さぞかし楽しいだろう。 一生の想い出もできそうだしね! [CS・衛星(邦画)] 6点(2008-06-03 22:39:28)(良:1票) |
38. 夜の女たち
溝口作品の鑑賞31作品目! 残すはあと4本! しかし・・・ これは大したことのない作品ですね。 田中絹代がパンすけ役を演じきれていないのです。 全く様になっていません。 無理に頑張っているのが伝わってきてしまっています。 戦後の世相を反映しているという点においては、見所はあると思いますし、成瀬作品バリに風景描写がリアルに描かれていて良かっただけに、何だかもったいない。 それにしても、溝口作品は大傑作も多いが、失敗作がそれ以上に多い! 未見の溝口作品4本も、あまり期待できない感じです・・・ [DVD(邦画)] 4点(2008-04-04 23:33:59) |
39. 四つの恋の物語(1965)
吉永小百合より断然、芦川いづみ! 芦川いづみの美しさが何より際立っていた。 最後も晴れやかな幕切れで気分爽快。 難しいことを考えずに、女優たちの美しさと楽しさを満喫すべき作品である。 [ビデオ(邦画)] 6点(2007-11-21 00:34:10) |
40. 欲望の翼
関口宏バリの姿勢で一気に女を口説き落とすレスリー、もうかっこよすぎです! ウォン・カーウァイ作品の中でも『恋する惑星』に次いで大好きな作品ですね。 [ビデオ(字幕)] 8点(2007-10-15 12:05:48) |