1. ラヂオの時間
《ネタバレ》 場が職場であれ町内会の会合であれ学級会であったとしても、人が集まると異論噴出して調整不可、なんてこと誰でも経験あるんじゃないですかね。ラジオドラマ制作現場で勃発するそんな「あるある」。笑いました。「ああー分かるわー○○が気の毒」「○○が折れろよ」等、観る者等しく共感を誘う見事な脚本です。(○○には観る人によって違う人物が入るでしょう)。 誇張されたトラブルの数々は次々と畳み掛けるように発生し、役名変更を発端にどこまで展開できるのかが見どころでありますが、シナリオから音響までこうもたくさんバラエティに富むとは、三谷氏の才気に感嘆しました。 ごたついた現場で光り輝くのは現状をせめてベターに着地させようとする者。ここで一番尊いのはラストの花火を見事に演出した警備員のおひょいさんでしょうな。あ、「客」としての存在である渡辺謙も大事なキャラクターですね。外からの評価が、最後にスタッフにもたらされたのです。あまり平均的な感想とは思えないですけどね笑。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2019-05-20 17:58:53) |
2. ライフ・イズ・ビューティフル
観終わるまでが本当にしんどかった。ああいう形で人間の残酷さから我が子の心を守った父親の、渾身の子育てにただただ圧倒された。最後に一等賞の戦車を登場させてくれて嬉しい。この子は一切ナチに傷つけられることなく生き延びた。ひとりでも実在していてほしい。実話であってほしい。 [地上波(吹替)] 8点(2012-09-23 01:32:38) |
3. ラウンダーズ
《ネタバレ》 見どころはもちろん、緊迫のポーカー勝負の場面。ルールに詳しくなくても観る者をマットと一体化させて緊張を煽ってゆく演出がすごい。私は喉がからっからになりました。「マイク帰れ、帰るんだ!」とも叫びましたし。 悪友が巻き込んだトラブルをどう収めるのか、また将来をどう選択するのか、など主人公に課題を複数抱えさせ、きちんと全部回収した脚本も巧い。文句なしのラスト。温情溢れる老教授の存在は無くてはならないですし、プロのプレイヤーとしてクニッシュを置いたのも良い。彼は「欲を出さない」ことを基本理念に15年ものキャリアを誇り、マイクに”正しい”教示を与える。で、マイクは知っているのです。クニッシュも元カノも正しいということを。しかし才能を抱えるゆえに心の奥では「小さく稼ぐ」ことに納得がいっていない。敬意を抱く先輩プレイヤーの教えも、教授の示唆もマイクにとって逆に働くのが人生の綾というか、おもしろいなあと思います。 マット・デイモン、初々しいですねえ。賢いキャラがほんとにハマる人です。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2017-05-10 23:55:00) |
4. ラン・ローラ・ラン
いっぱい実験的なことやってますけど、思い切りの良さとイキオイがあって面白かった。 疾走感が伝わる撮り方が良い。ローラの切る風を感じることができる。 F・ポテンテの走り姿も美しくて良い。 80分という尺の短さも良い。 それにしても人生の可能性っていろいろあるもんだなあ(笑) [CS・衛星(字幕)] 7点(2016-07-22 00:07:07) |
5. ラストサマー
《ネタバレ》 初見(十数年前)の時は「うわつまんね」と思ったものだった。不興の原因は”犯人が唐突”ということだったのですが、それはまあ今回観直してみてもやっぱり「何このオヤジ」ではあったんだけど、でもこの映画、ばかにしないで観てみたらわりとサスペンスの演出が良いことに気がついた。 魚を水揚げする工場での、氷に刺さった鉤爪が次の場面消えていたり、クイーンの女の子が追い詰められた夜のパレードの描写。点滅するライトと喧騒にかき消される悲鳴。新しい手腕ではないけれど、観る者を怖がらせようとするヤル気がある。トランクの中一杯の魚と死体が消えちゃうのはやり過ぎだと思うけど。 筋運びは粗だらけなのだけど、映画はデートでしか観ない10代の子らに受けたのは分かる気がします。 [地上波(字幕)] 4点(2016-11-15 00:31:20)(良:1票) |
6. ラスト・ウェディング
《ネタバレ》 しまった 病が絡む話が苦手な人間には地雷映画でした。「余命うん年の花嫁」とか、タイトル一発で分かるものは避けて来れたのだけど。 直球にベタな内容なれど、お涙頂戴にならないようにとの作り手の努力は伺える。美しいロケーション、人物らもからりと明るく湿っぽくない。 だけど辛いことへの心の耐性が低い人間にとっては、喪失を受けた側がその後の人生をどうやって生き抜いたのか、そちらの方を聞きたい。世の中は悲劇でいっぱいだ。生きている人間の生き様にこそ、人生への示唆があるように思うのだけど。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2016-10-20 00:09:10) |