1. リンダ リンダ リンダ
《ネタバレ》 ガールズ・バンドを題材にした邦画としては文句なしの最高峰でしょう。 オープニング、いかにも意識が高い高校生と言った感じのカメラに向かっての主張に、「うん、あったよね、こういう青春の恥って」と思わずうなずいてしまう人が多いんじゃないでしょうか。男女高校生たちのやり取りがまた自然な感じで、とてもリアル。どう見ても田舎の地味な高校に韓国人留学生がいて、その音楽素人の娘がなぜかバンドのヴォーカルになるという不思議なプロットなのに、その留学生がぺ・ドゥナだからそれだけで納得させられちゃうんです。あの“妄想MC”はこの映画で屈指の名シーンでしたが、ラストで突然盛り上がる体育館の観客たちも実はぺ・ドゥナの妄想がなせる業だったのかも(笑)。 香椎由宇は“こんなJK田舎の高校にいるかよ、でもほんとだったらかなり嬉しい…”と妄想させてくれるほどビジュアル的には光って(浮いて?)いました。でもバンドのベースはBase Ball Bearの関根史織だったので、演奏の見た目としてはかなり様になっていました。そしてME-ISM の山崎優子が謎の金髪先輩役で出演していて、弾き語りで歌う場面は圧巻でした。 [CS・衛星(邦画)] 9点(2017-11-27 23:54:05) |
2. リプレイスメント
《ネタバレ》 アメフトのことは全然判らない自分ではあるが、力士をアメフトの選手にしたら最強なんじゃないかと思ったことがありました。もちろんある程度走ることが出来たらばという前提だけど、相撲取りは実はけっこう短距離ならダッシュ力が凄いんだそうです。そんな妄想がまさか映像として観れるとは、でもそいつはフミコという名前で「ナンデスカ!」というのが口癖のヘンな奴でした(笑)。 もうこの映画は誰が観たって『メジャーリーグ』のアメフト版なんですけど、80年代青春映画の巨匠ハワード・ドイッチェが監督ですから実に爽やかな仕上がりとなっています。コメディ度合いは『メジャーリーグ』ほど強くはなくて、所詮代理選手なので正規メンバーに席を譲らなければならないほろ苦さもきちんと描くところが、さすがドイッチェらしいところです。プレーオフ進出を果たしたのに翌日には元の生活に戻ってゆく代理選手たちが、ラストで懐かしの“恋のサバイバル”に合わせてダンスするところでは、ちょっとジンときました。アメフトに詳しかったらもっと愉しめただろうなと感じましたが、そんな門外漢でも楽しめるということはこの映画が良作だということでしょう。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2024-06-13 21:25:28) |
3. 理想の女
原作の舞台をアマルフィに、主人公ウィンダミア夫妻をアメリカ人へと変更してますが、ストーリーとの違和感はなく良く馴染んでいます。アマルフィみたいな名所を舞台にすると、某日本映画みたいに半ば観光案内みたいなものを想像しちゃいますが、さすがにあんなバカなことはしていません、この映画は。米英の有閑上流階級がひと夏を過ごす場所としては持ってこいじゃないですか。 オスカー・ワイルドの戯曲が原作ですから、全篇ウィットに富んだ名セリフのオンパレード状態。良く聞くとけっこう辛辣なんですが、笑えます。この映画を観た最大の収穫は、何と言ってもH・ハントの女ぶりの良さ!熟女の魅力が大爆発です。スカヨハなんて演技はもちろんのこと、彼女の前ではまだまだガキです。T・ウィルキンソンも良かった、今まで観た彼の役の中で一番だったと思いました。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2012-10-01 21:04:48) |
4. リカウント
《ネタバレ》 他国のことは知っている様で知らないことが多いのものですが、とりわけ日本人にはアメリカ大統領選挙ほど判りにくいものはないと言っても決して過言ではないでしょう。なかなか決着が着かなかった2000年大統領選ブッシュVSゴアのフロリダ州での票差をめぐる“死闘”を真正面からとりあげた本作はとてもTV映画とは思えぬ力作です。 まず感想としては、日本でも一票の格差が憲法問題になっていますが、アメリカの大統領選挙システムはどう考えてもおかしい、日本の問題なんて可愛いもんだということです。そもそも投票用紙がマークシートで候補者名の横に穴をあけるというやり方で、なんで名前を書く方式じゃないのか不思議です。始めから読み取り機で集計するのが前提になっているからでしょうが、けっこうアメリカ人には「字が書けない」人が多いということも関係しているのかも。そして何と言っても驚かされたのは、重犯罪で前科のある人には選挙権がないということ(州によって違うみたいですが)。 両陣営とも選挙参謀が弁護士だらけなのがいかにもアメリカ的ですが、製作総指揮シドニー・ポラックだけあってケヴィン・スペイシーはじめいい役者たちが緊迫した演技を見せてくれます。中でもこの役でゴールデン・グローブ賞をゲットしたローラ・ダーンが出色で、ド派手な化粧で頭カラッポなフロリダ州の州務長官キャサリン・ハリスを演じて強烈な印象を与えてくれました。 決して判りやすいストーリーではありませんが、並みの劇場公開作品など足元にも及ばないキレ味を持っているのは確かです。 [DVD(字幕)] 8点(2011-01-04 23:05:55)(良:1票) |
5. リプリーズ・ゲーム
《ネタバレ》 この映画はパトリシア・ハイスミスの「アメリカの友人」が原作、ということはヴィム・ヴェンダースの撮った「アメリカの友人」と同じ話というわけです(ヴェンダース作品は未見ですが、この映画とは全然雰囲気が違うそうです)。トム・リプリーとくれば「太陽がいっぱい」のアラン・ドロンがやったキャラだとは知っていましたが、殺人が発覚して捕まったはずのリプリーになんで後日談があるのだと不思議だったのですが、原作ではリプリーは完全犯罪を達成してシリーズ化されたと知り納得。アラン・ドロンやマット・ディモンが演じた役を本作ではなんとジョン・マルコビッチが4代目トム・リプリーを演じていますが、意外にマルコビッチがいい味出していますね。舞台はイタリアやドイツで、ロシア人やウクライナ人マフィアが登場していかにもヨーロッパ風味のサスペンスに仕上がっています。リプリーをパーティの席上で侮辱した一人の小市民が、リプリーの策略にはまって思わぬ事件に巻き込まれて人生を狂わされてしまうのですが、マルコビッチがマルコビッチらしさを爆発させて悪魔のような怪しい魅力を見せてくれます。この映画は全体的にリプリーの背景説明が不足しているので、普通に観るとリプリーの行動が理解できないのですが、マルコビッチの迫力で妙に納得させられてしまいます。リプリーも巻き込まれるジョナサンもそれぞれ妻がいるのですが、だんだん二人の間にホモセクシャル的な雰囲気が感じられるようになるのは原作の精神に忠実なのでしょう。そうじゃないとあのラストは理解できないでしょう。リリアーナ・カヴァーニってかなりの高齢だと思いますが、エネルギーはまだまだ衰えていないみたいです。第二のリーフェンシュタールとなるのかな。 [DVD(字幕)] 7点(2009-10-24 23:45:15) |