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1.  リトル・マーメイド(1989)
北欧トーンを南洋に変えたのがミソ。人魚を褐色のお肌にして、音楽もカリプソ風。楽器の見立て、ちょっとせわしなかったけどディズニーの味。王子にキスさせるためのムードを盛り上げていくとこも楽しい。魔女が太ってるの。ディズニーではだいたい悪の側のキャラクターが魅力的で、これもそう。タコ。表情が豊かになる。海老の執事も怯えながら笑いを浮かべるあたり、いい。フランダースがつまんない。アンデルセンって19世紀のカフカだと思ってる。先がけて疎外のテーマを語っている。しかしその地上の世界と海の世界との断絶を、ディズニーは憧れの力で乗り越えられる、とする。断絶があるからこそ姫の憧れが輝くのであって…、などと注文をつけても、これはもう作者の立脚点の違いで、仕方なかろう。良くも悪くも、ディズニーの型はしっかり完成してしまっている。声が戻るとこはホロッとしたけど、もっとミュージカル的な手はなかったか。王子のキスが間にあわない、いう展開はいい。
[映画館(字幕)] 6点(2013-07-13 10:02:37)
2.  掠奪された七人の花嫁
祭りの日の娘を獲りっこするダンスシーンの素晴らしさ。虹の七色のスカートがふわっとするのも美しい。動き続けること。奪い合うというモチーフを、様式化させ、しかも止まらず動き続ける。そのあとの斧の音を入れたナンバーも印象的。ミュージカルではどういうときに歌うかというと、モノローグ、会話、などあるけど、説教するようなのもあってそれも面白く、なかなか「こういうときになると歌う」と定式化できない(『雨に唄えば』では発音教室の早口言葉の練習から踊りだし、あれには興奮させられた)。歌いだす瞬間・踊りだす瞬間のときめきにこそ映画の秘密があるように思える。冒頭の無骨さを大袈裟にやるところもいい。大袈裟ってことと様式ってことが関係していよう。大袈裟・様式を通して、日常を離れた高みに上っていくこと、それがミュージカルか。
[映画館(字幕)] 8点(2013-02-23 10:14:48)
3.  竜二
後半締まってくる。友人がヤク中で死んだあたりからか。この男辛抱が出来ないの。「辛抱したって一度の人生、つまんないじゃない」という人生観にはもっともなところがあり、でもそういう男のために周りが迷惑するのも事実。やくざもかたぎも同じように空虚感は持ってるわけで、それを自分だけの不機嫌と思ってるとこにこの男の馬鹿さ加減があるんだろうが、でもこういう男は確実にいる、というリアリティはびんびん伝わってくるし、そういうのを見下す感じにはしていない。そこがこの映画のいいところ。かたぎの生活してみても、同じ空虚感が残っていることから来る焦り、みたいなものがよく出ていた。ゲートボールしているオッサンみたいになっていっちゃうんだなあ、って。
[映画館(邦画)] 7点(2013-02-20 10:34:29)
4.  陸軍
ホンネとタテマエの微妙なせめぎあいを得意とする作家にとって、最終的にホンネが前に出てくるか、タテマエを押し通すかということは、さして重要でなかっただろう。そのせめぎあいを描くのが好きなので。子を思うホンネをじっと抑えて公に奉公する姿を美しいとしていた時代、「このようにみな公のために私情を捨てて頑張っているんだなあ、私も耐えねば」というメッセージになっており、反戦映画とまでは言えないだろう。笠智衆演じた人物なぞ、そのまま戦後に描けば青年を死に追いやった否定的人物となるわけで、そこらへん史料として観られる。「男の子は天子様の借り物」というタテマエを、最後はホンネを越えて主人公は肯定せざるを得なかったわけで、それを美しいと捉える視線はあり、システムを批判してはいない。ふと思ったんだけど、長回しが多いのは作家性の要請というより、フィルムを無駄に出来なかった当時の制約もあるのではないか。東野英治郎との頑固者同士のユーモア。真っ先に宮城へ参らなかったと叱る父、教科書を踏んだと叱る母。何も反戦映画だから名作と無理しなくても、タテマエの浸透していた当時の社会の記録としてこそ名作と呼びたい。
[映画館(邦画)] 7点(2013-01-25 10:10:38)(良:1票)
5.  リオ・グランデの砦
最初のほう、せがれが入隊してきていることを知らせる過不足のない語り口に、うまいなあ、と唸らされ、ローマ式馬術だっけ、二頭の馬に立って走り柵を越えるささやかなスペクタクルで眼も楽しませ、こっちの観賞気分はかなり合ってきてたんだけど、中盤がどうもうまくない。向こうのせいなのかこっちのせいなのか、連隊付きのコーラスがやたら歌ったりすると気が抜け(向こうのせい)、またこの夫婦、なんか南北戦争時のこだわりをひきずってるようで(?)、そこらへんの味わいはよく分からない(こっちのせい)。全体馬のシーンはすべていい。火で興奮し暴れ、柵を躍り越えたり、疾走シーンはもちろん、倒した馬を楯にしての銃撃もある。鐘を鳴らす少女のカットも効果的。だが、こういうこと意識するのは野暮だとは思うんだけど、やっぱインディアンを悪役と割り切って観続けることは出来ず、しばしば活劇の途中で気分を冷まされてしまう。映画を観るときはとりあえず作品の枠組みを全面的に肯定して観る、と決めていて、昔の国策映画のときは出来るだけ当時の愛国的国民になって観たりするんだけど、西部劇では白人になりきれない。気を抜くとつい侵略されたインディアンの側に回ってしまっている。困ったものだ。子どもをさらうような分かりやすい悪に設定してくれているんだけどね。(撮影当時の先住民にとっては西部劇のエキストラ出演料が貴重な現金収入だったそうで、世の中は複雑だ)
[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-11-20 10:12:16)
6.  リコシェ 《ネタバレ》 
このころのアメリカ映画は「精神の深淵を垣間見る」系のネトネトしたのが多かった。むかしのドイツ映画に通じていきそうな。前半は陰惨さだけが売り物みたいで嫌だったが、脱獄してから、失脚させるための・名誉を奪うための・恥をかかせるための復讐が進んで、そのネトネトが味わいになる。いちいちがハマってくる快感。J・リスゴーの計画性が気色悪く壮大に見えてくるところがいい。ヤクの売人の友人もラストでいいとこ見せるし、一応シナリオにも建設性を感じられる。死んだふりに対抗し、こっちも死んだふりで応酬。リスゴーは誰よりも主人公の死を願わなかった。
[映画館(字幕)] 6点(2012-09-18 09:47:17)
7.  旅情(1955)
ヒロインの孤独が匂わされるのは、メロドラマでは珍しいことではないかも知れないが、ここまでリアルに作品の中心で造形されてるのは、ありそうでいてあんまりない。このハドソンさん、海外を一人旅する根っからの独立人かと思うと、どちらかと言うと社交ベタが地にあり、一人旅しか出来ない人らしい。同伴者がいると疲れちゃうタイプ。つまり人と付き合うのが苦手で、でもそんな自分と折り合って今まで来たけれど、最近寂寥うたた、何かを期待して情熱の国への旅に来た、というここまでのいきさつを勝手に想像できる。前半の孤独の描写が素晴らしく、いや「孤独」と言うと言葉が強すぎるんだけど、「人とうまくできない」性癖というか、これまで一人でやってきた矜持が邪魔して、人恋しさをまわりに見せるのを妨げちゃう。人との出会いをとりあえず避けてしまう。カフェの椅子を傾けといたり。言ってみれば本作は、そんな彼女がちょっと人生の想い出を作れた、ってだけの話。これで彼女が変われるのかどうかなんて分からない。たぶん変われないだろう、でもこういう中年の想い出が出来たってことが、彼女の財産になる。観光ってものの本質がそういうことなんで、これは優れた「観光映画」だとも言えそうだ。それを裏打ちするカメラの素晴らしさ。観光地をロケし、観光客の自然な驚きを通して風物を収めている映画って、これもありそうでいてあんまりない。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2012-07-20 09:38:42)
8.  リトルマン・テイト 《ネタバレ》 
「頭脳オデュッセイ」ってツアーに少年は入れられちゃったけど、まさにこれは「天才」という十字架を背負って戸惑っている少年のオデュッセイとして見るべき映画で、別にこの子を通して世の中を批判しているわけでも、何かを訴えているわけでもない。小さな冒険を少年と一緒に楽しむノリでいくべし。見る側に少年と同じ知性が必要なわけではなく、世の中とどうもしっくりしない気持ちを持っていればOK。少年は、世界の行く末を思い煩って胃潰瘍になってしまうが、こちらはそこまでいかなくていい。オデュッセイなのだからストーリーのとりとめなさは非難すべきものではないだろう。天才子役と言われた監督のことをチラチラ思い出せばいい。生意気な天才少年との友情とか、ボケ学生との交流などホノボノと展開していく。父の不在という寂しさがずっとベースになっている。
[映画館(字幕)] 6点(2012-05-05 09:57:23)(良:1票)
9.  リーサル・ウェポン3
このちょっと前にロス暴動があったんだったか。「ビデオに撮られるな」いうことが話題になってた。黒人少年を射殺して悩んで家族の絆に回帰していく図は、この頃のアメリカ映画の基調。女刑事と今までの傷を見せっこするあたりはおかしい。でも見せ場がブツブツとつながってるだけで、シナリオとしての盛り上がりはない。ビルの爆破なんか、うまく盛り上げていった頂点で仕掛ければ「やるーっ」って気にもなるのだがなあ。悪役の在りようがよく分からなくて、闇の帝王なのかと思っていると、不動産業を続けていて(追っかけられてることが分かった後でも)、変な人。白人と黒人、若いモンと定年間際、の対比される二人の掛け合いが味わいか。
[映画館(字幕)] 5点(2012-02-01 10:13:11)
10.  リバー・ランズ・スルー・イット 《ネタバレ》 
兄弟ってのは分身なんだなあ。こうであったかもしれない自分、こうでありたかった自分。だから変えることが出来ない、助けることが出来ないんだ。弟ポールの陰りのなさが透明すぎて、すでに危うい。夭折するしかないような。釣りの冴えが神技に近づいている、もうあとは転落するしかないほど。この弟の造形が本作の味わいのすべて。誰かに甘えられない体質、人に頼ることが絶対に出来ない芸術家肌タイプ。だから釣りが芸術の境地にまで行っちゃうんだけど、そういう人物に対しては周りのものは何も出来ない、ただ愛してやることが出来るだけ、ってのが結論。ジェシーの兄の俗物と対照される。三人で釣りをした川に、今や老いて一人竿さし、なんてほとんど漢詩の世界である。最後の釣りがもっともっとたまらなく美しくあるべきなんだけど、でもいい方かなあ。
[映画館(字幕)] 7点(2011-10-17 12:20:44)(良:1票)
11.  リフ・ラフ 《ネタバレ》 
建設労働者たちの悪口の言い合いとジョークとが、生き生きとした言葉の渦を作っていくところが魅力(ヒロインとの恋愛はあんまり面白くない)。そういったユーモア的な場面が、一転「深刻」に傾くところが怖く、感電する電気ドリルを抗議してあっさりクビになったりする。哄笑と罵倒が混ざったようなヒステリックな雰囲気への傾斜。現場監督の携帯電話で故郷のお袋に電話しちゃうユーモアも一転して、暴行逮捕にころげ、アフリカの夢は転落事故に傾く。そしてラストの放火が導かれる。管理人の犬が管理人に噛みついて放火の二人を逃がすあたりで、もう話は象徴の世界にドドッとなだれ込んだ。英国ドキュメンタリーの伝統を感じさせるタッチだったのが、この映画全体の「傾斜」を生かしている。ヒロインは「人生を複雑にしたくないの」と最初言ったな。主人公は「欝は中産階級の病気さ」と言う。労働者たちは、単純に笑うか怒るかしろ、っていう希望を言ってるのか。欝に沈むな、って。
[映画館(字幕)] 7点(2011-03-23 10:24:43)
12.  リトル・ブッダ
画調はちゃんとストラーロで格調高いんだけど、展開していることは、ときにセシル・B・デミルだったりして、いっそおとぎ話ならおとぎ話に徹しフェリーニ的に造形してくれれば、まだなんとかなっただろう。そりゃね、西洋人に東洋は分からん、なんて言うつもりはないよ。私だってブッダとの距離は、たぶん平均的西洋人とさして違わない。でもあちらの映画に出てくる東洋的なるものって、なんか引っかかるんだよね、東洋の売りは「精神」だけなのかなあ、とか。非合理的である、ってだけで尊重されるのは困るんだ。あちらの人が、合理合理でいって疲れたときの、いっときの椅子がわりに東洋を持ち出されているみたいで。シッダルタが町へ出ていくあたりは嫌いじゃない。善きもののみを見ていた世界に厚みが加えられるところ、奥行きと言うか。少年が迷い込んでいくところで繰り返される(ロクロ台まわし)。西洋人がオリエンタルの中へ迷い込んでいく雰囲気は『シェルタリング・スカイ』の流れ。東洋と西洋、男と女と、うまく分担して再生していくわけ。
[映画館(字幕)] 6点(2010-12-21 10:11:09)
13.  リア王 《ネタバレ》 
世界の終わり、ってのが実感できた。善玉でも生き残ってるのもいるし、人民は焼け跡から立ち直ろうとしてたりするんだけど、でももう「世界の終わり」は覆らない、っていう荒涼感が支配している。これが古典悲劇の大きさなんだろう。中世的荒野、石が屹立してたりするとこに、木の匂いもするのがロシア的。木の柵や木の車があって英国より土臭い気配が漂っている。嵐のシーン、天からの視点で捉えるって意図、分からなくもないが、もうリアは十分惨めなわけだし、あそこぐらい晴れ舞台にしてやりたいのが人情。天から見下ろさず、最後の運命への抵抗を(抵抗っていうより愚痴かもしれないけど)、互角にさせてやりたかった。シェイクスピアって悪党の使い方はうまいけど、冒頭のほうでリアが愚かに見えちゃうとこが、この話の難しいところだな。けっきょくあの三人娘と親父はみんな同じ日に死んでしまうわけか。
[映画館(字幕)] 6点(2010-07-15 12:17:14)
14.  理由(1995) 《ネタバレ》 
結論だけを整理しちゃうと、死刑廃止運動への皮肉であり、知的黒人への町の反感をそのまま受け入れてしまう展開になり、暴力警察のほうがリベラル弁護士より正しかった、いう皮肉になる。つまり「反リベラルの映画」と決めつけてもいいんだけど、この後味の悪いざらついた感覚には、それなりに世の真実も感じられる。本当なら、この町の疎外が彼を変質者にしていった可能性・南部の町そのものが少女をいけにえに必要とした可能性、までを描かなくちゃならないはずなんだけど、ただ放り出すように提示しているので、そのざらつきがこっちに迫ってくる。つまり整理できない現実、「そうであってくれない」現実というものが確固としてこの世には存在してる、ってことで理想を見たい観客を脅かす。黒人嫌いの黒人警官っていうのは、それだけで一本の作品のモチーフになれそう。エド・ハリスの連続殺人犯は、本物らしかった。
[映画館(字幕)] 6点(2010-03-24 11:58:27)
15.  リスボン物語
この監督は、どうも映画の中で「批評」してしまう。この人がしなければならないのは、手回しカメラで一本撮ることなのであって、そういう人物について語ることではないのではないか。自意識過剰の映画。すぐれた映画ってのは、自分が映画だということを忘れ去って生まれてくるものだろう。音を拾う場、街の音が次々に鮮明に立ち現われてくるあたりが面白かった。蚊とは、姿が見えず音だけでいらいらさせる存在だ。サイレントでは捉えられなかったものたち。そして音楽の豊かさ。人の声。これはロードムービーとは違うね。冒頭の各言語を突っ切ってリスボンの青空に至るところまではロードムービーと呼べるかも知れないが、あとは「人待ちムービー」、旅しているものを待つ映画だ。
[映画館(字幕)] 6点(2010-02-08 12:03:44)
16.  リトル・オデッサ
あちらでは新人監督でも、豪華な配役陣を敷けるのがうらやましい。製作者への信頼なのか。アメリカにおけるユダヤ系ロシア人という目新しさを除けば、移民ファミリーものとしての定番的な展開。ヤクザな兄と、それに憧れるマジメな弟。マジメなやつが銃を手にすると、必ず彼は死ぬ、というルールが映画にはある。音楽にアルヴォ・ペルトが使われていて、あの人の曲が流れりゃ大抵の画面は締まってしまうのだ。ラストよりも、父親を雪の原でひざまずかせる場面に緊張があった。母と弟と一緒にベッドに腰掛けるラストは、永遠に失われたもの、として描かれる。放蕩息子の帰還というモチーフでもあるか。
[映画館(字幕)] 6点(2009-12-03 11:58:50)
17.  リチャードを探して
lookingにkingが隠されてる、という原題の趣向。脚注映画というか。「リチャード三世」をダシにおしゃべりをする楽しさ。いささか啓蒙的な姿勢がなくもない。アメリカのヨーロッパコンプレックスってのは、自分たちでも自覚しているようで、それでもやはり憧れてしまうってとこが可憐である。ちょっと思ったんだけど、英語圏の俳優は、原作そのままでしかしゃべれないので可哀想だ。リズムの決まりがあるんでしょ、それに縛られてしまう。そこいくと日本はじめ外国語圏は、演出によって幾多の翻訳の中から選べるって利点があるわけ。でも、アン王女を誘惑していくあたりの言葉のうねりは、きっと英語ならではの味わいなのだろう。「リチャード三世」を日本に移し替えるとしたら、戦国武将よりやくざの世界がいいかもしれない、などと思った。
[映画館(字幕)] 6点(2009-05-27 11:58:09)
18.  リディキュール
エスプリってのは、単にちょいと気のきいたことを言う、って程度のものじゃないんだ。実にナマナマしい、丁々発止の武器なの。日本の王朝時代の和歌に近いのかも知れない。自分で笑ってはいけない、とか、駄ジャレはいけない、とか決まり事がきちんとある世界。本筋は、田舎貴族がエスプリを武器に、しかしそういう社交とは正反対の干拓事業を目的としてノシていく展開。ロシュフォールが、エスプリを言うチャンスをのがして悔しがるのが、おかしくも真剣で、確かに馬鹿馬鹿しい時代ではある、革命直前の頽廃感もあるが、こういう時代がモーツァルトの音楽を生んだのも事実で、そこらへんの愚劣と愚劣が織りなす華麗との対比が、たぶんこの映画の味わいなのだろう。貴族と対照されるのが聾唖者で、しゃべる武器を持たない者たち、彼らがまた映画を広げている。
[映画館(字幕)] 7点(2009-05-25 12:00:40)
19.  リトル・ダンサー
かつてはストライキも気合いが入っていたものだが、もう炭鉱産業の終焉も見えていて、悪の資本家と対決するといった単純な図式が成り立たなくなっている。だからストライキやっても、も一つ意気が揚がらない。正しい道を突き進むんだ、という爽快感に欠ける。警官隊との揉み合いがバレーレッスンと重ね合わされるのも、段取り通りにステップを踏んでるようなものという感じ。ストライカー自身がストにうんざりしている雰囲気がよく出ていた、といってストライキをやる以外に手立てはない閉塞感。その閉塞感があるから、ビリーが踊り出したい気持ちが分かる。一番泣けるのは、親父が息子のオーディションの旅費のためにスト破りするとこ。かつて『鉄道員』なんかではスト破りは厳しい反発を招いていたが、ここでは皆が協力的になってしまう。みんな現状にうんざりしてて、応援しがいのあるものを発見した喜びに盛り上がってしまう。全然問題の解決になっていないだけに、この応援が泣けるのだ。
[映画館(字幕)] 8点(2008-08-16 10:00:58)(良:1票)
20.  リリイ・シュシュのすべて
いじめている人間もつらそうだったりする。傷ついた者たちが、さらに互いに傷つけ合って、そして壊れていく教室。だらしなくいじめている者と、必死にいじめている者とがいて、星野君は必死にいじめているのが、なんかとてもつらそう。沖縄で死にそうになって、悪霊がついたって感じで。でもきっと、本当に怖いのは、だらしなくいじめることができる連中の方なんだ。ひとり踏ん張っている久野さんが希望。伊藤歩がすごくいい。
[映画館(邦画)] 7点(2008-07-10 12:10:24)
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