1. レネットとミラベル 四つの冒険
ロメールの作品で女の子が二人出てくると、もうそれだけで満足。ジャック・ロジエやジャック・リヴェットとはまた違う女二人。何気ない会話の中に彼女らのはちきれんばかりの若さを見せるのは『男の子の名前はみんなパトリックっていうの』から変わらない。第1話「青の時間」で二人は出会う。ミラベルの鮮やかな赤い服の胸元から目が離せない。『緑の光線』を彷彿させる自然の神秘が二人の出会いを印象的に演出する。第2話「カフェのボーイ」はロメール映画の定番、パリのオープンカフェでのお話。コメディ色の濃い楽しいエピソードの中に対照的な二人を映し出す。第3話「物乞い、万引、ペテン師」は連作「六つの教訓話」女の子版といったところか。二人の哲学の頑固なまでの主張と、一人になってからのころりと柔軟になる変わり身の早さというか若さゆえの奥の無さというか、このあたりの描写はロメールの真骨頂。第4話「絵の販売」はしゃべり続けるロメールの女を黙らせるというこれまたロメールらしいパロディを兼ねながら、第1話から順に繋がるエピソードをうまく締める。ザ・ロメール!です。この軽やかさこそがロメールなのです。 [映画館(字幕)] 8点(2010-05-11 14:00:32) |
2. レディホーク
《ネタバレ》 愛し合う二人が人間として会えるのは昼と夜が入れ替わるときの数秒というその設定が残酷ではあるけれどなんともロマンチック。昼は女が鷹に、夜は男が狼に。あんたらいったいいつ寝るねん、てな疑問は愚問。つっこむほうがバカらしいほどにファンタジーで覆われている。すべてが収束を向かえる皆既日食のシーンはもうちょっと盛り上げてほしかった気もする。あと、音楽は聴いてて恥ずかしくなる。80年代独特の軟弱な音。あーゆう音楽が確かに溢れていた。新しい音楽として。そんな音楽がほぼ全編で流れる。この種の映画にはこの種の音楽というキマリみたいなものが崩壊した時代でもあったと思う。その中での挑戦だったのかもしれないけど、これは失敗だと思う。 [DVD(字幕)] 6点(2006-11-15 12:09:55) |
3. レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ
ロシア(ですよね?)からアメリカへ渡り「ヘタクソ!」と罵られながらその場その場の流行りの音楽を演奏するもどこか古臭さがあるのかどうしても受け入れられない。ラストで成功をおさめる地がアメリカではなくメキシコってところに、音楽がショービジネスと化したアメリカへの風刺と感じました。しゃべらない男たち、レニングラード・カウボーイズが繰り広げるロードムービーの中で彼等は延々とボケてくれます。独特の間が笑いを誘うわけですが、この間を利用して我々はツッコミを入れるわけです。「長すぎるって!」「オマエもか!」「凍るなよ!」「ずっと牢屋でそのポーズかよ!」「並んで寝るなって!」「犬にやるのかよ!」・・・つまり視聴者参加映画ですね。もちろん彼等はことごとく我々のツッコミを無視してボケ続けますが(笑)。 6点(2005-02-21 12:22:34)(笑:1票) |
4. レインマン
大きな盛り上がりもなくラストも感動には到らないが、それがかえって現実的でいい。ダスティン・ホフマンは、最初弟役でオファーがあったが脚本を見て兄のほうをやりたいと自ら申し出たと聞いた事がある。本当に素晴らしい演技を見せてくれました。トム・クルーズもアイドルから一変、すごく良かった。音楽も非常に耳心地がいい。 8点(2003-11-13 13:17:56) |
5. レイダース/失われたアーク《聖櫃》
中学生の時、クラスメイト数人で何を見に行くかを決めるとき、当時映画雑誌を購読していた自分が強引にこの映画に決め、見終わった後のみんなの「面白かった~!」と言うのを聞いて満足(安心)したのを思い出す。たしか他のみんなが見たがったのは『キャノンボール』だった気がする。全編クライマックスと言ってもいいくらい最初から最後までハラハラしっぱなし。本当に楽しい映画です。 [映画館(字幕)] 9点(2003-08-12 17:34:19) |
6. レイジング・ブル
実在のボクサー、ジェイク・ラモッタの栄光と転落の半生を描いた映画。 よくデニーロの役づくりの凄さの例としてアンタッチャブルのカポネ役をあげる人がいるが、その人達はおそらくレイジング・ブルを見ていないのだろうと思う。前半はまさしくボクサーの体だが引退後の太った体には本当にびっくりさせられる。それも不摂生極まりない生活を想像させるあのお腹!一見の価値ありです。肝心のストーリーは実話ということで映画らしい盛り上がりは無いし、一人の男の半生を2時間ほどで見せるのだから多少唐突な展開に置いてけぼりを感じることもある。でもボクシングのシーンは巧みにスローモーションを使い迫力満点。妻との出会いから結婚までのシーンを8mmビデオのようなカラーにしてそれ以外をモノクロとしたことでジェイクの孤独感がいっそうひきたって見える。正直言って、なかなかもう一度見ようとは思いにくい映画ですが、いつか絶対にもう一度見たい映画でもあります。 7点(2003-07-15 13:02:11) |