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プロフィール
コメント数 2381
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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1.  ワイルド・リベンジ 《ネタバレ》 
私の中での映画を観る前のチェックポイントの一つに、製作者や製作総指揮にどういう名前が挙がっているか、そしてそれは何人ぐらいがリストされているかという事があります。大体にして、“船頭多くして船山に上る”じゃないけどこの人数が多ければ多いほど駄作率が高いという経験則があるんです。それがこの映画はIMDBで確認したらなんと42人!「むむ、これは…」と覚悟を決めて観始めました。 それが意外なことに、全然並みの映画以上の出来栄えで見事にジンクス破りをしてくれました。主演がジャック・ヒューストンで、自身も恋人もヤク中のブルーカラー男。婚約を機に二人してヤク絶ちをして人生やり直そうと苦労するけど、あと少しというところで恋人は売人に唆されて中毒死してしまいます。そして怒り狂った主人公は、若い頃はマスタングと呼ばれていた気性の荒さが復活して、お約束の復讐劇となり密売組織を潰しにかかります。典型的なインデペンデント映画ながらも、ヒューストン以外にもロバート・デ・ニーロとジョン・マルコヴィッチというビッグネームが出演しているんですよ。デ・ニーロは田舎町の老シェリフで、ファーストショットから登場して、いわばこの映画の狂言回しみたいな立ち位置だったと思います。でもさすがデ・ニーロ、こんなマイナーな映画でも彼が姿を見せるだけで引き締まった映画になるんですね。映像にも拘りが感じられて、やたら空撮(たぶんドローン撮影でしょう)が多用されていて、この映画の陰のモチーフが浸礼(パブテスマ)みたいだから、いわゆる神の視線を印象させる意図があるのかも。この映画の最大の弱点は、恋人が中毒死するまで二人がヤク絶ちに苦しんでいる描写があまりに長くて、これだけで尺の半分はあります。その後にヒューストンが復讐に駆け回るようになると俄然アクション映画要素が強まるだけに、決して不必要とは言わないが前半はちょっとテンポが悪すぎだったのかな。まあラストにかけては意外な展開とそれなりのカタルシスもあるので、そこは相殺されたかなと思います。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2024-04-18 22:57:17)★《更新》★
2.  once ダブリンの街角で 《ネタバレ》 
どっかで観た顔だなと思ったら、おお、“男”は『ザ・コミットメンツ』のギタリストだった人じゃないですか。この人は元来プロミュージシャンなんで音楽性が高いのは当たり前ですけど、本来はこの役はキリアン・マーフィが予定されていたそうです。実はキリアンももとはロックシンガーだったそうなので、この世界線もちょっと観てみたいです。“女”はチェコのアナ・ケンドリックスという感じの容姿ですが、この時はまだ18歳だったみたいです。でも夫と別居している子持ち主婦という設定にはぴったりで、やっぱちょっと老けてるんだよな。 低予算が丸判りのオール手持ちカメラとロケ撮影の映像には、まるでドキュメンタリーかノン・フィクションの様な雰囲気があります。この映画に登場するキャラは冒頭で“男”のチップをかっぱらおうとする若い男も含めて、男女を問わずイイ人ばかりなんです。“男”の創る曲はフラレ男の元カノへの愚痴とぼやきと未練たらたらの歌詞ですが、確かに曲はイイですね。対する“女”はモーションをかけてくる“男”を頑なに拒むし、最後は“男”はロンドンにいる元カノとよりを戻せそうし、“女”は夫をチェコから呼んで新生活を始めることになる結末。まあこの結末だけじゃ“男”がロンドンでアーティストとして成功するかどうかは未知数って感じだけど、ベタなサクセスストーリーじゃないところに好感が持てます。こういう何の進展もなかった男女の出会いって、自分も含めて経験したことがある人は多いんじゃないかな、人生ってそういうもんよ。因みにこの“男”と“女”を演じた二人は撮影後にほんとに恋人になって同棲したんだとか、もっとももうとっくに別れたみたいですけどね(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2024-02-20 22:51:54)
3.  我輩はカモである
ここまで徹底的に政治と戦争をコケにした映画はちょっと珍しいぐらいです。製作されたのは1933年で、ドイツでヒトラー率いるナチスが政権をゲットした年ではあるけど、まだ大統領ヒンデンブルクが存命でその地位は首相、いわば国際政治にもデビューしたてで売り出し中といったころ。したがってナチス体制を意識した脚本というのはちょっと的外れなんですが、自分の独裁体制に対する毒を感じとって上映禁止にしたムッソリーニはさすがです。マルクス兄弟の映画はこれしか観たことはないですが、この映画がその後のコメディに与えた多大な影響はひしひしと感じます。亡き志村けんのひげダンスは、グルーチョ・マルクスのパロディだったんだと改めて気づかされた次第です。というか、映画史上もっともカオスに満ち溢れた1時間余りなのかもしれません。そしてまさにギャグの百科事典と呼ぶにふさわしく、現在のコメディのパターンはほぼ網羅されているんじゃないかな。一言もセリフがなくて動き回っていたハーポには、狂気さえ感じたほどでした。「祖国は戦争に入れり」のミュージカル・シークエンスなんかも圧巻でした。ただ英語のダジャレのセリフは字幕では上手くニュアンスが伝わらないのは残念、自分の英語力のなさが悔やまれる次第です。やはりこういうギャグ映画は、原語が理解できないと半減とまではいかなくとも三分の一は面白さが減じてしまいますね。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2023-03-25 22:23:59)
4.  ワイルド・アパッチ 《ネタバレ》 
54年の『アパッチ』ではバリバリのアパッチ戦士だったバート・ランカスターが、18年後の本作では年老いたアパッチ・ハンターを演じるというのは時の流れの残酷さを感じさせられます。もういい歳なので身体が動かなくなっているのであの驚異の身体能力を見せる場面はありませんけど、彼が70年代に見せた円熟味に溢れる演技は堪能できます。監督のアルドリッチも『ヴェラクルス』以来のコンビ、お互いに知り尽くした仲というわけです。 70年代ですからヘイズコードはとっくに撤廃されていますが、容赦ない残虐描写は『ソルジャー・ブルー』以降の西部劇の風潮だなと感じます。前半でアパッチに襲撃された避難民の女性が護衛兵に眉間を撃ち抜かれるシーン、レイプされてなぶり殺しになるよりはという慈悲ですけど、70年代までの西部劇で顔に銃弾が当たるところは初めて観た気がします。その兵士も銃を口に突っ込んで頭を吹き飛ばして自決しちゃいますが、その死体を切り裂いて内臓(らしきもの)を引っ張り出しちゃうアパッチがこれまたエグい。この映画は『ソルジャー・ブルー』と真逆で、アパッチ側の残虐行為を何度も見せられることになります。アルドリッチはこの凄惨なアパッチ追撃戦を感情が極力排されたドライな視点で撮っています。アパッチ戦士ウルザナの暴れっぷりは無軌道というよりも戦略的で、中盤以降はマッキントッシュとウルザナの知恵比べというか騙し合いの様相を呈してきます。騎兵隊を率いるデ・ビュイン少尉=ブルース・デイヴィソンも士官学校出たばかりで牧師の息子といういかにも実戦では部下が苦労させられそうなキャラ、『いちご白書』の人ですからもう適役としか言いようがないですね。追う側も追われる側もそれぞれキャラが立っていて、緊迫感を盛り上げるアルドリッチの手練れた演出手腕もあり、70年代西部劇の傑作の一つと言っても過言ではないでしょう。 本作もそうですが、70年代の先住民との争いが絡む西部劇を当時進行中のヴェトナム戦争に絡めて論じる風潮があります。そういう意図があった作品もあるかもしれませんが、そんなリベラルぶった見方がエンタティメントとしての西部劇が衰退していった遠因じゃないかと私は思います。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2021-12-12 22:07:49)(良:1票)
5.  ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド 《ネタバレ》 
シャロン・テートとポランスキー夫妻の隣家がディカプリオ演じる落ち目のTV西部劇俳優が住んでいた。有名な実話が元なので結末は判っているつもりで観始めるわけですが、シャロンとディカプリオたちのエピソードは全然噛み合わなくてまるで別の映画を観させられているかのようです。どうせあの事件をラストに持ってくるんだろうから、そこでディカプリオ&ブラピとシャロンが交差する展開なんだろうとタカをくくっていたらまさかの展開、『イングロリアス・バスターズ』に続く歴史改変オチだったんですね。でもこの結末の展開は、ハリウッド界隈の業界人たちは「本当はこうであって欲しかった」と胸を切なくするエモさがあったんじゃないでしょうか。 ディカプリオとブラピはこれがたしか初共演のはず、普通ならこの二人のギャラだけで映画が二本は撮れちゃうぐらいですが、二人ともタランティーノにはいろいろ恩義があるので友情価格だったかもしれません。相対的にディカプリオの方が演技の見せ場が多かった気がしますが、ブラピだってブルース・リーをカンフー勝負で投げ飛ばすという間違いなく本人もテンション上がる見せ場があるのでご満悦のことでしょう。そしてもう一つ判ったことは、タランティーノは本当に『サイレンサー/破壊部隊』が大好きなんですね、シャロン・テートが自分が出ているこの映画を劇場で観て観客のリアクションに大喜びするシーンには、タランティーノのシャロンに対する哀悼がひしひしと感じられました。 ポランスキーはこの映画を果たして観てるんでしょうか、もし観たなら一言感想を聞いてみたいものです。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-08-07 23:30:53)(良:2票)
6.  ワイルド・パーティー(1970) 《ネタバレ》 
倒産寸前だった20世紀フォックスがやけくそになってラス・メイヤーを招聘した、フォックスの歴史に残る怪作です。同じころ日本でも倒産間際の大映が渥美マリで軟体動物シリーズを年間6本製作したのと同じようなもので、貧すれば洋の東西を問わず考えることは一緒ってわけです。考えてみると、これは東宝がピンク映画の監督を引っ張って来てお色気映画を撮らせたとゆうようなお話しですから、その衝撃はいかほどだったんでしょうか。また脚本を書いたのが若き日のロジャー・エバート、そうです、後にピュリッツァー賞を受賞したアメリカでもっとも有名な映画批評家ですよ。 フォックス自体は『哀愁の花びら』(アメリカ映画史上もっとも陳腐なメロドラマという称号が与えられています)の続編を撮れと命じたそうですが、出来上がってみると何の関係もないお話しになってしまって原作者のジャクリーン・スザンから大クレームが来て、冒頭の珍妙なテロップが流れる羽目になったそうです。監督がラス・メイヤーですから10分ごとに巨乳か巨尻が画面に登場し、さすが巨乳映画の巨匠と称えられただけのことはあります。おまけにホモ・レズ・SM・ドラッグとなんでもござれ、出てこないのは近親相姦ぐらいのものです。でも音楽とシーンのつなぎだけはセンスが抜群で、メイヤーはただのエロ監督ではなかったみたいです。たしかに『哀愁の花びら』とリンクしているなと感じさせてくれるのは三人のヒロインとその恋人たちに次々と襲いかかる不幸の連続で、これにはもう笑うしかありません。ところがラスト20分になると突然の流血の大惨劇が始まり、正直わけが判らなくなります。長剣で男の首をギロチン・カットする場面まであり、そこに20世紀フォックスのファンファーレを被せる荒業、フォックスがよく許したものです。 ラストに流れるあたかも「こんな不道徳極まりない映画をお見せして申し訳ない」と言っているようなわざとらしいナレーションと強引なハッピーエンド、バカバカしすぎてかえって爆笑です。ここまで来ると、単なるおバカ映画と切り捨てるには忍びないテイストさえ感じてしまう自分でした。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2019-07-06 22:04:40)
7.  わらの女 《ネタバレ》 
この映画が撮られた64年は、ジェームズ・ボンドのイメージが定着してしまうことに危機感を持ち始めたショーン・コネリーが非007映画に出演しだしたころで、同年には『マーニー』なんかにも出ています。つまり『ゴールドフィンガー』と同時期のコネリーだったというわけですが、劇中でほとんど笑顔を見せないリヒルで冷徹なキャラを見事に演じ切っています。もっとも彼がこの映画に出演した理由が名優ラルフ・リチャードソンと共演できるからだったそうですが、さすが名優サー・ラルフだけあって怪物的な大富豪で強烈な印象を観る者に残してくれます。ヒロインは原作では虚栄心の強いつまり嫌な女というキャラ付けですが、ジーナ・ロロブリジーダが演じる看護婦はイタリアの田舎娘でコネリーの計画に乗せられるが、(それが愛なのかはともかくとして)非情な大富豪の心を開かせるほどの魅力を待った女性として描かれています。 原作はカトリーヌ・アルヌーの有名な推理小説ですが、この傑作の映像化としてみると本作は大いに問題があると言わざるを得ません。なんせ原作は史上初めて完全犯罪が成立する推理小説として有名ですが、この映画はそれをハッピーエンド、つまり犯人の目論見が外れて完全犯罪に失敗するという結末にしてしまったんですから、何とも況やです。ハリウッドには「犯罪が成功する映画を撮ってはいけない」という不文律があったことは有名ですけど、英国映画界でも同じだったんでしょうね?でも肝心の結末を改変(改悪?)しちゃったら、この原作を映画化する意味がなくなっちゃうんじゃないでしょうかね。
[CS・衛星(吹替)] 5点(2018-06-06 22:37:40)
8.  ワールド・ウォー Z 《ネタバレ》 
ブラピがゾンビ退治の秘策を求めて世界旅行!まさかそんなユニークな映画とは夢にも思っていませんでした(笑)。確かメル・ブルックスの息子が書いたベストセラーが原作だと思いますけど、これが忠実な映画化であるならば実にしょうもない小説だとしか言いようがありませんね。家族とのエピソードが全然後半につながらないというのもひどいし、マスでかたまっているとき以外はゾンビそのものが全然怖くないというのもどういうもんでしょうか。確かにまるでアリの大群みたいになってゾンビが壁をよじ登ってくるところは衝撃の絵面でしたが、上空から都市を鳥瞰するカットはまるでシティマラソンをヘリから中継している映像のようにしか見えませんでした。 この映画でいちばんゾッとさせられたのは、牢屋に拘束されているCIAエージェントが「北朝鮮では感染は抑えられている、なぜなら国民2,300万人の歯を全部抜いたからだ」と話すところです。これは彼のジョークなのかもしれなくて真偽不明ですけど、あの国ならあり得そうな話でなるほどこれぞ究極のゾンビ対策ですね(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2016-09-25 21:12:12)(良:1票)
9.  わが青春のマリアンヌ 《ネタバレ》 
この映画についてはマリアンヌは実在したのかなどの議論がありますが、私に言わせれば彼女はヴァンサンの母親の象徴みたいな存在だったと思います。ヴァンサンが学校にやってくる冒頭のシーン、車の中の母親は最後まで画面には登場しません。ここに監督のこの作品に対する考え方が現れていると思います。中盤ではやはり車に乗ったマリアンヌがのお祭りを見に来るシークエンスがありますが、ここではチラリとですが窓から顔を覗かせます。これは顔すら見せずに去って行った母親に対するヴァンサンの哀しみを、彼自身も無意識なんですけどマリアンヌが代替してくれた様に見えました。また男爵と望まぬ婚礼を強いられるマリアンヌは、息子の気持ちを忖度することもなく大尉と結婚する実際の母親と見事に裏表の関係になっています。こうやって考えると、この映画は幻想的な寓話じゃなくて理詰めで計算された心理学的な脚本だと思います。 また全篇に漂うホモセクシャルチックな雰囲気がまた独特です。寄宿学校の生徒たちが普通に会話しているシーンでも、互いを見つめる視線になんかヘンな雰囲気が感じられてしまうのです。そんな濃密な男の世界に紛れ込んだ娘リーゼがだんだんと疎外されてゆき、最後は鹿の群れに踏み殺されてしまったのは当然の成り行きだったのかもしれません。 あと気になった登場キャラは男爵の用心棒兼ドライバー役の男で、あの太いまゆ毛が繋がった容貌はコントによく見かける西郷隆盛のパロディにそっくりです。彼の着ている制服をどっかで観た様な気がするなと気になったんですけど、気が付きました。松本零士がこの映画からインスパイアされてメーテルを創造したという話は有名ですけど、実は『銀河鉄道999』の車掌はこの西郷さんがモデルだったんじゃないかと思います(笑)。
[DVD(字幕)] 7点(2015-09-22 21:23:47)
10.  ワイルド・ギース 《ネタバレ》 
元祖“漢泣き傭兵映画”として傭兵戦争アクションというジャンルを築いた功績はこの映画にはあるんですけどね… 確かに脚本は秀逸で各キャラも立ちまくっているんですが、監督のアンドリュー・V・マクラグレンの演出力がそのレベルについて行けてないというのは残念なところです。この人ジョン・フォードの弟子で助監督としてフォード西部劇を支えてきた人なんですけど、ひとり立ちしてからはどうも冴えませんでしたね。この映画に限った事じゃないのですが、彼のアクション演出はどうも冗長でキレがないんですよね。言ってみれば昔の西部劇調の演出パターンから脱け出せなかったということです。あと、冒頭とラストに流される歌が、まるで角川春樹みたいなダサいセンスで最低。 リチャード・バートンはじめ傭兵メンバーはちょっとあり得ない様なオッサン軍団なんですが、これが皆いい味出してるんです。苦労して脱出できたのにリンバニは死んでしまうという結末は、傭兵の悲哀が色濃く漂っていて渋い。登場キャラの中では、“軽薄なジェームズ・ボンド”といった風情のロジャー・ムーアの役柄が私の好みです。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2015-03-13 22:16:22)
11.  ワールド・トレード・センター 《ネタバレ》 
21世紀になってからのオリヴァー・ストーンは良く言えばオーソドックス、でもまるで面白みのない映画監督になってしまった様な気がします。この映画も、9.11を撮った作品としては予想通りの展開でなんの捻りも有りません。最近は過激な言動の方が目立つ彼ですが、こういう撮り方をみるとやっぱり根っこは従軍経験のあるアメリカ人なんだなとつくづく思いました。 この作品のニコラス・ケイジは久しぶりに抑えた演技を見せてくれて評価したいです。回想シーン以外は出番のほとんどが瓦礫に埋もれしかも暗闇で顔すら判別できないというキャラですからね。 それにしてもあの瓦礫の中からたった20人しか生還出来なかったという事実には愕然とさせられました。でも“20人も救出できた”と考えることもできるわけで、難しいところです。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2014-11-09 18:13:01)
12.  ワーキング・ガール 《ネタバレ》 
いやはや何とも、あのジョーン・キューザックの存在感というか厚化粧の凄さは強烈でございました。連獅子ヘアスタイルもさることながら毒々しいアイシャドウのメイク、もう荒事の歌舞伎役者そっくりです。メラニー・グリフィスもさんざん下着姿を披露したけど完全に喰われちゃった感がありました。 下積みキャリアウーマンの逆転サクセス・ストーリーといういかにも80年代らしさに溢れたテーマで、似た様なプロットの『赤ちゃんはトップレディーがお好き』(もっともこっちはエグゼクティブ・ウーマンがヒロインでしたが)に比べてみるとはるかに映画としての出来は上かなと思います。シガニー・ウィーバーが長を務める買収部門のフロアーが、良く見ると30人近くスタッフがいる様に見えるのに全員が女性というのはちょっと壮観でした、日本の証券会社では考えられないことですよ。そしてハリソン・フォード、この映画では三女優がオスカーにノミネートされたのに彼だけ無視され、まあそれも納得の平常運転の演技ですから。でも、ボタンをひとつも外さずにスルリとYシャツを脱ぐ妙技は、ワンシーンだけでしたけどなかなかレベルが高い技でした(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2014-10-07 21:45:27)
13.  鷲は舞いおりた 《ネタバレ》 
映画はずいぶん前に観てて、ぜひ原作を読んでみたいと思ったのに30年は経っているのにいまだに読んでいません。 この映画、良く考えたらジョン・スタージェス監督の遺作になるんですよね。原作のファンからは酷評されていることも判りますが、マイケル・ケインのシュタイナー大佐は観直してみるとそう悪くはない気がしてきました。世の中を達観した様なシニカルなキャラが、彼ら特殊部隊員たちの持っているゲルマン的な滅びの美学に良くマッチしているなと思います。 私の様なマニアはどうしても目が向いてしまうのですが、この映画は軍装や兵器の考証への拘りには目を見張るものがあります。シュタイナーがユダヤ人女性を助けようとするシーンでは、博物館にしかない様な実物の突撃砲まで登場するのには驚かされました(チラッとですけど)。でも?なのはポーランド軍の軍服の下に着ているのが降下猟兵のコスチュームではなく空軍のパイロットの制服であることで、原作もそうなんでしょうかね。 考証はこの様に満足できるものですが、肝心の脚本はけっこう粗い部分が目立ちます。撮影の都合があったんでしょうけど、いくら英軍の輸送機を使っていると言っても白昼に落下傘降下はふつうやらないでしょう。リーアム・デブリンのキャラも、人間味が溢れるというよりもこれじゃあ単なるバカみたいです。バカと言えばラリー・ハグマンたち米軍の描き方で、どうなんでしょうね、これは作品の緊張感を削ぐ悪効果しかないと感じますけど。ラストの改変もあるし、あまり原作の凄さを活かしきれていないという印象が強いです。
[映画館(字幕)] 6点(2013-09-26 21:24:21)
14.  ワールド・オブ・ライズ 《ネタバレ》 
最近はイラク・アフガニスタンや中東の対テロ戦争もの映画がハリウッドでは量産状態なので、観てもどれがどれやら頭がこんがらがってしまい困ったものです。本作もちょっと前の製作ですが、ディカプリオがこれまた以前に演じた様なキャラなので余計にややこしいわけです。その反面、R・クロウが超マイホーム主義のCIA幹部という意表を突いた役柄なのはセンスの良い発想です。銃を撃たないし誰も殴らない、そして最後まで怒鳴ることすらないR・クロウは久しぶりに観た気がします。とは言え決して善人じゃないので国家を裏切る様な陰謀を画策しているのかと思えば、けっきょく単なる高給サラリーマンだったとは期待をいい意味で裏切ってくれました。 ディカプリオがまるで“任地ぼれ”した外交官みたいな行動ばかりしているのが、この映画の印象を悪くしている一因でしょう。民間人の建築家をテロ組織の首領にでっちあげるという極悪非道な行いをしておいて、土壇場になってこの建築家を助けようと苦闘するところも、人としてちょっと間違っているんじゃないでしょうか。最後はヨルダン娘との恋を実らせたくてCIAを去るわけですが、彼女をあんなひどい目に合わせたんだから、きっと振られますよ(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2013-02-19 00:17:38)
15.  わが街(1991) 《ネタバレ》 
群像劇で登場人物の各自にそれまでの生活が大きく悪化しそうなことが起こるけど、けっきょく大したことにならずに済む。でも養子縁組や新たな恋愛など、ポジティブな出来事は上手くことが運んでゆく。ラストにグランド・キャニオンへ二家族を連れてゆき、良いことも悪いこともこの地球の歴史の中では些事に過ぎないんだよ、と締めてくれます。なんかフワフワしたお話しでしたが、こういう脚本は今ではかえって新鮮なのかもしれません。 劇中ずっと警察のヘリが飛び回っているうえ、地震が唐突に起こります。そういやR・アルトマンの『ショート・カッツ』と似た展開だよなと気が付きましたが、製作されたのは本作の方が早いんです。アルトマン、パクったなと苦笑してしまいました(もっとも映画の出来は『ショート・カッツ』の方がはるかに上です)。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2013-01-12 21:42:59)
16.  ワイルドシングス 《ネタバレ》 
〈警告!伏せ字ではとうてい無理だから以下大ネタばれさせますので、この映画をこれから観る人はご注意願います。〉 首謀者はN・キャンベルで、まずM・ディロンを脅かして計画を立て始める。K・ベーコンを仲間に加える様にM・ディロンを操ったのもN・キャンベル。K・ベーコンはキャンベルが主導権を握っていることには気づいていない。D・リチャーズはベーコンが一味に加わっていることは知らなかった。ここで問題なのは、K・ベーコンになにをさせたかったのかがイマイチ不明なこと。キャンベル殺しのトリックでは、リチャーズとベーコンの両名とも騙されている。ベーコンは裁判後に独自に捜査して三人がグルだということを上司や同僚にアピールしている。ディロンはキャンベル殺しがリチャーズの犯行だと同僚刑事に信じさせようとするけど、もしリチャーズが逮捕されたらディロンがやったと白状しちゃう可能性が高いんじゃないの? ということは、ベーコンにリチャーズを殺させるお膳立てを創るために小細工をしていたと言うことになるけど、あまりにご都合主義がすぎるのではないか?  と、いろいろ思い返してみましたが、やっぱりK・ベーコンがやっていることは辻褄が合わないんです。いろいろ楽しめる作品であることは確かですがね。最後においしいところを持っていったB・マーレーの飄々とした演技は面白かった、実はこいつが本当の黒幕だったりして…
[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-12-09 19:26:57)
17.  私の優しくない先輩 《ネタバレ》 
『ハルヒ』の山本寛が実写映画を初監督ということで、あまり期待はしてなかったのですが、自分には意外とストライクでした。たしかに前半のポップだけどチープな展開とラジオドラマみたいなモノローグの多用は好き嫌いがはっきり分かれるところでしょう。あのハリボテ丸出しの宇宙と地球は、相米慎二の『東京上空いらっしゃいませ』を思い出させてくれて、なんか良かったです。まあ邦画では珍しいタイプの映画かもしれませんが、今後カルト的な評価がされるかもしれませんね。 そして、実はわたしここが目当てでこの映画を観た様なもんですが、ワンカット・ワンシーンで撮られたエンディングのダンスはポップでほんと至福感に満ちています。ここだけでも見る価値は十分あります。
[DVD(邦画)] 7点(2012-02-17 23:43:37)
18.  ワーテルロー 《ネタバレ》 
ナポレオニック映画としては、いまだに本作を超える映画は製作されていないんじゃないでしょうか。監督がセルゲイ・ボンダルチュクでソ連陸軍全面協力とくりゃ、その映像のド迫力は想像をはるかに超えるもので、観ていただければ決して大げさな賛辞でないことはご理解いただけると思います。とくにネイ元帥率いる騎兵が方形陣を組む英国歩兵に突っ込んでゆく有名なシーンは、あまりの迫力に鳥肌が立った記憶があります。この映画を大スクリーンで観たのは、実に幸福な経験でした。登場人物では私はナポレオンよりウェリントンの方が好みで、クリストファー・プラマー、一世一代の当たり役です。なんでも、上映時間4時間のロシア語版が存在するそうですが、なんとかして観てみたいものです。
[映画館(字幕)] 8点(2012-01-13 00:04:46)
19.  ワルキューレ 《ネタバレ》 
演じているのがあのトム・クルーズだからしょうがないんだけど、シュタウフェンベルグ大佐の組織内の役割が史実よりも誇張され過ぎている。これじゃあまるで陰謀計画の首領みたいな感じでちょっとやり過ぎでは。「絵」としては戦場シーンも含めて丁寧に撮っているのは確かですけど、暗殺計画が生まれてきた背景や陰謀メンバーの描写をもっと掘り下げて欲しかったところです。ノン・フィクションなのだから、ナチ政権側の視点も交えてドキュメントタッチで映像化するという方法もあったはずです。そうすればドイツ版『日本のいちばん長い日』みたいな傑作になったかも。 この暗殺計画に関わったのは国防軍の将軍たちやワイマール共和国時代の政治家が主で、容疑者の一覧リストはまるで「ゴータ貴族年鑑」を見てるみたいだと言われたほど保守的な旧勢力のおこした事件だったのです。なので、事件当時はドイツの一般庶民は彼らの運命に同情する様な動きはなく、無関心だったそうです。 シュタウフェンベルグ大佐は戦後は英雄として遇されていますが、ナチ政権に付和雷同していた一般ドイツ人の免罪符の様な利用されかたになっているのは実に皮肉なことだと思います。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2011-03-01 18:45:01)
20.  私は死にたくない 《ネタバレ》 
女性死刑囚を演じてオスカーを獲ったのは『モンスター』のシャリーズ・セロンが記憶に新しいですが、元祖は本作のスーザン・ヘイワードで、もっとも映画自体は『デッドマン・ウォーキング』みたいなテイストです。ロバート・ワイズは『ウェスト・サイド物語』や『サウンド・オブ・ミュージック』の様な大作の監督というイメージが強い人ですが、本来はフィルム・ノワールを撮ってきた人で、この映画もノワール的な色合いが濃い作品です。前半三分の一はヘイワードが軽罪を重ねた末に殺人容疑で収監されるまでを、ノワールっぽいカメラワークを交えながらスピィーディに見せてくれます。この映画が『モンスター』などと違うところはヘイワードはあくまで冤罪で死刑執行されたとしているところでしょう。彼女を有罪にするためにロス市警が使う手口のあまりの汚さには嫌悪感を催します。とにかく彼女が死刑確定するまでに登場する人物は、マスコミを含めてゲス野郎ばかり(ヘイワードも含めて)なのが特徴です。この映画の凄いところは収監されて死刑執行されるまでのセミドキュメンタリータッチの演出でして、ガス室の準備をする手順を黙々と見せたり、執行日直前まで何度も執行が延期されるところなど、観ている方まで打ちのめされる様な重苦しさが伝わってきます。ヘイワードの演技は確かに熱演なのですが、ワイズの緊迫感あふれる演出があってこそのオスカー獲得だったと改めて確信しました。死刑執行の様子をガス室の外で群がって見物する新聞記者たちの姿には、これほどシュールで醜悪なシーンも珍しいと思いました。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2011-01-30 09:44:07)
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1110.46%
2351.47%
31265.29%
42038.53%
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