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1.  私をくいとめて 《ネタバレ》 
あまちゃん、興味はあったのに、タイミング逃して一切観てないんだよなぁ。観てたらきっと、能年玲奈と橋本愛が久しぶりに合う親友役で共演してるのに、きっと感慨深いものを感じられたかもしれない。もしかしたら片桐はいりとの共演にも、なにかドラマを観ていた人だけのささやかな喜びがあったかもしれない。浅く広くって大事かも。  階下住人のホーミーとか、営業のカーターとか結構漫画っぽいなって思ったけど、漫画原作でなく綿矢りさの作品だった。彼女こういう作品を書くのか。 のんの休日の過ごし方を疑似観察しているようで楽しめた。脳内アドバイザー“A”との会話が、部屋とか独りの時だけでなく外出中(広場のテーブルでぼっち飯する場面とか)にも出てくるところとか、かなり重症なおひとり様かと思ったら、多田くんを食事に誘う所とか自然でこなれてて、言葉に詰まったり手汗掻いたりしないとか、なかなか型にはまらない独特なキャラクターだな。 飛行機の中で大滝詠一の歌詞がふわふわ浮いてるところと、ホテルの製氷機の前で座り込む表現はとても良かった。  だからか、内面のダークサイドを語る時のギャップが怖かった。そんな彼女の一面が原因で多田くんと上手くいかないとか、彼女の予想通り多田くんに彼女が。とか思ったけど、観終わった後に林遣都版の映画ポスター(?)を見て、あぁ、彼の内面も用意されてたのかって。それなら多田くんサイドの考えも観てみたかったかな? しっかりした原作があることも、多田くんの思いがあることも知らずに観たから、私はこの作品をのんさんのプライベートを表現した作品なのかな?って思ってた。時代の寵児だった能年玲奈時代を経て、今ののんがあって。開花することのなかった絵の才能や、突然イタリアに消えた親友への思いや、何年も消えない会社の上司のセクハラの記憶なんかがフラバするのが、なんか彼女の今に繋がるのかなぁ?とか。そんなではないんだろうけど。  常に落ち着いていて頼れる“A”。でもAは私なんだから、可視化すると、あぁなるのか。まさに「ちょうどいい」でした。
[インターネット(邦画)] 6点(2022-11-23 23:59:23)
2.  ワルキューレ 《ネタバレ》 
- Valkyrie - バルキリーのドイツ語読み。 ワーグナーのオペラの代表作。北欧神話の軍団名。この映画の場合は“ドイツ国内の予備軍の動員命令の作戦名” 実話ベースのヒトラー暗殺計画の首謀者をトム・クルーズが演じるアメリカ映画。みんな英語で喋ってる。 旧日本軍の映画で「天皇陛下万歳」や「靖国で会おう」を入れにくいのと同様に、これをもしドイツが創ろうとしても、きっと色んな圧力とか忖度とかで、もっと意味が通じにくい映画になっていたかもしれない。  詳細はともかく、ヒトラーは暗殺で死んだ訳でないので、失敗の結末は想像が付く。結末は解っていても、計画から実行、シュタウフェンベルク大佐の真っ直ぐな人間性が、暗殺サスペンスとして充分に盛り上げてくれる。 トムらしいワンマン・アクションが発揮されるかと思ったけど、あくまで淡々とシュタウフェンベルク大佐役を演じるトム。コレはコレでイイ。 クイルンハイムを演じたクリスティアン・ベルケル、旧ドイツ軍人役の彼を観るの、たまたまだけど今年3回目。  シュタウフェンベルク大佐はドイツに忠誠を誓った反ナチズムの好人物として描かれているが、他の幹部のそれぞれの立ち位置はどうか?戦争はほぼ負けが見えてきた中、ヒトラー無きあとのドイツをどうコントロールしていくか。相手がヒトラーとはいえ、暗殺参加は単に“正義”という言葉で片付けられない事情があったろう。その辺を掘り下げても面白かったと思う。 この時期に独裁者の暗殺映画をテレビで流す意図は、何となくイメージできる。独裁者の暗殺で本当に戦争が終わるかどうか。公開時の2008年あたりは、何かあったのかなぁ?
[CS・衛星(字幕)] 6点(2022-11-06 22:58:02)
3.  ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ/完全版 《ネタバレ》 
~『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ 』の続き~  冒頭のシツコイくらいに鳴り続ける電話が観ていて不快。回想で電話を取っても鳴り続ける電話。あれきっとアヘンの抜けたヌードルスの頭の中では、あの音がずーーっと鳴り続けているのかもしれない。 ヌードルスにとって仲間を裏切った象徴が電話。街を出て35年間悩まされ続けたのか、それとも時は止まっていたのか。ただ、ヌードルスは掛けた側だから、受話音はしないんだけど…逆。 一人で暗い部屋に鍵をかけて電話を掛けたあと、マックスが入るなり受話器の向きを直す。警察の情報が入る前、マックスはこの時既にヌードルスのタレコミに気がついていたんだろう。電話のことを軽くでも聞かない辺り、マックスの決意も固まったのかと。 しかし、タレコミを提案したキャロルにも知られず、同じ街でベイリー長官として有力者になって、ファット・モーの妹を愛人として囲って35年。よくバレなかったものだ。この辺も謎。 ゴミ収集車。ヌードルスの見ている前で、たまたま止まっていたゴミ収集車に飛び込むってのは意味不明。その後禁酒法時代のレトロなパーティ集団が来るところから、ヌードルスの幻想なんだろうなぁ、あの場面は。  思えばヌードルスは、ドミニクが死んでから10年近く刑務所に入っていた。出所して禁酒法時代に仲間と悪さをして、アヘンに逃げる。 フランス料理のイロハを知っていたデボラ。自分の知らない間に時は流れてみんな成長していく。デボラをレイプしたのも、ヌードルスの稚拙な悔しさだったのかもしれない。ペギーのケーキを我慢できずに食べてしまったパッツィのように。やってしまってからの後悔。そして仲間を裏切った思いを抱えたまま、35年街を離れる。  最後にアヘンを吸うヌードルスは、青年期のいつの頃の彼だろう。思い出すのはきっと、ドミニクが生きていた頃、マックスという自分と似た親友が出来て、何をしても楽しかった時代。
[DVD(字幕)] 8点(2022-10-12 09:54:52)
4.  ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ 《ネタバレ》 
- Once Upon a Time in America - “むかしむかし、アメリカでは…。”  多分小~中学生くらいの頃にテレビの洋画劇場の前・後編で観てるんだけど、血が飛び散るバイオレンス強めのマフィア・モノって結構苦手で、怖がりながら観ていた記憶があります。 印象深いのはジェニファー・コネリーのお人形さんのような美しさと、ペギーにあげるケーキをパッツィが食べてしまうところ。少年時代、青年時代、初老の現代と行き来する辺りが、当時の私には難しかったかな。 当時テレビで観たバージョンがどれか解らなかったけど、きっと通常版だろう。今回再視聴したDVDは上映時間から完全版のようです。  コーヒーをかき混ぜるヌードルスの無言の圧が凄い。あの時間の息苦しさ。喫茶店に行くとついついヌードルスごっこしてしまいます。 現代のデボラの見せ方も上手かった。青年期と変わらない美しさが、舞台のメイクを落とすと徐々に目尻のシワが観えてきて…この白塗りメイクの下に老けメイク入れておく観せ方。35年の月日の観せ方の上手さ。街の景観の今昔。街から見上げるマンハッタン橋がとても印象的。現代のライトアップされた姿もまた時代の経過を感じさせるアイテムとして効果的に映っていた。 観ていた当時はそんなに感じなかったけど、こちらのレビューを見ると、確かに後半不可思議な部分があるね。  ~『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ/完全版 』に続く~
[地上波(吹替)] 8点(2022-10-12 09:52:48)
5.  若草物語(1994) 《ネタバレ》 
45年ぶりのリメイク。三女と四女の役回りが変わっていて違和感を感じたけど、こちらの方が原作基準のようですね。'49年版との比較が多くなるけどご容赦を。 その時々に起きるエピソードはゆったりなんだけど、全体的にどこか説明不足感・駆け足感を感じるところは、前作同様に気になったかな。前作はジョーが家を離れてからの後半部分、本作は前半部分に駆け足感を感じました。もし本作を先に観ていたら、'49年版は『ずいぶん前半部分が長いな(約90分)』って思うかも?'49年版を先に観た私は逆に『ずいぶん早く後半に入ったな(約70分)』って。  クリスマスの買い物から朝食のエピソードって、四姉妹それぞれの考え方や好み、姉妹の結束を知る上で重要なパートだと思っていたから、端折られていてびっくり。その代わり失敗エピソードや姉妹喧嘩が生々しく感じるのは、今風な感じ。原稿を燃やすエピソードはショック。 またローリー以外の男性陣の描き方が端折られてる風に感じた。お父さんは突然帰ってくる以外、コレといった出番なし。お父さんの手紙で出てくる-Little Women-“小さなご婦人”が-Girls-“娘たち”に。家庭教師ブルックとメグの関係。教師に手を打たれるエピソード。ローレンス老とピアノが結ぶ友情。むむむ…骨格は一緒だけど肉付きは別物だぞ。 一方でローリーの出番が増えたようで、幼いエイミーとのキスの約束とか、後に繋がる創りが綺麗。…なんだけど、ローリーいつもヘラヘラしてるから、女なら誰にでも同じ事言ってそう。そう思わせない意味でも、エイミーを2人(幼少期キルスティン→成長後サマンサ)にしてるのかなぁ?  私は、セット感が強くて古臭いけど解りやすい前作のほうが好きだけど、舞台劇っぽさを減らし、観る人が共感できるよう、登場人物をより等身大の人間に描いた本作の魅力も捨てがたい。これ、先に観た方を好きになるのかもね?
[CS・衛星(字幕)] 6点(2022-09-17 11:40:38)(良:1票)
6.  私の頭の中の消しゴム 《ネタバレ》 
-내 머리속의 지우개(Eraser in my head)- 邦題まま。 また -A Moment to Remember- “この瞬間を忘れない” 若年性アルツハイマーって、記憶力の低下みたいなものだと思っていたけど、医者の言う『肉体的な死よりも精神的な死が先に訪れます』がガツンと効いた。・・・そうなのか。それじゃ“脳トレ”とかイワシとか、無駄な抵抗じゃないか。  創作の映画に対する『実際はもっと・・・』は付きもので、この映画はアルツハイマーのイメージを解りやすく表現出来ていたと思う。観た人に病気に対する恐怖を与え、ズンと重たい気持ちで観終わるのではなく、希望を残すカタチで、悲しいラブストーリーに特化して描いているので、多くの人に抵抗少なく受け容れられたんじゃないかな。 帰り道がわからなくなる。メモの付箋だらけの室内。不倫相手を今の恋人と錯覚。失禁。こんな悲しい描写と、「一生恋ができるぞ」みたく病気と前向きに戦うチョルスの言葉が、スジンだけでなく見ている私にも希望を与えてくれる。 記憶が蘇ったときに書いた手紙の、溢れんばかりの気持ちの込め具合に、スジンの愛情の深さが感じられる。  だけどどうしてか、登場人物みんな、極端に第一印象が悪い。スジンは不倫、チョルスは暴力。まぁ主役2人は時間を掛けて描かれるから良いとして、医者はズケズケと本人に病気を突き付けるし、師匠はチョルスの仕事に冷たく、母親は問答無用で食ってかかる。 後に印象リカバーする機会があるから、みんな根っから悪い人じゃないんだな。ってなるけど、映画が2人の恋愛に特化したためか“最後に突然良い人になってた感”を感じてしまい、コンビニのシーンに、何で?って驚いたのが先行して、スッと心に入ってこなかった。 「ゴチャゴチャ考えないで、そこは素直に泣けよ」と私自身に言い聞かせる。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2022-07-13 09:14:03)
7.  私をスキーに連れてって 《ネタバレ》 
若者文化とバブル景気。遊びと恋とフジテレビ。'87年という時代を知るにはとても良い教材映画だと思う。 フジテレビの手に掛かれば、どんなものでもお洒落になった時代。面白いコンテンツを取り上げ、盛り上げ、膨らませて流行らせる。 ゼロから創ったのではなく、ジワジワ人気が出てきたものを、いち早く察知して、他のお洒落なものとミキシングして、さも自分たちが流行を創り出したかのように見せる、当時のフジテレビの技術。F-1、バレーボール、女子アナ、バラエティ番組、トレンディ・ドラマ(※W浅野の『抱きしめたい!』から言われ出した言葉だったよね?)。  このスキーにしたって、この映画が流行らせたように観えてしまうけど、ジワジワ流行っていたものを映画にまとめた“だけ”のもの。ファッショナブルなウェア。華麗なトリック。気心の知れた仲間との週末のフワフワした遊び方の提示。それら当時の若者の求めるものを、松任谷由実の透明な音楽をミキシングして綺麗にまとめ上げる。 “まとめただけ”なんて書いたけど決して簡単な訳でない。ネットのない時代に、いわゆる“マニアたちに静かなブーム”だったものをキャッチして“若者に大流行”させるフジテレビのテクニックは、正直言って凄かった。 ホイチョイが凄かったのかは、正直分からない。フジと切り離して考えると、この集団の功績がイマイチピンと来ない。ホイチョイ3部作の残り2つ(未見)の評価を見ても、う~ん…彼らの実力ってどうだろう?  ただ少なくともこの映画に関しては良い完成度。中身スッカスカと見下すことも出来るけど、スキー(&スキー場に行くこと)の面白さをしっかり伝えきれていると思うし、遊んでばかりの登場人物も、決して彼ら主人公たちだけがフワフワしている訳じゃなく、そういう時代だったんだなって思えて楽しめた。 中身の伝わらない仕事をして、夜からは遊びに全力を出す当時の若者。その金はどこから出てくるんだ?ってくらい湧き出る謎の遊興費。ヘタしたら死ぬかもしれないこと(レースとか立入禁止場所に入るとか)を遊びでやってしまう感覚。  サロットのウェアを届けるためにGT-FOURを転がす真理子とヒロコが格好良い。決して運転が上手いわけでなく、単に無茶をしてるだけに観える。けど車内の2人は談笑してるんだ。楽しいことだけ考えてた当時が懐かしく思えて、とっても好きなシーン。 荒い運転に耐えて頑張ってたGT-FOURがコケて、車体を蹴って怒る2人。お披露目に間に合わずスキー板を放り投げて残念がる泉。もっとモノを大事にしろよ!って思ってしまうけど、当時はあんな感覚だったと思う。次々に新しい良いモノを作り出せてた時代だし。モノを大事にする感覚って、松井秀喜が自分のバットを大事にするって広まった辺りから見直された感覚だったかもしれない。 恋愛映画としては、正直そんなに光るものは感じなかったけど、「バァ~ン!!」の照れくさ甘酸っぱさと、「明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。」ってベタだけどホンワカする告白の返事が素敵。
[ビデオ(邦画)] 7点(2022-06-18 17:27:26)
8.  わるいやつら 《ネタバレ》 
なるほど、タイトルの通り主要登場人物に善人が居ません。悪いやつばっかりです。 死亡診断書のトリック(?)は、原作が作られた1960年当時、どれだけ説得力があったか解らないけど、医師という立場が特権階級から、イチ職業でしかない今現在から観ると(たぶん公開された1980年も)、『死亡診断書って、やりたい放題なんだぁ』と納得するくらい。この物語のキモは犯罪の意外性ではなく、悪人の騙し合いの方だろう。  「あの先生かて、働くことありますの」「味のわかるような客やおまへん」2代目のボンボン院長。あっちこっちに女を作り、金の工面に奔走。医師という立場が無ければ何の魅力もない、つまらない男。こんな男を中心に話が進むから、どっかでボロが出るのは火を見るより明らか。 自分と繋がりのある人物を同じ方法で殺害ってだけでリスキーなのに、赤い包の処方箋をそのまま渡すなんて、犯罪に対する工夫の跡が見られない。看護婦長の殺害後の後始末も、自分の車で山奥に運んで、きちんと埋めもせず放置と、これまたすごく雑。どう考えても上手くいきっこない犯罪。  戸谷院長の救いようのない転落人生が描かれるけど、なんか意外性もなく“思うツボ”って感じ。証拠をバッチリ固められてからの事情聴取。逮捕まで一直線。戸谷院長に捜査の手が伸びてからは、テンポも良く豪華俳優がポツポツ出てきて楽しめる。 タイトルが『わるいやつら』だけに、警察(善人)側からは最小限にしか描かれないのかな? 何でもアリな死亡診断書偽装に対し、タイヤ痕からの割り出しは科学的で、なんかチグハグな感覚を覚える。一番ショッキングだったのが看護婦長が生きていたこと。医師なのに殺し損ねるって、戸谷院長どれだけヤブなのか。  黒幕の下見沢、あれだけ何でも任されてりゃ、詐欺し放題だよな。ファッションショーをする度に、騙された男が襲ってくる槙村。彼女が“悪人の中の悪人”って事だろうけど、アホな院長を中心に描いたために、その辺の掘り下げが足りない気がした。もっと下見沢と槙村の裏事情を書いてほしかったかな。
[インターネット(邦画)] 5点(2022-02-27 17:06:06)
9.  ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ/天地争覇 《ネタバレ》 
-獅王争覇- 獅子舞の王者決定大会。 オープニングの、紫禁城での多人数の獅子の舞いが圧巻。主人公たちとは関係ないけど西太后も出てきて、タイトルに相応しい清朝の歴史が垣間見れる。フェイフォンとイー叔母との関係も進んだようで、そこにカメラの送り主のロシア人将校も登場し、フェイフォンの嫉妬、八つ当たりが可愛いと言うか、大人げないと言うか…  カンフーは特撮が増えてリアリティは減ったけど、鬼脚の動きは面白く、足技中心だけどカポエイラともまた違って『あんな拳法もあるんだぁ』って感心した。3つの流派の争いを止めるフェイフォンも、ゲームの“○○無双”みたいで格好良かった。 街中での獅子大会予選も大迫力。オープニングの綺麗な舞いとは違い、相手の獅子を攻撃する荒々しい争いは、獅子舞いの別な一面を見せてくれた。  怪我をした鬼脚とのエピソードも涙を誘うし、「アオラプユー!!アオラプユー!!」英語教室とか、前作よりコメディ色が強調されてきたと思う。イー叔母の表情も豊かで可愛らしい。キャストに愛着も出てきた3作目だけに、ただ眺めてるだけで楽しめて、本作が一番私の好みかもしれない。 イー叔母の「中国の未来は私達が決める!」西欧やロシアなどの列強国に良いようにされていた中国人のたくましさ、意地が感じられて格好良かった。 最後は獅子大会なんだけど、獅子舞いは予選でお腹いっぱい堪能したから、ちょっと食傷気味になる。 たぶんシリーズ鑑賞はここまで。歴史に沿った冒険譚として面白いシリーズでした。
[インターネット(字幕)] 6点(2022-01-15 12:32:36)
10.  ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ/天地大乱 《ネタバレ》 
-黄飛鴻之二: 男兒當自強-“黄飛鴻その2:男は自らを鍛え強くなれ” みたいな意味らしい。またこの映画の印象的なテーマソングのタイトルでジャッキー・チェンが歌ってる…そうだったのか。邦題は『熱き血潮』 フー役がユン・ピョウから別の人に変わり、イム師匠が総統役で出ていたりと、ちょっとこんがらがった。 イー叔母とウォンとフーの三角関係。「フー何してる?その役は私がやる!」って、なんかウォンが大人げないかなと。嫉妬して可愛いって見方もあるけど。  白蓮教教祖のクン大師、ノドに当てた刀を横に引くのは観てて怖い。前作のイム師匠を倒した銃すら効かないのは、強敵感も強く期待値が上がる。外国語学校の焼き討ちは、建物にお札をいっぱい貼ったり、死体が転がってたりと結構ショッキング。 白蓮教って実在したらしいけど、怪しい新興宗教感が強い。この映画が制作された'92年前後は、日本ではオウム真理教とか統一教会とかが話題になってた辺りで、香港ももしかしたら、そういう新興宗教がリアルタイムで話題になっていたのかもしれない。  ラン提督に見覚えあると思っていたら、ドニー・イェンか。ビュンビュンしなる棒術、布を固めて棒状にした武術は、迫力と美しさがあって見事だった。実際、後半の対決より、中盤の対決のほうが見応えがあり、カンフー映画の醍醐味に思えた。 後半のクン大師、ラン提督との連戦は、リアリティは無いけど観ていて楽しい。“香港のスピルバーグ”と呼ばれていたツイ・ハークの本領発揮で、当時の流行だったワイヤーアクションを多用した漫画みたいな戦いと、(恐らく)当時はマンネリ化で時代遅れになってきていた、本格カンフー映画を見事に融合させていたと思う。
[インターネット(字幕)] 6点(2022-01-14 11:48:35)
11.  ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ/天地黎明 《ネタバレ》 
-Once Upon Time In China-“むかしむかし、中国では…。” 黄飛鴻、実在の人物で、ジャッキー・チェンの酔拳(吹替版)で言うところの“ヒコウ”です。あちらがコミカルなカンフー・アクションだったから、こちらはタイトルのイメージとツイ・ハーク監督ってところから、ファンタジー要素が入った歴史ものかと思ってた。けど、どちらかと言うとこちらもカンフー・アクション映画だった。  西洋文化が入ってきた矢先の清の街、各国が入り乱れるごちゃごちゃした感じを再現したセットが良い。西洋らしいレストランの天井の手動シーリングファン。清らしい商店街の木製看板。宣教師のハレルヤVS清の弦楽器対決。独特の“火の用心”おじさん。 歴史ものっぽく始まるオープニングの龍の舞から素晴らしかった。爆竹を銃撃と勘違いしてフランス軍(?)が発砲なんて、まさに当時のあるあるネタっぽい。この時フランス兵笑ってるし、当時の諸外国からの清の扱われ方が出てるかなって。ウォンたちも撃たれた人より舞のほうが大事みたいで(脅されただけで死んでないのかな?)、その辺の価値観が興味深かったけど、特に掘り下げない。 イム師匠、自分の信念を貫いてるっぽく、道場破りまでは格好良かったけど、ウェンの手下になってからどんどん小物化して株を下げてしまうのが残念。最後の見せ場、梯子を使った戦いが素晴らしいだけに、格好良さを貫いてほしかったな。  提督「アメリカには本当に黄金があるんだろうか?」ウォン「アメリカに黄金があるなら、なぜ中国に来るのでしょう」ごもっともです。この時代(~清朝)の映画は、今のよく分からない中国でなく、私達が脳内でイメージする、いわゆる中国4000年の歴史が感じられる。この映画を見る限り、アメリカだ、イギリスだ、西欧各国が我が物顔で中国で好き勝手したから、色々嫌になって、今の中国になる道を選んでしまったのかと、そうも思えてしまう。 難しいことは抜きに、カンフー・アクション映画として楽しむのが良さそう。
[インターネット(字幕)] 5点(2022-01-09 12:16:51)
12.  わたしは生きていける 《ネタバレ》 
-How I Live Now-“今の私の生き方”。 他人とのコミュニケーションを拒絶する少女が、自然と隣り合わせの環境で暮らす従兄弟たちとの交流で心を開く。そこに第三次世界大戦が勃発し…って感じだけど、背景の戦争の状況がよくわからない。 最初の空港シーンからライフル持った兵隊がガヤガヤ居たり、家までの道のりに軍用車がたくさん出てきたりと、開戦直前の不穏な空気はよく出来ていたと思う。核の表現(強い風とズンッという重い音、死の灰、その後の雨。)は、アレはアレで怖かった。けど、その後は人体にも街や森にも核の影響がなく、世界規模の核戦争なのか、ロンドンだけたまたまテロに遭ったのかも解らない。水が飲めないのは放射能ではなくテロリストが汚染したって。検問でのユルい銃撃戦、旅客機の墜落現場、訓練基地?で袋詰めの死体。一貫性のないチグハグな戦争描写から、どこのどんな組織を相手に戦争しているのかが全く見えてこない。戦争から連想されるインパクトのある映像(ただし低予算)を詰め込んだだけに思える。いくら子どもたちだけが主役のドラマだからって、ニュース映像を増やすとか、新聞記事を差し込むとか、大人同士の会話から連想させるとかして、世界観の骨格・背景はしっかり作ってほしかった。 だけど幼いパイパーが可哀想で。エディーに会いたい気持ちから、パッパカパッパカ先に行くデイジーに頑張ってついていく。休みたいといえば怒られ、汚染のせいで水も飲めず。靴擦れで血まみれの足を黙って拭いて、泣き言を言わずに歩きだす姿がなんとも健気。  シアーシャ・ローナンの表情の変化が素晴らしい。冒頭のロック好きな少女の時は、全ての事が退屈そうで不機嫌さを隠さない表情を。従兄弟たちと打ち解け、エディーを好きになってからは、年齢相応な喜怒哀楽がはっきり伝わる表情を。収容施設のような強制労働(…と言うには自由度は高い)の最中は感情を抑えて、まるで空気みたいな表情を。サバイバル生活では“家に帰る”という強い意志を感じさせる表情を。家に帰ってからはエディとパイパーを守って生活を再建させる、母親のような表情を見せてくれる。それぞれでメイクが違うのもあるけど、状況に合わせた彼女の演技力を堪能する、イメージムービーのような気がしないでもない。  恋愛描写は古典的というか、ラノベ的と言うかアニメっぽいと言うか。お互いに怪我をした指を舐めることで、相手への感情が戻る表現は世代を問わずわかり易いと思う一方、頭の声とか土に埋められたエディーの夢とか、この超能力みたいな表現は最後まで説明がなく、どういう意味だったのか判らなかった。 この作品はティーン・エイジャー向けな映画なので、肝心の若い人がこの映画を見て、戦争は怖いなとか、人を好きになるって良いなとか、そう思ってもらえたら成功だろうから、いい年した大人がモチャモチャ言うモンじゃないって気もする。
[インターネット(字幕)] 4点(2022-01-08 19:10:47)
13.  ワイルド・スピード 《ネタバレ》 
-The Fast and the Furious-“速く、そして凄まじいもの”…なんかワイルド・スピードってシンプルな邦題が市民権を得てしまってるので、それはそれで良いのかなー?って。 アメリカ映画に出てくる日本車って、お金が無い学生が乗ってるか、車にこだわりの無い若いオネーちゃんがボロボロのホンダやトヨタに乗ってる印象しかなかったから、この映画でコワモテのオニーさんに、あれだけ日本車がウケてるなんて、当時はちょっと実感湧かなかったっけ。 しかも日本車らしくないケバケバしいカラーリングとピカピカのエンジン。底にネオン仕込んだ車なんて、まだ周りで走って無かったからインパクトが大きく、見慣れた国産車なのに、ちょっと不思議な文化を見てる気持ちになったわ。  このシリーズは2本ほど観ていると思うけど、1作目はたぶん今回初見。ゼロヨンというと『よろしくメカドック』を思い出してしまうけど、レースシーンは熱いしカメラワークも当時にしてはコダワリが感じられた…けど、単純な直線スピード勝負で、ニトロのタイミングで決着が着くゼロヨンでは、“走る・曲がる・止まる”が高次元なバランスの日本車の本来のポテンシャルは出しきれない気がするなぁ。でもそうでないと、最後“早いけど・曲がらない・止まらない”なダッジ・チャージャーの出番がないから仕方ないのかも。  信頼関係が芽生えたブライアンが潜入捜査官で、ドミニクが『裏切られた~』って感じたことより、ドミニクがそのまんまDVD泥棒だった事のほうが、そして“単なる泥棒と見せかけて、実は…”みたいなその先の話が無いこととか、なんか『裏切られた~』って感じ。 でもこの映画、ストーリー云々でなく、ピカピカの日本車が元気に走ってるシーンを、ただボーッと観てるだけで楽しい気持ちになれる。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2021-12-13 22:10:02)
14.  悪い種子 《ネタバレ》 
-The Bad Seed-邦題まま。“ワルいシュシ”って読んでたけど“ワルいタネ”が正しいそうな。Seedは“子孫”って意味もあるみたい。 どこかで聞いたことがある『月の光に』ってフランス民謡が、とってもとっても印象的に使われている。楽しげに、悲しげに、不気味に。1956年の映画なのに、8歳にしては大人びた少女ローダ(といっても演じたパティ・マコーミックは11歳)。この時代だとまだまだ嘘くさくても、わーい!わーい!と“子供は子供らしく”描かれてる時代だとばかり思ってた。 けどローダは生意気でその辺に居そうで、とてもリアル。特にリロイに対する受け答えとか、8歳にして人を見下した態度なんか、ホントよく表現できてると思うし、犯行を追求されて一気に感情を爆発させるところなんて、とても11歳の子役の演技とは思えない。  殺されたクロードの母ホーテンスの演技がまた迫力があって圧巻。理不尽な怒りをぶつけるのではなく、子供を失った悲しみと怒りがズシンとのしかかるような、観てるだけで重たくなる演技。静かな夫の演技がまたホーテンスを光らせる。 リロイの死をペンマーク婦人の目線で伝える演出も素晴らしい。モトはミュージカルだそうだけど、この“目線だけ”っていうのがとても映画らしい表現。それでいて安直な人が焼ける状況を見せるのを避けたのも上手い。こんな状況だからこそ、テンポよく弾かれるピアノが狂気を感じさせる。  娘に睡眠薬を飲ませるため瓶を移し替える母も怖いし、母を疑って瓶を確認するローダも怖い。 観客に口外を禁じた最後のオチって、ミュージカルとの違い全部のことだろうか?カミナリと復活は意外性というより唐突で、何の解決にもなってないような気がしたけど、ほのぼのとしたカーテンコールとお尻ペンペンはとても大好き。ズウゥゥ~~ンとした重たい空気をいっぺんに軽くしてくれた。冗談みたいなカミナリのシーンまでが、とても緊迫してて丁寧に熱演されていたから活きてくるエンディング。こんな終わり方なら、友達と観終わって「怖かったねー!!」って笑って帰路に着けるわ。  『何だかんだ言っても、あなたはまだ子供なのよ』ってお尻ペンペン。アカデミー助演女優賞にノミネートされながらも、受賞はさせなかったの、まだまだハリウッドも子役の将来を考えられる、大人の余裕な対応をしたのかもしれない。こんな小さな子に、悪女役で賞を与えてしまうと、パティのその後の人生が狂ってしまうだろう。って。 子役スターとして持ち上げられすぎて、その後の人生を駄目にした子って、たくさんいたからね。 …それでも、あの圧巻の演技には、子役賞とかあれば良かったのにって思ってしまうかな。すごかったです。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2021-12-06 13:13:37)(良:1票)
15.  わが母の記 《ネタバレ》 
母親が80歳、物忘れが出だした頃から、89歳で亡くなるまでを描いている。 観ているとどうしても自分の母親(まだまだ元気だけど)と重ねてしまって、これから先、いつ起きるかしれない認知症と、私だったらどう向き合うかとか、ついついそんなコトを考えながら観てしまった。  樹木希林の演技とは思えない熱演がスゴい。洪作の家から自分の家に帰ろうと暴れる怒ったような困ったような顔。懐中電灯を手に徘徊する真剣な顔。息子の書いた『おかあさんと渡る海峡』を詠むときの遠くを見つめる目。 自分のことを息子だと理解してくれない母親に、あくまで優しく接する洪作が、ずっと抱えてた心の引っかかり。捨てられたと思いこんでた過去をぶつけるシーン。育ての母を悪くしか言わない八重に「息子を置き去りにしたんですよね」と、涙を浮かべて問い詰めるシーンがヒリヒリと痛々しい。ここから先は大泣きしてしまう。 奥さんからアッサリと母の秘密が話されるのも、洪作の人(自分の家族)の話を聞かない性格が出てたと思う。空回りといえば空回りだけど、受け入れるのに必要な時間というのも、あったのかもしれない。  昭和な空気も気持ちよくて、誕生会で泊まるホテルの案内板。八重さんが徘徊する食堂の麻雀卓も懐かしさを感じる。夜中の居間に浴衣姿の家族がみんな集まってる画も、なんか良い。 最初まだ学生だった琴子の成長を描くことで、ゆっくりとしていて、それでいて確実に過ぎていく、9年という時間の表し方も上手い。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2021-11-26 01:38:57)
16.  我等の生涯の最良の年 《ネタバレ》 
~The Best Years Of Our Lives~邦題まま。 両手のない水兵ホーマー。義手でサインしたりマッチの火を付けたり、本当に器用だ。戦争で手足を失った人が多かっただろうこの時代、ジロジロ見るのは気が引けるけど、映画だったら見て学べる。「そうやって使うんだ。凄い練習したんだろうな、上手だなぁ」と。腫れ物に触れるような扱い、気にしない風にしてるのが、却ってホーマーを傷つける。 アルが戦地から持ってきたお土産、ジャップの刀と寄せ書き。見ていて複雑な気持ちになったけど、寄せ書きの意味を知っている息子が、きちんと複雑な心境を表現してくれた。もう「本物だ、すげえ!」と素直に喜ぶ年齢じゃなくなっていた。 新婚生活を再スタートしたのに、思うような仕事が見つからないフレッド。週32.50ドル。節約を強いられる生活と、まだまだ遊び歩きたい妻。 戦地からの帰還兵と、受け入れる側の家族のギャップと、それを埋めるためのお互いの歩み寄りを丁寧に描いた映画を、第二次世界大戦の終戦翌年に公開しているのが、凄い。  「ジャップやナチは共産主義を叩きたかっただけなのに、英国に利用された。無駄な犠牲だ。」戦後1年目だと戦勝ムード真っ盛りなイメージだったけど、当時そんな考えもあったなんて、今まで想像も付かなかった。 他の映画でも見たことあるけど、飛行機の墓場。繰り返しになるけど、戦後1年であれだけの軍用機が不要になるアメリカ、とんでもない国と戦争をしたものだ。エンジンのないB-17の不気味なこと… 建築材料にリサイクルされる軍用機、そこで働くことにするフレッド。戦争は終わった。人も兵器も次の役目が待っている。いつまでも戦後を引きずらない、アメリカって前向きな国だね。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2021-09-02 01:09:18)
17.  私は告白する 《ネタバレ》 
~I Confess~邦題そのまま。 DIRECTION→(こちら→)からの、死体。遊び心のある演出。 夜中の11時過ぎにあんな幼い少女が二人、外を歩いてるなんて、平和だなぁ…すぐそこで殺人事件起きてるけど。 告解の内容は誰にも話せない事から、ローガン神父の苦悩と、神父に対する世間や警察の誤解に焦点が当たっている。 そっちがメインなためか、当の殺人事件や犯人の行動や動機がかなり雑な印象。 神父ももう少し警察に言えることがあるんじゃないか?って思うけど、どうなんだろ? ローガン「ビレットが死んだ」ルース「私たち自由ね」のシーン。同じ時間同じ場面を、ラルー警視側の視点と、車で来たルース側から見た視点の両方から見せるのは面白い。今では割と使われる撮影方法だけど、当時他にあったかな? 裁判での逆転劇がクライマックスかと思いきや、証拠不十分で無罪というスッキリしない判決。 恩人に罪を被せるケラーの卑怯さ加減。あぁ憎たらしい!と思っていたら、あれだけの観衆の前で銃を撃つという、最後のヤケクソ感。 最初からケラーの犯行に後ろ向きで、でも告白する勇気もない妻のアルマ。ローガン神父のために勇気を出した結果、夫に撃たれて命を落とすなんて、ひたすら可愛そう。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2021-08-20 20:23:32)
18.  わが谷は緑なりき 《ネタバレ》 
~How Green Was My Valley~私の谷はなんと青々としていたことだろう。おんなじ意味です。良い邦題だと思う。 炭鉱、長屋、坂、山。平べったいスタジオ撮影でなく、空気まで伝わりそうなロケが美しい。モノクロなのも郷愁を誘う。 ロケーション、シチュエーション。他の映画で観たような場面がチラホラあることから、かなり影響を与えた映画なんじゃないかな。 古き良き大家族。夕食はみんなで一つのテーブルを囲み、お祈りをして、お父さんから食べる。父は家族の頭で、母は家族の心臓。家の中で家長として偉そうにしてる父親と、実際に偉いお母さん。満たされる家族の時間。 世間の追い打ち。賃金低下からスト。子は父を思うけど、父は習慣を重んじるために生まれる対立。災難は母と末っ子のヒューに。 仕事が減り自らアメリカに発つ兄たち。姉が炭鉱主の息子と結婚したのにクビになる兄たち…少しは優遇されてもと思うけど。 ボクシングを習っていじめっ子と闘い、ムチで打たれるヒューに、ハンカチを「強く噛め」と言ういじめっ子にほっこり。 長男が事故死して、未亡人になった初恋の兄嫁ブロンと同棲するヒュー…役者が変わらないから、時間経過が掴みにくいけど、学校を卒業して炭鉱で働くとかしてるから数年が経ってるんだろう。成長したヒューとの、ふわふわした話にもなりそうだけど、ここもうちょっと観たかったかな。 心を病んで離婚して実家に出戻るアンハードと、牧師との関係に陰口を言う谷の人たち。自分の教えが無駄だったことに心を痛めて谷を去る牧師。序盤の父親のいない子を生んだ女性に対する厳しい扱いといい、田舎の陰湿さが出てる。この谷のどこがどう“緑なりき”なのか。牧師の最後の説教がグサッと刺さる。 世界地図を見てバラバラになった兄弟を指し示す。ヒュー「母さんはみんなを照らす星だよ」母『地図なんか見なくても、子どもたちは家の中よ』教養がなくても母は母だなぁ。 谷=生まれ育った場所。故郷。家。母と家族の絆がある限り、産まれた家は永遠に“緑なりき”なんだろう。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-08-17 13:13:03)(良:1票)
19.  若おかみは小学生! 《ネタバレ》 
千と千尋を観て、そう言えば去年録画したこの作品、シチュエーションが似てるかもな?と、改めて観ることにした。 結構グッと詰め込まれた感。絵は丁寧で綺麗だし、アングルも工夫されていて人物も活き活きと描かれている。  もう何と言ってもピンふりの魅力に尽きる。衣装や存在の面白さが目を引くけど、同級生たちが煙たがりつつも認めざるをえない才能と、ひたむきな努力。彼女は小学生ながら、自分の高級ホテルだけでなく、花の湯温泉郷全体の今後を考えている。 ついついトゲのある言い方をするけど、それは自分の真剣さの裏返し。 花の湯に来て数ヶ月のおっこと春の屋旅館が、旅行通が好みそうな雑誌に取り上げられたけど、嫌味や妬みの一つも言わない大人なピンふり。 ピンふりはおっこよりもっと先に、じゃらん的な浮いた雑誌に取り上げられるべき名物女将になっても不思議じゃないと思う。でもきっと、派手な見た目に反して、裏方的な控えめな努力をしてきたんだろうな。最後の客のエスコートの仕方に、客と春の屋、そしておっこに対する最大級の気配りが感じられた。 両親を亡くしたおっこが、ピンふりやグローリーさんと触れ合いながら、小さな旅館の女将として成長していくドラマか。巻数の多い児童文学が原作だそうだから、きっと私のイメージ通りの作品なんだろう。  原作とかTV短編とか、きっと面白いんだと思う。ただこの映画の構成がどうも引っ掛かってしまう。 出だし、ほのぼのしたお祭りとおっこの家族団らん。神楽の最後、不気味さを見せる狐面…神様の舞なのになぜ不気味に?その直後、全てを奪い去る交通事故…予想外過ぎて心臓がパクパクしたわ。 グローリーさんとのドライブで急に事故のフラッシュバック。それもかなり細かい描写で…えぇ~このタイミングで入れてくるの? そして最後の客が事故の当事者。これは、小学生の女の子には、というか遺族には残酷すぎる。 最初と最後と中間に両親の死を挟む。これが万が一にも実話なら納得だけど、あくまで人が作った物語。長い作品(原作)の1エピソードだったら解らなくもないけど、90分くらいの短編映画の主題としてこのエピソードを選んだ訳で…なんか水曜日のダウンタウンのドッキリ企画並みに悪趣味に思えた。  事故から1年も経ってないのに、峰子女将は息子夫婦を死なせた相手の名前を忘れて予約を受けたのか。事故の加害者の妻は被害者の葬儀に行くだろうし、そのときの喪主はお父さんの母である関峰子になると思うけど、加害者のこと気にしてなかったのか? 加害者夫婦も、唯一の生き残り、小学生の女の子が、その後どこに行ったのか気にしなかったのか。花の湯温泉方面から家に帰る高速で事故が起きたのに、なぜ加害者夫婦は花の湯温泉を選んだのか? 雑誌にはフルネームでなく“おっこ”って出たとか、女将が宿帳で気がつくとかあったけど、もうこの映画のメインが“おっこを容赦ないトラウマに向き合わせてみた。”に思えて、他のほのぼのした魅力的なエピソードが吹っ飛んでしまった。 そうなるとまた、余計なものまでが色々目に付いて、例えばおっこが1人で、誰もいない家を出ていくシーン。親族とか近所の人とか誰も手伝わないの?友達は見送らないの?小学生が独りで花の湯温泉まで行くの? うり坊とかみよちゃんとか鈴鬼とか、精神的にショックを受けた子が創り出した、いわゆるイマジナリーフレンドなの?とか。 そうなっちゃうともう、子供向けにしてはグローリーさんの入浴セクシー・ショットが多すぎない?とかまで… う~ん…皆さんの高得点も納得なんだけど、この作品を好きな私と、この構成を嫌いな私が出てしまう。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2021-08-12 02:40:22)
20.  笑の大学 《ネタバレ》 
面白かった。心から笑ったことがない人が、自分が理解できていない笑いを説明されて、それを理解して、実際自分が人を笑わせる手伝いをする(結果になる)。そこには検閲を通すためのヨイショもあるんだろうけど、向坂のダメ出しを見事に笑いに組み込む椿のセンスは、強引ながら大したものだと思えて、5日目の向坂が警官役をやらされる辺りまで、テンポも良く、作家と検閲官のお互いの距離が近づくようで、とても楽しかった。 6日目、向坂が坊主の格好している辺りから、若干クドさが出てしまったように思えた。好みの問題かもしれないけど、5日目までの距離感が一番絶妙だったような気がして、それ以上距離が縮まるのは、やりすぎなような… 向坂が上演許可を出さないために嫌がらせを告白は、それはそれとして黙って飲み込んで良いと思うんだけど、その後の椿の本音が、観ている私も聞きたくなかった。これは戦地帰りの兵隊に『人殺しは間違いだよね、あなた人殺したことある?』ってのと同じくらい、言っちゃいけないことのような。向坂がちゃんと「聞きたくなかった!!」と言ってくれてよかった。でもここまで積み上げたものがぶち壊しになり、修復は無理と思われた翌日の、赤紙。ある意味反則だけど、すべて持っていく上手な結び方。 あぁ、でも向坂に廊下で叫んでほしくなかったかな。もっと、あの部屋の中だけで、二人の中だけで認め合うような結末が相応しい関係だったように思う。 舞台版だとそういう所も含めて、完成度高いのかな?でも充分楽しめたよ。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2021-07-06 23:45:07)
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