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すかあふえいすさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1047
性別 男性
年齢 30歳
自己紹介 とにかくアクションものが一番

感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます

備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません
10点…大傑作・特に好き
9点…好き・傑作
8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く

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【製作年 : 1920年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  風(1928) 《ネタバレ》 
この作品のリリアン・ギッシュはとにかく可愛いく、美しく、怖い。  列車からはじまるファーストシーン。外は猛烈な風が吹き荒れ、ちょっとでも窓を開けようものなら風がビュッーと砂を撒き散らして人々に襲い掛かる。  列車におけるレティとロディの出会い、 レティを迎えに来た兄のビバリーとお爺さん。奥さんが牛の解体をする傍らレティとコーラの子供たちはとても仲良く遊ぶ。あたしがこんな仕事をやっているって時にこの女は…とでも言いたげな表情。だからってそんな血まみれの手じゃ子供じゃなくたって驚くわ。  ダンスパーティー、レティを誘惑するロディの再登場、コーラの嫉妬の爆発、そこにサイクロン(竜巻)まで来る。避難所が常設されている辺り頻繁に来るのだろう。西部劇で竜巻に襲われる作品は貴重。幸いな事に竜巻で被害は出なかったが、レティが悩む度に画面に映される風は絶えない。  レティはコーラの虐めに耐えかねて家を出る。そして何を思ったか近くに住む荒くれ者のライジと婚約。ライジは喜んでレティを受け入れるが、レティはまだライジに心を許す覚悟をしていなかった。衣服を脱ごうとするレティ、ライジは既に夫になっているので遠慮はしない、レティはまだ恥ずかし気な様子。いやもうちょっと遠慮しろよライジ…抱きしめる時もちゃっかり胸に腕を回しやがって(終盤)。  ライジは不器用ながらもレティの夫になろうと努力するが、心が中々通じない事に苛立ちを募らせる。レティもまた吹き止まない砂嵐で徐々に神経をすり減らしていく。  二人の心が通じ合わず距離が開いた様子を足だけで伝える。レティは太陽が照りつける熱さ、砂嵐に怯えてどんどん神経をすり減らす。めまいがし、風で家が揺れ、窓ガラスが割れ、その衝撃でランプが倒れて火が付く!火の熱か音かレティは正気に戻って慌てて火を消す。もう彼女の精神状態は限界。そんな時に再びレティの前に姿を現す衰弱したロディ。それを運んできたのは兄のビバリーとお爺さんだった。ビバリーもお爺さんも去ってしまい、回復したロディはレティを再び誘惑する。レティは相次ぐ風、幻影、好色漢のショックで気を失ってしまう。  翌朝。嵐は去るが風は依然強いまま。レティは昨夜の出来事を思い出し、去ろうとするロディに向って…。ここからが怖い。埋めた筈の者が風によって砂の中から顔を出す瞬間…ゾッとする場面。男が扉を開け、レティに向う…!
[DVD(字幕なし「原語」)] 10点(2015-01-19 18:30:03)
2.  結婚行進曲(1928) 《ネタバレ》 
まずは、私が投稿した要望に加筆・修正をして下さった鱗歌さんに感謝してもしきれません。誠にありがとうございます。  本作は個人的にシュトロハイムの映画の中で一番好きな作品。 「愚なる妻」のコメディタッチ版とも言えるこの作品は、自ら騎士の甲冑に身を包むシュトロハイムの姿で幕を開ける。 いつも通りシュトロハイムは好色な貴族として登場するが、今回は若く純真な様子も覗かせる。空中から映される市街と人の群れ、群れ、群れ、教会を行進する人々の群れを捉えた優美なショット。その部分だけテクニカラーのフィルムとなる。 またこの映画は“指”も象徴的に映される。 娘を物色する指、嫉妬で往復ビンタを喰らわす女の手の指、結婚が決まり期待と不安で胸を膨らます心理を表す指、指、指。 美しい平民の娘に心を奪われるシュトロハイム。零落の限りを尽くす男は何人もの女性と関係を持つ。部屋に散乱した女の服が昨夜の情事を物語る。 わざと事故を起こし娘を病院に連れ込みキッカケを作ってしまう周到振り。猛犬を餌付けで買収するなど手馴れたもの。肉屋の男と花をめぐるやり取りは爆笑。 月夜の晩に花が咲き誇る広場のなんと幻想的で美しい事。 二人の男の間で苦しむ娘は、激しく流れる川の向こうに黒い化身の幻影を目撃する。 まるで彼女たちの運命を嘲笑うかのように、甲冑に身を包み彼女そっくりな女性を腕に抱えて去っていく。その姿は彼女にしか見えない。 シュトロハイムも金目当ての政略結婚は嫌なようだ。結婚相手くらい自分で選びたい。 美しきその娘もまた、昔からの知り合いである肉屋の男が度々ちょっかいを出してくる。無理矢理キスするものならツバを吐かれる始末。ただ、次第に粗暴ながら自分の事を思う肉屋に心を動かされかける。 ラストの雨が降りしきる中での結婚式。 短いショットの連続で緊張感を高め、祝福と殺意が飛び交う会場。ピアノを弾く手が死神のような白骨に変わる。 シュトロハイムは自らの運命を受け入れ、娘もまた身を引く潔さ。 だが涙は嘘をつけない。暴力的だった肉屋の男も、ようやく優しく彼女を励まし支えていく決意を固める。 冒頭のシュトロハイム扮する騎士は、幻想に出て来た黒い化身に代わり幕を閉じる。
[DVD(字幕なし「原語」)] 10点(2015-01-02 21:36:05)
3.  東への道 《ネタバレ》 
再見。 グリフィスで一番好きな映画はコレだ。「スージーの真心」とともに最もリリアン・ギッシュが可憐で、儚く、美しい。  のどかな田舎町で母と二人暮らしの少女。柄を持ちうつむき、眼差しを動かし何かを想う姿。手や瓶で口元を隠す仕草からして可愛い。 マッチの火でランプを灯し、帽子を被りオシャレな服に着替え、抱擁を交わし、トコトコ付いてきてスカートにくっつく犬を抱きかかえ家に戻し、街に出掛けていく。 所々見られるコミカルな場面は、田舎の安らぎと人々の優しさが散りばめられている。  暖かい日差しが照らし風が自然を揺らす故郷の居心地の良さ、未知の世界である街と華やかに着飾った人々の中に入っていく緊張。 嫌らしい笑みを浮かべポーカーに興じる男、平気で人を騙す毒牙が待ち受けるとも知らずに荷物を抱えやって来てしまった少女。開かれる扉、扉、再会。 入り口の影で獲物を見つけた男、見つかってしまった少女。初めて座るソファで不安そうに座って待つ。鶏や牛、猫といった動物とともに暮らす優しい青年もまた、誰かにめぐり逢うのを待ち続けていたのかも知れない。  ドレスのチェック、開かれた胸元を恥ずかしそうに手で覆い、手を引かれながら降りていく新しい世界。その姿を一目見て固まり群がる紳士たちの誘惑、語り聞かせる御伽噺の中の美女。服で口元を隠すのは、自分に優しくしてくれる異性にドキドキしているから。  そんな彼女を陥れる“嘘”、映される胸元と脚が語る性、群がる女たちを選ぶ「裏切り」、踏みにじられる待ち続けた女の想い。  愛した男は腹を痛めて産んだ子供にも、それに命をかけた女にも会ってくれない。それは暗い影を落とし、同時に一人で赤ん坊を育てようとする強さも与える。一本道を歩いていくしかない後ろ姿…。  歩みを止める見つめ合いと出会い、隣に座り迎え入れようとする好意、それを拒んでしまう過去の傷。やがて暖かい自然と水辺は、彼女の心の様に雪が降り積もり凍り付く。 農村の人々は雪も溶かす勢いで歌いながらぎゅうぎゅう詰めの馬車で雪道を駆けていく。愉快なバートレット家のやり取りで溶けかかる心の壁、それを破壊するかのように再び現れた悪魔が知らせる真実。  拒まれ、のうのうと目の前に現れた悪魔に爆発させる怒り、どうしようもなくなり扉を開き嵐の中に飛び出していく哀しみ、それでも受け入れランプ片手に呼びかけ追い続ける者の愛情。  冷たい風が吹き荒ぶ極寒の中を揺らめき彷徨い、砕ける灯、馬から千切れるように落とされる乗り手、扉を開き鉢合わせ、殴り取っ組み合い、凍り付きそうな哀しき表情、殴り飛ばして続行される追跡と叫び、目の前に拡がる氷の大地。  力尽き川辺に倒れる肉体、投げ出される腕と髪、雲が覆う空で薄っすらと輝く太陽、激流が予告する“崩壊”、流れ始める氷、氷、氷上の命。 砕け、千切れ、沈み、接近し、駆け抜けようとする命を呑み込もうとするうねり、落ちていたもの、見つめる先にいた者めがけ飛びながら駆け寄り、抱きかかえ迫り来る死から遠ざけるように走り続ける“命”。 冷たくなった手を握り、そっと頬に手をあて、暖かく迎えられ、手を差し伸べられる命。顔を背ける別れ、祝福される結婚、結婚、結婚。手袋が落ち、抱擁と口づけを交わしまくる祝福。  「散り行く花」を見た後だと、より一層この幸福に満ちた映画に出会えたことに感謝したくなる。
[DVD(字幕)] 10点(2014-03-20 01:20:35)(良:2票)
4.  キートンのカメラマン 《ネタバレ》 
キートンの傑作は数多くあるが、俺が一番好きなキートンはこの「カメラマン」! 他のアクションが凄い傑作群に比べると地味な印象を受ける人もいるだろう。でも俺は群衆に始まり群衆に終わるこの映画が大好きなんだ。 まずキートンの出で立ちからして面白い。ベレー帽を被り、使い古された三脚付きカメラをまるで機銃でも抱えるように持ち運ぶ。三脚は容赦なく人に襲い掛かるし事務所のガラスも割ってしまう凶器と化す。 それを支える可愛らしい二人の“相棒”とのやり取りも楽しくてしょうがない。 一人は冒頭偶然出会ったニュース班務めの美しい女性で、情報面から彼の孤独な闘いを支える。 もう一人は街中で偶然出会ったちっこくて素早い気の利く可愛い奴だ。傍らでここぞと言うときに助けてくれる頼れる存在。 冒頭出てくる戦場で命をかけるカメラマン、だが人の住む都会でニュースを追うカメラマンたちも命懸け。 何も無い広場をあっと言う間に埋め尽くす人の群れ!津波のように押し寄せるスペクタクル、そんな場所で出会った女性を追ってキートンは街角カメラマンからニュースを追う記者へと変わっていく。 彼女もまた彼の優しさに同情して良い情報を流してくれるが、失敗が続いて中々上手くいかない。それでも諦めず次に進もうとする無邪気さ。彼女とのデートはとにかく愉快だ。 バスに乗ろうとするが押しのけられ必死でバスの外にしがみ付く、落ちても全力で追いかけ飛びつく。 プールの脱衣所でおっさんと揉みくちゃになるシーンは爆笑。 マーセリン・デイの水着姿は可愛くて色っポイ。こりゃ男どもも群れを成すわな。 終盤のマフィア同士の熾烈な抗争を掻い潜り暗黒街を駆け抜けるシーンも凄い。 心強い“相棒”と共にカメラを回し続け、落としたナイフをもう一度握らせ殺し合わせたり柱が倒れようがマフィアに機銃やナイフで狙われようがそれを全力で回避しつつ撮影を続けるカメラマン魂。 それでも報われない努力、でも報われなくたっていい、惚れた女のために暴走した船が水上を裂くように走る現場に飛び込む勇気。 「蒸気船」の時といい、何も言わずにすぐさま他人のために行動できるキートンはカッコ良い。 その真実をスクープした“相棒”の存在!キートンが他者に助けられるという人間臭い一面も見せる面白さ。総ての真実が明かされた後、まるで二人を祝福するかのように現れる人々の群れ。
[DVD(字幕)] 10点(2014-03-13 00:24:29)
5.  サンライズ 《ネタバレ》 
「最後の人」とか「ファウスト」とか傑作揃いのムルナウだが、やはり1本選ぶとするとこの「サンライズ」。 田舎の幸せな夫婦の中を引き裂こうとする小悪魔的な女、その誘惑に男が打ち勝って夫婦の愛を取り戻すという話だ。 ストーリーは至極単純、中身は超ドラマティック。 天使のような嫁さんジャネット・ゲイナー、筋肉的な夫ジョージ・オブライエン、それを唆す都会女のマーガレット・リビングストン。 夫婦には既に赤ん坊がいる。 だが可愛い嫁がいるにも関わらず都会女に惹かれる夫。 どんな美人でも「見飽きた」存在になれば誘惑に惹かれてしまう。男の性という奴か。 何も無い田舎・・・全てが存在するような都会の魅力が男を虜にする。 女は「私の夫になってよ。あんな女殺しちゃってさ。」恐ろしきは女の換言よりも、その言葉に支配されてしまう夫の方だ。 「吸血鬼ノスフェラトゥ」や「ジキル博士とハイド氏」の頃から恐怖演出がズバ抜けたムルナウ。 愛する女性を「邪魔者」として殺そうとする夫の狂気。 魔が差した人間ほど恐ろしいものは無い。 強烈なモンタージュ、湖面の美しさが余計に怖い。 「ミズーリ横断」や「廃墟の群盗」で常軌を逸した映像の美しさを残したウィリアム・A・ウェルマンも、ムルナウの恐ろしさに勝てる気がしない。 湖面に浮かぶボート、二人きりの「密室」・・・犬の乱入や夫自身の葛藤・・・ただこの様子を見るだけなのにまったく飽きない、見入る、見入ってしまう。  うーむ、この先もガンガン書きたい。ただこの続きを書いてしまうと全部ネタバレになってしまう。 いや本当この後の展開が「常軌を逸した」感じになっちゃうんだもの。 取り敢えずリア充爆発しろ。 いろんな意味で夫婦愛に溺れまくりっす。すごく微笑ましい。爆ぜろ。 余りに空気が変わったので笑ってしまうほど別の映画になる。 なのに何の違和感も無かった。 更にラスト20分でまた「突然変異」だ。 何なんだよこの映画・・・ムルナウ万歳。  ラストの夕陽と髪をといた「天使」の寝顔が最高に美しかった。こんなにもキレイな映画があって良いのか・・・。 真相は是非とも本編で堪能してもらいたい。
[DVD(字幕)] 10点(2014-01-25 13:32:44)(良:1票)
6.  ロイドの化物屋敷 《ネタバレ》 
「ロイドの化物屋敷(化物退治)」。 ハロルド・ロイド主演の愉快な短編。屋敷、ホール、使用人、鳥や子豚といった動物と戯れる少女、ところ変わってテニス場、イスに座っていた女性が立つとそこにロイドが登場www唖然とするロイド。その面をしたいのは俺らだw 男とロイドによる女性の奪い合い、足をつまづかせたり髪を引っ張ったりひっぱたいたり、それを宥める女性。 分かれ道で再びめぐり合い、競争、一声であふれ出てくる使用人たち、あっという間に担ぎ上げて部屋から流されていく、机や人を飛び越えるアクロバティックさ!  意地でも自殺したいロイドの思惑は相次ぐ奇跡によって阻止される。 剣を持った男がいるわ、拳銃が落ちているわ、こめかみに銃を撃とうとするわ、迫る路面電車の前に立ち「僕は死にまシェーン」状態だわ、電車の神回避、水中自殺もできない浅さ、飛び込もうとする男を止める煙草の火を要求したり時間を聞いたりする男たち、落ちた先に船が通りかかる、車の神停車。  急に走り出して人を轢きそうになる車、本当に危ねえなーこの映画(褒め言葉)。鶏につつかれるので餌をやって自分も食べる、今度はアヒルがつついてくるので荷物でガード。いいから前見て走れ!鳥も神回避。  16分を過ぎてやっと「HAUNTED SPOOKS」らしい雰囲気に。ドタバタが楽しい。 屋敷を覆う暗闇、雷鳴、使用人たちも何か楽しそう、ガクブルの脚、脚、脚、階段を上る白い何か!震えすぎて踊っているようにしか見えない。 布をかぶった何かが一人でに動く、子供が可愛い、猫に驚かされて子供が粉入れに突っ込んでしまって真っ白に、みんな狂ったように驚いて隠れる。 点滅する電気、ちょくちょく現れる白い何か、影のシルエットが悪魔のよう、似たものどうしが驚きあう、剣を抜いて痛みでぎゃー、ロイドまでド髪天!
[DVD(字幕)] 9点(2015-07-14 13:39:49)
7.  ビッグ・パレード 《ネタバレ》 
反戦のメッセージを込めた戦争映画の傑作であり、前半1時間はヴィダーらしいメロドラマとして面白おかしく過ぎていく。後半1時間は戦場における殺し合いへ。 ラオール・ウォルシュの「栄光」も女を取り合う軽妙な光景から殺伐とした戦争の光景へと切り替わっていた。  町、工場、溶鉱炉、ビルの建設現場。この何気ない風景が後の「摩天楼」へ、髭を剃る黒人の姿が「ハレルヤ」へと繋がっていくのだろうか。    煙を噴き上げる音、煙、煙、煙の噴出と新聞が知らせる戦争の足音。玄関先での別れの挨拶、戦場に行く人々を見送るパレードはお祭り騒ぎ。  入隊したての行進が戦場への行進へ。行進を見送る群衆、油断すればすぐ泥の中、穴掘り、穴倉作り、婦人とのやり取り、女目当てでやる気UPは良いが上官に土をブチまける勢いはやりすぎw  送られてきた食い物、雑にちぎりながら仲良く食べ合う、川で洗濯子供たちと空の樽を追いかけて遊ぶ、樽をかぶっての運命の出会い。  穴から覗いて挨拶、ほどけたゲートルが語るもの、川から水を組んでシャワーにデート、次々とナンパしにくる仲間たちは食事のラッパの音で慌てて戻っていく。そりゃあんな魅力的な谷間の女性(ry   チューインガム、兵士たちの余興、酔っ払い、靴を磨いていたら藁が山のように落ちてくるシーンに爆笑、サーベルを振り回す元気な爺さん。  酒蔵に侵入して飲みまくる仲間、揉みくちゃ、犯人に間違えられ大慌て、酔いすぎて船で逃げるフリ。そこは土の上だぜ酔っ払いども、大騒動に乗じて逃げる若き恋人たち。   故郷からの手紙、写真、間違えて上官を蹴ってしまうやり取り、階級章、違う手紙、お礼言われちゃったよ・・・。    ジープが知らせる風雲急・蝋燭を消し町の人々との別れを惜しみながら去っていく、群衆が流れていく最後の口づけ。  「必ず生きて帰る!忘れないよ!」足にしがみついてまで惜しむ、鎖、靴や時計を投げ残す、ジープが延々と連なるスペクタクル!   いよいよ戦場だ。 前線へ!前線へ!軍用機たちが空を駆け抜ける!  行進中の兵士たちに襲い掛かる機銃掃射、地上からも応戦、負傷して脱落できた奴らはまだ幸せさ。   銃剣をつけて敵が待ち構えるであろう森を突き進む。道を駆け抜けるバイク、地面に転がる死体、後ろで静かに散っていく仲間たち、狙撃の恐怖。   機関銃が淡々と殺していく、手榴弾、砲弾が飛び交い森が消し飛んだ最前線、ガスの気配に気づいて急いでガスマスクをするスリル。  戦車、見えてきた塹壕、夜中に複葉機が飛ぶ恐怖、挑発、砲撃に怯えながら塹壕で食事をする最後の団欒、銃剣で的を作って的当て、“死番”。  照明弾が照らす黒い影、奇襲、仲間の死が恐怖を打ち消す、死への直行、絶叫、暗闇で表情を見て殺せなくなる、灯りが見えないように煙草の火をつける。   闇の中への突撃、砲弾の雨、激しい閃光・・・まるで悪夢から目が覚めるように目覚める。蠅が顔を覆い、隣には怪我に苦しむ戦友たち。   町を去っていく人々、廃墟になった市街地で叫んでも返ってこない愛する人の声、そこになだれ込む軍隊、砲撃、過去の思い出。  畑仕事、残していったチューインガム・・・残った思いでもやがて口の中に溶けて消えていく。山の上に現れた人影、胸のざわめきで思わず駆け出す姿・・・!
[DVD(字幕)] 9点(2015-07-14 13:26:53)(良:1票)
8.  ニーベルンゲン 第I部 ジークフリート 《ネタバレ》 
ラングによるファンタジー映画の大作。第一部「ジークフリート」、第二部「クリームヒルトの復讐」。 同じ大作でも「ドクトル・マブゼ」は謎解きと犯罪活劇の面白さがそこかしこに満ちていたが、この映画はそれほど緊張がみなぎる作品だろうか。 そりゃあ細部にいたるドイツ美術の見事さには目を見張るし、ジークがドラゴン退治をするシーンは中々迫力があって面白かったが、それまでの20分はちょっと退屈だった。  この2時間30分の第一部は、大いなる序章に過ぎない。 むしろ第二部の2時間10分、特にラスト50分の凄絶な復讐劇こそこの映画の真骨頂!なので、思い切って第二部から見て見るのも面白いかもしれない。   さて話を一部に戻そう。 おどるおどろしいドイツ語の文字がかもしだす雰囲気、虹のかかる山、林と住民、剣を叩き鍛える青年、それを見守る老人。 老人に完成した剣を見せ、空を舞い落ちてきたワタが切れる。このセリフの無い導入部の5分間、完璧だ。  日の光を背に立つ城、黒い影をまとい移動する兵士たち。  上記でも述べた竜退治の迫力!一見すると巨大なトカゲがのそのそやっているようで拍子抜けする(眼は可愛らしすぎるし)が、造形や動き・演出が凝ってる。噂を聞いただけで、劇中では実質何もしないまま殺されるドラゴン。オマケに眼も可愛気で何処か哀しい表情。これじゃジークがただのDQNじゃないか(え?原作も大体そんな感じ?)。 滝が落ち、木の影から剣を抜いて様子をうかがう。剣を振り上げ火を噴くドラゴンの眼をえぐる!喉をついて血が流れ落ちる。剣にベットリついた血の跡。鳥だけがその一部始終を見ていた。 滝のように溢れる竜の血を、水につかるように浴びる。この間わずか3分。  ジークの旅は続く。霧がたちこめ、木がうねった不気味な森の雰囲気、変な網で透明になり変装もできる魔法のアイテム、月夜が差し込む渓谷、奇妙な洞窟、映像を映す光の玉、石になる人々・・・。  影のようにうねる砂絵の迫力!鳥、光と闇。  一色触発の事態を止める真の主人公とも言うべきクリームヒルトの登場。どうでもいいけどマユ太い。殺し合いそうになった男たちが手を取り合い、そして再び殺し合う運命。  男勝りなブリュンヒルデとの対決。炎で埋められた大地、そこにそびえる城。 中性的な顔立ちのブリュンヒルデ。石投げ競争、投擲による一騎打ち。使い込まれた盾を砕く一撃。戦士から“女”の顔になってしまう。 腕輪、ドロドロになっていく関係、ジークとクリームヒルトの淡い結婚生活、萌える木々が枯れていく残酷さ、森の中での競争、眼と影で表現される“暗殺”。異様な影で表現される“下手人”。
[DVD(字幕)] 9点(2015-06-09 21:04:04)
9.  ニーベルンゲン 第II部 クリームヒルトの復讐 《ネタバレ》 
二部から先に見て欲しいくらい。というか、二部の方が面白い。 亡き者の墓の前で建てられる誓い、フン族の王たちの蛮勇を利用する計画、黒衣は復讐の決意。普段は傷を負った兵士たちを励ますが、瞳の奥には復讐の炎を燃えたぎらせる。  従者が見てしまった真実、クリームヒルトもそれを見届ける。雪の下の土に眠る“愛した人”を布に包む。遠景で一行が去っていくショット、娘の決意を黙って見送るしかなかった人々の辛さ、楽器を城壁に打ち付けて憤りを表す。  出撃して突っ走る軍隊の疾走感。木の上から飛び降り、馬に乗り換えて迎う伝令のスピード。木の周りを裸で踊る子供たち、彼等に金を振る舞う兵士たちの気前の良さ。 蛮族の前で堂々と屹立するクリームヒルトの存在感!それを迎える蛮族のダンス。  ラスト50分、修羅場と化す酒宴。 密かに渡される武器、合図と共に切りかかる!弓矢の一撃、斧の投擲、二重三重の悲劇。 死者を弔いながら行進する人々、凄惨な殺し合いはエスカレートしていく。何度も押し寄せる群衆スペクタクル、死者を弔う暇もない、焼き討ち、パニックになり当たった矢を1本1本抜く姿。既に火はまわっているのに。 階段を駆け下り、崩れ落ちる瓦礫にまきこまれ重傷を負う者、燃えた瓦礫の中に消えていく戦士たち。滅びを見届ける演奏者。死者へのレクイエムは、阿鼻叫喚の地獄の中でどれほどの人間に届いたのだろう。サイレント映画だからこそ、その想像を掻き立てられる。 門の前で“待伏せて”いた男の一撃、“首”が無言で語る絶望・・・!
[DVD(字幕)] 9点(2015-06-09 20:59:04)
10.  魔女(1922) 《ネタバレ》 
デンマークのベンヤミン・クリステンセンによる驚異的な作品。 今見れば恐怖はまったく無いだろう。終始ゆったりした展開で退屈に感じるかも知れない。ただその映像の凄さに酔えるか酔えないかだけだ。 冒頭からしばらく流れ続ける不気味な悪魔のイラストや解説。悪魔に対する歴史的考察は中々勉強になる。 そこからオムニバス形式で悪魔に取り憑かれた人間たちの狂乱の連続。 悪魔に誘われ犯されていく女性たち、サバトの醜悪な宴、気の触れた修道女たちの醜態・・・異様な光景の数々。 その異様さは何処かユーモアさえあるのではないだろうか。 特殊メイクによって作られた悪魔の造形も凄い。 魔女狩りや異端裁判といった中世の呪われた歴史も絡んでくる。 傑作だ。
[DVD(字幕)] 9点(2015-01-28 05:43:08)
11.  港の女 《ネタバレ》 
まずは、本作品のページ作成に御協力して下さいました総ての人に感謝してもしきれません。誠にありがとうございます!! 「港の女」は最初晴れた空から始まる。そこから雨季に入り雨が延々と降り始める。神父とサディ・トンプソンの“闘い”のゴングを打ち鳴らすように。 外は雨が降り始め、ホテルの中はトンプソンたちの乱痴気騒ぎ。最初12分はトンプソンたちの狂乱で笑わせてくれる。そして12分が過ぎ、いよいよ神父とミス・トンプソン最初の“闘い”が始まる。 熱烈な信仰者である神父は、自堕落で他人の迷惑も考えないトンプソンを放っておけない。彼は悪魔的に騒ぐトンプソンの心が病んでいると思ったのだろう。今にも二人の怒声が聞こえんばかりの迫力。 そんな神父を殴りつけるのはトンプソンを愛するオハラ軍曹。 粋な登場をしたオハラだが、この作品も粋な場面がいっぱいある。 煙草で“キス”する場面とか、雨が降りしきる中でトンプソンとオハラが会話するやり取りとか、オハラがトンプソンをおぶって走る場面とかユーモアもたっぷり。これらのシーンは「雨」でも描かれていた。 特に雨どい?でウォルシュと会話を交わすスワンソンの表情が色っぽくて可愛いのなんのって。 しかしあのアルバム写真はなんなんだよ。首の取って付けた感じが酷い(笑)…その直後にオハラの元に届く“手紙”との温度差。 オハラが中々トンプソンの元に来れなくなると、今度はデヴィッドソン神父がちょくちょく来るようになる。神父はトンプソンを“善人”にしようと彼女に働きかけ続ける。 しかしどんな手もトンプソンには通じない。物凄い剣幕で神父を罵るシーンの凄味といったら! しかし神父も“奥の手”を使ってくる。コレには流石のトンプソンもタジタジ。さっきまであれだけ喰ってかかっていた彼女の狼狽振り。 トンプソンは厚化粧を止め、髪もおろして“おしとよかな”女性に変貌。デヴィッドソン神父もまた、そんな彼女の生まれ変わった姿を見てすっかり彼女に“惚れてしまった”ような素振りを見せる。 そして、自分の役目が終わった事も悟っただろう。彼はトンプソンと“最期”の会話を交わす…。 どうやらこの部分のフィルムは失われてしまっているようだ。フィルムはスチール写真と字幕のみで語られていく。終盤の大部分のフィルムも失われてしまっているのか。うーむ、ラストのフィルムが残っていないのが惜しまれる。
[DVD(字幕なし「原語」)] 9点(2015-01-28 05:40:11)
12.  結婚哲学 《ネタバレ》 
それぞれの夫婦がくっついたり離れたりする二転三転のストーリー展開で暴れ周り、ラストはキッチリ収まってしまう見事なシナリオで描かれるセックス・コメディ。 セックスといっても、直接的な描写をしなくともそのエロティックな仕草で魅せてくれるルビッチ。  小物を使った上品な笑いの連鎖もたまらない。 特に夫婦が握り締める“花”がその時々の喜怒哀楽を表現するのが面白い。 そういやスピルバーグの「E.T.」も“花”が印象的な場面があったね。花は生命の象徴にもなる。 他にも帽子とか、美味そうなゆで卵とコーヒーでとか・・・何処までも上品、何処までも哲学的。 色んな解釈が持てる非常に愛らしい作品です。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-21 21:42:45)
13.  三悪人 《ネタバレ》 
フォードのサイレント時代における最高傑作。 「三悪人」は文字通り三人の悪党が暴れて身を滅ぼしていく映画だ。 中盤における馬の群れが一斉に飛び出す迫力を見よ! サイレントとは思えない凄い作品。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-19 19:32:49)
14.  忠魂義烈 実録忠臣蔵 《ネタバレ》 
「実録物」の元祖?とも言えるマキノ省三生誕50周年記念の作品。 生涯で実に400本以上映画を撮ったと言われるマキノ省三だが、残念な事に現存するフィルムは数本のみで、しかも1時間以上残るフィルムは「雄呂血(製作総指揮)」「忠魂義烈 実録忠臣蔵」と「百萬両秘聞」ぐらい。 息子の正博(雅弘)との共同作「浪人街」も総集編として1時間足らずのフィルムが残るのみだ。 幸いにも「百萬両秘聞」は前後半合わせて100分以上も現存する貴重なフィルム。コチラも是非とも見たい作品だ。 前・後編それぞれ1000円もしないので、とてもリーズナブルな値段で入手できる。 本作「忠魂義烈 実録忠臣蔵」は2時間以上にもなる当時としては大作だったらしいが、マキノ省三は作品の出来に不満を洩らしてらしく、フィルムも編集中の火災でネガの半分を失ってしまう。 残ったフィルムを何とか繋ぎ合わせ、終盤の討ち入りシーンも焼失したので急遽正博が撮影し直した。 そのため「忠臣蔵」の1時間ダイジェストという出来だが、終盤の迫力ある戦闘は凄まじいものだ。 出演に嵐長三郎、端役に月形龍之介や山本礼三郎など後の実力者たちも名を連ねている。 本作は古典的な「忠臣蔵」のストーリーを映画化。 大胆なカメラワークで迫力あるドラマを魅せる。 中盤の忠臣たちが一斉に抜刀して誓を立てる場面。 カメラでぐるりと収めるようなショットが面白い。 吉良を欺こうと女遊びにふける内蔵助。 女人衆が「うきまさ」または「うきはし」の文字を作る。 つまらなくもないし、特にこれといった突き抜けるほど面白いというワケではない。 ただ終盤の戦闘。 正博が撮り直した場面だが、吉良邸に押し入る浪士たちの群れ、一斉に白刃を抜き討ち入る迫力は凄い。サイレント特有の超高速戦闘。 目にも止まらぬ速さで刃を交わせ敵を斬り倒していく。 修羅場と化す吉良邸、偽装工作と動かざる「額の傷」。 ラストシーンはフィルムの都合もあると思うが、あえて橋の上を渡る浪士たちの後ろ姿で締めくくる場面が良い。 逃れられぬ死の運命・・・最後まで戦う事を選んだ男たちの“死の匂い”を感じた。 今でこそ「忠臣蔵」は史実より脚色された「虚構」であり「神話」状態だが、主君の無念に体を張って応えた義侠心は捨てがたい。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-14 21:11:40)
15.  キートンのスケアクロウ(案山子) 《ネタバレ》 
キートンは短編でも「文化生活一週間」といった傑作群があるが、本作「案山子(The Scarecrow)」もアイデアに満ちたそんな傑作の一つ。  太陽が昇り、虫歯に悩むキートン、それを見つめる太目の相棒。 相棒はキートンの虫歯とドアノブを繋ぎ抜こうとするが・・・この変のやり取りからして面白い。  その後の“朝食”シーンは笑いよりもそのアイデアの豊富さに脱帽。  レコード盤は朝食を焼くガスになり、上からはティーバックや塩やこしょうのオプションが降り注ぎ、ベッドはピアノに、イスは農場への肥料や水を運ぶ注ぎ口となる。  バターといったものも専用の“車”に入れられ移動し、酒瓶もヒモによって宙を飛ぶ。 「海底王」でもこれに近いギミックが後半出て来た。やっぱりキートンのアイデアは面白いし、見ている方も凄い楽しい。  後半はそんな家のアイテムを活かすシーンが少ないのだが、それでも農園の娘をめぐる父親とのやり取り、“狂犬”との追いかけっこが父親やキートンの事を思っていた相棒すら敵に回して大騒動、娘さんのバレエの真似をする可愛らしさ、家の内部での騒動も激しい出入りで3回に別けて脱出口を開いたり、藁の山に揉みくちゃにされてシャツとパンツ一枚になるキートン、怪我が絶えず不憫な相棒、“案山子”になって追っ手を交わすやり取り(その案山子から酒を拝借)、逆立ちで河渡り、“馬乗り”失敗、盗んだバイクで走り出し神父もかっさらってウォータースライダー張りの飛び込みで求婚とジェットコースターみたいな詰め込まれ振り。 車が一瞬いなくなった瞬間をすり抜ける時のスリルも地味に怖い。  家でのやり取りをもっと見せて欲しかったが、それを抜きにしても充分すぎる傑作です。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-12 05:38:01)
16.  偽牧師 《ネタバレ》 
チャールズ・チャップリン短編時代の傑作の一つ「偽牧師」。  この「偽牧師」は「黄金狂時代」の前に撮られた西部劇の要素を含んだコメディだ。  チャップリンは「移民」や「犬の生活」辺りから優しさのにじみ出る映画が増えてきたが、本作はそんなチャップリンがブラックだった頃の面影を感じさせる。  今回のチャップリンは脱獄囚。  何で捕まったのかは知らないが、お腹が空いてホットドッグでも盗んだ(「犬の生活」)か、無銭飲食(「モダン・タイムス」)か、女性関係のもつれ(私生活ノンフィクション)で豚箱に入れられたかどれかだろう。  それよか下水道から脱走しただって!? 新聞にそう書いてあった。 後の「ショーシャンクの空」である(違います)。  そんでチャップリンは牧師の服を拾って偽の牧師と化す。  しかし運の悪い事に本物の牧師と勘違いされてチャップリンは街に居座る事となる。  教会でやりたい放題自由奔放なパフォーマンスを演じるチャップリン。  聖書を見て「宣誓!」の場面は爆笑したわ(裁判についての詳細はビリー・ワイルダーの「情婦」かシドニー・ルメットの「十二人の怒れる男」辺りが解りやすいかな)。  踊って、笑って、騙してバタバタ・・・「黄金狂時代」への布石が散りばめられた44分間。  でも流石に帽子は食えなかったか。  泥棒仲間との再会でギクリ、スピーディーなスリ合い、「牧師」から「紳士」への早変わりなど見事としか言えない。  ラストが実にチャップリンらしい締めくくりだ。 ありがとう保安官。どうせなら銃撃戦の無い場所でほっぽってくれれば良いのだが・・・。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-01 20:13:23)
17.  思ひ出 《ネタバレ》 
サイレント時代のエルンスト・ルビッチ最高傑作を1つ選ぶとするなら、俺はこの作品を選ぶだろう。 ドイツ時代に磨かれたエレガンスな雰囲気とエロティックなやり取り、そしてメロドラマの切なさ・・・。 この映画はルビッチらしい洗練された美しさを味わえる作品の一つだ。  主人公のハインリッヒ王子の成長を美しい“想い出”と共に語る悲しき恋の物語。 乳母に育てられた王子。 彼の理解者であるユットナーは、幼い王子の遊び相手でもあった。  成長した王子は同級生、そして想いを寄せる女性たちに出会う。 そのシーンが本当に素晴らしい場面ばかりでさあ。 例えば、握手を求められるシーンでどんどん弾き出されるユットナーの様子がコミカルに描かれるし、  女性が一生懸命話しているのにソッポを向く王子のやり取りも面白い。 「あたしの膝の上に乗って」とばかりにベッドに誘ったりする彼女の姿をシカトするシーンに笑う。 そこに睨みを利かす守衛とか色んな人間が絡んだりしてさ。 ドアを開けたらその守衛みたいなオッサンが居たりして思わずクスとなってしまった。  王子がパーティーに参加する場面でも、彼女が一気飲みするならこっちもイッキに・・・に飲めないのでチビリチビリと飲んでいく。   王子の幼少時代の場面も良いんですよ。 将軍に向って一斉に「乾杯!」するシーン、一斉に帽子を脱ぐシーン。 ドラムロールと人の脚が重なる演出、幼いハインリッヒ王子が大砲の音にビックリして電車の中に戻るシーンがカワイイ。 ユットナーと結ぶ絆も深い。  青春時代のコメディタッチが、その後に待ち受ける王子の運命、それに向き合う悲しき王子の姿をより際立たせる。 掛け替えの無い友人たちよりも、一国の王の跡取りとして友人たちへの想いを断ち切らねばならない哀しみ。  だが、王としての孤独を癒すのは、一瞬でも彼の心を満たしてくれた想い出なのです。 皆さんも若いうちに良い友達に会える事を祈ります。友人て良いもんですよ、本当。
[DVD(字幕)] 9点(2014-11-01 01:49:12)
18.  海底王キートン 《ネタバレ》 
いやーこんなアイデア満載で面白いのがまだあったとは。  発想に次ぐ発想とはこの事。  最初は少し淡々としているが、徐々に次から次へと事件が起こる面白さ。  “煙草”で出会う男女二人(頭に落ちてたらシャレになんねえ)、  缶が開かねえ? ナイフ、包丁、ドリル、あーあー貴重な食料が。  しかし物がどんどんブッ壊れる話だな。 食料→服→トランプ→船 キートンよトランプに何の恨みがwww  窓から覗く“男”が怖えー。  蝋燭?ダイナマイト!?  チャップリンの「移民」も揺れればこっちも揺れに揺れてイスをドボーン。  船内生活も慣れてくると快適だ。 ボイラー室?がベッドで缶きりも料理もピ・タ・ゴ・ラ・ス・イ・ッ・チ♪  あちゃー船が座礁だー。 おーっと、都合よく置いてある潜水服!何とご丁寧に取り扱い説明書まで!!行き届いてるわ~。  セットがいつも以上に豪華でワロタ。流石キートン。なんたってさらに“船”も“火砲”も“ロケット”まで出てくるんだから。  潜水服でタバコ吸うなよ(笑) 今回どんだけアホな回なんだよwww  当時ガチで水に潜った偉大なる先駆者の一人キートン。当時は超危険だったから、中に潜るだけで4週間かけたんだと。最高の役者馬鹿だぜ。  「危険です」 誰も行かねえよ!  キートン「あー修理がキツイ。猫の手も借りたいなー」  ロブスター「おい小僧!」  そしてカジキ、地元民とのスキンシップ(海戦)もルンルン。  船上での戦いが凄えぜ!馬鹿のバーゲンセールだ!!  行くぞ戦艦キートン!  潜水服=イカダ。  それにしたって海から現れるキートンのカッコ良さは以上。 ヒロインを助けるときも無駄に。あらやだ超カッコイイ・・・。 肺活量パネエー。  水抜きは切腹が一番。  しかし女というものはどうしてこう濡れると色っぽく(ry  最後の最後まで発想の勝利に次ぐ発想の連続、ツッコミが追いつかねえ。  お腹いっぱいで大満足です。
[DVD(字幕)] 9点(2014-05-29 22:48:39)
19.  知られぬ人 《ネタバレ》 
「フリークス(怪物團)」に先駆けた傑作。 生まれ付き“ある筈のもの”が無く、普通の人間とは違う生活を強いられてきた者の哀しみと怒り。  「フリークス」はそういう者たちの怒りが刻まれた傑作だったが、この作品は“ある筈の無い”苦しみを抱えた男の物語でもある。 どうころんでも文字通り自分を“締める”話は見ていて辛い。 「フリークス(怪物團)」はまだ、何も隠さなずありのままの自分たちを他人に堂々とさらして力強く生きる人々のドラマがあった。 が、この話は隠さなければならない不安と、ソレが後に大きな伏線となってくる演出の見事さが加わっている。  ブラウニングの演出には一切よどみが無く、クライマックスまで一気に見てしまった。  とにかくロン・チェイニーの怪演、そしてジョーン・クロフォードの眩いばかりの可憐さに尽きる傑作。
[DVD(字幕なし「原語」)] 9点(2014-05-21 18:58:47)
20.  港々に女あり
いやあ、こりゃ本当に楽しい映画だよ。 「女あり」ってタイトルだからルイーズ・ブルックスの魅力を堪能する映画・・・かと思ったらヴィクター・マクラグレンたち船乗りが泣いて笑ってド突き合って仲直りするという楽しい映画でしたよまったく。 流石ホークス、この頃からドッカンドッカン見せてくれる。  ルイーズ・ブルックスのキャラと、ホークス特有の女性の個を尊重する演出が上手くハマッている。余計に魅力的な女性像になっているぜ。 こりゃアメリカで勇名を轟かせるよ。やっぱホークスは女を発掘する達人だね。楽しい一時だった。
[DVD(字幕)] 9点(2014-04-12 01:27:43)
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