2061. 話の話
終始セリフは少なめで、より詩的な色合いが強く出ている中篇。 オオカミがこれまた愛嬌のある顔をしていて、それでいてどことなく哀愁が漂っている。 このオオカミが人間の赤ちゃんをあやすシーンなんか、ぐっとくるものがあった。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2011-03-22 10:00:51) |
2062. 人間の條件 第二部 激怒篇
《ネタバレ》 第1部からのつなぎ方が良かっただけに、この第2部はやや不満。 仲代達矢は奮闘するが、組織内で権力が無いがために、不遇な運命をたどる。 それ自体はしっかりと描けていたとは思うが、それを描くためだけに第2部として丸々時間を割く必要があったかどうかは微妙なところ。 第1部では冷徹ながらも、厳しい軍人として一本筋が通っているように見えた安部徹が、この第2部では、ただ残忍なだけの軍人として描かれている辺り、違和感をおぼえた。 ラストで夫婦が砂丘で再会し、抱き合う場面は救われた気持ちにはなるが、召集令状がきていて、将来に暗雲が立ちこめているだけに、どうもスッキリとした気分までにはなれない。 次につながっていく高揚を感じた第1部に比べると、この第2部は全体的に中途半端で、中だるみの感が否めない気がする。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2011-03-22 01:22:33) |
2063. ラストタンゴ・イン・パリ
《ネタバレ》 分かった風に感想を書けば、“孤独”をめぐる愛と性のお話。 人は誰でも心の奥底に“孤独”というものを抱えている。 男と女が、ふとした偶然の機会にめぐり合った場合、本作の様な性の倒錯的な世界に溺れるやもしれない。 現実的な“孤独”という恐怖から逃れるべく、狂った様に性をむさぼるが、やがてそれも日常化してしまう。 特に、男と女の場合、それに先に気付くのは、大抵、現実的思考が一般的に強い女の方であって、男はそこに置いてきぼり。 本作での女は、“ポップな結婚生活”への階段を確実にのぼっていった。 “ポップな結婚生活”へと逃げていった、という方がより適切か。 日常の“なんとなしな孤独感”を埋めようと、非日常的な世界に飛び込んでみても、結局、我々が社会という場所に属している限りは、その“なんとなしな孤独感”は解消することができない。 30歳当時に、監督のベルナルド・ベルトルッチは本作を撮ったらしいが、それなりの年齢に達していたからこそ、創ることのできた作品で、一通りの享楽を経験した男にしか描けない切なさ、虚しさみたいなものが、画面にあふれていたように思う。 一方で、下世話的に感想を書けば、腹の出た中年男が、ふとしたチャンスで、若いコの体を弄び放題、という羨ましいエッチなお話。 女の方は、男には理解しがたいくらい従順にその中年男を受け入れるのだが、それはちょっとした好奇心に過ぎず、結局必死だったのは、理屈をこねまわしていた男の方だった。 女の方は一時の好奇心だから、それに飽きてしまえば、別の場所にあっさり移動すれば良い。 だけど、一度おいしい思いをしてしまった中年男は、それこそ死にもの狂いで女を追いかけまわすが、結局、逃げられてしまう。 似たような経験、あるような無いような・・・ [ビデオ(字幕)] 5点(2011-03-21 00:33:52) |
2064. フォー・ルームス
多数の出演陣の中では、やはりマドンナがインパクト大。 アントニオ・バンデラスも怖すぎる男が見事にはまっていた。 和田誠監督の『怖がる人々』を想起させる作品だった。 タランティーノの手腕がそれほど発揮されてはおらず、凡作のオムニバス映画という印象。 [ビデオ(字幕)] 5点(2011-03-20 19:55:42) |
2065. 黒いオルフェ
《ネタバレ》 この時代特有の美しいカラー映像。 狂乱の乱舞と音楽の洪水。 愛の究極の形を示したようなラスト。 どんな死に方だろうが、やはり愛する人と共に天に召す、というのが理想形なんだろうか。 それにしても、ビデオ裏ジャケの解説が、もろネタバレでひどい! 最後の結末まで書いてあったから、最後の最後まで予定調和になってしまった。 [ビデオ(字幕)] 5点(2011-03-15 00:43:28) |
2066. まってました転校生!
転校生がやってきて、次第にクラスに打ち解け、やがて仲間として認識される。 そんな少年時代の懐かしき様子を、恥ずかしいくらいに真っ直ぐに描いた児童映画。 ちなみに、監督ご本人がシアター内におり、そのすぐ後ろで鑑賞した。 監督のハゲ頭が気になったせいか、特別な感慨をおぼえられず、何だか申し訳ない気持ちにさえなってしまった。 もっと素直に感動すべきなんだろうけど、自分の少年時代と比べてみて、共感できる部分が少なかった。 というか、それ以前に、私にとっては真面目すぎる児童映画だった。 PTAの方か、真面目すぎる方にオススメしたい作品。 [映画館(邦画)] 5点(2011-02-28 01:14:20) |
2067. 愛しの青いワニ
監督デビュー前のユーリ・ノルシュテインが、アニメーターとして参加した作品らしい。 作品全体の雰囲気は、ユーリ・ノルシュテインの監督作品と似ている。 だけど、何だか切ない気持ちというか、侘しささえもおぼえる後味。 コーヒーの苦味の様な、まさに大人の香り漂うアニメだ。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2011-02-25 01:53:29) |
2068. 夜の大捜査線
都会の刑事と、所轄内におけるその所轄警察官との力関係に興味をそそられた。 話の内容に関してはそれなりに理解できたが、うまく犯人が見つかりすぎという印象はぬぐえない。 しかも、都合よく犯人の目星が二転三転し過ぎ。 その分、二時間ドラマを観るような飽きにくさと、卒のない面白さは感じられた。 黒人を刑事を演じたシドニー・ポワチエは、地味ながら確かな実力を感じさせた。 警察署長役のロッド・スタイガーの演技も負けず劣らずに良い。 二人の確かな演技が土台にある、安定感を感じる作品でもあった。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2011-02-19 18:08:38) |
2069. 女王蜂と大学の竜
石井輝男、吉田輝雄コンビによるお馴染みの新東宝映画。 今回は、アラカンがアカンかった。 元々苦手な俳優だが、どうにも演技としゃべりが好きになれない。 おまけに、三原葉子のグラマーぶりも苦手(笑)。 路線というか、作品自体に関して言えば、石井輝男のエネルギッシュさと新東宝の良い意味でのチープさが出ていて、大いに好きなタイプの作品。 吉田輝雄が暴れん坊的なキャラ設定だったのだが、このキャラ設定も合っているとは思えず。 吉田輝雄と言えば、“異常性愛シリーズ”の数々の作品で魅せてくれた、あの妙ちくりんな真面目演技が、個人的には大好きだ。 石井監督の創り出す、ふざけた作品設定の中にあって、浮きに浮きまくった“あまりに真面目すぎる空気読めない男”的なキャラの吉田輝雄を、私はもっと観てみたい! [CS・衛星(邦画)] 5点(2011-02-18 06:21:14) |
2070. スパルタカス(1960)
《ネタバレ》 奴隷解放者を善、帝政ローマを悪とする、勧善懲悪なお話。 そしてスケールの大きい映像と音楽、沢山のエキストラ。 まさにアメリカ映画の極みである。 話の中身としては、3時間半という長い尺のわりには薄い。 要するに、善人たる奴隷解放運動者たちが頑張るが、結局、既得権益を持った権力者たちに封じ込められてしまうという流れで、面白くもなければ、かといってつまらないわけでもなく、ただ「長い」という印象ばかりが残った。 あ、あと、ヒロインが特に美しくないというのも印象に残った。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2011-02-11 00:47:17) |
2071. さよならみどりちゃん
《ネタバレ》 ささくれ立った、ほろ苦めのラブストーリー。 女がダメ男を好きになってしまって、ひどいこともされて、それでも嫌いになれない女。 そんなダメ女を星野真里が熱演。 なかなかのハマリ役だったんじゃないだろうか。 貧乳をさらけ出しながら、「私のことを好きになって」と懇願し、男に無視をされて嗚咽する女。 だけど、その侘しい女の風情が、その貧乳がゆえにうまく表現されている。 貧乳をさらけ出しながら、ベッドの上で男に無視をされてベソをかく構図は、何とも表現し難く侘しい。 監督は、ここまで計算して星野真里を抜擢したんだろうか?? こういう男女のどうしようもないダラダラ関係っていうのは、現実的にもある話で、リアリティは十分に感じられた。 星野真里の薄幸な感じ、そして意外にもダメ男ぶりが自然に感じられた西島秀俊。 キャスティングはかなりマッチ度が高い。 だが、このささくれたお話を、楽しく観ることはできない。 最後のカラオケシーンで多少は気分が軽くなるが、とってつけたようなラストの感も否めず、なんだか自分までもが、どうにもならない窮屈な環境に居合わせた様で、気分は塞ぎ気味の降下気味となった。 色々書いたが、私が本作を観ようと思った理由は、他でもない「星野真里が脱いだ」なわけで、まあこんなもんでよろしいのではないか、とも思ったりした。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2011-01-19 00:55:47)(良:1票) |
2072. トパーズ(1969)
アルフレッド・ヒッチコック独特の映像美は健在。 米・ソ冷戦をテーマにした政治モノのサスペンスだが、今観るとどうもテーマ的に過去の遺物と感じる。 スパイ合戦の中から、終盤にかけて盛り上がる緊迫感は、さすがヒッチコック。 小物を使った小細工も相変わらず見事! オッサンばかり出てくるのがタマにきず。 それにしても何だろう・・・この映像は。 密談のシーンとかで、背景に人物が浮かんで見える。 背景と人物との境界がぼやけているというか何というか。 不思議な映像だ。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2011-01-09 11:31:15) |
2073. 夏時間の庭
緑あふれる風景は極めて美しい。 その風景のどこを切り取っても、まさしく画になる美しさ。 そこで淡々と繰り広げられる、親子三代にわたる物語。 さして刺激もないが、美しい風景と美術品に身を委ねるべき映画。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2010-12-31 23:21:58) |
2074. CURE キュア
なんだろなぁ・・・ 全てが中途半端だった。 怖さも大したことはなく、サスペンスとしてもそれほど緊迫感もなく、人間ドラマにしてもそれほど深くなく・・・ 役所広司の演技は素晴らしいが、萩原聖人がミスキャストかも。 ただ一方で、つまらないかと言ったらそういうわけでもなく、最後まで観る者を吸引する力を持った作品だった。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2010-12-28 01:02:34) |
2075. ダイヤルMを廻せ!
ミステリー映画が苦手、というか、頭が悪いせいか基本的に謎解きの類いは理解ができない。 鍵うんぬんのクダリでさえ理解できなかった。 晩年に、次第にミステリー色が濃くなっていったヒッチコックが残念でならない。 アメリカとヒッチコックとの相性の悪さも再確認できた作品だが、雰囲気はヒッチコックにしか出せないものを感じた。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2010-12-26 15:32:47) |
2076. 鶴は翔んでゆく
戦争映画は見飽きた感があって、これもありきたりなストーリーなのだが、その描く世界観は実に真面目である。 その戦争悲劇に対する真摯な描き方に対しては、敬意を表したい。 [ビデオ(字幕)] 5点(2010-11-21 23:05:29)(笑:1票) |
2077. 桃色 Colour Blossoms
映像と音楽は文句なし。 派手な色彩は観ているだけで楽しめる。 だがそれ以外の部分に不満が残る。 まず、この監督は女優選びのセンスがどうにもいかん。 そしてSMに興味がない私には、全くもってつまらない内容。 香港映画を観たくて本作を選んだのに、松坂慶子が日本語しゃべりまくりなのにもゲンナリした。 松坂慶子は、おっとりとした女性を演じれば素晴らしい女優さんだと思うが、本作のSM女王的な役回りはミスマッチだったように感じる。 映像と音楽に比類なきセンスを感じるだけに、内容と女優陣には残念さが際立った。 [DVD(字幕)] 5点(2010-11-16 22:42:27) |
2078. 殺人の追憶
映画としての完成度と興行成績とを両立させるこのスタイル。 確かに、この監督は天才かもしれない。 だけど、やっぱりこの作品は大衆的な臭いが強すぎる。 犯人を追い詰めたかと思えば勘違い、そして次なる有力な手がかりが見つかるが、それもダメ・・・こうして、観客をひっぱっていくあざとい演出。 いかにも観客を飽きさせまいと、話を都合よく引き伸ばしていく、いかにもな展開には白けてしまった。 まるで、「次回をお楽しみに!」的なテレビドラマのようだ。 ただし、ラストシーンで排水溝を覗き込み、これがまさに“殺人の追憶”と提示する終わらせ方は素晴らしい。 こうした演出手腕を持っているのに、それだけで映画を創ろうとはせず、敢えて計算ずくで大衆受けする演出をしている。 映画監督として素晴らしい作品を創る能力は持っているのに、あまりに器用過ぎて、観客を動員することまで計算して作品を創っている嫌いがある。 とりあえず有名監督になり、観客を沢山動員できる監督して重宝されるかもしれないが、長い目でみたら、せっかくの才能を自ら捨てているかのようだ。 いわゆる「器用貧乏」で終わってしまう危惧すら感じる。 ところで、主演のソン・ガンホだが、実に味のある俳優だ。 当時36歳とは思えない貫禄。 誰もが親しみを持つであろう、ちょっと愛嬌のあるルックスと確かな演技力をさすがと言えよう。 総括としては、普通に楽しめるが、かといって大衆娯楽映画のようにバカらしい作品でもなく、どっちつかずの中途半端な作品と言わざるを得ない。 今後のこの監督の方向性が非常に気になった。 [DVD(字幕)] 5点(2010-11-15 00:23:54) |
2079. 汚れなき悪戯
キリスト教信者でない者が本作を鑑賞した場合どうなるか。 それは観てのお楽しみ。 真面目一本槍の内容だが、不思議と飽きさせない何かがある。 寓話めいた雰囲気が、独特の世界へ観る者を誘う。 私はそうして誘われた結果、どうなったか。 それは観てのお楽しみ。 [ビデオ(字幕)] 5点(2010-11-07 02:13:08) |
2080. 白い町で
《ネタバレ》 船乗りが嫌になって逃げ出した男が、無職ライフを異国で楽しむといった内容。 女との出会いと別れあり、宿屋の主人との友情話あり、そして財布を取られナイフで刺されたり・・・ それらが淡々と語られる様は、異国の地を独りでさまよう無職の男の話としてはとてもリアルに感じられた。 特に刺激のないまま終わった感はあり、少し退屈はしたが、“放浪モノ”として無理矢理ジャンル分けすれば、 立派な代表作(?)になるであろう。 [ビデオ(字幕)] 5点(2010-11-06 15:49:03) |