2141. 早熟 ~青い蕾(つぼみ)~
《ネタバレ》 まさか2005年にもなって、こんなベタベタの作品を堂々と発表してしまう根性に驚嘆。これに対抗できるのは、関根恵子のデビュー直後の一連の作品くらいではないか。ただ、ベタなのは嫌いではないのだが、全体的にいろいろと都合良すぎというか、登場人物の人格よりも進行の便宜の方を優先してるっぽい箇所がいくつか目についた。 [DVD(字幕)] 6点(2013-03-20 01:04:42) |
2142. 雨音にきみを想う
《ネタバレ》 じわっとした緊迫感の中で進んでいく序中盤は良かったんですよ。光と影が交錯する作品世界の中で、役者陣も、軽率に騒ぎ出さない堅実な演技をしていたのです。が、クライマックスからの持って行き方が、どこにでもあるような感じで安直だったなあ。隣のおっちゃんとか、少女の実の母親とか、何かやってくれそうな魅力的な登場人物も、結局使いこなせませんでした。あと、このまとめ方なら、兄はともかく、ヒロイン自身の病気云々は要らなかったのでは? [DVD(字幕)] 6点(2013-03-19 01:56:43) |
2143. 男はつらいよ
《ネタバレ》 骨組みはまったくもってどうということもないはずなのに、その後のシリーズ化を支えるほどの基盤性までができてしまっている。そのポイントは、やはり、陳腐な大団円を迎えさせることなく、最後に寅次郎をすっと家から放り出していること。つまり、制作側がキャラクターのあるべき姿を正しく把握していたということ。 [映画館(邦画)] 6点(2013-03-18 00:10:54)(良:1票) |
2144. 女帝 春日局
《ネタバレ》 だらだら一生が続くだけの内容だったらどうしようと思っていたのですが、意外に焦点の絞られた好作品でした。十朱・名取・草笛の3すくみ的パワーバランスがいい感じですね(後2者の退場がちょっと雑な感じだったのは残念ですが)。しかもそれが、お世継ぎ問題という一点に収斂されて、ラストシーンの緊迫感を高めています。随所で蝋燭を多用しているのは、主人公の内面の芯の隠喩なのでしょうか。 [DVD(邦画)] 6点(2013-03-15 21:26:05) |
2145. 藏
《ネタバレ》 登場人物の頭にあることをそのまま吐かせることしか考えてない脚本がダメ。どの場面にどういう意義があるのかを全然考えてない演出がダメ。しょぼいセットをさらにしょぼく見せてしまう美術と照明がダメ(撮影も含めてクレジット上は信頼のある人たちなのですが、名前を貸しただけなのでは?と疑ってしまう)。役者の皆さんもどう見てもやる気をなくしています(最初から下手だと分かる人も数名いますが)。以上、何から何までげんなりなんですが、目が不自由だという設定の人がそういう演技を全然していないのと、酒蔵が舞台といいつつ酒造りのディテールを完全無視しているのは、もはや創作意欲の根本を問われるレベルです。 [DVD(邦画)] 2点(2013-03-14 00:09:08) |
2146. 私がウォシャウスキー
「私は女探偵!ダサい男どもなど蹴散らして、カンと行動力で突き進むのよ!」みたいなところを終始強調する演出と台詞の数々が、何とも痛々しい。 [DVD(字幕)] 3点(2013-03-13 00:29:03) |
2147. グレン・ミラー物語
《ネタバレ》 ジャズの名曲の数々と演奏シーンの格好良さでそれなりにまとまってはいるが、それ以外の表現要素は実はそんなにないのではないか。ドラマを感じるのは、奥様がへそくりを拠出するところと、「ムーンライト・セレナーデ」ができるところくらいで、それもえらくあっさりと済まされてしまっている。つまり、制作側としては、主人公の軌跡をたどっていくだけで精一杯だった、ということ。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2013-03-12 02:59:05) |
2148. お日柄もよく ご愁傷さま
《ネタバレ》 導入部の橋爪功と松村達雄の会話、それに続く橋爪功と吉行和子の会話で、あまりの説明台詞+台詞のための台詞っぷりに、唖然として真面目に見る気ゼロになってしまったのです。ところがその後は、墜落するには至らず、低空飛行ながらも何とか最後まで持ち直しました。よく見ると、航空券やスクラップなどの小道具の使い方、多数の登場人物の出し入れの手際の良さ、お通夜から火葬までを丁寧に追っていく描写設定など、作り込み方のある部分はしっかりしているのです。それだけに、何でそれを徹頭徹尾説明台詞で埋めつくしてしまったのかと、腹立たしい気分です。あーそれと、最後の大雪山のパートは、まったく理解不可能。家庭の中から始まった問題なのだから、家庭の中で決着をつけないと意味ないんじゃないの?大雪山に行こうと主人公が決意した時点で、ドラマとしては完結してない?むしろ、ほかの家族がどうなったのかはほったらかし? [CS・衛星(邦画)] 4点(2013-03-11 02:43:18) |
2149. 百万長者の初恋
どこかで見たようなシーンを継ぎ接ぎしてそれっぽくまとめただけの作品。契機、展開、変化、結果のすべてが実に安直。 [CS・衛星(字幕)] 2点(2013-03-10 02:30:42) |
2150. 未知への飛行
《ネタバレ》 あえて限られた密室内で世界規模の危機を描くという手法に挑み、それを貫き通した心意気は称賛されるべきだが、やっぱり、導入部の単調感が何となく後まで引きずって、描写対象の重大さの割に、手法が説明的になってしまってるんだよね。終盤の反則的なほどのインパクトでかなり回復しているとは思いますけど。 [DVD(字幕)] 4点(2013-03-07 00:57:28) |
2151. ビッグ・ビジネス
《ネタバレ》 この設定でこのキャストだったら、もっと笑えるかと思っていたんですが・・・前置きのところが長い上に、双子同士が「ただのコピー」っぽくて、遺伝子は共通なんだけど生育の違いが及ぼしている影響みたいな微妙な違いがあまり表現されていない。したがって、展開に深みがないのです。最後に4人がフレームインする部分のインパクトは、さすがですけど。 [DVD(字幕)] 4点(2013-03-05 02:26:02) |
2152. 夕陽に赤い俺の顔
《ネタバレ》 50年以上前の日本とはとても思えないほどの、キッチュでオシャレなオープニングに唖然。キャラクター設定なんかも何かが無意味に暴走していて楽しいんだけど、あまりに突飛すぎて、演出側でもそれを捌ききれなくなった感じで、途中からはオーソドックスに収束してしまっている(珍しく胡散臭さ満載の神山繁の途中退場が惜しい)。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2013-03-04 00:08:18) |
2153. 世界にひとつのプレイブック
《ネタバレ》 端から見たら違和感があってずれているんだけど、本人の中では、きちんと根拠があって首尾一貫している。そのような難易度の高い人格造型を、主演の二人は見事にクリアしている。また、その芝居を的確に受けきって、場面の緊張感をキープした助演の皆様の技量(とりわけ、自分がいないところでもその影を感じさせるジュリア・スタイルズに注目したい)、そしてそれらを拡散させることなくバランスをもって1つの筋にまとめあげた演出の腕も強力。その世界に浸っているだけで2時間を十分に満喫できるのですが、アップばかり多用しているカメラは、工夫がなかったですね。それと、ダンスを決めてめでたしってのも、これだけの重い世界の解決の手法としては、やや安直な気が・・・。 [映画館(字幕)] 7点(2013-03-03 19:59:47) |
2154. キス★キス★バン★バン
《ネタバレ》 主人公とババの背景や発想の違いが笑いや哀しみをもたらすはずなのに、その設定が全然生かされていない。つまり、その辺の通りすがりの二人がめぐり会った話としても成立してしまうのです。あと、実はマルティン・マカッチョンが見たくて見たというのもあるのですが、出番少なかった・・・。 [DVD(字幕)] 5点(2013-03-02 01:55:31) |
2155. ファントム・オブ・パラダイス
《ネタバレ》 前後の整合性もバランスも考えていない、デ・パルマの「とにかくこれがやりたいんだああああっ!」が瞬発最大風速的に駆け抜ける90分間。仮面を着けた主人公が神出鬼没の大活躍かと思いきや、いともあっさり正体が(敵役に)バレたり、そこからさらに利用されたりと、じめじめパワー増幅の屈折っぷりがこの人らしい。あと、最後の方の白塗り3人組のオカルトステージ、ウィンスローはお気に召さなかったようですが、私はかなり格好良いのではないかと思っていたのですが・・・(楽曲も含めて)。 [DVD(字幕)] 7点(2013-02-27 01:32:26) |
2156. 金融腐蝕列島[呪縛]
《ネタバレ》 この硬派な題材に挑んだ根性は素晴らしいし、終始暗めのトーンで統一した構成力も立派だが、技術的には、あっちこっちで、リアリティを損なうお芝居台詞が大きく足を引っ張ってるんだよなー。とはいえ、佐藤慶自決発見の際の長回し、特捜の段ボールの山や総会運営机のメモ用紙の山などの小道具の丁寧さ、総会の会議進行だけで延々引っ張るテンションの高さ(終幕はあっけなかったが)など、随所に表れる気持ちの良いセンスは評価したい。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2013-02-24 00:06:15) |
2157. チャイコフスキー
力が入っていて真面目な作りなのは認めますが、伝記ものにありがちな罠として、主人公の一生を再現して追っていくところで手一杯になっていて、彼の何を表現したかったのかが不明なのです。彼が何を作曲したのか、は分かっても、彼がそのとき何を発想していたのか、は分かりません。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2013-02-23 23:57:14) |
2158. カレンダー・ガールズ
全体としては無難に無難にまとめてしまっていて、せっかくの設定にもかかわらず衝突や逸脱のドラマが感じられなかった。中心の2人はともかく、それ以外の人たちにもう少し存在感のある描写がほしかったところ。ただし、肝心のヌード写真をきちんと美しく撮っている点だけは評価したい。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2013-02-22 22:34:38) |
2159. 花咲ける騎士道(1952)
《ネタバレ》 導入部はちょっとかったるいのだが、中盤以降、物語が動き出してからは、主人公のアホキャラクターと危機的な状況のギャップが上手く笑いを醸し出している。しかし、終盤、話をどんどん拡げていって、どうやって収束するんだ?と気になっていたら、あの強引極まりない(そしてそれを強引だとも思っていない)ラスト5分には唖然。いや、それはそれで潔いんですけど。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2013-02-17 23:53:27) |
2160. 扉をたたく人
《ネタバレ》 ありがちな音楽交流ものかと思って最初はあまり期待していなかったのですが、何気ない地下鉄の1シーンからのドラマの動き方が凄い。前半にその辺の危機的なものを露骨に描いていないからこそ、中盤からの容赦なさが引き立っている。その中で、タレクを着々と画面から消していく手際(そして、ある一点以降はまったく出てこない)、モーナの行く末とそれに対する彼女の決断を「君は再入国できない」の一言で全部表してしまう表現力など、着実なステップを経ながら、秀逸なラストシーンへと至るのである(アップにしないのがいい)。リチャード・ジェンキンスの演技はもちろんだが、作中の人物同様、ヒアム・アッバスの的確なサポート力が、作品の感銘力を強く高めている。 [DVD(字幕)] 8点(2013-02-16 02:45:54)(良:1票) |