2141. くちづけ(1955)
神保町シアターにて鑑賞。 筧正典、鈴木英夫、そして成瀬巳喜男という、いずれも私の好きな監督によるオムニバス作品ということで、期待は高まった。 そして、その期待通りの素晴らしい作品であった。 第一話は、一番地味ながら、男女の恋愛に固かった当時の世情を反映しており楽しむことができた。 第二話は、このオムニバスの中でも最高傑作で、最初から最後まで楽しくて仕方なかった。 そして、またもや鈴木英夫監督はやってくれた!! 何をかっていうと、司葉子の魅力を存分に引き出している点において。 『その場所に女ありて』と同様、司葉子の肉体的魅力を惜しげもなくフィルムに焼き付けている。 川で遊ぶ司葉子は、白いホットパンツを装着し、話そっちのけで、観る者をその白い太ももに釘付けにさせる。 こんなにも司葉子のスタイルが良かったとは!! 不覚にも、司葉子のファンであるはずの私が、司葉子の脚の長さに初めて気付かされたのだ。 それだけ、司葉子の魅力を知り尽くし、なお且つ、それを映画として確実に残す鈴木英夫監督の手腕が光っていたと言えよう。 あの太ももは、あまりに眩しくて、そして魅力的で正視できなかった程だ(嘘です。食いつく様に凝視してました)。 第三話は、お目当ての成瀬巳喜男作品で、これも十分楽しめた。 成瀬作品で、上原謙・高峰秀子の取り合わせとくれば、ハズレのはずがない! 題名通り、女と女の嫉妬や闘いが、静かに描かれていて見応えがあった。 日本映画の中でも、特別知名度の高い作品ではないが、一級品の魅力を持つ作品であった。 [映画館(邦画)] 8点(2009-03-04 04:17:22)(良:1票) |
2142. パリ、ジュテーム
トム・ティクヴァ監督の作品とクリストファー・ドイルの作品が良かった。 後は流し見した感じ、というか、流し見にならざるを得ない感じ。 何しろ、一篇につき5分というのは、短すぎる。 『10ミニッツ・オールダー』では、10分だったが、その作品において、10分あれば十分堪能できるのが映画だと感じた。 しかし、5分だと厳しかった。 その点、トム・ティクヴァの作品は早送りの様なスタイルを採っており、威力を発揮していた。 アイデアの勝利だろう。 全体としてみた時、ジーナ・ローランズは、ずば抜けて存在感を発揮していた。 さすがの一言に尽きる。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-03-02 21:13:27) |
2143. ラフ ROUGH
ストーリーは究極にベタで、まるでテレビドラマの様。 出演者たちの演技も巧いとは言い難い。 だが、しかし、そんなことは関係ない! これは、長澤まさみの水着姿、そして、彼女の色白肌を愉しむべき作品だからだ! 本作の長澤まさみほど美しい長澤まさみを私は観たことがない。 この頃より若かった頃は、単なる生意気な少女風情だったし、その後は肌も汚くなり、脂肪も増えた。 この頃の長澤まさみは、まさに一瞬たる奇跡の美しさを放っていた。 それを、V字に食い込んだ豪快な水着で、ここぞとばかりに発揮した素晴らしき作品。 映画の出来なんか関係なく、それが観られるだけで、男性諸氏なら観る価値のある作品と言えるだろう。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2009-02-27 21:16:44) |
2144. ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ
まあ、脚本ありきの映画。 はっきり言って細部の話なんか理解できないし、説明不足。 だけど、最後までひっぱるパワーと面白さはある。 余韻に浸れるような作品ではないが、無難に楽しめる作品ではある。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2009-02-26 22:01:07) |
2145. 北北西に進路を取れ
やっぱり、アメリカに引っこ抜かれてからのヒッチコック作品は、都合よく展開が二転三転しすぎだなぁ。 ヒッチコック作品の初期に感じられた、あのみなぎる緊迫感が二の次にされ、観客をただ飽きさせないことばかり執心しているように感じる。 これはひとえにアメリカという国の影響かもしれない。 ミステリーで観客をのめりこませ、二転三転するストーリー展開で観客を飽きさせず、最後はハラハラドキドキさせてTHE END。 まあ、確かに卒がなくて無難なんだけど、結局はアメリカ映画なんだなぁ。 ヒッチコックの良さは、もっと他にあると思う。 個人的には、サスペンス全開の初期ヒッチコック作品の方が好きだ。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-02-25 23:28:17)(良:1票) |
2146. ガス燈(1944)
《ネタバレ》 シャルル・ボワイエとイングリッド・バーグマン共演ということで鑑賞してみた。 やっぱり、アメリカ映画とは相性が悪いみたい。 途中、いや、最後までよく分からんかった。 結局、ボワイエが悪くてつかまったんか、というだけの印象。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2009-02-25 19:42:04) |
2147. 社員無頼 反撃篇
《ネタバレ》 “怒号篇”に続く、後篇にあたる作品。 前篇がサラリーマン社会を面白く描いていた社会派的な作品だったのに対し、こちらはサスペンス風味が前面に押し出された内容だった。 しかし残念なことに、前篇であれだけ面白かったあの雰囲気が、かなり削がれていた。 ラストに向けて都合よく展開されすぎなストーリーに問題あり。 前篇でかなり期待させられた者としては、残念な内容だった。 [映画館(邦画)] 6点(2009-02-21 23:24:41) |
2148. 社員無頼 怒号篇
《ネタバレ》 ラピュタ阿佐ヶ谷にて鑑賞。 満席状態。 鈴木英夫監督の人気を再認識した次第。 これがかなり面白かった! といっても、出演陣が良かったというより、話そのものが面白い。 そして、丸の内の風景や、社内の雰囲気などの描写が良い。 又、サラリーマンの日常的な苦悩を、実にリアルに描いていて面白い。 本作は“怒号篇”という形で、自作“反撃篇”につながる前篇にあたる作品だが、終り方も実に良く、後篇を観たいという気持ちにさせられた。 ただし、物足りないのは男社会だけが描かれている点。 サラリーマンものだから仕方ないが、『その場所に女ありて』と比べてしまうと少し物足りない気がした。 [映画館(邦画)] 7点(2009-02-21 23:20:48) |
2149. 雨の味
うーん、主人公の男がいただけない。 それが全てに影響を及ぼしている。 映像感覚もそれほど悪くないし、シンガポールの近代的で綺麗な町並み、そしてゆっくり流れる雲など、いい雰囲気は出ているのに勿体ない。 他人とのコミュニケーションに障害を持つ青年という設定だから、終始暗い表情で、気持ちがハッキリしないという設定は理解はできるものの、それで最後まで通されると、こちらまで感情を奪われてしまう。 そして、無感動となってしまうのだ。 最初から最後まで、ゆっくりとしたムーディな雰囲気で進むのは、それなりに心地良いが、静かな中にも何か強いメッセージとか希望とか、そんな何かが見えてこないと、単なる雰囲気だけの映画で終わってしまう。 わざとらしいストーリー展開があるのはそれはそれで嫌だが、本作のように、大した刺激も感動も感情移入もできない作品ってのも、それはそれでシンドイものがある。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-02-19 21:55:49) |
2150. ガレージ
《ネタバレ》 はじまりの音楽がやたらに良かったので、俄然、期待は高まった。 映像センスは特筆する程ではないが、インドネシアの雰囲気が自然に演出されている。 ただ決定的に問題なのは、脚本。 日本の連ドラの様なお決まりの展開。 バンドが結成されて、人気が出て、だけどアクシデントでバンド解散の危機、でも最後は復活!みたいな^^; なんか、ストーリーに起伏をつけることを中心に練られた様な脚本で、陳腐と言わざるを得ない。 こんなありきたりなストーリーを取ってつけた様につくるくらいなら、よっぽどストーリーなんかない方がマシで、音楽ものなんだから音楽面をひたすら強調するとか、ラブストーリーをもっとメインに持ってくるとか、インドネシアの息吹を感じる様な美しい映像をみせてくれるとか、もっとやり方があったのではないか、と。 出てくる女のコとかも特別かわいいわけじゃないけど個性があって良かったし、男もなかなかのイケメン。 それだけに勿体無い。 特に、オープニングロールで流れたあの曲! あれがかっこいいのに、その後使わないのが勿体無い! インドネシア人によるインドネシア映画なんだから、もっとインドネシアならではの良い部分をここぞとまでに見せてほしかった。 ま、だけど、こうは言いつつも、何だかんだ、こういうその国ならではの文化とか風俗とかが感じられるアジアン・ムービーって好きなんだよなぁ~。 案外、研ぎ澄まされていない、洗練されきっていないのは、それはそれで良かったりする部分があるにはあるのかもしれない。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2009-02-17 22:23:11) |
2151. 美しき諍い女
4時間作品って、観終えるの相当なエネルギーを要する。 だけど、観終えた時、その4時間が有意義と感じたり、4時間を要した必然性を感じたり、4時間頑張ったからこそ感動できるラストがあったり、そういったことがあれば全然構わない。 だけど、本作にはそういったことを感じ得なかった。 特に、散々緊迫したシーンを見せておきながら、出来上がった作品を見せない。 本作を最後まで観た人なら誰しもが見たいであろう完成品を見せないのだ。 これは鬱憤やるかたない。 これは、4時間もこの映画に付き合ってくれた観客に対する裏切り行為だ。 その他、女優に魅力を感じないのもマイナスポイントか。 そして、極めてアートな題材を扱いながら、映像面において何ら突出したものが感じられなかったのも不満が残った。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2009-02-16 01:43:40) |
2152. 世界大戦争
核戦争に対する反戦映画としては良くできている。 だが、どうも核戦争の脅威を煽ることに懸命になりすぎて、どこか地に足が着いてない内容になってしまっている気がする。 核戦争の脅威と悲惨さをうったえる為に、ここぞとばかりにベタな人間ドラマが展開される。 この部分に関して言えば、ベタながらも、さすがは東宝!という感じ。 実にソツがない。 これだけでも結構楽しめてしまった。 それに大して特撮の部分。 これはNG。 実際の部分と特撮の部分とが完全に分離していて、どのシーンが特撮か全て分かってしまうのがネック。 もちろん、時代を考えれば良くできているし、ヘタなCGより断然マシなのだが。 それと、出てくる人物達が、核戦争を目前にして、とにかく嘆くのが共感できない。 もちろん、明るい未来を核戦争によって突然奪われると知ったら、さぞかし悲しいだろうが、もう少しカラっとした人がいてもいい気がする。 ラストの船上のシーンでは、それが少し垣間見れたので良かったが。 [映画館(邦画)] 6点(2009-02-15 16:55:14) |
2153. ゴジラ(1954)
特撮映画は、子供向け映画という印象を持っていたので、超有名な作品ながら、今回やっと観る運びとなった。 ところがところが、スタッフからして超一流ではないか! 超一流のスタッフたちが、大人の真剣味を見せて創り上げた力作だった。 ただし、恐竜が口からジェット噴射するってのは、苦笑いさせられた。 あれはないだろう・・・ それにしてもいいネ! “オキシデン(ト)・デストロイヤー”。 水中の酸素を壊滅させ、全ての生物を骨と化してしまう最終兵器“オキシデン・デストロイヤー”! 音楽も突出して素晴らしいのは言うまでもないが、この最終兵器のネーミングセンスが良い。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2009-02-15 08:18:26) |
2154. 次郎長三国志 第八部 海道一の暴れん坊
なんか話が分かりづらいと感じたのは自分だけかな?! 全体的な流れは分かったが、細かい部分部分で分かりにくいシーンがあった。 マキノ監督の演出がマズイのでは?と思ってしまったほどに。 ここまでシリーズ8本も観てきて、今更言うのも何だけど、どうにも自分に合う作品だとは思えない。 というより、マキノ雅弘監督との相性の問題かもしれないが。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2009-02-14 09:20:48) |
2155. 次郎長三国志 第九部 荒神山
小堀明男が一番クレジットじゃないし、実際ほとんど出てこないし、納得がいかない。 これじゃあ、『次郎長三国志』じゃなくて『大政三国志』だよ! やっぱり、小堀明男がトップをはってこその次郎長三国志。 しかも内容は変にややこしく分かりづらいので入り込みにくい。 終り方だが、全九部作という大掛かりなシリーズ作品としては、どうもお粗末。 今まで八本も観てきたのだから、大作に相応しい華々しい終り方を観たかった。 【追記】、、と思ったら、下の方々のレビューを拝読して事情が分かりました。 そういうことだったんですね・・・いくらなんでもあの終り方はないよ、と思いました(苦笑)。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2009-02-14 09:18:58) |
2156. お國と五平
《ネタバレ》 木暮実千代の魅力は堪能できたものの、いくらなんでも、まだらっこし過ぎる。 お國と五平が互いの気持ちを打ち明け合うまでに1時間。 そして、登場人物たちの揺れ動き過ぎる心情も分かりにくい。 はずれの少ない成瀬巳喜男作品の中にあっても、どん尻に近い作品か。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2009-02-14 01:40:35) |
2157. ダンケルク(1964)
《ネタバレ》 アンリ・ヴェルヌイユにジャン=ポール・ベルモンドの組み合わせということで、食い付いた私。 同じくヴェルヌイユ作品の『ヘッドライト』の様な作品を想像していたが、これがなんと単なる戦争映画だったので、テンションも落ち込んだが・・・ しかししかし、これがなかなか素晴らしい内容。 戦争映画っていうと、アメリカ映画や日本映画を観すぎているせいか、「撃ち合い」「仲間との死別」「残忍で生々しいレイプシーン」「上下関係」などばかりをイメージしてしまいがち。 そういった、日本人が戦争映画に対してイメージする様な内容とは全く違った渋みを持った作品だった。 主人公のベルモンドは、隊から離れて戦地をブラブラとしている。 そこで巻き起こる数奇な運命の数々。 とびっきり綺麗な女性との出会い。 粋な同盟軍兵士とのいっときの友情。 仲間との離別。 そして最後には自らの死。 そういった、まるでロード・ムービーを観ているかの面白味がつまった内容だった。 なんてことのない平坦な流れなのに、何故か心地良く見入ってしまった戦争映画だった。 戦争映画を観て、こんな気分になったことは、今まで一度もない。 それは、ドンパチや安っぽいヒューマニズムと反戦思想の渦巻いたアメリカ戦争映画や、敗戦国としての重荷を背景に背負った重苦しい日本戦争映画ばかりを観ていたからこその衝撃だった。 ベルモンドと束の間の愛を交わす少女にカトリーヌ・スパーク。 いやはや、息をのむほどに美しい。 顔がどうとかというより、全身から放たれる匂い立つような魅力。 抜群のプロポーションと美しいブロンドヘアー。 これにやられた! 運命の皮肉と戦場における美しき少女とのロマンス。 そしてロードムービー色の強い流れるようなストーリー。 個人的に、50年代、60年代のフランス・イタリア合作には良い作品が多いというイメージを持っていたが、そのイメージは本作でも見事に保たれたのである。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-02-12 21:50:44) |
2158. 少年(1969)
野村芳太郎監督の『鬼畜』にも似たテイストを持った作品。 際立って面白いという作品ではないのだが、かといって退屈でもない。 車にわざと当たって金を稼ぐ、いわゆる「あたり屋」稼業を家族ぐるみで行う一家の、行く末を描いた作品。 少年がかなりの熱演をしていたのが印象的。 それと渡辺文雄と渡辺正行は、名前も顔も似ているような気がした。 奥さん役の小山明子の脚が綺麗だったが、メイクが濃すぎて怖かった。 もう少し話の終わらせ方にひねりがきいていたら、インパクトを残す傑作となったかも。 [映画館(邦画)] 6点(2009-02-12 19:27:22)(良:1票) |
2159. コタンの口笛
こういった真面目な社会派作品は苦手な部類ではある。 しかし、過酷な環境におかれても、すぐに立ち上がり、前向きな希望をもって将来にのぞむ。 そんな気概を感じ、とても勇気づけられた。 いったんはへこんでも、そこで更に強くなり、将来の苦難に向かって突き進む。 そして、いつかは夢を実現すべく頑張る。 そんな人間讃歌が口笛の様に聴こえてきたのだ。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2009-02-11 22:12:13) |
2160. ウエスト・サイド物語(1961)
人間的に深みのない男たちと、繊細な魅力に欠けるグラマーなだけの女たちの物語。 浅薄なアメリカ文化が、最も端的に現れた作品。 アカデミー賞10部門に輝き、アメリカによる自作自演の自画自賛。 ただ一つ評価すべきは、後年にアメリカ映画が築き上げた方程式、“勧善懲悪”“ご都合主義”といった要素が見当たらないことだ。 いずれにしても、辛抱を要した2時間30分であった。 [CS・衛星(字幕)] 1点(2009-02-10 01:30:00)(笑:1票) |