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なんのかんのさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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2161.  走れメロス
日本のアニメは地中海が好きだ。単にあの青は出しやすいだけなのか、それとも日本人は心の深いところで、湿度の低めな晴れ渡った爽やかさに憧れを持っているのか。この話の面白さは、見せしめとしての実験を思いつくまでの、王の猜疑心の純度の高さね。救助や妨害がないように見張りをつけさせる徹底ぶり。なんだっけ、信頼するのは弱いからだ、だっけ。囚人が、俺なら逃げるから、と断わるあたりもいい。ジイサンと娘は邪魔だった。たどり着くとこはもっと劇的に盛り上げられそうなのに、地味。まあ公会堂の頂が照り映えている。朽ちた石像で始まって、それに戻る段取り。人の動きは粗かったが、髪が風になびいたりはする。
[映画館(邦画)] 5点(2012-02-17 10:29:06)
2162.  愛染かつら 総集編 《ネタバレ》 
看護婦たちのシーンに女学生を思ったが、考えてみればこの時代、都会における未婚女性の集団ってのは女学校と病院ぐらいか(あと百貨店の店員?)。住み込み女工は地方の紡績工場だし、あと娼妓もあるが、ターゲットだった女性観客が見たがるものではない。都会で未婚女性たちがワイワイやるには、女学校か病院しか舞台がなかったのだ。しぜん看護婦たちのワイワイは女学生の集団に似通っていく。映画は都市部の女性たちを好んで描いた。一方に桑野通子のような「令嬢」がいて、一方に働く看護婦たちがいた。そこに「母一人子一人」という条件の女性を放り込んでみたわけで、それが当時の社会では相当な負い目だったことが分かる。戦前のメロドラマは徹底して「耐えて忍んで」生きる姿を取り上げていった。今から見るとじれったいんだが(誤解を積極的の解こうとはしない)、そういう形で芯の強さを見せるしかメロドラマの作法がなかったのだろう(でも引っ張ったわりには、誤解の解け方がなんというか、あまりにも…)。繰り返されるすれ違い、しかも場所は東京(新橋駅)、京都、熱海と観光名所をつなげていく。熱海が出てきたとこで、病院での演芸の貫一・お宮が思い出され、その男が女を蹴飛ばした場所柄が、しぜん上原と田中に重ね合わされる。どうしても総集編ってことでストーリーだけが浮いてしまい、映画としての味わいは乏しくなってしまった。二枚目の男女が幸福(もしくは死別)へ向けてヤキモキを続けていれな観客は満足したわけで、筋は大事でない。子どもがひょっこり上原に診察を受けたりして、きわどく接近・離反を繰り返していればいい。このあとさらに続いた続編・完結編では、上原が大陸へ出征し、前線慰問の歌手として渡った田中と中国でもすれ違い続けたらしい。もちろん大団円は愛染かつらの木の下でだ。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2012-02-14 09:49:46)
2163.  きらきらひかる 《ネタバレ》 
『今度は愛妻家』の薬師丸とトヨエツは、これでもう共演してたんだった。きずもの同士の共感ってことなのかなあ。弱い立場の店員にあたるのは、よくないですよ。不機嫌をはらす対象がつかめない時代ってことなのか、あるいは故意にズラしているのか。なんか感覚が実感として分からない作品が出てきた最初のころだったなあ。紺君が、先にお風呂使わせてもらいました、って出てきて三人でそばを食べるあたり、面白かったってんじゃないけど、なんかここらへんの感覚は分かるんだ。でもこれ80年代の感覚かもしれない。夜の道にシマウマを見るあたり、もっと劇的の演出しても良かったんじゃないかと思うけど、それだと70年代のフェリーニか。しみじみ良かったのは土屋久美子で、「人生ってのは、いいもんよ、(間)お客さん」の、この(間)がなかなか良かった。あと「大きな古時計」も懐かしかったが、それ知ってるのは平井堅でじゃなくて、60年代の「みんなのうた」でだった。
[映画館(邦画)] 5点(2012-02-10 09:59:00)
2164.  夢を生きた男/ザ・ベーブ
日本が野口英世なら、向こうはベーブ・ルースか。おそらく伝記の定番なんだろう。もう段取り通りの展開になってて、アメリカでは型破りの人物が好まれるんだろうが、そういう人物を描くときの型ってのがあって、その型通りなんだから。田舎の女から都会の女に、田園生活から都市生活へ変わっていくところに、アメリカ史を重ねて見るのも一興。スランプのあたりは迫るものがある。「もう終わりだよ、デブ」って言われて荒れるあたり。やっぱ人間は下り坂のほうが面白い。試合のシーンが見せ場だけなので、盛り上がらない。
[映画館(字幕)] 5点(2012-02-05 11:59:04)
2165.  キャタピラー 《ネタバレ》 
若松監督作品に、普通の意味での映画的陶酔は期待していない。「永遠のシロート」と言うか、シロートっぽい表現のくどさがときに、洗練の対極の異様な力を感じさせることがある。その一瞬を待ち受けるように観ている。もっぱらそれは暴力がらみの場面で起こるのだが、今回は違った。いや、妻が旦那の軍神を殴るところもかなり「異様な力」なのだが、本作で一番キたのは、旦那をリアカーに積んで村を回るシーンだ。精神的な暴行。闇の中でうごめいていた夫を、軍神として陽光の中にさらけ出す。世間に対しては貞節な軍神の妻としてまっとうしながら、同時に夫を辱める(「五体不満足」の乙武さんの覚悟を逆に思った)。辱めているのは夫だけではなく、村の人々もだ。「これがあなたたちの軍神です」と巡る。軍神というフィクションを一度迎えてしまった人々は(夫も含め)、その辱めを辱めと感じなくとも受け入れていかなければならない。敬礼して佇立する。農家の嫁はけっきょく、おしっこの処理と性欲の処理と、もっぱら下半身の処理のための存在だったことを如実に示したあとでの復讐。もちろんそこには強姦された中国女性たちの亡霊もかぶさってきているだろう。いくさは日本と中国の間で起こるより前に、男と女の間で起こっていたのだ。それを踏まえた上で「歴史の被害者」としての夫が、もっとクッキリ出ても良かったのではないか。
[DVD(邦画)] 5点(2012-02-04 10:18:39)(良:1票)
2166.  リーサル・ウェポン3
このちょっと前にロス暴動があったんだったか。「ビデオに撮られるな」いうことが話題になってた。黒人少年を射殺して悩んで家族の絆に回帰していく図は、この頃のアメリカ映画の基調。女刑事と今までの傷を見せっこするあたりはおかしい。でも見せ場がブツブツとつながってるだけで、シナリオとしての盛り上がりはない。ビルの爆破なんか、うまく盛り上げていった頂点で仕掛ければ「やるーっ」って気にもなるのだがなあ。悪役の在りようがよく分からなくて、闇の帝王なのかと思っていると、不動産業を続けていて(追っかけられてることが分かった後でも)、変な人。白人と黒人、若いモンと定年間際、の対比される二人の掛け合いが味わいか。
[映画館(字幕)] 5点(2012-02-01 10:13:11)
2167.  ラジオ・フライヤー
一応ファンタジーなんだけど、でもファンタジーとしての枠組みがちゃんと作れてなかったから、ラストはヘンテコリンな気分になる。どちらかと言うと、児童虐待をめぐる社会派的な部分のほうに見どころがあったんではないか。眼を見せない義父。サングラスしてたり、子どもに目隠しされてたり、逆光だったり、それがラスト車で追いかけていくときに眼だけのアップになる。一つの表情としての顔はついに見せない。カントリーのBGMも不気味。近所の子どもたちもいじめてくるし、けっきょく母と子の兄弟だけ、血のつながった者だけしか心を許せない、という閉塞感が暗い。ベン・ジョンソンと約束したから、母親に心配をかけてはならぬという気持ち、あれが「父」的なものの象徴だったんだな。
[映画館(字幕)] 5点(2012-01-30 10:05:00)
2168.  未来の想い出 Last Christmas
登場人物の生活に実感がない、というのは別に現代を描く場合悪口とは限らないが、ふわふわしながら繰り返される「生」も実感がないとなると、とらえどころがなくなり過ぎて。ついに現代は「死」まで実感を失ったということなのか。生も退屈な繰り返しでしかない、とか。この映画を材料にして現代を語ることは出来るかもしれないが、この映画そのものは何も語っていなかった。時代は音楽で表現するのが一番だけど、かつて無音楽映画の傑作を作った人と思って見ると、うるさい。けっきょくこの人の映画のうつろさは、意識的なものじゃなくて、単に作家の反映だった面が強いのかもしれない。恋人役のデビット伊東ってのが、ちょっといい横顔をしている。
[映画館(邦画)] 5点(2012-01-24 09:54:16)
2169.  不意打ち 《ネタバレ》 
タイトルのところはかっこいい。が、そこまで。家庭用エレベーターの中に宙吊りで閉じ込められた老婦人の恐怖、って設定があんまり生きてこないんだ。なんせ中盤でエレベーターのドアがお婆さん自身によって開けられ、密閉感が減じる。一応飛び降りられない高所ってことになってて、彼女の視線からだとずいぶん高いんだけど、据えたカメラ目線で見るとそれほどでもなく(腰を傷めてることになってるが)、スリラー演出上、中盤で開けちゃった意図が分からない。入り込んできたチンピラが力ずくで初めて開けたほうが効果あるのに(閉じ込められた場所が防御の場所になってたのに、という展開の妙)、あんまりそういう計算はなく、ただ若者の無軌道ぶりだけが前面に出てて単調だった。彼女自身が息子にとっての檻だった、という皮肉も、だから生きてこない。先に忍び込んでた浮浪者らもチンピラによって家に閉じ込められるが、その閉塞感も薄い。いくらでも逃げられそうなのに、ただグズグズしてるだけに見えちゃう。「閉じ込め」がこのスリラーのモチーフなのに、それをちゃんとやってくれないので、空気が抜けっぱなしでぜんぜん圧力が高まらない。この作品の価値は、『風と共に去りぬ』のオリヴィア・デ・ハヴィランドと『ゴッドファーザー』のジェームズ・カーンが共演してる映画があるの知ってる? と人に言えること。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2012-01-23 10:46:13)(良:1票)
2170.  ウェインズ・ワールド 《ネタバレ》 
何も奥を感じさせない明るさってのも、不気味と紙一重で。でも『ホットショット』の方が笑えたし面白かったなあ。ウェイン君のニコニコ顔なんか、ほんと人格を感じさせないということで驚異ですらある。CMは嫌だと言いながら各社のコマーシャルをしているとこ、わけもなくビール工場見学をするとこ、道路でホッケーやってて車が来るといちいち脇へ持ってくとこ、隣の部屋での007、一同意気投合、助手の改心、などぐらいでは笑った。これだけ笑えば元は取ったか。最悪のラストから最良のラストまで三通り。アホの方のガースが「変わるのが怖いんだ」と言っていたところに唯一手応えを感じたな。やはり底にあるのは保守の気分なのか。社会はこちらに危害を加えるものであっては困る、という信頼。
[映画館(字幕)] 5点(2012-01-22 12:20:39)
2171.  ストーリービル/秘められた街 《ネタバレ》 
南部のどろりとした世界に沈んでいく民主党議員候補の青年弁護士ジェームズ・スペイダー、ただ全部がもつれ合って沈澱していくんじゃなくて、主人公は最後は正義の人になっちゃうのがつまんない。せっかくJ・スペイダーがやってんのに。パイパー・ローリーは不気味だが、ジェイソン・ロバーズの演技が明確すぎて、おそらく作者が狙ったものと合ってなかったんじゃないか。この監督は『ツイン・ピークス』をプロデュースした人だそう。こういう雰囲気としてのミステリーが、流行りだしたころ。もちろん小説で一番イキる謎解きのミステリー映画はつまらないわけで、ちゃんとした映画人なら映画ならではのミステリーってのを模索してると思うんだが、才能が追いつかないと雰囲気だけが先行してる環境ビデオみたいなものに堕してしまう危険もあるわけだ。
[映画館(字幕)] 5点(2012-01-19 10:05:56)
2172.  ベートーベン 《ネタバレ》 
このころのアメリカ映画における主婦は、仕事より家庭いうメッセージを担っていた。共和党的。なんか家庭像が古風になっている。「パパの威厳もカタナシね」といったこの手の笑いは、そういう威厳の存在を前提にしているわけで、そこも共和党的。パパの一言でペットを飼う・飼わないが左右されるってのもそうだ。これはどの程度現実の反映なのか、それとも現実でパパの威厳なんてものがチリほどもなくなってしまったので、こういう娯楽映画が生み出されていたのか。アメリカの現実の反映か、アメリカの夢の反映か、気になったところ。あと医者が悪役に向いてるのはなぜか、ということも考えた。これは獣医なんだけど、やはり生き死にを扱う、ってところが悪人向きなのか。白衣を着てるだけで、悪人っぽい(すごい偏見だけど)。そんなことを気にしながらでなくては観ていられないあまりに型通りの演出・演技だったが、ペットを処分しに連れ出していくあたりはシミジミしてしまった自分が情けない。
[映画館(字幕)] 5点(2012-01-12 10:30:01)
2173.  ゴジラVSモスラ 《ネタバレ》 
怪獣出現のトキメキのなさが愉快でない。庶民てのが全然出てこないのもいかん。庶民の日常生活がズズズッと滑り落ちていく快感てのが怪獣もののツボではないか。向こう側(非日常)の世界の物語だけになっちゃう。主人公も昔はマスコミ関係者に割り振られたのが、政府に吸収されてしまった。根本から考え直してほしい。ゴジラに頼らない新しいアイデアで一本作るぐらいの気概が欲しい。登場人物の公私混同も引っかかる。別所君がコスモスを連れてっちゃうのが罰せられない。タイの法規に日本の官憲が優越するのを当たり前に見てるのも気にかかる。…ああいかんいかん、どうも怪獣もの観てると「昔は良かった」式の、不甲斐ない後輩を叱咤勉励する気分になってしまうんだなあ。別に先輩でもないただの一観客なんだけど。
[映画館(邦画)] 5点(2012-01-04 10:07:56)
2174.  アメリカン・ハート
アメリカ映画はだいたいセンチメントを嫌うんだけど、なぜか父と息子になると許されるみたい。『キッド』とか『チャンプ』とか。『ステラ』あたりまで視野に広げると、同性の親子では許される、ってなる。同性だと近親相姦的にならないから、センチメントもサバサバ出来るってことか。まず家族写真などで、話がスタートするまでの来歴を語ってしまう。つきまとう少年と働こうとするパパ、ちょっと『自転車泥棒』の匂いもあるか。息子の存在がワルの道へ戻るのを止めてるような。もちろん刑務所暮らしはもうごめん、ってのが大きいんだけど。少年の親への最後の甘え、というか切り札が「グレてやる」なんだよな。また実際金がない。J・ロンドンのアラスカへの夢。少年院脱走のイメージが重なってくるあたりはけっこうしんみりしたが、アメリカ映画ならもうちょっと、センチメントに残酷さも欲しいところ。
[映画館(字幕)] 5点(2012-01-02 10:24:58)
2175.  熱いトタン屋根の猫 《ネタバレ》 
近代演劇以前は、登場人物が観客へ向けて堂々とモノローグしたり、日本の歌舞伎では義太夫が内面を語ったりと、いろいろな表現手段があったが、そういうのはリアリズムに反して不自然と言うことなのか、イプセン以後はすべてを会話の中に封じ込めるようになった。それでどうなったかというと、別の不自然が生まれたわけだ。「普通言わないだろ」ということまで会話に盛り込まれる。演劇としてのドラマチックな効果を生むのは、熱のある会話=ののしり合いになっていく。すぐ激する、怒鳴る。これが近代演劇の弱点、と私は思っている。でもそういう演劇のののしり合いの迫力はやはり作品の勘所だから見事で、本映画でもそれを味わえる。とりわけ「心穏やかでない美女」というのはなぜか見るに心地よく、E・テイラーの形相を眺めているだけでうっとり出来る。映画として面白いとは言えない作品だが、E・テイラーに怒鳴られる快感は十分味わえた(君はそう怒鳴ってるけど、けっきょく僕のことが好きだから怒ってるのさ、と勝手にこちらのモノローグを入れて画面のE・Tを直視するのがコツ。ちょっと彼女の目線が左にズレるのが惜しい)。 ラストの収まり方がつまんない。あれじゃ兄夫婦だけが悪役になって見えてしまい(とりわけ兄嫁)、なんか全体の構図がスッキリし過ぎちゃあないか。せっかくあれだけののしり合ったのに、という物足りないさ。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2012-01-01 10:35:35)(良:1票)
2176.  ジョニー・スエード 《ネタバレ》 
『ストレンジャー・ザン・パラダイス』の撮影やった人の監督作だそうで期待したけど、ノレないまま終わった。突っ立ってた髪の毛が、普通に寝込むまでの話。天から降ってきた靴、それによって人生のステージを一つ進み、その靴の片一方を失うことで、そのステージから出て行くまで、とも言えるか。一昔前のサウンドに固執している。伝説の待望。登場人物たちがやたらと詩を語る。家賃の払いを迫る大家までが韻を踏む。女の子のときはバックでギターが分散和音を奏でている。人には騙されるし、不器用で純なヤツなんだ。でもそういうのを描こうとすると、50・60年代を振り返るポーズをとらないと描けないってことか。そして現代にジェームス・ディーンを持ってこようとすれば、おのずとコメディの気配が漂ってしまう。そういう時代のうつろいの哀しさを描こうとしたのかもしれないけど。しかしあの時代にはあった怒りがここにはない。
[映画館(字幕)] 5点(2011-12-24 10:17:47)
2177.  ルビー・カイロ
さしてストーリー上それほどの必然性もないのに世界各地を回るって、なんか初期のころの007を思い出し懐かしい。と音楽もジョン・バリーだ。そしてエキゾチックな世界での展開とね。集金旅行ってところがイマふうなのか、ツヤがないな。この妻の夫への愛が、旅の中であんまり感じられないんだ。夫の未知の部分を知りたいってのが「従」になって、暗号ごっこが「主」になってしまった。この手のストーリーは、夫をとっかえっこしたいっていう妻の夢を合理的に達成させてくれるシステムなのかな。外国を飛び回るあたりも、最初のうちは気後れしててだんだん慣れてくる、って変化みたいなものでもあればいいんだけれど、海外レポートが並んでるだけみたいで。
[映画館(字幕)] 5点(2011-12-21 10:21:37)
2178.  富江 アンリミテッド 《ネタバレ》 
シリーズ八作目・末広がりの今回は、ホームドラマで始まって学園ものに移行し、再び家庭に戻って最後は社会に出てオチを付ける、という波瀾万丈。まあいつもの「富江」パターンで、それぞれは閉じた世界の中で異常を異常とも感じさせず血みどろやってるだけなんだけど、なんか久しぶりだったせいもあるのかなあ、終盤の畳み込みはけっこう嬉しかった。放課後の校舎を首なし女生徒がバタバタと駆け回る賑わい、ムカデ人間と化した富江が壁や天井を這い回るゾワゾワ感(今回は本当に富江が増殖するの、ムカデになったり弁当箱の中で)。包丁でグサグサやるのは現実感なく平気だけど、ハサミで上唇切ろうとするのはコタえた。この監督はセーラー服出すとやはり生き生きしてくる、女性の口に何かが突っ込まれるシーンも昔から好きだし。あと風呂場での解体シーンはシリーズの旧作を思い出して懐かしかった。何より驚いたのは製作者が「富江とは何ぞや」というテーマのようなものを考えていることで、主人公月子(富江の妹)のコンプレックスってのがモチーフになっている。人に嫌われないよう地味に地味に生きてきた彼女が、終盤に先輩や友だちに「おまえなんかなんとも思ってなかったよ」とののしられ、常に憧れの対象だった姉富江に憑依されて世間へ出て行く。彼女は「誰かに必要とされる特別な存在」の富江としてエンディングを迎えることになる。うーん、「作者の言いたいこと」、テーマってヤツだよ、これは。「現代人の孤独」と言うか。コンプレックスと共に生きることが出来なかった月子の物語。たとえばアカデミー作品賞を獲った、コンプレックスと共に生きることを選んだ英国王の物語と対になるよ、これは!
[DVD(邦画)] 5点(2011-12-19 10:23:07)
2179.  イノセント・ブラッド
女ヴァンパイアが悪漢に食らいついて、それが増殖するのを防ぐために警官と協力して戦う、っていうの。話はつまんなくても部分にキラリとしたとこでもあればいいんだけど、とうとうラストまでおおむねダルかったなあ。どうもコミカル・ホラーってのは、笑わせるのも怖がらせるのも中途半端に逃げてる気がして、なかなか満足するのに出会えない。このヒロイン、A・パリローがコメディ出来る役者じゃなかったってことだな。サリーってのが生き返るあたり、ちょっとコメディ的感性が生きてるとこはあった。記者団の前を彼が走りぬけ、検視官やらなんやらが追っていくあたり。だいたい彼が出てるシーンのほうが面白かった。副大統領がテレビに映ると消されてしまうギャグ。中に出てくるテレビ番組は、みな怪獣・怪奇ものやってるのがおかしい。吸血鬼に関するいろいろなルールってのは興味深いんですけどね。愛と攻撃のメタファーとして。
[映画館(字幕)] 5点(2011-12-18 10:29:03)
2180.  乳泉村の子
日本と中国は文化史的にはずいぶん違う道を歩んできたと思うんだけど、大衆文化的な感性の面になると、東アジア的というのか、ほとんど同じだなあ。「肉親の情愛」でくすぐられると弱いあたり。日本だったらもう気恥ずかしくて作れないぐらいのメロドラマに、東アジア文化圏の本家・中国ではまだ出来ます。キーワードは「けなげ」でしょうね。耐えて耐えて母の愛に保護されて感謝する。姉的な愛もね。靴をいっぱい作ってお嫁にいっちゃう、とか。いじめられた子に母がけんかを教える、とかも。少年はりりしくマッスグ。日本の部分はいらない。異文化圏だと背景を描き込めないんだろう。和服から僧服に着替えるスローモーションが、かろうじて映画らしかった。
[映画館(字幕)] 5点(2011-12-13 11:21:19)
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