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かたゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1874
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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201.  私をくいとめて 《ネタバレ》 
彼女の名は、黒田みつ子。今年で31歳になる、どこにでもいるような平凡なOLだ。何年も恋人と呼べるような人はおらず、都内のワンルームマンションでずっと独り暮らし、唯一の楽しみは週末ごとに一人で焼き肉やスイーツを満喫すること。そんなおひとりさま生活を送る彼女だったが、それでも全然寂しくはなかった。何故なら、みつ子の脳内には人生の指南役でもあり親友とも呼べる「A」が居るから――。一人でいるときは、ずっとその「A」との会話を楽しむみつ子。時には辛辣な言葉を言われたりもするけど、それでも彼女はそんな「A」との生活に満足していた。だが、ある日、彼女は重大な事実に気づいてしまう。それは会社の取引先の営業マンで近くに住む多田という青年が、もしかしたら好きかもしれないということ。これまでの平穏な生活が徐々に乱されてゆくのを感じたみつ子は「A」へと相談するもののどうにも埒が明かない。平和だけどどこか物足りないこれまでの生活か、傷つくかもしれないけれどそれでも新たな世界へ飛び込んでみるか。誰かこんな私をくいとめてと願いながらも、みつ子は徐々に暴走してゆく……。拗らせ女子の生態をポップ&キュートに描いた傑作『勝手にふるえてろ』の監督・原作コンビが再びタッグを組んで挑んだという本作、いやー、これが期待にたがわぬ素晴らしい出来でした。この監督のファンシーでポップでありながら、ちゃんと細部のリアルさにも手を抜かない拘りは相変わらずグッド!全編通じてあり得ない非日常な世界なのに、どこかリアルな日常を感じさせ、この主人公がとても身近な存在に思えてくるから不思議です。とはいえ、冷静に考えたらこの主人公はいわゆる統合失調症で専門医の診断を受けた方がいいんじゃないかとも思わせる絶妙な毒の効かせ方も、原作・綿矢りさならではの世界観。やはりこの二人のタッグは最強ですね!!それまでずっと声だけの存在だった「A」がみつ子の前に姿を現したときの、「ちょうどいい…」という彼女のセリフが個人的にめっちゃツボでした。階下の遊牧民のホーミーが最後、あんな形で活かされるとは思いもしなかったし(笑)。ただ『勝手にふるえてろ』と比べるとやはり長すぎて、中盤ちょっとだれてしまう部分もなきにしもあらずでしたが、僕は充分楽しめました。以下余談。段ボールで作った彼氏と妄想でいちゃいちゃする吉住のネタは、自分も最初見たときは衝撃的なくらい面白くて、さすがこの監督いいセンスしてると嬉しくなっちゃいました。ただ、あんな温泉の余興で老若男女にウケるようなネタじゃないと思うぞ(笑)。
[DVD(邦画)] 8点(2022-01-20 05:47:35)
202.  コロンバス 《ネタバレ》 
近代建築の宝庫として知られるアメリカの地方都市コロンバスを舞台に、建築に取りつかれたとある男女の微妙な関係を淡々と見つめた会話劇。これが長編デビュー作となる監督は、日本の名匠小津安二郎からの影響を公言しており、その構図への拘りは確かに感じられました。シンメトリーを意識しながらも微妙にバランスの崩れた映像の中で描き出される、等身大の人々の淡々とした会話はいかにも小津安二郎的。ただ、近代建築にも小津安二郎にも全く興味がない僕にとっては、最後まで観るのがだいぶしんどかったです。正直何度も寝落ちしそうになりながら、何とか最後まで観終えたようなレベル。僕の好みとは対極に位置するような作品でございました。
[DVD(字幕)] 4点(2022-01-20 04:44:57)
203.  ミナリ 《ネタバレ》 
1980年代のアメリカ南部を舞台に、移民としてこの地にやって来た韓国系アメリカ人とその家族の苦難の日々を淡々と見つめたヒューマン・ドラマ。ほとんどのセリフが韓国語でありながらアカデミー作品賞にノミネートされたということで今回鑑賞してみました。何が起こるわけでもない平凡な日々をただ淡々と描きながら、それでも最後まで見せきるのはこの監督の高度な演出力によるもの。破天荒なお祖母ちゃんや日曜は十字架を背負って町を歩く変わり者の農夫など、なかなか印象的な登場人物がたくさん出てくるのも魅力の一つでしょう。どこまでも夢を追い求める夫と家族の安寧を第一に考える妻の次第に擦れ違ってゆく心理描写も非常に丁寧で惹き込ませます。ただ、自分としてはいまいち嵌まらなかったです、これ。最後まであまりに地味で辛気臭いお話が延々と続き、観終わって僕はちょっとげんなりしちゃいましたわ。「これからも苦難の日々は続いてゆく」というラストも気が滅入るばかりで爽快感なんて欠片もありませんし。一つの作品としてその完成度の高さは認めますけれど、正直自分の好みではありませんでした。
[DVD(字幕)] 6点(2022-01-08 02:33:44)
204.  ブラックバード 家族が家族であるうちに 《ネタバレ》 
アメリカ郊外ののどかな田舎町に建てられた一軒の豪華な邸宅。そこで暮らすのは、医者である夫と二人で暮らす初老の女性リリーだ。ある日、そこに彼女の二人の娘、ジェニファーとアンナがそれぞれ夫とパートナーを伴って帰ってくる。目的は、週末のディナーをともに過ごすため。孫にあたるジェニファーの息子やリリー夫妻とずっと親友関係にあるリズという女性も加わり、楽しい夜になるはずだった。だが、彼らの表情は何処か不安げで隠し切れない哀しみに満ちている。何故なら、夜が明けるとリリーはもうこの世に居なくなってしまうから――。彼女は徐々に全身の身体機能が失われ、半年後には完全なる植物状態になることが分かっており、身体の自由が利くうちに自ら人生を終わらせることにしたのだ。そう、これはリリーが最後に過ごす家族水入らずのディナー。夫も二人の娘たちも母親の決断を容認し、最後は穏やかに逝かせてあげようと決意したはずだった。だが、夜も更けてゆくとそれぞれに抱え込んだ思惑が抑えきれなくなり、とうとう爆発してしまう……。尊厳死を決断した女性とその家族の最後の夜を淡々と見つめたヒューマン・ドラマ。アカデミー賞の栄誉に輝くベテラン女優スーザン・サランドンとケイト・ウィンスレットがそんな確執を抱えた母子を熱演しております。難病に侵された女性の尊厳死という大変重いテーマを扱っていながら、全体に漂う空気はほのぼのとしていてこのギャップが何とも言えない気持ちにさせられますね。死を決意した祖母を演じるスーザン・サランドンの、悲愴感を漂わせながらも微塵も同情を求めていないその凛とした佇まいがとても魅力的。彼女とケイト・ウィンスレットとのそれぞれの思いがぶつかりあう濃密な演技合戦はとても見応えありました。そして今回意外だったのは、次女役のミア・ワシコウスカ。精神的に不安定で自殺未遂を繰り返す問題児をリアルに演じていて、この二人に負けず劣らずの熱演を見せてくれます。この人、いつの間にここまでの実力をつけたんでしょうね。内容の方は、もちろん非常にデリケートな問題を扱っているので当然賛否が分かれるところ。でも僕は、善悪の彼岸を越えた、「永遠に分かり合えない家族の切なさ」を感じてとても心に染みました。最後、それでもそんな分かり合えない家族の元へと帰ってゆく登場人物たちの後ろ姿が何とも切ない。シリアス版『8月の家族たち』とも呼ぶべき、深い慈愛に満ちた良品と言っていいでしょう。
[DVD(字幕)] 8点(2022-01-07 02:00:50)
205.  ゴジラvsコング 《ネタバレ》 
監督が変わるとここまで違うかというくらい、さっぱり面白くなかったでしゅ。
[DVD(字幕)] 4点(2022-01-07 00:45:19)
206.  ドリームランド 《ネタバレ》 
ここは、荒涼とした大地が何処までも続く未墾の地、テキサス。家族とともに貧しい生活を送る17歳の青年ユージンは、何処にでも居る平凡な男の子だ。今は保安官の義父と暮らしているが、本当の父は彼がまだ幼いころに酒に溺れた挙句、夢を求めてメキシコへと旅立ったきり消息不明のままだった。心配性の母や幼い妹とともにそれでもこの地で生きていた彼は、ある日、町で不穏な噂を耳にする。銀行強盗を繰り返し何人も人を殺したという凶悪な犯罪者が、この町まで逃亡しているかもしれないというのだ。不安を感じながらも家に帰った彼は、納屋で驚きの事態に直面する――。なんと、その逃亡犯の女が、大怪我を負って隠れていたのだ。アリソンと名乗る彼女は、ユージンにどうか誰にも言わず逃亡に手を貸してほしいという。多額の報酬と彼女の魅惑的な笑顔に惹かれたユージンは、そのまま誰にも内緒で彼女を匿うのだった。罪は犯したが人は殺していないというアリソンの言葉を信じ、駄目だと分かりながらも潜伏生活に手を貸すユージン。だが、警察の手が間近に迫ってきたと感じた彼は、彼女とともに父が夢見たメキシコへと向かう決意をするのだが……。1930年代、アメリカ南部の閉塞感漂う田舎町を舞台に、犯罪者の女と大人しい青年との決死の逃避行を描いたクライム・ドラマ。そんな17歳の青年を惑わす犯罪者を演じたのは、いまやすっかり演技派としてのイメージが定着した人気女優マーゴット・ロビー。危険な匂いをぷんぷん漂わせる彼女はまさに嵌まり役としか言いようがなく、彼女に翻弄される純朴な青年との破滅的な恋の行方は終始ハラハラドキドキの連続で最後まで目が離せません。うだるような熱気に包まれたテキサスの空気も相俟って、なかなか緊張感に満ちた犯罪劇に仕上がっていたと思います。ただ、監督がこれが長編デビュー作ということもあってか、意味不明な演出がところどころにあったのが非常に惜しい。例えば冒頭のナレーション。実はこの青年の妹の回想という形で物語が進むのですが、これが非常に分かり辛く、しかも家族構成も説明不足でいったい誰が語り手なのかイマイチ分からない。物語の掴みとしてはマイナスというしかありません。致命的なのは、彼ら二人がホテルのバスルームで初めて関係を持つシーン。アリソンが切々ともう後戻り出来ないことを語るのですが、彼女の姿は画面の外で一切その姿が映らないんです。「あぁきっとマーゴット・ロビーがヌードNGで仕方なくこんな演出にしたんだろうなぁ」と思ってたらその後、普通にヌードの彼女が出てきて、「え、じゃあなんでこんな変な演出にしちゃったの?」と思わず呆然。きっと撮り方次第でものすごく印象的な良いシーンになったであろうに、何とも勿体ない。良い部分もたくさんあったのですが、それと同じくらい残念なところも目立つ作品でありました。ま、この監督の次作に期待ってことで。
[DVD(字幕)] 6点(2022-01-05 03:12:46)
207.  mid90s ミッドナインティーズ 《ネタバレ》 
1990年代に青春の日々を過ごしたとある少年の鬱屈した日常を描いたノスタルジック・ドラマ。率直に言ってちっとも面白くなかったです、これ。起伏も何もない凡庸なお話が最後までダラダラダラダラ。映像も終始小汚いし、ところどころ画面が凄く暗くなるもんだから見辛いことこのうえない。何だかさして仲良くない赤の他人の思い出ホーム・ビデオを無理やり見させられた感が半端なかったです。90年代半ばというからには、当時僕が大ハマりしていたニルヴァーナやナイン・インチ・ネイルズの楽曲が使われてるのかなと思ったら(だって音楽担当はトレント・レズナーですし!)、それもなく最後までただひたすら退屈な時間を過ごしてしまいました。
[DVD(字幕)] 4点(2021-12-28 03:48:32)
208.  プリズン・エスケープ 脱出への10の鍵 《ネタバレ》 
1970年代、アパルトヘイトの嵐が吹き荒れていた時代の南アフリカ。政府のそんな理不尽な人種隔離政策に反発し、非合法な活動を続けていたある二人の白人青年が逮捕される。彼らの名は、ティム・ジェンキンとスティーブン・リー。裁判の結果は、それぞれ懲役12年と8年の実刑だった。判決は瞬く間に確定し、彼らは速やかに当時地獄と恐れられていた白人専用のプレトリア刑務所へと収監されるのだった――。だが、彼らはまだ諦めたわけではなかった。愛する者のためになんとしても脱獄しようと目論むティムが考えた驚きの方法。それは、刑務官が常に腰にぶら下げている鍵の形を暗記し、それを木で彫って複製しようというものだった。少しでも力を加えればすぐ折れるうえに、刑務所のドアを開けるためには外から差し込まなければならない。しかもそんな鍵が外に出るまでに10もあるのだった。無謀とも言える彼らの計画だったが、それでもティムとスティーブンは持ち前の執念と正義への情熱でもって少しずつ鍵を彫り続けてゆくのだが……。実話を基に、難攻不落とも言われた刑務所から決死の脱獄を図った二人の青年を描いたプリズン・サスペンス。主演を務めるのは、髭もじゃ顔がすっかりトレードマークとなったダニエル・ラドクリフ君。まぁいわゆる古典的な脱獄ものなのですが、本作の特徴はその脱獄の方法が木材で鍵のコピーを作ろうとするところ。しかも目で見ただけでその鍵の形を覚えようと言うのですからまさに無謀。そんな馬鹿な…と思わなくもないですが、この時代のしかも南アフリカですからこれくらいセキュリティが甘々だったのでしょうかね。これが実話じゃなかったら、「脚本家、テキトーに書きすぎ!」と途中で冷めていたところでしょう。とはいえ、脱獄のドラマだけに特化した本作は、その手のツボは押さえられていたのでけっこう楽しんで見れました。冷酷非道な刑務官にいつ見つかるか、彼らの計画がいつか露見するんじゃないのかと最後までハラハラドキドキの連続で目が離せなかったです。ただ、全体的な感想としては正直薄味。もう少し政治的な背景も描かれていればより深みが増しただろうけど、そこは敢えてバッサリ切っちゃったのは良かったのか悪かったのか。シンプルな脱獄ものとしては普通に面白かったんですけどね。
[DVD(字幕)] 7点(2021-12-28 03:30:23)
209.  パワー・オブ・ザ・ドッグ 《ネタバレ》 
1920年代のアメリカ南部を舞台に、牧場主の兄弟とこの家に嫁ぐことになったとある未亡人、そして彼女の息子のそれぞれ複雑に絡み合う思惑を濃密に描いた心理サスペンス。主演を務めるのは、人気俳優ベネディクト・カンバーバッチとベテラン女優キルスティン・ダンスト。監督は、カンヌでパルムドールを受賞した名匠ジェーン・カンピオン。というわけで、観ながら思い出されるのはやはり同監督の名作『ピアノ・レッスン』でしょう。許されぬ愛に身を焦がす男女をこってり濃厚に演じたホリー・ハンター&ハーベイ・カイテルに負けず劣らずの熱演を見せてくれます。特に、ほとんど風呂にも入らず悪臭を放つ荒くれ者でありながら実は繊細な心の持ち主である牧場主を演じたB・ガンバ―バッチは見事でした。愛のない結婚生活から次第に酒に溺れてゆくK・ダンストの切なげな表情もなかなか良かったです。そして、最初は頼りない若者に過ぎなかった彼女の息子が次第に何考えているのか分からない得体のしれない存在へと変貌してゆくのも不気味でいい。ただ、『ピアノ・レッスン』と比べるとどうしても地味な印象を持ってしまったのも事実。何が足りないのかと考えてみると、それはやはり音楽なんじゃないでしょうか。あちらでは世界的なピアノ奏者マイケル・ナイマンの繊細で美しい旋律を持ったピアノ曲が全編に流れていて、非常に気品溢れる芸術作品へと昇華されておりました。対して本作、最後までほとんど音楽が使われず、終盤まで何とも地味な展開で気持ちが離れてしまうこともしばしば。最後に各々の思惑が明らかにされ、人間の底知れぬ怖さが浮き彫りになるというのは良かったのですが、いかんせんそこまでが長すぎます。いろいろと興味深い部分も多かったのですが、それと同じくらい欠点も目につく作品でありました。
[インターネット(字幕)] 6点(2021-12-14 02:42:12)
210.  ペンギンが教えてくれたこと 《ネタバレ》 
海外旅行中のタイで事故に遭い、下半身不随の障碍を負ってしまった母親とその家族の苦難の日々を実話を元に描いたヒューマン・ドラマ。3人のかわいい盛りの子供たちにも恵まれ順風満帆の人生を送っていたのにいきなり、そんな失意のどん底へと落とされてしまう母親を演じるのはベテラン女優ナオミ・ワッツ。タイトルにペンギンとありますが本作にペンギンは一切出てこず、実際はペンギンと名付けられた小さなカササギが物語の鍵となります。内容は、そんな小さな一羽の鳥がこの壊れかけた家族の絆を再生してゆくという、まあ率直に言ってベタなもの。物語の前半、不慮の事故により一生車椅子生活を強いられることになってしまったこの母親のあまりにも自己中心的な姿に、僕はちょっと観たのを後悔してしまうくらい腹が立ってしまいました。いやいや確かにしんどいのは分かるけれどもあなたより大変な思いをしている人はごまんといるし、自分を献身的に支えてくれる夫も居るし何より3人のかわいい子供たちも居るのに、何をそんな自分が世界で一番かわいそうみたいな態度取ってんだよ!っていう、ね。そう思わせるほどナオミ・ワッツの演技力が素晴らしいんでしょうけれども。まあ「子供がトイレで吐いてるのに自分はもう駆けつけることも出来ない、母親として私もう終わってる」という言葉には、確かに心動かされるものがありましたけれど。でも、その家族の元へと迷い込んだカササギとの交流を通じてこの主人公が次第に前向きな気持ちを取り戻してゆくというのは、実話ということもあってなかなか惹き込まれて観ることが出来ました。娘を思うあまり主人公に酷い言葉をはいてしまう母親の造形も何ともリアル。そして最後、色んなものを抱えながらもそれでも前を向いて生きてゆこうと決意する家族の姿には、素直にエールを送りたい気持ちにさせますね。ただ、最後にテロップで表示される「この母親はその後、カヤックで世界大会に出場し、障害者サーフィンで2度優勝した」との事実にはビックリ!え、そっちをメインで描くべきやったんじゃないの?(笑)。ここまでベタで行くなら、ペンギンとのエピソードはあくまでサブに抑えて、この失意のどん底にいた主人公がカヤックやサーフィンで世界へと羽ばたくというお話にした方がより面白くなったと思うんですけど……。
[インターネット(字幕)] 6点(2021-12-12 02:49:13)
211.  ピアッシング 《ネタバレ》 
男は、生まれたばかりの自らの子供にアイスピックを突き刺したい衝動に駆られていた。女は、生きづらい世の中に絶望を感じると自らの太腿にハサミを突き刺すという自傷行為を止められずにいた。内に潜むそんな抑えきれない衝動に悩む彼らはある夜、場末のホテルで客と娼婦として出会うことに。殺人願望を抱えた男と自殺願望を抱えた女――。出会ってはならないそんな二人が顔を合わせたとき、身も凍るような惨劇の幕が切って落とされるのだった……。社会のルールからはみ出してしまった男女のそんな文字通り命を懸けた駆け引きをサスペンスフルに描くサイコ・スリラー。原作は、泣く子も黙る現代日本文学の重鎮、村上龍。私、原作本ははるか昔に読んだ記憶があります。この本が出た90年代の村上龍って、そのシャープで切れ味鋭い文体とエロとグロをふんだんに取り入れながらもあくまでスタイリッシュさを失わない世界観とを武器に、ひたすらワンアイデアで新作を量産していたころ。なんか金に困ってんのかなってくらい毎年大量の本を出していたので、もちろん傑作と呼べるものも幾つかあるのですが、中には駄作と断言できる酷いものまでさまざまでした。そしてこの『ピアッシング』は、ギリギリ駄作ではなかったかなという印象。で、そんな本を映画化したという本作。ま、こんなもんじゃろって感じでした。やはり彼の本を映像化するとグロさが勝っちゃうんですよね(最後の乳首に針を突き刺すシーンはあかん!)。映像や脚本にも何のセンスも感じられなかったし、最後まで観るのが結構しんどかったです。変な虫が出てくる幻想シーンにだけ、ほんの少しセンスを感じました。以下余談。本作を本サイトに登録したのは私なのですが、きっかけは近所のツタヤのツタヤ先行レンタルコーナーに並んでいるのを見かけたから。「あ、原作読んだことあるし僕のお気に入りのミア・ワシコウスカも出てるしいつか観よう」と思うもわざわざ新作料金で借りるのもなんだし、旧作になるまで待って先に登録だけしとこうって思ったんです。でも、いつの間にかそのツタヤからはなくなってしまいました。近くの店舗にもないし、わざわざ取り寄せてもらうほどでもないし、いったいなんでないんだって思いつつもずっとレビューできずにいました。今回ネットフリックスでようやく鑑賞できたわけですが、いったいなぜツタヤからなくなってしまったんでしょう。もしかして、あまりに酷い内容だったからかな(笑)。
[インターネット(字幕)] 4点(2021-11-29 07:15:23)
212.  ELI イーライ 《ネタバレ》 
彼の名は、イーライ。数年前に発症した極度の免疫疾患により、少しでも外気に接すると瞬く間に皮膚が爛れてしまうという難病に侵された11歳の少年だ。なので、普段の生活は完全に外部と遮断されたテント内のみ、外出する時も完璧に防備された防護服を着なければならなかった。悲嘆に暮れた彼の両親は、様々な専門家を当たってみるものの有効な治療法を見出せぬまま時間だけが過ぎていった。そんな中、両親はこれこそ本物かもしれないと思しき専門医に行き当たる――。アメリカ郊外にひっそりと佇むその医師の治療施設は、外部との接触を一切絶った一軒の洋館だった。しかもそこは最新鋭の設備によって外気から完全に隔離され、この中であればイーライも普通の少年のように自由に生活することが出来るという。久しぶりの普通の生活に嬉しくなったイーライは、治療に専念するため、その洋館に両親とともに泊まり込むことに。だが、一日二日と過ぎてゆくごとに、彼はこの洋館に言い知れぬ違和感を感じ始める。何処からか自分を見つめる視線、いつに間にか壁に書かれていた謎のメッセージ、そして屋敷の外をうろつく怪しげな少女……。果たしてこの施設に隠された秘密とは?という極めてオーソドックスな設定のゴシック・ホラーなのですが、本作のミソは主人公の少年が外部との接触が一切無理という難病に侵されているという点。おかげでこの洋館から逃げ出せないという密室設定を無理なく作り出せている。そこで次々と巻き起こる怪異現象もまぁかなりベタではありましたけれど、それなりに怖くて一定の水準には達していたと思います。知らない洋館で夜を過ごすというのはやはり本能的な怖さを搔き立てるものがありますね。そこで繰り広げられる主人公の治療も禍々しくて大変グッド。特に、イーライの頭に電動ドリルを突っ込むシーンは思わず目を逸らせちゃいましたわ。このシーンを含め、何だか全体的に楳図かずおテイストを感じたのは自分だけでしょうか。そして、最後に明かされる驚愕の真相にもまんまと騙されてしまいました。なるほど、このどんでん返しは予想できませんでしたわ。監督はこの善悪の逆転劇を見せたかったのですね。とは言え、100%納得できたかというと全くそんなことはありませんでしたけど。納得度で言えば正直、25%くらいですかね。残りの75%は「んなアホなぁ」でした(笑)。と、オチがちょっと(かなり?)残念な作品でしたけれど、正統派ゴシック・ホラーとしてはぼちぼち楽しめると思います。
[インターネット(字幕)] 6点(2021-11-29 06:01:17)(良:1票)
213.  ムクドリ 《ネタバレ》 
生まれたばかりの赤ん坊を亡くしてしまった中年女性、リリー。以来、精神の不調から入退院を繰り返す夫を支えながら、近所のスーパーでパートとして働いていた彼女だったが、それでもふとした瞬間にどうしようもない悲しみに襲われるのだった。なんとか気分を変えようとリリーはある日、自宅の庭をガーデニングすることを思いつく。倉庫からスコップや鍬を取りだし、麦わら帽をかぶってこれから素敵なお庭を完成させようとした矢先、思いもよらぬ敵が彼女の前に立ち塞がるのだった。それは、一匹の小さなムクドリ――。庭で何かしようとするたびに自分のことを執拗に攻撃してくるそんな小さな闖入者に、いいように振り回されるリリー。ホームセンターでフクロウの置物や害獣用の駆除剤を手に入れ、なんとか撃退しようと目論むリリーだったが、どうにもうまくいかない。そんな折、病院に入院していた夫の病状が悪化しているとの連絡が……。大切なものを亡くし失意の中に生きていた中年女性が、小さなムクドリとの攻防を通じて自らの過去と向き合う姿を描いたヒューマン・ドラマ。主演を務めるのは、何処にでもいるような平凡なおばちゃんを演じさせたら右に出るもののいないメリッサ・マッカーシー。彼女のナチュラルな演技は抜群の安定感で、そんなどうしようもない悲しみに暮れるパート主婦をリアルに演じております。基本暗くなりがちな内容なのに、最後までそこまで重苦しくならないのは彼女の持ち前の明るさによるところが大きい。アメリカ郊外のノスタルジックな映像とほのぼのとした音楽も観ていて心地よく、この悲しい物語をいい感じに中和している。なので最後まで気持ちよく観ることが出来ました。ただ、彼女と裏庭に棲み着いたムクドリとの肝心の攻防が物語としてイマイチ巧く効いていないのが僕的には物足りなくも感じちゃいました。もっとスラップスティックなドタバタに振り切るか、あくまでリアルに徹するか、どちらかにしてほしかったですね。そうすれば、後半に明かされるムクドリの習性ももっと活きてきたと思うのに。この監督の前作『ドリーム』でも感じた、暗く重い物語をあくまで明るいエンターテインメントでという作風は嫌いじゃないだけに何とも惜しい。
[インターネット(字幕)] 6点(2021-11-27 05:31:07)
214.  ブレッドウィナー 《ネタバレ》 
ここは、まだイスラム原理主義政権タリバンが支配するアフガニスタン。女性は常に全身を覆うブルカを着用することが義務付けられ、教育や仕事も禁止、しかも親族の男性が付き添わなければ外出もできないような不自由な生活を強いられていた。そんな中、戦争で片足を失った父と露天商を営む少女パヴァーナは、貧しいながらも慎ましく暮らしていた。だが、ある日突然、父親が些細な理由によりタリバンに逮捕され、そのまま遠く離れた強制収容所へと連行されてしまうのだった。幼い弟や病弱な母のためになんとか生活を立て直そうとするパヴァーナだったが、自分一人では買い物に行くことすらままならない。仕方なく彼女がとった方法。それは、過去に突然居なくなってしまった兄の服を着て、〝男の子〟として外出することだった――。当初は恐る恐る出歩いていたパヴァーナだったが、変装は予想以上にうまくいき、彼女と同じく男装して出歩いていた幼馴染の少女とも出会い、次第に大胆な行動を取ってゆく。だが、そうして手に入れたパヴァーナの自由な日々も戦乱の予感に搔き消されていく……。2000年代、アメリカ侵攻直前の政情不安に揺れるアフガニスタンを舞台に、過酷な運命に翻弄される少女をファンタスティックな映像とともに描くアニメーション。アカデミー賞ノミネートということで何の予備知識もないままに今回鑑賞してみました。まるでディズニーの『アラジン』のようなタッチで描かれるのは、非常に重い過酷な現実。長年続いた内戦により荒廃してしまったこの地で、理不尽な現実に押しつぶされそうになっているのは常に社会の中で弱い立場にいる人々。それでも必死に自分らしく生きる主人公がすこぶる魅力的で、そんな彼女が男の子となって手に入れた自由に胸躍らせる姿には思わず切なくなってしまいます。僕たちはこの国で普通に外出して普通にコンビニで食べ物を買い、普通に暖かい布団で眠ることが出来ているのに、どうして何の罪もない彼女がこんな過酷な日々を過ごさねばならないのか。理不尽な現実に悲しくなるばかりなのですが、彼女の語る空想の世界の物語と世界観が非常に魅力的でそれに救われます。これこそアニメという表現を最大限に活かした素晴らしい演出でしょう。主人公以外にも、同じく男装していた少女や字の読めないおじさんなど脇を固めるキャラもみな魅力的で素晴らしい。最後が幾分か腰砕けちゃったのが残念だったけど、男たちの暴力に立ち向かうにはいつの世も優れた物語が必要なのだということを改めて思い起こさせてくれる良作でありました。と、これを観ている現在、アフガニスタンではまたタリバンが実権を握ってしまいました。この先、また彼女たちのようなかわいそうな少女が沢山うまれるのかと思うと胸が締め付けられます。この現実を変えるためには、やはり本作のような優れた物語が必要なのだと僕は信じたい。彼女たちのためにも。
[インターネット(字幕)] 9点(2021-11-23 04:09:57)
215.  炎の裁き 《ネタバレ》 
1991年、12月23日。テキサス州、コルシカナにおいて一軒家を焼く火事が発生する。子供部屋で出火した炎は瞬く間に家全体へと拡がり、手の施しようのないまま全焼してしまう。当時家に居たのは失業中の父親トッドと、産まれたばかりの赤ん坊を含む3人の幼い子供たち。母親のステイシーは夜勤に出ていてまだ帰宅していなかった。消防車が来るまで懸命に子供を助けようとしたトッドだったが、炎の廻りは予想以上に早く、不幸にも3人の子供たちは帰らぬ人になってしまうのだった――。当初は被害者として扱われていたトッドだったが、その後事件は予想外の展開を見せる。なんとトッドが、自らの子供3人を焼き殺した放火犯として逮捕されたのだ。そうして始まった裁判では、トッドの過去の犯罪歴や妻に暴力を振るう粗暴な言動、そして彼と揉め事を抱えていた隣人たちの証言によって追い詰められ、最終的に彼は死刑判決を受けてしまうのだった……。果たしてあの日、いったい何があったのか?彼は本当に娘を殺したのか?そして彼はこのまま死刑となってしまうのか?実話を元に、そんな痛ましい火事の真相を巡って翻弄される人々の葛藤を描いた法廷劇。という、冤罪の疑いのある死刑囚の再審請求を巡るお話なのですが、普通ならここで彼の事件の再調査を担うことになるのは理想に燃える若手弁護士と相場は決まっているもの。だけど今回、この事件の再調査を行うのは何処にでもいるような平凡なおばちゃんというのが本作のミソ。もちろん頑張って裁判記録や当時の証言者に当たってみるのだけど、死刑反対派ってだけの何の権限もない単なるおばちゃんなので、そりゃもちろん調査は難航するわけですよ。しかも彼女だって自分の子供たちまで巻き込んでるわけですから、そりゃ世間の白い眼を浴びて当然。それでも地道な調査の結果、彼の冤罪の可能性が濃厚となり、決定的な証拠も掴めそうになるクライマックスは非常にサスペンスフルで見応え充分でした。死刑執行が明日に迫る中、ぎりぎりのタイミングまで尽力する主人公。きっと最後には執行延期の連絡が届くはず……。でも、ここで大きくネタばれすると、物語は非常に重い結末を迎えてしまいます。果たして何が正しかったのか?自分は死刑存置論者ですが、それでもこの結末は深く考えさせられました。監督は、社会性の強いエンタメを得意とするエドワード・ズウィック。彼の演出力は相変わらず高く、特に死刑囚独房で幻想の娘と一人会話を交わすトッドには胸打たれるものがあります。当初はこのトッドに冷たく当たっていた看守が次第に彼に同情を寄せていく描写も巧い。ただ最後、テキサスの共和党知事の実際の映像を流すシーンは非常に政治的主張が強いので、恐らく賛否が分かれるところ。自分はちょっとやり過ぎに感じてしまいました。とは言え、いろいろと考えさせられる密度の濃いヒューマン・ドラマの逸品と言っていいでしょう。
[インターネット(字幕)] 8点(2021-11-22 07:33:31)
216.  21ブリッジ 《ネタバレ》 
ある夜、マンハッタン島で凶悪な強盗事件が発生。密売組織が隠していた大量のコカインを二人組の男が強奪しようとしたのだ。連絡を受けた警察がすぐに駆け付けたものの、自動小銃で武装した犯人と激しい銃撃戦となり、瞬く間に8人もの警察官が犠牲となるのだった――。捜査に乗り出したのは、正義感の強さからこれまで何人もの犯人を射殺して当局から目をつけられているデイビス刑事。明らかにプロの仕業だと判断した彼は、すぐさま前代未聞の処置を講ずるのだった。なんと夜明けまでの5時間、マンハッタン島を全面封鎖しようというのだ。島と外部を繋ぐ21の橋全てに検問所を設け、蟻一匹逃げ出せないような厳戒態勢を敷くデイビス刑事。執拗に犯人の行方を追う彼だったが、事件を予想だにしない展開を見せ始める。果たして事件の真相とは?急逝した実力派俳優チャドウィック・ボーズマンが制作・主演を務めたという本作を今回鑑賞してみました。たった一晩の出来事をほぼリアルタイムで追うことで、なかなか緊迫感に満ちた作品に仕上がっていたと思います。正義感に燃える熱血刑事と常に冷静沈着な女性麻薬捜査官というコンビも対照的で大変グッド。彼らともはや後がない犯人たちとの息詰まるような攻防は、多少ベタではあるけれどなかなか見応えありました。と、全体的には普通に良かったと思うのですが、僕としては何だか物足りないものを感じたのも事実。面白いっちゃ面白いんですけど、全てがあまりにも優等生的でこちらの想定したものを一切越えてこないんですよね、これ。事件の真相も途中で「あぁ、きっとこういうことで、この人がたぶん事件の黒幕なんだろうなぁ。でも、それだとベタすぎひん?」と思ったら、まさかのそのまんまでちょっと肩透かし。もう少しこの作品ならではと言った一捻りが欲しかったところですね。とはいえ、肩の凝らないサスペンス・アクションとしてはぼちぼち楽しめると思います。
[インターネット(字幕)] 6点(2021-11-16 02:34:19)
217.  密航者 《ネタバレ》 
ここは、火星へと向かうために宇宙を航行する最新鋭の宇宙船。目的は、地球から持ってきた植物の種子を繁殖させ、不毛の地である火星を人が住めるような環境へと変えること。経験豊富な女性船長をはじめとする3人の乗組員は、2年後の火星到着を目指し順調に航行を進めていた。そんな矢先、彼らは予想だにしない事態に直面する。なんと空気濾過設備内に見知らぬ男が忍び込んで意識を失っていたのだ。しかも男のせいで設備に致命的な損傷が起こり、船内の酸素が火星到着まで持たないことが判明するのだった――。船内に積んでいた藻を繁殖させることでなんとか当面の酸素は確保したものの、計算してみると2年後の火星到着まではぎりぎり3人分しかない。意識を取り戻した当の〝密航者〟は、なぜ自分がこの宇宙船内に紛れ込んでいたのか記憶がないという。疑心暗鬼から次第に不穏な空気が漂い始める船内。ミッション遂行のため、仕方なく彼を「排除」しようと目論む船長だったが…。火星へと向かっていた宇宙船内で発見された密航者を巡り、そんな極限の選択を迫られる乗組員たちの葛藤を描いたSFドラマ。若手女優アナ・ケンドリックと実力派女優トニ・コレット共演ということで今回鑑賞してみました。率直に言って、さっぱり面白くなかったです、これ。SFなのにとにかく単調!!この黒人の密航者をどうするのかというただそれだけのお話が最後までダラダラ続き、僕はずっと眠気と戦いながらの鑑賞となってしまいました。とにかく無駄なシーンやエピソードがてんこ盛り。普通に削っていけば一時間程度で終わるんじゃないかという薄っぺらいお話を無理やり2時間近くまで引き延ばしたような印象です。致命的なのは、この密航者がどうして宇宙船に忍び込んでいたのか最後まで一切明かさなかったところ。そこが物語として重要な鍵とちゃいますのん!密航者「どうしてこんなとこで寝てたのかさっぱり分からない」、乗務員「あ、そうですか。それは仕方ないですね」ってそんなアホな(笑)。また、宇宙空間を舞台にしているのにほとんど無重力の描写がないのも、恐らく予算の都合なんでしょうけど何とも不自然でした。最後のオチも後味が悪いだけで深みも何もあったもんじゃありません。久しぶりにこんなつまんない映画と出会ってしまいました。映像はちょこっとキレイだったので、ギリ4点!!
[インターネット(字幕)] 4点(2021-11-15 06:40:52)
218.  トゥルーノース 《ネタバレ》 
実話を元に、今世紀初頭の北朝鮮で政治犯強制収容所に送られたとある少年の過酷な半生をフルCGで描いたアニメーション。監督が多くの脱北者から実際に聞いた話を元にしているため、非常に重く全編にわたって生々しいリアリティに溢れている。それまで普通に生活していた平凡な家族がある日突然、理由もわからぬまま捕らえられ極寒の地へと送られる。来る日も来る日も重労働を課せられ、配給される食料もごく僅か、しかも何か問題を起こせば過酷な拷問が待っている……。こんな酷いことが今もこの世界で続いていることに戦慄せざるをえません。それがピクサーのような明るいCGアニメで描かれているため、その重さが良い感じに中和され最後まで見やすくなっているのも新しい手法なのかもしれません。ただ、映画としての出来は正直「微妙」と言うのが僕の率直な感想。誤解を恐れずに言えば、そんな事実の重みに対してフィクションとしての物語が完全に負けてしまっている。お話がシンプルすぎるうえに演出もきわめてオーソドックスなため、物語としてはいまいち印象に残りにくいのだ。北朝鮮の強制収容所の実態を暴くのであればドキュメンタリーや再現VTRでいいわけだし、フィクションで勝負するならもっと見せ方を考えてほしかった。またCGアニメとして見ても、そのクオリティは恐ろしく低いと言わざるをえません。人物の顔などどれもモデリングで継ぎ接ぎしたのが丸わかりだし、その動きもカクカクしていてまるでCGが登場したころの初代プレステレベルでちょっとこれはきつい。今もなお苦しむ北朝鮮の人々の実態を世界に知らしめたいという、この監督の熱意には素直にエールを送りたいのですけどね。
[インターネット(字幕)] 5点(2021-11-11 10:02:58)(良:1票)
219.  ファーザー 《ネタバレ》 
ここは、ロンドンのとある平凡なマンションの一室。取り立てて豪華なわけでもないが、それでも一家族が過ごすには充分な広さを備えている。そこで暮らすのは妻に先立たれた孤独な老人、アンソニー。まだまだ足腰は健在で、日々の家事は問題なくこなせると自負している。それにずっと昔に独立した娘アンも頻繁に訪ねてきてくれ身の回りの世話を焼いてくれる。寂しいながらも、現役の頃と変わらぬ生活を今も続けている。そんなアンソニーだったが、最近自分でも認知機能が急速に衰え始めていると自覚せざるをえなかった。日々の記憶が曖昧になり、自分でも何をしていたのか分からなくなることもしばしば。そんな折、頼りの娘アンが恋人とともにパリに移住すると言い出すのだった――。代わりにアンが雇ったという介護人がやって来るのだが、アンソニーは赤の他人が自分の家にいることがどうにも落ち着かない。しかも自分の大切な時計がいつの間にか無くなっている。きっとあいつが盗んだに違いない。そう決めつけたアンソニーは、口論の末にその介護人を追い出してしまうのだった。血相を変えてやって来るアン。だが、いつの間にか家にはアンと結婚して10年になるという見知らぬ男が現れる。しかもアンは、自分はパリに移住なんかしないと言い出すうえに、ここは自分たち夫婦の家だと主張するのだった…。現実と妄想がどんどんと曖昧になってゆく、そんなとある認知症の老人を幻想的に描いたヒューマン・ドラマ。主演を務めた名優アンソニー・ホプキンスはこの役で、アカデミー主演男優賞を史上最高齢となる83歳で受賞しております。観る前は何だか辛気臭そうな内容なのかなと思ったのですが、これがなかなか幻想の扱い方が非常に巧いシュルレアリスム劇の逸品に仕上がっておりました。娘婿と諍いをするディナーのシーンなど、気が付いたら冒頭へと戻っているところなどとても巧い。時間はずっと流れていたと思わせといて、最後の老人ホームへと収斂させてゆく展開も見事というほかない。過去と現在の境界が曖昧となり、娘をはじめ彼女の夫や介護人が全て誰が誰だが分からなくなる…。自分の認識がぼろぼろと崩れてゆく恐怖がひしひしと感じられ、もはやとても他人事とは思えません。認知症の人の頭の中ってきっとこうなんだろうなと思わせるだけの説得力が、ここにはある。A・ホプキンスの見事な熱演もそんな恐怖をますます増幅させ、より悲哀を深くさせますね。またこの監督の気品に満ちた映像センスも素晴らしく、過去と現代を繋ぐ見事な編集も相まって、とてもこれが映画デビュー作とは思えない気迫が感じられます。今回は認知症の老人というテーマでしたが、この監督の違う題材の作品も観てみたいと思わせるなかなかの良作でありました。
[インターネット(字幕)] 8点(2021-11-11 01:33:49)
220.  私というパズル 《ネタバレ》 
赤ん坊を自宅出産した女性が、助産師のミスからか、産まれたばかりのその子供を死なせてしまい、以来激しい喪失感と罪悪感に苛まれる日々を淡々と見つめたヒューマン・ドラマ。見どころとなるのは、やはりなんといっても冒頭30分にも及ぶワンカットで撮られたリアルな出産シーンでしょう。不安や痛みがダイレクトに伝わってきて、まるで自分もその場で立ち会っているかのような緊張感が感じられました。このシーンは率直に見事というしかない。ただ、それ以降、映画はずっとこの子供を亡くした夫婦の苦悩の日々をひたすら淡々と描いてゆきます。アカデミー賞にノミネートされただけあって、主役を演じたヴァネッサ・カービーの熱演も真に迫っております。ただ、とにかく暗い!!正直自分はこういう後ろ向きな人々の激しい口論がひたすら続くような内容がかなり苦手です。いや、彼女たちの気持ちは分かるんですけどもう少し明るい内容というか、もっと希望を持てるような展開がないとちょっときついですね。もう気が滅入って仕方ありませんでした。病んだ妻に嫌気がさして浮気しちゃう夫も、余計なお世話を焼いてますます事態を拗らせちゃう身内も、誰も彼も全く好きになれませんし。きっと完成度は高いんでしょうけれど、自分はこういう内容は好きじゃないです。すんません。
[インターネット(字幕)] 6点(2021-11-08 07:01:04)
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