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かたゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1885
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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201.  セレニティー  平穏の海 《ネタバレ》 
その島の名は、プリマス。一年中熱い太陽の光が降り注ぐこの島で、観光客相手に小さなヨットで海釣りサービスをしているディルはその日、久しぶりに奴と再会する。もう何年も前から追い求めている巨大なマグロが再び、海の底からその姿を現したのだ。釣竿を手にぎりぎりまで奴を追い詰めるディル。だが、今回も奴はヨットに引き上げる寸前に逃げ、またしても海へと帰ってゆくのだった――。その次の日、ディルは陸の上で意外な人物と出会う。何年も前に別れたきりずっと音信不通だった元妻が、大金持ちの夫とともに島へとやって来たのだ。密かにディルの元を訪れた彼女は彼にある提案をする。今の旦那はどうしようもないクズ野郎で日々自分に暴力を振るうばかりか、ディルの実の息子にまでその手を挙げているらしい。「お願い、彼を海の上で事故に見せかけて殺してちょうだい」。一千万ドルの報酬と引き換えにそう依頼してくる元妻。それまで巨大マグロを釣り上げることだけを目標に生きてきた男は、新しい〝任務〟に心掻き乱されてゆくのだった……。大海原に浮かぶ風光明媚な小さな島を舞台に、元妻の依頼でそんな犯罪へと手を染めようとする男の葛藤を描いた心理サスペンス。主演を務めるのは、マシュー・マコノヒーとアン・ハサウェイと言う人気コンビ。誰も目撃者がいない大海原の船の上で大富豪を殺そうと悪戦苦闘するという現代版『太陽がいっぱい』みたいな内容だと思わせといて、中盤から謎の釣り具セールスマンを登場させたり、引きこもりの天才数学少年が意外な形で物語に関わったりと謎の展開を見せはじめ、終盤で驚愕のどんでん返しを見せるそんな本作。とにかくこの衝撃のオチに尽きると思います。ネット上でも軽い失笑とともに酷評されるこのオチなんですが、さすがに僕もあかんと思いますわ~。いやいや夢オチ以上の反則でしょ、これ。だって主人公はじめ島の住民が全員、〝あれ〟なんですもん(笑)。例えるなら、「自分が毎週日曜の夜にやってるアニメのキャラだって気づいちゃったサザエさん」みたいな感じ?うん、やっぱり反則(笑)。まあ監督の本職が脚本家ということもあってか、お話の見せ方自体は流れも良くて最後まで普通に観ていられたんで、そこらへんは良かったんですけどね。要はこの陳腐なオチを普通ならすぐボツにするだろうに、何故か大真面目に脚本にしちゃったところでしょう。監督、どうしてこれを真剣に映画化しようと思ったのかしら?試しに人に読ませたら思いっきりバカにされて思わず意固地になっちゃったとか?まあいろいろと謎な映画でありました。
[インターネット(字幕)] 4点(2020-07-06 14:12:06)
202.  最後の追跡 《ネタバレ》 
長びく不況の影響ですっかり活気を失ってしまったテキサスの田舎町。ある日、その地でちんけな連続銀行強盗が発生する。目出し帽を被った二人組の犯人は、地方銀行の小さな支店へ押し入ると束ねられていない紙幣のみを奪って逃走。そんな一見、無計画で荒々しい犯行を実行したのは、貧困に喘ぐ前科者の兄と家族を抱えた弟のハワード兄弟だった――。定年を間近に控えたテキサス・レンジャーの老捜査官マーカスは、すぐさま捜査に乗り出す。ネイティブ・アメリカンの相棒とともに地道な捜査を重ね、着実に犯人へと迫ってゆくマーカス。すると、一見無軌道にも見える彼らの犯行には、実は緻密に考え抜かれた計画が隠されていることに気付くのだった……。構造的な不況に喘ぐテキサスを舞台に、銀行強盗を繰り返す無法者兄弟と彼らを執念の捜査で追う老レンジャーの追跡劇を緊迫感溢れる展開で魅せるクライム・アクション。主演にはハリウッドのベテラン俳優ジェフ・ブリッジスと人気若手俳優クリス・パインやベン・フォスター。脚本は、『ボーダーライン』や『ウィンド・リバー』と言った社会性の強い犯罪劇で幾つもの賞に輝くテイラー・シェリダン。いかにも彼らしい考え抜かれた脚本の力が光るクライム・ドラマの逸品に仕上がっていましたね、これ。最初こそ、行き当たりばったりで犯行を重ね、金を得るとカジノへと走るというこの兄弟の破天荒ぶりを強調しておきながら、次第に彼らの緻密な計画が明らかとなる。それは、サブプライム・ローンで土地を奪われた貧困層の声にならない魂の叫び。相変わらずこの人は、経済発展から取り残されたアメリカの地方都市に生きる人々の怒りをその脚本執筆の原動力にしてますね。道端に幾つも掲げられた銀行の融資の看板と、そのそばの「イラクに三度も行ったのに見返りナシ!」と言う落書きが極めて象徴的。クライム・サスペンスとして一級の完成度を誇りながら、社会問題へもちゃんと深い洞察を見せるという高度な技を見事にやってのけている。主演のこの三人だけでなく、ちょい役で登場する食堂のウェイトレスやカジノの娼婦など誰も彼も血の通った人間として描き分けることにも成功しています。良い映画って、こういう細かいところにまで手を抜かない姿勢がやはり大事なんだと改めて思わされました。最後、追い詰められた兄弟がそれぞれ辿ることになる哀しい運命。兄は血を分けた唯一の兄弟のため、弟は愛する家族のため、それぞれの方法でただこの貧困の連鎖を断ち切ろうとしただけなのに…。いやはや、なんとも切なく深い余韻を残してくれました。アカデミー賞ノミネートも納得の非常に完成度の高い社会派サスペンスの秀作と言っていいでしょう。
[インターネット(字幕)] 8点(2020-07-02 21:10:21)
203.  嵐の中で 《ネタバレ》 
何十年かに一度の周期でやって来る、正体不明の大規模な磁気嵐。その中では時空が交錯し、ごく稀に過去と未来が繋がってしまうのだった――。心優しい夫と可愛い盛りの一人娘とともに幸せな日々を過ごしていたベラは、嵐の夜、小さなビデオカメラを通じて25年前に生きる少年ニコと繋がる。だが、ベラは知っていた。彼はその日、たまたま妻を殺害した隣人の犯行現場を目撃したせいで帰らぬ人になることを。「ねえ、ニコ!何があろうと隣の家に行っては駄目!」。思わず、カメラの向こうに居る少年にそう強く訴えかけるベラ。おかげで、彼はその日を無事に生き延びられるのだった――。ところがその日から、ベラの平凡な日常は激変する。自分は夫と結婚しておらず、しかも出会ってすらいないことになっていたのだ。当然、愛する娘もまた、この世に存在しないことになっていた…。果たしてベラの身に何が起こったのか?彼女のおかげで生き延びた少年は今、何処で何をしているのか?そして、ベラは無事に愛する娘と再会することは出来るのか?激しい嵐の中で、本当は死ぬはずだった少年を救ってしまったことから不条理な世界へと迷い込む母親を描いたSFサスペンス。という設定を聞いてまず真っ先に思い浮かべるのは、一時期大流行りしたタイム・パラドックスもの。いわゆる『オーロラの彼方へ』や『バタフライ・エフェクト』系の、過去を変えたら現代の自分の生活が大変なことになっちゃった!ってやつです。本作の主人公である専業主婦はなんと、夫との結婚生活を失い、あろうことか娘まで誕生していないことになってしまいます。ふとしたきっかけで何もかも失うという、この絶望的な感じはなかなかよく表せていたんじゃないでしょうか。何を訴えても精神病扱いされ、次第に孤立無援となる主人公の描写も不条理で大変グッド。それに嵐の中で死んだ少年と会話するシーンもけっこうホラーテイストで、ぞくっとする怖さがありました。ただ、こういう設定勝負の映画って、どうしたって矛盾や突っ込みどころが完全には消えないものなのですが、本作もご多分に漏れず、肝心のことの真相はかなり無理がありまくりです。特に主人公を何かと助けてくれる心優しい刑事。こいつの存在がどう考えてもおかしい。彼の行動がどれもこれもあり得ないものばかりで、説得力が微塵もありません。真相が分かってから改めて見返してみても、「あぁなるほど!そういうことだったのか」と言うカタルシスより、「いやいや、ここらへん絶対無理くりですやん!」と思わず突っ込んじゃう気持ちの方が強いという、ね。全体を覆う不穏でミステリアスな世界観はけっこう作り込まれていただけに、肝心の脚本がなんとも残念な作品でありました。
[インターネット(字幕)] 5点(2020-07-01 00:31:15)
204.  ウォー・マシーン:戦争は話術だ! 《ネタバレ》 
2009年、対テロから始まったはずの戦争がいつしか目的を見失い、もはや泥沼化していたアフガニスタン。事態を打開するためにアメリカ政府が送り込んだのは、イラクでの極秘作戦を成功させたグレン・マクマーン陸軍大将だった。絶対的な自信と正義感に溢れる彼は、自らを信奉する部下たちとともに戦争を早期に終結させるためにあらゆる手を尽くすのだが……。実話を基に、アメリカの対テロ戦争の内幕を皮肉たっぷりに描いた政治ドラマ。正義感に燃え、必要とあれば本国政府との対立も辞さない男気溢れる陸軍大将を演じるのは人気俳優ブラッド・ピット、他に一癖も二癖もあるアフガニスタンのカルザイ大統領を名優ベン・キングズレーが怪演しております。ともすれば地味で退屈なお話になりそうな題材なのに、全編に渡ってシニカルな笑いを散りばめたことで最後までなかなか興味深く観ることが出来ました。テロ撲滅から始まった正義の戦争なのに、いつしかそれは文明の対立へと変貌を遂げ、いつまで経っても出口が見えない泥沼へと引きずり込まれたアメリカの実情を巧く突いている。特に、正義感から出発したはずの主人公の陸軍大将がいつしか、女性ジャーナリストの素朴な正論にうまく反論できなくなるシーンは象徴的。終始軽いノリで描きながら、けっこう深いテーマをも扱った作品に仕上がっていたんじゃないでしょうか。欲を言えば、もう少しブラックな笑いがあっても良かったんじゃないかな。コメディとしてはちょっと突き抜け方が足りない気がしなくもない。とはいえ、実際に戦場で戦う兵士と体面ばかり気にする政府、そのはざまで振り回される指揮官のジレンマをスラップスティックに描くことに成功している。うん、なかなか面白かった。7点!
[インターネット(字幕)] 7点(2020-07-01 00:18:13)
205.  ザ・ディスカバリー 《ネタバレ》 
近未来、ある一人の老科学者が発表した報告が世界に衝撃を与える。なんと、死後の世界の存在が科学的に証明されたというのだ。そのハーバー博士の報告によると、人間が死ぬと人の意識はまだ何処かは分からないが何らかの別世界へと移行するらしい。だが、彼の報告は、世界に新たなる危機をもたらすのだった――。人生に幻滅した人々が次々と自ら死を選ぶようになり、僅か数年で世界中の自殺者が400万人を突破してしまったのだ。世界中から殺到する非難の声を避けるように、人知れず行方をくらませるハーバー博士。小さな島の打ち捨てられた館を買い取った博士は、そこに多数の信奉者を集め、小さなカルト集団のようなものを結成する。信者たちの前で、生きる意味を語り続ける博士。そこに博士の息子である脳神経外科医と自殺願望を持つ若い女が新たにやってきて……。死後の世界が科学的に証明された未来社会、大量の自殺者が続発する中で生きる意味を問い続ける人々の葛藤を描いたSFスリラー。その特異な設定だけ聞いて、アイデア一発勝負のB級SFだと思って今回鑑賞してみました。いわゆる『フラットライナーズ』の大風呂敷版みたいな。ところが意外にもこれって、かなりスピリチュアル寄りのヒューマン・ドラマだったのですね。冒頭からひたすら続く、「死後の世界は本当にあるのか?」「人は何のために生きるのか?」と言う新興宗教の勧誘ビデオみたいな内容に、僕は終始あくびが止まりませんでした。登場人物たちも、やたらうじうじ悩んで自殺したがってる人たちばかりでもう暗いったらありゃしない!物語は結局、この博士たちが死後の世界がどんなものなのかを映像に収めようとするところがメインになるのですが、その死後の世界の映像も暗くて見辛いしセンスなんて欠片もありません。何ですか、あの脳波を測る機械のダサいフォルムは。最後の衝撃のオチだけは技ありでけっこう良かったのですが、いかんせんそこまでの流れが悪すぎます。それにこのオチなら、もっと観客の不安感を煽る巧い見せ方が出来たはず。アイデアは良かったのだろうけど、監督のセンスと実力が致命的なまでに不足しているせいで何とも残念な仕上がりになっちゃってます。名優ロバート・レッドフォードと人気若手女優ルーニー・マーラの豪華共演に+1点!
[インターネット(字幕)] 3点(2020-06-26 23:31:17)
206.  ザ・サイレンス 闇のハンター 《ネタバレ》 
それはある日突然、ペンシルバニアの地下洞窟から始まった――。いまだ人類が踏み入ったことのない地下世界を発見した探検隊は、暗い闇の中で〝それ〟と遭遇する。何百年もの間、太陽の光すら届かない暗黒世界で密かに蠢いていたその大量の生物は一気に洞窟を飛び出すと、瞬く間に世界を席巻してゆく。獰猛な性格と類稀なる狩人としての性質を併せもつその闇の生き物はベスプと名付けられる。長年の地下生活から視力を持たず、ただ高度に発達した聴力のみを頼りに、ただただ人類を殺戮してゆくベスプたち。彼らによって世界は破滅の危機へと陥ってしまうのだった――。家族と共にそれまで平和な世界に生きていた耳の不自由な女子高生アリーもまた、そんな世界的な災厄に巻き込まれることに。ちょっとした音を立てただけで呆気なく命を落としてゆく隣人たち。だが、手話という武器を頼りに、アリーたち一家は何とか逃げ延びることに成功する。ただひたすら音を立てずに危機を脱しようとするアリーたち一家だったが……。わずかな音を立てただけで瞬く間に襲い掛かってくる怪物に支配された世界を舞台に、決死の覚悟でサバイブするある家族を描いたモンスター・パニック・スリラー。という設定を聞いて、まず多くの人が頭に思い浮かべるのは、数年前にスマッシュヒットを飛ばした同じような設定のモンスター映画『クワ〇エット・プ〇イス』でしょう。音を立てたら襲ってくるというのも、主人公が耳の聞こえない少女と言うのも、家族が全編手話でコミュニケーションを取るというのも完全に丸被りです。いったいどちらが先なのかは分かりませんが、これは訴訟問題に発展してもおかしくないレベルでは?とはいえ、どちらも脚本に突っ込みどころ満載と言う点はおんなじなのですが(笑)。両作に共通するのは、やはりこの程度の原始的な生き物に果たして人類がここまで追い詰められるのかと言うところ。取り敢えずでっかい音を立てる機械を用意して、それで怪物を集めて爆弾なり火炎放射器なりで一網打尽にすればえーやんって言う、ね。あと、こういう設定勝負の出オチ映画って、その後、いかにうまくお話を引き延ばせるかにかかってくると思うのですが、本作はそこらへんがイマイチだと感じました。とにかくこの音を立ててはいけないという設定を巧く活かしきれていません。後半、急に謎の狂信的なカルト集団が出てきて、何故かこいつらとの攻防にシフトするというのもおかしい。肝心の怪物がいつの間にか添え物程度に押しやられちゃって、なんとも盛り上がりに欠けるまま最後までいっちゃいました。やはり最後は、主人公たち家族がこの怪物と戦って何らかの勝利を収めてもらわないとカタルシスを得られませんて!うーん、いろいろと残念な作品でありました。
[インターネット(字幕)] 4点(2020-06-25 02:09:47)
207.  マッドタウン 《ネタバレ》 
地球温暖化の影響で砂漠化が進み、極度なまでに荒廃した未来社会。政府の力は限りなく弱体化し、砂漠はもはや無法地帯と化していた。そこは人間を狩ってその肉を喰らう食人集団や、麻薬に溺れる無法者どもが住まう狂気の地。犯罪者や社会不適合者と政府から判断された者は、〝バッド・バッチ〟と呼ばれ、そんな砂漠地帯へと追放されるのだった――。罪を犯し、街から追放された若い女性アーレンもまた、そんな何処までも続く荒れ果てた世界を前に途方に暮れていた。そんな彼女を、待ってましたとばかりに襲ってくる食人族集団。すぐに彼らに捕まったアーレンは、そのまま右手と右足を切断され、その日のディナーにされてしまう。残りの肉は明日のお楽しみとして、鎖で繋がれ監禁されるアーレン。「このまま、こいつらに喰われてたまるものか!」。隙を突いて何とか逃げ出した彼女はスケートボードに乗って、行く当てもなく砂塵の中を彷徨うことに。そんな彼女を救ってくれたのは、同じく砂漠で暮らす麻薬中毒者たちのコミュニティだった……。荒廃した未来社会を舞台に、片手片足を失いながらもたくましく生きる女性を描いたバイオレンス・アクション。ジェイソン・モモア(アクアマン!笑)やキアヌ・リーブスと言った新旧ハリウッド・スター共演ということで今回鑑賞してみました。まあやってることは完全に『マッド・マックス』の二番煎じなんですけど、冒頭から主人公が右手右足を鉈でぶった切られて食べられるというぶっ飛び展開に一気に惹き込まれました。食人族集団のボスを演じたジェイソン・モモアも、そのイカつい見た目とは裏腹に溺愛する一人娘の絵を描くことを唯一の楽しみにしてるというのもギャップあり過ぎで大変グッド。さらわれた娘の情報を得るために、謎の浮浪者に言われるまま、彼がそいつの絵を描くところも乾いたユーモアがあってけっこうクスリとさせられました。ただ、本作が面白かったのはここまで。そこからものの見事に失速しちゃいます。いやー、完全に出オチ映画でしたね、これ。全く中身がないうえに、さして面白くもないお話が最後までダラダラダラダラ。とにかくこの主人公がいったい何がしたいのか最後まで全く意味不明なので、全然盛り上がらないんですよ。キアヌ・リーブス演じる麻薬王の存在なんて、何のために出てきたのかさっぱり分かりません。挙句、最後はこの主人公が食人野郎と何故か良い感じになってハッピー・エンド。え、何それ?てか、あんたの右手右足をぶった切って食べたのはこいつですからーー!4点!!
[インターネット(字幕)] 4点(2020-06-25 01:18:43)
208.  月影の下で 《ネタバレ》 
彼女は9年ごとにやって来る――。1988年、フィラデルフィア。その日、原因不明の謎の現象により何の関係もなさそうな3人の人間が命を落とす。被害者は皆、目や鼻から大量の血を流し、しかも脳が完全に溶けてしまっていた。彼らに共通するのは、首の後ろに付けられた三つの小さな傷跡。妊娠中の妻と暮らす刑事志望の警察官トーマスは、すぐさま現場へと向かう。容疑者として緊急手配されたのは、青いパーカーを着た黒人の若い女性。地下鉄の駅で犯人らしき人物を発見したトーマスは、激しい追跡劇の結果、逮捕寸前まで彼女を追い詰める。だが、彼女は「娘の誕生おめでとう。私はあなたを知っている」と言う謎の言葉を遺し、電車に撥ねられ即死してしまう――。1997年、無事に刑事となったトーマス。9年前の未解決事件など忘れ、不幸にも亡くなってしまった妻が遺してくれた9歳の一人娘とともに平凡ながらも充実した日々を過ごしていた。そんな折、信じられないようなことが起こる。なんと9年前と同じ手口の殺人がまた実行されたのだ。あろうことか、9年前に死んだ青いパーカーの女が以前とそっくり同じ姿で彼の前に現れるのだった…。果たして彼女の正体とは?9年ごとに現れる謎の女を巡って、何十年もの長きにわたって人生を翻弄されるある一人の男を描いたSFサスペンス。冒頭からかなりミステリアスな展開を見せるそんな本作、これがなかなかスタイリッシュなタイムワープSFの佳品に仕上がっておりました。主人公と謎の女が最初に出会った時、彼女は主人公が知りえない情報を告げ、命を落とします。その9年後にまたその謎の女が現れた時、その情報の謎がここで判明するのです。そう、彼女は未来から未知の目的を果たすために、9年ごとに過去へと遡っていることがここで明らかとなるのです。そして、2006年。すっかり身を持ち崩し警察も辞めてしまったトーマスはやはり彼女と再会します。お互いの未来に何が起こるのかを分かっている(でもその内容はお互い知らない)二人の息詰まるような駆け引き、これはなかなか見事なアイデアだと言っていいんじゃないでしょうか。例えるなら、クリストファー・ノーランと『12モンキーズ』の絶妙な融合。僕は最後まで興味深く観ることが出来ました。そして迎える2015年、すっかり落ちぶれ今やホームレスとなった主人公が辿り着く衝撃の真相。残念だったのは、この肝心の真相がいまいち腑に落ちなかったことですね。まあ分かるんですけど、もう少し納得できる説得力と言うものが欲しかった。それでもこのアイデアが秀逸であることは確かだし、それを最大限活用した演出も最後までキレが良くて大変グッド。なかなか見応えのあるタイム・パラドックス・ミステリーの秀作でありました。
[インターネット(字幕)] 7点(2020-06-22 00:31:29)
209.  アトランティックス 《ネタバレ》 
古い因習がまだ色濃く残るアフリカのとある小さな国。貧しい家庭に育つ年頃の女の子エイダには、すでに親が決めた男との婚約が決まっていた。一夫多妻制が存続するこの国で、地元の有力者の長男の最初の妻となることを認められたエイダ。彼女には裕福で満ち足りた未来が待っているはずだった。だが、エイダには密かに心惹かれる幼馴染の青年がいた。地元の工事現場で働く貧しい肉体労働者の彼と、夜な夜な家を抜け出し、何度も密会を重ねるエイダ。そんな彼女をある日、悲劇が襲う。彼がイタリアへの出稼ぎのために乗っていた船が転覆し、行方不明となってしまったのだ――。深い哀しみに沈み込むエイダは、彼の消息を求めて街をあてどなく彷徨い歩くことに。それでも着実に近づいてくる夫との婚礼の日取り。そんな折、行方不明のはずの彼の存在が何故かエイダの回りに感じられるようになって……。保守的なイスラム社会で真実の愛を求めて彷徨う若き女性を幻想的に描いたピュア・ラブストーリー。カンヌでグランプリを取ったということで今回鑑賞してみたのですが、正直、僕にはさっぱりこの良さが分かりませんでした。海で死んだと思しき主人公の彼氏が何故か霊体となって彼女を見守るという本作のお話、いかんせんこの展開が独り善がりすぎです。こういう幻想的なお話こそ細かい設定をしっかり詰めないと観客を巧くこの異世界へと誘えないものです。なのに本作では、その大事な部分がことごとくスルーされているので、全体的に物凄くふわふわしててなんとも締まりの悪い作品となってしまってます。アフリカのイスラム世界と言う特異な舞台設定を取り除いたら、後にはさして目新しくもないイマイチ出来の悪いファンタジーしか残らないのでは。映像も頑張ってセンスある感じで撮ろうとしているんだろうけど、残念ながらそこまで心に残るようなシーンはありませんでした。正直、どうしてこれがカンヌでグランプリを取れたのでしょう。この年のカンヌは不作だったんだと信じておきます。
[インターネット(字幕)] 4点(2020-06-18 17:33:04)
210.  オペレーション・フィナーレ 《ネタバレ》 
1960年5月11日、その日は多くのユダヤ人にとって忘れられない歓喜の日となった。ナチスドイツによるユダヤ人大量虐殺、その最高責任者として何百万ものユダヤの民を死に追いやった戦犯、アイヒマンが潜伏先のアルゼンチンで拘束されたのだ。事前に情報を入手したイスラエルの諜報機関モサドにより、自宅近くのバス停で拘束された彼は、そのままイスラエルへと密かに移送される。本作は、そんな〝オペレーション・フィナーレ〟と呼ばれた極秘作戦を実話を基に描いた社会派サスペンスだ。姉をナチスによって殺され、戦後はナチ戦犯を追い詰めることに執念を燃やしたイスラエル工作員を演じるのはオスカー・アイザック。そしてヒトラーやゲッペルスと並び世紀の極悪人として名高いアイヒマンを演じるのは、なんと名優ベン・キングズレー。この二人の重厚な演技合戦はなかなかのもので、彼らのお互いの信念に基づいた息詰まるような駆け引きは見応え充分。特に大量のユダヤ人を殺戮しておきながら、自らの家族に対しては深い愛情を示すというアイヒマンの複雑な人物像をリアルに演じたB・キングズレーはさすがの貫禄でした。ただ肝心のお話の方は、確かに頑張ってるのは分かるんですけど、なんだろう、この全体に漂うもうひとつ感は。サスペンス映画のセオリーにかなり忠実に作られてはいるのですが、最後までいまいち緊迫感が盛り上がらないんですよね、残念ながら。それは、これが実話を基にしていて最後は作戦が確実に成功することが分かっているからなのかと言うと、同じく実話を基にしたアカデミー賞受賞の名作『アルゴ』が最後は全員助かることが分かっているのにあれだけサスペンスフルだったことを思うと、やはり違うのかな、と。うーん、明確にここが駄目というのは特にないんですけど、こればっかりはもう理屈じゃないんでしょうね。実話の重みに引っ張られて最後まで興味深く観ることは出来ましたが、そこまで心に残るものはなかったです。同じくアイヒマンを扱った映画としては、『ハンナ・アーレント』と言う秀作があるので興味を持たれた方はそちらも併せて鑑賞することをお勧めいたします。
[インターネット(字幕)] 6点(2020-06-16 00:14:58)
211.  キング(2019) 《ネタバレ》 
15世紀のイギリスを舞台に、若くしてイングランド王となったヘンリー五世が様々な苦難を乗り越えて〝立派な〟王となってゆくまでを重厚に描いた歴史スペクタクル。野心家だった父王との確執を抱え、最後まで王となることを望まなかったヘンリー五世役には今を時めく人気若手俳優ティモシー・シャラメ、新王を献身的に支える側近役に最近監督業にも熱心なジョエル・エドガートン。彼が脚本も務めたという本作、これがなかなか見応えのある歴史ドラマの佳品に仕上がっていたと思います。物凄くオーソドックスでベタな内容ながら、最後までちゃんと観ていられたのはやはり丁寧な脚本の力なのでしょう。特に血と汗の匂いがこちらにまで漂ってきそうなリアルな戦場描写はなかなかの迫力。平和を愛し、争いごとを嫌っていたはずの若き王が、いつしか捕虜を皆殺しにするような残虐な王となるまでも説得力があり、権坊術数渦巻く宮廷劇としても見応え充分でした。ただ、自分はこういう最後までずっと真面目な展開が続く歴史ドラマが幾分か苦手と言うこともあり、そこまで嵌まれなかったというのが正直な感想ですかね。もう少し遊びの部分があっても良かったような気がしなくもない。あと、明らかに長いっす!クライマックスの戦いが終わってからのくだりはもう少しスマートに出来たのでは?ここらへん、ちょっと蛇足感がありました。それにしても、若き王を貫禄たっぷりに演じたティモシー・シャラメの存在感は凄いですね。男の僕からみても惚れ惚れするぐらいセクシーでカッコよくて、将来が楽しみな役者さんの一人です。彼のファンや、中世ヨーロッパの歴史ものが好きな方なら充分楽しめると思います。
[インターネット(字幕)] 6点(2020-06-14 23:35:50)(良:1票)
212.  ザ・ブック・オブ・ヘンリー 《ネタバレ》 
彼の名は、ヘンリー。今年で11歳になる一見普通の少年だ。シングルマザーの母親とまだ幼い弟との三人暮らし、隣に住む幼馴染の女の子クリスティーナが最近ちょっぴり気になっている。でも、彼はほんのちょっと人とは違うところが。それは、常人の枠を遥かに超えた高度な知能指数。そう、彼はギフテッドと呼ばれるいわゆる天才少年なのだ。この歳にして株の取引でかなりの貯蓄を蓄え、学校の成績はもはや大学院生クラス。そんな彼はある日、重大な事実に気付いてしまう。「クリスティーナが義理の父親から虐待を受けている!」――。いくら大人たちに訴えてみても、警察官である彼女の父はその度に巧みな方法で疑惑から逃れていた。居てもたってもいられなくなったヘンリーは、独自に問題解決への道を探り、それを一冊のノートに書き留めていくのだった。だが、そんな折、ヘンリーの身体に深刻な腫瘍が見つかり、彼は病院で緊急手術を受けることになってしまう。もはや事態は一刻の猶予もない。彼の計画を事細かに記した一冊の本を手に、母親が行動を起こすのだが……。天才少年が記した一冊の本を巡り、過酷な運命に翻弄されるある家族の葛藤を描いたヒューマン・サスペンス。ベテラン女優ナオミ・ワッツが主演し、『ジュラシック・ワールド』を撮ったコリン・トレヴォロウが監督を務めたという本作、これがなかなかの問題作でした。ここでぶっちゃけてネタバレすると、主人公であるヘンリーは物語の途中で病のため亡くなってしまいます。その後、物語はこの遺されたノートに書かれた彼の完全犯罪計画を実行に移す母親へと大きくシフトチェンジしてゆくことになります。そう、彼は隣人の警察官を密かに殺害する計画を立てていたのです。いくら虐待をしている父親であっても、これは完全に私刑で犯罪。なのにそんなことなど構わず、死んだ息子の計画を自ら実行しようとする母親。誰がみてもかなりダークで陰惨なお話なのに、これを何故かちょっと良い話のように描くところに凄く違和感。まるで難病ものの感動ファミリー・ドラマのように描いてゆくのです。僕はモヤモヤとした、なんとも居心地の悪い思いが最後まで拭い切れませんでした。いやいや、これって色んな意味で倫理的にアウトでしょう。それにヘンリーが亡くなるシーンも、物語が暗くならないようにだろうけど、かなりあっさりと流しちゃったのもどうかと思います。最後の無理やりなハッピー・エンドに至っては、あまりに薄っぺらすぎて思わず眉を顰めて観ている自分がいました。これではなんともすっきりしない後味の悪い映画だったと言わざるを得ません。ジェイコブ・トレンブレイ君の相変わらずの天才子役ぶりに+1点。
[インターネット(字幕)] 5点(2020-06-08 16:01:35)
213.  ベルベット・バズソー 血塗られたギャラリー 《ネタバレ》 
ヴェトリル・ディーズ――。それは自宅のアパートの一室で孤独死した老人の名前。十数年も病院の用務員として真面目に働き、友人や恋人も作らず、平凡な一市民として孤独の中に生きてきた彼。だが彼の死後、自宅からその生涯を費やして描き続けたであろう幾多の〝作品〟が発見される。正確な技法に唯一無二の大胆な発想で描かれたその油絵の数々は、専門家の目から見ても傑作と言っていいクオリティを誇っていた。「彼の名は、現代アートの歴史を塗り替えることになるだろう」。噂を聞きつけた画廊のオーナーやディーラー、それに美術評論家や現代アートの作家たちがこぞって彼の作品を手に入れようと動き始める。だが、彼の作品を手に入れた者たちは、次々と謎の死を遂げるようになるのだった。果たして彼の傑作に隠された衝撃の真実とは?生涯を無名のままで過ごした謎の画家ディーズ、彼が遺したという傑作絵画を巡って欲望に取り憑かれた人々の呪われた運命を描くサスペンス・スリラー。監督と主演を務めるのは、ダン・ギルロイとジェイク・ギレンホール。パパラッチの実態をリアルに描いた傑作サスペンス『ナイトクローラー』を撮ったコンビの新作ということで、今回かなり期待して鑑賞してみました。うーん、僕の期待が高すぎたのか、正直微妙な出来でしたね、これ。現代アートの世界に生きるセレブたちのその虚飾に塗れた実態を描くという内容に、「ああ、これは何年か前にカンヌでグランプリを取った『ザ・スクエア 思いやりの聖域』のような、美術界の内幕をシニカルな笑いとともに暴いたブラック・コメディなんだろうな」と思いながら観ていました。いわゆるヘンリー・ダーガーのようなアウトサイダー・アーティストを巡って、真の芸術とは何かを問う、みたいな。でも、途中でまさかのオカルト・ホラーな展開に!それまでのシリアスな内容から、いきなり人体発火や猿の化け物が出てくるというぶっ飛び具合。いやいや、さすがにこれは物語としてのバランスが悪すぎますわ~。前半と後半で全く別の映画を観ているような感覚に陥っちゃいました。たくさん出てくる登場人物たちの相関関係も分かりづらく、おまけに誰も彼も魅力に乏しいのもマイナス・ポイント。現代アートをテーマにしたホラー描写もどれも一定の美的センスは感じるものの、そこまで怖くありませんし。うーん、人間ドラマとしてもオカルト・ホラーとしてもなんとも中途半端な出来でありました。
[インターネット(字幕)] 4点(2020-06-07 00:40:04)
214.  アースクエイクバード 《ネタバレ》 
聞こえる?これは〝地震鳥〟の鳴き声。いつも地震の後に聞こえてくるの――。辛い過去から逃れるように日本へとやって来たアメリカ人、ルーシー。大学時代から学んできた日本語という特技を生かし、日本で暮らすようになってはや5年。翻訳関係の仕事もそれなりに順調、アメリカや日本の友達ともぼちぼちいい関係を築いている。何より、蕎麦屋で働きアマチュア・カメラマンとしての顔も持つ日本人の彼氏、禎司と深い仲になっていた。そんな折、ルーシーはアメリカから着の身着のままでやってきた奔放な女性、リリーと出会う。ほとんど日本語も喋れず、明確なプランもない彼女をルーシーは何かと面倒を見てやるのだった。一緒に飲みに出かけたり、仲間のライブに参加したり、さらには彼氏の禎司と3人で旅行にまで出かけるほどの関係になった彼女たち。だがある日、しばらく消息を絶っていたリリーが急に東京湾で死体となって発見されるのだった。重要参考人として日本の警察へと連行されるルーシー。警察に問い詰められた彼女は驚くべき告白を始める…。日本を舞台に、ミステリアスな日本の彼氏と奔放なアメリカ人女性との間で揺れ動くある一人の女性を描いた心理サスペンス。人気若手女優アリシア・ヴィキャンデルが主演を務めたという本作、これがまあ近年稀に見るダメな映画でした。とにかく全編に渡って変な演出が延々と繰り返され、見れば見るほど失笑を禁じ得ないというダメっぷり。まず主人公が日本人の彼氏と付き合い始めるきっかけがそもそもおかしい。道を歩いていたら急に見ず知らずの男に写真を撮られ、怒るのかと思いきや、主人公はそのままその男と蕎麦を食べに行き、あろうことかその足で家まで付いてゆくんです。え、この主人公はビッチなの?と言うと特にそんなわけでもなく、その日は写真を撮られて終わり。いや、いったい何がしたかってん?終始こんな感じで、急に知り合いの日本女性が階段から転落死したり、主人公や彼氏の過去の話が急に出てきたりするのですが、それが物語の重要なキーになるかと言えば特にそんなこともなく…。タイトルにもなっている地震鳥のエピソードに至っては、もはや何の意味もなしてません。監督はきっとソフィア・コッポラの『ロスト・イン・トランスレーション』みたいな映画を狙ったんでしょうけど、才能が遠く及ばず、出来上がったものは最後までまったく意味不明の退屈極まりない作品でありました。あと、最後にこれだけは言っておきたい。アリシアちゃんの日本語があまりにカタコト過ぎて、日本人としては聞けば聞くほど苦笑するほかありませんでした。周りにいた日本のスタッフはこのことに関して何も言わなかったのでしょうか?監督が「こんなもんでいいだろ」と判断したのであれば、あまりに日本を舐めた制作姿勢だったと言わざるを得ません。
[インターネット(字幕)] 2点(2020-06-04 14:00:52)
215.  マッドバウンド 哀しき友情 《ネタバレ》 
アメリカ南部の広大な田舎町で綿花農場を営む白人の地主と、彼らに仕える貧しい黒人の使用人一家。第二次世界大戦と言う激動の時代に運命を翻弄された、彼らの三世代にわたって繰り広げられる壮大な愛と憎しみの物語。たくさん登場するキャラクターたちの相関関係はかなり複雑で、しかも何年にも時代を跨って紡がれる壮大なお話なのに、監督の類稀なるストーリーテリングの巧みさによって非常に完成度の高い作品に仕上がっておりました。それぞれの登場人物の極めて個人的なモノローグを全編に散りばめ、舞台もアメリカ南部の閉鎖的な田舎町からヨーロッパの激戦地にまで大きく拡げながらも最後まで物語を破綻させることなく魅せたこの監督の手腕は特筆に値すると思います。取り上げられるテーマも、人種差別、不倫の恋、親子の確執、戦場のトラウマ、そして人種の壁を乗り越えて育まれる友情と多岐にわたり、しかもそのどれもちゃんと過不足なく描くという離れ業を見事にやってのけている。アカデミー脚色賞ノミネートも納得です。役者たちのナチュラルな演技も見応え充分で、特にこの時代に多くいたであろう抑圧された人妻を可憐に演じたキャリー・マリガンはとても魅力的でした。ただ、さすがに後半、幾分か冗長に感じられるシーンがちらほらあったのが残念。余計なシーンを何か所か削れば、もう少しスリムに出来たのでは。とはいえ、全体的な満足度はかなり高い。最後、人種の壁を乗り越えて強い友情を育んでいた息子たちが辿る悲劇には、大きく心揺さぶられました。あの公然と黒人を奴隷扱いするクソ親父に裁きが下った時、思わずカタルシスを感じてしまった自分もまた、憎しみの連鎖の中に居るのでしょうか。現代にまで連なる人種差別という問題の根深さに、改めて戦慄せざるを得ません。監督は本作が実質的なデビュー作となる俊英、ディー・リース。なのに、この新人離れした堂々たる風格。今から将来が楽しみな、新たな才能との出会いに喜びを隠せません。
[インターネット(字幕)] 7点(2020-06-03 00:40:59)
216.  バスターのバラード 《ネタバレ》 
もはや誰がいつの時代に書いたのかも分からない一冊の短編集『バスターのバラード』。西部開拓時代を舞台にしたその古ぼけた本には、人生の深い哀感に満ちた六つの物語が収められている。それぞれのお話の冒頭には魅惑的な挿絵も施され、読む者の人生に一時の潤いを与えてくれることだろう。第一話『バスターのバラード』。お尋ね者のガンマンで陽気な歌い人でもあるバスター。ある日、彼がとある街の酒場でポーカーに参加したところ、ならず者に難癖をつけられる。だが、持ち前の減らず口と類稀なる銃の腕で難なく危機を乗り越えた彼だったが…。馬鹿々々しくも陽気なこのバスターの軽佻浮薄なキャラが楽しかった。最後、天に召されるまでその軽口を止めなかった彼に終始癒される。だが、ちょっとオチが弱いのが難点か。第二話『アルゴドネス付近』。いかにも襲ってくれと言わんばかりの郊外の銀行へと押し入ったならず者。簡単に大金が手に入ると思いきや、行員の老人に思いがけない反撃を喰らう。用心棒に引き渡され首吊りの刑にされようとした瞬間、今度はインディアンの襲撃に遭い…。何度も命の危機にさらされながら、その度に運よく生き延びる彼の悪運の強さには思わず笑ってしまった。ただ、強運も尽き果てたというオチは、本作でも弱い。第三話『食事券』。両手両足を失い介助なしでは生活できない青年が、生きるためにしていること。それは興行主である男の馬車で各地を旅し、その街々で魅力的な物語を語り聞かせることだった。各地で人気を得た彼の講演だったが、それも時代の波に流され、最後は暗算できるインチキ鶏にさえ負けてしまう…。人生の哀しみという点ではこの作品が一番優れている。彼を単なる食事券としか捉えていない男との関係性など、描かれない世界に思いを馳せるのもまた一興。だが、あまりにも淡々としているため物語としての面白みには乏しかった。第四話『金の谷』。ただひたすら金脈を求めて川を下る一人の老人。地道で苦難に満ちた作業の末、ようやくそのありかを発見するのだが、その背後には彼の手柄を横取りしようと付け狙う男が…。とにかく豊かな大自然の描写が素晴らしい。見ているだけで心が癒されるその風景の中で展開される、二人の男のひりひりとするやり取りは見応え充分。ただ、こちらも単純なお話のためいまいち印象に残りにくいのが難点。第五話『早とちりの娘』。幌馬車隊に乗せられ、兄とともに新天地に向けて旅していた世間知らずの娘。だが、途中で兄が病に倒れ亡くなってしまう。窮地に陥った彼女だったが、隊長の男に見染められ、何かと助けてくれることに。やがて彼と結婚することまで決意した彼女を悲劇が襲う…。個人的にはこれが一番面白かった。総じてオチが弱い本作品群の中では、一番しっかりとラストが決まっている。ただ、後味が悪すぎるのが残念。もう少し救いがあれば良かったのだが。第六話『遺骸』。乗合馬車に乗り合わせた五人の乗客たちの会話劇。最後を飾るにしてはいまいちパンチに欠ける印象。いかにもコーエン兄弟らしいペーソスとシニカルな笑いに満ちた、そんな六篇のオムニバス。どれも楽しく観ることが出来たが、そこまで心に刺さるものがなかったのが残念。総評としては、6点と言ったところか。
[インターネット(字幕)] 6点(2020-06-01 13:30:17)
217.  モーグリ ジャングルの伝説 《ネタバレ》 
イギリスのノーベル賞作家キプリングによる児童文学の古典『ジャングル・ブック』を最新のCG技術を駆使して実写化した作品。ディズニーのアニメや最近の同社による実写化などでもお馴染みのこの名作を再映画化するにあたり、制作者がそれらと差別化するために採用した手法、それはとても児童向けとは思えないほどのリアルな描写だろう。CGで再現された動物たちはどれも妙に生々しく、ただ可愛いだけだった過去作とは一線を画している。特にどの動物たちの回りにも常に蠅が飛び回っている演出には目から鱗だった。そう、確かにインドやアフリカの野生動物の回りには常に蠅がたかっているものなのだ。決してキレイごとでは済まされない、野生の世界に生きることの真実がここに象徴されている。その当たり前の事実に改めて気づかさせてくれたこと、それだけでも本作は素直に観て良かったと言えるだろう。主人公モーグリが、悪役であるトラに傷を負わせられるシーンもかなりグロテスクで、その踏み込んだ表現手法は――賛否は別にして――一見の価値はある。キプリングが本当に目指したのは、もしかするとこういう世界観なのかも知れない。ただ、肝心の内容の方は正直いただけない。全体を通して、あまりにも脚本が取っ散らかりすぎているのだ。主人公モーグリも彼の仲間である動物たちも敵であるトラやハイエナも誰も彼もがいったい何がしたいのかがさっぱり分からない。そこに現地の先住民やイギリスの冒険家、さらには人間を憎むゾウなども絡んできて、クライマックスなどもはや完全に破綻していると言っても過言ではないだろう。CG表現に力を入れるよりも前に、まずはしっかりと脚本を練るべきであった。前述したとおり、その映像表現には目を見張るものがあっただけに残念だ。
[インターネット(字幕)] 5点(2020-05-28 03:46:18)
218.  エクスティンクション 地球奪還 《ネタバレ》 
サルは見て、サルは真似る――。彼の名は、ピーター。何処にでも居るような平凡な電気技師だ。まだまだかわいい盛りの二人の娘とキャリア・ウーマンの妻とともにささやかながらも幸せな日々を過ごしている。でも、そんな彼にも最近一つだけ悩みの種があった。それは夜毎、謎の悪夢にうなされること。夢の中で彼は、突如として地球に侵略してきた凶悪な宇宙人によって目の前で家族を惨殺されてしまうのだ。とても夢とは思えない生々しさに満ちたそんな悪夢に、ピーターは日々神経を擦り減らしていた。だが、彼の悪夢は急に現実のものとなる――。何の前触れもなく大規模な攻撃を仕掛けてきた宇宙人によって、街は瞬く間に阿鼻叫喚の地獄絵図と化してしまうのだった。パニックへと陥りながらも、ピーターは家族を救うため、決死の覚悟で行動を起こすのだが……。宇宙人の突然の地球侵略によって、崩壊の危機へと陥ってしまったとある家族の恐怖を描いたSFスリラー。明らかに低予算で撮られただろう、B級感満載のそんな本作、さして期待せずに今回鑑賞してみました。地球規模の侵略の割にはずっととあるマンションの一室でのみストーリーが展開されるという前半部分に、僕は一昔前の某B級トホホ映画『ス〇イライン』を髣髴としてしまい、一気にテンションはダダ下がり。「あぁ、これは外したかもなぁ」と思いながらそのまま観続けたのですが、これが意外や意外、中盤から一気に盛り返し、クライマックスなんて普通に見入っちゃってる自分が居ました。うん、なかなかの掘り出しもんですよ、これ。特に物語の中盤で明かされる驚きの真相!アイデア自体はそんなに新しいものではないですが、観客に対するミスリードの仕方が抜群に巧く、僕は普通に騙されちゃいました。繰り返される悪夢やエイリアンの造形や武器などの謎にこれで全て納得がいくという巧みさ。他にも、燃え盛るビルの屋上からゴンドアで下るシーンだとか、唐突に襲い掛かってくるエイリアン等々、アクション・シーンの数々もどれもキレがあって大変グッド。破壊された街並みやエイリアンの腕から出るホログラフなど、そのブルーを基調とした映像にもけっこうセンスを感じました。主人公夫婦の〝内部〟の映像なんてスタイリッシュで素晴らしいの一言。いやー、なかなか技ありの一本でありました。あと、これはどうでもいいことなのですが、長女役を演じた女の子がブルゾンちえみとそっくりだったことも最後に記しておきたい。髪型もメイクも服装もそのまんまなので、そのうちwithBが出てくるんじゃないかと僕は勝手に一人でウケてました。ま、ホントどうでもいいんですけどね(笑)。
[インターネット(字幕)] 7点(2020-05-27 16:00:33)(良:1票)
219.  アンカット・ダイヤモンド 《ネタバレ》 
エチオピアの鉱山で発見された、七色に光り輝くダイヤの原石。ニューヨークで宝石商を営むユダヤ人のハワードは、長年の借金生活から逃れるために自らのコネを最大限駆使して、何とかその原石を手に入れることに成功する。少なく見積もっても100万ドルはくだらない。オークションに掛け、莫大な額で売り抜けようとした矢先、店にたまたまスピリチュアルにかぶれたNBAのスター選手がやって来る。その原石を見た瞬間、彼はハワードに一晩だけこの宝石を貸してほしいと訴えてくるのだった。今夜の大事な試合のために何としてもこの宝石のパワーが必要だ、と。「これは絶対金になる!」。そう確信したハワードは、彼の高価な指輪と引き換えにそのダイヤの原石を貸し出すことに。そして、その足でハワードが向かった先とは、質屋――。そう、彼はNBAのスター選手の指輪と引き換えに大金を借り入れ、その金を全額、バスケット・ボール賭博につぎ込むのだった。妻にせがまれ、娘の劇の発表会に参加しながらも、試合の行方が気になって仕方ないハワード。そこに彼の長年の愛人や借金の取り立て人なども現れ、事態はますます混迷の度を深めてゆく。果たして賭けのゆくえは?アダム・サンドラー主演で送る、口先だけでこれまで生きてきた宝石商の狂騒の一夜をスラップスティックに描き出すクライム・ドラマ。率直な感想を述べさせてもらうと、僕はさっぱり楽しめませんでした、これ。考えられた脚本や緻密な構成などはなから度外視、役者のアドリブを最大限重視して、ひたすら行き当たりばったりで最後まで突っ走るこの撮影手法(違うのかな?でも僕はそんな印象を持ちました)はきっと好きな人には堪らないんでしょうけど、僕は全然無理でしたね。分かったような分からないようなこのストーリーがあまりにつまらな過ぎて、もうひたすら退屈!たくさん出てくる登場人物たちも誰が誰やら分かりづらいし、しかも皆自分のことしか考えていない俗物のバカばかりで魅力なんて欠片もありません。そんな彼らが最後までただひたすら悪態ばかりつくのを見せられるのは、もう苦痛以外の何者でもない。好きな人には申し訳ないですけど、自分には時間の無駄としか言いようのない作品でありました。
[インターネット(字幕)] 2点(2020-05-25 00:04:59)
220.  フラクチャード 《ネタバレ》 
寂れた田舎町に佇む、とある総合病院。ある日、そこに幼い一人娘を抱えた父親レイが駆け込んでくる。「娘のペリが工事現場の穴に落ちた!どうやら骨が折れてるみたいだ。すぐに医者を呼んでくれ」――。一緒にやって来た妻とともに、受付の女性に必死の形相でそう訴えかけるレイ。だが、受付の女性は事務的な説明を繰り返すばかりでなかなか診察してくれない。仕方なく家族とともに患者でひしめく待合室に向かったレイは、不安に駆られつつもただひたすら待つことに。ようやく診察が開始され、ホッと胸をなでおろすレイ。娘の病状は大したものではなかったが、一応精密検査をしようと言う医者の言葉にレイは素直にうなずくのだった。看護師に連れられ地下へと向かった妻と娘を、レイは一抹の不安を感じながらも待ち続ける。だが、何故かいつまで経っても家族は戻ってこない。業を煮やしたレイが文句を言いに行くと、受付の女は信じられない言葉を吐くのだった。「そんな患者はこの病院にはいません」。当然のように声を荒げ、強引に病棟内へと乗り込んだ彼は、愛する家族を求めて院内を駆けずり回るのだった。ところが、何処をどう捜しても家族の姿は見つからない。あろうことか、病院側はそんなレイをまるで精神病患者のように扱い始めるのだった…。サム・ワーシントン主演で送る、世にも奇妙な世界へと迷い込んだ男の恐怖を描いた不条理系スリラー。監督は『マシニスト』のブラッド・アンダーソン。彼の観客の生理に直接訴えかけてくるような不穏な世界観は相変わらず健在で、散りばめられた細かなエピソードの数々も実に不快指数マックスなものばかりで大変グッド。娘の腕が折れてるかも知れないのに、万が一の場合臓器提供を希望するかしないかをしつこく聞いてくる受付嬢など、すんごく気持ち悪いんですけどなんか癖になる魅力があります。ただ、肝心のお話の方は正直微妙というほかありません。特にミスリードありきのこのオチは賛否が分かれるところ。ここでネタバレすると、ことの真相は途中で、①病院が悪者で男の家族はちゃんと拉致監禁されていた②本当はこの男が家族を殺していて自らの記憶を改竄していた③男はやはり精神病でそもそも家族は最初からいなかった、と言うだいたい三つに絞られるのですが、最後に明かされる正解はその中でも最もムリ筋なものでした。到底納得できないうえに、後味も最悪という、ね。正直、もうちょっとすっきり終わって欲しかったなあ。全編に漂うこの不穏な世界観はすこぶる魅力的だったのに、なんとも勿体ない。
[インターネット(字幕)] 5点(2020-05-23 00:30:03)
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