2461. スパイナル・タップ
架空のバンドをここまでもっともらしく作り込んだ執念には敬意を表したいし、それを迷いなく作品として完結させる根性は称賛されるべき。ただし、あまりに実際のドキュメンタリーっぽく見せるべく突き進んでしまったため、デフォルメの要素が少なくなり、逆に笑える部分は減ってしまったのですね。現実と架空のギャップの部分がもう少し欲しいところでした。 [DVD(字幕)] 6点(2011-10-23 23:54:29) |
2462. アイス・カチャンは恋の味
《ネタバレ》 マレーシアの作品というのもあまり見る機会はないし、タイトルからは甘甘の青春初恋ものが出てきそうで期待したのですが・・・中盤まで、登場人物を整理しきれずに描写も雰囲気も拡散してるし、よせばいいのにあちこちで中途半端に笑わせようとするしで、テンションが下がってしまいました。ラストは切なくまとめているっぽい感じで、本来ならそれで美しく結実するはずなのですが、それなら途中の部分でもそこに焦点を絞っていないといけません。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2011-10-22 22:40:33) |
2463. トンマッコルへようこそ
あっちこっちで演出の方向性がばらばらで、その場その場で思いつきで撮っていったようにしか見えない。異なる環境の人たちが一同に会してドラマが生まれるわけなのだから、なおさらそれぞれの心理描写には慎重になる必要があるはずなのに・・・。終盤へ向けての盛り上げも、どうみても無理矢理です。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2011-10-17 02:40:30) |
2464. ライトスタッフ
ところどころに演出や映像に気合の入ったパートは見られるが、全体としてはあまりにも未整理、長すぎ。どこに照準を合わせた作品なのかよく分からなかった。 [映画館(字幕)] 5点(2011-10-16 22:24:31) |
2465. ひとごろし
主人公が武士のくせして陰湿で卑怯な方法を延々と繰り返すというのは新鮮味があったが、結局はそれの繰り返しというか、アイディア一発で終わってしまった気がする。そういうアホな設定だからこそ、周辺人物の背景はきちんと作り込んでほしかったと思うのだが。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2011-10-16 03:48:50) |
2466. キャプテン アブ・ラーイド
《ネタバレ》 前半は、オッサンの日常生活をそのまま撮っているという雰囲気で、あまりドラマも感じられないし、キーアイテムの帽子の描き方も弱い。後半はDV被害への対応が中心となるが、いきなり対象が絞られてくるので、前半とのつながりが切れているように見える。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2011-10-15 02:20:05) |
2467. ピノイ・サンデー
《ネタバレ》 前半は前置きとしてはあまり意味がない割に妙に長いし、後半はソファの話ばかりなのだが、それなら最初からそれに絞っていくべきだった。主題が何なのか結局はっきりしません。それに、たかがソファにむきになるところに面白みがあるはずなのに、主人公の2人が割と淡々としているので、設定の意味が半減しているのです。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2011-10-11 03:25:11) |
2468. ジャック
コッポラとロビン・ウィリアムスはまったく合わないということを如実に示してしまった作品。全体を通じた雰囲気が妙に重く、ロビンの持ち味をことごとく封殺している。というより、ロビンが子供を演じているようにしか見えず、大人の中身が子供であるという人物がそこにいるように見えない。その他の描写についても、外見と内面のギャップがもたらすおかしさや哀しさが浮き彫りになっておらず、またラストへ向けた持って行き方も、何とも安直。 [DVD(字幕)] 5点(2011-10-05 02:10:38) |
2469. プリティ・イン・ピンク/恋人たちの街角
80's青春ロマンス大好きな私でも、この作品にはそんなにそそられませんでした。ひねりがなさすぎというか、雰囲気だけで作ってしまったというか、誰をどうしたいのかが分からないというか。いろいろと安直な部分が多いですね。 [DVD(字幕)] 5点(2011-10-05 00:30:54) |
2470. オーバー・ザ・ムーン
《ネタバレ》 登場人物の発言や行動、それから個々の場面設定までもがいちいち陳腐でありきたりで、何でわざわざ作品として作ったのかが分からない。アンナ・パキンちゃんを投入しているのがもったいないです。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2011-10-03 00:07:06) |
2471. ハイ・クライムズ
《ネタバレ》 軍事法廷という特殊性をまったく生かしていない、何から何までどこかで見たようなシーンの継ぎ合わせで終わってしまう内容。そもそも、弁護側の2人が法廷で全然活躍しないので、日常生活の場面にも説得力がまったくない。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2011-09-27 03:58:16) |
2472. クレールの刺繍
ただ筋を追っているだけで、何のドラマの表現にもなっていません。登場人物に感情も行動もないのだから、構築のしようがないのです。対象が刺繍である必然性も感じられませんでした。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2011-09-26 00:16:51) |
2473. アメリカン・クライム
《ネタバレ》 シルヴィアが両親に再会する場面、「えっ?実際の事件でそんなことなかったでしょ?」とずり落ちそうなくらい驚いたのですが、つまりあのシーンこそがこの作品に必要だったのですね。むしろ、祈りを込めてそのシーンを撮り、シルヴィア・ライケンスに鎮魂の意を捧げることこそが制作の出発点だったのかもしれません。だから、虐待描写は量的・時間的には意外に少ないにもかかわらず、作品全体から、一筋の真摯な静謐な想いを感じます。照明やカメラにも丁寧さを感じました。 [DVD(字幕)] 7点(2011-09-25 01:21:20) |
2474. 泥の河
《ネタバレ》 前半のところ、姉弟が主人公宅に招かれるシーンが凄い。ごくありふれたやりとりの中に、5人のそれぞれの立場からの内心が複雑に絡み合って、奇跡のような均衡を見せつけている。何かが壊れそうで壊れない、その辺のミステリーやサスペンスよりも圧倒的にスリリングな20分間。●その画面を引き締めているのは、実はあのお姉さんだと思う。出会いでも中盤でもラストでも、彼女が登場するたびに、確かなドラマの動きを感じさせる。それに刺激されたのか、田村高廣の演技も絶好調。●それと、ほとんどのシーンは橋とその両袂という狭い範囲で起こっているのに、その限定を縦横無尽に使い切っているカメラの切れ味が凄い。うどん屋の建物の中のレイアウトなんかも、周到に計算されているなあと嘆息。 [DVD(邦画)] 9点(2011-09-24 04:33:03) |
2475. キャリー(1976)
《ネタバレ》 燃えさかる炎をバックに、ぴんと背筋を伸ばして粛然と歩いていく血塗れのキャリー。その姿はまるで、ゴルゴタの丘に向かって歩いていくキリストのようだ。このショットを撮りたいがためのそれまでの80分だったのだろう。それくらいあのクライマックスは原始的な初期衝動的なインパクトを残している。しかもその破壊性を、あくまでも定番の学園基本型の枠組からスタートしつつ、その延長線上に必然性をもって位置づけているところが凄い。 [映画館(字幕)] 8点(2011-09-24 03:59:55) |
2476. マラドーナ
あえてここまで世界的に有名な人物の背後に切り込もうとした心意気は買いたいし、実際にいくつか重要な映像やコメントも収穫しているのだが、編集の順序とか配分比率がえらく稚拙で、せっかくの努力の何割かが消されてしまっている。また、サッカー技術論の専門部分にあまり踏み込んでいないのは、やはりこの素材を選んだ意味を減殺しているのではないだろうか。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2011-09-22 00:31:53) |
2477. 世界でいちばん不運で幸せな私
設定の発想は悪くないと思うのだが、内容があまりにも未整理でごちゃごちゃしていて、結局、設定に溺れたような結果になってしまった。突飛な前提を設けるからこそ、日常生活の描写をきちんと行わないといけないはずなのだが。90分が長く感じました。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2011-09-21 23:12:24) |
2478. 利休
《ネタバレ》 意外に、美術とか衣装関係は妙に安っぽい感じがするし、俳優陣の演技も、台詞をそのまま読んでいる部分が多く、本領発揮には全然至っていない。また、茶人を主人公としながら、茶道がもたらす効果や機能を撮り切れておらず、普通の時代劇みたいに撮ってしまったのが敗因でしょう。なので、何で利休が政治面でも重宝されたのかというところについての説得力が出ません。最後、秀吉がちょっとカッとなったくらいでさしたる理由もなくあっという間に死罪まで行ってしまう容赦なさが、何とか作品を引き締めています。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2011-09-19 01:54:22) |
2479. フェイス/オフ
《ネタバレ》 導入部の設定からして、てっきり、爆弾の爆破阻止をめぐって最後まで攻防が繰り広げられると思っていたら、そこのところはあっさり(しかも逆の方向で)片付けて、それによってもう一段上の課題を提示するというのが新鮮でした。さらには、無意味に教会を飛び回る鳩とか、無意味に三角形+αの拳銃の突きつけ合いとか、ジョン・ウー様式美がコテコテに満載。それでいてきちんとスリルとスピード感も維持しているところも良い。ただし私が一番好きなシーンは、ジョアン・アレンが「あの男と夫婦として過ごした・・・」と告白したときの、何ともいえない感情の凝縮された空気感。 [DVD(字幕)] 7点(2011-09-18 04:10:33) |
2480. 狼たちの午後
《ネタバレ》 もっともらしく強盗に突入していながら、開始数分後には早くも1人が自発的に脱落するという衝撃の展開。人質側にもどことなく「何やってるの、この人たち?」というリアクションが漂っているのが、何とも言えない。そのままなら、とっとと小金だけ奪って逃げ去るか、とっとと警察に制圧されるかのどっちかなはずが、膨れ上がったマスコミや群衆が作用することによって、犯人も、被害者も、警察も、全部の歯車が徐々に狂い出す。誰も予測していなかった方向でありながら、必然性を持って展開する手腕が見事。●その中でも、細かい演出の芸がいろいろあって、例えば、守衛のおじさんを解放した後に女性人質と一緒に外へ出るとき、鍵を開けるのにもたつくパチーノに対し、人質女性が「こうするのよ」みたいに動作で教える、さりげない一瞬。いろんな変化がちょっとした技で象徴的に表現されている。●ほとんどの舞台は、決して広くはない銀行店舗内と、その外のわずかな範囲なのに、それを感じさせず、しかも、登場人物の表情や行動や周囲の光景まで的確に切り取ったカメラの腕も特筆すべき。 [DVD(字幕)] 8点(2011-09-17 03:00:17) |