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なんのかんのさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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241.  グリーン・カード 《ネタバレ》 
本当は夫婦でない二人が、出会いから結婚して現在に至るまでの来歴を作っていくあたりがミソ。スキー抱えた写真やら、アフリカとの間で往復した手紙やらを捏造しつつ、その歴史を追体験するように、だんだんその気になっていってしまう。まず多民族の都市ニューヨークをスケッチして始まり、入国管理の非人間性を描いた社会派映画でもあるわけ。ラストもニューヨークに住めぬ二人はフランスで落ち合うことを暗示して、これがオーストラリア人監督の見たアメリカ。自然保護運動を絡めたのはちょっとうるさかった。パーティの席でピアノを弾かねばならなくなったときの切り抜け方が楽しい。二人に愛が生まれるまでの間に、もっと何度も揺り戻しがあっていいんじゃないか。面接室へ走るとき、公園の中のグリーン地帯をたっぷり通過させる趣向。自然を通って、喧嘩した二人も浄化され、愛は蘇るのよ。
[映画館(字幕)] 6点(2013-07-18 09:22:42)
242.  猿の惑星:創世記(ジェネシス) 《ネタバレ》 
ジャック・ロンドンの「荒野の呼び声」を思い出した。あれは動物小説でありながら、時代がらプロレタリア文学でもあった。犬ぞりを底辺労働者と見立てる視線があった。同じ視線が本作にも感じられる。底辺労働者と言うより、奴隷の反乱に近かったか。猿の反乱を見ながら、私を含む観客はおそらく人間の側からは見てないだろう。シーザーにNOを宣告される場など、本当は人間として見るべきなんだろうが、こういう場面では都合よく反乱側に立って気持ちよく見てしまう。CGの表情、ずいぶん進化しているが、それだけ西洋人一般の表情を思わせるものに近づいた。シーザーが着てた赤い服のたるみや汚れも難しいんじゃないか。ただ群衆としての猿の描写が一律で、窓から次々飛び降りてくるのなど、迫力はあるがロボットでも何でもよく、猿ならではのシーン、たとえば街路樹の葉がどんどん散ってきてハテと新聞配達が見上げると…、みたいな場をもっとほしかった(橋の裏側を渡り進むのはワクワク)。シーザーが外界を覗いていた窓が、革命のシンボルになったよう。
[DVD(字幕)] 7点(2013-07-17 09:50:47)(良:1票)
243.  哀しみのトリスターナ
鐘の鳴り響くなか、おしの少年たちのサッカー(脚の競技)と、普通なような異常なようなブニュエルの世界に入っていく。フェルナンド・レイが、特別卑しい人間なのではないが(世間では立派な人間で通ってる)、内側を知る人間(たとえば姉)にはだめなわけ。かすり傷で勝負がつく決闘には激怒し、少年のコソドロをわざと逃がしてやったり、「偽善者」という分かりやすい分類では捉え切れない男。「茶番よりは悲劇がいい」と言ってて「悲劇的な茶番」になってしまう最期。ヒロインは自分で決めた散歩道に入ったとき、実質的に脚を奪われていく道にも入っていったってことなんでしょうな。廊下で繰り返し松葉杖を響かせる「散歩」に凝縮していく。そしてラスト、突然時間の流れが一方向から解放されたように、ファーストシーンへ向けて逆流が起こる。最初はヒロインが回想してるフラッシュバックかと、ブニュエルらしからぬことやってるな、と思ってると、それが止まらず、なんだなんだ、と思ってるとFINに行き着く。これ一回きりしか使えないアイデアでしょうが、単なる趣向じゃありません。あのときああしてれば(あのとき殺してれば)という後悔がヒロインの胸に押し寄せてきたところと見たが、どうだろう。それぞれの瞬間に、もう一方の道を閉ざしてきたわけで、しかし彼女は「自ら選ぶ誇り」も自覚してきた女であって、そういったもろもろ「これでいいのよ」という気持ちも感じられ感動です。私はこのように生きてきたという確認。
[映画館(字幕)] 8点(2013-07-16 10:02:41)
244.  キンダガートン・コップ
シュワルツェネッガーが幼稚園の先生をやってるってとこに、面白味の大半がかかってて、面白くなくはないんだけど、だいたい予想の範囲内ってとこね。笛吹いて鍛えてくってのには閉口。そしてリンカーン演説でアメリカ精神を真っ直ぐに謳いあげていく、非常時の娯楽映画って感じで、そういう気分だったのか、当時のアメリカ。犯人が子への愛ゆえってとこが、切ない。というよりも、孫への愛に狂う母親の影響ってとこ。狂えるママって怖い。だいたいほかにも脇の若くない女優陣がよかった。中年以降の女優ってアメリカ映画はうまく使える。邦画はうまく使おうとしない。もったいない。途中幼稚園シーンに、も少し犯人側の動きを入れてもいいんじゃないか。コメディとアクションが、うまく融けあってくれてなかった。
[映画館(字幕)] 6点(2013-07-15 09:37:21)
245.  監督失格
主要記録媒体がフィルムからビデオに移ったことで、事件や事故が記録されやすくなったことに加え、プライベートな場が公に開かれ出した。フィルムも最初は金持ちのプライベートな場に入っていったが、手軽さがぜんぜん違う。本作はフィルムの作家では作られなかった。由美香さんの死の通報を受けてやってきた警察はビデオが回っていたことで疑ったが、それはそうだろう。前半の平野勝之監督の手法・というかいつもカメラを回している姿勢を知らなかったら、おかしいと思う。それが自然になるほど、ビデオカメラが日常的になりつつあったから、この記録は採れたのだ。かつて羽仁進は教室の自然な記録を採るために、子どもたちがカメラの存在に慣れるまで空回ししていた。いまビデオカメラがその状態になりつつある。個人的な場にカメラがあっても構えなくなった(平野さん太ったんじゃないですか、とエレベーターの中で挨拶するママ)。そしてプライベートな部屋に入っていく。恐ろしいほどの臨場感。腐臭が立ち込め、飢えたペット犬がはしゃぐ廊下、その奥の部屋の暗がり、かつてフィルムが秘境を収めたように、ビデオも現代の秘境を覗きかけるのだ。北海道への旅で、彼女が映した夕焼けと月の広々とした映像の対極のような、狭い暗がり。あの旅はあくまで平野の旅であって彼女はテントの中でも化粧をやめなかった。男女が相手に合わせようとすること、それでも合わないこと、それを無理に合わせようとすること。映像には現われなかったが、タケウマで日本一周をやっている人の危なっかしい歩みが想像の中に浮かんでくる。まったく人生とは、タケウマで日本を一周するようなものだ。彼女は人生の広さの中で脚をもつれさせ、数年後、狭い部屋に倒れ込んだのではないのか。
[DVD(邦画)] 8点(2013-07-14 09:31:59)
246.  リトル・マーメイド(1989)
北欧トーンを南洋に変えたのがミソ。人魚を褐色のお肌にして、音楽もカリプソ風。楽器の見立て、ちょっとせわしなかったけどディズニーの味。王子にキスさせるためのムードを盛り上げていくとこも楽しい。魔女が太ってるの。ディズニーではだいたい悪の側のキャラクターが魅力的で、これもそう。タコ。表情が豊かになる。海老の執事も怯えながら笑いを浮かべるあたり、いい。フランダースがつまんない。アンデルセンって19世紀のカフカだと思ってる。先がけて疎外のテーマを語っている。しかしその地上の世界と海の世界との断絶を、ディズニーは憧れの力で乗り越えられる、とする。断絶があるからこそ姫の憧れが輝くのであって…、などと注文をつけても、これはもう作者の立脚点の違いで、仕方なかろう。良くも悪くも、ディズニーの型はしっかり完成してしまっている。声が戻るとこはホロッとしたけど、もっとミュージカル的な手はなかったか。王子のキスが間にあわない、いう展開はいい。
[映画館(字幕)] 6点(2013-07-13 10:02:37)
247.  俺は待ってるぜ
水たまりの波紋が止まると店の名が浮かび、そこから裕次郎が出てくる。かっこつけてるの。手で風から囲ってタバコに火をつけたり、なにやらまぶしそうな煙たそうな表情をし、人生の重荷を背負ってる感じ。そして港にたたずむワケアリの女。80年代の前半ごろ、テレビのコマーシャルでここらへんの部分が使われてて、いったいどういう「かっこいい」シーンなんだろう、と想像し名画座で観たんだけど、これ、ただポストに手紙を投函するだけなのね。身に負わされた義理を苦渋のうちに終わらせたラストかと思ってたら、映画の冒頭。手紙出すだけでこれじゃあ大変だな、と同情した。日活アクションてのを観たのは初めてのころだったか。疚しさの過去を持っているのが、アウトローの条件なんだ、などと学習したものでした。
[映画館(邦画)] 6点(2013-07-12 09:30:17)
248.  ナバロンの要塞 《ネタバレ》 
ずっと担架で運んできた怪我をした仲間に偽の情報を吹き込んでおいて、やがて自白剤を使うであろうドイツ軍を混乱させようと考えるG・ペックを、D・ニーヴンが非情すぎると非難する。ここらへんもっと突っ込めば「戦争における非情さ」で芯のテーマになれる問題だろうが、エンタテイメント映画を逸脱するのでサラリと描き、怪我人の内心の屈曲には触れずに、彼はチームの成果をベッドから見て喜ぶだけ。女性スパイの処分の場も「軍人は抵抗できぬ女性を射殺できるか」という戦場における非常さの問題に突っ込みかけるが、ここもなんとなく「戦争とはやり切れぬものだ」という詠嘆どまり。エンタテイメント作品ですから、という言い訳でずいぶん逃げてるなと思ったけど、「エンタテイメントをそれだけで終わらせない姿勢」と思えばよいのか。ただ各エピソードが寸断されてる印象があり「話を膨らます」展開に乏しかった。ペックとA・クインの軋轢は、最期の海で銛で救助する場面でうまく生かしてまとめた。第二次世界大戦ではギリシャものってのがあるんだな。最近ではニコラス・ケイジの『コレリ大尉のマンドリン』てのがあった。ノンキというのとは違うけど、独特の色調が加わる。地中海的おおらかさ?
[CS・衛星(字幕)] 6点(2013-07-11 09:22:27)(良:1票)
249.  自由はパラダイス
繰り返し繰り返し脱走する少年、それも何と言うか「魂がみなぎってるような顔」でないのがいい。斜視で、ただ見てるぶんには、ちょっとひねくれたところのあるおとなしい少年。これが抵抗者の表情なんだろう。施設でうまくやってたほうが楽なのに、でも出てしまう。いちおうストーリーとしては父に会うために、いう設定があるが、それを越えて人が自由を必要とする根源的な衝動みたいなものまで感じさせてくれる。最初は蝿がカメラに止まるような南の町、ここから北へ。ただの少年が次第に不敵に見えてくる凄味が作品の芯で、それがラストでワッと少年として泣き崩れる(彼が感情を見せる瞬間)。自由とは、こういう寒々とした風景の中を繰り返し逃げ続けることなんだ。途中で出会う駅員、金持ちの少女、下船を手伝ってくれる農婦たちとの接触も味わい。
[映画館(字幕)] 8点(2013-07-10 09:06:12)
250.  お葬式
日常が演劇的空間になってしまうおかしさ、がときどき現われる。悔やみの言葉(せりふ)からしきたり(しぐさ)まで、手本に何とか習って演じ終えてしまおうという気持ち。ビデオで練習したり、みな一生懸命演じ終えようとする。猫八など役者が適材適所で、ゲートボール仲間なんか貫禄。藤原釜足(隣室の暗闇にじっとしていた)。わっと泣き伏すと勝手のほうからどれどれと(うきうきと)見に来る感じがいい。霊柩車登場のものものしさと疾走感。一つ一つは面白いんだけど、ディテールの足し算以上のものにはならなかったような。日常が演劇的空間にあらたまってしまう面白さにもっと執着してくれたほうが好みだった。
[映画館(邦画)] 7点(2013-07-09 09:00:16)
251.  スターダスト(1991)
アイルランドってどこか湿っぽい。イギリスのブラックで乾いたのと手触りが違う。イギリスが人の心をとげとげしく観察するのに対して、人と人との間の空気の感触を大事にするみたい。これなんかぼんやりと心のどこかで主人公が母親かもしれないとうすうす感じてるところがいいんじゃないか。ローズ嬢のロレイン・ビルキントンっての、おそらく主役をやることはないだろうが、覚えといてやろう(そばかすがちらほらしてる文学趣味)。曇った朝に放たれる動物たちのイメージがいい。教会を訪れる象から始まって、うらぶれた幻想味が溢れる。ジミーへの情熱の解放でもあって、さっぱりした感じもある。自嘲と言うと毒々しくなりすぎて、もっと穏やかな気分。こういうのが一番アイルランド的と思っちゃう。
[映画館(字幕)] 6点(2013-07-08 09:18:47)
252.  宮本武蔵 巌流島の決斗
片岡千恵蔵が特別出演しているのは、戦後の大友柳太朗の『丹下左膳』に大河内伝次郎がゲスト出演していたようなもので、戦前の武蔵役者に対する敬意の表明だろう。うるわしい。本作を一本の映画として見ると、いささか散らかっていて弱いが、あくまで大長編の結末として見るのが礼儀(歌舞伎で「仮名手本忠臣蔵」の通しを上演するとき、芝居として見どころがないのは分かっていても最後に討ち入りの幕を入れないと落ち着かないようなものか)。第三部で五条の大橋に主要人物たちが集まってくるのにはけっこうワクワクさせられたものだが、今回おばば・又八・朱実・おつうらが、都合よく出会うのは、さすがにもうワクワクとはいかなかった。解散の前に全員集合させられている遠足の児童のよう。ドラマ決着の前に厄介払いしているようで、これまで全国をあちこち回らされていた彼らが可哀想。そもそも彼らが必要だったのは序盤だけで、すぐに厄介ものにされてしまっていた。新聞連載小説の原作ものの難しいところだろう。石仏を刻んでいた盲目の河原崎長一郎だけ、筋を通してもらえた。武蔵の精神主義に疑問を呈するエンディングになっているのが、吐夢さんの筋を通したところ。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2013-07-07 08:48:55)(良:1票)
253.  Wの悲劇
このころ映画評の重点が映像表現のほうに移ったので、鬱屈していたシナリオ作家が「どうだ」と凄んでみせたような作品。現実と劇とがこすれ合うシーンなんか、脚本書いててワクワクしたんじゃないか。ほかにも細かいとこはいっぱいあったけど、変に覚えてるのは、世良君と三田村君でちょいと揉め事があって次に稽古があって、三田村君が間を取ったのに薬師丸嬢がプロンプ入れてなじられる、なんてのがあった。こういうことあるんだろうな、とリアリティ感じました。役者ではやはり三田佳子。配役発表のときの「ハァ~イ」って感じから良かった。そして薬師丸嬢を部屋(死体で登場の仲谷昇)に呼び入れての長い独白が貫禄。非常識だと思いつつ言いくるめられていく感じは、長回しだから効く。主役おろしのいびりも怖い。蜷川さんまでオタオタする。薬師丸嬢に『イヴの総て』は似合わないと思ってたら、大女優に使われてしまう卵の話で、こういう設定ならアリだろう。石神井公園で将棋をさしていた世良君が歩み寄ると武蔵関公園になった、帝国劇場の中に入ると練馬文化センターになった、と至ってローカルな発見が当時の私のメモにある。 /1913/10・31追加 石神井公園・武蔵関公園の記憶は間違いないと思うが、練馬文化センターうんぬんの記述は30年ぶりに見てその根拠が思い出せず、怪しい
[映画館(邦画)] 8点(2013-07-06 09:51:53)(良:1票)
254.  エンジェル・アット・マイ・テーブル
少女時代、ちっとも神経質っぽくないモジャモジャ頭の女の子なのがいい。田園の気配はイギリス風。自分の詩を絶対書き直さないこだわりとか、姉の溺死の影とかあるが、数奇な運命を導くほどのものではない。しかし第二部に至って、恥ずかしがりが度を越してくる。授業からの逃走。ここらへんの落ち込んでいく傾斜の感覚が妙にリアルで、つらい。ずるずるとダメなほうにダメなほうにばかり考えがいっちゃう。で入院、ドアのないトイレ、電気ショック。妹の来訪で本にサインすることが支えになる。作家なんだ、という支え。それは三部で、新聞に載った自分の写真を隣の人に見せたい・見つけてもらいたい気分につながる。社会の中で生きる喜び、ってこういうものなんだろう。社会との回路を発見することの大事さ。精神分裂病ではないという診断もあって、もう病気に逃げ込むことは許されない。かなり特異な人生だが、多かれ少なかれ誰にも共通する人生の困難と喜びを描いている。
[映画館(字幕)] 7点(2013-07-05 12:18:45)
255.  晴れ、ときどき殺人
劇の中でのクシャミってのは、ベテラン俳優でも不自然になってしまうものだが、本作での太川陽介君は良かった。あんまり自然なんで撮影中うっかり出てしまったのをそのままリアリズムっぽいので取り入れたのかと思ったら、だんだん風邪ひいていく設定になってて、演技だったのかと思い直した。役者を侮ってはいけない。意外な役者が意外な場面で光ることがある。で本作、浅香光代が死ぬまではどうなることかと心配だった。いや死んだ後も渡辺典子嬢が踊ってたりするところは、かなりヤバかった。いいのは探偵殺しのシーンの長回し、いちいちの人物のまわりをぐるっと回り、こいつはいる、こいつもいる、と点検してる感じで、観客は次第に、こりゃあの部屋で何かが起こってるぞ、って気になってくる。理にかなった長回し。全体、刑事が笑わせた。警察手帳を見せるとこ、額縁を傾けるとこ、犯人逮捕のとき「最初から分かってたんだ」と言うとこ、など。刑事の九十九一(つくもはじめ)って、でんでんなんかと同じころ芸人の勝ち抜き番組に出てて、とても面白かった記憶がある。
[映画館(邦画)] 6点(2013-07-04 09:28:16)(良:1票)
256.  動く標的 《ネタバレ》 
アメリカ映画では、正義を行なう個人の勇気がしばしばクローズアップされ感動させられるが、「出来ねえよなあ」と思わせられることも正直言って、ある。さて本作のラスト、これどう解釈するか微妙なところなんだけど、それまでのアメリカ映画だったら正義に向かうハーパーをはっきり描いたろう。しかしこれでは銃を構えた犯人が「無理だ」と銃を下ろし、ハーパーも「無理だな」と立ち止まるところでストップモーションになる。これ「正義を行なわない結末」と思ったんだけど、それでいいんでしょ。標的になりながら数歩歩いたことは「アメリカ的勇気」だけど、法律上の正義は放棄した、と解釈した。車中での会話で若いころの希望や現在の状況を改めて思い、悪い奴(不法移民斡旋宗教家その他)は司直の手にゆだねたり死亡したりしてるし…などの言い訳も浮かんだろう、それほど人間正義絶対で生きてるもんじゃないよ、と主人公が心中ぼやいて通報義務を捨てた瞬間のストップモーション。ハードボイルドの主人公像とうまく重なるものを感じた。事件をクリアに理解できてないので間違ってるかも知れないけど、そこが新鮮だった。妻のJ・リーは朝食の卵の黄身を、ハーパーが去ったため、ハードボイルドどころか、一つ一つ潰してたっけ。見てる間は分からなかったが、悪の店の歌手は『エデンの東』のアブラさんだった。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2013-07-03 09:19:14)
257.  ドアーズ
ヒッピーにサイケの60年代後半。ドアーズってよく知らなくて、“タッチ・ミー”は知ってる、あと“ジ・エンド”を『地獄の黙示録』で知ってるぐらい。あんまりピンと来ないんですが、群衆としての聴衆ってのをポイントに観てた。冒頭、映画学校でのナチの群衆が提示され、当時ベトナム戦争への興奮と、それの裏返しのようなラブ&ピース運動への興奮とがきれいに吊りあってしまっている「興奮する群衆」の気味悪さみたいのがあった。少年時代に目撃したインディアンの交通事故がトラウマになってる。土着の原住民がよそから来た文明に殺されるアメリカの原罪みたいなものが、同じ東洋人顔のベトナム人に通じていく。世界は傷ましさで満ちていて、その傷ましさを拒絶しきろうとして生きていかねばならない現代の傷ましさ、みたいなものがあった。メグ・ライアンは付属品だった。コンサートシーンに気合いがあり、それも駄目になっていくほどいい。
[映画館(字幕)] 6点(2013-07-02 09:17:53)
258.  メイン・テーマ 《ネタバレ》 
マジックが副モチーフで、いろいろ細かい仕掛けがあり、慢性的愉快感はある。全体、飛行機とか車とか乗り物にこだわっていた。本物の飛行機から紙飛行機まで。木に引っかかった紙飛行機をチョチョと突付いていると動き出し、実は荷台に積まれてた、ってのがあり、それのヴァリエーションとして、運転席がカラッポの車が動き出し、やややと思っていると、新車をまとめて運ぶ大型運搬車に乗せられている一台だった、なんてのもあった。瞬発的な愉快感は得られても、映画の魅力とは違ったなあ。映画は細部が大事、とは思うものの、その細部が連続してひとつの有機体を構成していく、という前提があって言うのであって、最初から細部だけというのは困る。薬師丸と森田という顔合わせは、期待したんだが。
[映画館(邦画)] 5点(2013-07-01 09:45:47)
259.  逆噴射家族 《ネタバレ》 
劇画的に汗がタラーッとなるアップ、お父さんが風呂の湯垢を掬っているカット、広角レンズで街を走りシロアリ駆除液買って地下鉄の中を進み、夕景の中チャリンコ飛ばす。ここらへんイッキの勢いでよかった。このままスラプスティックに徹してくれればもっと良かったんだけど、社会批評的なものが紛れ込んでしまう。妻の描き込みが足りない。あの人だけがときどき「裁く人」になってしまう。小林家崩壊のシーンは、スローモーションにしないと安っぽくなってしまうからなんだろうが、あの手のスローモーション自体がそもそもセコい感じが匂ってしまう。協力のところに「日本シロアリ協会」があったのがウケた。
[映画館(邦画)] 6点(2013-06-30 09:57:22)
260.  宮本武蔵 一乗寺の決斗
どこかに仕えている侍の物語では忠義がテーマになるが、武蔵にはそれがない。それなら爽やかさを生みそうなものなのに、彼は忠の代わりに「剣の道」という精神主義に目覚めてしまい、人間としてはさらに始末が悪い。精神主義の剣豪の反対側には、家を背負う吉岡一門があり、本作のドラマ性は、その対比から生まれている。今までは対戦相手との了解済みの果し合いだったが(たとえば宝蔵院の阿巌を倒しても寺は恨まなかった)、家を背負った者はその家の安泰を願いだす。家の存続のためなら、あらゆる手段を可能とする。そういう方向へ歪んだ剣術の名門家と、精神主義で研がれすぎた剣の道と、二つの噛み合わない思想が一乗寺下がり松で激突し、少年を含む多くの命が失われていく。ただ立ち回りとして迫力があるのではなく、狂気の氾濫が凄まじいのだ。「寄るな!寄るな!」と叫びながら泥田の中を逃げ回る武蔵は、常に自分を批判的に見ていた唯一の正気保持者河原崎長一郎の目を斬る。主人公が勝つ活劇映画の頂点で、主人公がこんなにも追い詰められて描かれた作品があっただろうか。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2013-06-29 09:28:27)
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