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花守湖さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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261.  生きるべきか死ぬべきか
戦争の真っ最中にナチスを皮肉る映画をつくった勇気ある監督に対して敬意の気持ちを込めて「腹をかかえて笑い転げました」と言ってやりたくなるけど建前は言いません。 「チャップリンの独裁者」も本作と同じで、あんなものは全然笑えないわけですが、彼らが映画を通してやっていることじたいは立派なわけですよ。クスッとしか笑えないものが、ここまで「映画史上最高の抱腹絶倒コメディ映画!」として過剰評価される理由は、映画の中身よりもむしろ監督の人格というものが高く評価されているからであり、それに気づかずに、笑いの過剰評価を真に受けた少林サッカーファンが、この映画を観ると10人に1人の割合で逆ギレすると予言しておきます。 果たして天才と呼ばれたルビッチさんがつくったこのお洒落でスタイリッシュで、上品なコメディ映画は本当に笑えるのだろうか? 皮肉な言い方になるけど「おほほ」と手を口にあてて優雅に笑えば良いのか? 私はシェークスピアの台詞を用いた知的なジョークよりも、シュワちゃんのアホなジョークのほうがよっぽど笑える、「がはは」と笑えるのがいい、アホこそコメディの基本だ。笑いに知性やお洒落などクソ食らえである。 ルビッチさんは偉いですよ、だけど笑えません。 笑いたくありません。 笑いものにする相手が悪事の限りを尽くして戦争に負けたドイツだから私たちは優雅に笑えるのだろうというレビューワーの言葉が心に残ります。てゆーか、ヒットラーをネタにした皮肉な映画よりも、いまだにヒットラーで儲け続けているハリウッドを皮肉った映画のほうがずっと面白そうです。 とりあえず、ヒットラー誕生によるアメリカの経済効果を教えてくださいな。
[ビデオ(字幕)] 4点(2006-05-10 21:10:39)(良:3票)
262.  ロゼッタ 《ネタバレ》 
少し前にフランスで若者が怒ってデモを起しましたが、その理由はフランス政府の若者に対する雇用政策が原因のようです。もしロゼッタがこの時代に生きていたならば、間違いなくこのデモに参加して暴れまわったことでしょう。日本の若者はフランスほど「仕事」に対する執着はないと思うから多分無関心でしょうね。 この映画は今こそ観るべきです。「仕事」というのは単に賃金を稼ぐための手段ではなくて、社会とつながりを持つための手段だと思う。 ロゼッタの場合は母親の存在が強烈な反面教師となっており、そのために「まともに生きたい」と願う気持ちが「仕事」に対する執着につながっているようで、母親との人間関係しか持たない彼女にとって「仕事」とは人とつながり、社会参加するための唯一の手段だったと考えます。彼女にとって「仕事」をクビになるということは、社会参加を拒否されることと同じ意味を持ち、自ら「仕事」を辞めなくてはいけなくなることは絶望を意味したのだと思う。絶望の中、ロゼッタが最後にとった行動は分かりにくかったけど、母親と一緒にガス自殺することだったのでしょう。しかしそれも失敗に終わり、ついにロゼッタは泣き崩れてしまうシーンが切ない。それでも絶望の中からひとすじの希望が生まれてきそうなラストがある。その結末の行く末は観客の想像力に委ねられていました。こういう映画はハローワークに毎日通っている飽き性で無気力な若者に見せるべし。働くことは素晴らしい。映画は人を救う。
[DVD(字幕)] 9点(2006-04-29 11:59:32)(良:1票)
263.  ノー・マンズ・ランド(2001) 《ネタバレ》 
国連が悪者あつかいされて皮肉られていたがそれはちがうと思う。「殺し合いが行われているのに、なにもしないことは戦争に加担しているのと同じことだ」と自分の組織を痛烈に批判した軍曹だけが善人のようにみえるが、よく考えてみるとアメリカの今やっていることと軍曹の行動は似ている。本人は良かれと思って積極的に行動しているが混乱は増すばかり。最後はごらんとおりの結末で3人を助けようとした軍曹の理想はあっけなく崩壊することになる。それではどうすれば良いのか?と言われそうなものだけど解決策があったら戦争などとっくの昔になくなっていたでしょう。戦争は理不尽だ。戦争を目の前にして行動しなければ批判され、行動を起せば軍事介入と色眼鏡で見られることになる。 ひじょうに印象にのこったのはラストシーン。2人が一瞬のうちに殺されたとき、それを目の前にした報道陣が「今の瞬間をカメラに撮ったか?」と嬉しそうに話していたこと。 それをみると「戦争映画」すらも反戦のメッセージを伝える意義と同時に、金儲けや出世のための手段であるという事実を思い知らされる。さいごは音楽を流さず無音のままエンドロールを迎えたらもっと良かった。
[DVD(字幕)] 6点(2006-04-29 11:33:32)
264.  ある子供 《ネタバレ》 
台詞以外に聞こえてくる音といえば車の生々しい排気音のみであり、余計な音楽がまるでなく研ぎ澄まされている。あの突然の幕引き、そして無音のエンドロールをむかえて軽い衝撃を受けたり戸惑いを覚えた人も多いだろうが、あの終わり方だからこそ想像力が刺激されることもある。泣きながら抱き合った夫婦はその後、妻が夫に離婚届の用紙をそっと突き出したのかもしれないし、再びやり直そうと言われたのかもしれない、それは分からないが想像力だけは膨らんでいく。1つの見方としては、男のほうは散々な目にはあっているが、罪の意識や再生の決意は見られないということ。しかし少なくとも監督はこの男の生き方を全面的に否定していないのではないだろうか?やはり最後は男に希望を持たせ再生を促しているように思えてならない。「ある子供」とはブリュノのことだと思うが、子供(ブリュノ)は成長が遅くともいつかは大人になれると信じたい。このブリュノの行動をみて「親失格の駄目人間」というレッテルを貼って、理解できないよと肩をすくめてしまえば、それだけで思考はストップしてしまい、それだったらテレビのワイドショーを眺めるのとなんら変わらない。単純にいい人間と悪い人間に区別できない人間の複雑さがこの映画にはたくさん詰まっている。「子供を売る」というセンセーショナルな話題で観客をひきつけ、「親になりきれない幼い大人」という地味な現実を描く。それが監督の狙いだろう。幼い親の姿を、台詞や音楽や効果音を多用せずに、映像のみで観客に伝えようとしている。まさにそれは映画的手法であり、観る者はそのメッセージをしっかり受けとめ、自分なりの答えを見つけ出そうと必死で想像力を働かせる。「ある子供」は間違いなくダルデンヌ監督の到達点のひとつだと思う。
[映画館(字幕)] 10点(2006-04-22 21:35:28)(良:2票)
265.  リンダ リンダ リンダ
リンダ×3は「青春」にお決まりの感情むき出しの過剰演技はなく、抑制のきいた感情表現は非常にリアルで見ごたえがある。こういう演技指導1つとってみても監督の力量が伺えます。青春=馬鹿をやる事という方程式が成り立っている多くの邦画は、奇抜で風変わりな登場人物たちが馬鹿騒ぎをして感情表現が時代劇のように大げさすぎるから歌舞伎役者のように見えて仕方ない。しかしこの映画は本物。 歌のほうは「ボクの右手を知りませんか?」がすごくいい。やんちゃな反面、このように温かさが感じられる歌があるのも魅力的だ。ラストはすごくよかった。「終わらない歌」を女の子が歌った直後にブルーハーツの声でもう一度「終わらない歌」を挿入してある。それを聞かされるとやはり本家本元は素晴らしいと感動させられた人は多いのではないでしょうか。 青春で一番記憶に残る大切な思い出とは「結果」ではなく、そこにたどり着くまでの記憶だと思います。目的が達成されようが失敗に終わろうが、自分たちがそこに至るまでにどれだけ頑張ることができたのかが一番大切なことであり、その努力から生まれた充実感こそが青春の記憶として生涯忘れない貴重な財産になるのだと思います。 スウイングガールのくだらなさにトラウマを抱えてしまった私を癒してくれたリアル青春ムービーとして評価いたします。
[DVD(吹替)] 8点(2006-04-15 15:01:24)
266.  ぼくの神さま
正直に言うと共感できなかった。男の私は「男の子」というものを見るといつもただのクソガキにしか見えないのです。女の子は可愛いと思うことはよくあるのですが・・。女性だってそうじゃないでしょうか?やはり異性の子供のほうが可愛いと思うはずです。あくまでも一般論ですけどね。 「ぼくの神さま」なんて可愛らしく言われてもどうしても生理的に受け付けません。そもそも「ボク」なんていうのが気持ち悪い。「俺の神様」っていうやんちゃな感じの男の子のほうがまだ好きになれそうです。つまり子犬よりも柴犬のほうが好きだということです。
[DVD(字幕)] 2点(2006-04-03 22:37:10)
267.  ションヤンの酒家(みせ) 《ネタバレ》 
魑魅魍魎が跋扈しているような中国。この国の女性でよく見かけるのは幸薄だけど悲劇のヒロインに浸っていないということでしょうか。ションヤンは父が浮気していなくなり母が若くして死んでしまい弟は薬物中毒というありさまですがその不幸を淡々と受け入れているところがオールアバウトマイマザー的な女の強さを感じさせる。ションヤンの再婚願望は切実な生きるための手段、彼女は運命の漣に身を任せて生きることを受け入れているがその流れを変えようとする力も併せ持つ。運命とはそれが不幸であっても否定してはいけない。受け入れなくてはいけない。ただし降りかかる火の粉は自分で振り払うことができることを彼女は知っている。これは中国のリアルワールド。すべての女性は必見です。
[DVD(字幕)] 7点(2006-04-01 21:02:16)
268.  コーカサスの虜
今まで数々の反戦のメッセージを織り込んできた映画が作られてきましたが、そのほとんどは激しい銃撃戦や暴力的な映像が中心のもので、それをみて私たちは「戦争は恐いね」と言い合うわけですが、実際には無意識のうちに派手なCGを駆使した戦闘シーンをうきうきしながら楽しんでいる時がある。特にハリウッドは「反戦」というメッセージを建前として「戦争」を娯楽にダシに使って金儲けしようと目論む事が多い。この映画はそういう下心もなく誠実に戦争や人間の生活に取り組んでいるように感じました。原作者はあのトルストイ。登場人物が500人も登場する彼の小説「戦争と平和」を昔読んだことがあります。彼の戦争観は、戦争を肯定も否定もしないのだと私は思っています。この映画においても反戦のメッセージはなく、運命のように訪れる戦争に身を委ねる人間の行動をあるがままの姿で映し出していた。その行為が間違いなく愚かであれ、人間は哀しくて美しい。私はこれは人間賛歌だと思う。素晴らしい映画です。
[DVD(字幕)] 9点(2006-04-01 20:51:03)(良:3票)
269.  未来世紀ブラジル
「分かりにくい映画」がしばしば名作だと言われる理由は想像力を養うことが映画の本来の目的だからです。しかしこの映画は「未来世紀」という邦題1つとってみても舞台を未来だと断言してしまっている点が観客から自由な想像力を奪っている。「奇抜」であるということも直接観客の想像力の刺激につながっているとは言えない。しかも奇抜で独創的な映像だと偉い評論家たちからいくら言われようが本当の映画ファンならばこの映像が学芸会レベルであることは一目で分かるし、あの翼の生えた主人公が夢のなかを飛び回る様子も、欽ちゃんの仮装大賞を観たものならば似たようなものを何度も見かけているはずです。つまりその程度の映像なのです。もっともらしくこれを評すれば「実存主義的な映画である」と言う事もできるし、裸の王様のような映画だと言う事もできる。 圧倒的なイマジネーションと褒められた作品ですが「ガダカ」の未来に対するイマジネーションと比較すると明らかに希薄だ。 未来を予言しているなんていう評価に至ってはそんな予想はその当時の近所の中学生やおばちゃんにでもできると言いたい。原題は「ブラジル」。 余計な言葉をいれず、こちらのほうがよっぽど観客の想像力を刺激できたはず。これを名作と銘打った映画界の意向のほうが興味深い。
[DVD(字幕)] 1点(2006-03-29 20:30:09)(良:1票)
270.  アモーレス・ペロス 《ネタバレ》 
これを観てどうしても1つだけ気になることがある。それは犬を虐待していたのではないだろうか?という疑問である。 いい映画だけど、それが犬の犠牲によって成り立っているならばこの映画は最低だ。そこで犬の虐待の真相を確かめるべくDVDのメイキングをみる。すると「残酷な映像がありますが、あれは全て特殊撮影なので私たちはワンちゃんたちにまったく危害を加えていませんよ(笑)」と満面の笑みを浮かべて製作者や俳優たちが説明していたがそれを見て私の疑惑はますます深まるばかり。さらにこんなことを言っている。「犬たちは訓練されていてとても優秀なんです、撮影中はクーラーつきの部屋で快適に過ごしていましたよ(笑)」とまた笑う。どうもあやしい。イヌが血みどろの殺し合いをするシーンは特殊撮影だとしても、イヌに死体の真似やいかにも息も絶え絶えという演技ができるとは到底思えない。一番強烈なシーンはイヌを銃で撃ちぬくところだ。あれは明らかにイヌは痛がっていたぞ!監督よ、何をした?すると彼らはこのように言い放つ。「この撮影のあいだにワンちゃんと私たちは信頼関係を築きあげました(笑)」なぜか笑顔だ。ますますあやしい。疑惑の炎が燃え上がる。犬の安否が気になって映画に集中できないんだっつーの!!  
[DVD(字幕)] 6点(2006-03-28 18:42:42)
271.  ヒトラー 最期の12日間 《ネタバレ》 
「怒る技術」という本を昔読んだことがあるのですが本当に腹がたつから怒っている人と、人身掌握のために巧妙に他人に対して怒りを表現している人がいるようです。ヒトラーは後者であり、その怒りはポーズだったと思う。ヒトラーは最後まで狂ってはいないしヒステリックだったわけでもない、最後の12日間における怒りは自分の身を守るための人為的な演技であり、彼はとうとう最後まで「怒る」という演技を貫き通したのだと私は思えてなりません。 ヒトラーとは何者なのか?我々は普段の生活でも「あいつはヒトラーのようなやつだ」ということを日常会話で使うことがありますが、ヒトラーは「独裁者」「悪魔」の代名詞に使われることが多い。しかしこの映画を観て、彼が「ふつうの人間」であったという事実に第3者の日本人は驚き、被害者のユダヤ人は「嘘だ!」と大声で叫び、当事者のドイツ人は「まずいことを言ってくれたな」と苦い顔をしたはずです。彼が悪魔ではなく人間であったという事実を提示しただけでこれだけ多くの人が心をかき乱す。ちなみに日本では東条英機を題材にした「プライド・運命の瞬間」という映画がありますが、これはA級戦犯を美化していると問題になった作品で日本人からさえも非難の嵐でもちろん中国からクレームがつきました。しかしあえて言わせていただきたいのは、加害者であるという立場を恐れず、また他国の誤解を恐れずに日本とドイツはこのような映画を作り続けて欲しい。 久しぶりに映画の「役割」について深く考えさせられました。 
[DVD(字幕)] 7点(2006-03-26 17:17:04)(良:2票)
272.  ティム・バートンのコープスブライド 《ネタバレ》 
たかがアニメ、されどアニメ。この映画はエミリーにハマルかどうかで評価が違ってくると思います。その主役のエミリーは眼球が飛び出るし体の中にへんなムシはいるし、とんでもない女性(死体)なのですが、どこか間の抜けたところがあって愛らしかった。無垢な女性の美しさを実感できました。死者のエミリーと生きている男は夫婦になれるのか?その答えは誰もが最初から想像がついていたはずです。それなのに報われない恋愛と分かっていながら必死に頑張っているエミリーがとても切なくてもうこの時点で私は彼女の応援団の1人になっていました。 生きている世界は覇気がなく、死者の世界はジャズ音楽で溢れかえっているのですが、あれをみると1回ぐらい死んでみようかなと考えてたくなるほど死の世界は楽しそうですね。 私が一番エミリーが美しいと感じたシーンは、彼女が地上で月を見て踊りだしたときです。あのシーンの音楽も非常に切なくて秀逸だと思います。まるでエミリーのあたたかな体温が伝わってくるような踊りでした(でも死体だから実際は冷たいでしょうが・・)このあたたかさの感覚は最近の機械的なCG映像じゃ作り出せないと思います。想像力を無限に刺激させてくれた愛すべき死体、それがエミリー、大好きです!
[DVD(字幕)] 9点(2006-03-25 18:22:42)(良:1票)
273.  舞台よりすてきな生活
子供嫌いの主人公がだんだん子供と接していくうちに心を開いていくというありきたりな物語ですが、主人公の俳優さんの人相があまりにも悪すぎて、こんな人が子供好きになるなんてありえないと感じてしまったので最後までのめりこめませんでした。ケネスプラナーという俳優はよく知りませんでしたが典型的な悪役の顔じゃないですか。彼が主演している映画をみんなのシネマレビューの右上にある名前をクリックして調べてみたら「ハリーポッター」でロックハート先生を演じている。むしろこちらのほうが興味深い。
[DVD(字幕)] 5点(2006-03-25 18:07:53)
274.  コラテラル 《ネタバレ》 
孤高とは孤独である自分を受け入れることができる人だと思う、しかし孤高とは孤独であるという事が前提であり、ただの人間嫌いはけっして孤高とは言わない。タクシーの運転手は「孤独」であり殺し屋は「孤高」だと私は見ていた。2人の人物造形は見事としか言いようが無い。トムクルーズは私はやはりさすがだと思う。最近はゴシップネタに晒されることが多いが、彼が一流の俳優であることをこの映画は証明している。トムの作り出した殺し屋はありふれた冷静で天才的な殺し屋ではなくて、かなり人間臭い。むしろドジだと言えるくらいだ。饒舌でありながら人格も破綻していた。しかしだからこそ、この男の心の闇が夜の街を通して明確に表現されていたのではないだろうか。タクシーの運転手と殺し屋という組み合わせは異質だが2人の共通点は社会の底辺で這い蹲って生きているということだと思う。 「この街のどこかで野たれ死んでも誰も気がつかないよ」と言った殺し屋はすでに自分の死を暗示していたようだ。 ラストの電車内の撃ち合いはすべてを終わりにしようと考えた殺し屋の自殺だったのだと今になって思う。殺し屋は「孤高」を貫く自分に疲れ果てたのではないだろうか。 そしてこの映画の最大の見せ場はコヨーテの登場シーンだと私は考える。殺し屋と運転手はコヨーテが横切る姿を言葉を失くしたように唖然と見入っていた、私もそれを呆然と凝視してしまった。なぜか?それは共感したからだ。 コヨーテは「孤高」の隠喩として用いられていたのだった。孤高という言葉を使わずともこの映画には至るところにそれを象徴させるメタファーが散りばめられていた。 似たもの同士の2人。殺しあった運転手と殺し屋だったが、もし出会いが違えば無二の親友にもなれたかもしれない。
[DVD(字幕)] 10点(2006-03-18 12:16:09)(良:2票)
275.  箪笥 《ネタバレ》 
「おまえはこの瞬間のことを一生後悔するわよ」と義母のウンジュが言い放った言葉の意味は、箪笥の下で圧死した妹を救える可能性があったことを言っているのだと思う。姉のスミに冷たくされたウンジュはそのことを恨みに思って箪笥の下で起こっている出来事をスミに教えなかった。姉のスミは激しく後悔したでしょう。 悪いのはもちろん教えなかったウンジュですがスミは自分を責めたはずです。スミの強い自責の念が妄想となって母親の亡霊から襲われるというシュチエーションに結びついたのかもしれません。後ろめたい自分を罰したいという感情です。スミは義母を激しく憎みつつも自分の罪にも苦しんでいた。元々はスミの母親から夫を奪ったウンジュが遠因で、母親の自殺と妹の事故が生まれたわけですがそれを救えなかった自分を責めてしまう姉の心理も不自然ではないと思います。義母に対する強烈な憎しみと自分に対する暗い自責の念が絡み合い「母親と妹を殺したのは義母と自分の2人なのかもしれない」という無意識の思い込み─。それがスミの妄想となり自分自身を義母と同一化させる要因になったのではないでしょうか? 愛する家族の死を受け入れることは容易ではありません。スミの父親がショック療法的に事故が起こったあの家にスミを連れて行った結果、彼女は妄想の中で妹を消滅させ、妄想の中で義母と対決し、そして妄想の中で殺されてしまいます。 それが解放を意味するのか絶望を意味するのか答えは観客に委ねられています。 ホラー嫌いの私が時には音を小さくしたり、時には薄目をして画面を見たりと涙ぐましい努力でこの映画を観た理由はこれが良質なヒューマンドラマだと確信していたからでした。  
[DVD(字幕)] 7点(2006-03-16 21:06:36)(良:1票)
276.  トレマーズ 《ネタバレ》 
地面に足がつくと人食いモンスターに襲われてしまうので棒高跳びの選手のように棒を使って岩から岩へジャンプする主人公たちがなぜかすごく楽しそうに見えました。実際に楽しんでいるのでしょう。さらにモンスターに追い込まれて家の屋根に逃げた時の住民たちも嬉しいそうな顔をしていました。「おーーい、お前のところは大丈夫かーー?」「大丈夫だ、そっちは平気かーー?」と屋根の上から声をかけあう住民たちは、まるで冒険ごっこを楽しんでいるクソガキのようにワクワクした表情をしていました。ひょっとしたら1回死んでも3回までは甦ることができるのじゃないか?と疑うほど悲壮感が無くて明るくてバカでした。まさにB級です。こんな映画をあえてレンタルして借りるマニアは、みんなのシネマレビューの高評価を確認した人だけでしょう。掘り出し物の映画の典型だと思います。
[DVD(字幕)] 6点(2006-03-16 20:48:39)
277.  ロスト・チルドレン
ジェネは芸術と称してまた光の通らない世界観を作り上げていますが今回は大目にみましょう。登場人物たちもいつものように暗喩法に満ちた作り方になっていましたね。ていうかジェネ論なんてどうでも良い、私が言いたいことは1つしかありません。子役のミエットが恐ろしいほどかわいい!いやかわいいというよりも美しいのです。まさにクールビューティーですよ。天才子役のダコタ・ファニングも裸足で逃げ出すほどのプリティさに驚愕した人も多いと確信しております。ミエットの鼻っ柱の強さや、笑ったときの影のある横顔も含めてすべて好きになれます。この映画はこの少女を鑑賞するための映画だと断言しましょう。素晴らしかったです。ちなみに私はロリコンじゃありません。  
[DVD(字幕)] 6点(2006-03-16 20:39:46)
278.  裏窓(1954) 《ネタバレ》 
これは恐くない映画。ヒッチコックにとってこの映画を恐いと言われるのは美辞麗句に聞こえるはずです。 人様の家を覗いてあれこれ詮索する噂好きの主婦のような主人公はまるで火曜サスペンス劇場に出てきて事件を解決するおばさんのようですが、そんな彼があんな状況証拠のみで犯人を断定してしまうところに違和感を覚えましたね。だってそうじゃありませんか。カミさんがちょっといなくなっただけで怪しいと思われて、同じ服を二度も着ないという女に自宅を不法侵入されたら、たまったものじゃありませんよ!突然のこぎりを持ちたくなる人だっているでしょうにそんなのは証拠になりません。結果は主人公の推測通りでしたがそれはあくまでも推測なのです。だけどアパートの映像は面白かった。まるでアリの巣の中を見せる手法とそっくりではありませんか?最後に一言。 人は他人の見ていないところではどこか変なことをしているものです。独り言を言ったり思い出し笑いしたりエッチなことをしたり、もっともっと怪しいことをいっぱいしているものだと思います。犯人は怪しい行動をしていたように見えますがそれは誰だって同じなんです。誰も見ていないならばみんなそうなります。私もかなり怪しいです、見られたら逮捕されるかもしれません。
[ビデオ(字幕)] 5点(2006-03-03 21:27:59)(笑:4票)
279.  チャーリーとチョコレート工場 《ネタバレ》 
子供が観ても幼稚だと思わせるようなお馬鹿映画になっているのはわざとなのでしょうか? ティムバートンは奇譚であることを金科玉条にしてきたような監督ですが、ここまで行き過ぎると狂気の沙汰としか思えない。 それから子供が悲惨な目にあったときに始まる嬉しそうな小人の踊りには嫌悪感すら覚えます。 愉快というよりも不快。 あの小人も人間嫌いのウォンカが作り出したアンドロイドに見えてきたし、別な意味で色々想像してひたすら恐かったのです。 つーか、ウォンカが透明の壁に何度か激突するシーンはあれで良いの?? 演技派のジョニーデップともあろうお方が「ドジな私」を表現するためにドリフスターズ並み演技を行う様子に心が痛くなりました。それにウォンカがトラウマを持っていることを表現する方法も「両親」と言葉に出して言えないだけじゃないですか!これじゃジョニーデップを使う意味がなく、これだったら深田恭子にウォンカをやらせたほうがまだ予算を節約できましたよ、まったく。 従って期待されたバートン・ジョニーの黄金コンビはまるで投打のかみ合わないジャイアンツのように破綻していたし! 挙句の果てには、とってつけたような父子の和解、でもって、道に落ちているお金をネコババしたチャーリーの家族にチョコレート工場を譲り渡してめでたし、めでたし・・と思いたいけどあの家族が工場なんて管理できるわけがないんだつーの!もういい加減にしてください、チョコレートなんて大嫌いです。この映画は偽物。
[DVD(字幕)] 1点(2006-02-27 23:52:28)(良:1票)
280.  フリーダ 《ネタバレ》 
偉大な文学は不幸から生まれると言ったのはヘミングウェイ。(たぶん) 芸術もしかり。彼女を知らずして彼女の作品を見ることにあまり意味はないと思う、だからこそこの映画は貴重です。私はフリーダのことをたくさん知ってはじめて彼女の絵を見る資格を得た気がします。彼女の背負ったものは不幸であると同時に一種の情熱だったのかもしれません。少なくとも私がこの映画で知ったフリーダ・カーロは、ろうそくの火が消える瞬間のあの激しい炎の揺らめきのように美しい女性でした。彼女はまさに命尽きる寸前に激しい炎を発生させる燃える女でした(萌える女じゃありませんよ!)いっぱい詰め込みすぎた映画であることは否定しませんが、私は逆にもっと詰め込んで欲しかった。フリーダ・カーロを1つの枠に当てはめることなど到底不可能だと言わんばかりに混乱させてくれたほうが、いかにもフリーダらしいじゃありませんか。彼女は混沌の象徴。シュレアリスムという枠に当てはめること自体ナンセンス。彼女の魅力はアンバランス。知的でありながら世俗的で淫らであるということ─、逞しく強そうに見えながら体が小柄であること─、その美しい容貌とは対照的に体は傷だらけであること─、どれもが相反するアンバランスさを抱えながらそれがフリーダ・カーロという人間を形成している─、彼女の自画像はこのアンバランスの魅力だと思えてなりません。素晴らしい映画です。
[DVD(字幕)] 10点(2006-02-26 12:01:59)
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