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かたゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1872
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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261.  ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ 《ネタバレ》 
サンフランシスコの一等地に建つ、とある豪華な一軒家。そこには現在、仲の良い老夫婦が穏やかな余生を過ごしている。だが、そんな瀟洒な家を路上から見上げる、ある一人の貧しい黒人青年がいた。彼の名は、ジミー。なんとその家は、彼の祖父が戦後すぐに手持ちの材料のみを使い自らの力だけで建てたというのだ。父から教えられたそんな話を素直に信じ、次第にその家へと執着を強めてゆくジミー。友人の力を借り、彼は老夫婦が留守の間に勝手に外観をリフォームするなどどんどんと常軌を逸した行動を取り始める。そんなある日、金銭トラブルから老夫婦が家を手放さざるを得なくなるのだった。それを知ったジミーは、ここぞとばかりに家へと忍び込む。祖父が遺した荷物を勝手に運び込んだり、自宅と称して友人たちを招き入れたりと、まるで自分の家であるかのように振舞うジミー。だが、そんな彼の傍若無人な行動は当然のように不動産会社に見つかってしまい……。サンフランシスコに建つ豪華な一軒家を自分のルーツだと偏執的なまでに信じ込んだ、ある黒人青年の異常な行動を終始淡々と見つめたヒューマン・ドラマ。恐らくこの作品を撮った人って恐ろしく頭の良い人だとは思うんですよ。奴隷として長年虐げられてきた黒人としてのアイデンティティをマジック・リアリズム的に描こうという試みは、なんとも知的好奇心を刺激するもの。静かに淡々と進めつつもときおり印象に残るシーンを挿入してくるところなど、この監督のセンスの良さを感じさせます。でも、それが面白さに繋がっているかというと、僕は「否」と言わざるを得ませんでした。あまりに淡々と進むうえにときおり意味不明とも捉えかねないエピソードをぶっこんでくるものだから、最後まで観るのが少し苦痛に感じてしまいました。恐らく何らかの精神疾患を抱えているであろう主人公にも別段同情を感じるわけでもなく、彼の友人との関係性もいまいちよく分かりません。極めつけは、二人がこの家でチープな芝居を演じるのですが、そこに何故こんなにもたくさんの観客が集まるのか意味不明過ぎる。まぁ作品として二重の意味で観客を煙に巻こうというのがこの監督の意図だとは思うんですけどね。要は、このシュールな世界観に僕の感性が合わなかったということ。なかなか人を選ぶ作風なので、好きな人には嵌まるのかも知れません。
[DVD(字幕)] 5点(2021-05-17 03:01:54)
262.  魔女がいっぱい 《ネタバレ》 
魔女は本当に存在する!そう、いたるところに――。両親を事故で亡くし、以来お婆ちゃんの元へと引き取られた8歳の少年である〝僕〟。心に深い傷を負った僕は、ずっと心を閉ざし独りぼっちで生きていた。優しいお婆ちゃんのことは大好きだけど、でもやっぱり僕はお母さんが恋しい。そんなある日、僕は町で不思議な女の人を目撃する。そう、その人はなんと身体に蛇を纏わりつかせ、邪悪な目をしながら僕にお菓子をあげるって言ったんだ。怖くなった僕は、すぐさまお婆ちゃんにそのことを話した。するとお婆ちゃんは驚きの真実を教えてくれた。「そいつはきっと魔女だよ!魔女はね、子供が大嫌いでいつだって子供を醜い動物に変えてしまおうって考えてるんだよ」――。身の危険を感じた僕は、お婆ちゃんに言われるまま、アラバマの高級ホテルへとやってきたんだ。だけど、そこには恐ろしいことに魔女たちのボス、大魔女とその大勢の仲間たちが会議を開くためにやって来ていたんだ。魔女たちは世界中の子供をネズミに変えようとしている!そのことを知った僕はもちろんすぐさま魔女たちの計画を阻止するために動き出した。でも、瞬く間に返り討ちに遭った僕は、とある無力な動物へと変えられてしまう……。『チャーリーとチョコレート工場』で有名な児童文学作家ロアルド・ダールの原作を、最新のCG技術で映像化したエンタメ・ファンタジー。監督は、エンタメ映画界の巨匠、ロバート・ゼメキス。率直な感想を述べさせてもらうと、いやー、面白かったですね~、これ。チョコレート工場同様、ちょっぴり毒を含んだこの世界観は自分には完全にツボでした。純粋無垢な子供が見たらトラウマになるんじゃないかってくらい、魔女たちの造形がかなりグロテスクで気持ち悪いのが大変グッド。大魔女を演じたアン・ハサウェイなんて、その性格の悪さが滲み出ていて?なかなかの嵌まり役でした。ロアルド・ダール常連と言ってもいい食べるの大好きおデブボーイもナイスな仕事ぶり。ネズミに変えられた主人公たちも可愛かったですし、彼らと魔女たちの戦いはどれも撮り方が凝っていて胸がワクワクしちゃいましたわ。クライマックスの魔女たちがぽんぽんネズミに変わるシーンなんて最高でしたし。そして最後の意表を突く終わり方!まさかのそのままかーい(笑)。しかも余命3年って…。いかにもロアルド・ダールらしいその毒気のあるオチに僕のテンションは爆上がりでした。うん、なかなか面白かった!8点!
[DVD(字幕)] 8点(2021-05-14 04:01:02)(良:1票)
263.  ペイン・アンド・グローリー 《ネタバレ》 
かつて天才の名を欲しいままにしたものの、今や初老を迎え、様々な持病や抑鬱により長いスランプへと陥ったとある映画監督。痛みを抑えるためにヘロインへと溺れる彼は、幼いころ母と過ごした貧しき日々へと思いを馳せる。苦しい生活を余儀なくされながらも母はいつも自分へと惜しみない愛情を注いでくれた。そんな過去の思い出だけが生きる慰めだった彼にある日、過去の自分の代表作を再上映したいという話が舞い込むのだった。主演を務めた俳優と一緒に舞台挨拶もしてほしいと頼まれた彼は、久しぶりにその主演俳優の元へと訪れる。だが、その俳優とは作品での演技プランを巡り大喧嘩をした挙句、以来決別したままだった。ともにわだかまりを抱えたまま再会を果たした二人。映画へと惜しみない情熱を注いだころの話を交わすうちに、彼は再び作品を撮ってみたいという思いに駆られてゆく――。唯一無二の作風で今やスペインの巨匠となったペドロ・アルモドバルが自らの半生を基に描いた自伝的作品。冒頭から展開される、赤を基調とした情熱的で美しい画の力はもはやアルモドバル・ブランドとも呼ぶべき唯一無二のもの。そこへ彼の作品の常連でもあるペネロペ・クルスが美しい母親役で登場するものだから、もうそれだけで抜群の安定感で瞬く間に作品世界へとどっぷり浸かっている自分がいました。不穏な旋律を奏でる音楽もただただ素晴らしいとしか言いようがありません。ただ、肝心のお話の方は、さすがにマンネリ感が否めないかな。優しい母への思慕、何人もの美しい女たち、そして同性愛への目覚め……、彼の過去の名作で何度も繰り返されたエピソードはどれも既視感満載で、自分的にはもう少し新しい要素が欲しかった。その一つとなりそうだったのが、最後に明かされる回想シーンの真実。実はメタ・フィクションだったというのは意表を突くものでしたが、それが作品として充分活かされていたかというと正直微妙。アルモドバルもさすがに老いには勝てなかったということですかね。『トーク・トゥ・ハー』や『私が生きる肌』のような変態映画監督の面目躍如といった作品を次作には望みたいものです。日本の変態大作家・谷崎潤一郎が老年になっても『鍵』や『瘋癲老人日記』といった変態老人文学の名作をものしたことを思うとまだまだ十分やれるはず。アルモドバル、期待して待っております。
[DVD(字幕)] 6点(2021-05-14 02:35:48)
264.  レディ・マクベス 《ネタバレ》 
19世紀、イギリス。海沿いのとある地方都市に住む大富豪マクベス家へと嫁いできた、まだうら若き17歳の少女キャサリン。それまでの貧しい生活から一転、彼女は何人もの使用人を抱えた何不自由ない生活を手に入れたのだった。だが、当主である年の離れた夫は横柄な性格で、妻であるキャサリンをまるで使用人の一人としか見てくれない。しかも潔癖症なのか特殊な性癖の持ち主なのか、キャサリンに指一本触れてこないばかりか、夜な夜な彼女を裸にしてそれを眺めながら自分で処理するという毎日。次第に欲求を抑えられなくなったキャサリンは、ある日、野性味あふれる馬の世話係の男と一線を越えてしまうのだった。夫は数日前から所有する炭鉱のトラブル処理のために旅立ったきり、帰ってくるめども立っていない。若い欲望を持て余したキャサリンは、どんどんとその男と愛欲の海へと溺れてゆくのだった。当然、閉塞的な田舎町で彼女の不倫は瞬く間に人々の噂の的となり、それは遠く離れた地に居る夫の耳にも届いてしまう……。イギリスの寂れた田舎町を舞台に、若くして地主の妻となったそんな〝マクベス夫人〟の禁断の愛を濃厚に描いた愛憎劇。『ミッドサマー』で強烈なインパクトを残してくれた若手女優フローレンス・ピューの長編デビュー作となった本作を今回鑑賞してみました。全編まったくBGMもなく、ただひたすら淡々と起こった出来事を綴ってゆくという本作のスタイルに最初こそ眠気を誘われたものの、この主人公が人目も厭わずに若い男と情欲の海に溺れ始める辺りから次第に惹き込まれて観ている自分がいました。とにかく画が非常に美しいんです。シンメトリーを意識したであろうカットはどこを切り取っても、まるで中世の絵画のような気品ある美しさに満ちています。特に真っ青なドレスを身に纏った主人公が大きなソファに座ってこちらを見つめるシーンは、そのまま切り取って部屋に飾っておきたくなるほど。そんな美しい〝画〟の力が、正直このありきたりな不倫話を濃厚な愛憎劇へと昇華させることに成功しています。そして何より、大胆なラブシーンにも挑戦したフローレンス・ピューの存在感よ!勝ち気でツンとすました彼女のその凛とした表情には、何か吸い込まれそうな魅力がありますね。稀代の悪女誕生という最後のオチも説得力抜群で、素晴らしいとしか言いようがない。いやー、やはり成功する人ってデビュー作から放っているオーラ違うんですね。なかなか見応えのある愛憎劇の秀作でありました。
[DVD(字幕)] 7点(2021-05-12 03:01:11)
265.  ルース・エドガー 《ネタバレ》 
彼の名は、ルース・エドガー。アメリカの進学校に通う、クラスや先生たちからも一目置かれるような17歳のティーンエイジャーだ。成績もトップクラスでスポーツも万能、その物怖じしない性格からクラスの誰からも好かれる、まさに絵に描いたような優等生。それだけではなく、彼はアフリカの最貧国に生まれたものの幼くして今の白人夫婦に養子として引き取られ、暴力のトラウマに苦しみながらなんとか立ち直ったという誰もが称賛する美談まであった。まさに非の打ち所のない好青年のルースだったが、ある日、そんな彼の人間性に密かな疑問を抱いた人物がいた。それは歴史教師のウィルソン女史。課題として出したレポートでルースは、急進的なアフリカの革命家をテーマに取り上げ、暴力肯定ともとれるような論を展開したのだ。さらに彼のロッカーを密かに探ってみたところ死人が出てもおかしくないような違法な花火が発見される。明らかに危険な兆候を感じ取ったウィルソン。相談を受けたルースの両親は、半信半疑ながらも彼に問いただしてみるのだった。そしてそれは彼の誰もが認めるような優等生としての一面を揺らがせてゆく――。文武両道の優等生である青年ルース・エドガー、彼に隠された真実を彼の両親やクラスメートたち、そして微かな疑問を抱いた教師の目線から描いたサスペンス・スリラー。冒頭から不穏な空気を濃厚に漂わせるそんな本作、ナオミ・ワッツやティム・ロスといった実力派の役者陣共演に惹かれ今回鑑賞してみました。もうとにかく、非常に真面目な優等生であるこのルース・エドガーという青年の何処か不気味で何考えてるか分からないところに物凄く引き込まれました。本当に単なる友達想いの好青年なのか、それとも内に暗い情念を隠し持ったサイコパスにしてテロリスト予備軍なのか、最後までどちらか明示せずに進めてゆくところが非常に巧みで素晴らしい。彼に疑念を抱く、生徒を自分の枠に嵌まった固定観念でしか捉えようとしない女性教師の人物造形もリアルで大変グッド。最初は彼女に嫌悪感を抱かせといて、後半、それを見事にひっくり返す脚本も完成度は高い。特に、精神疾患を抱えた彼女の妹が学校の生徒の前で全裸になって大暴れするシーンは、生々しい緊張感が漲っていてなんとも言えない後味の悪さを残してくれます。そして、このルース・エドガーという青年の考えが明らかになるクライマックス。もしかしたらこれは『隣人は静かに笑う』以来の胸糞映画の傑作となるのではないかと、僕はずっとドキドキしながら観ていました。惜しいのはこのクライマックス。息切れしちゃったのか、このラストがなんとも消化不良でいまいち納得感が得られず、僕はちょっと残念でした。とは言え、人間を人当たりや印象だけで決めつけてしまうことの恐ろしさを再認識させられる、なかなかの力作だったと言っていいんじゃないでしょうか。
[DVD(字幕)] 7点(2021-05-10 01:43:05)
266.  FREAKS フリークス 能力者たち 《ネタバレ》 
彼女の名は、クロエ・リード。今年で7歳になるちょっと変わった女の子だ。なんと彼女は、唯一の肉親である父親から家に閉じ込められ、生まれてから一度も外の世界に出たことがないのだ。父が言う、「外の世界には恐ろしい者どもがたくさんいて、見つかろうものならすぐに食べられてしまうぞ」という言葉を素直に信じ、完全に外界から遮断された一軒家の中でずっと生きてきたクロエ。友達もおらず、ただ目張りされた窓から路上でアイスクリームを売るワゴン車を覗き見ることだけを楽しみに生きる毎日。「でも、やっぱり外の世界をこの目で見てみたい」――。いつしかそんな欲求を抑えられなくなった彼女は、ある日我慢できずに家のドアを開け、外の世界へと飛び出すのだった。果たしてそこには何があったのか?世界は本当に恐ろしいものへと変貌してしまったのか?そして、彼女に秘められた恐るべき〝能力〟とは?父親によって生まれた時から家に閉じ込められてきた少女の驚愕の真実を独自の手法で描いたSFドラマ。何の予備知識もなく、ただスピルバーグに見いだされた新たな才能といううたい文句に惹かれ、今回鑑賞してみました。最初こそ低予算感が漂っているし、奇を衒ったような演出が散見されるしで、ちょっとこれはどうなんだろうって思わせるものの、後半からの怒涛の展開には完全にやられちゃいましたね。いや、なかなかの掘り出し物ですよ、これ。とにかくこの考え抜かれた脚本の構成力!前半に散りばめられた数々の謎が全て、後半への伏線になっていたとは!いやー、これは是非ともネタバレせずに観て欲しい一本。それに映像的にもけっこうセンスを感じました。人の感情を操ったり時間を止めたりといった特殊能力を使うシーンやクライマックスでの軍人を遠隔操作するシーン(屈強なおっさんがママって言うとこなんて思わず笑っちゃいました)など、どれもすんごくカッコよかったです。特に、姿を消したお爺ちゃんが銃で撃たれ、その血が空中に滲み始めるシーンなんて、センス抜群で最高でした!スピルバーグに見いだされた才能というのも納得。この監督、すぐにマーブルあたりの大作映画に大抜擢されるんじゃないですかね。前半、状況説明をほとんどしてくれないところや父親があまりに横柄なところにちょっぴりイライラしちゃいましたが、僕は充分満足。将来が楽しみな新たな才能との出会いを素直に喜びたいと思います。
[DVD(字幕)] 8点(2021-05-08 00:32:59)
267.  ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語 《ネタバレ》 
少女小説の古典的名作『若草物語』の原作者の半生を美しい映像で綴った青春ストーリー。名作と名高い原作の名はもちろん知ってましたが、これまで1ページも読んだことがありませんし恐らくこれから先も1ページも読むことはないであろう、僕にとってはジェーン・オースティンの『高慢と偏見』と並んで全く食指の動かない古典の代表格。でも、キャスト陣がやたら豪華なことと幾つもの賞を受賞しているということで今回鑑賞してみました。結果は……、やはり僕の感性とは全く合いませんでした。お年頃を迎えた四姉妹の惚れたり冷めたり、付き合ったりフラれたり、喧嘩したり仲直りしたりがひたすら続いて、正直僕は最後まで観るのがちょっと(いや、けっこうかも)しんどかったです。確かに、華のある役者陣が織りなすまるで絵画のように美しいシーンや現代と過去を絶妙にシンクロさせる練られた脚本の力など、監督の演出力の高さは素直に認めるところなんですけどね。この監督の前作を鑑賞したとき、自分の求める世界とは微妙に違うなぁと感じたのですが、どうやら本作でそれは確定したようです。
[DVD(字幕)] 6点(2021-05-07 23:39:32)
268.  グッド・シリアルキラー 《ネタバレ》 
あなたの毒親、殺します――。とある高校でスクールカウンセラーとして働くエバンは、来る日も来る日も様々な問題を抱えた生徒たちの悩みを聴いていた。家庭内暴力を繰り返す親や性的虐待を抑えられない父親、そんな理不尽でやり切れない話を聴き続けるうちに彼はある日、とある決断をするのだった。それはこの手でそんなろくでもない親たちに裁きを下すこと。生まれたばかりの我が子を抱え多少育児ノイローゼに陥っている妻を残し、エバンは夜な夜なそんな親たちを拉致監禁し、自らの手で天誅を下してゆく。だが、捜査を担当する刑事は、次第に彼へと疑いの目を向け始めて……。という、ワンアイデアのいかにもB級なそんな本作、あんまり期待せずに今回鑑賞してみました。なんですが、これがまあこちらの下がりに下がった期待をさらに下回る残念な出来の作品でありました。ストーリーなんてあってなきが如し、ただひたすら髭もじゃで不愛想なおっさんが人を殺して埋めるだけ。物語に深みもなければ意味もない、かといって「面白かったぁー」と思えるような娯楽性などもまったくなし。ただひたすら単調で退屈!なんだかニコラス・ウィンディング・レフン監督の作品をかなり劣化させたって感じですかね。「グッド・シリアルキラー・ファミリー」誕生!というような最後のオチに至っては、あまりにテキトー過ぎて怒り狂いそうなっちゃいました。観るだけ時間の無駄の凡作です、はい。
[DVD(字幕)] 3点(2021-05-06 01:00:21)
269.  アンストッパブル(2019) 《ネタバレ》 
生まれたばかりの娘を火事で失い精神を病んでしまった女性が、見ず知らずの夫婦の娘を自分の娘だと思い込み、執拗にストーカー行為を繰り返すといったお話。人様の子供にひたすら執着する母親役をノオミ・ラパスが熱演しております。とは言え、彼女のそんな熱演も勿体ないくらい酷い出来の作品でありました。物語の重要なカギとなる、何故他人の子を自分の娘と信じ込んだのかという部分に欠片も説得力がなく、なので物語に一切入り込めません。肝心のストーカー行為の部分もひたすら単調で退屈。サイコ・サスペンスとして緊迫感もなければ、ドラマとしても極めて薄っぺらい。最後の取って付けたようなオチに至っては、あまりにテキトー過ぎて怒り狂いそうでしたわ。え、この監督は伏線を張ったり脚本を練ったり物語を盛り上げたりというもっとも基本的な行為を放棄しちゃたんですかね?とにかく最後まで退屈極まりない駄作でありました。
[DVD(字幕)] 2点(2021-05-03 18:14:04)
270.  ソング・オブ・ザ・シー 海のうた 《ネタバレ》 
母親が謎の失踪を遂げ、以来父と幼い妹とともに小さな島で暮らす少年、ベン。家族以外誰も住んでいない辺境の地で古い灯台を管理しながら質素に暮らしていた彼だったが、都会に住むお婆ちゃんの強引な助言もあり、生まれて初めて都会で暮らすことに。母親の失踪の影響か、生まれて以来ずっと口を利いたことのない妹シアーシャと二人で、ベンはお婆ちゃんの家へと越してくるのだった。だが、新生活を始めたものの、偏屈な性格から何かというと嫌みを言うお婆ちゃんにベンの気持ちは沈み込んでゆくばかり。我が儘放題のシアーシャも彼の不満をますます増幅させるだけ。「もう嫌だ。元の家へと帰りたい!」――。そんな思いを強くしたベンは、ある日、お婆ちゃんの家を飛び出すのだった。ところが知らぬ間に妹のシアーシャも彼の後を付いてきていた。戸惑う彼を不思議な現象が襲う。なんと老人の顔をした小さな妖精たちが、妹をさらってしまったのだ。果たして妹は何者なのか?妖精たちの真の目的とは?そして、海へと帰っていった母親が彼らに遺した歌に込めた想いとは?アイルランドの伝承を基に、妖精にさらわれた妹を求めて異世界を彷徨う兄をファンタジックに描いた幻想譚。昔懐かしのアニメ「日本昔話」ならぬ「アイルランド昔話」とも呼ぶべき本作、特徴的なのはやはりその独特の画のタッチでしょう。まるで絵本の世界をそのまま映画にしたような独自の雰囲気に最初は戸惑ったものの、それもすぐに慣れ、最後はどっぷりと浸っている自分がいました。いや、なかなか良かったですよ、これ。可愛さとグロテスクさの絶妙の間を突くこの監督のセンスは自分には完全にツボでした。特にあのお爺さんの顔をした妖精たちのキモ可愛いフォルムとかナイス!すべての記憶が髪の毛に刻み込まれた妖精なんてなんともユーモラスで最高でした。悪役となるフクロウ魔女もけっこうキャラが立ってましたし。まあお話としては至極単純ですけど、それもこれくらいの尺ならぎりぎり大丈夫。主役となるお兄ちゃんが妹に見せる屈折した愛憎も僕には魅力的に感じました。まるで絵本のような独自の世界観を持つアニメーション、うん、なかなか面白かったです。7点!
[DVD(字幕)] 7点(2021-05-03 18:00:12)
271.  ブック・オブ・ライフ 〜マノロの数奇な冒険〜 《ネタバレ》 
メキシコでもっとも重要な祝祭、その名も死者の日。国中が先祖の霊を思い、家族の安寧を願うこの厳かな日を背景に、神々の賭けの対象となったある三人の男女の恋の行方をファンタジックに描いたCGアニメーション。ギレルモ・デル・トロが制作を務めているということで今回鑑賞してみたんですけど、なんか自分が思ってたのとだいぶ違ってました。彼お得意のダークでグロテスクな世界観は何処へやら、全編に渡ってもうやり過ぎなくらいポップ&ゴージャス&ドタバタ。印象としては、レゴムービーのメキシコ版って感じですかね。お話の方もとにかく色んなキャラがたくさん出てきてひたすら小ネタを繰り出してくるので、その度に集中力が途切れ、自分はいまいち入り込めませんでした。うーん、こればっかりは個人的な好みの問題なので如何ともしがたいですね。ただ、映像は終始キレイでクオリティが高く、そこは充分楽しめました。のちのピクサーの名作『リメンバー・ミー』に少なからぬ影響を与えたのかな。まあそんな感じです、はい。
[DVD(字幕)] 5点(2021-04-30 00:34:31)
272.  幸福路のチー 《ネタバレ》 
貧しい家庭に生まれ育ったものの、苦学して大学を卒業し、後にアメリカに移住したある一人の台湾人女性の半生を現在と過去を行き交いながら描いたアニメーション。複雑な世界情勢に翻弄されながらも逞しく生き抜いた台湾の庶民たちの実情は巧く描けていたと思います。全体を包み込む、ノスタルジックな雰囲気もほのぼのとしていてなんとも心地良い。特筆すべきなのは、それぞれに弱さを抱えた登場人物たちへの暖かな目線でしょう。時代の流れに逆らえず時に野蛮人呼ばわりされるお婆ちゃん、宝くじにのめり込み常に金に困っているお父さん、娘への過度な期待に心をすり減らすお母さん、そしてキャリアウーマンとして成功しながらそれでもどこか満たされない心を抱えた主人公……。抑制の効いたこまやか心理描写はなかなか心に響くものがある。ただ、これは個人的な好みの問題なんでしょうが、僕は本作の絵のタッチがどうにも合いませんでした。なんか子供たちが絶妙に可愛くないんですよね、これ。それに人物の動きがかくかくしてて全然スムーズじゃないのはわざとなのか、それともただ単純に技術の問題なのか。随所に挿入される幻想的なシーンも僕にはいまいちセンスが感じられず、ちっともワクワクしませんでした。作品としてはよく出来てるんでしょうけれど、そういったわけで僕はそこまでって感じです、はい。
[DVD(字幕)] 6点(2021-04-30 00:00:48)
273.  テルアビブ・オン・ファイア 《ネタバレ》 
未だ民族対立の空気が色濃く残る中東、イスラエル。パレスチナ系のテレビ局で働くサラームはある日、ひょんなことから人気ドラマ『テルアビブ・オン・ファイア』の脚本家に抜擢される。それまで担当していた脚本家がテレビ局の方針に反発し、自ら降板したのだ。脚本など全く書いたこともなかったサラームは、突然の事態に戸惑うばかり。なんとかアイデアをひねり出そうと、彼は様々な人物から話を聴くことに。なかでも毎日通る検問所を管轄するイスラエル軍将校から聴いた話は、とても参考になるものだった。検問所を通るたびに彼の意見を聞き、順調に脚本を書き上げてゆくサラーム。だが、次第に将校はユダヤ人としての正義を通すようサラームに要求してくるのだった。当然、テレビ局はそんな彼の脚本にクレームをつけてくる。さらにそこへ主演女優やサラームの元恋人、番組のスポンサーなどがどんどんと意見を突き付けてきたからさあ大変。果たして人気ドラマ『テルアビブ・オン・ファイア』は無事に最終回を迎えることが出来るのか?根深い民族対立を抱えたユダヤ人とパレスチナ人が人気ドラマの脚本を巡り、時に協力し時に反発しあいながら右往左往する姿を描いた社会派コメディ。と、まあ内容としては昔からよくあるベタなスラップスティック・コメディなんですが、本作の特徴はパレスチナ問題を背景にしているところ。おかげでいつでも銃を突き付けてくるイスラエル軍やいざとなれば自爆テロも辞さないパレスチナなど、けっこう際どいネタをぶっこんできてます。それでもそこまで深刻にならず、最後までそこそこ笑えるコメディに仕上げたのは、素直に監督のセンスがなせる技なのでしょう。最後、ユダヤ人とヒロインが結婚するオチにしろと要求するイスラエル軍将校とヒロインが結婚式で自爆して民族の意地を通すべきだとするテレビ局の意向に振り回される主人公。にっちもさっちもいかなくなった彼が、最後になんとかひねり出したアイデアには思わず笑っちゃいました。とは言え、良くも悪くも全体的にこじんまりと纏まっちゃった感があるのは評価が分かれるところ。コメディとしてもう少し突き抜けてくれた方が個人的には良かったような気がしなくもないけど、そこは好みの問題なんでしょうね。まあこの地域は現実の方が突き抜けているので仕方ないのかな。作品としてはよく出来てるんでしょうけど、僕にはちょっと物足りない作品でありました。
[DVD(字幕)] 6点(2021-04-27 01:00:25)
274.  ペット・セメタリー(2019) 《ネタバレ》 
そこは太古より、邪悪で禍々しい力が宿る場所――。都会の喧騒を逃れ、のどかな田舎町へと越してきたクリード家。可愛い盛りの二人の子供たち、愛する妻、そしてペットの猫と共に充実した日々を送っていた夫のルイスだったが、彼にはたった一つだけ気掛かりなことがあった。それは毎日家の前を猛スピードで通り過ぎる幾台ものトラック。不安を感じながらも新生活を始めた数日後、恐れていた事態が起こってしまう。娘のエリーが可愛がる猫がトラックに轢かれ、無残な死体となって発見されたのだ。エリーのことを思い途方に暮れる彼に、隣に暮らす老人が驚きの事実を教えてくれる。なんと森の奥深くにある神聖な〝ペットの共同墓地〟へとその死体を埋めると、次の日、何事もなかったように帰ってくるというのだ。半信半疑ながらも言われるまま、猫の死体を埋めたルイス。すると、ちゃんと次の日、猫は生きて帰ってきたのだった。だが、何処かおかしい。見た目は変わらないが、以前とは何かが違う。戸惑う彼を更なる悲劇が襲う。今度は愛する娘のエリーが、暴走トラックの犠牲となってしまったのだ。「どうして娘がこんな目に…」。嘆き悲しむ彼の脳裏に過ったのは、そのペット霊園の恐るべき力だった……。かつて何かのインタビューで、自分の書いたものの中でもっともおぞましい小説と言わしめたスティーブン・キングの初期の代表作を再映画化したという本作を今回鑑賞してみました。ちなみに僕は原作小説も映画の方も遥か昔に鑑賞済み。どちらも感想としては、愛する者の甦りという設定こそ秀逸だったものの、お話としてはどちらも普通という印象でした。なんか原作は、スティーブン・キングの悪い面が若干強めに出ちゃった感が強く、良くも悪くもサービス精神過剰なんですよね。この邪悪な力を使ってでも愛する者を甦らせたいというテーマ一本に絞れば良いものを、主人公が救えなかった患者の幽霊が何故か何度も出てきたり、妻の死んだ姉のエピソードが何度も繰り返されたりと明らかに詰め込み過ぎでした。本作も基本的にはそんな変わらず、やはり一本の映画としては散漫で引っ張りすぎな印象が否めません。中盤まで、「もうええからはよ死体を埋めに行けよー!」って何度も思っちゃったし。んでも後半、死んだ娘が生き返ってからはホラー映画のセオリーはちゃんと押さえられていたので僕はぼちぼち楽しめたかな。今回、死ぬのは長男から長女にしたのはナイスな変更だったんじゃないですかね。この子がなかなか頑張っていて、顔を歪ませながら包丁を持って襲ってくるとこはけっこう怖かった。あのたどたどしい喋り方もなんともヤな感じで大変グッド。という訳で、僕はまぁぼちぼち楽しめましたです、はい。
[DVD(字幕)] 6点(2021-04-23 23:31:29)
275.  ナンシー 《ネタバレ》 
彼女の名は、ナンシー。貧しい母子家庭に暮らす平凡な中年女性だ。その内向的な性格から結婚はおろか彼氏すらおらず、数年前からパーキンソン病を患い外出もままならない母親からは毎日のように不平不満を聞かされ、派遣で働きながら先の見えない閉塞した生活を続けていた。そんなある日、ナンシーはテレビでとある年老いた夫婦のドキュメンタリー番組を目にする。30年前、夫婦は5歳になったばかりの一人娘を誘拐され、以来ずっと娘の帰りを待ち続けているというのだ。番組の最後に表示された、CGで再現された現在の娘の顔を見たナンシーは、雷に打たれたような衝撃を受ける。「誘拐されたという一人娘は、実は私かも知れない」――。直接老夫婦へと連絡を取ったナンシーは、居ても立ってもいられず家を飛び出すのだった。血が繋がっていない母親は一週間前に亡くなってしまった。もはや自分は独りぼっち。自らの居場所を求めるかのように老夫婦の元へとやって来たナンシーは、彼らに乞われるままDNA鑑定を行い数日間泊めてもらうことに。鑑定の結果が出るのは3日後。果たしてナンシーは本当に彼らの誘拐された一人娘なのか?社会の片隅で貧しい生活を続けていた中年女性と幼い娘を失い悲嘆の中に生きてきた老夫婦、それまで何の接点もなかったそんな彼らの人生の交錯を終始淡々と描いたヒューマン・ドラマ。確かに描きたいことは分かるんですよ、これ。幼いころから虐待され決して幸せな人生とは言い難い生活を余儀なくされていた女性が、本当の両親かも知れないという老夫婦との交流を通していつしか生きる希望を見出してゆくという物語。ただ、残念ながら監督の芸術的センスが圧倒的に不足しております。終始画面が薄暗くて見辛いことこの上ないし、音楽や映像も凡庸で心に残るようなシーンなどほとんどありません。また、主人公はじめ登場人物誰もが人生に対して後ろ向きで決して魅力的とは言い難い。最後のDNA鑑定の結果も、まあ分からなくはないけれど、正直僕は「ここまで引っ張といてこれで終わりかよ!」と思わず突っ込んじゃいました。きっと本当の物語はここから始まるんじゃないですかね?なんだか「起承転結」の「起承」の部分だけを延々引き延ばしたものを見せられただけなように僕は感じてしまいました。題材は良かったのに、料理の仕方がなんとも勿体ない作品でありました。
[DVD(字幕)] 4点(2021-04-20 02:19:44)
276.  ボーダー 二つの世界 《ネタバレ》 
ずんぐりとした体形にごつごつとした無骨な顔、愛嬌があるとはとても言い難い不愛想な性格、そんな残念な見た目や性格のせいで子供のころからずっと不遇な生活を余儀なくされてきた女性、ティーナ。だが、彼女には人並外れた臭覚があり、さらには人の秘密を嗅ぎ分けるという特殊な能力さえあった。その特技を活かし、ティーナは北欧の港町で税関職員として地道に働いていた。そんなある日、彼女は勤務中自分とよく似た外見を持つ不審な男性を見つける。荷物を調べてみると、中には大量の虫を入れたタッパーが。問いただすと、男は自らを昆虫学者だという。もちろん法律的には何の問題もない。心に何か引っかかるものを感じながらも男を解放したティーナ。数日後、彼女は森の中で大量の虫を集めているその男と再会する。しかも彼は集めた虫を密かに食べていたのだった。だが、何故かティーナはそんな彼に親近感を覚え、家へと連れ帰ってくる。そうして始まった社会のはみ出し者同士の共同生活。やがて、ティーナは彼こそが自分の出生の秘密を知る人物だと知るのだった……。北欧の寂れた田舎町を舞台に、そんな社会のボーダーから取り残されてしまった男女をミステリアスに描いた幻想譚。テンポのいいストーリー展開や分かりやすいエンタメ要素などはほぼ皆無、終始静かに淡々と進んでゆくいわゆるアート系なそんな本作、なので評価のポイントとなるのはこの監督のセンスに自らの感性が合うかどうか。正直な感想を述べさせてもらうと、残念ながら自分は全く合いませんでした。とにかくこの主人公の外見が生理的に受け付けず、しかも似たような外見のおっさんまで出てきて嫌悪感が二乗されるという、ね。さらにはこの二人が裸になって森の中を駆け回るわ、素っ裸のまま湖に飛び込むわ、挙句剥き出しの土の上で泥だらけでまぐわい始めるわでそのころには嫌悪感が三乗、四乗。ダメ押しで、土からほじくり出したミミズや虫を口に放り込んでもぐもぐされた日にゃ僕の嫌悪感のリミットは見事に振り切れちゃいましたわ。いや、汚すぎでしょ、この映画。そこに児童ポルノ問題を絡ませることで、社会の美醜のボーダーを敢えてひっくり返そうという本作の狙いは分からんでもないですが、僕はそれ以前に生理的にムリムリなんですけどーー。こればっかりは好みの問題なんで如何ともしがたい。4点!
[DVD(字幕)] 4点(2021-04-17 02:34:34)
277.  屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ 《ネタバレ》 
1970年代、ドイツに実在した猟奇殺人鬼フリッツ・ホンカ。分かっているだけで4人の娼婦を毒牙にかけ、その死体をバラバラにして屋根裏に隠していたという彼の驚きの私生活を映画化したもの。監督は、前作『女は二度決断する』でその演出力の高さを見せつけたファティ・アキン。という訳でけっこう期待して今回鑑賞してみました。なんですけど、前作の緻密に考え抜かれた構成力は何処へやら。正直、さっぱり面白くありませんでした、これ。ストーリーなんてあってなきが如し、ただひたすら小汚いおっさんが酒飲んで暴れてエッチして殺してバラバラにして……の繰り返し。そもそもこの主人公のあまりにも残念なルックスと粗暴すぎる性格が生理的に受け付けませんでした。犠牲者となる娼婦の方もほとんど五十を超えた小汚いおばさんばかりで、しかも全員何日も風呂に入ってなさそうなぐらいばっちい人だらけ。着ている服も何か月も洗濯してなさそうで、こちらにまで臭いが漂ってきそうなほどだし。もう全員まとめて洗濯機に放り込んでじっくり漂白したいぐらいでしたわ(笑)。これだけでも画的にきついのに、さらには主人公のおっさんのオ〇ニーシーンやらおばさんのフェラーリ、さらにはジジイにおしっこ掛けられたりするシーンまで出てきて、もううんざりしちゃいました。え、これって観客を不快にさせるために撮られた映画なの??恐らく社会の最底辺に生きる人々の悲哀をシニカルに描きたかったんでしょうけど、さすがにこれでは嫌悪感の方が先に立っちゃって僕は見てられませんでした。監督の前作が素晴らしかっただけに、なんとも残念!
[DVD(字幕)] 3点(2021-04-10 22:42:08)
278.  リリーのすべて 《ネタバレ》 
世界で初めて性転換手術を受け、男性から女性となったリリー・エルベの生涯を描いたヒューマン・ドラマ。そんな世界初の〝女性〟を演じるのは実力派として着実に実績を残してきたエディ・レッドメイン、彼を献身的に支える妻役には人気女優アリシア・ヴィキャンデル。監督は、昔から僕とはどうにも相性の良くないトム・フーパー。確かに役者陣の繊細な演技や抑制の効いた丁寧な演出、そして20世紀初頭のヨーロッパを忠実に再現した画の美しさ等々、全体的な印象としてはなかなか好感が持てるもののやはり自分とは今回も合わなかったですね。うーん、なんだろう。この人の映画って基本善人しか出てこないんですよね。まだまだ性的マイノリティに根強い偏見が残るこの時代にここまでカミングアウトしたら、きっと物凄く苛烈な差別と偏見の嵐に遭うと思うんですけど、そんなものはほとんど描かれない。せいぜい通りすがりのナンパ男に絡まれボコられるくらい。〝彼女〟のかつての初恋の相手である画商も女だと思って口説いてきた友達も実質的に裏切られた形の妻もみんな彼の告白を聞いてすぐ親身になって応援してくれるって、正直、ホンマかいなって思うんですけど!よく言えば、あくまで人生の肯定的な面に目を向けてるんでしょうけど、それって結局キレイごとなんじゃないかってひねくれ者の自分なんかは思っちゃいますわ。終始品の良い雰囲気やキレイに纏まられた脚本など映画としての出来の良さは素直に認めますけど、自分の好みとはやはり真逆の監督なんだと再認識した次第です、はい。
[DVD(字幕)] 6点(2021-03-27 00:35:17)
279.  グリンゴ 最強の悪運男 《ネタバレ》 
無責任で女好きな社長にはめられ、仕事も愛する妻も失う寸前の冴えないサラリーマン、ハロルド。そんな八方塞がりの自分の人生に一発逆転を図るため、彼はあるとっておきの方法を思いつく。それはメキシコ出張中にマフィアに拉致されたと見せかけ、多額の保険金をせしめようという偽装誘拐。意を決して計画を実行に移した彼だったが、そこにホンモノのマフィアも現れ、さらには社長が雇った殺し屋や麻薬をアメリカへと密輸しようという運び屋まで絡んできたからさあ大変。最強の悪運男、ハロルドの運命は?そんな冴えない中年サラリーマンのドタバタを描いたコメディタッチのクライム・ドラマ。シャーリーズ・セロンを筆頭に、ジョエル・エドガートンやアマンダ・セイフライドといった何気に豪華なキャスト陣に惹かれ今回鑑賞してみました。まあやりたいことは分かるんですよ、これ。デビュー当時のガイ・リッチー監督作のような、軽妙なタッチのスラップスティック劇。でも、残念ながら演出のキレやスピード感が圧倒的に足りていません。無駄に分かりにくいうえに最後までテンポの悪いストーリー展開に終始睡魔が……。それに魅力的な登場人物がほとんど居なかったのも致命的。華のある役者陣に引っ張られて最後まで観ていられましたが、さして面白くはなかったです。
[DVD(字幕)] 4点(2021-03-26 02:20:21)
280.  キャッツ 《ネタバレ》 
初回上演から現在まで、ロングランヒットを続けるミュージカルの名作を映画化したもの。原作舞台に特に思い入れがあるわけでもなく、有名な劇団四季による日本公演なども未見でしたが、何かと話題だったので今回鑑賞してみました。ネット上でも話題沸騰の、あの猫のリアルな擬人化具合は確かに気持ち悪かったですね~~~。普通に考えて彼らは服を着ていないわけですから、もちろん性器も肛門も丸出しなわけじゃないですか。それなのにお股をおっぴろげにしちゃうとことか、あまりにもハレンチでもう見てられなかったですね。普通に服を着ている猫も居たんで、より彼らの全裸感が強調されるという謎のダメ押し具合(笑)。さらに呆気にとられたのは、ゴキブリたちまで擬人化されて歌って踊りまくるところ。キッチンで行列作ってケーキに群がってたと思ったら、最後は猫に食べられちゃうという普通に考えて悪夢としか言いようのないシーンをご陽気に見せられた日にゃもう苦笑いするしかありませんでした。歌って踊ってる人も特殊効果した人も振り付け担当の人ももちろん観客もいったい誰得なんでしょー(笑)。肝心の内容の方も、好きな人には申し訳ないですけど、ここまで内容のないお話を見せられて、正直、僕は最後まで一切楽しめませんでした。うーん、自分には何がいいのかさっぱり分からなかったです。
[DVD(字幕)] 3点(2021-03-26 01:43:35)
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