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K&Kさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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261.  シックス・センス 《ネタバレ》 
- The Sixth Sense - “第六の感覚”SixじゃなくSixthだったんだ。 この映画の面白いところは、『死者が見える(自称)』というコール少年を、如何にしてカウンセリングで救済するか。 マルコムは小児カウンセラーとして名声を得ていたところに、彼が救済できていなかった少年ビンセントの凶行で、振り出しに戻るどころか夫婦関係までこじれたマイナスから始まる、言わばやり直しの物語。 マルコムがカウンセラーとして名声を得るということは、相当の数のケースを診てきたんだろう。多くの症例は解決しても、患者とはそこまでな関係。ビンセントもたくさん診てきた中のひとり。彼が侵入した時、10年経っていたとは言え、パッと名前が出てこないところは、そんな表現だろう。  映画を観る側はマルコムの目を通じて、コール少年をビンセントと重ねて観るわけだ。何故ビンセントを救えなかったか、どうするのが正解だったのか。彼らの目線に立って、彼らが見ているものを信じること。死者が見える(自称)のを見えなくするのが解決ではなく、その先に何があるのか?を見て、死者の訴え(自称)を一緒に解決することが正解だった。 ビンセントとは築けなかった信頼関係を、コールと築くことが出来たマルコム。“病気を根絶するのではなく、病気と長く付き合う”のと同様に、解消するのではなく緩和から始める治療もある。「少女の死の記録が出てきて、実は殺人事件だったなんて、偶然にしても不思議なこともあるものだ」で、締めくくっても全然成立する。カウンセリングの報告書としても、映画としても充分に。  コール少年の問題は解決。ビンセントの失敗に縛られたマルコムの一年の苦悩も解決。さぁアンナとの夫婦関係の再構築と、ようやくやり直せたその一歩先に、実は・・・があったから、映画館で観た人は驚いた。私もしっかり驚いた。 エンディングばかりが評価されがちだけど、ソコが全ての映画ではなく、何回観ても楽しめてしまうのは、先に書いた通り。そして“やり直しの物語”にも関わらず、そこから再構築ではなく結末に繋がること。ここでもしマルコムの新たな苦悩が始まるバッドエンドだったら、ちょっと世にも奇妙なナントカみたく、安っぽくてガッカリだったと思うけど、結末の後味の良さがまた秀逸。とても美しかった。  私がそうだけど、この結末を予想できなかった人って、たぶん常識的な生き方を選ぶ人に多い気がします。きっと学校や社会で身についた常識に誘導されて、あの結末をハナから除外してるんですね。みりんみりんみりん…鼻の長い動物は?10回クイズの醍醐味は引っ掛からないことではなく、豪快に引っかかってワハハって笑うところにあります。引っ掛かる引っ掛からないが頭の良し悪しではなく、その瞬間を体験した同士の共時性とか、そっちの方だと思います。 なんかココでレビューを締めると、私までエンディングが全ての映画扱いしてそうなんで… 劇場で観た時、コールが辛そうな顔してブリーフ姿でトイレに駆け込むシーンで、私の右隣りの女の子たちツボったらしく「ブワハッ!」って吹き出して。 そしたら左隣のおばさまが『ウルサイわよ!』って感じに凄い顔して私を睨んだのね、いや私はこの子達の仲間じゃないし。右の子たちは『クックック』って笑い堪えてるし、左のおばさまは10秒近く無関係の私を睨みつけてるし…あの時はヒヤッとしたわ。
[映画館(字幕)] 9点(2022-12-17 20:13:43)
262.  あいつと私(1961) 《ネタバレ》 
ヤー!!ヒッップ ヒッップ ヒップラー♪初めて観たときは、あのオープニング曲にズッコケそうになったけど、2回め観ると意外と癖になるね。歌はともかくイントロの高揚感は今の時代に聞いても素晴らしい。 '60年辺りの大学生のドラマなんだけど、まるでアメリカの学園コメディのようなノリ。会話のテンポの良さが、どことなくシン・ウルトラマンの会話に近い感じがした。そういや、けい子の一人語りはまるでエヴァの赤木リツコみたい。 セックス、赤線、ザーメンと、オブラートに包むことなく日常会話で出てくる性表現にビックリする。当時の若者、こんなだったのかな?『処女と童貞のままで 九月にまたこの丘の上であいましょう』…ってなにそれ。温泉マークがラブホテルの意味だったなんて、勉強になりました。 そしてパワフル。友達の結婚式に出て、安保闘争に参加して、レイプされた女友達を介抱して、次の日はデーゲーム野球観戦。早朝に3人並んで瓶牛乳ガブガブ飲むとこ大好き。軽井沢の別荘からママに呼ばれての食事も、みんな食べる食べる。日本が裕福になった時代なんだな。  この映画の主役は芦川いづみ。彼女と裕次郎の、嵐の中のキスシーンはとても綺麗。ここのシーン、三郎の過去を聞いてけい子が飛び出してズブ濡れになるんだけど、ここ三郎をプールに突き落としてズブ濡れにしたのと対になってるんだろう。お互いの家の食事も。けい子が三郎宅に泊まる時の、モトコ・桜井のものと思われるブカブカのネグリジェ姿が可愛い。これも三郎がけい子の父のブカブカの服を借りたのの対になってる。ついでに三郎は女装したんだから、けい子の男装も観たかった。  思春期の三郎に性の相手を与えたのはママ。そのせいで恋愛感情が歪んでも、ママを恨むどころかママが好きな三郎。 そんな三郎を不潔と言い、強引にキスされても、翌朝には車と別荘があるから友達を続けるというけい子。 家にまで愛人を呼び込むモトコ・桜井。嫌気が差して荷物まとめて出て行こうとするけど、結局出ていかないパパ。 彼らと、安保反対と叫びつつ、朝鮮特需の恩恵を受けて平和で贅沢な暮らしはしっかり謳歌する、当時の日本の大学生が重なってしまう。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2022-12-10 00:06:50)
263.  アンブレイカブル 《ネタバレ》 
- Unbreakable - “壊せない”。ある意味ネタバレ?自己紹介?なタイトルなんだけど、他に“(暗号が)解読できない”。って意味もあるそう。なんかコッチだと、シャマラン監督から観客への挑戦状にも思える。 確かに前作の完成度を考えると、ちょっとランクダウン感はあったけど、私にとって“まぁ楽しめたシャマラン作品”だったので、こちらでの点数に驚いてしまった。こんなに低いの?レディ・イン・ザ・ウォーターより下??まじか…  序盤の鉄道のゆらゆらしたカメラは印象深いし、事故後もう一人の生存者の、白いシャツに血がジワ~~っと滲むシーン。「数分後にはあなた一人になるでしょう」はショッキングだった。ベンチプレスで重りを追加する度にジョセフが後ろに下がっていくのも可愛い。デビッドが『これ俺、内緒な』ってジョセフに新聞見せるシーンも静かで良かった。当時のアメコミヒーローと言えばバットマンはお洒落にリメイクされ、X-MENは新時代のヒーロー物をCGでド派手に。そんな時代、リアル路線に傾倒したアメコミヒーローもアリだと思った。  シックスセンスの大ヒットで、シャマラン映画は予想外の結末を期待するものだってレッテルを貼られてしまったように思う。そんな期待に正面からガチンコ勝負を挑んだのが本作かもしれない。上に書いたタイトルにしても、『真実を知る覚悟はあるか?』ってキャッチコピーにしても、劇中のイライジャの母の台詞「この話、最後に驚くのよ」にしても。 シャマラン監督、この映画の結末にだいぶ自信があったんだろう。前作同様に観客が「あぁ、やられた!」って思うだろうと。でも多くの評価は「前作ほどじゃないね」って感じ?私は「なるほど~」って感じだったかな。イライジャの秘密は予想外で、不満はなかったけど、それよりデビッドが超人的能力を身に着けた、理由?キッカケ?が知りたかったんだけど…って、肩透かし感はあったかも。 前作を楽しんだ人が、同様の刺激、驚きの結末を期待して観に来ている以上、ハードルが上がりすぎたんじゃないかなぁ?もしシックスセンスよりコッチが先に公開されていたら、もう少し評価は変わっていたかも? それか公開時は監督名を伏せておいて、映画の最後の最後に『実はシャマラン監督作品でしたー』とかって。そうなるともうネタ映画か。
[映画館(字幕)] 6点(2022-12-08 22:56:30)
264.  哀愁 《ネタバレ》 
- Waterloo Bridge - “ウォータールー橋”ナポレオンの『ワーテルローの戦い』から名付けられた橋なんだそうな。なるほど。 印象的な白いビリケンさんのお守り。1908年辺りに特許が~とあるから、マイラも流行りものとして一つ持ってたのかも。  ロイを好きにならなかったら、彼女はバレリーナとして、花形にはなれなくとも、淡々と生きていたかもしれない。 劇団を解雇され、娼婦に身を落としながらも懸命に生きてきたマイラ。ロイとの再会が無ければ、死を選ぶこともなかっただろう。 幸せを掴もうとしたが為の悲劇。マイラがあまりに純粋だからこその悲劇。彼女に人並みのしたたかさがあれば。  マイラに一目惚れし、大佐との食事を断ってまでバレエ劇場に足を運んだロイ。 戦地への赴任延期の日を、マイラとの結婚に使う、ある意味強引で、自分の感情に真っ直ぐな性格なんだろう。 家柄の良さからか、戦時中に職を失った女性がどのように生きていたのか想像もしない辺り、ロイもまた純粋だった。  キティ。純粋な2人を結びつけたいと、マイラと一緒に(というかトバッチリに近いカタチで)劇団を解雇され、彼女を見捨てること無く、黙って娼婦に身を落としたキティが素晴らしすぎる。 ある意味虫が良すぎるマイラ提案の玉の輿作戦。見方によってはキティを蔑ろにする行為なのに、快く送り出す優しさも素晴らしすぎる。 ロイがマイラを探して訪ねてきた時も、ストレートな物言いをせずに黙々と案内するところも素晴らしすぎる。 キティとマイラが初登場する時、「空襲警報だわ」って、マイラの前にグイッと割って入って言うところ含め、この映画の影の主役は二人を結びつけるために活躍したキティ。白いビリケンさんをロイに渡して以降、白いキティが常にマイラを守ってた。あまりに素晴らしすぎるキティ。
[DVD(字幕)] 7点(2022-12-04 18:51:07)(良:1票)
265.  エイリアン 《ネタバレ》 
- Alien - この映画では“異星人”。外国の人を差別的に“ガイジン”って呼ぶニュアンスが近い気がする。 H・R・ギーガーデザインの、一度見たら忘れられないエイリアンの造形。幼少期から「あの映画は怖い」と言われ続けていたせいか、ビビリの私の初視聴はエイリアン2より後のことになった。 昔のSFの宇宙船内と言えば、銀色のピチピチの宇宙スーツを着た人。電球がチカチカした謎の電子演算器。だけどイスとか操縦桿だけは今の時代でもありそうな仕様…みたいな印象だった。 マザーはSFらしく電球チカチカだったけど、クルーは今の時代とそう変わらないラフな服装で、船内には蛍光灯の明かり。コンピューターとキーボードが使われてて、マグカップや水飲み鳥といった小物類は、当時の現代そのままなのが、逆に新しく観えた。'80年代に多く創られた“近未来モノ”の走りだったと思う。 彼らの服装や生活環境が現代と変わらないことで、未来の宇宙船クルーたちに、現代人を超越した特殊能力が無いことと、エイリアンの造形の異形さ、宇宙生物の生態、果ては白い血を流す人造人間アッシュの衝撃を際立たせることに成功していたと思う。  ブレットとダラスは消息不明(血の一滴も残さずに)になり、パーカーとランバートは殺害されて、遺体も観えるところに放置。この違いは何だろう?? 元々スペースジョッキーと呼ばれる大型宇宙人に寄生していたであろうエイリアン。地球人に初めて寄生し、ブレットとダラスから構造や弱点を研究もしくは吸収したのかな?って。人間の言葉なんかも理解して、生き残りのクルーが宇宙船を爆破して脱出することも解ってたんだろう。 人体構造なんかは充分に研究出来たから、もう興味のないパーカーたちは殺して、雑に放置したのかも。時間もないの解ってて。 でも性別の違うランバートは研究しないの?って思うけど、もうこの時にはもう一人の雌、リプレーに目を付けていたんじゃないかな。 映画見る前後に、ダラスとリプレーは恋人だった。とかって設定?を、何かで見たような気がしたんだ。なので、エイリアンの中のダラスの記憶で、リプレーは殺すつもりはなく(もちろん猫のジョーンズは無害な生き物なのも知ってた)、彼女とともに爆発する宇宙船を脱出する魂胆だったんだろう。 …なんて。ディレクターズ・カット版があるって知らなかったな。オリジナルを観て思ったことね。  性器を連想させるエイリアンのデザイン。アッシュが平凡パンチ丸めてリプレーの口に突っ込むの。意味が解らないけどエロティックだった。シガニー・ウィーバーのパンツ小っさ。フェイスハガーの死骸を、危険だからと持ち帰るのに反対されたアッシュの「だけどゾンビじゃあるまいし」って台詞。一年前にゾンビが大ヒットしたから入れたんだろう。 当時は宇宙を舞台にしたホラー映画として創られたんだろうけど、ホラーの枠を超えたSF映画の金字塔ですね。
[ビデオ(字幕)] 8点(2022-12-04 17:14:16)
266.  グリーンブック 《ネタバレ》 
- Green Book(=The Negro Motorist Green Book) -  “グリーンによる黒人ドライバーのための旅行ガイドブック”。著者が黒人の作家ビクター・グリーンさんなので、グリーンブック。 黒人への人種差別がまだまだ色濃い時代に、白人運転手が黒人ピアニストを乗せてアメリカ南部を移動する。考えただけでもとても興味深いロードムービーで、アカデミー作品賞受賞の快挙含め、ドライビング・ミス・デイジーやレインマンが思い浮かぶ。  「ワオ!ケンタッキー州でケンタッキーフライドチキン!!」子供のように興奮するトニーにすっかりやられてしまった。あのチキンの大きさ。なんと食べごたえの有りそうな姿。こないだ買ったセットのやつは、一番大きいのでも私の握りこぶしより小さかったぞ。私の学生時代と比べても絶対小型化してる。 あぁでも食べたくなるなるケンタッキー。初めての人にも食べやすいドラムから渡すの、トニーの優しさだよね。ドンが美味しそうに食べて、キールも勧められて…チキン食べる時のベストな流れだよね。骨の処理で距離が縮まって、その後の「(紙コップ)拾いなさい」で見事に落ちてる。素晴らしい。ただ当時、空き缶でさえポイ捨てが日常茶飯事だった(であろう)時代に、紙コップごときで車戻すか?というと、さすがに創作だろうなとは思う。  楽しく観終わって、映画界やドンの遺族から批判的な意見が出ていたことを知り、ちょっと複雑な気持ちになった。映画としてとても面白く、まとまりも良く、テーマも伝わり、ドクター・シャーリーにとても興味も持てて、当時の黒人差別に理不尽さを、充分に感じとれたからだ。 “映画ではあのように表現していたけど、本来はこうだった”なら批判も解るけど、“本来はあぁではなかった。と思う”だけでは、良い物語を潰すことは出来ても、創ることは出来ない。あの時代に紙コップを拾うのを、有り得ないと批判するのではなく、映画としてのデフォルメとして楽しく観て、映画が伝えたい何かを少しでも吸収できたら、それは良い映画と出会えた。って言えるんじゃないだろうか。 最終公演の決断から、オレンジバードで楽しそうにスタインウェイ“じゃない”ピアノを弾くドンに嬉しくなった。帰り道の警官。トニーの家と、テンションどんどん上がってハッピーに終わるこの映画が、私は大好きだぁ!
[CS・衛星(字幕)] 9点(2022-11-27 22:06:08)(良:1票)
267.  ボルサリーノ 《ネタバレ》 
- BORSALINO - イタリアのアレッサンドリアに拠点を置く帽子のブランド。…から名前を持ってきたって、どういうこと?フランス映画なのに…??一つ5万円とかする高級帽子みたいで、マフィアの世界で上を目指す者にとって、ボルサリーノは成功者の証だったり、見栄っぱりの必須アイテムだったりしたのかもしれません。  アラン・ドロンとジャン・ポール・ベルモンドというフランスの国際的人気俳優の共演作。二人の出会いから、ちょっとコミカルなまったりとした殴り合い。競争馬を盗んだり、魚屋に腐った魚混ぜたり、マフィアの犯罪というよりイタズラの延長のような手口で成り上がるシフレディとカペラ。出だしはユーモアあるマフィア映画だった。強盗らしき犯罪者が銃撃戦ののち逮捕される場を目撃して、眉をひそめるカペラに“俺たちは人を傷付けずに知恵と工夫で成功を目指すぜ”とかあるのかと思いきや、後半は撃たれた、撃ち返した、殺した、殺されたの、普通のマフィアの抗争に。  二人の決別から最後も、アメリカン・ニューシネマ全盛期の影響を受けたのか、国際的な2大スターを使うからには、国際的なウケを狙ってみたのか、そんな風に思えてしまった。史実ならともかく、最初に“すべて創作です”って断ってるんだから、前半部分のゆる~い空気でお洒落なマフィア映画で貫き通しても良かったように思う。 耳馴染みの良い軽快な音楽が何度も掛かり、なんか『君よ憤怒の河を渉れ』を思い出してしまった。しかも何故か場面切り替えで音楽ブツ切りするし。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2022-11-24 00:59:53)
268.  私をくいとめて 《ネタバレ》 
あまちゃん、興味はあったのに、タイミング逃して一切観てないんだよなぁ。観てたらきっと、能年玲奈と橋本愛が久しぶりに合う親友役で共演してるのに、きっと感慨深いものを感じられたかもしれない。もしかしたら片桐はいりとの共演にも、なにかドラマを観ていた人だけのささやかな喜びがあったかもしれない。浅く広くって大事かも。  階下住人のホーミーとか、営業のカーターとか結構漫画っぽいなって思ったけど、漫画原作でなく綿矢りさの作品だった。彼女こういう作品を書くのか。 のんの休日の過ごし方を疑似観察しているようで楽しめた。脳内アドバイザー“A”との会話が、部屋とか独りの時だけでなく外出中(広場のテーブルでぼっち飯する場面とか)にも出てくるところとか、かなり重症なおひとり様かと思ったら、多田くんを食事に誘う所とか自然でこなれてて、言葉に詰まったり手汗掻いたりしないとか、なかなか型にはまらない独特なキャラクターだな。 飛行機の中で大滝詠一の歌詞がふわふわ浮いてるところと、ホテルの製氷機の前で座り込む表現はとても良かった。  だからか、内面のダークサイドを語る時のギャップが怖かった。そんな彼女の一面が原因で多田くんと上手くいかないとか、彼女の予想通り多田くんに彼女が。とか思ったけど、観終わった後に林遣都版の映画ポスター(?)を見て、あぁ、彼の内面も用意されてたのかって。それなら多田くんサイドの考えも観てみたかったかな? しっかりした原作があることも、多田くんの思いがあることも知らずに観たから、私はこの作品をのんさんのプライベートを表現した作品なのかな?って思ってた。時代の寵児だった能年玲奈時代を経て、今ののんがあって。開花することのなかった絵の才能や、突然イタリアに消えた親友への思いや、何年も消えない会社の上司のセクハラの記憶なんかがフラバするのが、なんか彼女の今に繋がるのかなぁ?とか。そんなではないんだろうけど。  常に落ち着いていて頼れる“A”。でもAは私なんだから、可視化すると、あぁなるのか。まさに「ちょうどいい」でした。
[インターネット(邦画)] 6点(2022-11-23 23:59:23)
269.  I am Sam アイ・アム・サム 《ネタバレ》 
- I am Sam - “私はサム” 主人公はルーシーでなくサムです。だけどこの映画をキッカケに、とんでもなく幼いハリウッド女優・ダゴタ・ファニングが認知されました。当時まだ6~7歳とかなのに、台詞とともに感情を乗せる凄い女優さん。ハリウッドの人財層の厚さを痛感しました。 3度目の正直でアカデミー主演男優賞を狙ったショーン・ペンだけど、残念ながら受賞はならず。理由はトロピック・サンダーで語られていたことが案外本当かもな?なんて思えたり… ちょっとあざといかな?って思える部分もあるけど、ルーシーが何度も家出して何度も連れ帰される画に、なんかとても癒やされる。  さて、とてもわかり易くヒューマニズム溢れる親子愛に満ちたこの映画。ルーシーでなくサムが主人公のこの映画は、果たして誰をターゲットに創られたのかな?ってことを、ちょっと考えてみました。 既に親離れして社会に出ていった、サムくらいの年齢の息子を持つ母親がターゲットなんじゃないか?って思った。母親から見て出来が悪く、私の育て方が悪かったのかしら?なんて自ら反省してしまうような母親。親元を離れたバカ息子がどんな生活をしているかなんて、断片的にしか知らない。気がついたら、どこが良いのか解らない女と結婚してて、誰に似たのか可愛いくて賢い孫を連れてくるバカ息子。 劇中サムの母親がどんな人だったかは語られない。幼いうちに施設に入ってるからだけど、母親イメージを固定させないためかも。同じくルーシーの母親も再登場がないのは、息子の嫁を話題にしたくないからかも。若い世代のアーティストが、サムの母親の青春時代によく流れていたビートルズを歌うのも、入り込みやすさに一役買っているのかも?  サムがどれだけルーシーを愛して、不器用にも子育てに挑戦する姿を観て、本当に子育てに必要なものって、教養や裕福さではなく、愛情こそ一番だ。と再認識するんじゃないだろうか。自分のバカ息子をサムに重ねて、出来の良い孫をルーシーに重ねて観ると、私の子育ても間違っちゃいなかったのかも?息子への愛情だったら誰にも負けなかったわ。って、再認識出来るかもしれない。 そしてリタのように世間ではそつなく仕事をこなしていても、家庭はボロボロ。自分の子供をどう育てたら良いのか分からず、自信を失っている母親って結構多いと思うし、自分の子育て時代を振り返っても、私も当時はそうだった。と、共感出来る母親も多いだろう。 劇中、子育てを完璧にこなした母親が出てこない。リタの空回りした生活を通して、子育て真っ最中の自分を思い出し、サムの子育てを通して自分からは観えなかった息子の苦労を疑似体験するんじゃないだろうか。考え過ぎかな。  そうそう、新スタートレック好きには嬉しいサプライズがあるよ。データ少佐とケイコ・オブライエンが意外な役で出てくるから、お見逃しなく。
[映画館(字幕)] 6点(2022-11-23 22:55:58)(良:1票)
270.  鬼龍院花子の生涯 《ネタバレ》 
面白い!五社英雄監督作品と相性イマイチな私だけど、この作品はとても面白かった。少し前の日本社会の裏側アリ、女同士の闘いアリ、もちろん濡れ場アリと、しっかり五社五社してるんだけど、何だろうこの映画。そうだ朝ドラだ。 貧しい家庭から丁稚奉公同然に養子に出され、家業とは正反対の女学校を目指して勉強し、親に反対されつつも好きな人と暮らし…たまたま観出した朝ドラが大当りだったような、そんな面白さ?夜の朝ドラ?裏社会の朝ドラ?そんな感じ。だから朝ドラ好きな人はきっと楽しめます。  何より仲代達矢演じる鬼政のキャラクターが面白い。凄みはもちろん、人間味が溢れていて、もし目の前に居たら絶対怖いんだけど、なんか憎めない魅力がある。労働者同盟の件で須田から三行半を突きつけられた時の行動は、もう声を出して笑ってしまった。五社さんがこんな映画を撮れるなんて思わなんだ。もちろん仲代さんの持ち味が大きいんだけど、遺憾なく発揮されていた。 岩下志麻の歌も良い役だった。いつもの岩下さんのように触れちゃいけないオーラを出してるんだけど、どこか親しみやすい温かみが感じられた。松恵が初潮を迎えた時、笑若が聞こえるようにイヤミを言えるくらい、親しい存在の姐さんなんだろうなぁ。って。 圧巻は松恵役のふたり。仙道敦子はまだ13歳なのに目に力がある。お駄賃貰ってお礼言うシーンなんて、当時の子役の演技としては満点じゃないだろうか。夏目雅子の、散々抑えて抑えての演技からの「なめたらいかんぜよ!」の迫力は目がバチッと覚める格好良さ。鬼政に遺骨を握りしめて微笑むところまでがワンセットで素晴らしい。 ワンセットと言えば、歌が酔ってつるに絡む所で「なめたらいかんぜよ?あてぇは鬼政の女房やき…」を幼い松恵が隣で聞いていて、それを受けての「あてぇは…鬼政の娘じゃき…なめたらいかんぜよ!」だから映える。母と子の絆。  “鬼龍院花子の生涯”何とも不思議なタイトルだ。ちょっと頭の弱い、空気の読めない、ワガママな子。『おとうさん おねがい たすけて』はがきの裏にひらがなで、鉛筆で書かれた文字。 有名なタイトルなのに、こちらのキャスト一覧に名前も出てない女優さん。高杉かほりさんだって。wikiのページもない。 映画のオープニング、出演者紹介の、何人目に出てくるかな?  仲代達矢 夏目雅子 中村晃子+佳那晃子 夏木マリ+高杉かほり(新人)+新藤恵美  ←はいココ! 内田良平+綿引洪+小澤栄太郎  …決して当時の東映が、力を抜いていたわけじゃないみたいな、そんな印象。公開前の予告編ではオオトリに名前が出てました。 この殆どスポットの当たらない花子がタイトルなのが面白くて、色んな解説を読んでも、どうもストンと落ちません。なんかそこを含めて素晴らしい作品だと思います。
[インターネット(邦画)] 8点(2022-11-21 20:29:25)
271.  潮騒(1975) 《ネタバレ》 
'64年小百合ちゃん版を見た直後なので、比較のために再視聴。同じ内容でも時代、監督、演者によって微妙に変わるのが面白いなぁ。 両作には10年の開きがあるけど、実はさらに'71年版があるそうな。 日本映画界ってどれだけ潮騒好きなんだ?よっぽど三島文学を映像化したかったんだろうか?でも地元の島民はどう思ってたんだろうな。『やれやれ、また潮騒の映画かい?』って感じだろうか?だからかどうか知らないけど、'64年版では神島(今の名前)だったのが歌島(旧島名)に。あとセット撮影が多いのは、百恵ちゃんのスケジュールの関係の可能性大。  肝心の観的哨内部はセットだろう。明るさも広さも程よい印象。千代子がプレゼントのライターの火を「情熱、私のハート」って説明してくれたから、焚き火の意味するところ、その火を飛び越す意味もしっかり伝わる。 小百合ちゃん版を見ていると、百恵ちゃんの大胆でしっかりした脱ぎっぷり。三浦友和まで褌姿を堂々と披露。時代とともに大胆な演出になるんだろうか?そう思うと未登録の'71年版、評価の低い'85年版も気になる。 「のうがその火を飛び越してこい」やや棒だけど伊豆の踊り子に比べたらしっかり演技してる百恵ちゃん。'64年の目の輝きも良かったけど、炎の高さと2人の目線は'75年版の方が良いなぁ。初江を真っ直ぐ見つめる新治が良い。ちゃんと炎を飛び越え、裸で抱き合う2人(打ち板で隠れて観えない)も収めている。 このあと千代子が2人を目撃するシーンも、こちらのほうが2人に何かあった風に思わせぶりに観せている。要するに解りやすく撮れているのが'75年版だ。  乳比べでも大胆に脱がされる百恵ちゃん(腕で観えない)。そして前作には無かった、とみと初江の確執は、ビニルバッグのプレゼントで解りやすく解決。ここに海女の鮑取りシーンを入れたのは良かったと思う。当時の神島の観光資源だろうし。 後半はこちらの方が原作寄りだろうか?台風のシーンでも友和の褌姿が惜しげもなく流される。そしてやっぱり状況が分かり易い。 見逃しちゃいけないのはお守り代わりの初江の写真。当時ほぼ100%間違いなく、アレとおんなじブロマイドが売られていたハズだ。
[地上波(邦画)] 5点(2022-11-20 17:59:01)
272.  誰も知らない(2004) 《ネタバレ》 
実話ベースの事件映画に、スッと観やすいものと、ヨシ、観るか!と観るのに気を張るものがある。この映画は後者。 終始事件の被害者目線で描かれるから、観た後にどっと疲れる。それにも増して、被害者が自活能力のない子供目線なのが辛く、娯楽としてみるのは難しい。 事件ものとして観ると、この場合加害者と言って良いのか、一番に救いの手を差し伸べなければいけない母親が、この時この瞬間、何をしているのかが観えてこないのが腹立たしい。ただ家庭で子供に接する様子は、母親というより、まるで一番年長の子供のよう。母親の肩を持つ気は全く無いけど、子供を産んできちんと育てる環境が無いのもまた悲劇なのかもしれない。  彼らの生活を一番に支えたのがコンビニ。最初のキッカケは、ゆきがお願いしたアポロチョコで、スーパーには無くてたまたまコンビニで買う。万引きを疑われた時も、スーパーで買ってコンビニには立ち読みと公共料金の支払いに来てただけ。お年玉のぽち袋をコンビニで買うのは、名前を書いてもらう目的もあったけど。一人暮らしの学生が『コンビニでタバコ買う時しか人と会話してない』なんて言うけど、明にはコンビニが唯一に近い『大人と話せる場』だったんだろう。母親の決めたルールを破って兄弟を外で遊ばせる。その後コンビニで爆買い。明くらい生活能力がある子なら、スーパーのほうが安いことは気が付いていただろうに。明に廃棄弁当を渡す顔なじみのコンビニ店員。深読みして良いのか悩むけど、店長は知ってて見逃してるんだろうな。何も動かない母親とアパートの大家に対し、彼らに最低限のライフラインを繋いでくれるのが、他人が経営するコンビニ。 公共事業(電気ガス水道)は無情にも機械的に停められる。郵便局から送られる母親からの仕送り、無機質な現金書留とかんぽのメモ。  最初は周りに見付からないようコソコソと生活をしていた子供たち。だけど外に出ても、身なりがボロボロでも誰もが無関心の恐ろしさ。通園バスの児童置き去りが問題になっている昨今、子供たちの現状に誰も気が付かないことが恐ろしい。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2022-11-20 13:54:58)
273.  潮騒(1964) 《ネタバレ》 
三島由紀夫の原作が'54年に刊行されて、同年(早っ!)映画化されているそうな。5回も映画化された中で小百合ちゃん版は2作目。こちらも百恵ちゃん版を先に観ている。原作から10年後、同じ神島でロケをしているので、文明に侵されていない村での素朴な暮らし、三島が島で見てきたものそのままが観られるというのは有り難い。 新治と初江のことが悪い噂になって広がるのも、娯楽のない閉塞な村社会らしく、海女のご意見番のお春婆が「正真正銘の処女の乳や!」と言い切った所で、噂をやめて丸く収めるしか無くなるところもまた村社会らしい。  とは言え原作未読。この映画の目玉の一つは「その火を飛び越して来い!」のシーンなのは間違いないだろう。 嵐を待ちわびる新治に対し、快晴が続いてヤキモキさせる演出、焦らされ具合を浜田光夫がオーバーにならずに演じていた。待ちに待った嵐。海の荒れ具合と、新治に湧き上がる期待の笑顔が実に良い。 雨に濡れた初江の髪が、普段のお下げと違い、グッと大人な雰囲気を出している。濡れた白いシャツから透ける白い腕もまた良い。スカートを脱ぐ初江の隅っこに、眠りこける新治の画もいいし、全裸になった二人の目の輝きがまた綺麗なんだ。  かなり力を入れた「その火を飛び越して来い!」のシーンだけど、不満が無くもない。どこかでセリフを聞き逃したのか、初江が海女をしていたのを、この後のシーンで知ったくらいだったので、嵐を待ちわびて空を見上げる初江の画も、入れてほしかったかな。。 原作に忠実に狭い監的哨内で撮ったためか、焚き火が小さい。二人の目の輝きのシーンは、焚き火越しにお互い真っ直ぐに見つめ合うイメージだから、小さな焚き火に視線を落とすのが勿体ないような。 焚き火を飛び越える瞬間と、抱き合う瞬間。スター俳優が裸で抱き合うシーンはさすがに制約もあったろうけど、台詞が無いと、何が起きてるのか分らない。 新治が嵐の海に飛び込むところも迫力が伝わらず。焚き火と荒波は潮騒の映像化の山場だと思うので、もう一つ迫力を出してほしかった、かなぁ。
[インターネット(邦画)] 5点(2022-11-20 12:03:29)
274.  フットルース 《ネタバレ》 
- Footloose - “足のおもむくまま”。 束縛もなく好きなことが出来る状態のことでしょうか? “ロックとダンスが禁止の町”なんて、このネット社会では考えにくいことだけど、身の回りで起きた問題を集落の人達で話し合い、警察権も含めてその町独自のルールを作り、みんなで守っていく。最近の画一的な街並みと、独自性のない田舎町を観ていると、それはそれで、ある意味悪くないんじゃないか?って思えてきた。  反対派のリーダーはムーア牧師で、この街のルールのキッカケはムーアの息子の事故死。抑圧されるムーアの娘。なんだけど、序盤のアリエルの車2台に跨っての自殺行為にはゾッとしたわ。過剰な抑圧は、こんな恐ろしい方法で開放されるのか。って。よく『ケンカをしたことがない子供が手加減できなくて殺してしまった』なんて聞くけど、まさにって感じ。聞き馴染みあるイントロの『ヒーロー』が掛かるトラクターレースののどかさと比べて、アレは怖い。  転校生が閉鎖的な町を変えていく物語なんだけど、基本的にレンがするのは若者への働きかけ。衝突ではなくきちんと議会で説得しようというのが、時代でもあり理想的な解決方法に思える。なにせ町の住人が良かれと思って決めたルールだから、変えるのも彼らの話し合いなのは当然。今の画一的で独自性のない街では、ルールは誰かから与えられるもので、自分たちで作るものじゃない。だから変えようがないのかも。 ルールを破らず新しい事を創造する。隣町でのダンスパーティ開催でお互いに歩み寄りを初めるのは、若者も住人も、とても大人らしい対応に思う。  自分たちでダンス会場を設営して、ワイワイ盛り上がり。開催前の若者たちの、何をどうして良いのかわからない感・手持ち無沙汰感がとても良い。 そして始まってからの盛り上がり。終盤のプロ並みのダンスを見せるこいつら何者だ?感もひっくるめての大団円。'80年代上旬の懐かしいロックがまたいい塩梅で懐かしさを感じさせてくれて、とてもスカッとする映画。
[ビデオ(字幕)] 6点(2022-11-19 22:06:43)
275.  8 1/2 《ネタバレ》 
フェリーニにとって“8と1/2作目の監督作”って意味とのこと。読み方が“はっか”なのも、知らなかったわ。若い子とDENONの読み方でお互い??マークが出たのを思い出した。 出だしの大渋滞、視線、すし詰めのバス、息苦しい出られない、開放感からのロープ。あぁ、これ夢なんだ。このあたりの“伝わる表現”は、きっと多くの人にも理解しやすく、凄いものが始まった感がした。 目覚めのシーンから温泉療法(海外の温泉お使い方が面白かったけど)のシーンへ。新しい映画の脚本を読ませた知り合いの感想『映画全体が訳の分からぬ挿話の羅列だ』が、まさに私が今見ている映画の感想。物語がどこに向かっていて、着地点も注目すべき点も意味不明で、ただ流されて観続ける感覚を覚えた。  「わっかんないわ・・・。」が観終わった感想。次から次と出てくる女。友人に家族。映画のスタッフと思わしき連中。初見、仕事の疲れもあって私は寝てしまった。翌日途中から観直そうと思ったけど、どこまで観たか思い出せず、2回めも睡魔に。この時はアサニシマサ辺りだったから、かなり早い段階でリタイアしていた。3度めでようやく完走。夢と現実、思い出が交差する複雑な構成なので、初見は戸惑うのは仕方ないだろう。複数回観ることで理解も深まりそうだけど、まだ完走一回の私にはサッパリだ。  巨大な宇宙船発射台のセット。新旧入り混じりの欲望丸出しワガママの極地なハーレム。現実が極端なら虚構も極端。 追い詰められて逃げ出したいなか、自分の意志とは関係なしに進む制作現場。逃げ道は右のポケットに入っている。自殺からの最後の大団円が、序盤の知り合いの脚本家の感想とともに、この作品が世間に受け入れられない場合の逃げ道にも思える。 でも世間に評価された。フェリーニの最高傑作とも言われる本作。 でもこんなの創っちゃって、評価もされたら、もう後戻りできなくなって、次から何を創っていけば良いのか、解らなくなりそう。
[インターネット(字幕)] 5点(2022-11-19 19:59:13)
276.  超時空要塞マクロス ~愛・おぼえていますか~ 《ネタバレ》 
マクロスはTV版放送当初から話題だったけど、如何せん日曜のお昼2時から放送していたから私はほとんど観たことなかった。お父ちゃんがNHKの囲碁見るんだよ、だから遊びにいって、観忘れちゃうんだよ。だから私にとってきちんと観たマクロスは、この劇場版だけ。 アニメを観て育った世代のアニメ作品。このアニメの影響で、アニメファン=オタクと呼ぶようになったんだとさ。 ミリタリー色の強いロボットアニメに、異業種の流行を取り入れる手法の成功例で、ガンダムがロボット+超能力(ユリ・ゲラー)ブームのミキシングだとすると、マクロスが選んだのは+アイドルブーム。飯島真理の“愛・おぼえていますか”は、イメージソングの枠を超えた劇中曲として、アニメの枠を飛び出して認知された最初のアニソンかもしれないですね。  当時の芸術的な戦闘シーンと並んで、主人公たちの三角関係が描かれますが、輝の部屋でミンメイと二人きりの時に美沙がバッタリ!とか、当時でもカビの生えたメロドラマ展開が、目の肥えた大人からは、失笑を買ったのかもしれません。“オタクは根暗で恋愛経験が乏しいから”とか“所詮アニメの恋愛描写なんてこんなモン”とか。 輝の人物像がイマイチ解らないけど、スーパーアイドルより美沙を選ぶのは、彼ら製作者側の経験の反映なんでしょうか。二人きりの生活をキャッキャとイベントのように楽しむミンメイと、(絶望度は異なるけど)泣いたりワガママ言ったりしながら、食器並べて癒やされてる美沙。コレじゃミンメイが中身スカスカに思えてしまいます。遊ぶならミンメイ、付き合うなら美沙って感じですかね。 ミンメイはシャワーシーンがあるけど、美沙はありません。その代わりマクロスが迎えに来た時の上着を着る仕草から、二人に何があったか想像させるのは、当時のアニメとしてはかなり大人な観せ方だったかもしれません。首チョンパとかは入れるくせに。  じゃあミンメイは美沙の噛ませ犬でしか無いのか?シャワーシーンで乳出しただけの女か? 私はミンメイが歌う決心をしたシーンが結構好きです。輝を諦めた、あの“間”。そして「ごめんね輝・・・私歌うわ、思いっきり!」と満面の笑顔。 あそこ演技なんですね。輝とキスしたシーンのセリフ『あんなの演技で出来んのよ、ビジネスよ。やってみせましょうか?』とおんなじ。 輝との最後に、フラレても全然平気な演技をするミンメイの健気さ。キスシーンの時の比じゃない、演技に入るまでの“間”の長さが、ミンメイの心の辛さを物語ってます。いいシーンです。『解ってくれたか』って感じに笑顔で歌詞を渡す輝がアホに見えます。 そこから一気に“愛・おぼえていますか”とマクロス・ブリタイ共同戦線の神展開。日本にMTVが本格上陸する僅か前に、このクオリティのミュージック・ビデオをアニメでやったのは凄い。
[地上波(邦画)] 7点(2022-11-16 22:26:13)
277.  Red(2020) 《ネタバレ》 
失楽園に代表される“不倫”というそもそものテーマ自体に、嫌悪感や不快感を抱く方も多いと思う。そして観た後のあまりの救われようの無さ。だけどテーマと映画の出来を切り離して考えると、良く出来た映画じゃないかと感じた。 私のハンバーグは食べないのにお母さんの煮付けは食べる夫。そんな踏みにじられた人生に我慢してる多くの主婦は、この映画に共感する反面、認めたくない気持ちも強いかもしれないし、その気持は痛いほどわかる。だって子供が…って。 塔子の前に鞍田が現れるタイミングの絶妙さとか、塔子を取り巻く男が3人なのに、絡んでくる女がゼロとか、かなりご都合主義な面も観えるけど、妻夫木聡の優しそうな微笑みと、夏帆ちゃんの透明感とクリクリした目。この2人に焦点を当てた結果の省略だろう。小鷹がもっと二枚目だと話がややこしくなるし。   「でもさぁ人間さぁ、どれだけ惚れて死んでいけるかじゃないの?」  父親は女を作って出ていったと言うが、きっとその原因は母親だろう。そんな母親の生き方を否定し、裕福な家庭の優しい旦那と結婚し、専業主婦として可愛い一人娘を育てている塔子。海外出張中の父親とは円満離婚してると、嘘をついてまで手に入れた幸せな家庭。 塔子が手に入れた人の羨む裕福な家庭は、彼女自身の求めたものではなく、反面教師と言える自分の母親が手に入れられなかったものなのかもしれない。 「今がとっても幸せ!」「…君は、変わってないな」10年前もきっと、ステレオタイプの幸せ論に満足している自分の本心を見透かされて、鞍田に奥さんが居ると知りつつ、関係を持ったんだろう。塔子の女の部分、人の男を奪いたい欲求だったのかもしれない。 今度は自分に夫が居る立場での不倫。子を持つ母親でありながら、満たされない女の部分の欲求が、10年前と変わらない鞍田を受け入れる。 「…生涯で、ただ一人好きになった人と、一緒になったこと。」だから、もう夫にとっての結婚は終わってたんだ。あとはもう夫にとって妻という存在は、子を育てて家庭の幸せを維持するための道具でしか無いんだ。ここに残っても夫の道具として、村主家の為に、じわじわ死んでいくだけなのに気がついた塔子。  「鞍田さん・・・生きましょう。」
[インターネット(邦画)] 7点(2022-11-15 22:47:21)
278.  突破口! 《ネタバレ》 
- Charley Varrick - “チャーリー・ヴァリック”主人公の名前タイトルで来たか、そう来たか。 タイトル・イメージからコミカルな強盗映画かと思いきや、ガチなクライムサスペンスでした。 アンドリュー・ロビンソンがダーティ・ハリーのさそりそのまんまの顔で出てたからもう嬉しくって。インパクトある顔立ちだよなぁ。 ちょっと欲求不満気味で妄想癖のある隣のお婆さんが、シャツをはだけて自分に向かって走ってくるハーマンに、ちょっと身の危険を感じてる仕草が可愛い。 あとアルバート・ポップウェルもチラッと出てて、ダーティ・ハリーよろしくアッサリ伸されて、そっちも嬉しかった。   のどかなオープニングからいきなりの銀行強盗。序盤から仲間が撃たれる展開に、レザボア・ドッグスが思い浮かんだ。 予定外にマフィアのカネを手に入れて…って展開にシンプル・プランを思い浮かべた。 なんかこの映画、後のいろんなサスペンス映画にちぃちょい影響を与えてる気がする。  計画がどんどん狂っていく後手後手のチャーリーに対し、追い掛けるモリーの容赦無さと嗅覚の鋭さ。 今までの作風と不釣り合いな、緊張感が有るようでないような、不思議な飛行機と車のチェイス。 最後の爆破で綺麗に絡め取る抜け目の無さ。歯医者のカルテすり替えがここで活きてくるなんて。 一件落着と、緊張の糸が解れたところで車のセルモーター。最後までハラハラさせる見事な終わり方。 こういうテンポが良くてアイデア勝負の映画って、古さを感じさせない面白さがあるよ。凄く良かった。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2022-11-13 18:26:46)
279.  陽暉楼 《ネタバレ》 
ウリらしいウリが“浅野温子VS池上季実子”のキャットファイト。前座として“倍賞美津子VS佳那晃子”。…なんだろうなぁ。美人女優たちがバァン!と太もも出して、プルン!と乳放り出して、髪掴み合って戦う様は、確かに凄まじい。 浅野VS池上は両者入場から激しい睨み合い、浅野の一方的な宣戦布告からの格下相手の前哨戦、見事な先攻ダンスパフォーマンスからマイクパフォーマンスの応戦。会場を移してのメインイベントは、皆さんお待ちかね、5分にも及ぶ場外乱闘デスマッチ。トータルおよそ14分近い熱戦がアツいアツい。上映時間100分の、実に1/10の時間をここで使ってる。 この衝突し合う珠子と房子。お座敷の芸姑と遊郭の女郎。ダイカツをお父ちゃんと呼ぶ妾と実娘。これはなかなか面白い。そして徐々に仲良くなるでなく、別れをキッカケに大親友になる展開も、ふた昔前の少年ジャンプチックで面白い。  この二人の戦い、友情、ダイカツと2人の娘の話に絞って、サクッと100分程度にしていれば、とても小気味好い作品になっていたと思うんだけど。序盤の呂鶴の死とか、お袖VS丸とか、ダイカツとお袖の過去とか、バッサリ切ったほうが良かったろうに。その代わり珠子とダイカツのここまでの過程を掘り下げるとか、忘れた頃にチョロチョロ出てくる稲宗組をもっと絡めてくるとか、出来たと思うなぁ。  ただ遊郭映画の大作として制作したために、オープニングの芸姑が大勢で移動する様子は見応えがあった。凄い。AKBとか坂道シリーズみたい。 ここに来て“あぁ、芸能界とか風俗産業って、こんな時代から脈々と今に繋がってるんだなぁ”って、今さらながらに思ったのです!やっと。 芸姑と女郎の違いって、今で言うと何だろう?華やかしいこの子たちの裏に見え隠れする暴力団って、今どうしてるんだろう?そんな気付きを与えてくれた映画でした。
[インターネット(邦画)] 7点(2022-11-13 14:44:14)
280.  旅立ちの時 《ネタバレ》 
- Running on Empty - “スタミナ切れ” なんか意外なタイトルでした。邦題のイメージとぜんぜん違う。劇中の何を表すタイトルなのかイメージ沸かない失敗した最初にタイトル調べとくんだった~ぁ 生まれ育った環境が特殊な少年の成長物語。FBIに追われ続けて14年。しかも家族4人で…って、そんな生活ってあるのかい?ちょっと想像が追いつかない。身の丈にあった想像に落としたら、交番の前の指名手配犯のポスターを思い出した。あぁ、あんな人が家族連れて逃げてる感じか…アメリカって広いな。  リバー・フェニックス。若くして才能とカリスマ性を開花させていた少年。将来絶対凄い名優になると思った矢先の、突然の死。彼の短かすぎる生涯と、この映画のダニーが被ってしまう。というか、私が勝手に映画の登場人物とリバーの私生活をリンクさせているんだろう。恋人マーサ・プリンプトンとの2度目の共演というのも、銀幕の中のリバーと生身のリバーを同じ人物のように観てしまう。まるでピーター・フォークとコロンボ。渥美清と寅さんのように。  潜伏はあくまでエッセンスであり、焦点は家族愛とダニーの成長。潜伏生活でありながら追われる身のハラハラ感が少ないのは、追うFBI側の視点が出てこないからだろう。ここに来て表に出たダニーの才能。その才が母親から譲り受けたものと解る連弾のシーンはホロリとしてしまった。 自分の足で歩き出そうとする少年と、変わることが出来ない両親。と思いきや、あのエンディングは唐突であり、無計画であり、無責任であり、父親が子に与えられる最大の愛。捨てざるを得なかった夢を子に託す母親の愛。 ダニー=リバーの人生が、これからどんどん良くなる兆しで溢れる、素晴らしいエンディングでした。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2022-11-11 22:45:46)
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