281. さらば愛しき大地
《ネタバレ》 柳町監督作品が好きだ。 中上健次と組んだ「十九歳~」「火まつり」が特に好きだ。 さて、本作は・・ モンスターのようなダンプに乗って、上から見下ろすような立ち位置が 主人公の気持ちをよく表している。 子を失った悲しみのあまり、浮気をし、やがてシャブ中になっていく。 観客はいたたまれない気持ちのまま、秋吉久美子と同じ目線で、 この根津の演じる男をただ見守るしかない。 段々ラストになるにつれ、根津の目力が変わっていくのがスゴイ。 この変化がわかりやすいように、木村拓哉にも似た目力の強い根津を選んだのではないか? 柳町監督の新作が観たい。 [DVD(邦画)] 7点(2021-09-18 16:13:53) |
282. ジェニーの肖像
《ネタバレ》 これは深い! 男と女の、普遍的のものを語っている気がして、しょうがない。 もう映画が出来て、この時点でここまで人間を描いてる話が完成してることに驚き。 これを見て育った、今や伝説になった巨匠たちの作品を見て、 我々は育っている。 物語りの本来、あるべき姿をもう一度見直すべき時ではないか? [インターネット(字幕)] 9点(2021-09-17 13:05:31) |
283. 鵞鳥湖の夜
《ネタバレ》 「薄氷の殺人」に続く、ディアオイーナン待望の新作。 犯罪者が警官から逃げて、夜の街を謎めいた女性とさまよい歩き、ついに銃撃戦のあとに朽ちる。 いわゆるフィルムノアールというやつだ。 古くは「灰とダイヤモンド」「第三の男」から始まる、魅せる映画の一つの在り方だ。 ※ただし、フィルムノアールの定義は定かではないようです。 本作も、実に渋い。 前作同様、静かなキレのあるアクションシーンで締める。 ただ、アジア映画らしく、ドタくさいのだ。 主人公が、最後、中華麺を貪り食うとこなんか、アジアンノアールなんだね。 [DVD(字幕)] 7点(2021-08-14 17:50:01) |
284. 燃ゆる女の肖像
《ネタバレ》 最初はとまどった。 エマトンプソン寄りの顔なのか、ジェレミーアイアンズ寄りの顔なのか。 ハタと気がついた。 そうか、これはLGBT女優の起用だ。 むむ、けしからん・・ しかし、これも今の時代、アリなのだ・・ 女性の想う永遠の美少年を形にした映画なので、これは高評価・・かな? 美少年ってやがて腐るから、こういう形もあり・・かな? でも、ちょっと疑問が残る。 それは、ちゃんとLGBTという形で映画にしたら、恋愛にならないものを映画にしてるから、だと思う。 キワモノ映画になるか、どうかのスレスレだからだ。 評価は、個人によって分かれるだろうなぁ・・ 個人的には、こういう題材なら、ベルトルッチの「ドリーマーズ」の方が上だと思う。 [DVD(邦画)] 7点(2021-08-14 01:19:09) |
285. 喜劇 愛妻物語
《ネタバレ》 監督は自分のことを書いたんだろうか? 面白いけど、あざとい気もする。 大久保みたいなキャラはそうそういないので、 あり得そうで、あり得なさそうで、やっぱりありそうな話。 濱田岳が最高にはまり役。 ひょっとして、この役をやるために、俳優になったのでは? と、思えてしまう。 ちょい昔なら竹中直人が演じていたところだが・・ [DVD(邦画)] 7点(2021-08-10 23:40:31) |
286. 佐々木、イン、マイマイン
《ネタバレ》 佐々木には幸せになってほしいいいい! 心に残ったぁ! [DVD(邦画)] 8点(2021-08-08 01:41:57) |
287. 幕末太陽傳
《ネタバレ》 日本映画の傑作! 女郎部屋の無銭享楽者が、そのお金を働いて稼ぐのだが、 ちゃっかりしてて、そのヤリ手ぶりで売れっ子女郎たちからもモテモテ、 その才覚で次から次へとトラブルを解決し、またどっかに行っちゃう話。 フランキー堺が見事にはまり役で、 時は幕末、異人が国内に乗り込んでくるのに一矢報いようと動く侍たちのリーダー(高杉晋作!?)に石原裕次郎。 俳優も見事なら、細かな小道具もこれまた他にない凝った造り。 監督は、女郎を活き活き描く、「女は二度生まれる」の川島雄三。 贅沢な一品。 [DVD(邦画)] 10点(2021-08-01 21:23:35) |
288. 名もなく貧しく美しく
《ネタバレ》 高峰秀子、「二十四の瞳」に並ぶ感動傑作。 聾唖者カップルの家庭の激動人生である。 健康な弟が足を引っ張るのが、スゴイ。 でも、それをこの二人は愛で乗り切る。 それが、電車の中での手話での会話。 騒がしい列車音もお構いなく、二人の間には優しいメロディが流れてたんですね。 ただ最後の事故は、キツイ・・ 僕が警備員の仕事をしていた時、声をかけてくれた通行人の人たちは、 こんな「名もなく貧しく美し」い人たちだったんだろうなぁ(シミジミ) [DVD(邦画)] 8点(2021-08-01 01:14:07) |
289. リリイ・シュシュのすべて
《ネタバレ》 [DVD(邦画)] 7点(2021-07-20 01:20:43) |
290. ある映画監督の生涯 溝口健二の記録
《ネタバレ》 興味深い! あらゆる名監督のこういうドキュメンタリーが残っていたら、 後世、その監督の映画を観直すとき、かなり分かりやすく勉強になる。 今、活躍中の監督たちのドキュメンタリーも、後世の映画ファンのために残すべきではないだろうか? それにしても何と喜々と映画について話すのだろう。 溝口の痴情のもつれから、背中をカミソリで切られるとこから、 晩年の田中絹代との噂の真相まで、実に興味深い。 田中はこう言ってる。 「(溝口は)田中絹代に自分の惚れてる女性像を演じさせて、その「女性」に惚れてる」 何より女性映画の名手が、溝口の上司の村田実が男性映画の名手だったため、 会社側から女性映画を撮るように言われてから始めたという出発点は驚きである。 「楊貴妃」では、自分の分からぬ異国の上流階級の女性を描くにあたり、 イライラが募り、美術や女優にあたっていたというのは、とても今では問題になる話である。 しかし「雨月物語」を筆頭(私はそう思っているが)に、名作を数々生み出した 巨匠の実情は、凡人の自分にはホッと一息つけてしまうのであった(笑) 追伸)伊藤大輔ファンの自分には、おお!これが伊藤監督か!という映像があるのに感激♪ [DVD(邦画)] 7点(2021-07-18 22:43:22) |
291. 薄氷の殺人
《ネタバレ》 雪国の閉塞した町。 遠い汽車の鳴らす音が、寂しさを感じさせる。 そんな地域での殺人事件である。 この雪国と汽車、これが上手く話しに盛り込まれている。 どこか「ファーゴ」を思い出させた。 何でだろうと思ったら、雪国のため、派手なアクションシーンがないのだ。 静かな町での、やはりここでも非情な男の存在のための、 貧しい男女が泣いてることから始まった話だった。 楽しみな監督が出てきた。 [DVD(字幕)] 7点(2021-07-17 15:51:14) |
292. ロング・ライダーズ
《ネタバレ》 何と言っても、デヴィッドキャラダインの、娼婦をめぐって、 インディアンの旦那と喧嘩するシーンが光っている。 口にお互いタオルのような紐をくわえて、ナイフで斬り合うのである。 ウォルターヒルの演出が光る、彼の喧嘩場面の中でも光っているシーンであろう。 ジェシージェームズという実在の強盗たちを描くことが中心で、 話は登場人物が多すぎて、冗長であるが、面白い。 [DVD(字幕)] 7点(2021-07-10 23:26:27) |
293. あしたのジョー(2010)
《ネタバレ》 物語りは、ウォルターヒルの世界観に近いBGMでドヤ街から始まる。 刑務所でのボクシング試合といい、まるでヒル監督の「デッドロック」。 おなじみの話が続くのだが、キャスティングがいいですね。 とくに香川照之の丹下は、見応えあります! [DVD(邦画)] 7点(2021-07-10 20:06:04) |
294. 無法松の一生(1943)
《ネタバレ》 下手なコメントできない。 日本映画の傑作。 何度も観たい。 [ビデオ(邦画)] 10点(2021-07-09 11:12:42) |
295. レヴェナント 蘇えりし者
《ネタバレ》 「バードマン」でもそうだったけど、アレハンドロ監督は、カメラが被写体に寄りますね。 だから、痛いシーンも自然の厳しい環境も、観客である我々にビシビシ伝わってくる。 復讐ものではあるが、見せ場は何度もひどい目にあって、そこからの起死回生である。 時にはインディアンに助けられたり、時には知恵を使って・・ それにしても冒頭のグリズリーに襲われる場面はどうやって撮影したんだろう? あと愛息子の殺される場面で自分は何もできないシーン。 ちょっと「時計仕掛けのオレンジ」のアノ場面を思い出します。(それほど酷い) [DVD(字幕)] 7点(2021-07-03 21:26:02) |
296. 雨月物語
《ネタバレ》 溝口健二、代表作である。 まだ、こんな傑作を観てなかったか、と唸ってしまった。 見事、この一言に尽きる。 田中絹代を本で調べていたら、次のような記述があった。 撮影後、溝口が森雅之に、その演技の見事さにライターで火をつけたという。 田中は「私だってうまいと言わせてみせる」と思ったらしい。 まさしくラストの霊の田中は絶品である。 以後、溝口と田中は映画界で、力をみせつけあうかのように、張り合い、 田中絹代は同年、「恋文」(未見)という映画で監督までしてみせるのである。 [ビデオ(邦画)] 10点(2021-06-30 23:35:04)(良:1票) |
297. 浅田家!
《ネタバレ》 笑いの絶えない、愛すべき底抜け親バカファミリーの ボンボンは、あの東日本でも愛を届ける、という話。 前半は、つらかった。恵まれてる家の子が簡単に 認められて、二宮君の顔が恨めしくも思えた。 ところが後半、あの東日本大震災。 二宮君のニヒルさは、いつしか飾り気のないアンちゃんのそれになっていた。 あの震災で傷ついた少女に愛を届けられるかが焦点になる。 そして、恐るべし浅田家ファミリー。 そこでの愛が愛を呼ぶからスゴイ。 実話と聞いて、素直に楽しめた。 [DVD(邦画)] 7点(2021-06-27 20:46:44) |
298. 海辺の映画館 キネマの玉手箱
《ネタバレ》 玉手箱というタイトルどおり、冒頭2時間くらい 映画のクライマックスのようなイメージの洪水が続く。 うわぁこりゃしんどいなぁと思ってたら、 ラスト1時間くらいになって、さくら隊の話で一気に話がしまってくる。 それからは、あの広島での出来事である。 あぁそういえば、監督の尾道って広島だっけ・・ 大林監督の、戦争を体験した映画監督、やり残したことないような とても重い3時間でした。 [DVD(邦画)] 7点(2021-06-26 22:16:55) |
299. 罪の声
《ネタバレ》 日本を震撼させた劇場型犯罪グ●コ・森●事件をモデルにした映画。 あのテレビで有名になった声の持ち主はどうしているか? そこからヒントを得たのであろう。 星野源の歌手とは思えぬ堂々とした演技。 そして、「日本人」のいい顔になった小栗旬。 女性の影が薄い本編なので、悲惨な人生がクローズアップされる辛さもあったが、 長時間の話があっという間でした。 [DVD(邦画)] 8点(2021-06-17 23:20:27) |
300. スパイの妻《劇場版》
《ネタバレ》 映画としては面白かったが、人間不信に陥りそうな話。 浮気を隠し通して、ついには国まで売った男の話にしか見えんのは、 俺の甲斐性なしゆえか(笑) いや~、サスペンスの神様ヒッチコック先生でも ヒロイン泣かすことはしないっスよ、黒沢監督~ それにしても蒼井優。 今の映画界で、一番体張ってる女優! スゴイです♡ [DVD(邦画)] 7点(2021-06-13 18:13:09) |