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S&Sさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2400
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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301.  火事だよ!カワイ子ちゃん 《ネタバレ》 
出てくる消防士たちが、みんなおっさんと爺さんばかりなのがおかしい。おっさんと爺さんたちが愚にもつかないことをやるところに、体制批判が込められているのでしょう。美人コンテストにノミネートされるのが、またイモ姉ちゃんばっかりで、考えてみればこれほど女優顔した女性がでてこない映画も珍しいのでは。
[DVD(字幕)] 6点(2009-05-30 17:59:44)
302.  黄色いロールスロイス 《ネタバレ》 
いかにもイギリス映画らしくて洒落ていました。やはり自分は2話目のエピソードが好きです。マフィアの親分にするか、いかにもすけこましのイタリア男についてゆくかってのはある意味究極の選択ですが、シャーリー・マクレーンの選択はあれで良かったのですよ。あと、1話目のジャンヌ・モローの浮気を知った後のさびしそうなレックス・ハリスンが哀愁を漂わせていて良かったです。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2009-05-23 14:00:33)
303.  日曜はダメよ
これはもう光輝くメリナ・メルクーリと、有名な主題歌を楽しむための映画です。他のギリシャ人(?)俳優も活き活きしていて気持ちが良いです。ジュールス・ダッシン自身が演じる主人公ホーマーだけはミス・キャストですね。彼の演技はなんかわざとらしくて浮いていると思いました。この役をコメディセンスがある俳優がやったらもっと面白くなったんじゃないかな。
[ビデオ(字幕)] 6点(2009-05-16 10:05:50)
304.  将軍たちの夜 《ネタバレ》 
ピーター・オトゥールとオマー・シャリフという「アラビアのロレンス」の二人が第二次世界大戦中のドイツ軍将校を演じています。そういやプロデューサーのサム・スピーゲルと音楽のモーリス・ジャールも一緒ですね。お話は戦争映画と言うよりはミステリーサスペンス映画と思った方が正解です。ピーター・オトゥールが演じる将軍が犯す売春婦殺人事件を、戦中はオマー・シャリフが演じるドイツ軍将校、戦後はフィリップ・ノワレが演じるフランス警部が追い詰めていくというのがストーリーです。特筆すべきはピーター・オトゥールで、変態将軍を実に不気味に演じています。その反面オマー・シャリフはどう見てもミス・キャストで、ドイツ軍将校らしくないのが残念です。大量殺人が横行している戦時中に売春婦殺しを執拗に追いかけるオマー・シャリフは、この脚本では雑すぎて観客を納得させられません。オマー・シャリフが属する国防軍と、武装親衛隊の将軍ピーター・オトゥールとの対立という見方もできなくはありませんが。
[ビデオ(字幕)] 6点(2009-04-03 22:27:54)
305.  戦艦バウンティ
1789年に起こった史上名高いバウンティ号反乱事件の3度目の映画化です。バウンティ号反乱事件は1933年に「In the Wake of the Bounty」(日本未公開)、1935年「南海征服」、1984年「バウンティ/愛と反乱の航海」と4回も映画化されています。英国庶民にはこの事件は人気があるそうで、日本人の「忠臣蔵」好きと共通するものがあるそうです。監督は「西部戦線異状なし」のルイス・マイルストンで、この作品が彼の最後の監督作です。大作だけあって、史実に基づき建造されたバウンティ号とかタヒチでロケとか見るべきものがあります。ドラマはブライ艦長とクリスチャンの葛藤が軸になって展開するのですが、キザな伊達男という設定のクリスチャンが艦長の暴虐に怒りをおぼえ、性格がかわったように反乱の指揮をとるようになるのが面白いです。二人の関係は、吉良上野介と浅野内匠頭と言えば分りやすいですね。リチャード・ハリスが水夫ミルズを好演して盛り上げています。この作品撮影時のマーロン・ブランドはわがまま放題で、監督・プロデューサーの苦労は伝説になっています。そしてすっかりメジャーから嫌われて、この後マーロン・ブランドは「ゴッド・ファーザー」まで大作には声がかからなくなりました。
[ビデオ(字幕)] 6点(2009-03-19 11:35:07)
306.  マーニー 《ネタバレ》 
プロットとしては殺人も起こらないしスパイも出てこない、ヒッチコックとしては珍しいタイプの作品、おっとそういや回想シーンでブルース・ダーンが殺されていましたね。製作された64年は、ショーン・コネリーにはジェームズ・ボンドとしては『ゴールドフィンガー』の時期。でもこの年には本作以外にも『丘』や『わらの女』にも主演していて、彼もジェームズ・ボンドを演じるのに嫌気がさして来ていた頃だったんじゃないかな。でも本作での彼は、ボンドとはまたイメージが違う色男ぶりを見せていて感心しますが、どう見てもアメリカ人には見えないのが玉に瑕かな。マーニー役に未練がましくヒッチコックはとっくに引退していたグレース・ケリーを希望していたそうですが、そりゃ当然断られますよ。代わりにというかティッピー・ヘドレンが『鳥』に続いて起用されたわけだが、撮影中ずっと険悪だった二人の関係は、映画史に残るようなトラブルになってしまいました。 殺人やスパイのサスペンス色が希薄なんですが、ヒッチコックにしては妙に理屈っぽい映画に仕上がってしまった感は否めません。コネリーのキャラは会社経営のボンボンというより、まるで精神分析医にしか思えない言動なんで違和感が濃厚です。なんでも原作小説ではサブ・キャラとして精神分析医が存在していたそうで、それを脚色段階でコネリーが演じるキャラに統合してしまった結果みたいです。そうは言ってもその精神分析はけっこう雑でとってつけた感がアリアリで、ティッピー・ヘドレンの幼児期のトラウマがなんで成人してからの盗癖に結びつくのかは説得力に欠けています。まあ彼女の演技には文句をつける余地はなかったですけどね。 恒例のヒッチコック御大のワンカット出演、いきなり部屋から出てきてしかも一瞬ながらもしっかりカメラ目線を決めてくる、いくら何でも調子に乗りすぎだよ(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2024-05-09 22:28:21)
307.  オーシャンと十一人の仲間 《ネタバレ》 
御存じ『オーシャンズ11』の元ネタ。フランク・シナトラと言えば「スターよりもマフィアになりたかった」と言ったという伝説もあるくらいで、そんなマフィアとズブズブだった彼じゃないと実現できなかったストーリーです。60年代のラスベガスは実質マフィアの直轄地みたいな場所だったそうで、そんな物騒なところのカジノが一斉に強奪されるなんて普通の映画人が撮ったらマフィアが黙っているわけがない、仲間内のシナトラ(襲われるカジノの一つサンズは実はシナトラが当時オーナー)のおふざけとして大目に見られたんじゃないかな。 ソダーバーグ版との比較で大きな違いと言えるのは、ダニー・オーシャンがプロの犯罪者ではなくて退役軍人でチョイ悪ぐらいの男、そのダニーがかつての戦友たちを集めてグループを組むというところでしょう。彼らは第82空挺師団の所属だったという設定ですが、エリート部隊だった空挺師団に黒人のサミー・デイビスJrがいたというのは、ちょっと不自然。まあシナトラ一家総動員のこの映画にサミー・デイビスJrが出ないわけはないし、黒人差別意識がなかったというシナトラらしいとも言えます。正直言って11人のキャラ分けがきちんとできていたとは言えず、半分ぐらいは名前どころかキャラさえ見分けがつかないぐらいです。こういうところはソダーバーグ版の方がはるかにしっかりしていたと思います。黒幕のエイキミ・タミロフはこの映画に必要なキャラだったのかは疑問だったし、アンジー・ディキソンらの女優陣も有機的な効果をストーリーに与えていなかったと思います。でも所々にシャレた展開もあるのは、ビリー・ワイルダーも脚本に参加していた功績なのかな。ラストの展開はやはりヘイズ・コード(犯罪は成功してはいけない)が生きていた時代だから仕方なかったかもしれないけど、ソダーバーグ版の様な爽快なカタルシスとは比べるべくもなかったかな。 まあ言ってしまえばシナトラの肩の力を抜いたおふざけ映画と見るしかないけど、そんな目くじら立てるほどのことはないかと思います。あと一目で彼の作と判るソウル・バス謹製のタイトルバックは、現代でも通じるようなシャレた逸品でした。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2024-05-03 22:01:39)
308.  クレオパトラ(1963) 《ネタバレ》 
“映画史上空前の失敗作“としてその名も高い本作、でも意外なことに世界中で大ヒットしてその年のNo.1の興行収入をあげていますが、20世紀フォックスは製作費の半分も回収できなくて社運が傾いて撮影所を売却する羽目にまで陥ります。当時の日本円で143億も製作費が掛かってたら(現在の貨幣価値では幾らになるんだろう…)、そりゃあ利益が出るわけないですよ、ここまで来ると不条理の世界です。金が掛かった原因は監督の交代から始まってエリザベス・テイラーとリチャード・バートンの不倫スキャンダル諸々で撮影期間が四年近くになったこと、ゴタゴタが続いて苦労して完成させた映画は報われない、というジンクス通りになっちゃったわけです。やはりこの映画で「カネかかってるなー」と唸らせてくれるのは、クレオパトラのローマ入城とクレオパトラが船でアントニウスを訪ねて来るシークエンスでしょうな。入城シーンはあまりの壮大さにバカバカしくなってしまうほど、船なんて巨大なガレー船を建造して撮影しているぐらい、もっとも遠景に映るのはどう見ても撮影当時の地中海沿岸の街並みでしたけどね(笑)。クレオパトラの衣装も豪華絢爛の極み、でもなんか現代風のオスカー受賞式で観られるようなドレスが多かった気がします。そう言えば宮殿内の机やソファーなどのインテリアも妙にモダンな感じだったのも違和感があり、考証的には他にも首を傾げるところがありました。 四時間の長尺ですけど、開幕から一時間余りがカエサルとクレオパトラ編、残りがアントニウスとクレオパトラのストーリーという感じで、リチャード・バートンは前半にはまったく登場しません。そういう面ではカエサル編とアントニウス編ではまったく違う映画の様な印象さえ与えかねないところですが、当初の構想ではカエサル編とアントニウス編は別々の映画として合わせて六時間という企画だったのを一本に纏めたそうです。正直なところカエサル=レックス・ハリソンの実に堂々とした演技が光り、肝心のアントニウス編になると単なるメロドラマというテンションになってしまいます。あとクレオパトラの子供がカエサリオンだけでアントニウスとの間に設けた子供が存在しないかのような描き方は、史実とは大幅に相違しています。バートンはアレキサンダー大王を演じているのを観たときも感じましたが、史劇になると妙に大芝居をするようになって持ち味を殺してしまうんじゃないかな。 とは言え歴代クレオパトラ女優の中でもやはりエリザベス・テイラーは別格、まさにクレオパトラのアイコンに相応しいと思います。当時彼女は31歳の女盛り、脱ぐわけじゃないですがあの豊満な乳には視線が釘付けにされてしまいます。パスカルには「クレオパトラの鼻がもう少し低かったら…」という有名な言葉がありますが、テイラー=クレオパトラを観ていると「クレオパトラがもし貧乳だったら、歴史が変わっていただろう」と言いたくなりました。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2024-01-04 22:24:39)
309.  シシリーの黒い霧 《ネタバレ》 
イタリアの戦後史に疎いこちとらには、この映画の背景なんてさっぱりでございました。シシリーといえばマフィアの本場ってぐらいの知識はありましたが、第二次世界大戦後にシシリー島に独立闘争があったなんてこの映画で初めて知ったぐらいです。まあ簡単に言うと、山賊からその独立闘争の武装勢力のリーダーになったジュリアーノという男がいて、彼が闘争が収まってからもマフィアと組んで共産勢力を虐殺して憲兵隊に追われる身になり、挙句の果てには射殺死体で発見されたという事です。ジュリアーノ一味の残党はその後に皆逮捕されてメーデー虐殺事件の裁判にかけられますが、その裁判の推移とジュリアーノ生前の活動が交互に描かれるので注意して観ないと何が何だか判らなくなっちゃいます。ジュリアーノは冒頭で死体となって登場するのですが、面白いことにその後の過去のシークエンスでも彼が部下たちの近くにいることは暗示されますが決して画面に映されないところです。終盤で仲間に射殺されるところでも部屋は真っ暗で姿を見せず、二言三言のセリフが辛うじてあったぐらい、これがジュリアーノ役の俳優が発した唯一のセリフでした。イタリアン・リアリズモの系譜に繋がる監督らしく音楽もほとんど使わずに徹底的なドキュメンタリー調、イタリアの政治情勢に詳しくないとそのリアリズムが仇となって余計に難解なストーリーに感じられます。それでもジュリアーノ一味壊滅のために村の男性を軒並み連行しようとする憲兵隊に女性たちが抗議に押し寄せるシークエンスは、迫力と緊迫に満ちた映像でした。しかしながらラストで射殺された男はいったい誰?と最後まで惑わされる映画でした。因みにあるレビューによるとその男はマフィアのボスだという事ですが、普通に観ていりゃそんなん判るわけないだろ!
[CS・衛星(字幕)] 5点(2023-12-11 21:54:01)
310.  女と女と女たち 《ネタバレ》 
そりゃもうシャーリー・マクレーンを愛でるための映画ですけど、他の出演陣も豪華絢爛。ピーター・セラーズ、ロッサノ・ブラッツィ、ヴィットリオ・ガスマン、アラン・アーキン、マイケル・ケイン、フィリップ・・ノワレ、そして写真だけの出演だけどマーロン・ブランド!女優だってエルザ・マルティネリにアニタ・エクバーグですからね。マクレーンのコスプレは地味な普段着からピエール・カルダンのドレスまでキャラも含めてまさに七変化。演じる役柄も未亡人や夫の不貞に狂乱する主婦そしてオペラ座にボックス席を持つ社交界の花形夫人など、演じていないキャラは政治家と娼婦ぐらいなもんです。パリが舞台でロケ撮影がパリの街並みの色んな表情を捉えていますが、カラー撮影も色彩鮮やかです。でも尺の長短はあるけど、残念なことに各エピソードのオチがイマイチ弱いんですよ。ひとりの女優が別キャラを演じるオムニバス形式としては同じデ・シーカが撮ったソフィア・ローレンの『昨日・今日・明日』がありますけど、脚本家も同じなんだけど映画としてはかなり落ちる出来かな。やっぱ7エピソードと言うのは多すぎで、三つぐらいが妥当だったのかな。それでも印象深かったのはアラン・アーキンとの二人芝居を繰り広げる第六話『心中』で、唯一苦笑する様なオチがあったエピソードでした。あと最終話『雪の日』もしっとりしたお話し、セリフなしだったがマイケル・ケインは良かったな、これはキャロル・リードの『フォロー・ミー』の原型の様なストーリーでした。
[DVD(字幕)] 5点(2023-12-02 22:58:26)
311.  緯度0大作戦 《ネタバレ》 
東宝特撮映画には日米合作として製作されたものがあるが、本作はその最後の作品。合作と言っても独立系プロダクションが相手の場合が多くていろいろと難儀させられることもあり、本作なんて製作中に相手方が倒産して撮影中断、その為に複雑な権利関係になってしまい長い間ソフト化されませんでした。またこの映画が円谷英二と本多猪四郎の最後のコンビでもあります。 ストーリーは言ってみれば『海底二万哩』と『ドクターモローの島』を足して二で割ったような感じ。日米合作東宝特撮では欠かせないハリウッド俳優の出演も、ニック・アダムス、ラス・タンブリンに続いてリーチャド・ジェッケル、シーザー・ロメロ、そしてついに名優ジョセフ・コットンの出演と相成りました。ロメロの愛人役のパトリシア・メディナに至ってはコットンの当時の妻ですからね。アメリカ側プロの倒産で東宝が出演料を肩代わりさせられ、製作費のかなりの部分がこれらのハリウッド俳優のギャラに消えてしまい東宝はもう踏んだり蹴ったり、そりゃ合作を今後やらないとなるのも当然かも。特撮は円谷英二の最晩年ですからレベルとしてはほぼ頂点、冒頭の海底火山の噴火なんてこれがCGじゃないなんて信じられないぐらいです。緯度0という秘密世界の設定も荒唐無稽さが東宝特撮の中でもほとんど頂点、19世紀初頭の人間が200歳近くになっても普通に生きているというところなんかも謎めいていてグッド。当初の脚本では「緯度0の1日は地上の50年に相当する」という説明があったそうですが、それじゃいくら何でも計算が合わない、1年だと地上の18,250年になっちゃいますからね(笑)。でも登場する改造動物の造形はちょっとセンスが悪すぎ、まああんまり意味がないキャラ達だったとしか言いようがない。 やはり物議をかもしそうなのがあのラスト、リチャード・ジェッケルのラリッたあげくの妄想もしくは夢オチかなとも解釈できるような不思議な幕の閉め方です。でも私はこういう遊び心に満ちたような脚本は好きです、これぞ関沢新一の脚本らしさが出ていたと思います。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2023-11-27 23:24:05)
312.  カモとねぎ 《ネタバレ》 
森雅之がボスで高島忠夫と砂塚秀夫が子分の詐欺師グループ、競艇場でスクリューを曲げるいかさまで大穴配当金300万円をせしめるのに成功するが、コケティッシュな娘・緑魔子に尾けられて持ち逃げされてしまう。キャバレーで働いていることを突き止めて拉致するけど、亭主の保釈金に300万使ってしまったので手元にないと言い訳、保釈金が戻ってくるまでという前提で彼女も仲間入りすることに。 というお話しなんだけど、この映画は森雅之の怪盗ルパンばりの変装芸を愉しむのが正解でしょう。最初は悪戯程度の詐欺からだんだんスケールが大きくなって最後は大企業から3,000万円を脅し盗るところまで行くけど、毎回毎回色んな変装で登場します。変装するのは彼だけじゃなく高島や砂塚もヘンな感じの化け方なのが面白い。森雅之は緑魔子と同じ屋根の下で寝起きする羽目になるけど誘惑には全く反応しないのに、ロングヘアーの女性にはパブロフの犬みたいに条件反射してしまうのがちょっとヘン、でもダンディーで軽妙な演技は名優の違う一面が観れた感じでお得です。でもこの四人の中でやっぱいちばん眼を引くのは、緑魔子でしょうね。彼女がこの当時の東宝作品に出るのは珍しく、東宝女優にはないエロチシズムを振りまいていましたし、彼女の変装もこの人の色んな魅力が観れて良かったと思います。詐欺専門のレンタル屋さんの小沢昭一やおばさんになりかけた頃合いの山岡久乃も面白かったかな。 まあ全体に他愛もないコメディなんですけども、クレイジーキャッツやドリフの映画を手掛けた松木ひろしらしい脚本でした。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2023-10-15 21:00:18)
313.  引き裂かれたカーテン 《ネタバレ》 
ジェームズ・スチュアートやケイリー・グラントそしてグレース・ケリーとは疎遠となり、いい意味でも悪い意味でも迷走していた60年代のヒッチコック、女優以上にヒーロー男優に迷いがあった感があります。『マーニー』のショーン・コネリーに続いてついに大物ポール・ニューマンが起用することになった次第です。そりゃあニューマンにはヒッチコック作品に呼ばれることには不満はなかったでしょうが、“若き天才物理学者”というキャラには正直いって合ってなかったような気がしてなりません。ヒッチコックには冷戦スパイものというべきいくつかの作品がありますが、本作を含めてどれもイマイチなんですよね。言ってみればこの映画でのニューマンは亡命者を装った二重スパイというわけなんですが、米国の国防兵器の開発に携わっているような科学者が危険な任務を引き受けるようになる動機というか必然性が見えてこない。まあ言ってみれば素人スパイなわけで、タクシーに乗って工作員に会いに行くシークエンスなんて東独当局にバレるのは当然と言えば当然です。ここで監視役を殺してしまうことで後半のハラハラ・ドキドキに繋がるわけだけど、この殺し自体がなんか雑な展開な感が拭えません。東独の科学者から数式を聞き出すところも思ったよりあっさり感が強くて、ここをもっと凝った展開にしたら違ったサスペンスが生まれたんじゃないでしょうか。脇はほとんど西ドイツの俳優が起用されていて仲間内では当然ドイツ語で喋っているのでニューマンがドイツ語を解しないという設定はリアルさがあるんですけど、さすがに劇場で「火事だ!」という英語の叫びにドイツ人の観客がパニックになるというのは、ちょっとアレでしたね(笑)。ニセ路線バスと本物のバスとの接近遭遇など随所にヒッチコック流の盛り上げが健在でしたが、全体的にサスペンス映画としては緩すぎです。 考えてみれば、本作がヒッチコックのフィルモグラフィで最後の大物男優の主演作でした。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2023-07-28 22:37:13)
314.  兵隊やくざ 大脱走 《ネタバレ》 
本作まで常に部隊からの脱走を繰り返してきた有田と大宮なんですが、ソ連軍が満洲に侵攻してきたご時世となり身の安全を図るために自ら部隊に紛れ込むようになったのが面白い。まあその部隊はソ連軍に急襲されて全滅、生き残った彼らが今度は将校コスプレして通りすがりの部隊に潜り込むという展開。つまりサブタイトルに『大脱走』と銘打っているけど、本作では彼らはお得意の部隊脱走はやらかさないという新パターンで、『大脱走』とはクライマックスの保護した避難民を連れての脱出劇のことなのかと思います。 ソ連侵攻が始まっているとはいえ平常時と変わらない兵営生活を送っているところは「そんなのあり?」と違和感がありましたが、玉砕前提の捨て駒兵力として残置されているのでみな達観していると受け取ることもできるでしょう。本作では有田=田村高廣の存在感が高くなっているストーリーテリングのような気がして、偽中尉・有田の堂々たる指揮ぶりは惚れ惚れさせられました。でも “有田と大宮=勝新太郎の同性愛的な関係”というこのシリーズの裏テーマは健在で、慰問団の娘=安田道代と一夜を共にして帰ってきた大宮に嫉妬ともとれる視線を注ぐ有田の姿に象徴されていました。 そしてシリーズ前半の最大の悪役である青柳=成田三樹夫が再登場するわけですが、なんと脱走目的で憲兵から歩兵の上等兵に化けているというサプライズ。「お前らはバカか、脱走するには兵士が最適なのにわざわざ士官に化けるなんて」と嘲笑する青柳の言葉は、なるほど真理を突いていますね(笑)。この偽兵士・将校の三人組が今度はどんなバトルを見せてくれるのかと思えば意外にも最後にはすっかり善人と化してしまった青柳、拍子抜けさせられました。 本作は前半と後半ではストーリーの繋がりが悪い感じがするのが難点。どうせ成田三樹夫を再登場させるなら、もっと絡ませる脚本にしたら良かったのにねえ。
[試写会(邦画)] 5点(2023-05-04 17:31:09)
315.  続・兵隊やくざ 《ネタバレ》 
前作ラストで機関車を強奪して脱走したかに見えた大宮と有田、その機関車がゲリラに爆破され負傷して病院送り、原隊はフィリピンに転進した後なので地元の部隊に編入、つまり軍隊生活に逆戻りというわけです。前作以上にその部隊は陰湿で、こうやって見ますとまるで刑務所ものみたいなお話しですね。大宮=勝新太郎の石頭ならぬ石面、ビンタを喰らわす相手が手を痛めるという大宮の得意技(?)はこれからも定番になりそうです。大宮が惚れた看護婦=小山明子にアソコの毛をお守りにねだるのですが、本来脚本では石鹸を所望するとなっていたのを勝新が毛に変えさせたそうで、さすが勝新、大宮というキャラを二作目にして完全にモノにしています。物語自体はちょっとやり過ぎというぐらいに大宮と有田が暴れまわった挙句に今度はトラックを強奪して脱走という前作を踏襲した幕の下ろし方でしたが、続編としては勝新と田村高廣のキャラを定着させて次作に繋げる手堅い出来かなと思います。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2023-02-28 00:52:02)
316.  パリで一緒に 《ネタバレ》 
脚本家がストーリー作りに四苦八苦してそのアイデアというか妄想が劇中劇として展開されるというプロットは映画やドラマでときどき見かけますが、元祖は本作だったんですね。と思いきやこの映画はジュリアン・デュヴィヴィエの『アンリエットの巴里祭』のリメイクなんだそうで、始祖はデュヴィヴィエということになりますね。デュヴィヴィエの方は未見ですけど、パリ祭=革命記念日の出来事というのが共通点ですが、二人の男性脚本家が主人公というところからして違っていますね。本作もパリを舞台にしていますが所々で当時映画界を席巻していたヌーヴェル・ヴァーグへの皮肉めいたセリフがあったり、ハリウッドの楽屋オチというか脚本家稼業の自虐ネタで笑わせるというのがコンセプトみたいです。ウィリアム・ホールデンは中年の危機にぶつかって崩れかけていたころでしたが、オードリー・ヘップバーンはその全盛期の真っ只中ですから見惚れてしまいます。ギャグと言えばトニー・カーチスを徹底的にコケにするところが最高で、こんなキャラでも嬉々として(?)演じるカーチスはほんとイイ人なんだなあ(笑)。フランク・シナトラやマレーネ・ディートリッヒの贅沢な無駄遣いはさすがハリウッド映画という感じでしたが、カメオ出演のメル・ファーラーはいくらノン・クレジットとは言ってもあれじゃ誰だか判りませんよ。やろうと思えば徹底的にアヴァンギャルドな方向に持っていけるコンセプトなんだけど、そつなくこじんまりと纏めてしまったのは残念なところ、メル・ブルックスなんかに監督させたら面白かったろうなと妄想してしまいます。 昔読んだ映画の名セリフを集めた本に「『フランケンシュタイン』と『マイ・フェア・レディ』は同じ物語だ、終わり方は逆だけどね」という名言が載っていたんですが、これは本作で使われたものだったんですね。でもヘプバーンもまさか翌年にジュリー・アンドリュースを押しのけて『マイ・フェア・レディ』で主演するとは夢にも思わなかったでしょうね。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2022-09-21 21:56:04)
317.  釈迦 《ネタバレ》 
日本初の70ミリ映画として有名だけど、最近はあまり語られることのない寂しい超大作でもあります。熱心な日蓮宗(あの宗教団体ではない)信者であった大映社長・永田雄一としては、やはり“自分がやらなきゃ誰がやる”という感じのテーマであったのは確かです。イエス・キリストの生涯を描いた映画は古今で数多製作されていますけど、マホメットを画像・映像化することがご法度であるイスラム教は別にしても、お釈迦様を正面から映画化したのは浅学ながら本作しか知りません。 製作費が七億円というのは確かに破格の超大作で、現代の貨幣価値でいうと何十億ということになりますかね。でも七億円というのは永田雄一お得意の大ぼらで、実際には一億七千万程度というのが真相みたいです。70ミリ撮影と銘打っていますが『スパルタカス』で使われた35ミリビスタビジョン・カメラをパラマウントから払い下げてもらい、それに圧縮レンズを装着して撮影して現像時に70ミリに焼き付ける“なんちゃって70ミリ”方式だったみたいです。でもそのカメラは重量860キロもある代物で、おかげで見せられるのは演劇公演の舞台映像みたいに動きが極端に少ない映像になってしまっています。 美術やセットには確かにカネをかけているのは判りますが、問題なのは脚本です。この映画では本郷功次郎演じるシッダ太子よりもダイバダッタの勝新太郎の方が目立ちすぎちゃってるんですよ。なんせ本郷は開始二十分あまりのところで悟りを開いて仏陀になってからは、影や遠景で存在を示しているだけでまったく画面に登場しないんですから!まるでマホメットの映画を見せられているみたいです(笑)。対する勝新は座頭市になる直前のキャリアで、『マグマ大使』のゴアみたいな風貌の悪役王子を熱演しています。ストーリー自体も史実を改変しているのは良しとしても、釈迦入滅後のエピソードまで同時代の出来事としたりして、要は詰め込み過ぎなんです。出演者はまさに大映オールキャストで豪華絢爛、雷蔵の義父である市川壽海まで登場するのは珍しい。 まあ言ってみると特撮スペクタクルは期待するほどでもなかったし、文字通りの“説法映画”というわけでした。これを70ミリスクリーンで観ればまた印象も違ってくるのかもしれませんが、現在70ミリスクリーンで上映できる映画館なんて日本にあるんかね?
[CS・衛星(邦画)] 5点(2022-04-20 23:27:02)
318.  キングコングの逆襲 《ネタバレ》 
東宝創立35周年記念大作!五年前の30周年は『キングコング対ゴジラ』、東宝特撮どんだけキングコングが好きなんでしょうか。 どうも本作は同年に放送されたアニメ版『キングコング』シリーズとコラボレーションなのか共通点が多く、アニメ版も実は日米合作で東映動画が製作しています。設定はもちろん違うけど、悪役はドクター・フーでヒロインはスーザンが名前というのも被ってます。そして今までのキングコングのイメージを一新するような人間の味方的なキャラ付けになっているのも両者の特徴。 コングの造形は、『キンゴジ』に比べれば体型がオリジナル・コングに近くなっているけど、よく見れば顔は相変わらず不細工です。特に眼つきがヘンで、視線がどこに向いているのか判りにくいのがなんかおかしい。でも敵役のメカニコングは東宝特撮に登場するロボット怪獣ではピカイチの造形美、コングの特徴を巧みにメタル化させた秀逸なデザインじゃないでしょうか。メカニコングは『地球防衛軍』のモゲラと同様の土木作業用ロボットという設定、本格的な敵役ロボット怪獣はメカゴジラまでいなかったんですね。モンド島のやられ役は、大ウミヘビは別にして、ゴロザウルスはCG登場以前の恐竜造形としては出色の出来栄え、ハリウッドのストップモーション恐竜も負けてるんじゃないかな。「怪獣の流血を見せたくない」という円谷英二の拘りで泡を吹くゴロザウルスの断末魔になったのは割と有名なエピソードですが、同時期のガメラ・シリーズが“怪獣スプラッター映画”化しているのと比べてみると東宝と大映の製作カラーの違いを感じさせられます。体長20メートルのコングに合わせた縮尺のミニチュアセットは東宝特撮の絶頂期だけあって完成度は高いですけど、一部に過去作の特撮カットが挿入されていたのはちょっと残念でした。 本編はこれまたユニークな脚本で、“南海の王者”のはずのコングを北極に連れてくるという発想には驚き。そしてドクター・フーの組織が巨額の資金を投じてメカニコングまで製作してシャカリキになっているのが鉱物採掘と言うのが、なんかぶっ飛んでますね。メカニが役立たないから本家コングを拉致してくるという発想ですが、これじゃブラック企業でこき使われる社員じゃないですか。だいいち、なんで北極に大地があるの?(アラスカかシベリアの北極圏というなら判らんでもないが) 本編での見せ場はやはり浜美枝のマダム・ピラニアということでしょうね。彼女は『キンゴジ』でもヒロインだったし、東宝には“浜美枝=キングコング”という方程式でもあるんでしょうかね(笑)。登場シーンの衣装はすべて違うし、北極アジトの中にラウンジ風自室を作らせてカクテルドレスを纏って色仕掛け、『二度死ぬ』なんかよりずっとボンド・ガールぽかったです。それにしても彼女、どこの国の工作員だったのでしょうか。「中国・タイ・ヴェトナム・ビルマ、そのどこの国でもないね」というドクター・フーのセリフがありましたが、まさか北朝鮮?
[CS・衛星(邦画)] 5点(2021-11-07 21:58:28)
319.  H.G.ウェルズのS.F.月世界探険 《ネタバレ》 
いくら原作がH・G・ウェルズといっても書かれたのは1901年、そりゃツッコミどころは事欠かないわけです。でもこの映画のストーリーテリングの巧みなところは、プロローグとエピローグに現代の月面探査シークエンスをおいて1899年と1964年を上手くつなげた脚本だと思います。ハードSF的な現代といかにも19世紀的発想のウェルズ小説のプロットが同じ時空間で繋がっているというのは、考えれば摩訶不思議な世界ですけどね(笑)。でも、同時代のメリエスが砲弾で月に到達するという『月世界旅行』を撮っていた時代に、「重力を遮断する物質」を推進力にして月まで到達するカプセルというプロットを考えつくのは、さすがウェルズですね。カプセルの中ではハンモック(?)に捕まって操縦、宇宙服が単なる潜水服で手の部分だけは手袋もなくむき出しなど、大喜びでツッコんじゃいます。ここら辺は原作通りなのかもしれませんが、映画自体がコメディ調なので文字通り笑って済ませることがお勧めです。月面の地下に広がる月面人の世界と遭遇してからは、ハリーハウゼン御大の手堅い仕事も確認できます。マントみたいなものを被った月面人は『スター・ウォーズ』に出てくるジャワを思い出させてくれますが、巨大な芋虫(原作では「月牛」と呼ぶらしい)はやっぱ強烈な印象を残してくれますね。芋虫のくせに脊椎骨格を持つ奇妙な奴、月面では生物が独自の進化を遂げたという言い訳はあるでしょうけどね。ここは原作通りなのか単に製作陣が生物学に無知だったのかは、追及しないようにいたします(笑)。終盤でカボールがやけに咳き込むなと思ったら、ラストは『宇宙戦争』と同じオチ。「ウェルズ、ネタの使い回しかよ」と思ったらこれはこの映画のオリジナル、まあ悪くないアイデアだったと思います。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2021-10-11 22:11:26)
320.  徳川いれずみ師 責め地獄 《ネタバレ》 
東映“異常性愛路線”といえば言わずと知れた石井輝男、この路線で彼が監督した作品中では本作がもっとも有名なのかもしれません。もっとも本作のプロットはオムニバスだった『徳川女刑罰史』の一エピソードを拡大再利用したものなので、この頃にはさすがにネタ切れ状態だったみたいですね。それにしてもこの“異常性愛路線”は末期とはいえ60年代の製作、日活がロマンポルノ専門になる前ですから東映というか制作本部長だった岡田茂のえげつなさは相当なもんです。 ストーリーもぶっ飛んでます。将軍が綱吉だった時代の二人の刺青師(吉田輝雄と小池朝雄)が腕を競い合うという設定なのに、話が進むうちに長崎・出島が舞台に変わってしまいます。二人は遊郭に所属して遊女に刺青を彫っているので、そりゃハダカは飽きるほど観れます。タイトルバックの処刑シーンも唐突感が拭えませんでしたが、この遊郭はSMクラブでもあってやたら遊女を吊って痛めつけるシーンが多いんです。刺青はそりゃ絵でごまかせますけど、当初の主演女優がきつすぎて失踪したぐらいですから、この吊り責めシーンはマジで撮影してたみたいです。助監督たちが抗議行動を起こして天下の朝日新聞がキャンペーンを張ったぐらいですから、まさに大炎上です。悪役の旗本がなぜかおしろいを塗ったキャラだったり女囚の中に女装した大泉滉と由利徹が交っていて声だけは女優が吹き替えしているなど、「?」がいくつも並ぶところが多々あります。出島のシークエンスもかなりぶっ飛んでいて、まるで香港か上海租界みたいなところでそこには怪しげなカスバみたいなマーケット(?)があるんです。『黄線地帯』で神戸にカスバを出現させた石井輝男ですが、本作の出島カスバの方が造りこみや不気味さは上を行っています。笑っちゃったのはラストの商館でのシーンで、なんと江戸時代なのにこの館は壁のスイッチで照明が点灯できるんです! ラストカットの娼館女将の又裂きの刑も強烈でしたが、ハチャメチャなお話しをサービステンコ盛りでとりあえず観れるものにしちゃうのは石井輝男の力量の成せる技としか言いようがないですね。封切時はコケたけど、近年では海外やサブカル界隈で評価が上がってきたそうですが、そんな熱を込めて褒めるような映画じゃないのは確かです。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2021-03-24 22:48:43)
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