321. ナチュラル・ボーン・キラーズ
この監督がメディアを通じて問題提起をし、世間に対して訴えていくというやり方は天才的と思えるがそういったやり方が私は嫌いだ。やっていることは意見の押し付けであって観客を置いてきぼりにしている、という不親切さもあるし何より役者を使ってやる事ではないだろう。この映画では役者が力演をしている分かわいそう、とも感じてしまう。 [映画館(字幕)] 2点(2006-04-17 03:12:20) |
322. ロシュフォールの恋人たち
ジャック・ドゥミの夢の結晶。そしてミシェル・ルグランの最良の仕事。これを映画館で見る事が出来たのだから最高としか言いようが無い。 [映画館(字幕)] 10点(2006-04-17 02:55:14) |
323. 清作の妻(1965)
《ネタバレ》 増村保造+若尾文子(様)コンビの最高傑作はこの作品、であると同時に日本の恋愛映画史上、最高の一つ。村の外れに住んでいる元隠居の妾が改進的な青年と恋に落ち結婚する、だがその行く手には様々な障害が待ち受けている。正直言ってラストは賛否両論あるか、と思うが個人的には愛の大勝利だと思う。 [ビデオ(邦画)] 9点(2006-04-17 00:15:43) |
324. エデンの東(1955)
《ネタバレ》 皆様本当にごめんなさい、私にとってこの作品は合いません。レタスを積んだ列車で寝そべるジェームス・ディーンを見たときは感激しましたが、ちょっとそりゃないよの連続なのです。端的に申しますと夜の移動遊園地でキャルとアブラ(もうちょっと年の若い人、使えなかったのかな)が語り合うあのシーン、妙に明るい照明で映画館の「緊急出口」よりも目立ち、プロだからなんとかせぇよという天邪鬼的な心境になってしまったのです。また後日見た「理由無き反抗」「ジャイアンツ」の方がよっぽど屈折した人物を演じきっていた気がしたのです。いい話とは思うのですが。また出直してきます。 [映画館(字幕)] 4点(2006-04-16 23:51:34) |
325. マルタの鷹(1941)
この映画の最大の致命傷はファム・ファタールたるメアリー・アスターにその雰囲気が欠けてしまっていること、これに尽きるのではないか。彼女自身は好演しているのだがハードボイルドで魅力的なヒロインの造詣は絶対であるだけにちょっと残念。「これはなんだ」「夢のかたまりさ」かっこいいぜ、ボギー。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2006-04-16 23:20:55) |
326. ワイルドバンチ
《ネタバレ》 モンティ・パイソンの短編にペキンパーの流血描写を茶化したコメディがあり、それを見た若き日の私は「イギリス人は馬鹿だ」と本気で頭にきた事を思い出します。この人の映画の本質はやはり「時代遅れの人達への共感と古きよき時代への郷愁」ではないのでしょうか。ペキンパー自身が西部劇の黄金時代から衰退期を経た、時代遅れの生き方を余儀なくされた映画監督だったのだからその思いはひとしおです。生き残ってしまったソーントン、時流に置いてきぼりにされてなお生き続けていくことの苦しみはいかばかりか(ロバート・ライアン最高) だからこの映画で最高に輝いている場面はそういったダサい男達が見せるふとした幸せや喜びをかみ締めているシーン、メキシコの村を離れるところや銃器を強奪後に酒を飲みあい笑い会うあれだと思うのですよ。それをスローモーションの流血描写だけことさら強調して映画の情報誌によく書かれている「今のアクション映画の原点はペキンパーだ」という文章、あれはこれから映画を見る皆様、そしてペキンパーに失礼だろうがとこの映画が大好きな私は思うわけですよ。文章が雑になってきましたので頭を冷やしてきます。 [映画館(字幕)] 10点(2006-04-16 23:08:38)(良:3票) |
327. 街の灯(1931)
《ネタバレ》 個人的には「犬の生活」「サーカス」といった喜劇群を愛している私もこの話に関しては10点をつけないと仕方がないですね。「キッド」「黄金狂時代」を経たチャップリンはこの映画を撮り人生の悲哀と喜び、切なさをすくい上げ映し出した事で「コメディ王」から本当の「映画作家」になったのではないかと。だからコメディを期待して見た皆様がちょっと波長が違うと感じたのもごもっとも。ボクシングのドタバタも可笑しさ、というよりもそんな目にあわなければならなかった浮浪者チャップリンへの同情を先に感じてしまいます。ラストシーンの感動はもちろんの事、そこに至るまでの細かい表現に感心する名作です。 [地上波(字幕)] 10点(2006-04-16 22:37:26) |
328. 静かなる男
《ネタバレ》 「大らかな」という形容がぴったりな名作。野を越え山越え谷越え川を渡り、殴り殴られ話は進む。私のハートも殴られる(失礼)。名匠ジョン・フォードはアイルランドの緑溢れる地を映画ファンへの「桃源郷」として提供したのか。(私にとってはモニュメントバレーよりもここ)スクリーンで見る事の出来た人達、本当にうらやましい。文句なしの10点。 [DVD(字幕)] 10点(2006-04-16 22:07:42)(良:1票) |
329. ギャラクシー・クエスト
《ネタバレ》 アイディア元の「サボテン・ブラザース」と比べてこちらの方がラストに「感動」がプラスされるのはひとえにファンやサーミアン星人が持っているヒーローへの愛情の大きさによるものでしょう。ダメダメヒーローが周りの期待に応えるべく勇気を振り絞り、強敵に立ち向かうその様はまさに「のび太、ジャイアンに負けるな」みたいなものでありクェレックの死、それに応えるラザラスの「リベンジぃ」に涙止まらないのですよ、本当に。映画館で再映の機会があれば、そのときはぜひダガート艦長に応えて叫びたい!ネバーギブアップ、ネバーサレンダー! ご清聴、有難う御座いましたっ! [DVD(字幕)] 9点(2006-04-16 17:36:10)(良:1票) |
330. マスク(1994)
「突然音楽が鳴り演者が歌を歌い踊りだす」ミュージカル映画の楽しさからいえば「シカゴ」「ムーラン・ルージュ」なんかよりよっぽど王道をいっていて好感がもてる。またCGの使い方も「荒唐無稽な表現をさらに誇張させて見せる」という目的で理想的。犬好きとしては、マイロ家に来てぇ~、チキチキブン。 [映画館(字幕)] 6点(2006-04-16 17:15:02) |
331. スペースバンパイア
落ち着いて拝見するとこれ、トビー・フーパーの映画としては「悪魔のいけにえ」以降の彼の作暦上、良い仕事をしていると思いますが裸でねぇ。ええ、当時中学生の私も行きました。青春の思い出ですね。脚本ダン・オバノン(「バタリアン」)で音楽ヘンリー・マンシーニ(「ムーン・リバー」だよ、あの!)キャストもスタッフも粒ぞろいなのに、作品がこれでは監督の器の問題なのでしょうか。 [映画館(字幕)] 5点(2006-04-16 13:20:00) |
332. 赤い風船
スクリーンに投影された本当の「ファンタジー」映画。 [ビデオ(字幕)] 10点(2006-04-16 13:01:45) |
333. 血槍富士
《ネタバレ》 私も少々戸惑った一人です。「東映映画チャンバラ」のルーティンを内田吐夢は壊してしまったと感じました。つまり勧善懲悪、公明正大、清廉潔白な雰囲気を売りとした東映時代劇の進行を突然主人とその家来の死で断ち切り、ラストの十分間は妙にリアルな殺陣を繰り広げるという展開はその当時の「時流」から離れたものだったのではないでしょうか。そしてそれは満州を理想郷として追い求めた彼の挫折感の投影であると同時に、「明るく希望に満ちた旅」とはまるっきり逆の状況で死んでいった兵士や犠牲者への鎮魂歌(ラストの「海ゆかば」に私はそう解釈しました)であったのではないか、と思いました。 [ビデオ(邦画)] 8点(2006-04-16 03:09:36)(良:2票) |
334. メガフォース
同じ時期に上映されていたブレードランナーの誘いを蹴り、この映画を見に行った私は映画を見るセンスのない男だと思います。これもまた映画を見る眼のこやし。そういう映画でした。 [映画館(字幕)] 3点(2006-04-15 22:12:39) |
335. サリヴァンの旅
《ネタバレ》 ビリー・ワイルダーが「素晴しい才能の持ち主」と称したプレストン・スタージェスは50年代以降映画評論家言うところの「才能の枯渇」に見舞われ、作品的にもこれといった物を残せず人生の幕を閉じました。この話も「レディ・イブ」「モーガンズ・クリークの奇跡」に比べれば正直劣るのですが、それでも私はこの映画が彼の「喜劇作家宣言」として断固応援したい。「総合芸術たる映画は文芸的・社会的であれ」といった世間の見方に対して喜劇は一段低く見られがちな中、コメディ映画監督が社会的な題材に取り組むべく浮浪者となって旅に出る。(原題は「ガリバー旅行記」からの引用ですよね)しかしそこで確認できたのは「人の心に暖かさを与える喜劇だって素晴しい」という再発見=「私はやはりコメディを撮る」なのです。結局彼はルビッチ、キャプラ程の名は残せなかったかもしれませんがその心意気は映画ファンの中に残る。名作です。 [映画館(字幕)] 8点(2006-04-15 20:30:45) |
336. 犬の生活
《ネタバレ》 チャップリンの作品史上、最初の「ハートフルな」コメディがこれでしょう。それは年少期ボードビル芸人一家の一人として育ち、公演旅行に明け暮れた日々で「安定した暖かい家庭」に憧れていた心情吐露と感じました。パートナーとなる犬も、そんな彼を投影したような「みすぼらしい」犬なのがまたたまりません(ビンの奥まで犬の口が届かないので彼が掌に残りのミルクをたらしてなめさせている所は犬好きの私もぐっと来ます)そんな犬が主人公に幸せをもたらすのだから、ある意味名犬ラッシーから「ピーナッツ」の名犬スヌーピー、そして「ウォレスとグルミット」のグルミットといった「頼りになる名犬」の先駆け的存在なのでしょう。後はホットドック屋のシドニー兄さん、お疲れ様でした。 [DVD(字幕)] 8点(2006-04-15 18:37:41)(良:1票) |
337. 稲妻(1952)
書きたい事はたくさんあるけどとりあえず2つほど。1つ、「浮雲」では「泥沼の倦怠感」を感じたがこの作品から感じられるのは「気が重くなるほどのイライラ感」です。それは主人公の置かれている環境状況だけではなく、ちょっとした所作(妾の所へ行く際の姉妹の歩き方)とかショット(下の方も書かれていましたが窓から妾が覗いているロングショット)等といった演出力の高さがもたらしているという点。あとは役者さんが素晴しい。高峰秀子、小沢栄もしくは浦辺粂子も良いけど、生活感のないだらしない男を演じさせて植村謙二郎は絶品だ。10点に近い、9点ということで。 [DVD(邦画)] 9点(2006-04-15 03:50:34)(良:1票) |
338. ひとり狼
《ネタバレ》 オープニングから流れるウィリー・沖山の「ひとり狼のテーマ」にガクッ。ダサい、ダサすぎる。ところが雷蔵の映画としてはベストの演技、最高の一本でしょう。渡世人であることの悲しみと寂しさ、感情を表に出さない「ひとり狼」が自分の息子に向かって叫ぶ「見ろ、人間のクズのする事を!」涙なくしては見れません。 これが雷蔵の「白鳥の歌」。 [映画館(邦画)] 8点(2006-04-15 02:05:19) |
339. 博奕打ち 総長賭博
《ネタバレ》 博徒としてあるべき「任侠道」を押し通せば通すほど増大する悲劇を格調高く描いた日本任侠映画の最高傑作。今は無き新宿昭和館で見た時の胸震える感動は忘れられない。【追記】これはこの後没落してゆく任侠映画ジャンルの鎮魂歌=レクイエムである。それは「任侠道」の時代遅れな面、そしてこれから来るべきヤクザ映画の流れを脚本の笠原和夫が見抜いていた、その先進性に感嘆せざるを得ない。この映画では任侠映画の考え方が現実に則さない、絵空事であるということを示し、頑なに「博徒としての任侠道」を守っていった役者全てに破滅の道を歩ませた。その反面現実に則した「ヤクザとしての生きる道」を選択した仙波(金子)の方が完全にうまくやっている。「任侠映画」としては滅び行く漢の生き方に涙し感動するのが普通だが、そんな観客の心を見透かすかのようにこの映画はラスト中井(鶴田)の判決文として博徒が守るべき「任侠道」を遵守した事を「博徒間の私怨」というつまらない理由で説明し映画の幕を閉じるのだ。後年笠原はそんなきれい事ではすまないヤクザの生き様を描く「仁義なき戦い」に関わってゆくがそれは偶然ではない。ちなみにこの映画でも最後まで上手くやるのは、皆さんご存じの通り「山守=金子信雄」であった。 [映画館(邦画)] 10点(2006-04-15 00:03:58) |
340. 真夜中のカーボーイ
《ネタバレ》 私にとっての涙腺直撃のシーンはなんと言ってもラッツォの死ではなく、その前のジョーがアロハシャツに着替える為にカウボーイの衣装をゴミ箱へポィッ。たまんね~。ホフマンよりもそれを受けるボイドの方が上手いと思ったのは私だけ? [映画館(字幕)] 9点(2006-04-14 23:53:16) |