321. モダン・タイムス
《ネタバレ》 妻投稿・・・旦那は10点入れていたんですけど、私はこの映画を全く評価しない。それはたぶん私に秋葉で人を殺した奴と同等の知性しかないからだと思うし、10点をつけている人のレビューの方が正しいと思うし、その人たちをけなすつもりは毛頭ない。でも私にはなぜこれが「世紀を超えた感動作」と今の日本で言われるのかがさっぱり分からないのだ。第一にベルトコンベアーの作業がきつい、人間性を奪うと風刺されているが、世の中には恐ろしい人間関係よりも一つの作業に集中した方が心穏やかな人間もいるのだ。第二に精神障害者が自分から刑務所に入るために悪さするシーンがあるが、私はこの時点で主人公に感情移入するのをやめた。障害者だろうがなんだろうが悪い事をするなんてとんでもないことだ。今の日本じゃ障害を持った方が恐ろしい暴力団や企業から逃げるために刑務所に入るなんてことがしょっちゅう起こっている。でもほとんどの障害を持った方が犯罪や人倫に反することに反対している。そこにはまさに羅生門でお婆ちゃんを裸にするかどうか究極の選択があるわけだが、チャップリンはそれすら無視してコメディーにしてしまっている。正直そんな人間が女の子に対して「笑って」なんてポーズとった暁にはどう咀嚼していいのか分からなかった。第三に食堂でのシーン・・・普通あんな失敗したらそれこそ店長や他のスタッフから集団暴行されるか物凄い違約金を請求されるだろう。たぶん他のレビュワーさんだって目の前で同僚がそんな粗相をしたら文字通り「ただじゃおかない」だろう。でもチャップリンだと変なダンスとパントマイムをすれば万事オッケイ・・・。■以上の事から考察すると、チャップリンの「笑っていきましょう」の世界は所詮「責任」がない暖簾に腕押し世界。ごめんとクビで全てがなかった事にされる世界。実社会は「自分が誰かに破壊されない」為に何かを負担し続けなければならない世界だ。でも女の子が集団暴行で死んでしまったら私はランス・フォン・トリアーを酷評したのと同じ理由で酷評するのだろうな。つくづく自分勝手なレビュワーだと自分でも思う。■でも私は何でこの映画が世間で感動されているのかはわからない。私自身これを見ても「てめえはこの映画で感動する権利なんかない」と言われているように感じるし、この映画に感動しそうな人を、私は生きていてもそんなにお目にかかっていない。 [レーザーディスク(字幕)] 1点(2008-04-07 00:00:10)(笑:1票) (良:1票) |
322. ジャンパー
《ネタバレ》 ビュンビュン、あーミリーちゃんかわいい、ビュンビュン、すげー、銀座に109があるよ、ビュンビュン、サミエルさんあんたの言っている事は正しい、ビュンビュン、あー何の関係もない運転手さんが戦車に踏み潰されちゃったよ、ビュンビュン、あ、サミエルいつの間にかいなくなっちゃった、ビュンビュンで、結局お父さんは助かったの?ビュンビュン、いい加減ジャンパー懲りろよ!・・・何が言いたいかというと、まず断片的にしか話についていけん。何がどうなっているのかさっぱりわからん。それから「彼女を助けに行く」という台詞がこれほど虚しく響く映画もない。 [映画館(字幕)] 1点(2008-04-01 11:54:23)(笑:1票) |
323. おおかみこどもの雨と雪
《ネタバレ》 妻投稿■花の子育てスタンスが気に食わない。一見すると子供を全肯定し、安っぽい親子ドラマで子供ひっぱたいて「自分はお前を大切に思っているんだ」と表現するような馬鹿親と一線を画しているように見える。が、周囲の人がびっくりするからという理由で自宅分娩し、健康診断にも顔を出さず、アパートの隣人が怒鳴るからという理由で田舎へ引っ越し、子供たちにも自分の素性を隠すように厳命する。要するに排斥に次ぐ排斥を受け入れてしまっている。それでいて子供たちに「みんなが嫌っていても、私は味方だから」と、親子の空間と社会の空間を隔絶させてしまっているのだ。■花がこうした行動をとるのは、子供を狼人間という汚い生物(「だから自分が守らないと」)と思っているからに他ならない。こういう味方のされ方をしたから、雪は「学校を追放されるかも」と心配して過剰に女の子らしくしようとし、雨は野生児を選択してしまった。「子供を肯定する」というのは確かに大切だが、それ=「味方をする」という事では必ずしもないと思う。「赤ちゃんが泣くのは国民の受忍限度だ!」と隣人に啖呵切ったり(ちなみに裁判の判例でもそのようになっている)、「この子は狼子供なんです」と開き直って子供の安全の為に児童相談所の人間に相談し、健康診断を受ける事、それこそが厳しい現実でも子供が「自分は不当に酷い事をされなくていい存在なんだ」と思える事=肯定する事ではないのか。■作画、演出レベルから5点はあげようかとも思ったが、やはり(現実的に野生児になるという選択権のない)マイノリティーのお母さんに「こーひっそりとする義務があるんだよ」と要らぬ心的負担をかけそうなこの映画、0点としたい。 [映画館(邦画)] 0点(2012-08-05 02:57:14)(笑:1票) (良:9票) |
324. ナースのお仕事 ザ・ムービー
《ネタバレ》 妻投稿■病院で銃が乱射されるシーンをコメディでやっていいと思っているの? [地上波(邦画)] 0点(2009-03-21 21:52:26) |
325. 恋人はスナイパー 《劇場版》
妻投稿。こういうお涙ちょうだい翻弄映画は「最後どうなるか」「最後どういう結論を出すか」だろう。それを曖昧にしてしまうこの映画ははっきりいってクソだ。これが制作陣の「4を出そうかな、でも視聴率や収入次第でやめようかな・・・どっちでもいいようにしないと」という結論でそうなっているのなら、これは映画と観客を馬鹿にしているとしか思えない。もう2度と映画という舞台に出てくるな。 [地上波(邦画)] 0点(2009-02-28 14:52:12) |
326. ゆきゆきて、神軍
《ネタバレ》 レイプ、暴力、それにともなう絶望、PTSD、自殺未遂、経済的損失を経験したことがある僕とパートナーですが、加害者が責任を取ってくれることはなかった。加害者の責任を追及する映画だという事で興味を持ったが・・・にしてもこれはグロイ。1点たりともつけられない。あの老人は、他人が家に上がり込み、暴力で家族を傷つけられる絶望と恐怖がわかっているのだろうか。被害者は加害者にこんな事する権利があるのか。被害者だからって何でもしていいと思っているんじゃないのか。それを横で撮影するカメラマンもカメラマンだ。カメラ=ブラウン管を通じて傍観者の視点で暴力の場面を見たとき、僕も彼女も過呼吸状態だった。これが真実だ? 被害者が加害者に報復し支配する様子なんて真実じゃない。 [ビデオ(邦画)] 0点(2008-11-02 00:39:57)(良:2票) |
327. チャップリンの独裁者
《ネタバレ》 妻投稿■■「独裁者」・・・・なんと便利な言葉なんだろう。この映画には「独裁者を倒そう」とか「独裁者に対する怒り」とか「独裁者の愚かさ」というものがやたらと強調されている。これらは一見すればヒューマニズムに見えるけど、ようは独裁者って「独りで決めている人」という意味だから、私に言わせれば「全部あいつが悪い」と言っているようなものだ。■■その証拠に映画の中のヒンケルは確かに馬鹿な政治家だ。でもそれ、よーーーく見て欲しいんだけど「馬鹿な政治家」なのであって、決して「独裁者だから馬鹿」なのではない。見栄っ張りとか信用できないとか戦争とか、民主主義の政治家だってそんなのはいくらでもいる。なのにこの映画はさも「独裁者だから馬鹿なんですよ」というような展開を見せる。これ、「逃げている」よね。この映画が公開されたときの世界中の感動は、この逃げ道で枢軸国だろうと連合国だろうときっと等しく全人類が持っていたと思う「責任」から解放された感動だったんじゃないだろうかと、私は嫌な妄想をしてしまいました。■■そういえば谷川俊太郎は「未来はひとりが大勢を殺すこと」と定義していたけれど、本当のヒューマニズムって、時に人間そのものを否定する残虐なものなんだと思う。でもホロコーストや独裁国家に突っ走ったことによる惨禍を考えれば、私はあの時代こそ「一度人間性を否定する」作業が必要だったのだと思う。しかしこの映画は人間そのものを逆に肯定してしまっている。あの時代一度人間性を否定しなかったからこそ、現代でも差別や暴力、オウム事件みたいな事が起こったのではないかと、私は勝手に思い込んでいる。少なくとも私はこの映画を「ヒューマニズムの映画」としては評価しない。 [地上波(字幕)] 0点(2008-02-04 02:44:57)(良:2票) |