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 > かたゆき さんの口コミ一覧。18ページ目
かたゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1874
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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341.  アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場 《ネタバレ》 
ケニア、ナイロビ。スラム街の一画に佇む、何処にでもあるような平凡な一軒家。誰にも悟られることなく遥か上空からこの家を監視する“目”がある。一瞬にして目標物を破壊することが出来るミサイルを搭載した、その目とは、無人偵察ドローンだ。遠く離れたロンドンからその目を通して現地を観察するのは、英国対テロ特殊部隊パウエル大佐。イスラム過激派アル・シャハブのテロ行為を阻止することが彼女の主な任務であり、今回の作戦は六年間地道に追い続けてきた組織の幹部を捕獲するためのものだ。遠く離れたネバタ州からドローンを遠隔操作するアメリカ海兵隊や現地で実際に突入するケニア軍らの協力を得て、今まさに作戦を実行しようとしていたその時、パウエル大佐は予想外の事態に直面する。テロ組織の幹部たちが突如、アル・シャハブ支配地域に移動したばかりか、そこで自爆テロを実行するための準備をし始めたのだ。大規模な戦闘となるためケニア軍は動けず、テロを阻止するためにはドローンからのミサイル攻撃しかない。政府の制服組やアメリカとの緊迫の交渉の末、民間人の犠牲を払ってでも攻撃を実行するしかないという結論に達したその時、そのアジトの裏で何の罪もない一人の少女がパンを売り始めたのだった…。自爆テロを実行されれば最低でも80人規模の犠牲は避けられない。だが、そのために無垢な少女を犠牲にしてもいいのか。パウエル大佐はぎりぎりの決断を迫られる――。ヘレン・ミレンやアラン・リックマンをはじめとする実力派の役者陣が織りなす、この緊迫感に満ちた駆け引きは非常に見応えがありました。責任の押し付け合いばかりを繰り返す官僚や政治家、彼らに翻弄される軍事作戦の責任者、ドローンから実際にミサイルを発射するアメリカ軍の兵士、現地で危険な任務にあたるケニア人、正義の名の下にテロを実行しようとするイスラム過激派、そして何も知らない無垢な少女…。一つも先の読めない展開は最後まで緊張感を途切れさせることなく続き、まるで自らも議論に参加しているような錯覚さえ起こさせます。非常に考え抜かれた優れた脚本と言っていいんじゃないでしょうか。監督は、かつて南アフリカの悲惨な実情を無垢な少年の目線で描いた『ツォツィ』を撮ったギャビン・フッド。なるほど、この全編に漲るリアリティはこの監督ならではのものだったのですね。物語の最後、事態は悲惨な重たい現実を迎えます。何が正解で何が間違っていたのか――。明確な答えなどない現実を監督は容赦なく観客に提示して終わっていきます。なかなか深い問題を描いた社会派ドラマの秀作でありました。
[DVD(字幕)] 8点(2022-12-29 11:28:22)
342.  シェイプ・オブ・ウォーター 《ネタバレ》 
社会の片隅でひっそりと暮らす口の利けない女性と、アマゾンの奥地で捕らわれた謎の半魚人との一風変わったラブストーリー。印象的なシーンも多く、テーマも分かりやすく深い。そしてギレルモ・デル・トロ監督らしい、細部にまで拘った独創的な映像美が素晴らしかったです。水没した部屋の中で二人でダンスを踊るシーンは、最近観た映画の中でも出色の名シーンでした。個人的には『パンズ・ラビリンス』の方が好みだけど、こちらも充分楽しめました。8点!
[映画館(字幕)] 8点(2022-12-29 11:03:31)
343.  ハリガン氏の電話 《ネタバレ》 
アメリカ、メイン州のとある寂れた地方都市。母を失くし、父親と慎ましく暮らす少年クレイグはある日、近所の豪邸で独りで暮らす今は引退した大富豪ジョン・ハリガン氏からあるアルバイトを持ちかけられる。それは週3日、彼の豪邸で目が悪い氏に代わって本を読み聞かせること。少しでも生活の足しにしようと、クレイグはすぐにその提案を受け入れるのだった。『チャタレイ夫人の恋人』『闇の奥』『罪と罰』。世界の様々な名作を読み聞かせる時給5ドルのバイトはそれから何年も続き、これまで休んだのはたった1回だけ。クレイグは、偏屈で傲慢、現役時代は商売敵や部下を徹底的にやり込んだというハリガン氏のことを嫌いではなく、本を読むことも楽しみの一つとなっていた。そして高校生となった彼は、これまでの恩を返そうと一台のアイフォンを買い、彼にプレゼントする。情報は新聞で充分と言い張っていたハリガン氏に、クレイグは丁寧に使い方を教えてあげるのだった。だが、それからすぐハリガン氏は急な病でこの世を去ってしまう――。突然のことに、哀しみに打ちひしがれるクレイグ。最後のお別れの日、クレイグは彼にプレゼントしたアイフォンを密かに棺桶へとしのばせるのだった。そのまま埋葬されるハリガン氏。ところが数日後、彼の携帯に有り得ないメッセージが表示される。なんとハリガン氏からメールが届けられたというのだ。いったいこれはどういうことなのか?不審に思いながらも、クレイグは彼とのメールのやり取りを重ね……。スティーブン・キングの短編小説を元にしたという本作、監督がヒューマン・ドラマの佳品を多く手掛けてきたジョン・リー・ハンコックということで今回鑑賞してみました。冒頭から丁寧に描かれる、この孤独な老人と素直で純朴な少年とのドラマにすぐ惹き込まれました。冷酷に厳しく当たるのでもなく、過度に干渉するでもない、この2人の友情がなんとも心地良いですね。朗読に選ばれる本のチョイスもいいセンスしてるし、前半は一人の少年の成長物語として非常に良く出来ている。ただ、問題は後半部分。ハリガン氏が亡くなってから、急にミステリー的な要素が増え、さらには死者からのメッセージというホラー要素まで加わります。この唐突な急展開はかなり問題で、明らかに物語のバランスが崩れてしまってます。挙句、ここまで引っ張っておきながら、最後のオチがかなり投げっぱなしのまま終わるのはいかがなものか。てっきり僕は、主人公が最後に棺桶に入れた携帯をあの怪しい庭師が盗っていて、メールのやり取りも殺人もきっとあいつが陰でやっていたんだと踏んでました。でもそれだと遺言書の文言や墓の中から聞こえてきた着信音だとかの説明がつかないから、きっとラストで驚きの種明かしが待ってるんだろうなと思っていたのに、これではとんだ肩透かし。前半はすこぶる良かっただけに、なんとも勿体ない作品でありました。
[インターネット(字幕)] 6点(2022-12-29 07:31:10)
344.  ギレルモ・デル・トロのピノッキオ 《ネタバレ》 
命を宿した木彫りの人形の大冒険を描いたイタリア児童文学の名作『ピノッキオ』。アニメや実写などこれまで何度も映像化されてきたこの名作を今回クレイアニメという手法で映画化。しかも監督はなんとギレルモ・デル・トロ!これは観ないわけにはいきますまい。早速インターネットで鑑賞してみました。そんな僕の期待を裏切らない、素晴らしい出来の作品でした!とにかく圧倒的に手間暇かけたであろう映像が凄い。見た目はちゃんと手作りの人形なのにここまですべらかに動くんですから、いったいどれだけの時間をかけたのやらと気が遠くなりますなぁ。ゼペット爺さんに造られたという主人公の造形も思いっ切り木彫り感が残っているリアルな質感で、可愛すぎず気持ち悪すぎずという絶妙の匙加減でした。嘘をついたときに伸びるハナも思いっ切り普通の樹木なのも拘りが感じられて良い。当時のムッソリーニ政権がもたらしたファシズムの暗い影をテーマとした物語も深みがあって非常に良かったです。声優陣も豪華で、特にコオロギのクリケット氏を演じたユアン・マクレガーが声だけなのに彼と分かるほどの存在感が凄い。最後の歌声なんて聞き惚れてしまいました。ウサギたちが働く死者の国もユーモラスで大変グッド。僕の大好きな『パンズ・ラビリンス』を髣髴させる、この何処か暗い世界観がとにかくツボでした。うん、なかなか面白かったです。8点!!
[インターネット(字幕)] 8点(2022-12-29 07:19:27)(良:1票)
345.  ラビリンス/魔王の迷宮 《ネタバレ》 
ゴブリンの王にさらわれた弟を救い出すため、異世界を旅する少女を描いた冒険ファンタジー。パペットや合成を駆使した特撮映像は今見てもそんなに違和感ないですが、やはり時代を感じさせますなぁ~。それでも小人たちの表情豊かな演技はワクワクさせられちゃいますね。まるで生きているみたいなリアルさで、CGがない時代にここまで造り込めたのは凄い。この独創的な世界観はけっこう好みでした。ゴブリン王を演じたデビッド・ボウイもやっぱカッコいい!!とはいえ、さすがに中身がなさ過ぎますかね、これ。始まり方もフワフワしてたし、中盤の展開もフワフワしてたし、終わり方も結局夢オチ?みたいでフワフワしてたし……。全体的にすっごいフワフワした映画でした。
[DVD(字幕)] 6点(2022-12-29 07:10:31)
346.  フォービドゥン/呪縛館 《ネタバレ》 
アメリカのとある郊外に佇む古びた洋館、ブラッカー邸。第二次大戦前に建てられたというその豪邸はかつて街の有力者が暮らしていたものの、今や寂れて酷い状態となっていた。そんな館を格安で借り、この度一組の夫婦が越してくることに。夫とともに幼い息子を育てている最中で建築家の肩書を待つ妻のディナは、引っ越し早々、この古びた館をリフォームする計画を立てる。古い屋敷だけにいたるところに襤褸が来ており、まともに住めるようになるのにかなりの時間と労力が必要だった。それでも新たな生活のために腕を振るうディナ。しばらくするとおかしなことが起こり始める。いつの間にか庭に現れ息子の姿をじっと見つめる猟犬、何度も襲う幻覚の数々、そして誰も居ないはずの小さな部屋に灯る幽かな灯り…。やがてディナは知ることになる。この館には見取り図にさえ載っていない秘密の部屋があり、そこはかつて“失望の部屋”と呼ばれていたことを――。古びた洋館に越してきた一組の家族が体験する、そんな恐怖の日々を描いたモダン・ホラー。最近つまらない映画にばかり出ているケイト・ベッキンセールが主演を務めた本作、あまり期待せずに観始めたのですが、そんな僕の期待値を遥かに下回るつまんない映画でしたね、これ。映画が始まってから中盤までとにかく思わせ振りな展開ばかりが続き、物語のギアが全然かからない。しかも怖がらせ方がいちいち古臭くて、ホラー映画なのに全く怖くないのです。正直退屈で眠たくなっちゃいました。挙句、後半からびっくりするぐらいグダグダな展開に。いつの間にか家へと招かれていた友人たちにいつの間にか酔っ払っていたケイト・ベッキンセールが突然キレ始め、しかもその間、大事なはずの息子は物語の展開上邪魔になるからとずっと何処かにほったらかしにされて、一連のその流れが終わってからまた再登場するというあからさまなご都合主義には開いた口が塞がりませんでした。また、物語の重要なカギとなる、過去に重度の障害を負った自らの子供を幽閉したという“失望の部屋”の扱いも雑。こういうデリケートな問題を単なるホラーの道具として使うのは極めて悪趣味というしかありません。最後は取って付けたようなハッピーエンド。え、まさかの妄想オチですか(笑)。久しぶりにこんな酷い映画を観てしまいました。あと、最後にもう一つ。日本の配給会社の方、いくら酷い映画だからってクライマックスの映像を丸々使い本編のお話をまるで違うような作品として宣伝するのはさすがにあかんのちゃいまっか。
[DVD(字幕)] 2点(2022-12-26 12:24:10)
347.  セル 《ネタバレ》 
それは平凡なある日の午後の出来事だった――。その瞬間に携帯電話を使っていた全ての人々が突然狂い始め、白い泡を吹きながら周りの人間たちを襲い始めたのだ。友達との会話にいそしんでいたティーンエイジャー、トイレに腰掛けながら仕事の話をしていた中年サラリーマン、ネットのゲームに夢中になる子供たち…。手にしていた携帯電話をナイフや銃に持ち替え、手近の人間を次々と血祭りにしながら暴走を続けるそれまで普通だった人々。彼らによって空港や地下鉄構内が瞬く間に阿鼻叫喚の地獄絵図と化す中、偶然にも生き残ることが出来たコミック作家クレイと地下鉄運転手トムは、この絶望的な状況を何としても乗り越えようとするのだったが…。現代人なら誰もが持つ携帯電話が突如としてもたらした、そんな世界の崩壊をノンストップで描いた定番のパニック・スリラー。原作はモダン・ホラーの帝王スティーブン・キング。いかにも彼らしいそんなB級感満載の本作、何気にジョン・キューザックとサミュエル・L・ジャクソンも主演していたので、気軽な気分で今回観始めました。タイトルにもなっている携帯電話というアイテムは単なる添え物程度で中身は超ベタベタなゾンビものでしたけど(笑)、ツボを押さえた演出のおかげでそこそこ楽しめました。廃墟と化した街の中をゾンビたちが全力疾走してくるとこなんて既視感満載とは言えやっぱり怖い。それに中盤のゾンビ大量虐殺はお約束の展開で大変グッド。まあ後半のグダグダな展開もある意味お約束なのかな?てか、あのラスボスっぽい赤いフードのゾンビは結局なんやってん(怒)。ジョン・キューザックのアホ面で終わるラストなんて、やっつけ感半端なさすぎ!!とまあ、なんだかんだ突っ込みを入れながら、だらだら観る分にはぼちぼち楽しめるという定番のB級ゾンビ・ムービーでございました。
[DVD(字幕)] 5点(2022-12-26 11:52:54)
348.  エンド・オブ・トンネル 《ネタバレ》 
最大の武器は、動かない自分の身体――。かつて不幸な事故によって愛する妻子を失い、自らも車椅子が手離せない身体となってしまったホアキン。残された大きな家の中で孤独に生きてきた彼だったが、生活苦から家の一画を貧しいストリッパーの母子に貸し出すことに。最初はあまりにも自由奔放な母親ベルタに鼻白むホアキン。だが、二年前から原因不明の失語症に陥ったという娘ベティに次第に失った子供の面影を重ね合わせてゆく。そんな折、ホアキンは地下室の壁の向こうからある物音を聞いてしまうのだった。どうやら凶悪なギャングたちが彼女を手引きにして地下室に穴を掘り、ここから少し離れたところにある銀行を襲う計画を立てているらしいのだ。しかもより詳しく話を聞いてみると、彼女たちは半ば強引に計画に加担させられているらしい。計画実行まで残り僅か。ホアキンは不幸な母娘を救うため、そして盗んだ金を横取りするためにとある策略を思いつくのだったが…。下半身に障害を持つ孤独な男が巻き込まれた銀行襲撃計画を巡り、ストリッパーの母娘と凶悪なギャングたちのそれぞれの思惑、そして愛憎が複雑に絡み合う濃厚なクライム・サスペンス。明らかな低予算作品でありながら、考え抜かれた脚本が光るなかなか技ありな一本でありました。ギャングたちの計画を出し抜くために狭いトンネルの中を匍匐前進する主人公、ところが背後から男たちの声が…。なんてところはお約束ながらやっぱりサスペンスフルで手に汗握っちゃいますね。死期が迫っている老犬の扱いなども巧かったです。途中、地下室に娘のベティが迷い込むとこなんてもうハラハラドキドキ。狭いトンネルという設定が存分に活かされたいいシーンでした。ただ、脚本に多少の突っ込みどころがある(ギャングたちは悪戦苦闘しながら爆弾で銀行の床に穴を開けようとしていたのに、主人公、あっさりと工具で床を破っちゃうとか)のと、少々時間的に長いのが残念だったかな。もう少し短くても良かったような気がしなくもない。それでも総合的には充分面白かったです。最後、クッキーのくだりが出てきたときは素直に「やられた!」と思っちゃいました。
[DVD(字幕)] 7点(2022-12-26 11:42:17)
349.  ビッグバグ 《ネタバレ》 
時は2045年。人類は、高度に発達した科学技術とAIにより自ら思考し行動するロボットに頼り切った生活を送っていた。全ての家事をこなすお手伝いロボと豪華な一軒家で暮らす中年女性アリスもそんな一人。ある日、彼女の家に偶然6人の人々がやってくる。アリスと親密なお付き合いをしているテレビプロデューサー、彼に無理やり連れてこられた息子、今は新しい妻と新婚ほやほやなアリスのかつての夫、その妻、彼らが新婚旅行に行く間この家で過ごすことになっているアリスの娘、そして迷い込んだ飼い犬を捜しにたまたまやって来たお隣のおばさん――。表面上は和気藹々と過ごしていた彼らに、突然悲劇が訪れる。なんと急に家のロックが掛かり、開かなくなってしまったのだ。どうにかしてドアを開けようとするも、AIに全てコントロールされたセキュリティは住民にはどうにも出来ない。しばらくすると彼らは衝撃の事実を知ることになるのだった。量産型人型ロボット「ヨニクス」が反旗を翻し、なんと人類を奴隷にしようと言うのだ。果たして、家の中に閉じ込められたそんな7人とロボットたちの運命は?近未来を舞台に、ある一軒家に閉じ込められた人々の右往左往をスラップスティックに描いたブラック・コメディ。監督は、『アメリ』や『天才スピヴェット』で有名なジャン・ピエール・ジュネ。僕の大好きな監督の最新作ということで、今回期待して鑑賞してみました。そんな僕の期待を全く裏切らない、素晴らしい出来の作品でしたね、これ。正直、この映画に中身などこれっぽっちもありません。ただひたすら監督の悪ふざけ一歩手前のドタバタを延々見せられるだけ。なのに、最後までワクワクしながら観ていられたのは、ひとえにこの監督の遊び心溢れるセンスのなせる技なんでしょう。とにかくオシャレ!お手伝いロボをはじめとするアンドロイドたちのキュートさなんて、もう最高でした。このお手伝いロボが人間の見栄や嫉妬や愛情をいちいち数値化して驚くところとか最高に皮肉が効いていて大変グッド。他にもアインシュタイン型ロボやレトロなお掃除ロボもみな魅力的で、自分もこんな家に住みたいなんて思っちゃいました(たぶん3日で限界迎えそうだけど笑)。対する人間たちも全く負けておりません。性欲持て余し気味の奥様カップルに意識高い系の元夫夫婦、そして思春期拗らせティーンエイジャー。特に死んだ犬のクローンを何匹も飼ってる隣の家のヒステリー気味マダムとか、鬱陶しいのに妙に憎めないところなんてまさにジュネって感じですね。後半のヨニクスがやってきてからのドタバタも終始センス爆発で最高に面白かったです。最後のオチはいかにもB級SF映画って感じのキレの良さで思わず拍手。ポップなセンスと底意地の悪さだけでこんな愛すべき佳品を撮れちゃうジュネ監督はやっぱり凄い!うん、何処までもついていきます~~。
[インターネット(字幕)] 8点(2022-12-26 11:18:52)
350.  MINAMATA ミナマタ 《ネタバレ》 
水俣病。それは1970年代、高度成長に邁進する日本を震撼させた公害事件。地元経済を牛耳る大企業チッソが長年、水俣の海に垂れ流し続けた水銀が原因だった。発病すると手足の痙攣や言語障害を引き起こし、酷いものになると全身麻痺に陥り、一生介護なしでは生きられなくなる。だが、チッソはこの事実を隠蔽し、被害者に僅かばかりの慰謝料を払い幕引きを図ろうとしていた。そのことを偶然知った、もはや酒浸りで世間から忘れられた写真家ユージン・スミス。家賃を滞納するまでに追い込まれた彼は日本へと取材に訪れる。当初は金のために引き受けた仕事だったが、被害に苦しむ当事者たちの声に耳を傾けるうち彼の心情にもいつしか変化が訪れて……。実際にあった公害事件をテーマに、一人のアメリカ人写真家の目を通して地方都市で苦難の日々を過ごす社会的弱者たちを描いたヒューマン・ドラマ。主人公である酒浸りの落ちぶれた写真家を演じ、制作も務めたのはハリウッドの人気俳優ジョニー・デップ。とにかく彼の嵌まりっぷりが凄い。もはやハリウッドスターとは到底思えないほどの華のなさ!何もかもを諦めたアル中の偏屈男をリアルに演じていて、彼のそのナチュラルな演技?にまず惹き込まれる。そんな彼が金のために訪れた熊本の水俣市。辺境の漁村を覆う重苦しい鬱屈とした空気、夢も希望もなくただ障害を抱えた身内を介護することに追われる人々。スミスがカメラを向けても皆、すぐに顔を隠したがる。まるで自分たちが社会の恥ずべき部分だと言わんばかりに……。対して大企業チッソのお偉方はビルの広い部屋の高級ソファでふんぞり返っている――。水俣病と言えば、かつて読んだ石牟礼道子の『苦海浄土』でその悲惨な現状に衝撃を受けたのだが、ここにはそれが映像として極めて忠実に再現されている。素晴らしいとしか言いようがない。それだけでも今回の映画化には意義があった。のちにアメリカのタイム誌の表紙を飾り世界に衝撃を与えた、一枚の親子の写真には胸が切り裂かれそうになる。それに対するチッソ社の非人道的振る舞い。もはや怒りを通り越して無力感さえ抱いてしまいそうだ。こんなことは二度と起こしてはいけない。ただ、事実を基にしているために仕方ない部分もあると思うのだが、ストーリーに若干分かりづらい部分がチラホラ。事実とは言え、主人公と女性通訳との恋愛も取ってつけたような印象が否めない。ここら辺をもっと丁寧に描いて欲しかった。とは言え、社会の片隅で声にならない悲鳴をあげている人々の想いに耳を澄ませようというこの監督の姿勢。素直に称賛に値する。日本人としては、間違いなく観るべき作品の一つと言っていい。
[DVD(字幕)] 7点(2022-12-26 07:45:39)
351.  ハクソー・リッジ 《ネタバレ》 
良心的兵役拒否者としての信念から銃を手にすることを一切拒否、しかしながら衛生兵として多くの負傷兵の命を救った一人の男の姿を実話を基にして描いた戦争ドラマ。舞台となるのは第二次大戦中、日本国内では唯一大規模な地上戦が行われた激戦地・沖縄。監督は、私生活でいろいろと問題行動の多いメル・ギブソン。この人の思想信条や考え方、そして宗教観は個人的には嫌いなのですが、それでも映画監督としての才能はやっぱりピカイチなんですよねー。完成度は抜群に高いです、これ。前半、誰に何と言われようと銃を手にすることを一切拒否し、周りに迷惑をかけまくる主人公には同僚でもなんでもない観客の僕たちまでイライラさせるとこなんてホント巧い。「じゃあ兵隊に志願なんてするなよ!」と誰もが思うことでしょう。アンドリュー・ガーフィールドの頑固で変わり者キャラがばっちり嵌まっててなかなかナイスなキャスティングじゃないでしょうか。後半、壮絶な沖縄戦に突入してそんな頑固者の主人公が一転して英雄となり周りからの信頼を勝ち取ってゆくとこもカタルシスがヤバいです。なかなかよく出来た脚本と言えるでしょう。凄惨を極めた戦場描写も容赦がなく、地面にごろごろと転がっている無残な死体の中を自らの命を顧みずに走り抜けてゆく兵士たちからは一秒たりとも目が離せません。皮膚の焼けただれる臭いが今にも漂ってきそうな火炎放射器の炎、そこらへんに容赦なく散らかった剥き出しの内臓や千切れた手足、我先にと餌にありつく巨大なネズミたち…、リアリティに満ち溢れたそれらの描写には日本人としてとても胸に迫るものがあります。まあこの監督らしい一面的な描き方――例えば、襲ってくる日本兵が全員野蛮な狂信者として描かれているとことか、これを観たアメリカ人にまた原爆投下肯定論者が増えそう――は、相変わらずですけれども。それでも悔しいかな、日本人としてそんな微妙な部分も作品としての質が大幅にカバーしちゃってます。全編に貫かれるキリスト教礼賛描写も鼻につきますが、総合的な完成度はすこぶる高い戦争ドラマの秀作と言わざるを得ません。
[DVD(字幕)] 8点(2022-12-22 11:50:59)
352.  クリミナル 2人の記憶を持つ男 《ネタバレ》 
国際的テロリストの大規模なテロ計画を追っていたCIA捜査官ビリー・ホープ。だが、彼は重要な情報を保持したままテロリストに捕まり拷問の末に命を落としてしまうのだった。なんとしてもテロを阻止したい彼の上司は考えた末、ある計画を実行に移す。一人の脳科学者の協力を得て、なんと死んだはずのビリーの記憶を刑務所に収監されていた凶悪な犯罪者の脳に移植しようというのだ――。訳も分からぬまま脳外科手術を受け、ベッドで目を覚ました犯罪者ジェリコ。真相を知った彼は、テロ情報を教える前に隙を突いて逃げ出してしまう。久しぶりに自由の身になったジェリコは、湧き上がってくる暴力衝動の赴くまま危険な街へと繰り出してゆく。だが、次第に甦ってくるビリーという男の記憶が彼の失われた良心を大いに揺さぶり始めるのだった…。今まさにテロを実行しようという危険なテロリスト、テロを阻止するためならどんな犠牲をも厭わないCIA、感情を亡くした狂暴な犯罪者、そして悲嘆に沈む殺された捜査官の家族。死んだはずの一人の男の記憶を巡ってそれぞれの思惑が複雑に交錯する中、テロ予定時刻は着々と迫ってくる…。こういう荒唐無稽なお話を大真面目に描くという試みはなかなか興味深く、冒頭から緊迫感もあって、つかみはばっちりでした。渋めどころの役者陣を揃えたキャスティングも非常に豪華で大変グッド。ケビン・コスナーとトミー・リー・ジョーンズとゲイリー・オールドマンが同じ画面に収まるとそれだけで画力が凄いですね。ただ、それも前半まででした。後半からこの荒唐無稽な設定の無理がたたったのか、明らかに脚本が破綻し始めるのです。特にCIA、このたった一人の犯罪者を簡単に逃がしすぎ!!こんな無能なのにこれでテロリストなんか捕まえられるわけねーって。それに捜査官の奥さん、簡単に犯罪者に侵入されすぎ!!一回目は分かるのだけど、さすがに二回目はセキュリティコードを変更しましょうよ。あとK・コスナー演じる犯罪者、簡単に良心に目覚めすぎ!!金を手に入れたいのか奥さんを慰めたいのか、何がしたいのかさっぱり意味不明。肝心のテロリストたちも存在感なさすぎ!!何のためにテロをするのかもいまいちピンとこないので、この濃い役者陣の中で存在感が薄い薄い。そして、ラストのオチは噴飯ものの酷い代物でした。こんなに部下を殺されてんのにCIA、こいつを雇うんかーい(笑)。ハリウッドのレジェンド俳優たちの豪華共演に+1点。
[DVD(字幕)] 5点(2022-12-22 11:25:44)
353.  ウェンデルとワイルド 《ネタバレ》 
両親を事故で亡くした13歳の不良少女カットと、地獄界の落ちこぼれ悪魔ウェンデルとワイルドの死者の国を巡る大冒険を独創的なタッチで描いたクレイ・アニメーション。僕のこよなく愛する『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』『コララインとボタンの魔女』のヘンリー・セリック監督の最新作ということで今回期待して鑑賞。冒頭、けっこうグロテスクな世界なのに何故かコミカルな地獄シーンで掴みはバッチリ。悪の親玉が作った叫びの遊園地でひたすらいたぶられる死者たち。電気ウナギにビリビリさせられたりジェットコースターで吹っ飛ばされたりと、地獄だから仕方ないんですけどひたすら死者たちがいたぶられ続けます。いやー、良いですねぇ、この唯一無二の世界観。子供向け?のアニメなのに、現実世界でバンバン人が死にまくるのもこの監督ならでは。中にはゴルフクラブで殴り殺された挙句、池に放り込まれる人もいます。それを温かみのあるクレイアニメで描く、というこの違和感が今回も心地良かったです。緑の髪に破れた制服、厚底ブーツを穿いて常に目玉ラジカセでガンガンにパンクを響かせて歩くという主人公カットもすこぶる魅力的。トラブルメイカーで自分のことしか考えていない2人組悪魔ウェンデルとワイルドも何処か憎めない魅力があるとこもナイス!彼らが織りなす大冒険には最後までワクワクが止まらなかったです。虫をぐちゃっと潰したり蘇った死者たちの腕が取れたりウジ虫が這いまわっていたりと細かな描写がグロいとこも個人的にツボでした。もちろんクレイアニメとしてのクオリティがすこぶる高いのも高評価。ストーリーが若干ごちゃごちゃしてていまいち分かりにくいところもありましたが、自分は最後まで楽しめました。
[インターネット(字幕)] 7点(2022-12-22 06:40:02)
354.  ゾンビーワールドへようこそ 《ネタバレ》 
子供の頃に入隊したボースカウトを未だに続けている高校生、ベンとカーター。2人の大親友でスカウトが生きがいのオギーの手前、今すぐ辞めたいとはとても言い出しづらくもはや惰性で続けていた。そんなある日、2人はクラスのイケてる女子に今夜開催される秘密のパーティーへのお誘いを受けるのだった。しかもそこにはヤリ〇ンで有名な女の子もたくさん出席するらしい。「これで俺たちも童貞卒業だ!!」。降ってわいた事態に思わず浮足立つ2人。でも、今夜は前々から約束していたオギーとのキャンプの日。考えた末に彼らは、オギーが寝静まった夜中にキャンプを抜け出し、パーティー会場へと向かう計画を立てる。だが、彼らは知らなかった。同じ頃、近くのバイオ研究所から大量のゾンビが逃げ出し、付近の住民に手当たり次第襲い掛かっていることを――。偶然知り合ったストリップバーのセクシーなお姉さんとともにゾンビが支配する町を脱出しようとする2人。ところがパーティーにはカーターのお姉ちゃんも出席していた。事態を知ったオギーとも合流した彼らは、ボーイスカウトで身に着けた様々な技術を駆使し、パーティー会場へと向かうのだが……。冴えないボーイスカウト3人組が大量のゾンビどもと戦う姿をコミカルに描いたサバイバル・アクション。とにかく面白かったです、これ!!冒頭のいかにも殺され要員のアホアホな清掃員がゾンビに喰われるシーンから掴みはバッチリ。続いて登場する主人公3人組のいかにも童貞というイモ臭い感じがもうサイコーでした。奥手な主人公とおっぱいのことしか頭にない友達とのおバカな会話も終始ニヤニヤが止まらなかったです。そして襲ってくる大量のゾンビたちとの死闘!どれもお約束のベタなものばかりでしたが、どれも見せ方が凝ってるので最後まで飽きさせない。ゾンビに囲まれているのに巨乳ゾンビのおっぱいは一応揉んどくあいつとか、トランポリンでおじさんゾンビのあれを命綱にしちゃう主人公とか、スカウトの隊長の家でトイレを借りる太っちょのあいつがトイレットペーパーを重ねて置いて使うとか、細かいネタがいちいち面白い。あと、好きな女の子の部屋でパーティー会場を記した日記を捜すシーン。女の子の下着がたくさん入った引き出しに動揺して思わず閉めちゃう主人公なんていかにも童貞ぽくて大変グッド(しかも結局日記はこの中にあったし!笑)。白いタンクトップにホットパンツというお約束な格好のおねーさんがお色気ムンムンなのもポイント高い。彼らが最後、ホームセンターで拵えたお手製武器でゾンビの巣窟へと乗り込むシーンは、ベタですけどやぱ最高にテンション上がっちゃいました!この3人のなんだかんだ仲間思いなとこもよいね~。うん、なかなか面白かった!8点!
[DVD(字幕)] 8点(2022-12-12 07:13:44)(良:1票)
355.  手紙は憶えている 《ネタバレ》 
ルディ・コランダーを捜しだし、必ず罪を償わせる――。老人ホームで穏やかな余生を送っていたグッドマンは、一週間前に妻を亡くしたことから長年患っていた認知症の症状が酷くなり記憶が曖昧になることもしばしば。昨日何をしていて自分が誰なのかもおぼつかない状態のままその日も目覚めた彼は、自分が一通の手紙を手にしているのを発見する。同じ施設で暮らす老人が書いたというその手紙には、これから自分が何をなすべきかが事細かに書かれていた。「俺たちはアウシュビッツの生き残りでお互いの家族を皆殺しにされた。家族を殺した男の名はルディ・コランダー。奴は今も名を変えアメリカやカナダの何処かで平穏に暮らしているはずだ。いいか、君は奴を見つけるために今から出発しなければならない」。候補となる男は4人。密かに施設を抜け出したグッドマンは、手紙の指示通りに銃を手に入れ、かつての宿敵かもしれない人々の元を訪ねるのだが、認知症から次第に記憶が曖昧になってゆくのだった…。頼りになるのは一通の手紙のみ、果たして彼は無事にルディ・コランダーを捜し出し過去を清算することが出来るのか?人生の終末期を迎えた老人の孤独な復讐の旅を淡々と描いたサスペンス作品。いやはやなかなか魅せるじゃないですか、これ。目覚めるたびに記憶を無くす主人公が一通の手紙だけを頼りに復讐の相手を捜すという、言わば老人版『メメント』とも呼ぶべき作品なのですが、物凄く凝った構成をしていたあちらとは違い本作は非常にストレートに描かれているところがポイント。人生の最後に過去を清算したいという老人ののどかな旅路のように始まりながら、主人公の認知症が徐々に悪化してゆくことによってどんどんとサスペンス色が濃くなってゆくところなどなかなか巧い。主人公を演じたクリストファー・プラマーの熟練の演技の賜物もあって、最後まで緊張感を途切れさせることなく観ることが出来ました。途中に出てくるナチ信望者のおっさんなんか嫌らしさ全開で、彼の家での二人のやり取りなども不穏でいい。最後のオチは想定の範囲内でそこまで驚きもなかったのですが、全体的には充分面白かったと言っていいんじゃないでしょうか。過去の作品からこの監督にはあまりいい印象を持っていなかったのですが、本作でちょっと見直しました。やるじゃん!
[DVD(字幕)] 7点(2022-12-05 12:55:27)
356.  ブラック・シー 《ネタバレ》 
第二次大戦時、莫大な金塊を積んだまま海の底へと沈んでしまったナチスドイツの潜水艦、Uボート。元潜水艦乗りで現在失業中のロビンソンはある日、半世紀もの長きにわたって海の藻屑となっていたそんな潜水艦の情報を偶然耳にする。妻とは離婚、愛する息子とも自由に会うことも出来ず、仲間とともに酒場へと入り浸るようなどうしようもない毎日を送っていたロビンソン。「自分の人生を一発逆転させてやる!!」。仲間とともにそう決意した彼は、大金を求めてウクライナ近海の海底へと旅立つことを決断するのだった。だが、当然のように一人で出発することなど出来ない。旧友のつてでイギリス人とロシア人による12人のにわか混成チームをどうにか集めたロビンソンは、現在は退役した旧ソ連の潜水艦を格安で手に入れるのだった。それぞれの思惑を抱えた彼らは、見渡す限り闇に閉ざされた暗い海の底へと繰り出してゆくのだが…。潜水艦内という閉ざされた世界で繰り広げられるそんな男たちの熱いドラマを重厚に描いたサスペンス・アクション。監督は、社会性の強いエンタメを得意とするケビン・マクドナルド。彼の代表作である『ラストキング・オブ・スコットランド』同様、こういう狂気と英雄紙一重の危険な男を描かせたらやっぱり巧いですね~。ジュード・ロウ演じる主人公が最初はいかにも艦長らしくみんなを纏め上げていたのに、様々な計画の綻びや仲間たちからの反発で神経をすり減らし、次第に暴走していく過程が説得力抜群。彼らが乗るという中古の潜水艦が、その余りに年季が入っていそうな錆びついたボディで登場したときも不安感ヤバかったです。うん、今にも沈没しそうなこんなおんぼろ潜水艦に乗るなんて絶対いや(笑)。また即席で集められた12人のイギリス人とロシア人という最初からうまくいくはずなんてない彼らの内輪揉めも緊迫感があり、徐々に始まる銃撃戦は見応えありました。まあこういう映画のお約束ながら、最初から最後までむさ苦しいおっさんばかりが出ずっぱりで女っけゼロなのはご愛敬。にしてもジュード・ロウ、すっかり禿げたなぁ(笑)。ラストはちょっとあっさりし過ぎかな。もう少し彼らのその後のドラマが見たかったような気がしなくもない。それでも乗組員12人の個性もそれぞれちゃんと描き分けられていたし、潜水艦映画の醍醐味であるキリキリするような閉塞感も感じられたし、僕は充分楽しめました。7点。
[DVD(字幕)] 7点(2022-12-05 12:41:24)
357.  DEMON デーモン 《ネタバレ》 
舞台はアメリカのとある寂れた田舎町。保安官でも手を焼くほどの悪逆非道ぶりから地域の人々に恐れられている一人の男、ブラックウェイ。母親の死をきっかけにこの地に越してきたリリアンは、そんな彼に目を付けられ様々な嫌がらせを受けることに。ほとほと困り果てるリリアンだったが、保安官をはじめ住民の誰もが彼の復讐を恐れて彼女の声など聞いてくれない。だが、年老いたレスターという男だけがそんな孤立無援のリリアンに救いの手を差し伸べてくれるのだった。どうやらこのレスターも過去にブラックウェイと何らかの因縁があったらしい。神出鬼没のこの悪魔のような男と交渉するため、彼女たちは閉鎖的な町を捜しまわるのだったが…。アンソニー・ホプキンス&レイ・リオッタ共演ということで今回鑑賞してみたのですが、これがびっくりするくらいつまらない作品でした。内容としては、この二人の主人公(あと吃音の若い男も)が、ひたすらこのブラックウェイという男を捜しまわるだけのお話で最後まで地味で退屈極まりない。正直、眠気と戦いながらの鑑賞となってしまいました。肝心のこのブラックウェイという男の存在も、どうして彼がそんなに地域社会から恐れられているかという説明がほとんどないせいで説得力が微塵も感じられません。おかげでサスペンスがさっぱり盛り上がらない。最後は、無事に復讐?を果たせて呆気なく終わるという捻りも何もない展開。あと、被害者の女性がけっこう残念なルックスなのもどうかと…。どうしてこの人にブラックウェイがそこまで執着するのかちょっと理解出来ないですし。結論。アンソニー・ホプキンスが出てるとはいえ、正直観るだけ時間の無駄の凡作としか思えませんでした。残念!
[DVD(字幕)] 3点(2022-12-05 12:14:20)
358.  フェンス 《ネタバレ》 
1950年代、ゴミ収集の仕事をしながら家族を養うアフリカ系アメリカ人、トロイ。彼とその家族の一見平凡に見える生活を描きながら、この時代に生きる黒人たちの、貧困、差別、閉塞感等々、様々な目に見えない〝フェンス〟を炙りだす社会派ヒューマン・ドラマ。主な舞台は、この主人公家族が住む一軒家とその裏庭、そしてストーリーもずっとこの家族が交わす会話でのみ進行していくという内容に、「これはもしかして舞台劇を映画化した作品なのかな」と思って観ていたら、案の定、デンゼル・ワシントンが過去に主演した舞台を基にしたものだったのですね。今回、D・ワシントンが監督も務めたということで彼の並々ならぬ熱意が伝わってきます。そう、この作品はとにかくそんな実力派の役者陣が織りなす圧倒的な演技力を堪能するためのものだと言っても過言ではないでしょう。それくらい役者の演技は素晴らしいものがあります。特にアカデミー賞を受賞した、主人公の妻役のヴィオラ・デイビスには圧倒されました。この時代、黒人で女性で主婦というもっとも弱者の象徴である彼女。その姿を通して、社会の中で虐げられた人たちの抑圧され続けてきた魂の叫びが聞こえてくるようでした。確かに内容的には地味ではあるけれど、なかなかの良作と言っていいんじゃないでしょうか。
[DVD(字幕)] 7点(2022-12-05 12:05:09)
359.  五日物語 ー3つの王国と3人の女ー 《ネタバレ》 
イタリアの古典的なお伽話をモチーフに、グロテスクなまでの女の性(さが)を独特の映像美で描いたダーク・ファンタジー。水底に棲む怪物の心臓を食べて子供を授かった女王、女好きの王にその歌声のみで見染められてしまった老姉妹、父王の気まぐれで岩山に棲む鬼と結婚させられてしまった世間知らずのお姫様。3つの物語が独特の映像で綴られていきます。怪物の心臓をむしゃむしゃ食べる王女や身体の皺を背中に集めて少しでも若く見せようとする老女、そして自分が暗闇で抱いた女が醜い老女だと知った王が衛兵に命じて即座に窓から捨てたり、変わり者の王が巨大な蚤に愛情を注ぐあまり娘を鬼に差し出してしまったり…。と、確かにこの唯一無二のグロテスクで独創的な世界観はかなり自分の好みでした。ですが、肝心のお話がどれもいまいち魅力に欠けていたが残念。映像同様、お話にももう少しパンチが欲しかった。でも、この無慈悲なまでの残酷さに満ちたエキゾチックな世界観は一見の価値ありです。興味のある方は是非どうぞ。
[DVD(字幕)] 6点(2022-11-28 11:53:56)
360.  キュア ~禁断の隔離病棟~ 《ネタバレ》 
ニューヨークの大手金融機関に勤めるエリートサラリーマン、ロックハート。順風満帆な生活を送っていた彼だったが、ある日、過去の不正行為が明らかとなり窮地に追い込まれてしまう。事実を知った会社はそんな彼にあるペナルティを課す。それは一通の手紙だけを残しスイスの療養所へと入所してしまった社長を速やかに連れ戻してくるというもの。選択の余地などないロックハートはすぐさま荷物をまとめ、スイスの人里離れた山奥にあるというその療養施設へと旅立つのだった――。19世紀の古城を改装したというその施設へとようやく辿り着いたロックハート。そこは世界中の富豪老人たちが集まり、地下水を利用した独特の療法が行われていた。ところが、面会時間を過ぎているという理由で彼は門前払いさせられてしまう。仕方なく引き返すことにしたロックハート。直後、彼の乗った車が事故を起こし、意識不明となった彼はそのまま施設へと入院させられてしまう。やがて目覚めた彼はすぐに知ることになるのだった。この施設に隠された恐るべき闇の部分を……。ハリウッドのヒットメーカー、ゴア・ヴァービンスキーの最新作はそんな怪しげな雰囲気が全編に漂うサスペンス・スリラーでした。うん、なかなか面白かったですね、これ。禍々しい空気に支配された美麗な映像がとにかく素晴らしい。一見掃除が行き届いた清廉潔白な施設のように見せかけて、お話の進行とともに少しずつ闇の部分があらわになっていくところなど見せ方が凄く巧い。随所に差し挟まれる黒いウナギのような生物が暗い水の中で蠢く映像なども悪夢的で強烈。何日も不眠に悩まされ目の下に隈を作りながら、そんな悪夢のような世界を彷徨う主人公を演じた若手俳優ディン・デハーンもまさに嵌まり役。何処かカフカや阿部公房を髣髴させるこの不条理な世界観は見応え充分でした。ただ、本作には致命的な欠点が一つ。とにかく長い!この内容で2時間20分はさすがに長すぎます。明らかに無駄なシーンが何か所かあり、そこら辺を削れば絶対2時間以内に収まったはず。最後、急にオカルトテイストになったのもちょっと唐突で違和感が拭い切れませんでした。この美しい悪夢とも呼ぶべき独特の世界観はすこぶる好みだっただけに惜しい。あと、決して美少女では無いもののヒロインを演じたミア・ゴスの存在感は抜群でした。彼女がウナギだらけのお風呂に入ったり施設長におっぱい揉まれたりとなかなか体当たりで頑張ってたのも良かったです♡。
[DVD(字幕)] 6点(2022-11-28 11:33:41)
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