21. フローレス
NYの片隅で行われる人類(二人だが)補完計画。P.S.ホフマンの前面に出てくる演技と、デ・ニーロの一歩引っ込んだ演技が、ちょうど良いバランスで絡んで見事です。外から見られてる自分と本当の自分とを、主役二人がお互いに衝突しつつ、少しずつ明らかにしながら、それに折り合いを付けていく過程が心地よく写りました。 9点(2002-07-02 01:11:47) |
22. トーチソング・トリロジー
同性間の恋愛を含んだ人間関係が丁寧に描かれていたと思います。それ以上に興味深かったのは、主人公の自分と他人の距離や欺瞞を真摯に見つめようとするその態度でした。なんでもテキトーで済ませている自分には、まるで別の世界の人のように彼の姿が映りました。大切な事だからこそ、痛い思いをしなければならないんだろうなぁ、なんて事を自然に諭してくれるような気がします。とっても良い作品。 8点(2003-10-14 09:54:24) |
23. バティニョールおじさん
あらすじから推測した雰囲気からは、ネビル・シュートさんのパイドパイパーを連想したんですが、いざ観てみるとずいぶんムードが違っていました。子供達とのギクシャクした交流が、優しい視点で描かれていたと思います。個人的には、パリでの生活を丁寧に語ろうとしたところは、後の展開に良い影響を与えたと思ったのですが、ここは観る人によってテンポの悪さと感じられるかもしれないですね。一つの街に一人くらいはいそうな普通のおじさんが(たとえ自己憐憫や喉に刺さった小魚の骨のような罪の意識からだろうが)ナチスに逆らおうとする決断には、素直に応援を送りたくなる説得力があると思います。最後の最後でああなるわけですけども、よく生活できたなぁと思うのは、バイト生活に疲れた学生の荒んだ心のなせるワザでしょう。どこかのんびりとした佇まいに、適度なハラハラ感があって、落ち着いてみられるとても良い作品だと思います。どうでもいい事ですが、字幕の後吹き替えで観た時、あの少年がいつ「犯人はお前だ!」とか言っておじさんを糾弾するのだろうかとドキドキしてました。貴重な経験です。 8点(2003-08-23 16:22:39) |
24. ギャラクシー・クエスト
オタク(死語かな?)万歳! 個人的には、ここまでするならプロレスオタクもどこかで得意の乱入をしてほしかったのですが、そこまでいくとつまらなくなること必至なのでこれで良かったと思います。ストレート過ぎる気もする展開の流れも、何の違和感もなく受け入れられ雰囲気作りは、非常に優秀だと感じました。オタクの気質と文化全肯定の大快作だと思います。 8点(2003-07-23 12:49:09) |
25. 死刑執行人もまた死す
本来込み入った内容のはずですが、くどくならないギリギリの分り易さをもって監督が観客に伝えてくれたおかげで、実に良質な緊迫感を楽しむことに集中できました。演出・構成上のこのバランス感覚はとても素晴らしいと思います。すんごく良作。 8点(2003-07-23 12:32:07) |
26. 屋根の上のバイオリン弾き
いろいろと感じたり考えたりしたとこはあるけど、ものすごい勢いで長くなりそうなので、一つだけ。もの悲しくも、とても前向きに開き直れる作品でした。いつの日か本場の舞台も観たいなぁ。 8点(2003-07-08 19:48:41) |
27. さびしんぼう
ちょっとウレシハズカシなオーラ漂う前半と、すべてが収束していく後半では、全く違う作品のような印象を受けました。人が人を好きになるときには、誰のたもとらにもさびしんぼうがいるんですねぇ。ロマンティックに美化されているとはいえ、そんなことをふとほんとの事のように錯覚しそうになるほどムードがイイと思います。本作の富田靖子さんの透明感は秀逸。 8点(2003-07-08 19:17:01) |
28. じゃりン子チエ
実家にいたころテレビで繰り返し再放送されていて、この前ふとレンタル屋で見かけたので、懐かしくなり借りてしまいました。小さなエピソードがイヤミなく積み重ねられて、いつも観ているうちに自然とノスタルジックな気分に浸れます。そしてそれがまた心地よい。本作をはじめ、クレヨンしんちゃんのいくつかやオネアミスの翼、風が吹くときなど、秀作アニメには心に残るものが多いです。まぁ、本作は一個の作品というよりは原作コミックの前半部総集編に近い形なのですが。久しぶりに古本で集めた原作を無性に読みたくなりました。 8点(2003-07-08 19:14:53) |
29. ブギーナイツ
設定が設定だけにちょっと引きそうになりましたが、その実、予想外に上質な群像劇だったのは嬉しい誤算。状況次第でどうとでも染まっていく人の心が、素直に画面から伝わってきたように思います。ディグラーさんの落ち目っぷりとその後の再出発は良い意味で単純。生きていく上での浮き沈みなんて、案外シンプルだったりする所もあるのでしょうし、くどすぎないのは好感持てます。傷もちながら肩寄せ合っている者同士の、端から見れば家族ゴッコのようなものでさえ、当人たちにとっては居心地の良い古巣なのでしょう、たぶん。どうでもいいことですが、良識人ぷり全開のあの人が、店で死体からお金を掠め取っていく様を見て、そうだよねぇ、などと何となく納得した僕はきっと駄目人間。 8点(2003-06-03 15:34:51) |
30. 暗い日曜日
もの悲しいお話です。恥ずかしながらヨーロッパ映画界についてはからきし疎い僕ですが、この作品のイロナ役とラズロ役の方はとても印象的で、お二方の演技に引き込まれました。また、観客を決してバカにしてるのではない分り易さで作品を伝えてくれようとする監督の演出には、とても好感が持てました。作中で暗い日曜日という曲のメッセージについて言及がありましたが、僕には考えられる限りもっとも間の悪い時に訪れる慰めのように思えてなりません。印象深い、とても良質な作品だと思います。 8点(2003-01-05 13:26:06) |
31. ビヨンド・ザ・マット
アメプロ万歳! 使用前使用後のようなジェイク・ロバーツさんのエピソードは、そのまま一つの映画になると思います。何となく、昔遊んだTVゲームで、彼の必殺技が蛇が襲いかかるもの、というデマを信じて小遣いを無駄遣いした暗い記憶に苛まれました。 8点(2002-11-17 15:55:23) |
32. 用心棒
この三船さん、メチャクチャ強いんですけど。ターミネーターとも良い勝負するかも・・・。アクションシーンの迫力にいたっては、最近のそれらと比べても何の遜色もありません。登場人物達の時に趣深いセリフが、しばしばはっとさせてくれました。実に面白い娯楽作品だと思います。どうでもいいことですが、桑畑さんを見ていると、能力や才能と甲斐性は全くの別物だと痛感しました。 8点(2002-11-10 15:39:21) |
33. ストレイト・ストーリー
おじいさんが身内に会いに行くというだけのお話なんだけど、トラクターに乗ってとっとこ走ってるのが、アメリカの地方の風景と合わさってとても和やかなムードがありました。時折顔を見せる、ちょっと思考の立ち位置が違う人々の発想や会話、その人たちの画面での配置などに、リンチ監督っぽさをほんのり残してる気がします。おじいさん、長い道のりの間にたぶん多くの事を考えて、いろいろと話したいこともまとめたと思うけど、最後にお兄さんに会ったときは、たった一言だけ。。。きっと、ささいな考え事より、もっと大事な忘れ物を見つけたんだろうと感じました。のんびりとあたたかな、だけど少し寂しい雰囲気の良作だと思います。 8点(2002-10-26 09:19:34) |
34. バルタザールどこへ行く
乾いてると思えるほど何の感情も感じさせない淡々とした撮影が、最後に捉えたロバ(僕の事ではありません)のバルタザールの瞳をとても情感深く映していたように思えたとき、清々しいほどの突き抜けた虚無感を感じました。功罪や愛憎なんてものですら、人間のちんけな部分のエゴにすぎないのかもしれません。観終わった後しばらくは爽やかに鬱生活を送れる方が多いと思います。 8点(2002-10-16 21:11:33)(良:1票) |
35. グッバイガール
ずいぶん前の作品ですが、全く古い感じを受けなかったです。音楽もセリフもとてもコジャレてて、終わりまで楽しく観られました。最後はほんのり暖かい気持ちになれます。全然期待してなかったから、とても得した気分。良い時間をすごさせてもらいました。 8点(2002-08-12 14:26:03) |
36. エンゼル・ハート
ほぼ全編にわたって暗い予感に満ちた作品だと思いました。今からみるとアイディアは古典的なのですが、それでも追いつめてくるような不思議な雰囲気がありました。ちょっとした小道具(タップダンス、黒い服の人物、換気扇など)で不安を煽る演出は凄かったです。特殊効果などほとんど使わず、何気ない仕草や表情、イントネーションなどで心理的な追い込みをかけてくるデ・ニーロさんはさすがですね。教会でミッキーさんを見下ろす一瞬写る表情なんて、後から夢にまででてきました。 8点(2002-08-12 13:36:38) |
37. 女と男の名誉
予想外に映像と音楽が印象的でした。後半、急速に緊張感が増していくのは良いテンポ。ニコルソンさんが怖いけどカッコイイ。 8点(2002-08-06 21:26:42) |
38. ある日どこかで
とても綺麗な作品だと思いました。いろんな意味で。全てがあの最後に向かってイノセントさを際だたせていくのも、見てて引き込まれました。とても良質な作品だと思います。(2003/10/14 勘違いでインチキ情報を書いてしまっていたのでその部分を削除しました。ウッカリ信じちゃった方には申し訳ありません。最近、本当の原作を購読しました) 8点(2002-07-30 23:01:04) |
39. コーリャ 愛のプラハ
特に奇をてらった演出やエピソードを挟むでもないのに、徐々に和んでいく老人と子供の変化が、実に自然に描かれていました。最後のシーンでの演奏も、割り切って現実を受け入れた老人の、本音の部分での寂しさを表しているようで、とても印象的です。シンプルながら、しっとりとした余韻のある秀作と思いました。 8点(2002-07-04 21:05:47)(良:1票) |
40. わが心のボルチモア
とにかく地味な作品ですが、移民系3世代の意識や生活の移り変わりを丁寧に描写しています。役者の方々も淡々と演じられ、この作品のテンポをゆったりと進めているように思えました。TVというものを象徴的に家族の場という中に置くことで、世代間の意識格差を効果的に表現しています。決して安易なノスタルジーに浸ったままではない演出は、好き嫌いを分けるかもしれません。とてもできの良い佳作だと思います。(2003/10/14 見直して前より面白く感じたので点数変更) 8点(2002-07-04 19:54:56) |