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R&Aさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2162
性別 男性
年齢 57歳
自己紹介 実は自分のPC無いので仕事先でこっそりレビューしてます

評価:8点以上は特別な映画で
全て10点付けてもいいくらい
映画を観て損をしたと思ったことはないので
酷評しているものもそれなりに楽しんで観たものです


  *****

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21.  地獄の逃避行
5年後の『天国の日々』で伝説の監督になっちゃって、さらに20年沈黙後『シン・レッド・ライン』を作るんだけど、その『シン・レッド・ライン』は結局のところこのデビュー作『地獄の逃避行』とやってることは同じだったんだとコレ見て思った。狂気を狂気っぽく描かない。殺人の背景とか心の闇だとか一切描かない。殺人のシーンはそれぞれが衝撃的であるが、何が衝撃かっていうとあまりに簡単にその行為が成されているってことに尽きる。映画は男が何を思い何を考えているかを映そうとはしない。それは映らないから。映せるのは行動だけ。それが映画なのだ。そしてテレンス・マリックはその行為が成された場所を映す。そこでどんな異常なことが行われていようと地球はそんなことに関わりなく美しくそこに存在し続ける。というか、どんな狂気をもちっぽけなものにしちゃう。何やったって釈迦の手の中でしかない、みたいな。その美しい景色たちが『シン・レッド・ライン』ほどに雄弁でないところがまたいい。
[DVD(字幕)] 7点(2010-09-29 15:45:22)(良:2票)
22.  ダーティ・メリー/クレイジー・ラリー
強盗やって逃げるただそれだけの映画なんだけど、例えばもっとシンプルにただ爆走するだけだった『バニシング・ポイント』や同時代のこの手の先駆的ロードムービーの『イージー・ライダー』のように「アメリカ」を平行して描いたりもしない。本当にただ強盗やって警察に追っかけられるだけの映画なのだ。いわゆるBの線なんだけど、逃げる者メインのドラマにカットバックで挿入される追う者の描写がなかなかに絶妙。単純なんだけど楽しい。こういうのが映画らしい映画なのかもしれない。『バニシングIN60”』ばりにしっかりとカーアクションが撮られているのも嬉しい。直線を走るだけでもここまで迫力満点のカーチェイスはそうそうお目にかかれない。数々のプロフェッショナルなドライビングテクニックがバシッと画面に収まっているのは今どきの揺れる画面に慣らされちゃうと実に新鮮に感じる。
[映画館(字幕)] 7点(2010-09-28 15:14:31)
23.  ソイレント・グリーン
時代を考えれば変に近未来の舞台を作るより何もしないほうが結果として良かったのかもしれないが、それにしたって当時じゃ「何もしない」ってのはなかなかの決断だったはず。それともお金が無かったのか。いや、フライシャーはわかってたんだ。背景は映画の側面的なものでしかないということを。そのぶん想像を絶する慢性的食糧難という未来社会がいやというほど映し出されて未来を強調する。その世界の中で俳優たちは現代劇となんら変わらぬ演技をする。妙にリアルで妙にうそ臭い。このうそ臭いリアルに不気味さがあり、またこれが映画なのだという喜びがある。なんともやるせないエンディングが70年代前半独特の後味でどこか懐かしい。と思うのは限られた世代だけですね。
[DVD(字幕)] 7点(2010-09-16 10:12:14)
24.  デス・レース2000年
倫理観ゼロの「チキチキマシン猛レース」。綻びを全く気にしないバトルロワイヤルな近未来世界というのがあまりに奔放で素晴らしい。近未来であることを考慮しているとは思えない衣装や車のデザインも最高。しかしそれ以上にショボイ。そしていい加減。ショボさは低予算ゆえだし、いい加減さは味でもあるんだけど、ショボさいい加減さは残酷描写を和らげる働きもあるのであえてしているところもあって、その「あえて」ってのがちょっと目につきすぎた。カルト映画と割り切れば楽しめるかもしれないがそれはあくまで今じゃ到底作り得ないような倫理観の無さにあるのであって、1本の映画として見た場合ちときついものがある。でも冒頭に挙げたこの映画の「自由さ」だけは絶賛したい。
[DVD(字幕)] 5点(2010-09-13 14:39:53)
25.  栄光のル・マン
昔はよく見たなあ、ル・マン24。チャージ・マツダが活躍してた頃。で、マツダが総合優勝した翌年にロータリーエンジンが締め出されちゃって、それからあんまり見なくなった。見るっていっても当然24時間見てるわけじゃなく、でも途中途中でただ延々と走ってる車を見てた。レースってのはそれでも面白くって、たぶんそれは一歩間違えば死ぬことだってありえるスピードで走っているという緊張感が伝わったり、チーム一丸ってのがガンガン伝わってくるからなんじゃないかと思うんだけど、娯楽映画という媒体は車といえばクラッシュで、だから公道を違法にぶっ飛ばす車のほうが映画にしやすくって、画的に単調なレースってのは映画にしにくいはずで、実際のところカーレース本来の面白さってのを見せた映画ってあまりない。そんな中でこの映画はクラッシュシーンは控えめながらあるんだけど、とにかく緊張感とか高揚感とかレース本来の面白さを映し出そうとしている稀有な映画。後期のマックィーン出演作って、マックィーン自身がなんらかの形で製作に関わっていることが多く、関わった作品の大きな特徴がリアリズム。この映画もクレジットこそされていなくても間違いなくマックィーンが作った映画だと思う。娯楽映画としては物足りなさもあるんだけど、彼のリアリズムの世界に彼が佇むともうそれだけで絵になってるのは確か。
[DVD(字幕)] 6点(2010-09-09 17:06:41)
26.  ハリーとトント 《ネタバレ》 
息子の嫁があからさまに邪険な態度なのがやりすぎな感じがあるんだけど、息子や娘のしっかりと意思表示される父親への愛情表現は欧米ではごくごく自然なのだろう。であるならば孤独ってことはないはずで、実際娘はいっしょに暮らそうと言ってくれているわけで、だから旅は老人の冒険であってそこに老いを憂うものは何もない。そこがいい。とくに女の子がからんでくると何かが起こりそうで楽しい。でもおそらくは映画の肝である老いとか死とかというテーマがやっぱり友人の孤独死とか昔の恋人の痴呆とかというカタチで提示されたりするもんだから単純に楽しんでばかりもいられない。老人が主人公なんだからそこまではっきりと映し出す必要もないと思うんだけど、そのわかりやすいテーマ性がこの映画が高評を得る所以なのだろう。この作品を見るまでなぜかトントは犬だとばかり思ってたんだけど、それはたぶん「ふしぎ犬トントン」のせいだ。
[DVD(字幕)] 5点(2010-09-01 15:01:27)
27.  オルエットの方へ
木靴をみつけてゴトゴト鳴らしてゲラゲラ笑う。何が面白いのかわからんがこっちまで笑いそうになる。「おーるるるえっっっと」と言ってはゲラゲラ笑う。何が面白いのかわからんが笑いが伝染する。これは演技なのだろうか。脚本はどうなってるのだろう。とにかくそこに演出があることを感じさせない彼女たちの素の表情とカメラを意識しないあまりに無防備な彼女たちの身体が次から次へと映し出される。彼女たちは物語に準じた会話をするでもなく、決められたゴール地点へ向かって行動するでもない。彼女らに引きつけられるようにして登場する男たち同様、ただひたすら昨日と今日と明日の関係になんの脈略もない彼女たちのバカンスに付き合うのみ。それがそのまま極上の映画体験になっちゃうんだから素晴らしい。登場する男の一人がやたらとワインをがぶ飲みしてるんだけど、南仏の海岸と白ワインって合うなあと。凄く美味しそうだったもんで、この映画見たあとすぐに安物のワインをアホみたいに大人買いして毎日ガブガブ飲んでたんだけど、安物はいらんとヨメさん付き合ってくれず。一人でがぶ飲みワインってのは絵にならんのな。ま、夫婦でがぶ飲みだって絵にはならんか。
[映画館(字幕)] 8点(2010-08-06 14:32:27)(良:1票)
28.  サンダーボルト(1974)
このニューシネマテイストの映画がチミノの長編デビュー作というのは意外な感じもするのだが、時代に取り残された男たちのどうしようもなさ、そんな切なさ漂う男性映画ってところで納得。顔だけで映画になっちゃうからしゃべる必要が無い苦みばしった顔をしたクリント・イーストウッドと、まるでイーストウッドの取巻きのようにまとわりつく憎めないやんちゃくれのジェフ・ブリッジス。プラスとマイナス。陰と陽。この二人のキャラクターを作り上げた時点で半分成功。演技しないイーストウッドとの名コンビ役をこなしたブリッジスの名演技で残りの半分ゲット。さらにジョージ・ケネディがいい味出してる。銀行強盗をするための資金を稼ぐのにバイトしてるのがなんとも微笑ましく、そのまま地道にバイトしてればいいのに、なんだけどできないジョージ・ケネディが面白い。たしかに見所が散漫な印象もあるんだけど、見所が満載でもあります。
[映画館(字幕)] 7点(2010-07-23 15:57:30)(良:1票)
29.  仁義
夜明け前、このあたりの時間帯がやたらと多かったような印象がある。ゆえに薄暗いシーンが多いが独特の青みがかった、カラーとモノクロの中間のような映像が美しい。大スター共演とは思えない地味な内容も大スター共演だからこそのエンターテイメント性と生々しい緊張感を共存させる。「仁義」などという男の美学をくさくさせずにリアルに見せてしまうことの凄さよ。間違いなく沈黙の演出が効いている。男前はしゃべる必要がない。メルヴィルの映画にアラン・ドロンは最高に映える。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2010-07-13 14:27:42)(良:1票)
30.  クレールの膝 《ネタバレ》 
登場人物が独自の恋愛哲学を持ち延々と講釈をたれ、その挙句にその哲学に思いっきり矛盾した行動をとらせて終わる、というのはロメールの、とくに短編映画によく見られる光景なのだが、この作品はその哲学が崩壊しないことを証明してみせようと主人公が実験を試み見事成功させるというメタ・ロメール映画的な筋立てなのだが、そこから落とすオチが素晴らしい。とは言うものの主人公の思考は嫌悪感を抱かずにはおれないというのも頷けて、長編でオチまでずっとこの嫌悪感と共にいるのはたしかにつらいものがある。ただ、「膝」に固執する主人公がいよいよその「膝」を我が物にする瞬間が近づきつつある、あのエロチックさを出さないようにしているのに出てしまったような場面はどうにもたまらん。しかも女を動けなくしている雨。あれは本物の雨なのだろうか。本物の雷なのだろうか。でもよく考えたらこの運命的な雨を背景に「膝」って。「膝」だけって。そこがロメールの偉大なところでもある。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2010-05-10 14:58:16)
31.  砂の器
犯人がいかにかわいそうな生い立ちであったかを説明する丹波。いらんやろ。映像でいやっちゅうほど見せてるんだからそこは冷酷な国家の立場にいてていいじゃん。というかそれ以前に後半の生い立ちの部分、ごっそりいらん。前半の刑事たちの無駄になるかもしれない捜査の連なりの部分は楽しめたのだが、仮にそんな刑事ドラマよりもミステリーよりも社会派であることをこの映画が選んだのだとしても、長々と再現映像を見せる必要はない。動機が判明した時点でじゅうぶん社会派になってるんだから。その再現ドラマをメインにしたいなら最初から主人公を犯人にし、幼少から時系列順に見せて、謎めかすことなく犯行が行われ、警察は一警察官としてしか登場せず、ひたすら主人公のドラマにすりゃいい。
[CS・衛星(邦画)] 2点(2010-04-21 17:03:44)
32.  クワイヤボーイズ
冒頭、ベトナム戦争中の恐怖体験が描かれるのだが、その伏線回収がずっと後で、しかもそれまでひたすらはちゃめちゃな展開なもんだから一瞬プリントミスかとも思ったぐらいだったんだけど忘れた頃に辛辣に回収されていった。ロス市警の警官たちの仕事ぶりと毎夜のパーティが描かれてゆくのだが、仕事におけるエピソードもまあぶっ飛んでるのもあるんだけど、パーティの羽目の外し方が半端ない。とくにえらく暴力的な警官が一人いるんだけど、彼が同僚たちのおふざけで下半身素っ裸で公園の木に手錠で繋がれてるとホモが近寄ってくるところとか、急所を咥えた池のガチョウに向かって発砲しまくるシーンとかもう最高に可笑しかった。いやもうむちゃくちゃ。お下劣。最高。その後に冒頭のシーンを回収する悲しい事件が起きるんだけど、この「悲しい」を全く引きずらない。同じ原作者の作品『センチュリアン』(リチャード・フライシャー)をはちゃめちゃにしてそのうえ感傷を抜き取ったような映画でした。
[映画館(字幕)] 7点(2010-04-20 15:07:42)
33.  センチュリアン
以前見たロバート・アルドリッチ『クワイヤボーイズ』(1975年)と似ている部分が多いなと思ったら原作者が同じでした。「センチュリアン」は原作者(ジョセフ・ウォンボー)がロス市警在職中に書いたものらしく、前半の「警察24時」ばりの他愛のない事件も含めた日々のパトロール風景は実に生々しく描かれており、映画がどこまで原作に沿っているかは知りませんが原作にあるだろうリアルな風景はじゅうぶんに再現されているように思いました。それでいて本作の真に素晴らしいところは登場する警官たちの人となりをその日々のパトロール風景のみで描ききっているところ。ステイシー・キーチ演じる主人公のドラマの行く末はいたってありがちなんだけど、ストーリーを構成する人物、出来事のこれ以上ない合理的な配置には唸らされる。一瞬で緊張のボルテージを上げる一発の銃声といい、凄まじいカーアクションといい、魅せどころもしっかりと用意されている。
[映画館(字幕)] 7点(2010-04-19 17:39:35)
34.  クレイジー・ママ 《ネタバレ》 
ロジャー・コーマン製作の「ママ三部作」の最終作だとか。いや、コーマンのことだから似たり寄ったりのものが他にもごまんとあるはず。三部作の一角『血まみれギャングママ』との二本立てを観たんだけど、どちらもニューシネマのスタイルをパクっ、模したロードムービーなんだけど描かれる時代を当時の社会を反映しない30年代、50年代としているところが曲者。『クレイジー・ママ』はロックンロールの50年代。泥沼化しているベトナム戦争中の70年代ではなく戦勝国ムード溢れる50年代。だからというわけでもないだろうがラストカットのバカ明るさにはやられた(オープニングはけっこう辛辣なのに)。娘の尻軽さも突き抜けた明るさの象徴で嫌味がない。その娘に振り回される男も心底悩まない。リーゼントのナンパ野郎もスカッと爽やか、そのうえ仁義に熱く男らしい活躍も見せてくれる。言いかえれば深みがないのだが、もちろん確信犯。カーアクションと銃撃戦があればOKで、あとはそこにもっていくための材料でしかない。そんな中であっけらかんとした女たちが生き生きと躍動しているからまた痛快。女はたくましい。
[映画館(字幕)] 6点(2010-04-13 16:43:49)
35.  ビリー・ザ・キッド/21才の生涯 《ネタバレ》 
パット・ギャレットが撃たれるシーンから始まるのだが、これから始まる物語が過去のことであり、その「過去」である物語の冒頭と「今」であるパットの最期が何度も切り返されるオープニング、この構成がめちゃくちゃかっこいい。そして原題どおりのパットとビリーの物語が始まる。このオープニングが秀逸なのはかっこよさだけではなく「死」へと向かう物語であることを予告しているからでもある。法などあって無いような時代がいよいよ終焉を迎えようとする西部開拓時代の末期、同じ穴のむじなの二人が保安官と無法者として対峙する。しかし同じ穴のむじな。二人ともが死へと向かうことに抗うことができないその切なさが漂う。そのことを代弁するボブ・ディランの「天国への扉」。ここにバイオレンスの巨匠はいない。いや、ペキンパーはたしかに暴力をスローモーションでショー化してきたが、その暴力の中に悲哀を込め続けたのも確かなのだから、これこそが彼の真髄なのかもしれない。ちなみに見たのは「特別版」。
[DVD(字幕)] 7点(2010-02-18 16:13:18)
36.  処刑遊戯
松田優作じゃないと成り立たないハードボイルド・アクション。と言いたいが松田優作をもってしてもこれはやり過ぎ。よくもまあ、あんなくさい台詞を次から次と並べられたもんだ。台詞以上にくさいのが演技。優作が女を見る目つきとか痛みに耐えている表情とかいちいちオーバー。頭殴られて気絶するシーンも「がくっ」という音が聞こえてきそうだ。せっかくの長回しも緊迫感に欠ける。でもこれで丸山昇一が出てきたんだから当時はこのコミカルに逃げないハードボイルド一直線がそれなりに衝撃だったということなのかもしれない。少なくともこれで優作の商品価値は高まったと思う。丸山×優作だったら工藤栄一監督『ヨコハマBJブルース』を推す。
[DVD(邦画)] 4点(2009-10-06 16:52:06)
37.  バニシングIN60”
泥棒は盗む。そして逃げる。この映画はただそれだけを延々と映しているにすぎない。それなのに面白い。いや、それだから面白い。例えばリメイク版との比較、、、と思ったけどカーアクションに差があるので、例えば『バニシングIN60”』の脚本にリメイク版のように車を盗まざるをえない理由を描いたり依頼人がどんな人物かを描いたりしたとしよう。この『バニシングIN60”』は面白くなるだろうか。ならないに決まっている。そこが映画の面白いところであり難しいところなのだ。何を見せ、何を見せないか。この作品は実に潔い。そして、そりゃ潔くもなるだろうカーアクションの凄さ。何が凄いって本気で公道をぶっ飛ばしてるのがビンビン伝わってくる。けして華麗じゃない。スピードを上げれば必然的に高まる事故の可能性をひしひしと感じながらのカーアクション。そこには生が死に限りなく近づこうとしている瞬間が映し出されているかのよう。これはもうほとんどドキュメンタリーです。
[DVD(字幕)] 7点(2009-10-02 14:40:45)
38.  ホット・ロック
ドートマンダーをレッドフォードがするってところが全くしっくりこなかったんだけど、見ているうちに気にならなくなるどころかレッドフォード以外あり得ないとすら思えてきた。と言っても原作のドートマンダーとはやっぱり違うんだけど、これはこれでありだなと。お話もわりと原作どおりなんだけど原作にある軽快さまでも再現しているのに恐れ入る。けして大袈裟にならない。計画通りにいかないことがシリアスに転化されずコミカルに転化される。ちょっとシリアス方向へ、あるいはもうちょっと緊張感を、という欲望を抑えて、またコミカルになりすぎないその絶妙な塩梅でもって愛すべき犯罪者たちを活き活きと描いている。原作とは違うラストシーンの長い長い徒歩シーンがまたニクイ。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2009-10-01 17:38:26)
39.  セルピコ 《ネタバレ》 
憧れの警察官になったセルピコはけして強くはなく正義感だって人並みにしか持っていないごく普通の男である。警察全体に蔓延する汚職が異常に過ぎるのだ。だから賄賂を受け取らないという当たり前の行動が異端視される。犯人逮捕に合理的と判断する髭面や浮浪者のような装いも異端であることを増幅させる要因となってしまう。当たり前の行動が出来ない状況で当たり前のことをすることの困難が生々しく描写されてゆく。正直者が馬鹿を見るとは正にこのこと。正しいはずの行いをすればするほどに孤立してゆき、誰かが手を差し伸べてくれるはずという見込みも打ち砕かれ、つまはじきにされ、罵声を浴び、仕事にも支障をきたす。その流れが実に説得力がある。巧い。顔前にヌッと出てくる黒光りした細い銃身の不気味さ。頬から噴出す血。どアップになったパチーノの薄茶色の瞳の美しさ。一つ一つのカットがドラマを越えて印象に残る。
[DVD(字幕)] 7点(2009-09-18 15:46:40)
40.  罪と罰(1970)
かなりエピソードを省略しているんだけど省略の仕方が巧い。原作に描かれる風景が細部まで再現されており尚且つキャスティングが驚くほどイメージどおり。ドーニャはもうちょっと優しい顔立ちをイメージしてたんだけどソーニャとのキャラクターの差異が明確になって映像的には良かったかもしれません。1970年の作品なのにモノクロなのだが、重く鬱屈した原作の世界観や極貧生活の描写は確かにモノクロのほうが適しています。長尺(しかも会話が多い)をものともしない面白さの根源は、間違いなく犯罪モノであり青春モノであり純愛モノであり家族の物語であり救済の物語であり社会批判も内包されコロンボ的ミステリーでもある原作にあるのは間違いありません。その原作の面白さを出来るだけ損なわないようにしようと努力しているのがよくわかります。またそれはじゅうぶん成功していると言えるでしょう。やっぱり省略の巧さゆえでしょう。
[映画館(字幕)] 7点(2009-09-04 15:22:51)
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