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ユーカラさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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21.  東への道
ドラマティックな展開をさらに盛り上げる幾重ものクロス・カッティングによって、あっという間の134分間。個人的には、同じリリアン・ギッシュとリチャード・バーセルメスのコンビ作『散り行く花』よりも人種や年齢的な違和感がない分、主演二人への感情移入がよりスムースであるというのもあるが、何よりもショットの一つ一つが見せ場といって良いほど魅力的であり、その画面の充実ぶりが観る者を引き込んでいく。一見、何気ない家屋や農場の情景ショットの、そのフレームの中で戯れる犬や猫、鶏、雛たち、あるいは風に揺れる枝葉、雪、ドア、揺り椅子など数々の要素が常に画面を息づかせ、活気づけている。とりわけ美しいのは、第二部で河辺に佇む二人を包む夏の夕暮れの光。そこに、終盤のクライマックスへのさりげない予告ともなる滝のワンショットが静けさ(音)の演出として挿入され、一際叙情を満たす。そして、文字通り命懸けのショットが織り成す解氷のスペクタクルと救出劇の高揚感。観る側がエモーションを共有する奇跡的なアクション。これぞ、映画。
[DVD(字幕)] 10点(2009-09-07 21:14:20)
22.  カトリーヌ
ジャン・ルノワールとアルベール・デュードネの共同監督名義という、曰くつきの作品。様々なバージョンがあり、両者の関与の程度についても様々に議論があってややこしいが、ルノワール作品らしい瑞々しいショットに満ちている。同時に、随所に見出されるグリフィスへの傾倒も非常に感慨深い。放浪する「孤児」であり、「小間使い」である少女の薄幸のイメージ。照明とフォーカス効果、クロースアップを最大限に活かして、主役カトリーヌ・エスランの容貌を美しく印象付ける配慮。群衆が乱舞するニースのカーニヴァルのスペクタクル性と、屋内・屋外のダンスを「円」で繋ぐカットバック。さりげなく物語に機能する「椅子」。そしてラストのクロス・カッティングを駆使した「列車と自動車」による怒涛の一大救出劇。あまりに率直で直截なオマージュからは、初作品を通しての映画への思いが伝わるようだ。特に迫力に溢れたクライマックスの路面電車の暴走は圧巻である。後の『獣人』で鮮烈な印象を残す列車疾走の先駆けともいうべき圧倒的な画力に圧倒される。車両を背後から捉えるカメラは振動でぶれ、木立は流線となって後景を飛び去っていく。位置関係の整合性、スピードの一貫性を無視した荒々しい編集が却って無方向的なエネルギッシュさを発散させて『イントレランス』にも引けをとらない感動を生んでいる。
[DVD(字幕)] 9点(2009-08-11 20:58:40)
23.  のらくら兵
中盤の兵舎内でのドタバタも面白いが、なんと言っても後半のパーティシーンの乱痴気ぶりが圧巻。大らかさ、楽しさを通り越して、パワフルで凄まじい。『女優ナナ』に続く滑稽な宙吊りアクション、回転する花火の火花、放水の激しい水しぶきと右往左往する観客たちが入り乱れる画面の圧倒的な活力。多様なポジションから即興風に捉える手持ちカメラは画面が少々ぶれようが焦点がぼやけようがお構いなし。場の活気と狂乱に同期し一体化するかのような鮮度感に満ちた画面で映画を盛り上げる。エピローグの簡潔にしてスマートな大団円も幸福感と愛嬌に溢れ素敵だ。
[DVD(字幕)] 9点(2009-07-25 20:21:02)
24.  極北の怪異
ロバート・フラハティによる記録映画の魅力は、狭量な「民俗記録」でも「資料的価値」でもなく、ジャンルや手法や国境に囚われぬ自由な精神に基づく映画感覚といえる。一般的には記録映画としてもの珍しさを第一に要求するであろう映画会社に対し、フラハティはそれ以上に「人間と自然」の魅力の活写に大きな力点を置いていることが画面から明らかに伝わる。ローポジションが緊張感を煽るあざらし漁の撮影。酷寒の猛吹雪の迫力と寂寥を伝えるモンタージュ。一方でナヌーク一家がカメラに向ける大らかで人なつっこい表情やユーモラスな仕草が断然素晴らしい。カメラが全く警戒の対象とはなっていない。これは日本でいえば小川紳介(山形)、佐藤真(阿賀)等の傑作ドキュメンタリーに受け継がれていく、腰を据えた共同生活というアプローチあってこその魅力的な表情といえる。勿論それは単なる長期取材・長期撮影という手法のみで成し得るものではなく、一定期間はカメラを回さず肌で喜怒哀楽を共にすることによって獲得される対象との親和性や、映画的各瞬間を的確に捉える手腕と資質があってのものだ。
[DVD(字幕)] 10点(2009-01-10 18:38:59)
25.  月世界の女
犯罪映画として始まり、科学映画へ、そして最終的にはメロドラマへと落ち着いていく奇想天外さ。設定として前半のほとんどが夜の市街、後半が月世界となり、必然的に全体としてやや暗めで硬質の画調で統一されている。月砂漠のセットでは、さらに光源や光量を相当工夫して月面の冷ややかなムードを醸す。その中で一際印象的な場面。地球を飛び出したロケットの窓から、搭乗員たちが太陽を望むシークエンスがとりわけ美しい。地球の背後から太陽が昇りはじめ、大きな光輪を作る。悪役的人物、恋敵、密航少年を含め老若男女を網羅した6名がともに太陽の直射光を享受しながら陶然とそれに見惚れている。フリッツ・ラング作品としては異質な場面のようにも思えるが、後の様々なSF映画にも登場する「光への賛歌」とも呼べる感動的なシーンがここにもあった。
[DVD(字幕)] 8点(2009-01-04 22:27:04)
26.  忠次旅日記
新国劇『国定忠治』を題材に用いたマキノ雅弘監督の『殺陣師段平』(1950)、 あるいはそのリメイク『人生とんぼ返り』(1955)のどちらでも同じ箇所で 子供たちの歌う童謡が印象的に歌われていたが、 その由縁がこの映画で納得できる。  忠治が身を偽っている酒屋裏手の、大きな酒樽の並ぶ空き地で子供たちが 輪になって童謡を歌いながら遊ぶ場面が二度ほど登場する。 サイレントゆえ、歌詞は字幕で重なるのみだが、 メロディが自然と浮かび上がってくるような哀感と叙情に溢れる場面だ。 「自分ではそのつもりがないのに、知らないうちに皆と反対方向へと回ってしまうから 輪に入れてもらえない」と仲間はずれにされている子を慰める忠治。  忠治自身の孤独・寂寥・人恋しさがこの場面に反映される。 マキノ監督は明らかに特別なこだわりを持って子供達の歌声を自作に取り入れた はずである。 殺陣師・市川段平が最期に娘を通して沢田正十郎へ伝授する「真実の殺陣」の原点も、 この『御用篇』の大河内傳次郎の殺陣にあることがはっきりと確認出来るのも 非常に感慨深い。  その傍らで拳銃を構えるお品(伏見直江)の色香。正体を隠して番頭となった酒屋で 忠治を恋慕う娘・お粂(沢蘭子)の息を呑むようなクロースアップの艶やかさ。  止む無く別れ別れとなった倅・勘太郎を前に名乗り出ることが出来ずに 笠で顔を隠す忠治と、彼に無邪気に杖をねだる勘太郎の手が杖を通して触れ合う 一瞬のショットの情感。  包囲を狭める捕方を上目で睨む大河内傳次郎の眼力。  いずれも素晴らしい。
[映画館(邦画)] 10点(2008-12-16 21:46:35)
27.  戦艦ポチョムキン
随所で強烈な印象を残す、波間に揺れる光。亡くなった水兵を葬送するランチの場面に始まり、夕刻から翌朝にかけて推移していくオデッサ湾内の霞に煙る水面への光の反射と小船の影を映し出した画面はまさに印象派画家クロード・モネの『印象・日の出』そのままの美しさであり、「散り行く花」冒頭の霞がかった港湾のショットにも通じる美観である。また注目すべきは、戦艦を歓迎する市民のヨットの群れが水面をすべる爽快感。岸へと集まっていく群衆のロングショットの壮観。戦艦の砲撃による爆煙の迫力等〃。数え上げればきりのない画面の充実ぶりであり、「教養」以前に純粋な活劇として何度観ても面白い。滑落する乳母車の図に緊張してしまうのは、技法以前に単純に画面に漲る気迫とサスペンス感からだ。「一人は皆の為に、皆は一人の為に」これは映画の政治宣伝的主題のみならず、個々のショットと作品全体の関係をも表した台詞といっていいだろう。それだけの強度を湛えた画面が全編に満ちている。
[映画館(字幕)] 9点(2008-11-08 22:56:50)
28.  第七天国(1927)
甘美なロマンスムード一辺倒ではなく、後半では第一次世界大戦での塹壕戦の描写なども手抜きがない。中盤の出征のくだりからは街路や戦場での大掛かりなモブ(群集)シーンが俯瞰気味で捉えられ、またかなり凝った特撮も組み合わされており大作の風格すら感じさせる。厳然たる戦場(地獄)に正面から向き合ってこそ対位的に強調される「天国」。その対比に関連するなら、恋人たち二人の身長差を始め、高層アパートや階段、地下水路といった舞台設定や台詞の中など随所に高低差が意識されており、見上げる・見下ろす・昇るといったモチーフに活かされている。下降―上昇―下降―再上昇という物語構造は現代なら宮崎駿監督なども意識して用いる普遍的な作劇であり、具体としての垂直方向の身体アクションが説話と融合することで、ドラマへの強い感情移入と感覚的高揚を可能にするのではないか。観念的な意味ではない、具体的な「上を見上げる」という行為の美質に溢れた作品である。
[DVD(字幕)] 9点(2007-09-22 18:34:18)
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