21. ストーカー(1979)
《ネタバレ》 この映画は、徹底して「描かない」ことによってゾーンを描きだすという逆説的手法をとっている。ただ淡々と、そして部分のみを描き出すことで、観客は己の想像力で周りの空白を埋めていく。そう、それはまさにゾーンの「部屋」の構造と同じである。「部屋」は自分の無意識(本性)を表に出す部屋であるが、それは自分の想像=本性が埋めていく「周りの世界」そのものである。 最も身近でありながら究極の謎、自分の真の存在を知ることのできる「部屋」。ストーカーはそれを特権的なものと認識し、ゾーンに依存してしまう。だが作家と教授は「自分」を謎に包むことによってリアルを生きる方を選択する。真実はときに残酷であり、認めがたい。だから「部屋」は封印される。 しかし信じがたいことも起こる。最後の「奇跡」はリアルに生きるしかないわれわれに一片の希望を見せている。 しかし長い! [DVD(字幕)] 7点(2010-07-11 23:40:18) |
22. パピヨン(1973)
《ネタバレ》 ■ずしんと重い映画。大半の脱獄ものはなんだかんだで囚人役の主人公が元気そうなのだが、本作はマックィーンがすばらしくやつれている。あそこまで体がぼろぼろになって、あくまでも逃げようとする執念がすごい。あそこまで独房をきちんと描いた作品はそうはないだろう。 ■ただ、逃げ出すところは本作の描きたいところではないのだろうが、あまりにもあっさりと逃げられすぎでしょう。ちょっと欄干の下を這って進めば出られたり。あの島には監視すらいないし。逃げてからのシーンの方がはるかに長い。 ■それと、マックィーンは無実の罪で投獄されたのかも知れんが、逃げる途中で人(追手)を殺していたような・・・・・・ ■だが、まさかシスターに裏切られるとは。ショック。油断大敵。 [DVD(字幕)] 8点(2010-02-22 00:32:03) |
23. チャンス(1979)
《ネタバレ》 ■のんびりと時間が流れていく映画。チャンスが常にゆったりと、常に堂々としていて、そのように話すので、最近の映画のようにあわただしくはない。それが良さでもあり、また最近の映画になれていると飽きてくる要因にもなりうるか。 ■要するに勘違い系のコメディなんだけど、どうも私は勘違い系は「ばれるんじゃないか」とはらはらしてしまってあんまり笑えないタチらしく、そこまで笑えなかった。しかしとことんありがたがるんですねぇ。 ■チャンスは無なのに、というか無だから、みたいな解釈が多いようですね。それもかなりあたっていると思うけど、むしろチャンスはある種の「鏡」なんじゃないのかな。自分を映していて、チャンスが当たり前なことを語る中に、自分の本当に大切にしたいものを見出していく、みたいな。満足して死ねたんならそれでいいと思うし、チャンスはきちんと役目を果たしていると思う。 ■「チャンスは読みかけもできないのよ。あいつの頭はヌカミソよ」と言っていたおばさんに最後に正体が暴かれて・・・みたいな展開なのかと思いきや、あっさり終了。あれれ [DVD(字幕)] 7点(2010-02-17 00:16:41) |
24. ディア・ハンター
《ネタバレ》 ■前半のパーティーシーンが長い長い。一転してベトナムは戦闘云々はほとんどなく、いきなり牢獄からスタートするようなもの。せめて2時間半以内でまとめてほしかったなぁ。 ■ただ、米兵の非道性を描いてない、云々は、だってこの映画で描きたかったのそれじゃないでしょ、と思う。この映画は戦場へ行くことでいかに人間が壊れるか、であって、ベトナム戦争批判ではない。ぶっちゃけ何戦争でもかまわなかったと思う。 ■ロシアンルーレットはえぐいが、ロシアンルーレットが賭けとしてビジネスになってしまう方が個人的にはもっとえぐいと思う。 [DVD(字幕)] 7点(2010-01-25 10:38:20) |
25. ジュリア
《ネタバレ》 ごめんなさい、この映画、どうしたかったのか結局よくわからなかったです。別れて再会して、それだけ見りゃいい話なんだろうけど、途中に挟み込まれたサスペンス的な現金輸送の意図がいまいちよくわからないです。で、結局どうしたかったの、ゴールは何、って。 [ビデオ(字幕)] 4点(2010-01-02 22:12:24) |
26. ザ・ドライバー
《ネタバレ》 カーチェイス目当てで見ると、どうも肝心のカーチェイスシーンが少なく思えてならない。最初と最後だけでは? カーチェイス自体はカッコいいとは思ったがこの点数。 [DVD(字幕)] 7点(2009-04-01 13:14:01) |
27. 狼たちの午後
《ネタバレ》 ひたすら淡々として過ぎていく映画。凡人が銀行強盗をやってしまい、マスコミが祭り上げて後にも引けなくなり・・・といった、シュールでありながら現実的な映画。 強盗が不器用すぎて、そしてなんか周りの人質や警察もどこかずれているようでいて、現実はこんなものなのかもしれない。ある意味で「映画っぽくない」 そしてあっけなく迎えるラスト。あまりにあっけなさすぎて、いつの間にやら終わっていた感じ。 映画的な面白さはあまりない。でも実際の強盗はこんな何だろうなぁ。 [DVD(字幕)] 6点(2009-03-06 17:15:06) |
28. 地球爆破作戦
《ネタバレ》 恐ろしい映画。コンピュータの中では何が起きているかまったくわからないが、気が付いたら人間の手を離れてしまうかもというのは、近未来を予想しているかのよう。 (ガチャガチャいうコンピュータには古さを感じたが) タイトルからはしょぼいSFのようだが、中身は非常に骨がある。防衛のために作ったコンピュータが反抗し、人間を支配するようになるという展開はまさに恐怖そのもの。 結局解決していないラストも、すさまじい絶望に襲われる。 ついでに、平和というものも考えなおさざるを得ない。誰かに支配してもらって平和になっても何にもならない。自由を失うなら死んだ方がまし、というのは、ポパーの「赤より死」を彷彿させられた。 ただ、後半の展開が、思ったより「息詰まる攻防」という感じが弱かった。だが、今でも通用する内容だと思う。前半のテンポはいい。 [DVD(字幕)] 6点(2008-12-27 19:31:29) |
29. マーフィの戦い
《ネタバレ》 もう完全に振り切れちゃった男の戦争映画。 仲間の復讐に燃え、助けてくれた人が被害にあおうが、戦争が終わろうが、かまわずUボートを沈めにかかる。 それはもはや異常と呼ぶしかない。 派手なシーンは皆無だが、戦争の狂気というかなんというかを見せられた気がした。 [ビデオ(字幕)] 8点(2008-10-05 23:52:56) |
30. 悪魔のシスター
《ネタバレ》 最後のまとめ方がちょっといただけないが、全体として狂気というかがうまく表れている。 落ちは中盤あたりで予想がついたが、しかしてああいうのってやだなぁ。 カット割りはなかなかのもの。 ヒッチコックをそんなに見てないけど、ヒッチコックっぽいところはあちこちに。 ナイフ(サイコ)とか望遠鏡(裏窓)とか・・・ [DVD(字幕)] 6点(2008-10-05 00:12:50) |
31. ジャガーノート
《ネタバレ》 これは正統なサスペンス映画ですね。 ときどきだらっとしたシーン(ダンスとか)もあるけど、全体としては引き締まった空気が漂っている。 爆弾解体って結構あっさりいっちゃう映画も多いけど、これは解体がメインなだけに、細かいところもじっくり見せてくれる。 あの糸とか意地悪すぎでしょー 解体途中でドカンやってしまうとは思わなかった。 ちょっと不意打ち。 最後の「赤か青か」はもはや定番だけど、これが本家か。 自分は絶対青を切ってしまいますね・・・ [ビデオ(字幕)] 6点(2008-10-03 22:55:37) |
32. イルカの日
《ネタバレ》 イルカの声に対して愛着を抱けなかった私は負け組 [ビデオ(字幕)] 6点(2008-09-29 01:31:11) |
33. パニック・イン・スタジアム
《ネタバレ》 まさに今日の無差別殺人を表しているかのような映画。 「何の理由もなく」人を撃ち殺していく犯人。そして慌てふためく人々。まさに今日を表しているかのようだった。 しかし試合に熱狂しているとああも周りの事態に気付かないものなのかと思うと恐ろしい。横で人が撃たれていようとも、SWATが宙づりになっていようとも、熱狂している観客は誰も気づかない。 そしてラストの観客の大パニックはまさに『よくとったな』という映像。出口に殺到する群衆はまさに怪物である。 ただ、序盤から中盤にかけてがやたらと冗長で飽きる。 人間ドラマもわりと不要な気がした。80分ぐらいにコンパクトにまとめられる内容が引き伸ばされた感じ。そこだけ難なり。 [ビデオ(字幕)] 7点(2008-09-08 16:45:13) |
34. 赤い影
《ネタバレ》 これは雰囲気がすべての映画ですね。 理詰めで解こうとしてはいけない。 ベニスという異様な雰囲気を、なんとなく背筋にいやなものが走るカットで追う。 そういうのを楽しむ映画でしょう。 水が恐怖を描きたてています。 水というのはなんかありますね。 ベニスという水の都が、この映画の雰囲気全体を作っています。 ラストは確かにショックですが、あそこだけの映画ではないでしょう。 むしろラストはおまけで(実際唐突だし)、途中の流れを楽しむ映画でしょう。 [ビデオ(字幕)] 6点(2008-08-16 23:33:57) |
35. 戦争のはらわた
《ネタバレ》 ある意味戦争映画の最高峰。 いわゆる「反戦」じゃなくて、ただひたすら最前線が描かれている。 まさしく「人がゴミのようだ」といわんばかりの死に方が、これでもかとばかりに映し出される。さすがはペキンパーだ。彼のバイオレンスが余すとこなく生かされているように思われる。 そして漢が存分に描き出されている。 「結局、戦争ってこんなんだよ」といわんばかりの後半。 命からがら帰っていった自陣で待っていたものは・・・あまりにも悲惨だね、あれは。 だからこそ将校を打ち殺すシーンが光っている。 貴族崩れも蜂の巣にしてほしいところもあるが、ああやって醜態をさらさせて死なせるというのもありなんだろうな。ただやっぱり自分なら撃ち殺すが。 ラストの高笑いが徹底した軽蔑を象徴している。あの笑いに深い意味は読み取らなかった。 [DVD(字幕)] 7点(2008-08-12 23:14:05) |
36. ジョン・カーペンターの要塞警察
《ネタバレ》 低予算であることはよくわかるが、それがかえってリアリティを作っている。 サイレンサーつきだから音はせず、銃弾だけが飛んでくる銃撃戦など、多分これが現実なんだろうな、という感じだ。 狭い建物をちょこちょこ動き回っているだけなのだが、ともかく敵がうようよいて迫ってくるのが怖い。他のレビュワーさんも書いているけど、本当にゾンビ状態。 難を言えば、事件発生までに全体の半分が費やされている点と、暗くて見えづらいシーンが多い点かな。 都会の恐怖も思い知らされました。誰も助けてくれないんですね。 [DVD(字幕)] 6点(2008-08-01 10:11:48) |
37. 北国の帝王
《ネタバレ》 ひたすらに熱い。何かあるのかと問われれば「何もない」、無駄な戦いといってしまえばそれで終わりのような、しかし男と男の意地の戦い。そういうものだ。 ストーリーなどあってないようなもの。19にホーボーがのる必要などまったくないんだし、車掌も叩き落す必要はない。それでも戦うのだから、完全に意地と信念の勝負でしかない。 [ビデオ(字幕)] 6点(2008-05-19 23:04:05) |
38. 探偵[スルース](1972)
《ネタバレ》 前半、変な感じのノリがあって「何だよこれ」みたいに思っていたが、だんだんお互いにマジになっていく。 嫌な感じの「ゲーム」を仕掛ける映画は最近もあったが、こっちのほうが仕掛け方はフェアで上品かな。それでも汚いけど。 銃も刑事さんもまったく気づかなかったけど、後ろは読めてしまった。そこが残念かな。 あと、あの笑う人形がいい味出してます。 リメイクされましたよね。DVDが出るといいです。 [ビデオ(字幕)] 8点(2008-05-08 19:32:29) |
39. ルパン三世 カリオストロの城
《ネタバレ》 なんというのか、こんな凡庸な筋書きなのに、見ていて飽きない、引き込まれる。 多分普通のルパンじゃないんだろうけど、普通のルパンを知らないので。 [地上波(邦画)] 9点(2008-05-06 17:32:01) |
40. 仁義なき戦い
《ネタバレ》 仁義は本当にない。 ぽんぽん人が死んでってはい終わりだった。 [DVD(邦画)] 5点(2008-03-06 07:20:06) |