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高橋幸二さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 25
性別 男性
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21.  ソラリス 《ネタバレ》 
 本作品は、1972年制作「惑星ソラリス」のリメイクである。旧作ではラストにどんでん返しがあるが、ソダーバーグ版では、旧作がネタばらしになっていることからこれを採用せず、旧作にはなかった、クリスが地球への帰還を断念するシーンを挿入した。私はこれを評価したい。    精神を病んだレイアは、夫に愛されていないのではないかと疑い、堕胎した。クリスはこれに憤り家を出るが、レイアは自殺してしまった。レイアには堕胎した罪の意識があり、クリスには妻を自殺させた罪の意識がある。  あの日に戻りたい、もう一度やり直したいという思いは、誰にでもあるのだろう。だがソラリスは、そんな悲痛な願いをかなえてくれた。死んだレイアを再び登場させてくれたのである。  しかしそれは、クリスの過去の記憶をソラリスが物質化したレプリカである。彼女が反応するのは、クリスの予想を反映しているに過ぎない。二人にとって未来はない。それは永遠に続く過去でしかない。レイアは自分の存在に疑問を抱き、二度目の自殺を遂げる。    地球への帰還船が離脱すると、宇宙ステーションはソラリスの大気圏へと落ちて行く。ここで宇宙ステーションが燃焼するシーンがなかったのは、残念である。クリスが叫ぶ。 「レイア! レイア!」  サミュエル・スマイルズは、「一個の人間は地球より重い」と言った。壊れてしまった愛を取り戻すためなら、生まれた星を棄て、未来を棄て、肉体さえも棄てられるのか。  ここでソラリスによって作られた少年が、クリスに手を差し伸べる。それはミケランジェロの絵画「アダムの創造」で、神がアダムに命を注ごうとするシーンに酷似している。   クリスは、ソラリスの意志により新しい命を注がれたのか。新しい世界では、指を切ってもすぐに傷が癒えてしまう。もはや以前の肉体ではない。  レイアの再生を待つクリスの前に、再びレイアが現れる。彼女はどれだけ本物のレイアなのか。クリスは生きているのか、死んでいるのか。だがもう、そんなことはどうだっていい。生まれた星を棄て、未来を棄て、肉体さえも棄てて、ただ執念だけの存在となって、それでもお互いを求めずにはいられない。壊れてしまった愛の日々をやり直すために。   たとえ狂おうとも正気になり たとえ海に沈みゆこうとまた浮上し たとえ愛する人亡くとも愛は死なず かくて死はその支配をやめる (ディラン・トーマス)
[地上波(字幕)] 10点(2009-05-25 21:45:54)(良:1票)
22.  恋はデジャ・ブ 《ネタバレ》 
過去を知ることは、未来を知ることである。  未来を知る者は、運命を支配できる。  未来を知れば、人は神にも悪魔にもなれる。   高慢な主人公フィルは、永遠に繰り返す同じ日を過ごすことによって、退屈な田舎町のあらゆる情報を知り、初めは暴飲暴食、交通違反、窃盗、個人情報を調べてナンパと、ありとあらゆる悪事を行うが、同僚のリタに軽蔑されてしまい、自殺を試みるが、何度やっても同じ日の朝に戻ってしまう。ホームレスの老人を助けるが、何度やっても2月2日に死なれる運命だけは変えられない。   人はある意味、同じ日常を生きている。季節は巡り、また冬が来て、2月2日が来る。同じ町で、同じ仕事を繰り返す。やがてフィルは、退屈な田舎町の日常に、人々のささやかな幸福があることを知る。冬の寒空の下に、人の心の温かさを知る。  何が起こるか事前に知り得る己の特殊な能力を用いて人々を助け、人々に感謝される道を選んだとき、彼はまさに神となった。人を愛し慈しむ心を知ったとき、フィルはついにリタの愛を得たのである。   彼が心から愛せる人を抱いて眠りについたとき、運命はついに時の歯車を進めた。彼が目覚めたとき、運命は愛する人を消し去らず、彼の腕の中に残していてくれたのである。  不思議な永劫回帰現象は、フィルが本当の愛を知るために神さまが与えてくれた、聖燭節の奇跡だったのだろう。
[地上波(吹替)] 9点(2008-08-04 06:35:17)(良:1票)
23.  この森で、天使はバスを降りた 《ネタバレ》 
 本作のテーマは「癒しと再生」である。森の中でジョーは「ムダな木だ」と言うが、パーシーは「こんなに美しいものはない」と言う。ところがそのムダな木が、実は金になることが後に判明する。木の皮に重要な薬理成分が含まれており、皮を剥いで再生を促せば良質の成分を得られるのである。ジョーは「これで町を再生できる」「ぼくたちにとってもいいニュースだ」と語り、パーシーに求婚する。しかしパーシーは「私はもう、子供をもつことはできないの」と告白する。  木の皮を剥ぐと、それは木にとっては傷であり、皮が再生される。ジョーはそこに町の再生を夢見て、パーシーとの新しい生活を夢見る。だがパーシーは流産のダメージにより、子を産む(命の再生)ことはできないのである。   パーシーが丘の上で歌っていたのは「ギレアデの乳香」という黒人霊歌である。  There is a balm in Gilead ギレアデに乳香あり To make the wounded whole; 傷ついた人を癒してくれる There is a balm in Gilead ギレアデに乳香あり To heal the worried soul. 悩める心を癒してくれる  If you can’t preach like Peter, たとえペテロのように語れなくても If you can’t pray like Paul, たとえパウロのように祈れなくても Just tell the love of Jesus, ただ主の愛を語り継ごう And say He died for all. 主は皆のために死んでくれたと   ギレアデとはイスラエルの乳香の産地であり、乳香とは樹皮から採れる止血材である。  パーシーの葬式のシーンで流れるオルガン曲が「ギレアデの乳香」であることは、歌詞がないだけに気づきにくい。物語の舞台にギリアドの町を選んだ理由は、乳香による傷の癒し、一命を投げ出しての贖い、魂の再生を歌ったこの黒人霊歌を強く意識したものだろう。パーシーの死と無実を知った村人たちは、オルガンを聴いていたたまれない気持ちになったはずだ。  二度と子を産むことはできないパーシーだったが、一身を以って贖うことで村人たちの心を再生させることができた。村人たちも心を入れ替え、新しい来訪者を温かく迎える。それは子連れのシングルマザー、クレアだった。パーシーがバスを降りた日は寒い雪の夜だったが、クレアがバスを降りた日は暖かい昼下がりだった。人々は子を背負った彼女の姿に、自分たちがついに見ることのなかったパーシーの幸福を見出し、心癒されるのである。
[DVD(字幕)] 8点(2008-07-30 07:03:53)
24.  デビルマン 《ネタバレ》 
 原作では、デーモンに憑依されたミーコが、スケバンに脅されおびえるが、服を着て醜いデーモンの姿を隠していても、彼女の内心の怒りに体が反応してしまい、胸から酸を噴射してスケバンを溶かしてしまう。ここではデーモンに憑依された醜い者が善で、人の姿をした者が悪と、善悪と美醜が見事に顛倒しているのである。   それゆえ映画の中でのミーコが、醜い姿をあらわにして怒りを表現するのではなく、翼が生え、魔力を使えるはずなのになぜか日本刀を振り回して(キルビルかよっ!)、スーパースローで残像がスクリーンに映える。そこでススム君が言う。「おねえちゃん、きれいだね」。きれいなものをきれいというなら、それは何事もないだろう。醜悪極まりないものを「きれいだ」ということこそ、「デビルマン」としての意味があるのではないか。役者が渋谷飛鳥では「胸から酸を噴射」は無理だったのだろうか。日本刀ならせめて全身返り血を浴びて帰って来てほしかった。命を守るために戦う女は美しい。    原作にないラストシーンには、多くの批判がある。曰く、デーモンが滅びるほどの最終戦争で、どうして女と子供だけが生き残るのか、と。建物は一切なく、見渡す限り一面の瓦礫。二人とも顔が煤けていて、最終戦争というより、火災現場から脱出してきたようである。最終戦争というからには、女の命としての髪はすべて抜け、皮膚は赤くだだれケロイドだらけになっていなければおかしいだろう。   「どんなことがあっても、生き抜くのよ」。生物はもはやミーコとススム君の二人だけしかいないようだ。選択の余地はない。ミーコはここで醜い裸体を晒し、年端のゆかぬススム君を性行為にいざなうべきである。被爆してDNAは損傷し、しかも彼女は半分はデーモンであり、どんな子供が生まれてくるか想像もできない。それでも命をつないでゆかねばならない。「おねえちゃん、きれいだね」という台詞は、ここで言うべきであろう。それでこそ、エログロを愛した永井豪への最大級の敬意となるのだ。   「悪を倒すための暴力は正当化される」というのが原作者永井豪の突きつけたメッセージだとすれば、「生に対するあくなき執念だけが正当化される」というメッセージを突き返すことができたら、本作は屈指の名作となっていたに違いない。
[DVD(邦画)] 3点(2008-07-29 07:29:15)(良:5票)
25.  CUBE 《ネタバレ》 
 キューブの中の人たちは、セルの数字が素数なら安全だということに気付くが、後である種の素数は危険だという別の法則があることが判明する。これは例えば、勉強していい大学・いい会社に入ればいい人生が約束されると、人から教えられた道を一心不乱に進んで行っても、実は世の中は学歴だけではなく、人柄、家柄、容姿、財力などもあり、世の中は決して絶対唯一の法則に従っているわけではないということを表している。   キューブの中に一人、キューブの建築に関わった者がいた。しかし彼が関わったのはほんの一部分だけで、全体の大きさ、セルの総数、キューブの中の人口などは一切知らなかった。これは、我々は確かに社会を構成する一員で、社会を動かしているが、我々が構成しまた動かしているのは社会のほんの一部であって、社会全体を動かすことはできないし、誰が動かしているのかもわからないということだ。我々は政治家に支配されているように思えるが、政治家はマスコミを恐れ、マスコミはスポンサーに媚び、財界は消費者に気兼ねする。人は皆、自分以外の何かにつき動かされているようだ。登場人物たちは、誰が何の目的でいくつのキューブを動かしているのか、その全体像を知ることは決してない。    物語は最後に、一人の男だけが脱出する。外の世界はとてもまぶしく、20m先も見えないほどだ。平凡な人生なんてつまらない、サラリーマンなんてつまらない、俺は脱サラするぞと、人は自由な世界に憧れるが、決まった時間に出勤して一日デスクに座っていればお金が振り込まれる世界と違い、自由な世界は「こうすればうまくいく」という保障は何もない世界であって、先の見えない、前例のない未知の世界で、そんな世界が単純作業の繰り返しの世界より本当にいい世界なのかどうかは誰にもわからない。結局キューブ自体が移動しているので、危険を冒して出口を探さなくても、動かずじっとしていればそのうちキューブが勝手に出口につながるのだった。何も考えず言われた通りにするのがいちばん楽なのだ。   登場人物たちは初め、「出口はどこにあるのか」「自分はなぜここにいるのか」を問い、ゴールを目指してさまよった。しかし誰が何の目的でキューブを作り、彼らがなぜこの中にいるのか、その理由は最後まで明かされることはなかった。人は今日も「人生の目的は何か」と問い続けるだろう。答えなど決してあるはずもないのに。
[地上波(吹替)] 9点(2008-07-29 06:41:17)(良:3票)
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