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かたゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1865
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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21.  LAMB/ラム 《ネタバレ》 
見渡す限りの荒野がどこまでも続くアイスランドの高山地帯。羊の放牧を生業とするとある夫婦は、そんな過酷な地で必死に生きていた。夫婦を訪ねてくる人もほとんどおらず子供もいない彼らは、日々の重労働をたった2人でこなしている。羊の餌やり、農作物の管理、家畜の出産の補助……。ただ黙々と仕事をこなす彼らの表情はどこか悲しげで、ほとんど会話らしい会話もない。きっと過去に何か哀しい出来事があったのだろう。ある日、1匹の羊がとある特殊な〝子羊〟を産み落としたことから彼らの日常が少しずつ歪み始めてゆく……。荒れ果てた高山を舞台に、孤独な夫婦が授かったそんな異形の存在をダークにミステリアスに描き出す異色作。冒頭からこの作品を貫く独特の世界観には惹き込まれた。セリフや説明を極力排除し、過去の辛い出来事から心を閉ざしてしまった夫婦の過酷な生活をただ淡々と描いているのに、終始濃密に漂うこの不穏な空気は凄いとしか言いようがない。そして誕生する1匹の子羊――。この存在がいったいどんなものなのかを中盤まで明かさず、ただ夫婦の反応だけを描くことで何か良からぬことが起きているのだと観客に想像させるこの演出は斬新。中盤、急に登場する叔父の目線でこの異形の存在の正体が露わにされるのだが、その造形が絶妙に気持ち悪くて、なのにこの夫婦がとても愛おしそうに見つめているのが何とも嫌な感じを増幅させる。ところが物語が進むうち、この存在が少し可愛く思えてくるという、なかなか監督のセンスを感じさせるものだった。この唯一無二の独自の感性は称賛に値すると言っていい。ただ、残念ながら肝心のお話の方は自分はそんなに良いとは思えなかった。率直に述べさせてもらうと、これは世界各地の民話や伝承によくある、人ではないものを授かる夫婦のお話。それをいつか何かが起こりそうな禍々しい描写で引っ張っているだけで自分はそこまでの深みやテーマ性は感じられなかったのだ。最後のオチも安易と言わざるを得ない。フォークロアならではの寓話性や教訓をもっと掘り下げて描いてくれれば、より完成度の高い作品となっていたであろうに。惜しい。とはいえ、この重苦しい世界観や羊たちが象徴する宗教的メタファーの扱いなど、この監督のセンスの良さは充分感じさせたので、次作に期待したいところだ。
[DVD(字幕)] 6点(2023-12-08 06:43:52)
22.  ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り 《ネタバレ》 
ここは剣と魔法が秩序のすべて――。ドラゴンやゴブリンといった異形の魔物がいたるところに跋扈する危険な異世界を舞台に、落ちこぼれ冒険者たちがそれぞれの目的の為に協力しダンジョンや古城を旅するという王道ファンタジー。元ネタとなったのは、世界初のRPGとして名高い『ダンジョンズ&ドラゴンズ』。まだコンピューターが一般的でない時代、紙と鉛筆とサイコロ、そしてプレイヤーの想像力だけを糧にテーブルでの会話を中心に進めてゆくという当時としては画期的なそのシステムは、のちの多くのコンピューターゲームに影響を与えたことでも知られている。当方、この『D&D』自体は実際にプレイしたことはないのだけど、ひたすら自分の作った架空世界の地図や設定をノートに書き込み、そして誰もプレイする予定のないシナリオをただひたすら作り続けるというなかなか特殊な嵌まり方(笑)をした思い出のゲーム。自分の創ったサイライル王国(恥ず!)の神話や歴史、過去の英雄譚なんかをびっしりと書き込んだ、でも誰に読んでもらうわけでもないノートは当時5、6冊くらいあったんじゃないかな。我ながら、勉強もせずに何やってたんだか(笑)。まあそーゆー個人的な思い入れを抜きにしても、ただひたすら楽しい映画でしたね、これ。もう超が何個も付きそうなくらい超超超王道のエンタメ・ファンタジーなんですが、脚本が意外にしっかりしていたり、登場人物がそれぞれに魅力的だったり、映像が細部まで拘って造り込まれていたりで、サイコーに面白かったです!何より良かったのが、全編に散りばめられた上質のユーモア。冗談が通じない聖騎士とおちゃらけ主人公との掛け合いや、5つ質問しないと死ねない死者とか何度も笑わせていただきました。そしてアクションシーンが終始キレッキレで自分はテンション上がりっぱなし。中でも「何処でも鏡」を使った馬車のチェイスシーンは監督のセンス爆発で、最近観た映画の中でも屈指の名シーン。と思ったら、最後の主人公たちの選択には不覚にも涙しそうになったし。いやー、最高に楽しい2時間強を過ごさせていただきました。久しぶりにあの頃のノートを引っ張り出して、サイライル王国(恥ず!)を再訪してみようかな。んでまずは映画冒頭の監獄脱出クエストをシナリオにしてみたいーー!
[DVD(字幕)] 8点(2023-12-01 08:21:30)(良:2票)
23.  アラビアンナイト 三千年の願い 《ネタバレ》 
古今東西の神話や物語を研究する考古学者アリシア。以前辛い離婚を経験し、それ以来彼女は仕事一筋でこれまで孤独に生きてきた。古代ギリシャの神々や中東のエキゾチックな物語がアリシアの生きる支え。そんなある日、仕事で訪れた異国の地で彼女はとある小さな小瓶を手に入れる。いかにも安っぽいありふれたもの。だが、この小さな瓶の中には、古代の魔人ジンが3000年ものあいだ閉じ込められていたのだった――。宿泊したホテルで魔人を開放してしまったアリシア。戸惑う彼女に魔人は、「お前の願いを3つ叶えてやろう」と提案してくる。古代にかけられた呪いによって、魔人は解放者の願いを叶えなければ自由を手にすることが出来ないのだ。だが、物語に憑りつかれていたアリシアは魔人と少しでも長くいたいあまり、あの手この手で翻弄してゆく……。孤独な女性学者と古代の魔物とのそんな駆け引きを独創的な映像で描いたファンタジー・ドラマ。監督は、マッドマックスシリーズで有名なジョージ・ミラー。まぁなんというか、とっても変な映画でしたね、これ。予告編だけ見ると、胸躍るストーリーや迫力満点の映像で観客を魅了するエンタメ・ファンタジーかと思いきや、まさかのホテルの一室で物語がほぼ完結するお話でした。解放されたくて願いを叶えてやりたいジンと彼を開放したくない主人公がひたすら押し問答を繰り返すだけ。しかも何故か2人ともずっとバスローブ姿(お前らは一戦交える前の夫婦か!笑)。そこにジンの過去の解放者たちの物語が回想形式で描かれるという、逆アラビアンナイトみたいな展開になるのですが、肝心のこの物語がびっくりするほどつまらない。そんなに魅力的でもない主人公がひたすらグダグダするだけ。映像も終始小汚いうえに微妙に気持ち悪くて、生理的嫌悪感が半端なかったです。特に2話目の太った女性が大好きな王子様が、全国から集めてきたおデ……失礼、大柄な女性だけのハーレムをつくるシーンは、ひたすらそーゆー女性のフルヌードを見せられてだいぶしんどかった(個人の感想)。結末もかなり強引なハッピーエンドで思わず苦笑い。この監督って、やぱこーゆーセンスがものをいう内容の映画を撮るのに向いてないんじゃないかな。
[DVD(字幕)] 4点(2023-11-27 09:14:40)
24.  アクトレス ~女たちの舞台~ 《ネタバレ》 
人気と実力を兼ね備えたベテラン女優マリア・エンダースは、私生活の方も任せっぱなしの女性マネージャーとともに充実した毎日を送っていた。そんなある日、彼女はとある舞台の出演依頼を受ける。それは彼女の映画デビュー作である『マローヤのヘビ』のリメイク。若く美しい少女がお堅い中年女性をその美貌で翻弄し破滅させるという役柄で自分は一躍有名となったのだ。だが、その役は当然かつての美少女ではなく、なんと破滅させられるお堅い中年女性の方だった――。時の流れの残酷さをひしひしと感じ当初は断ろうとしたマリアだったが、恩師である映画監督の急死を機に前向きに検討することに。そんな彼女を献身的に支えてくれるマネージャーから知らされた、かつて自分が演じた美少女役に抜擢されたという若手女優ジョアン。ネットで調べてみた彼女はまさに自分が演じた役にぴったりのスキャンダラスな若く美しい女の子だった。彼女の存在に心を搔き乱されたマリアは、出演依頼を承諾することを決意するのだが……。確かに題材は良かったと思うんですよ、これ。かつてその悪魔的な美貌で一人の中年女性を破滅させるという役で一世を風靡した女優が、今度は逆に破滅させられる役を演じるというのはなかなかに興味をそそられるお話。しかも演じるのはジュリエット・ビノシュとクロエ・グレース・モレッツという、これ以上ないくらいのまさに嵌まり役な2人。そこにクリステン・スチュワートが絡んで三角関係のような心理劇となるなんて、どう考えても面白くなりそうな脚本なのに、これが一向にそうならない。何故なんでしょう?それはやはり監督の演出が終始、見事なまでに的外れだからじゃないですかね。観客が観たいのはそこじゃないだろ!!と突っ込みたくなるほど、どうでもいいシーンの雨あられ。主人公の女優と女性マネージャーが山にピクニックに行くシーンなどやたら長いうえにはっきり言ってつまらない。恐らく監督は、この2人の友情以上恋愛未満なシスターフッド的関係をこそ描きたかったのだろうけど、いかんせん深みが足らないせいで観ていて退屈でしかなかったです。また、肝心のクロエちゃんが出てくるのが映画も中盤を過ぎてからって明らかに遅すぎ!ようやくクロエちゃんが出てきたと思ったら、ここまで破天荒キャラで引っ張っておきながら実物は驚くほど優等生な女の子。ユーチューブの映像で散々お騒がせセレブキャラみたいに煽っておいて、これはアカンでしょ。物語の焦点となるはずの最後の舞台劇もまるで取ってつけたようで肩透かし感が半端なかったです。この3人の嘘とプライドが複雑に交錯する心理劇をこそ掘り下げて描くべきだった。華のある人気女優たちの豪華共演に+1点!!
[DVD(字幕)] 4点(2023-11-06 02:51:42)
25.  わたしは最悪。 《ネタバレ》 
彼女の名は、ユリヤ。今年で30歳。高校卒業後、何となく進学した医学部を自分のやりたいこととは違うと途中で退学、新たに心理学を学びカウンセラーを目指すも相変わらずの詰め込み教育に嫌気がさし、これまた途中で退学。書店員をしながら今は直感的に向いていると感じた写真家への道を目指している。彼氏もその場のノリと勢いで付き合ったために上手くいかないことばかりですぐに破局。今は偶然知り合った漫画家の彼氏と何となく同棲している。それでも子供が欲しい彼とまだいらない自分との意見の違いから揉め、最近はなんだかギクシャク。何もかも中途半端に人生をぼんやりとやり過ごしていたら、気づけばもはや30歳。自分はいったいどうなってしまうのだろう――。本作は、そんな何処にもでいるような拗らせアラサー女子の日常を、序章と終章、そして12章からなる短い断片で切り取ったポートレートだ。とにかくこの主人公ユリヤのトホホ感に満ちた日常が魅力的でした。変に美化するわけでもなく、極端に自虐的にみせるわけでもない、彼女の生活を一歩引いたところから見つめるスタンスがなんとも心地良い。偶然紛れ込んだ知らない家のパーティーで出会う、のちの彼氏とのエピソードもすんごくトホホ感満載。お互い一線を超える勇気はないけれどそれでも酒で気が大きくなって思わずしたこと、それはお互いのおしっこしている姿を見せあうことでした。「これって浮気じゃないよね」って、いやそんなん浮気以前に人としてアカンやろ(笑)。そんなどうしようもないリアルな日常を延々描いていたかと思ったら、まさかの世界の一時停止!人々が動きを止めた街で惹かれている男に会いに行くシーンはもうこの監督のセンス爆発!空想の世界で彼とのデートを堪能し、そして元の彼氏との日常へ戻るところは大人の女心を繊細に描いていてすんごく良かったです。その後、彼氏に別れを告げるシーンはリアルで切なく、お互いの気持ちが分かる分、自分は過去の色んな思い出が蘇ってきて思わず泣きそうになっちゃいました。そして後半に明かされる元彼の現在……。実は末期癌に犯されていたという普通の映画だとお涙頂戴展開になりそうなところを、あくまでそうしなかった監督の絶妙な匙加減が素晴らしい。そんな場合じゃないのに、過去の浮気の真相を聞こうとする元彼の心理が何ともリアルでシニカル。最後、そんな2人が迎える切なくも哀しい別れ。でも、主人公の日常は続いてゆく…。1人の女性の人生を通して、生きることの辛さと幸せを優しく見つめた、なかなかの良品だったと思います。
[DVD(字幕)] 8点(2023-10-02 09:08:12)
26.  ノー・セインツ 報復の果て 《ネタバレ》 
かつて「拷問師」と呼ばれ、その冷酷無比の手口から裏社会で恐れられた殺し屋ネト。そんな彼も警察の執念の捜査で捕まり、今や服役生活を余儀なくされていた。ところがある日、新たな証拠の発見により釈放されることが決定する。当然、過去の因縁を抱えた裏社会の住人や彼を刑務所へとぶち込んだ警察たちが黙っていない。足を洗い、愛する一人息子とともに穏やかな生活を望んでいたネトだったが、彼のそんなささやかな望みはすぐさま絶たれてしまう――。別れた妻の元で育てられた息子フリオが何者かに誘拐されてしまったのだ。しかも国境を越え、メキシコの危険なスラム街に連れていかれたらしい。きっと自分に恨みを持っている奴らの仕業だ。怒りに燃えるネトは、偶然知り合った酒場のウェイトレスとともにメキシコ入国を図るのだが……。息子のために足を洗うことを決意した殺し屋と裏社会の住人たちとの壮絶な攻防を重厚に描いたクライム・サスペンス。ロン・パールマンやティム・ロスといった渋めの役者陣共演ということで今回鑑賞。終始画面が暗くて見辛いし話のテンポも悪いし登場人物誰もが魅力ないしで、率直に言ってさして面白くなかったです、これ。脚本もけっこうテキトー。わるもんのアジトを見つけてまず下見として相棒のウェイトレスが先に乗り込むのだけど、すぐにバレてピンチに陥っちゃう。でもその後から主人公が1人で乗り込んで全員やすやすと皆殺しってウェイトレスさん、先に乗り込んだ意味ないやん(笑)。主人公も「拷問師」と言いながら、熱湯をかけて爪剥がすくらいでちょっと甘い。愛する息子をさらった悪人なんだから、もっと無茶苦茶してくれても良かったんじゃないかな。最後の、「聖人など何処にもいない」と言わんばかりの超バッドエンドも胸糞悪いだけで深みもなんにもない。全編を覆う重厚な雰囲気はそこそこ良かったのでギリ5点ってとこですね。
[DVD(字幕)] 5点(2023-10-02 08:18:23)
27.  インフル病みのペトロフ家 《ネタバレ》 
ソ連崩壊後のロシアを舞台に、インフルエンザに犯されたある一人の男の妄想とも現実ともつかない世界をシュールに描いた不条理劇。最初から最後までなんかよー分かりまへんでしたわ、これ。一つ一つのエピソードはけっこう強烈で印象に残るんですけど、全体的なストーリーが正直言って意味不明。でも、画面の隅々にまで文字通り妙な熱気が感じられて、最後まで普通に観ていられたのは事実なんですけどね。なので嵌まる人には嵌まるんじゃないでしょうか。
[DVD(字幕)] 5点(2023-09-28 23:45:56)
28.  きっと地上には満天の星 《ネタバレ》 
彼女の名は、リトル。女手一つで自分を育ててくれる母親とニューヨークに暮らす、何処にでもいるような5歳の女の子だ。ただ、彼女が住む場所は普通の人とはちょっと違う。そこはなんと、現在運行中の地下鉄のさらに下に掘られた廃トンネルの片隅。行政の手の及ばないそんな地下深くで暮らしてきたリトルは当然、これまで地上の光を見たこともなかった――。彼女の母ニッキーは麻薬に溺れる売春婦。愛娘のためになんとかして生活を立て直そうともがくのだが、麻薬がらみのトラブルのせいで何もかも上手くいかない。運悪く、それまでほったらかしだったこの廃トンネルを何とかしようと行政が動き出し、彼女たち住民は突然立ち退きを迫られてしまう。このままでは自分は逮捕され、大切な一人娘のリトルは施設に保護されてしまうだろう。八方塞がりに陥ってしまったニッキーは、リトルを連れ地上に出てくるのだった。リトルは、そこで初めて光に満ち溢れた地上の世界を目にするのだった……。ニューヨークに実在した地下生活者たちをモデルに、ずっと地下の暗闇の中で育てられた5歳の少女とその母親の逃避行を淡々と描いたヒューマン・ドラマ。結論を言うと、なんか凄く良かったです、これ。ほぼ、ホームレスと変わらない生活を送っている少女と麻薬中毒の母親がその日の食事と泊まる場所を求めて駆けずりまわるという、もう観れば観るほど気が滅入ってくるお話なのですが、とにかくこの主人公となる少女が魅力的!地下の暗闇でただひたすら母親の帰りを待つ健気な姿、無邪気に笑いながら母親に身体を洗ってもらうシーン、隣人のホームレスに計算を教えてもらう時の好奇心満々の表情、どれもがキラキラと輝くような魅力を放っていて、この悲惨な物語を明るく照らし出すことに成功している。そんな彼女が行政の手を逃れて初めて地上に出るシーンは、彼女の不安感や焦燥が生々しく伝わってきて胸が締め付けられそうでした。その後に彼女たち親子が辿る運命……。優しく接してくれた売春宿の元締めが実はロリコン野郎にこの少女を高値で売りつけようとしてたり、食事を分けてくれたホテルのコックが何も事情を聞かずすぐに警察に電話しようとしたりと、あくまでリアルでそこがまた辛い。「きっとこれはどう転んでも幸せな結末にならないんだろうな」と思ったら、まさかの母親の最後の決断。余りに辛く、哀しい母親のその結論に僕は思わず涙してしまいました。恐らく母親はこのまま麻薬を止められずボロボロになって死んでゆくのだろうし、5歳のリトルは「ぼんやりと憶えているあの人がきっと母親だったんだろうな」との想いを抱きながら施設で独り育ってゆくのだろう。きっとお互いもう会うこともなく、それぞれの人生を歩んでゆく……。それでも僕はこの先、2人が再会して幸せな人生を歩んでほしいと願わずにはいられませんでした。小品ながら、心に深く突き刺さる傑作だと思います。
[DVD(字幕)] 8点(2023-09-25 07:31:02)
29.  ドント・ウォーリー・ダーリン 《ネタバレ》 
砂漠のど真ん中に造られた、とある新興住宅地。ここは世界的な大企業が極秘裏に進めるプロジェクトのために建設された、完璧な町だ。大きなスーパーマーケットや美容院、映画館も併設され、他のどの町に行かなくてもここだけで生活に必要なものは全て揃うようになっている。定期的に巡行するバスに乗れば、町の何処にでも運んでくれる。そう、ここは誰もが幸せに暮らせる楽園のような世界――。プロジェクトに関わる夫ジャックとともに、何不自由ない生活を満喫する専業主婦アリス。従業員以外は許可なく町を出ることは禁止というルールに疑問を抱くことなくこれまで暮らしてきたアリスは、毎朝夫を送り出し、ママ友たちと日々優雅な昼下がりを楽しんでいる。自由な時間を楽しみたいとまだ子供を作る気もないアリス。だが、迷子になった子供を捜すためにルールを破って町の外に出てしまった隣人主婦マーガレットの存在が彼女の気持ちをざわつかせる。マーガレットの子供はいまだ行方不明のままで、彼女はそれからこの町に批判的な言動を繰り返しすようになっていた。ある日、そんなマーガレットが自らの喉を切って自殺する瞬間を目撃してしまったアリスは、真実を探るために町の外へと逃げ出そうとするのだが……。冒頭から描かれる、この冗談みたいな理想郷のカラフルで洗練されているのにどこか歪な世界観が強烈。何処にもゴミ一つ落ちておらず、家の壁も汚れなど一切なし、部屋の中も全て掃除が行き届いている。でも、主婦たちは料理以外の家事は全くせず、プールサイドで優雅にお酒を飲んで趣味のバレエにいそしみ、することと言えば夫と所かまわずセックス。彼女たちはみな夫の言うことを全て鵜呑みにして、今の生活に何も疑問を抱かない。そんな世界に響き渡る、何処までも陽気な音楽……。ここまで気持ちの悪い世界を緻密に構築した、この監督の手腕は確かに凄い。時折挟まれる悪夢的イメージも鮮烈で、生卵を割ってみたら中身がまったくの空だったなど印象に残るシーンも多い。ただ、問題となるのはストーリー。ここまで大風呂敷を拡げまくったお話をどうオチつけるのかと思っていたら、まさかの○○オチ。これまで様々な映画や小説で何度も見てきたような既視感満載のその真相は、さすがに肩透かし感が半端なかったです。こーゆー言ってみればなんでもありのオチは、よほど巧くやらないと納得感が得られませんって!!また、全編に貫かれる、「全ての女性を家庭という牢獄に縛り付けようとする男社会の論理」への抵抗というフェミニズムなテーマも、最近はそんな映画が余りに多すぎてちょっと辟易。なんなら説教臭ささえ感じました。映像や世界観はすこぶる良かっただけに、残念!
[DVD(字幕)] 6点(2023-09-21 08:41:29)
30.  帰らない日曜日 《ネタバレ》 
1920年代、第一次大戦の傷跡が未だ根強く残っているイギリスのとある地方都市。大戦で二人の息子を亡くしたニヴン家に務めるメイドのジェーンは、幼い頃に孤児院に捨てられ以来一人で生きてきた天涯孤独の身。年に一度、メイドたちが里帰りを許される母の日の日曜日、帰る家などないジェーンは一人自転車でピクニックに行くといって屋敷を出てくる。だが、彼女の本当の目的は違うところにあった。ニヴン家と仲が良い同じく上流階級のアプリィ家の息子ポールと密かに会う約束を交わしていたのだ。婚約者のいるポールに初対面の時から言い寄られていたジェーンは、その後何度も逢瀬を重ねていた。誰もいない広い屋敷の中で今という時間を楽しむ若い二人。だが、彼らの親の世代に当たる当主たちは大戦で失ったものの大きさにいまだ心を引きずられていて……。自然豊かなイギリスの田園地帯を舞台に、秘密の恋に溺れるとある若い女性と彼女を取り巻く様々な人々の心理を繊細に描いた文芸ドラマ。確かに作品としての完成度は非常に高い。孤児として育った若いメイドのとある一日と、のちに作家となった彼女の悲恋、そして世界的な文学賞を受賞することになる晩年の彼女を俯瞰的に描くことで、20世紀という激動の時代をラディカルに見つめるその視線の鋭さは特筆に値する。時間軸を頻繁に行き来し、しかも過去パートは作家となった彼女の創作かもしれないメタフィクションともとれる複雑な構造なのに、観客をまったく混乱させないこの完璧な構成力は見事としか言いようがない。そして、センスあふれる美しい映像と気品に満ちた音楽も見どころの一つ。長い伝統と格式を感じさせるイギリスの古い屋敷の中を全裸で気の向くままに歩き回るヒロインなど、まるで中世の重厚な絵画の世界に入り込んだかのよう。きっとこの監督の才能は確かなのだろう。ただ自分は、その才能をまるでひけらかすような感じが少々ハナについてそこまで好きになれなかった。技巧に溺れすぎたのか、肝心のストーリーがいまいち心に残らない。登場人物がみな上品に振る舞いすぎていて、血の通った人間味が感じられないのだ。泥臭くてもカッコ悪くてもいい、自分はもっと心に響く物語を観たい。
[DVD(字幕)] 6点(2023-09-14 08:34:00)
31.  ザ・コントラクター 《ネタバレ》 
怪我が原因で除隊を余儀なくされた元凄腕海兵隊員ジェームス。妻と子供を養うために少しずつ重ねてきた借金は膨れ上がり、もはや破産寸前まで追い詰められていた。住み慣れた家も手放さざるをえなくなり、このままでは家族は路頭に迷ってしまう。追い込まれたジェームズは、政府からの極秘の依頼を請け負う民間軍事会社の面接を受けることに。難なく採用されたものの、その任務はどれも常に危険と隣り合わせの命懸けのものだった。妻の心配を振り切り、最初の任務をこなすためドイツへと渡ったジェームズ。だが、それは後戻りできない危険な世界へと彼を引き込むのだった……。罠にハメられアメリカの情報機関から追われる羽目に陥った元海兵隊員の活躍をダイナミックに描いたエンタメ・アクション。人気俳優クリス・パインが主演を務め、昔懐かしのキーファー・サザーランドが共演しているということで今回鑑賞してみました。冒頭は良かったと思うんですよ、これ。任務中の怪我が原因で休養を余儀なくされた主人公、しかも追い打ちをかけるように療養中に使った筋肉増強剤のせいで除隊にまでなってしまう。そして、間の悪いことに彼に告げられる同僚の不慮の死……。追い詰められた彼は、最後の手段だと避けていた民間軍事会社にコンタクトをとる。ここまでの流れは緊迫感もリアリティもあって、まるで社会派映画を観ているようでした。「あれ、これってもしかして掘り出し物かも?」――。そんな僕の期待もここまででした。肝心の任務が始まってからは、これがもう見事なまでにぐずぐずに。あんなに準備して下調べも完璧にしていたはずなのに、いざ任務が始まってみるとこれがもう行き当たりばったりもいいところ。すぐに警備員に通報されて警察が駆けつけてくると結局施設は燃やしちゃうわ、森で激しい銃撃戦をやらかしちゃうわ、肉弾戦で乗り切ろうとした仲間はほとんど死んじゃうわ、これの何処が超一流の傭兵たちやねん(笑)。しかも肝心のそのアクションシーンもいまいちキレが悪く、自分はちっとも楽しめませんでした。挙句、最後に明かされる黒幕の存在も容易に読める代物のうえ、無理やりすぎて到底納得できません。余りにもグダグダ過ぎて、後半はもはや眠気と戦いながらの鑑賞となってしまいました。緊迫感あふれる冒頭部分は良かったんですけどねぇ。
[DVD(字幕)] 4点(2023-09-14 07:39:52)
32.  カモン カモン 《ネタバレ》 
さまざまな問題を抱えたアメリカの各地方都市を廻り、そこに住む若者たちの声を聴くという企画に現在取り組んでいるジャーナリスト、ジョニー。録音機材を抱えたった一人で各都市を巡っていた彼にある日、しばらく疎遠にしていた妹から電話が掛かってくる。話を聞いてみると、精神に深刻な問題を抱えている彼女の元夫の容態があまり芳しくないというのだ。彼のもとにいってしばらく面倒を見てあげたいので、その間まだ幼い息子を預かってほしいらしい。「お願い、兄さんしか頼れる人がいないの」――。妹とは母の死を巡りずっとギクシャクしていたが、甥っ子のためにジョニーは彼女の住むロサンゼルスへと向かうことに。1年振りに会う甥っ子ジェシーはもう9歳、何事にも好奇心旺盛で彼の持つ録音機材にさっそく興味津々。しばらく会っていなかったのが嘘のように2人は意気投合するのだった。あの子には心配かけたくないから父親のことは何も言わないでと言い残し、元夫の元へと向かう妹。ジョニーはジェシーの気分転換も兼ねて彼を助手として取材を続けるのだが、何かを察したジェシーも次第に情緒が不安定になってきて……。大都会で孤独に生きるジャーナリストが突然預かることになった9歳の甥っ子、彼らの共同生活を淡々と描いたヒューマン・ドラマ。最近ハリウッドのベテラン勢の間で密かに流行っている子供を主人公に全編モノクロームで描いた作品で、確かにこのノスタルジックな雰囲気はほのぼのとしていて心地良かった。フォアキン・フェニックスの肩の力の抜けたナチュラルな演技も巧いし、なにより彼と本物の親類なんじゃないかとしか思えない子役の溌溂とした演技も素晴らしい。彼らが2人でアメリカの大都市を巡る旅路はまるで自分も同行しているかのような気分にさせられる。精神に深刻な病を抱えた彼の父親の存在もともすれば軽くなりがちなこの物語にいいアクセントを与えている。ただ、これは個人的な感想なのだが、自分はこれら一連の演出に終始あざとさのようなものを感じてしまい、後半になるにしたがって次第に心が離れていってしまった。要所要所に主人公の読む本のタイトルを入れるのも、「どうだい、俺って知的だろ」と言わんばかりの監督のナルシズムが透けて見えて終始癪にさわる。子供たちのインタビュー映像も同様。また、この甥っ子のワガママ放大なところも自分は好きになれなかった。特にタクシーの中でトイレにいきたいと嘘をついて、主人公を飛行機の時間に間に合わせなくさせたのはかなり腹がたった。ちょっと甘ったれ過ぎなのではないか。最後、誰もが丸く収まってのハッピーエンドもなんだかとってつけたよう。ノスタルジックな雰囲気は良かったのだが、肝心の内容の方は終始自分には合わないものだった。
[DVD(字幕)] 5点(2023-09-11 08:10:05)
33.  NOPE/ノープ 《ネタバレ》 
アメリカ南部の片田舎で牧場を経営するとある親子をある日、悲劇が襲う。なんと何の前触れもなく空から異物が降ってきて、直撃を受けた父親が亡くなってしまったのだ。飛行機から積荷が落下した事故として処理されたものの、息子OJは到底納得いかない。監視カメラを幾つも買い、全て上空へと向けて様子を観察してみることに。すると、驚くべき事実が明らかとなるのだった。「空に一か所、まったく動かない雲がある」――。その日からOJの日常は歪み始める。突然使えなくなる電化製品、まるで自分たちを監視しているかのように空に現れる謎の影、そして近くのテーマパークでは観客が一瞬にして行方不明となる謎の現象が起こっていた。果たしてこれはなんなのか?アメリカの砂漠地帯を舞台に、そんな理不尽な事態に巻き込まれる一家を終始不穏に描いたサスペンス・スリラー。監督は、独創的なアイデアで話題を集めたヒット作『ゲットアウト』でデビューを飾ったジョーダン・ピール。観終わった直後の率直な感想を述べさせてもらうと、さっぱり面白くなかったです、これ。この監督ってアイデア一発勝負で映画を撮るスタイルなんでしょうけど、2作目、3作目と明らかにクオリティが下がっちゃってる気が……。アイデア先行で制作に入ってるのに肝心の中身がまったく追い付いておらず、明らかに破綻した脚本や思わせぶりなだけでさして面白くもない演出などダメな部分ばかりが目立つという、なんだかデビュー2~3年目頃のM・ナイト・シャマラン低迷期を髣髴とさせる右肩下がりぶり(今も?!笑)。ここで思いっ切りネタバレすると、結局真相は巨大な人喰いエイリアンが雲に擬態して獲物である人間を狩ってたってっだけの話。それをただひたすらグダグダだらだら引っ張って、そこに黒人差別的なテーマを若干匂わせてるだけで中身はすんごく薄っぺらいです。あの殺人チンパンジーのエピソードも最後にストーリーの本質に絡んでくるのかと思いきやまったく放り投げっぱなしって、「結局なんやってん!!」と自分は怒り狂いそうになっちゃいました。主人公も全く魅力がなく、ひたすら暗くてぼそぼそ後ろ向きなことばかり喋る彼に自分は最後まで感情移入できず。うーん、正直、この監督の映画はもういいかな……。
[DVD(字幕)] 4点(2023-09-06 10:00:50)
34.  オフィサー・アンド・スパイ 《ネタバレ》 
19世紀フランスで実際に起きた冤罪事件を元に、巨大な権力に立ち向かったあるスパイの闘いをリアルに描いた歴史サスペンス。監督は、数々の賞に輝く名匠ロマン・ポランスキー。さすがベテラン監督だけあって、その円熟味を増した演出はもはや匠の技。非常に複雑でしかも基本地味なお話なのに最後まで観客を惹き付けてやまないストーリーテリングの巧みさは素晴らしいと言うほかありません。DNA鑑定はもちろん、指紋鑑定すらない時代に、ただひたすら破られて捨てられた機密文書を入手し気の遠くなるような手間と労力をかけて再現してゆくところなんて凄いとしか言いようがない。んで、肝心の証拠となるのは、専門家とは言え一人の人間が行う筆跡鑑定のみ……。そりゃ冤罪も生まれますわーー。でも、主人公はただ社会正義の為にそしてかつての教え子の冤罪を晴らすために孤軍奮闘してゆく。保身に走る上層部、主人公を陥れようという同僚たち、そして明らかとなる主人公の不倫スキャンダル……。それらのドラマが後半になるにしたがって加速度的に盛り上がっていくところはもはや圧巻。背景にある、根強いユダヤ人差別の問題にもちゃんと目を向ける監督の目線の鋭さにも感心させられます。そして迎えるほろ苦い結末。歴史の巨大なうねりの中で今はもう忘れられてしまった無名の人々の人生に改めて光を当てるこの物語の深い余韻に、自分はしばらく浸っておりました。最後まで充分見応えのある歴史ドラマの秀作、お薦めです。
[DVD(字幕)] 8点(2023-09-06 09:35:24)
35.  ザ・ディープ・ハウス 《ネタバレ》 
「幽霊屋敷 in 池の底」。それ以上でもそれ以下でもないお話(笑)。物語は、再生数を稼ぐことしか頭にないユーチューバーカップルが、より刺激的な映像を求めて、森の奥深くにある湖の底に眠っているいわくつきの廃墟へと侵入するってだけの内容です。でも……、この水の中という舞台設定が技あり!!こんなにベタベタな内容なのに、これが湖の底というだけでこんなに面白くなるなんて意外でした!気持ちの悪い魚が不気味に泳ぐ水の底で誰もいない廃墟へと入ってゆくシーンがとにかく怖い。家具や食器がゆらゆら漂ってるリビングとか今にも何かが飛び出てきそうでヤバかった。そして地下室で明らかに拷問を受けたであろう死体を発見する主人公カップル。でも、彼らは何か違和感を感じてふと呟く。「どうしてこの死体はこんなキレイなままなの?まるでさっきまで生きていたみたい……」。ここからラストまでもうヒィィィって感じで見入っちゃってました。ゆらゆらとゆっくり近づいてくる水死体がこんなに怖いとは。ここに酸素ボンベの残量が残り僅かだという水中ならではの要素も加わって、最後は普通に手に汗握っちゃってたし。何気に色んなゴミとか藻屑が漂う水の中なのに画面がずっとキレイで見やすかったのもポイント高い。アイデア一発勝負ながら、なかなか面白かった!ビール片手に真夏の熱帯夜に観るのに最適な映画、お薦めです。
[DVD(字幕)] 7点(2023-09-06 08:31:19)
36.  ウィズアウト・リモース 《ネタバレ》 
妊娠中の妻を殺されたアメリカ軍特殊部隊員が黒幕を求めて世界を駆け巡るスパイ・アクション。妻を殺されるまでと最初のターゲットであるロシア人を追い詰めるまではリアリティがあって緊迫感もなかなかでけっこう面白かったんですが、途中からあまりにも荒唐無稽なお話になり過ぎて自分はいまいちのれなかったです。さすがにスケールを大きくし過ぎたんちゃいますかね、これ。主人公がたった一人でアメリカ国防長官をさらってきて自殺に見せかけて殺すって……、どんなけセキュリティがばがばやねん(笑)。とはいえ、アクションシーンはそこそこ迫力あったし、前半はけっこうハラハラドキドキしたんで暇潰しで観る分にはぼちぼち楽しめると思いまーす。
[DVD(字幕)] 6点(2023-09-04 08:43:04)
37.  僕とロボと不思議な惑星 《ネタバレ》 
広大な宇宙を旅するとある冒険家家族。様々な惑星に降り立ち、未知の生物を調査して廻ってこれから地球へと帰ろうとしていた矢先、彼らは突然の流星群に襲われるのだった。瞬く間に宇宙船は崩壊、一人息子のウィリアムはたった一人、救命艇に乗って難を逃れることに。何日も宇宙を漂流した末にウィリアムが辿り着いたのは、今まで見たことがないような謎の惑星だった――。別の救命艇で逃れた両親が自分を見つけてくれるのはいつになるか分からない。ウィリアムは、救命艇に乗っていったロボットのバックとともに救助を待つことに。だが、この星は未知なる謎の生物がいたるところに跋扈する危険な惑星だった……。両親とはぐれ、謎の惑星へと漂着した一人の少年のサバイバルをファンタジックに描いたCGアニメーション。というあまりにもベタな内容だったのだけど、フランスで制作されたということで、もしかしたらほのかに毒の効かせたウィットなストーリーやオリジナリティあふれるキャラクター、あるいはセンスのいい映像などで魅せる内容なのかなと今回鑑賞。感想は……、ビックリするくらいベタベタな子供向けアニメでした。とても芸術の国フランスで制作されたとは思えない、アメリカンな内容。しかもピクサーやドリームワークスといった一流どころではなく、2番手くらいの制作会社が作ったんじゃないかというくらいのクオリティ。王道中の王道ストーリーにどこかで見たようなキャラクターのてんこ盛り。新しい部分など1ミリもありません。まあそーゆーもんだと割り切って観れば、CGはそこそこよく出来ていたし、ストーリーのテンポも良かったしで最後までぼちぼち楽しめると思います。でもまぁ自分のようなおっさんが夜中に一人で観るもんではありませんでした(笑)。
[DVD(字幕)] 6点(2023-09-04 08:26:20)
38.  ヴォイジャー(2021) 《ネタバレ》 
2063年、急速な地球温暖化により人類は滅亡の危機に直面していた。人類の未来を守るため、各国の指導者たちはある計画を立てる。ここから遠く離れた地球に似た惑星に選ばれし30人の子供たちを宇宙船で送り込もうというのだ。だが、その宇宙の彼方への旅路は、到着まで86年もかかるという壮大なものだった――。訓練を受けた30人の子供たちはいわゆる第一世代、宇宙船内で人工授精により子供を設け多くの者は惑星到着を目にすることなく死ぬ運命にある。実際に惑星へと降り立ち新たな地で繁栄を築くのは、彼らの孫にあたる第三世代の子供たちなのだ。何も知らないまま宇宙船へと乗せられ、日々規則正しい生活と一日一回謎の薬を呑むことを義務づけられた子供たち。唯一の大人で彼らの指導教育に当たる教官リチャードとともに、しばらくは平穏な旅路を続けていた。だが、そんな任務に疑問を抱いた一人の少年が薬を呑むことを止めたことをきっかけに、船内に不穏な空気が拡がってゆく……。遠く離れた惑星へと航海を続ける宇宙船内で繰り広げられる、そんな30人の子供たちのサバイバルを濃厚に描いたSFスリラー。イギリスのノーベル賞作家ゴールディングの無人島漂流ドラマの名作『蠅の王』。それを宇宙船に置き換えてSFにしようという発想は良かったと思います。宇宙船内や数々のギミックもけっこうスタイリッシュで、画としては充分見応えありました。タイ・シェリダンやリリー・ローズ・デップをはじめとする今が旬の若手スターたちの共演も華があって大変グッド。ただ内容の方はかなり中途半端。極限状況に追い込まれた青年たちの暴走と破滅を描こうというのであれば圧倒的に深みが足りないし、新天地を求めて遠く離れた宇宙へと旅する主人公たちのサバイバルを描きたいのであればかなりテンポが悪いせいでエンタメ性に欠ける。どちらかに焦点を絞るべきだった。正直、自分はどう楽しんでいいのか最後まで分からず、途中からは眠気と戦いながらの鑑賞となってしまった。アイデアは良かっただけに、なんとも残念。
[DVD(字幕)] 4点(2023-08-15 07:54:36)
39.  リコリス・ピザ 《ネタバレ》 
1970年代のアメリカを舞台に、恋に仕事に夢にと充実した毎日を送る若者たちの成功と挫折をほろ苦く描いた青春ドラマ。監督を務めるのは、ハリウッドでも今や特異な地位にいる鬼才ポール・トーマス・アンダーソン。主演には、彼と何度も一緒に作品を創り続けてきた名優、故フィリップ・シーモア・ホフマンの息子であるクーパー・ホフマン(これがデビュー作らしい)。特に何事が起こるわけでもない平凡な若者たちの取るに足らない日常を淡々と描いているだけなのに、なんだろう、最後まで心地よく観ることが出来ました。「ここが凄く良かった!」と声を大にして言える魅力は特にないのに、観終わったときには変な満足感。ここらへんはやはりアンダーソン監督の長年培ってきた力量がなせる技なのかな。脇を固める何気に豪華な役者陣――ショーン・ペンやブラッドリー・クーパーも短い出演時間ながら、心に残る印象的な演技を見せてくれます。正直言って脚本が良かったわけでもないし、映像もそんなキレイでもなかったし、主演2人も特に魅力的だったわけでもないし、ホント何が良かったか分からないけれど、なんか良かったです、これ。自分でもよく分かんないです(笑)。
[DVD(字幕)] 7点(2023-08-14 09:51:50)
40.  ライフ・ウィズ・ミュージック 《ネタバレ》 
彼女の名は、ミュージック。音楽と日々の散歩が大好きなごく普通の女の子だ。でも、彼女には人と違う個性が一つだけ。それは自らの世界に閉じこもりがちで変化や刺激を極端に嫌がり、何か不安を感じると発作的に癇癪を起してしまう癖を持っていること。そう、ミュージックはいわゆる自閉症なのだ。それでも一緒に暮らす優しいお祖母ちゃんや周りの人たちのサポートで穏やかに暮らしていた。そんなある日、お祖母ちゃんが急な心臓発作で呆気なくこの世を去ってしまう――。連絡を受けたミュージックの唯一の肉親である姉、ズー。急な連絡に戸惑いながらもアパートへとやって来たズーは、久々に会う妹の扱いづらさに戸惑うばかり。とにかく施設に預けて厄介払いしようと目論むズーだったが、彼女もまた人生に深刻な問題を抱えていて……。障碍を持つ女性の日常をリアルに描きながら、そこに彼女の頭の中に流れる音楽をミュージカル調で描いたヒューマン・ドラマ。一言で表すと、ポップ版『ダンサーインザダーク』といった趣きの本作、その試みはなかなか興味深いものだった。世間からは常に好奇と同情の目で見られる社会的弱者にもちゃんとその人にとってかけがえのない生きる喜びや信念があるというテーマをあくまで軽くポップに描き出すことに成功している。彼女をはじめとした役者陣のナチュラルな演技も素晴らしく、特にアルコール依存症に苦しむ彼女の姉をリアルに演じたケイト・ハドソンの熱演は称賛に値する。そんな苦しい日常に突如として挿入される幻想的なミュージカルシーンも違和感なく共存させることに成功している。ただ、これは好みの問題と言ってしまえばそれまでなのだが、自分は肝心のそのミュージカルシーンがいまいち嵌まらなかった。何度も挿入されるカラフルでマジカルなそれら一連のシーンを、自分は正直「ダサい」と感じてしまったのだ。映像の色使いもダンスも演出もとにかく全てがダサい。恐らくダサいけどカッコ良いみたいな絶妙のラインを狙ったのだろうが、あまり成功していないように思う。また、後半のストーリー展開の唐突さも気になった。障碍を持つ妹を施設に預けようとした主人公が大したドラマもないまま急に心変わりするのも説得力に欠けるし、妻を兄に寝取られた隣人青年との顛末もとってつけたよう。あの太ったアジア系少年のエピソードもあそこまで投げっぱなしで終わるくらいなら最初から出さなかった方が良かったんじゃなかろうか。と、そういった欠点が幾つも目立つ作品ながら、社会の中で息苦しさを抱えて生きている人々に暖かなスポットライトを当てるような本作のテーマは好感が持てるものだった。総じて、自分は観て良かったと思う。
[DVD(字幕)] 6点(2023-08-14 09:03:34)
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