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すかあふえいすさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1047
性別 男性
年齢 30歳
自己紹介 とにかくアクションものが一番

感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます

備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません
10点…大傑作・特に好き
9点…好き・傑作
8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く

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21.  ナポレオン(1927) 《ネタバレ》 
こりゃ驚いた。 サッシャ・ギトリの「ナポレオン」とタメを張れる・・・いやそれ以上の傑作だ。カーマインの音楽も素晴らしい。 フランス革命後の波に載って皇帝にまで上り詰めたナポレオン。 前半部分のナポレオンは差別や嫉妬、上司とのトラブル等に耐え、自己研鑽を続ける若き士官として描かれる。 この頃は野心に満ち好機を待ち続けた“兵士”だった。  嵐を乗り越え、議会の混乱を乗り越え、ギロチンに消える貴族たちを眼に焼き付けて・・・。  それが後半になると、様々な政治的困難に直面する“政治家”としての側面も見せてくる。革命で暴徒と化し自由を求めて歩む民衆を見て、ナポレオンは嬉しそうに笑みを浮かべる。 下積み時代の自分と民衆を何処か重ねてみているようだ。  そんな男が民衆の頂点に立ったと思ったら、最終的には民衆から命を狙われるようになってしまう・・・皮肉なものだ。
[DVD(字幕)] 9点(2014-04-09 20:16:44)
22.  キートンのセブン・チャンス 《ネタバレ》 
恋愛とシュールなギャグ、そしてラストにかけての凄まじい逃走劇! 「バスター」の名に恥じない疾走感と破壊力、そして本物の愛について考えさせられるキートン映画の傑作の一つ。 金融ブローカーの仕事に失敗して破産寸前のキートン。 そこに舞い込んだ父の遺言。喉から手が出るほどの莫大な遺産、期限までに結婚しなければその宝の山も手に入らない。 財産欲しさに女性という女性をナンパしては惨敗を期していくキートン。 人を金で買えても心までは買えない。 愛ではなく金のために動くキートンに心から振り向く女性なぞいないのだ。 ただ一人キートンの中身に惹かれ愛していた女性の心も理解できずに。 笑わない、泣かないの感情の起伏に乏しいキートンだが、彼は体の動きで豊かな感情を伝えてくれる不器用なパフォーマーでもある。 顔も背もコンプレックスの塊だが、それを個性として武器にして戦うその精神力。 チャップリンがユーモアと愛情、ロイドが勇気、キートンはアクション! 俊敏な運動神経だからこそ成せるアクションの連続で魅せる俳優なのだ。 人間の本能に動きで語りかける、キートン映画の醍醐味ここにあり。  とうとう最終手段として新聞広告で結婚相手を募集する事にしたキートン。 その邪さがキートンに悲劇となって降り掛かる。 数百人にも集まった大量の女性、女性、女性!老若美人、貴婦人、醜女とよりどりみどりの大津波。キートンも流石に怖くなって脱走。それを追う烏合のレディース。 群衆の力強さと恐ろしさをまざまざと見せつけるスピードと破壊力! キートンも全力疾走! クレーン車に中ずり、荒い地形を高速で駆け下り岩まで追ってくるなど、キートンのポテンシャルの高さが成せる命懸けの走りだ。 その過酷さを肉体だけで表現するその役者魂、震えるね。 大量の岩に追われて逃げてるんだけど、最終的にはそれを逃げるんじゃなくて避けるという発想!逃げてばかりじゃ勝てない、正面から見切ってやるぞという心の強さが良い。もう金のためじゃないよ。自分を愛してくれる人の気持ちをやっと理解して、やっと自分の愛を告白するんだと必死。時間までにたどり着かなきゃ、彼女を失うも同然。服もボロボロで息を切らして愛する女性の元へとたどり着く。金なんてどうでもいい、ただ愛が欲しい。そして迎える大団円。
[DVD(字幕)] 9点(2014-04-05 10:08:14)(良:1票)
23.  キートンの蒸気船 《ネタバレ》 
これはね、もうアレですよ。終盤の台風が直撃するクライマックスはキートン映画最強の部類。 キートンがあんなにカッコ良く見えたのは久々だぜ。 「蒸気船関係無いやん!」と思っていたらビックリ。なるほど取って置きの切り札として船を利用するアイデアが秀逸。 そんでもって最後の最後まで海に飛び込むキートンはカッコ良かったぜ。最高。 これに匹敵する蒸気船映画はジョン・フォードの「周遊する蒸気船」だけやね。
[DVD(字幕)] 9点(2014-04-05 10:05:34)(良:1票)
24.  キートンの恋愛三代記 《ネタバレ》 
D.W.グリフィスの「イントレランス」に対する尊敬か嫌がらせか、キートン流のパロディ映画。 チャップリンもセシル・B・デミルの「カルメン」に対して「珍カルメン」でパロディやってたね。やっぱり喜劇王がやるパロディは洗練されてるぜ。 でも流石に「原始時代」は遡り過ぎだ。 「ベン・ハー」は犬かよ。 恐竜と像が一緒にいる時点で色々おかしい。 まあ、もしキートンが現代に生きていたとしても其の辺の矛盾を全部ひっくるめて面白おかしくしてくれるだろうよ。 しかし“三代”で終わりかあ・・・。
[DVD(字幕)] 9点(2014-04-05 10:02:41)
25.  キートンのラスト・ラウンド 《ネタバレ》 
他のキートン映画にしては全体的に物足りなさを感じるかも知れない。ただ、ラストの「ブチ切れる」キートンのシーンは必見だ。 今まで人を殴ることもできなかった気弱な青年が、愛する女性のため、自分のために獰猛な拳闘屋に豹変する瞬間の顔つき。 笑わない、滅多に怒らない人間が怒った時は怖いもんだぜ。そんな映画です。
[DVD(字幕)] 9点(2014-04-05 10:00:42)
26.  キートンの酋長 《ネタバレ》 
サイレント時代は同時に西部劇の始まりであり、エドウィン・S・ポーターの「大列車強盗」の登場以後、様々な西部劇がスクリーンに登場した。 D.W.グリフィスがあらゆるジャンルの映画を開拓していったように、チャールズ・チャップリンは「黄金狂時代」や「偽牧師」で、そしてバスター・キートンは「ファッティのアウトウェスト」や本作「白人酋長」で西部劇に挑んだと言えよう。 当時の西部劇はインディアンを友好的に捉えた作品が多く、むしろ英雄視さえしていた。そんな温かみのある視線がこの作品にはあった。 モーリス・トゥールヌールの「モヒカン族の最後」もまた、インディアンと白人の結ばれぬ悲しき物語を描いた。 本作はたった20分の短い内容だが、キートンのコメディはそんなインディアンと白人の交流を面白おかしく描いてくれた。実に良い映画だ。
[DVD(字幕)] 9点(2014-04-05 09:57:57)
27.  キートンの警官騒動 《ネタバレ》 
再見。 キートンのアクションが思う存分炸裂する最初の作品の一つ。  刑務所?と思ったら屋敷の門、落とした財布を中身を確認して拾ってあげたのに「余計なことを!」、引き返して財布をとる、財布だけ、入れ替わりにキートンが車に。このスピーディーかつ流れるような展開。  それを見ていた男、引越し中の家族、男の一計、ちゃっかり半分貰う、馬車、なれゆきで家族の引越しの手伝いをすることに、中々入らないカバン、ビン割りやがった、手紙捨てんな、通りがかりに犬に噛まれる、グローブでガード、即席パンチマシーン、警官ぼっこぼこ、運転中に寝ないでください、馬に直接電話、馬に直接喋れよ、馬が中々進まないのでしまいにはみずから馬になって引っ張り出す。  獣医に診せたら馬が元気よく飛び出して来てさっきから笑いっぱなしだ。  ところ変わって夥しい警官、警官、警官たちが駆け抜ける大スペクタクルへ! 群れが無尽蔵に増殖して追いかけてくる恐怖と笑いはキートン映画の名物。  パレード、行進に迷い込んでしまう、爆弾テロリスト(最古のテロリストを描いた作品の一つ)、導火線で煙草に火を、爆弾と知らず投げ落としてしまう、ブチ切れた警官隊が猛然と迫りくる!水道管が破裂だ!荷馬車は置き去りにされグシャグシャに踏み荒らされる。  壮大なおにごっこ、のらりくらりと警官隊をかわす、明かされる真実、ネクタイ、髭、車に飛び乗る!  木の板でシーソー、彼女、扉を開けた途端…唐突に締めくくられる結末。墓石!
[DVD(字幕なし「原語」)] 9点(2014-04-05 09:55:27)
28.  キートンのマイホーム(文化生活一週間)
最近のツマラン映画よりも、名作とか言われる古ぼけた作品よりも、キートンのコメディはいつの時代も破壊力があって面白い。ネタを知ってたって、まさかここまでやるとは思わなかった。スゲーよ。 新婚したてのキートン夫妻が、夢のマイホームを買い、夢もろとも粉々に砕け散っていくという何とも酷い話だ。 奇抜な外装になった家、欠陥だらけの家。冒頭のアクションが霞んでしまうほど家の粉砕振りがたまらん(それと若妻の入浴シーン(見せられないよ!)。 腹筋崩壊の数十分だった。
[DVD(字幕)] 9点(2014-04-05 09:42:57)
29.  スピオーネ(1928) 《ネタバレ》 
この度は、運営様、並びに御協力して下さった皆様に「再びレビューさせてもらえる許可」を頂いた事について、深い感謝をしてもしきれません。  フリッツ・ラングがサイレン期に撮った、元祖ジェット・コースター・ムービーとも言うべきスパイ映画の傑作を!同じくラングの「蜘蛛」にも通じる冒険活劇のエネルギッシュな興奮、スパイ同士のロマンス。 冒頭から大量の文字・情報が入ってきて引き込まれるし、カーチェイスのスリル、列車の脱線、眼が“イッている”感じの狂気!ヒロインが椅子に拘束されている様子はエロいです。太腿が。流石ラング御大。 日本大好きな?ラングがまたも奇妙だが日本愛を感じさせるような人物を登場させます。どんだけ切腹好きなんだよ外人(それでも「ハラキリ」や「メトロポリス」のヨシワラよりはまともな形で登場しているかな)。日本、ロシアまで世界的規模で情報が交錯する!「メトロポリス」のように、主人公が巨大な闇に飛び込んでいくような恐怖がたまらない。 諸悪の根源を演じるのは「ドクトル・マブゼ」でも強烈だったルドルフ・クライン・ロッゲ!ラストの“道化”としてピアノの演奏で物語を締めくくるシーンが忘れられない。 エドガー・G・ウルマーの美術は相変わらず素晴らしいぜ。
[DVD(字幕)] 9点(2014-03-26 14:39:08)(良:1票)
30.  群衆(1928)
ニューヨークの人の群れと摩天楼をぐるりと移してくダイナミックなカメラワーク。  そこから一つのビルの窓にクローズアップし、ぎっしり並んだ会社の机の群れ。 そこで黙々と作業を続ける男たち。 「昼休み」の知らせと共に一斉に飛び出す人の群れ! 凄いシーンだ。  ストーリーは極ありふれた題材。  ひとりの男が家族を持ち、その家族と仕事の間で揺れながら暖かいドラマを展開していく。  実に地味な題材、それをダイナミックに描くヴィダーの手腕。  最後まで暖かい、無音の世界から音が聞こえてくる良いラストだった。
[DVD(字幕)] 9点(2014-03-23 20:50:14)
31.  第七天国(1927)
第七天国 素直に好きと言えない男。「ダイアン チコ 天国」の言葉でしか愛の言葉を言えない恥ずがしがり屋。 そんなウブな少年を、戦争の悲劇が襲う。だが、そんな悲劇が二人をより強く結びつけるとは皮肉なものか。
[DVD(字幕)] 9点(2014-03-23 00:18:02)
32.  ドクトル・マブゼ
フリッツ・ラングの犯罪映画は問答無用の傑作が多い。 アメリカ時代は言わずもがなだが、ドイツ時代も泣く子も黙る傑作・大傑作を幾つか残している。 それがこの「ドクトル・マブゼ」だ。 俺は続編の「怪人マブゼ博士(1932年)」の方が好きだが、この作品も素晴らしい。 前・後半合わせた実に4時間を超える作品だが、スピーディーな展開と持続する緊張の連続は我々を飽きさせない。 ストーリーは一見すると単純な探偵vs悪党の活劇物にも見えるが、物語は第一次大戦で生じたインフレーションによって混乱する人々の様子も巧みに織り込まれているのだ。 今は私腹を肥やすマブゼも、インフレによるどん底から這い上がってきた人間にすぎない。こういったドラマと関係無さそうな部分の掘り下げ。 この丁寧な掘り下げがストーリーをさらに盛り上げてくれる。「カリガリ博士」の制作にも参加したラングだ。「カリガリ博士」で培われたノウハウがこの「ドクトル・マブゼ」に活かされている。  変装と催眠術に長けた天才的な犯罪者マブゼ。重要な株に目を付け莫大な利益を上げるだけでなく、ドイツの経済すらどん底に突き落としてしまう。 更には暴落した株すら買い占めてしまうその恐ろしさ。印刷工場にカジノ。何処までも用意周到な男だ。  アクションそのものは余り派手では無いが、フォン・ヴェンクとドクトルマブゼの心理戦、逃走劇の連続が面白い。  ただ、マブゼの欠点は余りに貪欲すぎた事だ。  その貪欲さが逆に警察たちに糸口をつかませてしまったのではないか。 生きるために金を求め、求めすぎた金によって発狂してしまうマブゼの顛末。  ラング特有の幻想的な雰囲気、突き詰められたサスペンス。犯罪映画の古典と呼ぶに相応しい作品。
[DVD(字幕)] 9点(2014-03-20 01:12:52)
33.  嵐の孤児
グリフィスの集大成ともいうべき傑作。18世紀末のパリを舞台にした重厚な歴史ドラマ。 フランス貴族に対する辛辣な描写は当時問題となり、ブルジョワ層を敵に回してしまう作品はヒットしなかった。 しかし、今そんな事は関係ない。 展開の速さや詰め込まれたストーリーはグリフィス映画でも屈指の完成度だ。  物語の鍵を握る二人の女性。 運命に翻弄されて違うドラマを歩む二人のヒロイン。ボロ着をまとい寒さに耐える者、愛する者を探す果てに断頭台に消えようとする者。この二重に展開されるドラマの面白さ。 フランス革命やロベスピエールの恐怖政治を絡めたストーリーはより厚みがある。 かつて「イントレランス」で試みられた手法がより分かりやすく、かつ洗練されたものになっているだろう。  登場人物の丁寧な掘り下げはモチロン、グリフィスらしいクライマックスの畳み掛けも素晴らしい。  それにしてもリリアン・ギッシュはキレイだ。「スージーの真心」あたりから余計に可愛くなった気がする。 もっとグリフィスとのコンビが見たかっただけに残念だ。
[DVD(字幕)] 9点(2014-03-20 01:09:55)
34.  ファウスト(1926)
ゲーテの戯曲を元にしたムルナウの傑作。 ムルナウの幻想的な演出はモチロン、冷徹なまでに重厚な空気で包まれる。  天上の天使と悪魔に運命を翻弄される人間たち。 疫病の苦しみから逃れるため、悪魔を召喚してしまうゲーテ。 メフィストフェレスはどんな願いも叶えてしまう。制約をしいて。 疫病と救世主、年老いたゲーテは己の無力さに絶望する。 若返り漲るような力を得ようと、結局は悪魔の力によって再び絶望に暮れてしまう。 余りに救いようが無い。  一時の幸せも、瞬く間に惨たらしく散っていく。  恐ろしいまでに冷徹な描写。  だが、ラストのあの美しさは何なのだろうか。あんな終わり方をされたら、黙って泣くしかないじゃないか。 何て最高に卑怯で泣ける泣けるクライマックスなんだ・・・。
[DVD(字幕)] 9点(2014-03-20 01:08:16)(良:1票)
35.  ストライキ 《ネタバレ》 
ソ連の血みどろの粛清を克明に描く「ストライキ」。 国の革命がもたらした何千何万という流血。 国の政策の犠牲になるのは、いつも下を支える民衆だ。 その一部始終がこの映画に詰まっている。  工場で重労働を課せられる労働者の苦しみ、その波は民衆に波及し、やがて工場は停止する。  我武者羅に働いてきた男たちは、いままでないがしろにしていた家庭の大切さを思い出す。  ある者は家で過ごし、ある者は演説をして民衆を刺激する。  それに手を焼く国の重役たち。 ストライキの鎮圧は軍隊に任せ、自分たちは高みの見物だ。 のんきに酒を酌み交わし、下の気持ちなんざほとんど省みない。  そこに酒を運ぶ召使い。 彼もまた民衆の一部だ。 苦々しい笑みで現状を嘲笑う。 そして人がいなくなれば、彼らは残ったご馳走を食べ尽くす。 ここまで人の上下の差を描いていく。  働き手がいなくなった工場を、一匹の猫が通り過ぎていく。 その生々しさが凄い。  動かなくなった工場はその働き手の首すら締めていく。 働かなくなり金が底をつき、家のシーツや古着を売り金に変える事にも限界が来る。 工場を動かさなければ、働き手も食い詰めるのだ。 政府はそれを待てば良いのだから。  労働者たちは、家族を食わせるために再び工場へと戻っていく。  だが、突然の不幸が襲う。 浮浪者たちがストライキに同調し、何と工場を焼いてしまったのだ。 何という皮肉。  ストライキの面々が反乱したのだと、軍隊は人々に銃を向ける。  男、女、老人、赤子まで、尽く殺していく。  後には大量の死体と血の川だけが残る・・・。  その強烈極まりない映像!
[DVD(字幕)] 9点(2014-03-16 21:43:22)
36.  グリード(1924) 《ネタバレ》 
シュトロハイムが「愚なる妻」に続いて完成させた映画。  「愚なる妻」は実在の巨大カジノを再現してしまうなど美術・技術・予算をふんだんに使った贅沢な美術で魅了してくれたが、本作はデス・バレーで文字通り死者まで出した酷暑でのロケ。 冒頭は炭鉱夫の主人公マクティーグが仕事を辞める経緯を描く。「金は要らない。歯医者の弟子になればそれで食っていけるだろう」。 一見欲の無い男だが、何も知らない野暮な主人公は、一度欲望に心を蝕まれたらどうなるかも知らなかった。 トリーナこれといった美人じゃない。が、何処か肉欲を掻き立てるようなオーラがこの女にはある。 トリーナの心がマクティーグを狂わせていく。 マーカスもまたトリーナをそれほど愛していなかった。いや、友人とは言え簡単に自分の女を他人に譲っちまうような軽薄な男だ。 トリーナも金さえあれば良いという女。肉欲だけが目的の男、金だけが目的の女。  じっくり二人の男女の邂逅を描き、結婚式の場面まで実に幸せなムードで進行してさえいるのに。 金貨の輝きは女心も男心も狂わせる。金の弾ける音が聞こえてきそうだぜ。二人の間にはやがて亀裂がはしる・・・。 野暮なマクティーグの純粋さは、そのまま憎しみに変貌していく。  一方、今まで無責任に金も女も放り出したマーカス。 「女もやっちまって、せっかく当てた大金もあんな奴らにくれちまって。何で俺はこんな事してんだ?」てな具合に後悔は嫉妬、憎悪へと変わる。 この心理描写が実に怖い。   グリード(強欲)にとり憑かれた人間が如何に身を滅ぼしていくか。ラストシーンの荒野の情景は絶望的なまでに美しい。 気がついたら、もう自分には何も残っていない・・・あるのは土と汗と血にまみれた己のみ。 「どうしてこうなっちまったんだろう」。  人間の歴史は後悔の繰り返しでもある。いくら教訓を得たって、実践してくれる奴がいなけりゃ意味がない。 人間の歴史はその繰り返しだ。
[DVD(字幕)] 9点(2014-03-15 18:22:37)
37.  全線―古きものと新しきもの 《ネタバレ》 
エイゼンシュテインの映画は、最初退屈な掘り下げから始まる。 ただ、そのじっくりと描かれる掘り下げが後の大爆発へと繋がるのだ。 ロシア革命と虐殺の爆発を描いた「ストライキ」や「戦艦ポチョムキン」、一人の暴君の後悔と絶望を描いた「イワン雷帝」等々。  この「全線」もそんな農民映画だ。 最初1時間は農民たちが泥と汗にまみれる光景を延々と捉える。特に牛を燻製にしていく工程は結構エグい。 ただ、1時間もする内にそこに退屈さは無くなっている。 華やかな少女たちの笑顔と共に。  農民たちはより大きな収穫、より人間として自立するために改革を求めていた。 無知と貧窮に溢れた農村から解放されるため、何より肉体を酷使する農業を少しでも楽にするため。 年老いた農婦マルファは立ち上がる。 半ば諦めの入っていた農民仲間たちは「そんなもんは無理だよ」と嘲笑う。 それでもマルファは止まらない。  協同組合を組むが、旱魃の容赦のない渇きが人々を襲う。神に祈っているだけでは何も解決しない。 自ら機械のトラクターや牛乳分離器など、文明社会の利器を取り入れる。 エイゼンシュテインは今までロシア社会の荒波に揉まれる人々を、文明社会が生み出した機会を通して描いてきた。 「ストライキ」における生産工場、 「戦艦ポチョムキン」における砲艦。  作品では機械のトラクターや牛乳分離器を通して、人々の生き様に変革を起こしていく。 それは同時に人々の運命を大きく左右していく。 「機械の牛」は手に入るが、今まで家族同然に暮らしてきた牛たちとの別れ。 しかし、最早どんな死をもっても農民たちの団結を崩す事は出来ない。 大地を揺らすトラクターの群れ、群れ、群れ!最新の機械をボロボロの布切れが動かす時の感動。 大地に「全線」が引かれる時のダイナミズム!  ただそれだけなのに、こんなに面白いなんて。傑作だ。
[DVD(吹替)] 9点(2014-03-15 18:20:11)(良:1票)
38.  サーカス(1928) 《ネタバレ》 
サーカス映画の傑作と言うとフェデリコ・フェリーニの「道化師」や「道」、 ボリス・バルネットの「レスラーと道化師」、 マックス・オフュルスの「歴史は女で作られる」、 トッド・ブラウニングの「知られぬ人」「フリークス」、 アルベール・ラモリスの「フィフィ大空をゆく」、 エドワード・バゼルの「マルクス兄弟-珍サーカス-」、 ジョージ・マーシャルの「あきれたサーカス」、 D・W・グャィスの「曲馬団のサリー」、 ジョージ・パルの「ラオ博士の7つの顔」、とあるが、個人的な最高傑作はチャップリンの「サーカス」を挙げたい。 爆走が起こす破壊の連鎖で笑わせてくれるのはキートンやローレル&ハーディだけにあらず。 恐らくチャップリン映画で最も走ったりアクションに挑んだ作品が「サーカス」じゃなかろうか。 警察に追われるのはいつも通りだけど、今回の大目玉はクライマックスの綱渡り! クライマックスまで次々とハプニングを巻き起こす破壊力。撮影裏でもフィルムが現像ミスで4週間分も使えなくなるわ、二人目の妻リタ・グレイとの騒動でヘトヘトになるわ、「どうしてこんな事になってしまったんだ」という、そんな追い詰められたチャップリンの精神が反映されているかのようなシーンである。 これ吹き替え無しだぜ?しかも例の猿軍団は「キートンのカメラマン」にも出演していた連中だ。 キートンの「カメラマン」では強い意思を持って主人公を助け、チャップリンの「サーカス」では無意識に主人公を殺しにかかる。 ライオンの檻に入ってしまう場面はキートンの「恋愛三代記」への回答だろうか。 「君が着ぐるみなら、私は本物のライオンだ」的な。流石に首を折って撮影を続行(キートンの「探偵学入門」)はマネできなかったか。 アレをマネ出来る(する大馬鹿)野郎はジャッキー・チェン(「プロジェクトA」)だけでええわ!異能生存体かおのれらは。 キートンやハロルド・ロイドは体を張って笑いを生み、チャップリンは如何なる苦労も顔に出さずニッコリ笑って見せる。 喜劇王と呼ばれた男達に共通する事は“自分で動かなければ何も始まらない”という事だ。  特典映像で携帯?に話しかける女性は何者なのだろうか。謎だ。
[DVD(字幕)] 9点(2014-03-15 17:13:25)(良:1票)
39.  戦艦ポチョムキン 《ネタバレ》 
実際に起きた反乱を元に描かれる本作。  今でこそ「モンタージュ技法なんて使い古されて新鮮味なんか無いよ」と言うかもしれない。 ただコイツを見たらそんな事は言えなくなる。  この映画のモンタージュは新鮮味ではなく驚きと興奮のモンタージュだからだ。 冒頭数分の単調さが、兵士の怒りの声が挙がるあたりから面白くなる。 ウジが湧いて腐った肉を、これほどまでに生々しく描写する。 腹が減っては戦はできぬ。 飢えた軍隊は勝てない。 軍の底を支える兵士の扱いの不当さ、上層部の傲慢への怒り。 当時のソ連社会への怒りを、食料を通じて描くその生々しさ!  それを巡って反乱が起き、その波は民衆にまで流れていく。 そして血で血を争う戦い・虐殺。 「ストライキ」を超えたカタルシス。 母親に抱きかかえられた子供。 手当をしても何をしても助からない。 命の軽さと重さ。 一体民衆が何をした。 ロシア革命から続く理不尽な市民の虐殺。 その怒りを、惨たらしく死んで行く人々の叫びで訴えかける強烈な映像! それをここまで残酷かつ力強く映していく。 画面に映る男も女も、みんな時代の波にさらされながら、力強く抗い生き残ってきたという鍛えられた表情をしている。 それだけに説得力も段違いだ。 よくもこんな凄い映画を検閲だのなんだのでカットしたり焼き捨てるなんて馬鹿みてえな事が出来たもんだ。 スターリンが悪いんじゃない。 そんな理不尽なやり方を実践できる「人の心」が腐っているのだから。 ふざけやがって・・・。  この映画は「面白さ」を楽しむ映画じゃない。 戦争に対する怒りを感じられるか感じられないか。 それを個々の視点で感じて欲しい映画である。 シベリアの雪の大地を踏み歩くロシア人の力強さを・・・!  そしてこの映画を探し出し、再びこの世の中に蘇らせてくれたスタッフに感謝したい。 音楽的には「マイゼル版」がオススメかな。 あの旗を染めた「赤」の色のように、いつまでも鮮やかに輝く映画だ。
[DVD(字幕)] 9点(2014-03-10 07:21:30)
40.  キートンの大列車追跡 《ネタバレ》 
再見。 やはり何度見ても・いつ見てもアクション映画としてまったく色あせない面白さだ。 「将軍」または「大列車追跡」「大列車強盗」の名でも知られる、「トイストーリー」や「怒りのデスロード」をはじめ様々なアクション映画に影響を与え続けるキートンの傑作の一つ。  個人的には冒頭から濃密に展開される「カメラマン」が一番好きだが、南北戦争を描いた作品はコレが一番だろうな。  キートンの映画にしてはかなりゆったりしているが、走りはじめ徐々に加速していき最高潮に盛り上がる展開は「セブン・チャンス」や「蒸気船」に並ぶ後半大爆発型の面白さ。 それに第一次大戦を生き残ったキートンの南北戦争時代の服装や武器へのこだわりも徹底している。   のどかな風景の中を列車が疾走し、キャメラは機関士と列車に刻まれた“General(将軍)”の文字を捉える。キャメラはひたすら横に移動し続け、キートンや列車たちの運動(アクション)をフィルムに刻んでいく。  列車から降りていく人々の賑わいと活気、愛する女性の写真をしまい家へと向かう。 愛しの人が外にいるとも知らずに、家のドアの前まで子供を連れて進み続けるとこからして微笑ましい。 2人っきりになるために子供たちを外に追い出し、自慢の機関車の写真を見せる。 ドアを開けた瞬間に鉢合わせする男たちは、握手を交わして何処かへ消えていく。キートンもまた足元がお留守になるくらい恋人との別れを惜しむ。  街に響き渡るであろう戦争と志願する男たちの足音、狭い室内で軽々と机に飛び乗り、列の前まで飛んでいってしまう身のこなし。 理由もわからず腕っぷしや身長を見比べたり、帽子を被りなおしたり職業を偽ったり再挑戦したり、一生懸命な姿がコミカルだけど物悲しい。  しょんぼりして機関車の連結棒に座り込んでいると、誰かが乗り込んで列車を突き動かしてしまう追い打ち。戦争にしょんぼりしている時間なんて無いのだ。  野営地、スパイ活動の作戦、地図。  物語が大きく動き出すのは列車が駅に停車する瞬間から。 車両に乗り込む者、引き抜かれる鉄棒、杖の一振りとともに列車に雪崩れ込む部隊、置いていかれたら、奪われたら全力で走って走って走りまくり奪い返しに戻って来る! 家族同然の愛する列車のため、愛する人のために命懸けの追跡劇へ。  断ち切れらる電線、破壊工作、ポイントの切り替え、一人手漕ぎトロッコ、盗んだ自転車ですってんころりん、列車だけ頂戴して追跡続行。こういうジリジリとしたチェイスは最高だね。  休憩する間なんて与えるものか、列車砲を拾い、列車の上を駆けずり回りあの手この手で駆け引きを続ける闘い、タンクの水がかかろうが、砲弾かついで込めて発射準備、勝手にピンチになって材木ブン投げたってどうしようもない、徐々に距離を詰めたり引き離されたりを繰り返し、吹き上げ続ける煙、線路に落とされるもの、線路から弾き出すもの、自力で担ぎ上げ乗り上げる材木との格闘、自らを切り離し破壊され燃料にされていく列車、トンネルだって燃やし、空回りするなら砂利をかけてまた追いかけ、襲い掛かる蒸気と煙、いつの間にか南北戦争の戦場に迷い込んでしまう、無我夢中で気づかず我武者羅に動き続ける、慌てて軍服を脱いで隠したり、橋の上と下、降り注ぐもの、密林への疾走と降り注ぐ雨。  敵地でうっかり情報を掴んでしまうスリル、変装、罠との格闘、雷雨の中で抱き合う恋人たち。  袋に隠すもの、担ぎ上げるもの、引き抜かれるもの、めまいがしそうなほど重いものが詰め込まれ、板切れで殴りつける大列車強盗!  ロープをくくりつけ薙ぎ倒し叩っ切り、踏んだり蹴ったり水責めされて散々、垣根は解体され燃料となり、ロープは一直線に張られ木を根こそぎ引っこ抜き、積み荷は線路にばら撒かれ蹴散らされ、材木は脳天を直撃する。  鎖でくくりつけ、斜面を滑って登って、ランプは火種になって橋を焼き尽くし、撃たれた理由、運ばれてきた情報と出撃、群衆の中を轢かれかけながら突きっきる再会、人馬が駆けだす出陣、狙撃、死に様はブラックユーモアも混ざり、砲弾の行方、押し流すように畳みかけ、引き継がれるものは消耗品としての兵士が描かれる。 敵として・仲間として闘った者への粋な計らい、サーベルをめぐるやり取り、機関銃のように繰り返される敬礼。
[DVD(字幕)] 9点(2014-03-06 15:09:14)
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