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すかあふえいすさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1047
性別 男性
年齢 30歳
自己紹介 とにかくアクションものが一番

感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます

備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません
10点…大傑作・特に好き
9点…好き・傑作
8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く

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21.  史上最大の作戦 《ネタバレ》 
ダリル・F・ザナック総指揮の元、複数の監督による「ノルマンディー」を描いた大作。  ドイツと連合軍両方の視点で描いていく点が面白い。  最初1時間は淡々としたドラマが続くが、残りノルマンディー上陸の前哨戦をたっぷり描く。  「合図の音」が生む悲劇、暗闇ですれ違う敵軍、落下傘部隊の顛末、激しい銃撃戦は中々楽しめる。  豪華なキャストの共演も魅力的だが、戦争に振り回された男女のドラマも盛り沢山の映画だ。  ラストはちょっと「もっと見たい」という欲求不満になるのが残念。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-15 21:27:13)
22.  座頭市千両首 《ネタバレ》 
この映画の見所と言えば、やっぱりあのシーン。  投げた賽銭の位置を耳と空気のゆらぎで把握し、落ちた瞬間一閃! 真っ二つ。  凄えよ・・・。話は相変わらずと言えばあいも変わらずだが、数を重ねるごとに勝新の居合抜きが凄くなってると感じるのは俺だけ?
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-08 23:41:09)
23.  ある戦慄 《ネタバレ》 
アメリカ社会の縮図を電車の中に詰め込んだサスペンス。こんな変な電車ジャック見たことねえよ。  ファーストシーンの長回しが面白い。DQNの男二人が路上で犯罪を犯す場面。 そしてオープニングの電車。  電車に乗り込む人々はそれぞれに虚栄を身にまとった男女ばかり。 家族、夫婦、バカップル、若者を嘆く老人、独身サラリーマン、軍人、黒人差別・・・アメリカ社会の光と闇が1本のレールに集う。  そこに乗り込んでくる冒頭のDQNコンビ。電車の中でDQNコンビはやりたい放題だ。  ただ、この二人は掴みかかりはするが直接的な暴力はほとんどしていない。代わりに「言葉の暴力」で電車に乗り込んだ虚栄たちを挑発し、引き剥がしていく。 現代社会にもありふれた生々しい人間模様。密室、力による抑圧が人々の本心を暴き立てる。 「俺たちが何した?言葉の暴力だけで手はまだ出してないぜ?」ホームレス?のオッサンへの放火未遂はあるがな。  二人のDQNコンビの目的はよく解らないが、とにかく「楽しめれば」何でもよいのだろう。罵られる彼らが黙って耐える姿を嘲るだけでいいし、耐えかねて“殺すか殺されに来る”ことも期待している。まるで子供にように幼い、純粋な発想。だがシンプルが故に人の心をえぐりやすい。 我々観客はナイフを突き立てられる乗客と一緒に恐怖に怯え、怒りを覚える。あるいわ、DQNの立場にたって人々を嘲笑う快楽に浸るか。貴方はどっちでしたか?  次々と化けの皮が剥がれていく人々だが、俺が唯一感動したのが黒人夫婦の時だ。 「誰が傷つけられようが知らんね」とほざいていたオッサンが、妻のために握り拳を抑える場面。腐っても夫婦だねー。悔しくて泣きじゃくるオッサンの顔がたまらん。  それを嘲笑うのではなく、黙り込んだDQNコンビには驚いた。嘲る・・・というよりは本音が聞きたかっただけなのか。それは解らない。  終点に向う間に行われる“決闘”。若き軍人は「先に手を出したら負けだ」と解っていた。いや脳味噌は解っていても、肉体と魂はDQNどもをブチのめしたくてしょうがない。怪我をした友人を侮辱されたから?違うね、本当にそう思うなら侮辱された時点で彼はDQNたちに殴りかかっていた筈だ。ナイフなど恐れずに。死ぬのが怖かったのか。逆に殺してしまうのではないかという恐れからか。とにかく、二人の男は覚悟を決める。向かい合い、ナイフをバチッと出す瞬間に奔る“ある戦慄”・・・。 電車から解放された人々の表情が何とも言えない幕引きだった。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-08 21:55:13)
24.  日本のいちばん長い日(1967) 《ネタバレ》 
岡本喜八の最高傑作を1つ挙げるとすれば何か。それは意見が別れると思うが、日本人として最高傑作を挙げるならやはりこの作品になるだろう。 映画は日本列島を映した地球儀、鳴り響く爆撃音と共に始まる。20分に及ぶ“プロローグ”が。ドキュメンタリー映画のような映像がしばらく続くが、短いショットと殴りつけるように放たれるセリフは一切の退屈を許してくれない。 空襲で焼かれる都市、焼け焦げた遺体の惨たらしさ。それを何度も見せられ“くどい”と感じる者もいるだろう。だが、実際にあの日を生きてきた日本人は、ああやって何度も地獄を見せられ“慣れてしまう”現実が存在していた。どんなに嫌でも、眼を背けられないような現実に耐えるしかなかった。 20分に及ぶプロローグが終わり、そこからが本番。 戦争を終わらせようと人々が動き始め、歯車が回り、映画としての面白さも動き出す。彼らが流す涙の中には、本当に懺悔している者もいるだろうし、敗北した事への悔しさ、これから日本が辿る未来を絶望視して泣いている者、様々な人間がいただろう。 「日本の国民を生かすも殺すも」ってやり取りが強烈だぜ。 本土決戦だの特攻だの頭のおかしいトチ狂った言葉を並び立て、一体コイツらは何人同じ日本人を“見殺し”にしているのか。まだ殺し足りないのか貴様ら。 この瞬間にも、母親が丹精込めて作ったであろう握り飯を美味そうに食べ、守る者のために出撃していく漢たちがいる。死を覚悟して。ああ、早く、早く降伏してくれ・・・そう思ってしまう。 様々な人々の主義主張やイデオロギーのぶつけあい、口舌の刃による斬り合い。 それが本当に刃を抜き放ち、銃を突き付けて殺し合うまでに発展してしまう。実際にこんな事があったのだから恐ろしい。 自転車をこいで行き来するシーンの何と狂気地味た事か。本当に何を言っているのか解らないわめき振り。 斬られた首はイスに隠されても、事件そのものは隠蔽しきれない。 官邸に一人残っていた女性の胆力に恐れ入る。或る意味、今回唯一クレジットのある女優・新珠美千代が一番強烈だったかも。 複数の玉音版による撹乱、放送室で軍人を睨みつける放送員の加山雄三、そして力尽き、自らに“ケジメ”を付ける軍人、軍人、軍人たちの散り様。 男たちは走った。走って、走って、走り尽くした。でも一体誰がために?何のために?そんな虚しさが、画面を包み込む。
[DVD(邦画)] 9点(2014-11-30 03:05:24)
25.  俺たちに明日はない 《ネタバレ》 
ボニー&クライド物はフリッツ・ラングの「暗黒街の弾痕」の方が粋で好きなのだが、アーサー・ペンのこの作品も大好きだ。 街でバッタリ会ったボニーとクライドが次から次へと銀行を襲っては逃げ、そして滅んでいく様を描く。 実際に起きた連続強盗事件を元に描くが、前科のあるクライドはカタギでやっていくには辛い身の上であり、何よりも銃を片手に強盗に興じる日々に充実感を得ていた。 そんな時に出会ったボニー。 彼女は退屈な毎日から抜けるため、クライドの危険な日々に惹かれてしまう。 ボニーはホームシックになりながらもクライドを愛し、クライドもそんなボニーを元気づけながら硬い絆を結んでいく。 後半から登場する運転手のC・W・モス、クラウドの兄貴バック、兄貴のヒステリーな妻ブランチ。デコボコな3人が加わり益々騒がしくなる面々。 同時に滅びの足音も静かに聞こえて来る。 直接的な性描写をせずに、キスと事後の所作だけを描いた点が良い。 匂わせるだけで二人が互いを受け入れた事がよく解るのが凄い。 ボニー&クライド一味はワイルドバンチ強盗団の如き八面六臂の大暴れ。 何処に行ってもトラブル続きの毎日。 死を覚悟するような日も稀になってくる。 俺たちは何処で何を間違えたのか。 俺たちに明日はあるのか、ないのか。 ボニーの母親たちとの別れ。もう二度と会えないとも知らずに・・・。 ラストは強烈な光景だが、妙な静けさが画面を包んでいく。 因果応報な幕引きではあるが、世の中に縛られずに好き勝手に生き、好き勝手に死んでいった者たちの無言の哀しさが伝わって来る。 罪を犯してきた二人は、真っ赤なリンゴに祈りをささげる。 一つのリンゴを互いにかじり「あの世に行っても結ばれような」という願掛けか。 車に残ったボニー、外に降りてしまったクライド。 史実では二人っきりで車ごと、映画で離れた瞬間に二人の運命は決してしまう。
[DVD(字幕)] 9点(2014-11-27 21:33:20)(良:2票)
26.  ニュールンベルグ裁判 《ネタバレ》 
スタンリー・クレイマーは「渚にて」や「真昼の決闘(フレッド・ジンネマン)」がダメだったけど、この映画はとても見応えがあって面白かった。  冒頭でナチスのマークを吹き飛ばすシーン!ここからもクレイマーの凸精神?を感じられる。  物語はナチスの首脳陣を裁いた後、残った法律学者やナチスと関わった複数の人間の関与する占領した側と占領された側の法廷“闘争”。連合国にとっての残党狩り、ナチスいやドイツ人にとっての最後の抵抗戦。  アーネスト・ラズロのカメラは短いショットを繋げた映像で法廷特有の緊張感を生み、退屈を感じさせない。 でも、360度パンはちょっとクドいと思った。  同じく密室劇の傑作「十二人の怒れる男」が面白いのも、ボリス・カウフマンのカメラが退屈を感じさせないショットだったからだろう。  ドイツ本来の法を捻じ曲げて国民を苦しめた罪、だがそれを防げず逆に服従を選んだドイツ国民にも罪があるという意見のぶつけ合い。 その理由となる「ホロコースト」の惨状をドイツ国民も、ナチスの人も“心”に焼き付いているからだ。 ホロコーストの映像は人間の眼、耳、そして魂に訴えかける。 それに顔の表情の細かい変化や夕食のジョッキから法廷のハンマーへと繋がる演出、終身刑を言い渡される時に銃声のように響くハンマーが印象的だった。  リチャード・ウィドマークの、マクシミリアン・シェルの、そしてバート・ランカスターの叫び、叫び、叫び。 まるでヒトラーが演説するように時にはオーバーな叫びをあげてまくしたてるシェルの様子は恐怖すら感じさせる。 あっと言う間に過ぎ去っていく時間は3時間という長さを感じなかった。傑作です。
[DVD(字幕)] 9点(2014-11-09 22:10:34)(良:2票)
27.  バルタザールどこへ行く 《ネタバレ》 
「少女ムシェット」以上に残酷な映画だ。 ロバのバルタザールは、美しい野原の光景と共にやって来る。 マリーやジャックに可愛がられたバルタザールは、不幸が重なって別れてしまう。 再会したバルタザールは、美しく成長したマリーに“惚れて”しまう。 だが、同じくマリーに好意を見せる不良のジェラールに“嫉妬”されてしまう。 マリーがジェラールに襲われる場面で、バルタザールは虚ろな瞳で傍観するしかなかった。痛めつけられるバルタザールの無力さ。バルタザールは、黙って見守るしかない我々観客でもある。 マリーは何処に行ってしまったのか。バルタザールの瞳は、彼女の行方を知ってか知らずか、ただただ虚空を見つめるのみ。 とても悲しい映画だが、悲惨さを優しく包み込む美しい原風景には癒される。
[DVD(字幕)] 9点(2014-11-09 18:41:01)
28.  アラバマ物語 《ネタバレ》 
グレゴリー・ペックの演技がとにかく最高。 ジョン・フランケンハイマーの「I Walk the Line」やラオール・ウォルシュの「艦長ホレーショ」「世界を彼の腕」に並ぶベスト・アクト。  個人的には「拳銃王」や「廃墟の群盗」「無頼の群」「白昼の決闘」のようなアウトロー役も好きだが、ペックはやっぱり冷たいようで本当は根が厚い正義漢が一番。 「ローマの休日」みたいな王女のスキャンダルを書いてやろうと思っていたら、何時の間にかその人柄に惚れて助けたくなってしまった・・・そんな感じこそ俺にとってのペックなんだ。  「大いなる西部」のようないかにも正義感の塊というペックは好かない。   この「アラバマ物語」は、ホームドラマとしても、一つの法廷劇としても見れるこの映画。 前半は弁護士の父親と家族の団欒、父親が扱う事件を巡ってのトラブルなどなど、実にアメリカらしい社会背景が詰まっている。 そして子供たちの小さな冒険譚。 内容はてんこ盛りだが、ストーリー自体は淡々と事を運んでいく。  裁判のシーンは少し長め。 事件の真相を探っていく内に、差別や貧困といった問題も絡んでくる。  最後まで戦い抜いた父親だが、待ち受ける顛末は残酷なものだ。  ただ、ラストでちょっとした奇跡が待っている。  心の暖かい人間ドラマです。
[DVD(字幕)] 9点(2014-11-08 19:07:22)(良:1票)
29.  男の顔は履歴書 《ネタバレ》 
これぞ、役者がそこにいるだけで絵になる魂が躍るような映画だ。  加藤泰の、そして俳優としての伊丹十三の「偽大学生」「家族ゲーム」「草迷宮」に並ぶ最高傑作。  戦後の闇市における日本人と朝鮮人の対立を正面から描いた極太の作品。  左頬に刻まれた疵。安藤昇の存在感は黙っていても映える。 一方の伊丹も言葉という極太の“刃”を持って社会に切り込もうとしている。  静と動の鮮やかな対比、そして「何故みんなは黙っていられるだ。誰も動かんなら、俺がやってやらあっ」とタブーにズカズカ踏み込む勇気と危うさ。  それは映画を愛するが故に「誰も撮らんなら、俺が撮ってやらあ」と数々の傑作や問題作を残して謎の死を遂げた十三の未来を暗示するようでゾッとしてしまう。  劇中では戦場の辛い記憶や戦後の混乱、愛する女のための行動などが彼を死に急がせる。 クライマックスにおける怒涛の展開も彼の生き様を物語るようだ。  父親の伊丹万作も、その友人の山中貞雄も志半ばで早逝してしまった。 天は何故素晴らしい人間から命を奪っていくのだろう。 これが神の仕業とでもいうなら、神なんてクソ喰らえだ。
[DVD(邦画)] 9点(2014-10-23 18:09:34)
30.  サウンド・オブ・ミュージック 《ネタバレ》 
ロバート・ワイズは「罠」といったフィルム・ノワールやSF、戦争映画と傑作・力作揃いだ。 だが、やはりミュージカル映画が最も評価の高いジャンルなのだろう。 この作品は「雨に唄えば」に並ぶミュージカル映画の最高傑作だと思う。  雄大な自然を捉えた美しいキャメラワークと撮影。 誰が撮ったのかと思ったらジョン・ヒューストンの「黄金」やエリア・カザンの「エデンの東」を撮ったテッド・マッコードではないか!道理で雨のシーンや山々の幻想的な映像が際立っているワケだ。   教会で修道女をやるような器では収まらないマリア。 他の修道女はマリアが歌う事を咎めるが・・・ってアンタらも歌っているじゃないか。  送り出されたマリアは絶倫トラップ大佐の元に。 トラップ大佐の家族は腕白な一個正体(5姉弟)。 マリアにとっても、子供たちにとってもヤッた事のない“冒険”のはじまりだ。  マリアは自分に言い聞かせるように歌う。 やがてその歌は子供たちの心も動かしていく。 聞き覚えのある名曲たちが子供たちの、トラップの、そして我々の心を満たしてくれるのだ。  「私は犬ではありません大佐(少佐)」 「さきの奥さんの記憶が辛いのでしょう」 「イキすぎたのよ(子作り)」・・・意味深なセリフの数々。 家政婦が(メッサー)シュミットときたもんだ。 奥さんの死因は絶対トラップ大佐のピスト(ry  まつぼっくりの“あいさつ”、 雨の中のダンスの可憐さ。雨にしっとり濡れた感じが色っぽい。 アシダカ軍曹、お疲れさまっす。 「稲妻に返事をする雷」とはマリアらしい考えだ。  辛い時、泣きたい時は楽しい事を考えてしまおう!  歌で心が通う感動。  伯爵夫人も悪い人じゃない。相性の問題さ。自ら身を引いていく潔さ!  迫るナチスの影、だがマリアたちは諦めない。 「隠れても問題は解決しません。立ち向かうの。自分の道を探すのです」 トラップもまた男。潜水艦の艦長は溺れねえぜ。 垂れかかったナチの旗は破っちまえっ!   終盤におけるナチス将校たちとの緊迫したやり取り。 大佐(少佐)が本当カッコイイ。  ロルフよありがとう。そして生きろよ!  ラストの山々の風景が最高だった。
[DVD(字幕)] 9点(2014-10-14 17:30:49)(良:2票)
31.  乱れる 《ネタバレ》 
この映画は「君と別れて」を思い出す。あの映画の水窪澄子のような眼差し、表情をする高峰秀子。二人の男女の距離と目的地への距離を縮めながら進む列車、それを支え道となる橋。 特に終盤、列車で徐々に距離を縮めていくシークエンスはドキドキさせられる。列車は絶えず動き続けるし、止まる駅でも乗客の乗り降りで運動は続く。 最初は他の客がいて弟が立ち続け、次第に背中越しに、やがて向かい合う。姉の横で転寝中のオジサンにヤキモチめいた気持ちを覗かせるのが面白い。 物語は軽トラックがスーパーの宣伝を高らかにする場面から始まる。新しい時代を象徴するスーパーの波、戦後のバラックから店を守り過去の亡霊に魂を繋がれたかのような人間たち。特に義姉のヒロインを演じる高峰秀子は。 義弟の加山雄三も出前のソバを食べても帰れば姉の手料理を食べたくなる。本当に食べたいもの、欲しいものはそれなのだから。 この頃からパチンコや麻雀だけで生計たてちゃう奴がいるのね。それすら出来なくなった人間は家族を残して簡単に首をくくってしまう。 冒頭で何かを心配そうに見つめていた義姉は、そんな義弟が無事に帰って来るのを毎日待ち続けているのだ。ちょっとくたびれた表情も見せる義姉。 義弟はそんな彼女を尻目に毎晩遊んだり警察の世話になっている。 後の若大将も劇中では筋金入りのニートな馬鹿大将。そんな男が、いつしか愛する義姉のため自分なりに働き始める。義弟を動かすのは家族を想う愛だけでなく、元々血の繋がらない“異性”に対する愛も強い。義姉も弟としてでなく、いつしか異性の“男”として心を許すべきかと悩みはじめる。前の夫の面影が、そんな彼女に中々ふんぎりを付けさせてくれない。 わざわざ寺に呼んでおいて「明日」などと言って焦らす。それを言うためだけに待ちつ待たせての寺での会話。 あれだけ焦らしておいて二人きりの旅館では「ああやっぱり」的な。霧の中を走る列車から、あえて時間のかかるバスや宿での宿泊を選んでおいてだ。 でも、その理由は弟が姉の本名ではなく最後まで“姉さん”と呼び続けたからでもあるのだろう。もし弟が姉を名前で呼び、彼女を本当に“女”として受け入れていたのなら・・・そんな事も考えてしまう。 諦める心、最後の電話、失って初めて“愛していた”と思い知らされる後悔。女はようやく愛しはじめた男を探しに駆けていく。身も心も、髪も乱して。
[DVD(邦画)] 9点(2014-10-11 01:52:11)
32.  ラ・ジュテ 《ネタバレ》 
クリス・マルケルによる傑作SF映画。  近未来の廃墟となったパリ。その地下で拘束される男が過去(観客から見た“現在”)と現在(観客から見た“未来”)を時間旅行する物語。 何処かディストピア小説を思わせる構成は、後の「12モンキーズ」にも受け継がれている。  「フォトロマン」と呼ばれる白黒のスチールを連続して映す手法(要は紙芝居(ry)は、後のゴダールや押井守の「紅い眼鏡」など様々な映画に影響を与えたという。  冒頭の空港と女性の記憶、目覚めればそこは戦争で廃墟と化した街。  実験が繰り返され己を失いそうになる主人公。彼は世界を救う救世主となるのか、それとも時の奴隷のまま終わるのか。  別の時代から来て出会う男女が見つめるセコイアの木。 このセコイアの木が「めまい」と「12モンキーズ」を繋げていく。 「12モンキーズ」では劇中の映画の中に「めまい」が出てくる。それぞれに共通する事は、全員脳味噌の中をぐるぐる掻き回されているという事だ。  鳥の膨大な鳴き声と共に目覚める女性・・・あのシーンにはどういう意味があったのだろうか。  博物館の幻想的な雰囲気・・・“凍った太陽とある女”の記憶で締めくくるラストは切ない。
[DVD(字幕)] 9点(2014-09-03 19:35:16)
33.  天使ガブリエルと鵞鳥夫人 《ネタバレ》 
イジー・トルンカによる聖職者が欲望に負け身を破滅させる様を描いた作品。  オープニングのアートアニメーションによる「お盛ん」な始まり方してヤる気満々です。  トルンカのアニメーションは恐ろしく滑らかであり繊細だ。 人形の表情はほとんど変わらない。だが、光の変化や効果的な音楽によって人形はまるで生物のように画面を縦横無尽に動き、観客が受け取る表情は千差万別に変化していく。  しかしトルンカもスゲエよなあ。何せ聖職者を天使の格好にしてまとめて“堕落”させちまうんだから。ガブリエルもとんだとばっちりだ。  股間のモザイク(笑)  聖職者が天使のマネで審判を下していく。 そんな聖職者が豊満なナイスバ(ry ・・・麗しい鵞鳥夫人の虜となる。男は禁欲を捨て、情欲へと奔る。しかし夫人のおっぱいは卑怯だ。もっと驚いたのは見開いた眼は本当に鳥みたいな眼!でも眼を閉じるとやっぱりスゲエ美人。  夜這いのシーンは面白い。 猫が発情する中、羽付けた天使が梯子をイソイソと登るんだもの。 夫人もなんてスケスケのエロい寝巻きでお出迎え。受胎告知(物理)。  美しい音楽が余計に笑いを誘う。  だが、情欲に溺れた天使を“天”は見逃さない。 家政婦は見た。  やがて天使は翼も衣類も捥がれ地の底に墜落する。この辺はヤケにサスペンスフルだ。  “天使”を匿うじいさんが策士&赤ん坊LOVEで憎めない。つうか赤ん坊ww  夫人が“天使”の羽を見てうっとりする中、肝心の“天使”は・・・なんてラストがお気に入りです。
[DVD(字幕)] 9点(2014-09-03 19:33:59)
34.  放送 《ネタバレ》 
テオ・アンゲロプロスの数々の傑作の中で、「放送(Εκπομπή)」は最も活き活きとした、短くも中身の濃い映画である。 たった20分でアンゲロプロス特有のロングショットとクローズアップ、そしてオープニングからブッ飛ばすように流れる軽快な音楽のハーモニーがとても心地良い一篇である。 ラジオ局の人々のやり取りや街頭インタビューを通して当時のメディアのやり方、メディアが作る虚像を暴こうとする試みが面白い。 途中である男がスーツを着て街中の広い道をポツリポツリと歩いていく場面、浜辺のカップルが車の中に入っていく様子をロングショットで収めた場面に、既にアンゲロプロスが居るのだ。道を歩いていく本人には目的地が見えているが、それを見守る我々が感じる言い知れぬ不安。彼は無事に目的地にまで辿り付けるのか、付けないのか。そういう見る者の心をかきむしり、ワクワクさせる映像がこの映画には既に存在しているのだ。 クローズアップでたまに映るギリシャ美人が可愛い。 アンゲロプロス本人は「初期の作品は失敗作」と語るが、「失敗」は成功の元、むしろその「失敗」と言われる逸品に刻まれた面白さを発見するのがファンの役目ではないだろうか。
[DVD(字幕)] 9点(2014-08-15 11:03:19)
35.  ハスラー 《ネタバレ》 
ロバート・ロッセンは数々のフィルム・ノワールの脚本を手掛け、自身も「ボディ・アンド・ソウル」という傑作を残している。 この映画も最初見たときはもう一押欲しいと思っていたが、再見して印象が変わった作品の一つだ。 ビリヤードに命を賭ける玉突き師(ハスラー)の生き様を描いた作品。 ビリヤードでのギャンブル生活に生き甲斐を感じる主人公は、ポーカーよりも競馬よりもビリヤード。 己の腕で玉を弾く快感に深酔していたと言って良い。 相手がマフィアだろうとゴロツキのたむろする酒場だろうと、女だろうと実力で何とかなると思い込んでいた。 実力は折り紙付きだが、思い上がるその性格は彼を孤独にしていた。 それが「痛い目」に何度も遭い、彼女の健診、或る賭博師との出会い、数々の試練を乗り越えて徐々に成長していく。 人間として成長していく彼だが、所詮ギャンブルは命を賭けた大博打。 一回でも手元が狂えば、身内すらも狂わせていく。 主人公は賭け事よりも大切な物を失ってしまう。 深い絶望、乗り越えた「試練」、吹っ切れた男にもう迷いはない・・・男は玉を弾く、弾く、弾く・・・。 ポール・ニューマンの挫折と成長を交えた人間像が良かった。 序盤は延々と玉突きの場面で、しかも飛ばし飛ばしと欲求不満になりそうなシーンが続いて少々退屈だが、徐々にエンジンが温めていく展開は良く出来ていたと思う。時折見せる華麗なショットも手伝って。 だけど、もっとポール・ニューマンたちのショットを、猛烈な特訓の成果をもっと映像で見たいなと思った。 シドニー・キャロルの脚本はフィルダー・クック監督の「テキサスの五人の仲間」で堪能した。 アレが面白かったからこそ「ハスラー」を見ようと思ったし、「ハスラー」から見ていたら恐らく「テキサスの五人の仲間」は見ていなかったと思う。 だが、この映画が本当に面白いのは「何度折られようとも挑み続ける不屈の精神」なのかも知れない。 挫折に次ぐ挫折で絶望の淵、諦めかけていたところに最愛の女性や師匠と呼べる男の支えもあって徐々に闘志を取り戻していく。 彼の“指”がそれを強く物語る。あの1本1本に彼の魂が宿っていくというか・・・。 束の間のピクニックのシーンは心打たれる名場面の一つです。
[DVD(字幕)] 9点(2014-08-01 23:21:16)
36.  絞死刑 《ネタバレ》 
「絞死刑」・・・タイトルを聞いただけで?と思った。どうやら“くびりころす”国(ひとびと) を描いた作品らしい。 実際に起きた「小松川高校事件」をモデルにした映画。  冒頭はドキュメンタリー風のタッチで、一人の人間が死刑執行される瞬間を描いていく。この頃から死刑制度が必要なのか不必要なのかが問われていたのか。 死刑を執行する人間は、これから罪を犯した“ケジメ”として殺される人間を見届けなければならない。首に喰い込んだ麻縄の跡も・・・。 人間が完全に死ぬまでをストップウォッチで計ったり、必死に諭して、飯まで食わせるんだぜ?酷い話だ。  大昔は磔とか、首を斬られた罪人をそのまま晒し者にして民衆の前で見せたそうだが、今の世の中そんな事はしない。殺される人間にも“人権”て奴が発生するからだろうか。  ところが、そこから事態は急変する。 一度しくじった刑を“殺り直す”って発想がまず思い付かねえよ。 記憶を失えば絞首刑(縊り殺す)が出来ない。 それでこれから殺そうとする人間の記憶を取り戻させようとする様子が何処かユーモラス・・・けど、ゾッとする。 法を破り人殺しもいとわぬ者、法を守って人を殺そうとする者・・・一体どっちが正しいんだろうね。劇中の人間のように、本当に笑いながら人を殺す相談をする奴もいるだろうよ。 つうか教育部長がウザイ。 人一人殺すのに愛情だの何だのと歪んでいるとしか思えない。  もし殺される奴が日本人の“K”で、殺す側が朝鮮の“R”の人々だったら・・・差別とかそういうものが立場によってがらりとひっくり返されたら・・・そう思うと怖くてしょうがない。ステレオタイプな差別描写が、より一層そういう事を考えさせる。  更に日本の男尊女卑の問題や宗教問題にまで踏み込んでしまう大島渚の大胆さ。 映画というジャンルで戦い続けた男のメッセージが刻まれた作品の一だった。  ラストシーンで検事以外の人間が見た“女”の姿。“R”は“R”である事を受け入れる・・・。  後味は悪いが、「儀式」と共に一度は見ておきたい作品だ。 この映画が嘲笑うものは、死刑制度、そして人間そのものに対する矛盾なんだろうね。多分。  俺は「少年」や「戦場のメリークリスマス」の方が好きだが、この映画は大島渚にしか撮れない最高傑作だ。
[DVD(邦画)] 9点(2014-06-24 18:06:50)
37.  砂漠のシモン 《ネタバレ》 
45分の高密度で撮られた一篇。 この話の流れそのものはかなり解り易い。高い塔の上に引きこもっているオッサンをただ引き摺り下ろすだけでいいのだから。 聖歌を歌いながら広い荒原を歩いてくる人々。冒頭はシモンを頼ってやって来る人々が彼を地面に降ろす。 求道者として人々の願いに応えるシモン。普段はずっと塔の上で日向ぼっこだ。食料は紐のついたズタ袋によって塔の上に運ばれる。実際のシモンは大も小も垂れ流しでもの凄い臭かったとか。流石のブニュエルもその“匂い”が伝わってきそうなほど汚い身なりにはしなかったようだ。服の下の脚はボロボロだけどね。 身体が欠損した人間は「忘れられた人々」等にも登場。両の手を求める人間は思い出したかのように手が戻り、ある者は泡を吹いてシモンの下を流れていく。 それにしてもドラムでドンドコやるのが好きだねーブニュエルは。  15分を過ぎた辺りから引きこもりvs悪魔による闘いが始まる。ここから時代設定とか色んなものがブッ壊れ始める。いや、彼にとって本当の“現実”は何なのか解らなくなり始めると言うべきか。 地上を通る人々の姿。鶏を追う老婆、シモンのために働く女と戯れる自分の幻、そして子供のようにはしゃぐシルヴィア・ピナル! 酷い歌詞を歌いながら輪っかを高々と掲げてリム回し(輪回し)を始め、漆黒のセーラー服?で迫り来る。 「ビリディアナ」ですらピナルは谷間だけ見せたが、今回は豊満なおっぱいとガーターベルトと太ももとパンティを惜しげもなく見せる。シモンを誘惑するために。 ヤギのおっぱいもビンビンですね。 おっぱいを見せたかと思うと瞬時にシモンの横に移動、長い舌を出し、スプーン?でブスブスッと刺す。 また次の瞬間にはさっきのピナルの帽子を被った全裸の婆さんが。誰得だよっ!! ウサギに食べ物を分け与えるのは、掌にとまった虫を潰さずに解き放つのは求道者としての自分を保つため。 シモンに従う女もまた謎が多い。さらっと蟻の巣を埋めるとか鬼かwww ゼウスが羊を抱えるのは蹴り飛ばすため、羊の毛で鞄を作るため、石を詰めて投擲するため、カエルは爆発するため。 今度は橋が倒れ、地面を走る棺桶から片乳出したサタンとして再びシモンの真横に現れる。そしてシモンにトドメをさすように飛来する翼が発する音・・・。 ラスト5分の踊り狂う人々の姿。果たしてどちらが本当の「シモン」なのだろうかアッー!(最後の絶叫)
[DVD(字幕)] 9点(2014-06-01 18:00:09)
38.  弥太郎笠(1960) 《ネタバレ》 
1952年の「弥太郎笠 前後篇」の3時間を90分にまとめあげてしまうマキノ雅弘の妙技。 これぞ股旅時代劇「弥太郎笠」の決定版。   いや、淀川長治さんが絶賛していた稲垣浩の「弥太郎笠(彌太郎笠)」がいつ発掘される解らない。 なので、現時点での決定版という事で。  この「弥太郎笠」こそマキノ映画の文字通り“祭り”のエネルギーが脈打つ代名詞的な存在だろう。  本当は旗本の御曹司である弥太郎は、武士社会に嫌気がさして股旅の渡世人としての人生を選ぶ。 序盤からテンポ良く惹き込まれるのはいつもの事だが、幻想的な祭りの場面の踊りは御曹司(エリート)としての踊り、歌、剣の腕前を隠し、武士ではなく一人の人間としてお雪と交流する。   かつて世話になった恩人のため、惚れた女のためにヤクザ一家との死闘を選ぶ弥太郎。   全身からエネルギーがほとばしる中村錦之助のパワー、 少しふっくらした感じだが町のおっとりした可愛らしさが美しい丘さとみ、 これを中心としたマキノ流アンサンブルが繰り返され心地良い。  日本の時代劇の面白いところは、殺陣が無くても話の面白さで見入ってしまうところだ。    いや、殺陣もあるからこそ更に面白い。  1957年の「浪人街」じゃ本当に火花散らす鍔迫り合いがあったし、本作も負けてねえぜ。  「血煙(決闘)高田馬場」も、 「次郎長三国志」も何処か狂気地味たフルスピードの斬り合いが強烈だった。 この映画も凄い凄い。  お腹一杯になる傑作です。
[DVD(邦画)] 9点(2014-05-31 11:52:38)
39.  不良少年(1961) 《ネタバレ》 
戦後の動静を一人の少年から見つめた、青春映画の珠玉の一篇。  海外でも寺山修司と共同監督した「初恋・地獄篇」で知られる羽仁進。   出演者は全員素人で、ドキュメンタリーの形を成したフィクション。 フィクションとはいえ、一人の少年が“不良”として少年院に入れられ出所するまでの時間は今この場で起きているようなリアリティに溢れる。  リアリティがあるが、少年への感情の移入は無い。 あくまでドキュメンタリーとして淡々に少年を追うのだ。 けれども、時間が経るにつれて優しく精気を取り戻していく少年の顔。恐喝や“可愛がり”、人々との触れ合いをを通じて変わる者、変わらずに再び犯罪の世界の行ってしまうもの。 少年院は彼らの通過点でしかない。  この物語は、そんな通過点で心が変化していく人間を丁寧に描いた作品のようだ。
[映画館(邦画)] 9点(2014-05-26 20:05:22)
40.  彼女と彼(1963) 《ネタバレ》 
まず、左幸子が若くて可愛い。初々しい彼女と、ヒゲ面の野性的な伊古奈との対比が効いている。左幸子はとにかく誰にでも優しい、伊古奈もまた粗野ではあるが本当は優しさに溢れた人間だ。東京オリンピックを前にした年、百合丘を舞台に穏やかな昭和ノスタルジーに浸れる作品。
[映画館(邦画)] 9点(2014-05-26 19:53:12)
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