381. わが母の記
《ネタバレ》 井上靖については殆ど何も知らないのと、認知症介護の体験もないので、多少バックボーンが弱いのですが、母息子に留まらず家族の物語としてテンコ盛で消化不良になりそうなぐらい(さすがに作中に『東京物語』を引用するのはやりすぎかと)。作家というのはもっと頑固で偏屈なハズだし、家族も善人ばかりなので、この辺は映画化でかなり美化されてるのかな?という気もしましたが、名家でかつ経済的余裕のある上流階級ってホンキの善人が多かったりもするので、原作未読だし、どこまでホントなのかはわかりません。母息子の物語は総じてマザコン系になりやすいのでその点を懸念していましたが、幼少期からの確執や姥捨て山もベースにもあり、安易なマザコン話にならなかったのは自分の家族を題材に小説を書く作家の冷徹な視線が寄与したのかなと。長いスパンでの家族の成長と共に相互理解していく脚本はキレイに収斂していくし、各役者はそれを上手く演じていたと思います(特に宮崎あおいはスバラシイ)。古きよき昭和の大家族でしかも金持ちの話で現代ではリアリティーがなく感情移入し難い所はありますが、実話がベースになっているのでそういうモノとして見るしかないのかと。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2015-05-09 16:21:49) |
382. 見えないほどの遠くの空を
《ネタバレ》 「今は幸せになって欲しくない。」かなり青臭いし、ちょっと説教臭いんだけど、やっぱ蘇り系は心打つな。死者からのメッセージは受け取る事が不可能だからこそ、説得力があるのかと思ったり。生きてる人間の想像でしかないし、願望を投影しているだけかもしれないが。この世に絶対はないし確かなものなどないが、そういう不確かなものを信じられるか否かという事なのかと。 [CS・衛星(邦画)] 9点(2015-05-08 13:15:23) |
383. マージン・コール
《ネタバレ》 紙屑を客に売れと命令する上司、仕方なくそれに従う部下。それだけの話で3流のサラリーマン映画。部下には多少の葛藤はあるようだが、元々そういう世界だし、他人のカネでギャンブルしてるくせに何を今更という印象。全然サスペンスになってない。登場人物が何も追い込まれてない。客に恨まれて、とんでもない目に会うのかと思ったら、騙して売りつけて、これで終わり???修羅場はこっからでしょうよ。 [地上波(吹替)] 3点(2015-05-07 13:24:58)(良:1票) |
384. かぐや姫の物語
《ネタバレ》 前半はハイジがロッテンマイヤーさんにシゴかれてるかのような展開。要するに、穢れた世でも「生きねば」って事でしょうか。ラストの来迎図は少々大げさですが、人間いつかは死ぬという事を訴えたいのでしょう。人によっては地獄行きなのかもしれませんが。 [地上波(邦画)] 5点(2015-05-03 20:37:06) |
385. ジョバンニの島
こちらも実話がベースのようだが、同じ島の占領をテーマにした少年物語でも『瀬戸内少年野球団』とは全く異なる内容。恥ずかしながらこういう歴史的事実があった事は何も知らなかった。子供向けらしいが内容的には結構重く、問題は現在も解決していないし、鑑賞後はちょっと凹むな。 [地上波(邦画)] 7点(2015-04-28 11:59:36) |
386. 麒麟の翼~劇場版・新参者~
真実を明らかにする事の是非がメインだと思うが、2組の父息子が和解できないまま別離してしまう不幸も隠れたテーマか。そもそも父息子が向き合うってかなり難しいし。 結果的に皆不幸になるだけの相変わらずの救いのなさだが、プール事件の対処をしっかりしておけばこうはならなかったわけで。 世の中隠し事だらけで、それで上手く回っているところもあるのだろうが、時には真実に向き合う事の勇気も必要なのかと。ミステリーとしてはツッコミ所も散見されるが、全体としてはよくできている。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2015-04-26 20:28:45) |
387. ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル
米ソ対立・核戦争とか、ちょっと設定が古臭いし、内容も殆どないけど、付き合いの浅い大学生がデートで見に行って「面白かったね~」と感想を述べ合う程度の作品にはなっているかな。(それ以上話が続くのか?という疑問も残るが・・・) [地上波(吹替)] 6点(2015-04-22 15:30:12) |
388. 最強のふたり
《ネタバレ》 下の方が書いておられるように、これは常識破壊者がやってきて上流・インテリの固定観念を揺るがすという点においては『男はつらいよ』そっくりだとは思います。寅次郎との違いは「粋」か否かですが、これは簡単に真似できるものではないし、仕方ないでしょう。但し、他の方が書いているように「足に熱湯」は仏ではわからないが、日本では受け入れられない感覚だし、笑えない部分もある(寅次郎はこういう事は絶対にしないだろうけど、寅次郎はKYだという理由で昨今の若者には毛嫌いされているという話もありますし、他の言動にも笑えなくなっている時代なのかもしれません)。 各々のエピソードがどこまで実話なのかはわかりませんが、実際には10年の付き合いだそうで、いろいろあったのだろうと想像します。映画として面白オカシク脚色して、負の部分は見せずにエンタテイメントとしてそれなりの綺麗な感動作品には仕上げているとはとは思います。「誕生日なんだから踊ろう!」という、車椅子の人の前で軽やかにステップを踏むある種の究極のKYシーンには心動かされるものがありました。 [CS・衛星(吹替)] 7点(2015-04-21 00:22:02)(良:1票) |
389. CUT(2011)
文学には純文学と大衆文学というジャンル分けがあって、文学賞も各々わかれています。映画に、純映画と大衆映画の違いがあるのかどうかわかりませんし、賞としてはわかれてはいませんが、内心そういうわけ方をしている人もいるでしょう。どちらが好みかは人それぞれでしょうけど、何もかも相対化してしまう事の危険性もあります。資本主義の世界ですから、売れればOKなのは確かでしょうけど、その事により劣化するもの・失うものがあるのも確かでしょう。ただし表現の自由は制限できないわけで、そこは批評によって対峙していくしかないのでしょう。製作者の訴えたい事はシンプルです。ただし、主人公にあのような事をさせる事が批評になっているとは思えないし、表現としてもかなり疑問は感じます。 [地上波(邦画)] 3点(2015-04-20 10:43:26) |
390. 半次郎
中村半次郎(桐野利秋)の存在については勉強不足で知らなかったので、こういう人が居たという事がわかった点ではよかった。が、教科書的な歴史については知ってはいるものの、内容的には駆け足過ぎて2時間では因果関係や背景がよくわからず、結果、西南戦争のスペクタクル作品でしかなくなっている。日本最後の内戦でもある西南戦争とは何だったのか?が殆ど伝わってこなかった。 企画者としての想いがあるのは理解できるが、親子ほども年の違う榎木孝明とAKIRAが同い年という設定はいかがなものか。榎木孝明は自身の年齢を考えて、ここは身を引くべきだったのではないか。榎木孝明と実際の主人公の年齢差が気になって、その事が終始頭から離れず、違和感を残したままになってしまった。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2015-04-17 12:47:02) |
391. キツツキと雨
息子と同世代の映画監督との交流を通じて、最終的には息子と和解していくという話なのだろうけど、ちょっと説明不足でわかりにくい。息子の存在感が監督に比べて弱いし。「映像で感じろ」という事なのかもしれないが、もう少しストーリーに抑揚があってもいいような。ちょっとアッサリしすぎてるし。父子の葛藤ってこんな簡単なものではないし、そう簡単に和解できるものでもないでしょう。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2015-04-16 10:35:56) |
392. はじまりのみち
どこまで事実なのかわからないが、ちょっと話がデキスギなような気もする。音楽や映像も戦時中を感じさせない。ロングショットの宮崎あおいの不満そうな態度・表情はよかったけど。 言いたい事は木下作品への賛辞のみならず、人間の喜怒哀楽も自由に描けない時代の窮屈さへの反論と、表現の自由の堅持へのメッセージなのかなと。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2015-04-14 23:18:23) |
393. カラスの親指
原作は楽しめたのだが、映像化されるとここまでテンポが悪く、原作にあった躍動感・疾走感がなくなってしまうものかなあという印象。配役も総じてよくなかったかな。道尾秀介は売れっ子作家のワリには映画化されたのはこの1本のみで、映像化しにくい作家なのかなあと思ったり。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2015-04-05 14:39:36) |
394. ジャッジ!
説教クサくてコメディーになってない。トヨエツは面白いけど。トヨタのCMは石田徹也のパクリって感じでどうなの?って思うが。 [ビデオ(邦画)] 4点(2015-03-28 12:46:42) |
395. スリーデイズ
ドンキホーテを引き合いに出して、「理性より正義。それが独りよがりだと狂気。が絶望に生きるよりマシ」というコンセプトはいいいんだが、内容的にはご都合主義的逃亡劇。 [地上波(吹替)] 5点(2015-03-27 10:00:57) |
396. 婚前特急
バカ女が崩壊していく様を演じきった吉高の存在感はピカイチで、彼女なしでは成立しない作品。とんでもない女優だ。朝ドラ女優の杏との競演も見ものではあったが、杏が霞んで見えるほど。ただし脚本が終盤に失速してしまったのが残念。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2015-03-25 12:40:49) |
397. 武士道シックスティーン
《ネタバレ》 「見つけてくれてありがとう」の台詞に感動。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2015-03-24 12:20:57) |
398. しあわせのパン
《ネタバレ》 「明日もこのパンが食べたい」と自死を思いとどまる老婆。食欲≒生命力なのかなと。エンディングの清志郎には泣けるが、作品全体としてはイマイチか。でも、原田知世の存在感には独特のものがある。大泉はミスキャストかな。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2015-03-22 20:19:00) |
399. ツレがうつになりまして。
うつ病に関する説明とその対処がうまく描かれており、ある種の啓蒙的作品になっているし、夫婦愛も嫌味なく表現されているのは2人の演技の力だろう。作中ではあまり主張していなかったが、2人の関係・夫婦の相互理解には宗教的な要因も大きいのかなという気はする。本作品では家族間での解決がメインであったが、実際には頼れる家族がいない人も多いだろうし、公的なサポートも必要なんだろうと思う。気をつけなければならないのは、会社を辞めてしまうのは明らかな間違いであるという事。まずは休職で様子を見るべき。ここはエンドロールでハッキリさせておくべきだろう。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2015-03-20 13:31:43) |
400. アンナ・カレーニナ(2012)
この手の話も21世紀では何も珍しくもなく、人間の欲望をお上品に描いたところで新しさもなく。作品的にはよく言えば現代的、悪く言えばノリが軽い。全体的にちょっとミスキャストの印象も。まだ、ソフィーマルソーの方がマシかな。それとも吹き替えで見たのがいけなかったのか。 [CS・衛星(吹替)] 4点(2015-03-20 11:11:06) |