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ミスター・グレイさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 565
性別 男性
自己紹介 三度の飯より映画好きです。どうぞよろしく。
※匿名性ゆえの傲慢さに気を付けながらも、思った事、感じた事を率直に書いていますので、レビューによって矛盾が生じていたり、無知による残念な勘違いや独善的で訳分らん事を書いているかもしれませんが、大きな心でお許し下され。
※管理人様、お世話になっております。
※レビュワーの皆様、楽しく読ませて頂いております。

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401.  コングの復讐 《ネタバレ》 
何故か息子サイズになった敵を常に仕留め損ねるコングの息子はなかなか愛嬌がある。が、前作と比べると話は続編でもパイロット版のような出来で、まさにコング同様に大人と子供で雲泥の差がある。デナムが主役、秘宝、原住民の扱い(涙もん)、最後に何故か島の一番高い所にいるというご都合主義、もうプロットからしていい加減にも程がありホントに同じスタッフで作ったのか甚だ疑問に思う。だが製作年を見ると納得で前作のヒットに嬉々として大慌てで作り、よほど時間が足りなかったのだろう。ついでに内容と全く合致していない邦題もかなり適当である。・・・だけど、一つ新発見。息子が居るということは必然的に母親が居るということで、キングコングにはアンにうつつを抜かした罰が下ったということだったのか!?
[ビデオ(字幕)] 5点(2007-01-09 18:10:40)
402.  不思議惑星キン・ザ・ザ 《ネタバレ》 
クー、クークー!あっ、いかん、完全にキン・ザ・ザにはまってしまってキン・ザ・ザ星雲語?でレビューしそうになってしまいました。いや~当初はイタイ作品かと思っていたら最高じゃないですか。稀に理屈なしで無条件に好きになる作品がありますが、まさにそれですね。  キン・ザ・ザのデザインの秀逸なこと!これはちょっと天才入っていますよ。地球社会におけるお金のようにカツェ(マッチ)が全てであるのも笑えます。おじさんの〝地球では人の上下を見た感じで判断する〟という台詞がありますが、これも結局のところキン・ザ・ザと同じ事です。人種差別はもとより、人物情報が十分でない限り、どうしたって服装や身につけたもので判断します。そして基本的に身なりには財力が反映します。ステータスだとばかりにブランド品を纏う日本人には理解し易い事じゃないでしょうか。未開人めと罵倒するキン・ザ・ザの人々が愚かに見えるのは巡り巡って地球人に対する皮肉。それでも付き合っているうちに助けてあげたくなってしまい、植物にするのは酷だと抗議するのはやはり地球人擁護なんでしょうね。当時、多民族、社会主義国家であったソ連にとっては資本主義社会を描いた斬新な作品だったと思います。 ・・・ところで道端で回転ランプのついた車が通ったら「クー」やってみて誰かが「クー」って反応してくれたら相当嬉しいでしょうね。まぁ率先してクーする勇気は持ち合わせておりませんが…。最後になりましたがキン・ザ・ザに向けて一言。クー、クークー、クー!・・・・・・キューって言わないで下さい。賛辞なのですから。さすがに字面じゃ分らないですかね。だったら態度で示します。9点献上。だからキュー点じゃないって;。
[DVD(字幕)] 9点(2007-01-05 18:30:26)
403.  新・平家物語
冒頭の市中を写すカメラワークの見事さや、視覚に迫る圧倒的な美術、僧兵や市民に至るまで活気のある人物描写は凄い。だが、肝心要の清盛の描写にはやや不満が残る。清盛という人物は不運にも『平家物語』の印象により世間での評判があまり宜しくないが、実際、権力手中後は武家より公家寄りになったのも事実。本作では若かりし頃までしか描かれていないとは言え、武士として打倒公家に闘志を燃やすエネルギッシュな姿を全面に押し出しているだけでは、いささか単純過ぎるように思え違和感を覚えずにはいられない。もちろん続編ありきで、その後の凋落した姿との対比としての清々しさなら一向に差支えないどころか、寧ろ望むべきものであるが本作のみの一本ものだと深みの無い人物にしか思えない。当然個人的な歴史観が入り混じった視点と思うが、私にとってはこの清盛像は消化不良なのである。
[ビデオ(邦画)] 6点(2007-01-05 18:07:23)
404.  ブロークン・フラワーズ 《ネタバレ》 
刑事ナッシュもといドン・ジョンソンもといドン・ジョンストンは無気力、無口、無表情で劇中一切笑顔を見せなければ怒りもしない。さらに一財産築き昔はプレイボーイという設定。そんな捕らえ所の無いキャラクターだがビル・マーレー(最近どんどん良い俳優になってる!)が演じているせいか何処かトボケていて可笑しく、情けなくてそのうえ哀愁を感じさせる。作品自体も相変わらずのハイセンスさで、手紙のピンクの象徴が象徴を生み出し憶測が憶測を生んでいく母親探しもなかなか面白い。だが、映画はヒントを散りばめながらあらゆる答えを出さない。彼女のうちの誰の息子なのか、ただのイタズラだったのか、それとも思い出し忘れた別の女の息子なのか…。さらにサンドを奢った男が息子なのか、カルバンクラインのモデル風の男か、ジャージを着たむさい男か、それとも全く別にいるのかいないのか…。またドンは過去の栄光にすがるようにドン・ファンの映画を観ながらソファーでダラリのカウチポテト的生活から脱却できるのか…。そしてブロークン・フラワーズとは他人から見れば微妙な生活を送るドンの昔の彼女たちのことなのか、それともドン自身のことなのであろうか…。答え欲しがりの私としてはこの結末はハッキリ言って消化不良でないわけではない。しかしこの旅でドンはある意味彼女たちの〝過去〟(思い出)と〝未来〟(過去からの変化)と〝現在〟(現状)を目にしたとも思う。過去よりも未来よりも現在が大事だと悟る旅は自照の旅でもある。自分の人生、時の流れを我に返って感じさせる本作は観ると何だかとっても胸が詰まるのである。
[映画館(字幕)] 8点(2007-01-05 18:02:39)
405.  ビーン
うわっ~えらい低評価!まぁ予想通りで私の周囲の人々も酷評しております。しかし…困った事に?私はゲラゲラ笑ってしまったのですよ、ええ。それでもこの映画を面白いと言うと人格が疑われそうなので大笑いしたことは機密事項にしています。でもここでは勇気を持って叫びたい〝おもろいぞっ~ビーン!〟。確かにTV版とはかなり違います、と言いますかシーンだけを切り繋げた全くの別物です。ビーンが言葉を発するのはもちろんですが彼の人格そのものが異なります。TV版では悪意とは言わないまでもイジワルするような皮肉めいた騒動でしたが、映画版では偶発性の事故による騒動となっておりホームコメディの無垢なる愚者となっています。それでもいくつか笑いのツボだったのですよ、はい、抱腹絶倒ものだったのです。…疲れていたのかもしれません;。しかし洋画コメディでこんなに笑ったのは数えるほどしかないのです。という事で、このたび初めて匿名性という強大な力を借り公の場で好評価をつけさせていただきます!
[ビデオ(字幕)] 8点(2007-01-03 15:52:04)
406.  ガスパール/君と過ごした季節 《ネタバレ》 
登場人物は誰もが不幸な境遇にありますが、それを感じさせないほど温かい視線で描いています。困っている人を見ると助けずにはいられない人の好いロバンソンと、損だと分っていながらも結局助けてしまう性質のガスパールの優しいコンビは好感が持てます。鼠小僧よろしく盗みを働くシーンですら、金目の物を盗むんじゃなくて食料を盗むので笑えます。捨てられたおばあちゃんもTVで活劇の死亡人数を必死にチェックするというぶっ飛んだ趣味を見せ、元気の良さが伝わってきます。このおばあちゃんを演じた女優さんも素敵です。全く身寄りのない欠けた者同士が集まって肩寄せ合って一つの家族のようになるハートフルな物語ですが、最後にロバンソンを思うガスパールの気持ちが「泣いた赤鬼」の青鬼みたいで泣かせますね。役者さんたちは全く無名?ですが、雰囲気は抜群です。ところで彼らは日頃「元気?」と尋ね合います。久しぶりに会った訳でもなく常に一緒に居ても尋ねるのはきっと良い事ですね。照れ臭いけどいつか実践してみたいです。
[ビデオ(字幕)] 8点(2007-01-03 15:48:34)(良:2票)
407.  レオン(1994) 《ネタバレ》 
殺し屋なのに子供のように純粋なレオン。12歳の少女なのに大人のようなマチルダ。警官なのに悪人のスタンフィールド。この本来あるべき姿とは対照的な人物設定が面白いです。そして、レオンとマチルダの男女とも親子とも言えないような危うい愛が斬新です。出会う前のレオンとマチルダの生気の欠けた姿と、霧吹きを掛合う生き生きとした姿のコントラストに愛の力を感じ、スタンフィールドがトイレに隠れている場面で死の恐怖を覚えゾクゾクします。クライマックスの銃撃戦は驚くほどスタイリッシュであり、別れの場面は目頭が熱くなります。ラストのマチルダの強そうな姿と、レオンの分身とも言える鉢植えを大地に植えかえるシーンも、悲しいながら一筋の光が差すようで良いですね。絵的に素晴らしい場面もいくつもあります。そして帽子や眼鏡などの小道具、雰囲気、エリック・セラの曲、スティングのエンディングテーマも全部素敵です。私の中では現時点(投稿時)で、ベッソン監督、ジャン・レノ、ナタリー・ポートマン、ゲイリー・オールドマン、「エッ~ブリワ~ン!」(byゲイリー)のベストワークです。特にゲイリー・オールドマン。スタンフィールドの狂気の演技に魅了され、その後出演作を片っ端から観ましたがこれ以上の彼にまだ出会えていません。
[ビデオ(字幕)] 10点(2006-12-31 23:13:43)(良:1票)
408.  リトル・ダンサー 《ネタバレ》 
ダメ親父なのかと思ったらイイ父親だったり、別れ際に兄が「寂しい」と言ったのが聞こえなかったりするのはドラマとしてはお約束なんですが…ついついその世界にはまってしまいました。 父親は昔気質の男。女のバレエを始めたビリーはまさに現代っ子。その新旧二人の男が力合わせて一つの夢に向かっていく姿が感動的です。本作は新世代のビリーの夢を応援しつつも、男の時代の終焉で時代遅れとなった旧世代の父親を魅力的に描く事によって新旧ともに肯定しています。そして新旧の二人が実は似た者親子だったりするところが憎い演出です。バレエに一心不乱に打込むビリーとロンドンには鉱山がないからと外界へ出た事のない父、というように一つの物事に熱中するところや、女ばかりの中でバレエ、四面楚歌の状態覚悟でスト破りとたった一人でも思いを貫徹させるところ。タイプこそ違えど二人の親子性が微笑ましいです。  それからイギリス人の友人がいる訳でもないので確証はありませんが、イギリス人と日本人の感覚は似ていますよね。頑固なところや変に意固地なところ、思った事を素直に表現できない照れ屋なところや、それでも家族を想っているところ等々、だから共感し易いのだと思います。『トレインスポッティング』『フル・モンティ』と90年代中盤から復活したイギリス映画、英国好きの私には嬉しい限り。これからも良質の作品を送り出して続けてくれっ!
[ビデオ(字幕)] 8点(2006-12-31 23:02:43)(良:1票)
409.  妻よ薔薇のやうに 《ネタバレ》 
「タクシーに乗ろう…」「歩こう…」などの何気ない会話から夫婦に生じた僅かなズレが感じられます。亀裂が生じるのは大きな出来事よりも小さい出来事の積み重ねの方がはるかに多いのかもしれません。再びいくら一緒の時を過ごしても修復することはありえない夫婦関係がシビアに描かれています。芸術性の高い立派な妻と痒いところに手が届くような愛人のお雪の対照的な女性像が男女の仲を端的に、父親と母親の対比が人間性を明確に示しています。父親は完全にダメ男ですが母性本能をくすぐられるのかこういう男に女性は意外に弱いですよね。男は男で貧乏してでも一緒にいられればそれで良いと言うお雪のような女に弱いです。世間的および倫理的に考えれば本妻のもとに残るのが道理ですが、妻と愛人だけでなく父親を愛する三人目の女、娘の君子の一歩離れた視点から見せることにより、愛人のもとへ帰るのが妥当な選択と思えてしまう結末。君子の最後の台詞〝お母さんの負け〟が悲しく胸に響きます。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2006-12-30 23:25:47)(良:1票)
410.  シャンプー台のむこうに 《ネタバレ》 
たかが髪、されど髪。理髪師として髪を生業にしてきた彼らにとっては〝されど髪〟。シェリーの髪が病気で無くなっているという設定が皮肉だが、それが〝たかが髪〟となり家族の大切さというテーマを明確にしている。一つの目的を皆が力合わせて成し遂げることにより家族の絆を取り戻すというベタベタな展開だが、熱くなり過ぎない淡々とした感じが心地良い。コンテストのヘアスタイルはカツラで隠したいというほどぶっ飛んでいるのが何とも可笑しい。そしてクリスティーナがブライアンに応えるように女の命とも言われる髪をバッサリ切り落とす姿がいじらしい。イギリス発らしい不器用な愛と皮肉のきいた家族劇だ。それにしても、襟足を見て〝フィルの仕事だ〟って殺し屋ですか(笑)。
[DVD(字幕)] 7点(2006-12-30 23:19:00)
411.  現金に体を張れ 《ネタバレ》 
古い作品で話も入り組んでいるようで割と単純だが、実にテンポが良く簡潔で面白い。自分も一味に加わったよう気分になり僅かな読み違いのために起こる惨劇に目を白黒させてしまう。やはりどんなに用意周到なものでも悪事は露見してしまうのですね。ジョージの狂気っぷりや、お金が空港で舞い散ってしまう場面などは秀逸ですよ。タランティーノやその後の数々の映画に影響を与えたのも頷けます。それから坊主でがたいの良いおじさん、メチャメチャつえ~。
[ビデオ(字幕)] 7点(2006-12-30 23:14:36)
412.  群盗荒野を裂く 《ネタバレ》 
予備知識なく観たものですから題名からしてメキシコ革命時代の強盗アクション娯楽作品かと思っていたのですが、思いのほか力作でしたね。開始直後からの列車襲撃シーンにあっという間に引き込まれてしまいました。物語の主人公、盗賊団の頭チュンチョと若いアメリカ人のグリンゴ(外国人の意)を対比させた人物描写が実に上手く興味が湧いてきます。彼らは政府軍を襲撃し革命軍に売るための武器を奪っているのですが、様々な出来事におけるそれぞれの対処法を見せる事によってチュンチョの人間臭さやグリンゴの非人道的さが露になっていく過程が見事です。そして最後のチュンチョとグリンゴのやりとりが素晴らしい。理由など分らずとも対称的な人間である者の思想が一致しない事を思い知らされ、人間の根源的で大切な部分を呼び起こされます。すっかりもとのチュンチョに戻り最後にパンではなくダイナマイトを買え!と叫ぶ生き生きとした姿がとても印象的です。それからどうでもいい事ですけどチュンチョを見ていると三船敏郎を思い出します。
[ビデオ(字幕)] 8点(2006-12-30 23:12:16)(良:1票)
413.  子供たちの王様
こういう作品を観ると教育について真剣に考えてしまいます。ただでさえ教育というものは正解なんてないから難しいのに未整備だと猶の事です。確かに最低限の知識を詰め込む事は大事かもしれませんが、教科書や辞書をそのまま書き写すのは教育とは違うと思います。しかし、ではあの環境下で何を教えれば良いのかと問われると答えに窮してしまいます。ですから主人公の最後のメッセージが胸に響きます。 実際の当時中国の実状や学校の授業風景は知らないけれど、この映画を観る限りでは酷いですね。生徒に教科書もなく唯一ある先生のもボロボロ、何度書いては消したか分らない黒板はかなり汚い。しかし、そんな世界でも子供たちの元気な姿や教室の隅々までされた落書き、主人公の笑顔や仲間たちの笑顔、王福の父親の笑顔などを見ていると人間のたくましさや温かさ素晴らしさが伝わってきます。 
[DVD(字幕)] 7点(2006-12-30 15:38:56)
414.  最後の恋、初めての恋 《ネタバレ》 
大きな障壁にぶつかった時、極端に分けると自身を憐れんで前進できなくなる者と、出来る限りの中で最善を尽くす者の二通りいると思います。後者の道が正しいのは分っているけれど精神的に強くないとなかなか難しいです。前者であった早瀬が後者であったミンに触れる事により生きる力を取り戻していく姿が静かにですが、確かに描かれています。そして二人が想いを寄せ合い永遠を見つけるという物語ですが、この死によって成り立つ永遠の愛に哀しさを覚えます。写真の記録は二人の時間の凍結を表しているようであり、早瀬とミンの仲睦まじい様子が場面を切り取ったように描かれるのは、死が切迫する中で一分一秒の時を大切に重ねる姿を鮮やかにしています。病床のミンのもとに置き去りにした早瀬のスーツやミンの植えた美しく咲き誇る花が、それぞれの象徴的役割を果たしているのもさり気ない演出で好感度が高いです。 それにしても心優しくて清楚な知的美人で、そのうえ儚いときたら惚れるなと言う方が無理です。シュー・ジンレイですか~、全く存じない女優さんですけど綺麗ですね~。渡部篤郎さんも好きな俳優さんなのでちょっぴり点数はオマケしてます。
[DVD(字幕)] 8点(2006-12-30 15:33:17)
415.  ローラーとバイオリン 《ネタバレ》 
ローラー車の運転手セルゲイとバイオリン弾きサーシャの互いの胸に抱く別世界への憧憬が詩情豊かに描かれています。サーシャがローラー車の運転に夢中になるシーンやセルゲイがバイオリンの音に恍惚とするシーンに、労働者階級と資本家階級、別世界の住人同士の親交の新鮮さが感じられます。全く別次元の代物なのにローラーもバイオリンも棒を引いて扱うという共通項があると思うのは考え過ぎでしょうか。サーシャが子どもだからという理由でローラー車に憧れているのではないことは、音楽家と言ってバカにする他の子たち(彼らもおそらく労働者階級となる)がバイオリンに憧れていることで証明されています。しかし憧れを抱いても両者とも自らの境遇に不満があるようには描かれていません。セルゲイにバイオリンを弾いて見せるサーシャは誇らしげであり、セルゲイの働く姿は勇ましく写っているのです。ただ両方を手に入れるのは土台無理な話で結局、人生は無いものねだりなのでしょう。そんな交われぬ異世界の一時的交流が温かい目線で描かれています。
[DVD(字幕)] 7点(2006-12-29 17:16:11)
416.  ヴェニスの商人 《ネタバレ》 
『ヴェニスの商人』はユダヤ人を差別しているという見解があり、今作ではシャイロックをいわゆる〝悪役〟にせず悲劇の面もしっかり描いています。しかし、それが逆に鑑賞後の後味を悪くしてしまっています。シャイロックは確かに慈悲や情けと言ったものとは無縁だったかもしれませんが、それだけで信仰すらも失ってしまうのは観客として納得がいきません。ましてユダヤ人だからという理不尽な理由で酷な仕打ちを受けてきた彼の苦悩が描かれていれば猶の事です。その上、演じるのはあのアル・パチーノ。彼は善悪問わず悲劇的な役でオーディエンスを共鳴させてしまう第一人者でありシャイロックに荷担せずにはいられません。となると、ポーシャ側に素直に感情移入など出来る訳も無く、さらに指輪遊びがしっかり描かれると、人生を失ったシャイロックの悲劇が一層強調され物語自体が腑に落ちなくなってくるのです。唯一の救いはシャイロックの娘ジェシカがシャイロックから貰った指輪をしていたシーンを用意した事ですね。拠り所を失い、一人佇むアル・パチーノの悲しい目が忘れられないです。 出演者は皆実力派でヴェニスの街並みも良いのでクオリティは高かったんですけどね。
[映画館(字幕)] 6点(2006-12-29 16:43:33)
417.  ダウン・イン・ザ・バレー 《ネタバレ》 
車が激しく行き交う交通量の現代と過去の遺物のようにテンガロンハットを被りカウボーイの出で立ちをするハーレンの対比は極めて明確ですが、物語自体は不明瞭な部分が多いです。憑かれてしまったようにウェイドを敵と確信し行動を抑制できないハーレンの姿に何かを感じるほど背景が描かれていないのですから。それでもトーブを撃ったもののロニーを救出しようとした行動にはハーレンの信念が窺えます。おそらく西部劇のヒーロー気取りで現代社会に巣くう病を敵視し、愛するトーブを守るという使命をえて実際に制裁を加えようとしている。その姿には恐怖を覚えます。我こそが正義と常軌を逸してしまったハーレン自身も現代社会の副産物であり病の一部としているのでしょうが、自称でも正義を異常に描くことにより逆に世の中の腐敗を表現しているとも考えられます。前半の甘いラブストーリーから一変する後半の狂気。鏡に銃を向けるシーンなどもあり「タクシードライバー」を彷彿させます。
[映画館(字幕)] 6点(2006-12-29 16:40:51)
418.  禁じられた遊び(1952)
私は基本的に同じ映画を複数回観ます。ですが本作はナルシソ・イエペスのギターメロディを聴いただけで、もう涙腺があぶないので二度目が観られません。
[ビデオ(字幕)] 7点(2006-12-29 16:39:18)
419.  蜘蛛巣城 《ネタバレ》 
シェイクスピアの『マクベス』を翻案した本作ですが、見事に日本風にアレンジされています。野心や強欲から身を滅ぼしてしまう愚かな人間。物の怪に唆された訳でもない、ただ心の底にある願望が実現すると言われただけで足を踏み外してしまう様が恐いほど鮮明に描かれています。そんな人間の心理を演じる役者さんが素晴らしいですね。三船敏郎はもちろん、それほど乗り気でない武時に対して、山田五十鈴さん演じる浅茅が無表情で冷酷に指示する姿が不気味です。『マクベス』の「女から生まれた人間に殺されない」というのは省き、最後の壮絶な絶命シーンにしたのは、舞台では到底できない映画ならではの演出ですね。矢の雨の中、目をひん剥いて逃げ回る三船敏郎の強烈さは見物です。冒頭ではまるで昔話を始めるかのように、終りでは無常観が余韻となるように写る城跡も雰囲気を醸し出します。ただ惜しむらくは何を言っているのか聞きづらい事。やや人物関係が入り組んでいるので、誰と戦をしているのか一回観ただけでは良く分りませんでした。
[ビデオ(邦画)] 9点(2006-12-28 18:20:02)
420.  椿三十郎(1962) 《ネタバレ》 
「用心棒」に引き続き化物級の働きで事件解決してしまう〝何ちゃら三十郎もうすぐ四十郎だがな〟。やはり三船敏郎が素晴らしいというか凄過ぎて圧倒されます。今回はその三十郎と、頭は足りないが真っ直ぐな若侍とのコントラストも室戸半兵衛との一騎討ちも見所ですが、私は奥方との関係が何とも好きですね。まるで正反対の人間である二人が、お互い一目置いていると言いますか認め合っている様子が随所に表われています。奥方は三十郎のような鋭い切れ味はなく抜き身の三十郎を〝よく切れる刀〟と称し鞘に収め最高の刀にし召抱えたいと考える。そして危ないほどにギラギラしている三十郎には奥方のような品格が備わっていず、立派過ぎる奥方の前では居心地が悪く借りてきた猫のようになる。このキャラクターの造形と対比はシンプルですが、対極にあるからこそ互いに持ち得ない魅力に惹かれ合うという普遍的な事を面白おかしくも美しく描いています。奥方たちが合図は赤い椿だ白い椿だと緊張感のかけらも無い呑気な議論をしている間、三十郎がイライラを隠せず仮名をなぞるシーンなど笑えます。しかし何と言っても奥方のため三十郎が踏み台になる場面が秀逸ですね。
[ビデオ(邦画)] 9点(2006-12-28 18:16:23)(良:1票)
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