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K&Kさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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421.  黒い十人の女 《ネタバレ》 
夜道を歩く女。その女を追い掛ける女。と女と女と女と・・・何だこりゃ?幽霊まで出てきた。こういうシュールな画は大好きです。 逢引きの部屋の押し入れから出てくる女。と女。バチバチ火花散る女の争いに、そんな事どこ吹く風な男がひとり。女との関係を巧妙にひた隠してきて楽しんでたわけでなく、来る者拒まずで、気がついたらこうなっちゃってたんだもん、仕方ないよ~。  十人の女の中で、中心になるのは五人。女たちの名前と人数の関係は見てる時は気が付かなかったけど、そうだったのかぁ。 でも十人どころじゃないっぽいのは、設定的に良かったのか悪かったのか、風と危うく関係を持ちそうになった新人女優が百瀬。ってことは、他にも重市から九十九まで居たのか?なんて勝手な想像が膨らむ。  話し合いの結果十人の女に殺される事になるなんて、男冥利に尽きるというか、きっと男の理想の最後だろうね。 いよいよの殺人の舞台、テーブルに一列に並んで座る女たちの画もシュール。 問題は殺されて(狂言)から。まさかの自殺者、まさかの離婚、まさかの飼い殺し、まさかの9,000円カンパ。 男の生き甲斐が仕事だったのが、可愛そうというか何と言うか…  最後の燃え盛るトラックと無関心の市子。明日のトップニュースになりそうな横転事故より、社会的に抹殺された無価値な男を、骨の髄までしゃぶり尽くすのが女って生き物だよ。って言いたいのかと解釈。
[インターネット(邦画)] 6点(2022-05-29 15:00:31)
422.  ミッション:インポッシブル/フォールアウト 《ネタバレ》 
-Fallout- “落ちる”。降下、飛び降り、墜落、滑落。文字通り落ちまくるイーサンさん。 シリーズ5作目の“ローグ…”に直結した続編で、登場人物、組織、置かれている状況など、前作を観ておかないと結構置いていかれる内容。方向性も前作の流れを引き継いでいて、トムの体を張ったアクションが売り。もう“現代版スパイ大作戦”とは言いにくい作品。  2のレビューで『続編制作に至ったリサーチしたの?』って(偉そうに)書いたけど、どうも『トムが体を張ればウケる』って思われてるらしく、その辺りが現代版スパイ大作戦を求める層と、考え方が乖離している原因に思えた。 制作側がそう考えたターニング・ポイントは、きっと4作目のブルジュ・ハリファ・クライミングだろう。スタントなしの壁登りは確かに凄かったし、4のアクションシーンの目玉だった。だから単純に“ブルジュ・ハリファがウケた”ってリサーチしたのかもしれない。4はストーリーも面白く、登場人物も魅力的に描かれていたのを置き去りにして。  リサーチ結果がそうなると、次作以降それを超えるアクションを入れなきゃと勘違いし、5では飛行機しがみつき、高速バイクアクション。本作ではスカイダイビングやヘリ操縦と、まるで体感型アトラクションのような構成になってしまった。 ストーリーはまるでクレイグ・ボンドのスペクターのような組織と、在り来たりな核爆発阻止とカウントダウン。『IMFってこいつらしか居ないのか?』って思うくらいメンバーも変わらず。動ける新キャラや新しい設定を排除して、純粋に体感アクションを楽しむための構成に思える。だけど147分という長時間と、人名が飛び交う説明セリフが多く、結構ダレる印象を持った。トムの激走とベンジーとのやり取りは、ちょっとホッと出来る清涼剤だったわ。  過去作でも高速鉄道、フリークライミング、車のリアガラス破壊など、トムの手に汗握るアクションはあったけど、それは物語を盛り上げる要素・調味料のような存在だった。前作・本作では調味料が全面に出すぎているような、そんな印象で、素材の味がスッカスカに感じる。 1,3,4がミッション・インポッシブル・シリーズ。2,5,6はイーサン・ハント・シリーズってイメージかな。 5,6のアクションは凄いんだけど、この流れだともう、私の好きなM・Iの続編は期待できないのかなって、残念にも思う。
[ブルーレイ(字幕)] 5点(2022-05-29 12:40:45)
423.  サスペリアPART2 《ネタバレ》 
-PROFONDO ROSSO- “深い赤=深紅”でしょうか? ホラーなんだけどサスペンス色が強く、同じ監督、同じゴブリン音楽だし、ヒット作サスペリアを名乗りたくなる気持ちは解る。サスペリアと無関係と知らずに観ていたら、オープニングの雰囲気から徐々に『・・・なんか違う』感が充満して、映画に没頭出来なくなるかもしれない。  サスペンスとしてはいまいち引き込まれなかったけど、鏡のトリックは秀逸で、最初見た時たしかに『いまなんか違和感感じた、もっかい観せて』って思った。巻き戻しはしなかったけど、その時感じた違和感に答えがあったのは、あの一瞬で私の記憶にトリックを上手く残せてたわけで、やっぱ上手い撮り方なんだろうな。 当時のイタリアの夜の街並みを、人の目線で観せてくれるから、その場に居るような雰囲気と空気感が感じられてとても良い。 異常に怖いに怖い歩く人形。あれ足がブラブラしてるから、部屋の端から端へ細いロープとかを張って、そこを頭のゼンマイで進むんだろうか? 喉に針刺された緑のトカゲが可哀想。謎の犬の喧嘩は、偶然撮れたから使った?  ヒロイン・ジャンナがかなり可愛いく、キャラが立っている。愛車がポンコツのチンクエチェント。グローブボックスに酒の小瓶。腕相撲でインチキ。自分から家に誘っておいて逆ギレ。2人で車の屋根から降りるの、滑稽でとても良い。顔つきからは想像できないけど、'75年の映画でこんなアニメのキャラみたいなヒロインを出していたのに驚いた。 PART2ってタイトルがどうしても引っかかるけど、先入観無く観たら、サスペリアと甲乙付け難い作品かも?
[インターネット(字幕)] 5点(2022-05-24 20:58:18)
424.  サボテン・ブラザース 《ネタバレ》 
-¡Three Amigos!-“親友3人衆”とかですかね? 最初の ¡ は逆感嘆符といって、強調を表しているそうです。 いやぁ、アミーゴって兄弟じゃなかったんですねぇ…サボテン・ブラザーズってタイトル、馬鹿っぽくて好きです。あの黒くてキラキラした衣装がすぐ連想できて。しかしここでは凄い人気作品なんだ、驚いた。  他の方も書いていますが、プラトーンの同時上映でした。毛色が全然違う組み合わせ。当時「プラトーンって凄い戦争映画演るよ!」って、友達3人誘って行きました。当時は入れ替え制じゃなかったから、サボ→プラ→サボ2周目とみんなで観て、友達は「パルコ見てくるね」とリタイヤ。私だけプラ2周目観て合流。 プラトーンが結構ショッキングだったのか、みんなサボテンの話ばかり。私は『ふふん、ホンモノの映画の良さの分からないガキ共め』…とは言わないけれど、1人だけ砂糖もミルクも入れないブラックコーヒーを我慢して飲んでる気分。あぁ可愛くないガキだったわ。  この映画で一番のお気に入りは歌う木…何あれ? とにかく陽気に体を揺すりながら歌い続ける木が可愛かった。透明の剣士の死ぬところも好き。手首を落とすと舞う砂埃に笑いが止まらなかったわ。 最後は弱い村人が知恵を出し合って、みんなでサボテン・ブラザーズの衣装着て悪党と戦うのに大満足。みんなでやっつけた~!って感じで好き。 印象的な決めポーズにヘンテコなテーマソング「「「ウィアザ スリーィ ァア~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ミィゴッス!!」」」真似するよね。  今回久しぶりに見た。当時よく解らなかった飛行機のジョーク。「あれは遊覧飛行だよ。玉(車輪のこと?)が2つ、ゆ~らんゆ~らんって…」とかって訳だったと思う。今の字幕「あれはメールプレーン(郵便飛行機)だよ。玉が2つぶら下がってたろ、だからメイル(雄)プレーンって…」そういう意味だったのかぁ~。 この映画で一番大好きな歌う木と透明な剣士。全然何の前フリもなく、何の脈略もなく出てきてたのね。アレ無くても良かったんじゃん。 とにかくハッピーな気持ちで観終えられる映画。 私も当時プラ2周目行かないで、サボテンで劇場を出てたなら、こんな映画レビュー書くような人間になってなかったかも?
[映画館(字幕)] 6点(2022-05-23 22:34:56)
425.  ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 《ネタバレ》 
リビルド・エヴァンゲリヲンが動き出す第2作。TV版とはだいぶん話が変わってます。カットされるところはバッサリとカットされ、変えるところはガラッと変える。新キャラ・マリも登場。この作品は劇場で観たので、賛否はともかく『なんか変えてきたなぁ』って印象を強く持った。  短い上映時間の関係か、なんかアスカがいっつも怒っている印象。あんなにプリプリ怒ってたっけ?「あんたバカぁ?」ってあんなに言ってたっけ?アスカは優秀なエヴァパイロットだけでなく、勉強もスポーツも優秀で、男子たちの盗撮のターゲットにされるくらいの美少女って設定で、シンジやレイと比べてウワベの生き方が器用だったのに。そんな子が実は内面ドロドロしてたのが徐々に暴かれてって、エヴァの大事な要素だったと思う。 トウジの役をアスカに変えたのも、なぁ…1人で使徒を倒せなくて落ち込んでる所に、追い打ちを掛けるように使徒に侵食させるなんて、アスカを虐め過ぎじゃないかな。  庵野監督が本当にウルトラマンの映画を撮ったいま、この作品のウルトラマン好き好きアピールが鼻につく。科特隊の着信音。MATのマツダ・コスモ。4人の使徒≒ウルトラマン。当時はシャレのつもりで観られたけど、今思うとちょっと気持ち悪い。 評判の悪い「今日の日はさようなら」と「翼をください」。懐かしい穏やかな歌とドロドロの残酷シーンのコラボ。オリジナルでなくアニメ声なのが嫌。林原さんが歌ってたのか。劇中のBGMで流れてるならともかく、エヴァでこの2曲を聞きたかったとは思ってなかったし、それぞれ「カノン」「甘き死よ、来たれ」を脳内再生してたわ。  シンジとゲンドウを近付けようと頑張るレイ。レイのために起動実験のパイロットを変わるアスカ。アスカとレイの“良くなっていく予感”。「それって好きってことじゃない!」分かり易い説明セリフ。レイのお食事会にトヨタ・センチュリーで向かうゲンドウ。美味いか不味いか解らないレイの料理の後、どういう展開になるか解らないから、とりあえずみんなが乗れる大きい車を出したと思うと、ちょっと微笑ましくも思える。 レイを助けるために、ここに来てやっと主人公らしい格好良さを観せたシンジ。TVの版放送時、第16使徒の辺りでこういう展開を期待してたんだよな。「たぶん3人目だから」ではなく。このリビルド、良くも思うし悪くも思う。正直言って観たかった内容ではなかったけど、新しいことを入れてきたってことは伝わって、次を期待させるに充分な作品だったと思う。
[映画館(邦画)] 6点(2022-05-22 17:22:06)
426.  ゴースト/ニューヨークの幻 《ネタバレ》 
-Ghost- “(その場に居るはずなのに)居ない人” まぁ日米ともに“幽霊”で通じますが、解釈のニュアンスが微妙に違う気がします。 NYの広いマンションに住む銀行マンが、夜中の2時にろくろ回す美人の彼女とセックスしたり、満員のエレベーター内で感染症ジョーク飛ばしたり、観たくもないマクベス(チケット幾らするのよ)観たりして殺される映画。…たぶん3回位観てるけど、こんな印象でした。フジテレビのトレンディ・ドラマみたいな主人公の生活感の無さが、とっても嫌いだったんだと思う。 今回10数年ぶりに観ましたが、こんなに面白くわかりやすく、よく出来た映画だったんだ。CM、前評判、観る前から色眼鏡で観ていた自分の浅はかさ。当時からレビュー書いてたら、今とむかしで全然違う感想になってる作品だと思う。  口座データの異変と手伝おうとするカール。撃たれたことに気が付かず犯人を追いかける主人公。親友が犯人。物を動かす力。インチキ霊媒師が持つホンモノの能力。伝えたい事が伝えられないもどかしさ。地下鉄のゴーストとの交流。銀行にオダ=メイ。伏線の回収と意外な展開がギュッと詰まっている。ゴーストの設定を事細かに説明せず、サムとオダ=メイ、数人のゴーストの行動で理解させる“観せる技術”。  カール(上半身ハダカ)の策にハマってキスしてしまうモリー(ノーブラ)。そこに偶然サムとの写真がパタリと…何かをキッカケに思いとどまるという、誰でも経験しそうなこと。そのキッカケがゴーストの仕業かも?日本だと虫の知らせなんて言うけど、なんか妙に説得力を感じてしまった。 地下鉄のゴースト。恐らく地縛霊で、恐らくずっと天国にも地獄にもいけない存在。会話とコミュニケーションが出来たのに、急に意思疎通が出来なくなる所、なんか可哀想に思えた。黒い死神?に連れて行かれたらどうなるのか?サムは光に包まれてどんな世界に行くのか?映画を観てもサム目線での理解しか出来ないけど、怖いだけじゃないゴーストの存在する世界は、ゾンビ映画並みに創作意欲を沸き立たせる見事な設定。  オダ=メイの体を借りて抱き合うサムとモリー。こんっっなに綺麗なシーンだったのか。過去何回か視聴して何とも思わなかったのに、今回初めて涙が出た。 点数ちょっと甘めかもだけど、これくらい良い映画に思えました。
[地上波(吹替)] 9点(2022-05-22 16:08:14)
427.  沈黙 ーサイレンスー(2016) 《ネタバレ》 
キリシタン迫害の映画。拷問の痛々しさと、逃げ道も救いもない流れが想像できるので、重たい気持ちで鑑賞。 劇中、キチジローが日本を国として考えてるのとか、村人から番人まで流暢な英語を話してるのとかは、映画らしいディフォルメと考えるにしても、ここまで日本と日本人が違和感なく反映されたハリウッド映画が出来てくることに、時代の変化を感じる。 ディフォルメ表現はあっても、クリスチャン→切支丹、パードレ↔伴天連、パラダイス→パライゾなど、当時の日本で使われていただろう単語はそのまま残しているところが、よく研究して創っているなって感心させられる。  テーマは重たいけど思いの外エンターテイメント作品としてグイグイ惹き付ける内容で、言葉の通じない(とは言えないけど)敵だらけの異国の地で、役人から隠れながら布教活動に務める2人の神父の勇敢さ。切支丹を迫害する悪として登場する役人だけど、そうするに至った理由が語られるたび、ロドリゴ神父への対応を見るたび、日本がしっかり考えた上で、キリスト教を拒否した経緯が観えてくるのが興味深い。 本編とは関係ないけど最初のジェダイ、クワイガンを探しに、最後のジェダイ、ベン・ソロが旅立つ流れは勝手に胸熱。  誤解して、あるいは故意に誤解させて広まった日本のキリスト教。ロドリゴ自身の信仰と、眼の前の信者の命を天秤にかけた説得、棄教を迫るやり方。拷問の残忍さ。何が正しいのか解らなくなってくる。波に打たれても賛美歌を歌い続けるモキチの純粋さ。死を覚悟してもパライゾを信じるモニカの真っ直ぐな眼。どう考えても一番可愛そうなのは末端の切支丹たちに思える。  忠庵の話はなんか納得。ザビエルが“神の御子(SON)”を“大日=太陽(SUN)”と教えた下りは、八百万の神を信じ、その頂点に天照大御神(大日)を置く日本古来の考えとマッチした…と言うか寄せてきたんだなって。科学技術も宗教の研究も進んでるポルトガル人が、村人一人ひとりに寄り添って「この教えが正しいんだよ」と言えば、普段顔も見られない殿さまと、その下の役人に足蹴にされて、重たい年貢を強いられる村人は「そうなのかぁ、知らなかったなぁ」って信じただろう。踏み絵の際の「カタチだけで良い」は、悪魔の甘い囁きなんだろうか。キチジローのように踏んだ者への扱い(放免)を考えると、本当に出来る限りの譲歩はしていると思える。日本に限らずキリスト教徒はこの映画をどう観るのか。 日本は無宗教の国家だけど、宗教を信じている人は人口の2~3割。だけど各宗教団体の信者数を足すと2億人を超えるらしい=人口の約2倍。これも正しいのかどうかわからないけど、キリスト教を拒否した結果、日本は植民地支配を免れたのかと思うと、宗教の必要性とか役割について、色々考えてしまうなぁ。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2022-05-22 14:35:54)(良:1票)
428.  セッション 《ネタバレ》 
-Whiplash-“鞭打ち”というジャズの曲名であり、ドラマーの持病とも言えるむち打ち症であり、文字通り鞭で打つことでもある。 すっごくストレスを感じる映画です。フレッチャーの中にしか正解が無く(…いやそもそも正解なんて無いと思う)、どうすれば認められ、どうすると怒られるのか解らない練習風景は、逃げ場のない拷問にしか思えない。あのやり方で、本当に優秀なプレイヤーが生まれるのか疑問。  認められて自信を付けて、勇気出して好きな子に告白して、付き合って、一方的な思い込みで振るアンドリュー。なんて人付き合いの下手な奴なんだ。 人を罵倒し、自分の才能が認められることだけに前向きな主人公に、才能があればキャリア関係なく入れ替えて、とことんシゴイて競わせる指導者。 こんな自分のことしか考えてない人たちの映画にどうしてセッション(演奏者の集まる様子)て邦題を付けたのか。  のんびりと生きて来た私には、自分をとことん追い込むアンドリューにも、他人をとことん追い込むフレッチャーにも全く共感が出来ず、ただただストレスを感じ続ける鑑賞時間だった。大事なコンペのために負荷を掛けられて、自分にも負荷を掛けて、偶然の不幸に足を引っ張られ、それが悪い方に破裂して…何ともスッキリしない、モヤモヤする結末。あんなに頑張ったのになぁ…  そこから後日談的な和やかな再会シーン。ここからが本番と言わんばかりの詰め込まれた展開は予想外で、ホッとしたのも束の間、ゾッとして、観てるのが辛くなって、ソレぶち壊してしまえ!って気になって、興奮して共鳴した。スゴいラストを用意したものだ。 この最後だけまた観たい。けど、絶対最初から観て、ストレス溜めたほうが、絶対最後盛り上がるんだよコレ。
[インターネット(字幕)] 8点(2022-05-19 22:16:53)(良:1票)
429.  ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション 《ネタバレ》 
-Rogue Nation- “無法国家”ローグ・ワンのローグ(=ならず者)ですね。 TVでやってるのを録画して観て、イマイチ乗れなかったんです。 吹き替えのせいかな?体調のせいかな?なんて思って、今回BSでやってたのを再視聴。れれ?やっぱりイマイチ乗れない。 前作の最後に出てきた『シンジケート』なる組織が今回の敵。OPの飛行機ぶら下がり、体を張った撮影風景も何かで見たので感心して観られたし、スピード感満点のバイクチェイスも格好良かった。防弾ガラスにレーンを閉じ込める“仕返し”もイイ。 けど、全体的に乗れなかったのは、たぶん“IMFvs敵組織”じゃないからかも。  今回はIMFが解体されてCIAに吸収される。-24-のCTUや、極端な話ウルトラマンの科特隊と同じくらい、スペシャリティな組織だったIMF。それが実在するCIAの傘下となると、途端に現実的になったというか、魅力が失せたように感じてしまった。 今までもイーサンのワンマンな活躍は描かれていた。けど彼を支えているIMFという夢の組織があってこそ、魅力的な能力を持ったサポートメンバーがあってこそ、イーサンの活躍も光るものに思えてた。 でも今回はサポートメンバーもルーサー、ベンジー、ブラントと過去に見た顔ばかり。前に活躍した仲間だけだから『この人はどんな能力があるんだろう?』とか『コイツ裏切るんじゃないのか?』とかってのを期待できるメンバーが居なかった。イルサはMI6だから、何をやっても外様だしね。  私個人は、IMFが魅力的じゃないとこのシリーズが楽しめないのかも?と自己分析。 イーサン=トムが活躍すれば喜ぶ人もいれば、IMFが暗躍する世界観が好きな人もいる。今後も本作のような流れで続けるなら、いっそ『ミッション・インポッシブル』ではなく『イーサン・ハント』にタイトルを変えてはどうだろうか?なんて思ったり。 レーンの最後、映画としてはアレで良かったと思うけど、あれだけ秘密裏に世界中に悪の手を広げていた組織のボスなのに、防弾ガラス撃つなんて無駄なことするくらいなら、その銃で自殺して、シンジケートの謎を闇に葬るくらい出来たろうに。
[地上波(吹替)] 5点(2022-05-18 21:47:25)
430.  JSA 《ネタバレ》 
-JSA- =Joint Security Area “共同警備区域”南北朝鮮の境界線ですね。 血生臭い事件から始まり、何故そんな事件が起きたのか、過去に遡って徐々に紐解かれる真実。何でそうなってしまったのか。先に結末を知っているだけに、話が進むにつれ悲しい気持ちになる。 南と北の兵士たちの交流。突飛に見えないように、地雷除去からタバコの交換と、最前線の兵士の意外な暮らしが描かれていて、“平時の敵国兵士との付き合い方って、案外こんな感じかもな”なんて思わせてくれる。  南北に分断されたばかりの'40年代とかならともかく、ごく最近の1999年10月の事件と考えると、さすがに監視カメラだってあった時代だろうし、無線の定期報告も入っただろう。北と南があんな徒歩で渡れる橋で結ばれた距離なのに、警備兵2人に任せっぱなしなんて、リアリティ面から考えにくい。大の男が4人集まって遊ぶとしたら、ギャンブルさせとくのが一番リアルだろう。  それがこの4人、無邪気に子どもの遊びばかりやってる。あぁそうか、これは現代版のおとぎ話なんだ。 同じ言葉を話す民族が、戦争の勝者の事情で南と北に分けられ、大人になると徴兵され、憎くもない相手に向かって銃を向け合う。その真相究明を、北にも南にも行く事を拒んだ者の子ソフィーが担う。戦争の爪痕、現代の朝鮮半島の縮図。 「双方が望んでいることは、この事件が曖昧になることだ」ソフィーの上官が言うように、事実を突き付ける事は新たな悲劇を生んでしまう。 ソンシクの死の真相。曖昧にしていた真実が、北でも南でもないソフィーの何気ない一言で暴かれる。友人を殺した事実と向き合い、自殺を選ぶスヒョク。 過去に同じ民族で殺し合った事実、今後再開するかもしれない南北戦争。双方が立ち入らない最前線の共同警備区域がクッションとなり、同胞同士、直接殺し合った過去の事実を曖昧にしているんだろう。 平時においては、曖昧にしておかなければ成り立たない現実。せめておとぎ話の中だけでも、無邪気に遊んでいてほしい。 そんな気持ちで映像化されたのかな。良い映画です。
[インターネット(字幕)] 8点(2022-05-17 23:48:30)
431.  ローマの休日 《ネタバレ》 
-Roman Holiday-  “野蛮な見世物” “他人を苦しめて得る利益” NHKのバラエティ番組で紹介されていたから、ご存じの方も多いだろうけど、古代ローマの王族や貴族が、娯楽として剣闘士の殺し合いなんかを観る様子。なんだそうです。原題については色々な解説があるけど、私はこの古代ローマの剣闘士に該当する存在がアン王女なのかな?って思いました。  誰もが羨むハズの王女という立場。なのに彼女の願いは庶民の当たり前の生活。 24時間自由がなく、決められたことしか言えず、病気の時以外休むことが出来ない存在が現代の王女。 そして王女を見世物として楽しむのが庶民。庶民が楽しむネタを集めるのが新聞記者。アン王女を見世物として新聞記事を書き、それが特ダネであるほど利益が挙がる。王族を金儲けと庶民の暇潰しのネタにする時代が来るなんて、古代ローマ時代には考えられなかったことだろう。  偶然出会った酔っ払いの女性がアン王女と知ったジョーが、真っ先に閃いたのが金儲け。雲の上の存在のアン王女が、一般市民と同じ事をして喜ぶ姿は、王族の地位を貶める大スクープになっただろう。 記者会見の別れ、アンとジョーだけの秘められた記憶。ローマ中を駆け回り、自由な生活を満喫するアン王女の無邪気な笑顔。許されない淡い恋。たった一晩の自由はアンに王女としての自覚を与え、ジョーを金儲けより大切なものに目覚めさせた。王女らしくない振る舞いを記録した数々の写真は、アービングの手によってアンだけの思い出となる。  “王女が一日だけ庶民になって羽根を伸ばす”なんてシンプルで脳天気な物語の様でいて、その奥には自分の立場を受け入れて生きていく、大人の女性の切ない別れが描かれている。アン王女のその姿が、デビュー間もないオードリーの、この映画をキッカケに人気女優として駆け上る姿と重なるから、一時の流行りものではなく、永遠に愛される作品にしているのでしょう。   最後に“ジェラート(アイス)のコーン食べずに捨てる問題”について記しておきたい。 私の年代だとZガンダムで初めて観た人が多いと思う。食べられるものを食べずに捨てるのは衝撃だった。まさかそのモトがローマの休日だったなんて…。 スペイン広場でジョーとの会話中、さり気なくコーンをポイ捨てするアン王女。『王族だからコーンが食べられると知らず、食器や包み紙の一種だと思って捨てた』説。なるほど、説得力と優しさが感じられる説だけど、花屋との可愛いやり取りを思い返すと、ジェラート屋にコーンを返したりせずにその辺に捨てるのもどうか?ジョーがコーンに無反応な所からも、これは後付の説っぽい。 『コーン食べないのが当時のブーム』説。「パジャマの上だけ着て寝るの~」なんてのに憧れるアン王女だけに、こちらのほうが正解っぽいかも。ただ場所が観光名所だけに、あそこでポイ捨ては後の世に与えた影響は大きかった。画面上あそこでジェラート食べてるのアン王女だけだし。そこはナマの情報に疎い王女が、雑誌で知った流行りモノを、ちょっとやってみたかった。って考えると、なんかとても可愛らしい。 このシーンの時計の針は有名だけど、花屋とのシーンと合わせて、長時間ジェラートを食べ続けたであろうオードリー。絶対食べ飽きてるにも関わらず、私たち庶民に『一生に一度でいいからスペイン広場でジェラート食べたい』って思わせる名シーンであり、舌を出してコーンの中まできちんと美味しそうに食べて見せるオードリーの姿が、新人らしくてなんとも健気。
[地上波(吹替)] 9点(2022-05-16 23:12:06)(良:1票)
432.  七人の侍 《ネタバレ》 
黒澤監督の全盛期の作品って、実は観たことが無くって(乱と影武者だけ)。何かこう『観る時には正座しなきゃ駄目かな?』なんて、“世界のクロサワ”って冠に自ら敷居を上げて鑑賞。 普通に大人から子供まで楽しめる娯楽作品だったことに驚愕。肩肘張ってたところ、一気に楽な姿勢を取り戻して、戦国末期の世界感を堪能できた。『その世界に入り込める』というのは映画では結構重要な要素で、最近の邦画だと特に演者が番組とかで観る芸能人に見えた瞬間から現実に引き戻される。だけどこの作品では、三船ではなく菊千代、志村ではなく勘兵衛と、まるでこの世界で生きているように思えた。  序盤、言葉の聞き取りにくさは感じたけど、案外慣れてしまうもの。聞き取れない言葉はすっ飛ばしても楽しめるのが娯楽作の醍醐味かもしれない。 二百七分という長時間も、一部:侍集め『侍を七人集める』 二部:準備『侍と百姓の掘り下げ』 三部:戦闘『残る野武士三十三人を斬る』と、綺麗に三部構成に分かれている。それぞれの達成条件が解りやすい。 登場人物の魅力も一際で、平八の薪割りは胴に入っていて、浪人生活の長さを感じさせるし、五郎兵衛の優しそうな笑顔は仕官先を探している浪人(第一印象が大事)らしい。  利吉の女房の表情に息を呑む。目が覚めても慰み者の身は変わらず。現実世界に希望も見出だせない虚しげな表情の美しさ。一転して驚き、恐怖、恨みの笑みに変わる。凄い。ここで初めて味方側にも犠牲者が出るが、最後はとても淡白だ。あんなに魅力的な人物が、何の余韻も残さずに呆気なく死ぬ。娯楽映画とは言え、死の緊張感がある。単身闇討ちを掛ける久蔵が無事帰ってきたことへの安堵と、勝四郎が代弁する魅力。子どもたちが七人の侍遊びをしたら、きっと菊千代役と久蔵役の取り合いだったことだろうな。 魅力的な登場人物と分かり易い物語。よく出来た娯楽映画で、とっても面白かったです。
[DVD(邦画)] 10点(2022-05-15 23:21:13)(良:2票)
433.  ブリット 《ネタバレ》 
-Bullitt- 人名。ブリット群って地名にもなってる。 中学か高校の頃にテレビで観て、これぞハードボイルド!マックイーンはカッコいいなぁって思わせてくれた作品。 フランク・ブリット=刑事。ロクに寝てないのに叩き起こされて仕事するところとか、食事がTVディナーや病院食だったり、まさに職業を擬人化したような人物。これで自分の不運をボヤいていたらダイ・ハードだ。タートルネックにホルスターぶら下げたスタイルも特徴があって、一時期の刑事スタイルの完成形だったように思う。  ストーリーをろくに覚えてなくて、今回久しぶりに鑑賞。オープニングがめちゃくちゃカッコイイ。撃たれて重症のスタントン刑事に付き添ったりは、その後の一般的な刑事ドラマだと、すっ飛ばしそうな描写だと思うから、この映画にリアリティを増す要因になっていると思う。 本作の目玉と言えるカーチェイスが中盤に挟まれる。マスタングとダッジ・チャージャーのアクションは確かにカッコいい。犯人グループが中年~初老の男というのは、今の目で観ると新鮮。最後の空港での追跡も印象的。滑走路で飛行機を横目に犯人を追うシーンは、想像以上に大変だったんじゃないかな。  '68年の作品で以降の刑事アクション作品に与えた影響は計り知れない。ただアクション映画の恒で、カーチェイスも空港のアクションも、後発作品に、より派手により大袈裟に上書きされていった結果、今の目で観ると目玉とするには物足りなくも思えてしまう。 やはり偽ロスが隠れ家の鍵を開けた理由がわからない。奥さんを助けるための取り決めとかだろうけど、物語がブリットの掴んだ情報だけで進むからか、観る側として消化不良に思えた。チャルマース上院議員も、もっと事件に絡んでたんだろうけど、ブリット視点だから説明不足なのかな。その辺も“刑事=警察組織の歯車”を描きたかったんだと納得するしかないか。 スルメ要素とツッコミ要素が多そうなので、期間を開けてまた観てみようと思う。
[地上波(吹替)] 5点(2022-05-15 20:22:01)
434.  北斗の拳(1995) 《ネタバレ》 
-Fist of the North Star- “北極星の拳(こぶし)” こちらでワースト四天王(?)に挙がるくらいなので、余程酷いものを期待していたけど、案外観られる作品だったと思う。 東映Vシネマのアメリカ版とのことで、安かろう事は想像できたけど、制作費2億円は、Vシネマにしては凄い金額なのかな? 制作された'94年当時、1$=100円として2億円≒200万$。同年代の大作ダイ・ハード3が9000万$、デスペラードで700万$、あのストリートファイターで3500万$だそうだから、どのような規模の映画か想像できる。 その少ない予算で片手間にフザケて創ったのかといえば、案外真面目に制作されたんじゃないだろうか。  ベースはシンのサザンクロス編。ランデル監督らは限られた構想期間で、原作コミックではなく、TVアニメと'86年の劇場版アニメをベースに選んだんだと思われる。当時は英語版のコミックが手に入らなかったのかも。TVアニメではサザンクロス編は結構長く、カーネルもジャッカルもシンの部下で登場。そしてシン配下の怪しい南斗聖拳の使い手がいっぱい出てくる。南斗列車砲とか。 劇中処刑される南斗のマスターは、どことなくTV版のジョーカーっぽい(髪型なんかが)。 で、制作までの時間も無いから、ビデオの早送りを駆使して長いアニメを視聴して、作品に詳しい人に解説してもらって「あ、ここアニメオリジナルね、原作だとこの子(バットの弟分タキ)死んじゃうのね、そんでね…(早口)」所々勘違い(バット死んじゃうのかぁ。とか)しつつも、巨人デビルリバースは予算の関係で無理だなぁとか考えながら、更に短くまとめられた'86年劇場版も観て、コッチをベースにしたほうが良いのになぁ、このジャギってキャラ、カッコいいなぁ…なんて思いつつ、劇場版でもジャギはシンとの絡みがあるからコッソリ出して、中堅どころのクリス・ペン使っちゃって。って具合に。 シンがリュウケンを銃殺(!!)するのはショッキング。映画の序盤だったし、さすがにココは吹き出した。うん、さすがワースト映画って思ったわ。 だけどジャギだって銃は使うから、原作をよく知らない人が創ったと思えば、そんなに無理設定ではないかもしれない。  ゲイリー・ダニエルズは元キックボクサーだそうで、本当にケンシロウのように素晴らしい肉体。後半のザコ相手のケンシロウ無双は素直にカッコいい。 少ない予算でVFXも限られたシーンにしか使えなかったんだろう。やはりインパクトのある顔面破裂は使いたいし、ライバルのシンの強さを強調したいから、南斗聖拳の切れ具合も入れたいと。 あのペチペチ百裂拳は、制作陣も悩みに悩んだ末の決断だろう。実際に拳の連打を出せるゲイリーの技術を取るか、低予算の特撮でそれっぽく見せるか。結果は多くの失笑を買ってしまったけど、今のCG技術でもない限り、百裂拳を格好良く撮るのは難しいと思う。 不遇なB級肉体派俳優ゲイリー。エクスペンダブルズではジェット・リー相手に華麗なマーシャルアーツを観せる。 ゲイリーが自分の子供に“ケンシロウ”と名付けたって知り、不覚にもジーンと来てしまった。 あの素晴らしい原作と比べたら、こちらでの低評価も納得だけど、モトがTVアニメだと思うと、案外頑張った低予算映画かなって。 1点付けるつもりで観たけど、出来の悪さに怒りを覚える2点でもないし、3点でも良いんだけど、ゲイリーに愛着湧いてしまって… 平均点上げてしまってすみません。
[インターネット(吹替)] 4点(2022-05-15 17:51:14)
435.  ゆきゆきて、神軍 《ネタバレ》 
凄い作品なので、気になっている人は見るべきだと思います。 この映画の中心がニューギニアでの人肉食、兵卒処刑の真相に迫る事で、奥崎氏によって次々に暴かれる真実、その場に居た人たちがずっと心に秘めていた体験談はとても生々しく、平和な時代に生まれ育った日本人の一人として衝撃的な内容だった。 戦後36年の撮影。奥崎氏が突撃する対象は、ちょうど私の祖父と同年代だろうお爺ちゃんたちだ。処刑の実行者達だけど、軍隊という組織を解っていれば、彼ら下士官に拒否権は無いし、自分の考えで動いていた訳じゃない事は分かる筈。  戦争を体験し、戦中も戦後も苦しい思いをして、長い時間を掛けて自分の中で消化して、何とか前を向いて生きてきた人たち。そんな元兵隊たちの日常生活に、過去を引きずったまま、文字通り土足で踏み込む奥崎氏。氏のパワフルさ、行動力、信念が凄まじく、全編にわたって鬼気迫る迫力、何とも形容し難い空気が漂っているが、同時に、平和に暮らす家庭をブチ壊される恐怖も感じた。突然現れた狂人に罵倒され、思い出したくもない経験をほじくり返され、足蹴にされるお爺ちゃんを観るのは『あれが私の死んだジイちゃんだったら…』と、家族にとってもトラウマ級の辛い経験だろう。 ※だけど口を閉ざすでなく、嘘を並べていたと思わしき方には同情できませんでした。あのような上司は実際居る。もちろん戦争とは無関係の息子さんには同情します。  ラストの衝撃。これには私も「えぇ~~!?」と声を出してしまった。色んな意味で凄い作品、最後まで目が離せない問題作だけど、ドキュメンタリー映画としてはどうなんだろう。この作品を原一男監督の作品と呼んで良いものだろうか? 狂人・奥崎氏が暴れるのは、そういう人なんだと納得できるけど、例えば兵卒の肉親2人が途中から降りた理由。奥崎氏同様かなり熱意を持って問い詰めていたと思うが、何が引き金になって同行を拒否したのかが解らない。有り得ないことに奥さんや知人を使って代役を立てた事に対する、監督の考えもサッパリ伝わってこない。 ドキュメンタリーなら奥崎氏サイドだけでなく、氏を同席させない場での元兵隊たちの考えも伝えるべきではないだろうか?元兵隊たちの家庭のその後、突然アポ無しで生活を踏み躙られた家庭のケアは、監督の仕事では?これではまるで奥崎謙三監督の自己PR作品の垂れ流しだ。原監督の仕事が『こんなモンスターをカメラに収めました』以上のものが感じられない。 公式ホームページなるもののセンスにも違和感。監督自身が奥崎謙三を単なる“ファッション”として捉えているように思えて、残念に思えた。  点数は困りました。テレビでは放送できない、映画だからこそ描けた作品といえば高評価でもあり、ただ狂人を撮っただけで、作品の体を成していないといえば低評価も。私はたまたま空席の3点にします。
[インターネット(邦画)] 3点(2022-05-08 23:39:01)
436.  ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル 《ネタバレ》 
-GHOST PROTOCOL-“存在しないもの(ゴースト)として扱う取り決め”。万が一の事態が起きたら、諜報員は今まで『捕まっても当局は関与しない』いわゆる“とかげの尻尾切り”だったけど、政府が『ウチにIMF(とかげ)なんて組織、無いですよ。』って事にしてしまおうと。 Ⅲで見事に立て直し、Ⅳのナンバリングを付けなかった本作。Ⅱで披露したイーサンのフリークライミング技術。Ⅲの読心術。過去作の設定を上手に活かした所に感心する。新たに披露した似顔絵の技術は、スパイらしく凄い能力。  そして前作のイーサンの結婚は、シリーズ化を考えると足枷だった新設定を、このように処理して、新メンバーのブラントを絡めて、最後あのように安堵させる。ブラッド・バード監督の腕の良さが光る。賛否両論のⅡ(イーサンの髪型もⅡ寄り)を含めて、このシリーズの過去作を大事にするバード監督の姿勢。 本作のヒロイン、ジェーン・カーター。トムのワガママか知らんけど、シリーズで2作続けて出たヒロインは居ない。そこを踏まえて次作に出る確率の低いジェーンを、前のミッションの時からイーサンと対等のチームリーダー格にしていたんだと思うと、もうバード監督の作品と登場人物への設定愛と言って良いかもしれない。単体作品ではⅠがベストだけど、シリーズ物としてはこのⅣがベストだと思う。  自爆しない公衆電話、壁登り手袋の充電切れ、フルマスク製造機の故障…これらはブラントの磁気スーツの不安を煽る演出だけど、同時にIMFのメンテ不足、予算不足を表している。更にベンジーのエージェント化なんて人材不足の現れとも思える。それでクレムリン爆破の際、政府は隠蔽工作より楽なIMF解体(ゴースト・プロトコル)を選んだんだろう。  メインはやっぱりイーサンの活躍なんだけど、それを支えるIMFのチーム活動が、最後まで活かされていたのが良い。序盤のハナウェイの活躍なんか、イーサンのチームだけでなく他チームも活躍してることが見えて嬉しい。 前作で少しハードな方向に振れた死のシーンを減らし、ベンジーをコメディリリーフとして近くに置くことで、作品の緩急のバランスが上がっている。 最後にチラッと出てくる皆勤賞ルーサー。無事な姿を見せたジュリアとの切ない別れもあり、シリーズ物として、続き物として、大変良く出来た作品なんじゃないでしょうか?
[映画館(字幕)] 9点(2022-05-06 15:51:54)
437.  キネマの天地 《ネタバレ》 
有森也実って上白石萌音に似てたんだなぁ。なんて思いながら鑑賞。 映画撮影所を舞台にした、映画俳優と製作者の話。寅さんのメンバーがどんどん出てきて、男はつらいよの劇中劇を観てるような、微笑ましさを感じました。 渥美清と倍賞千恵子の掛け合いは息もピッタリ。クズ屋の笹野高史が小春を褒めた時の父ちゃんの嬉しそうな顔。 マルクス兄弟の本をマルクス主義と勘違いして難しい顔してる財津一郎刑事、撮影所の水漏れにヒョイと足を上げる桃井かおり妃殿下可愛い。 う~ん、どうしても映画の内容でなく、出ている役者さんの話になってしまうなぁ…  昭和30年代当時は映画のことを“写真”と言っていたのか。世の中がDVDからブルーレイになっても、つい“ビデオ”って言ってしまうのと近いか? そういえばこの当時('86年)くらいまで、映画俳優とテレビの俳優には見えない線引きがあったような気がしたっけ。何というか、映画俳優が格上というか。そのうちTVドラマで観た顔が映画で溢れるようになり、役者でもないタレントが主演俳優として出てきて、メディアミックスだか何だか、映画が独立した娯楽を創る世界じゃなくなったような今の日本の映画界。垣根が低くなった結果、とても当時のような元気があるようには見えない。 『あの当時は良かった』になってしまうけど、当時はハリウッド大作ばかり観て、私自身があまり邦画に興味を示さなかったのも事実。  小田切先輩の『どうしてもっと優しく映画を観ないんだ?どんなくだらない映画でも、可能性を持っているはずだぞ?』 これは映画好きとして、レビュワーとしても心に染みる。食わず嫌いはもちろん、好みと合わないからって、テキトーな点を付けちゃダメだな。うん。
[地上波(邦画)] 5点(2022-05-05 18:12:52)
438.  誰が為に鐘は鳴る 《ネタバレ》 
-For Whom The Bell Tolls-原題まま。 ことタイトル回収についてはラストが全てかもしれません。 「アメリカの事を考えろ…出来ない。マドリード(共和国側最後の拠点)の事を…ダメだ。マリアのことなら、出来る!彼女は私と生きるのだ!」機関銃→鐘。映画を観ての通り鐘を鳴らすとは銃を撃つこと。第2次世界大戦が佳境を迎える時期、この戦争が誰のための戦争かを、観る者に問うているように思えた。  つまり『祖国アメリカの為とは言わないですよ。侵略されている国の為とも言いませんよ。あなたの愛する女のために鐘を鳴らしませんか?』と。 直接的には『独裁政権に髪を刈られ、凌辱を受けている可愛そうなマリアが、あなたが鐘を鳴らすのを待っていますよ。』と。 もっと言えば『海の向こうの戦争なんて興味ないかもしれないけれど、向こうでは字も読めないムサ苦しい現地男に囲まれて、ラテン系のマリアが、東欧系のマリアが、東洋系のマリアが、アメリカ人のあなたが銃を構えて参上するのを待っていますよ。』と。 早い話『軍に入って銃を撃て』と。  中学生くらいの頃、確かNHKでやっていたのを観たんだと思う。過去の名作ってあまり観てなかったんで、ありがたく鑑賞させてもらって、有名なキスシーンと最後のシーンだけ覚えてました。こんなに長い映画だったんだ。 パブロやピラーに比べ、マリアの浅黒メイクの、何といい加減なことか。悲壮感を感じさせる髪は、3ヶ月の間に可愛いくらいには伸びている。ここはあまりにリアルだと引いてしまう。山岳の厳しい環境でロベルトとマリアが隙あらばイチャイチャしてるのも、現実の戦場とは違って夢のある話に思う。 臆病だからとか姿を消しては戻ってくるパブロ。美人じゃないからってピラーの愚痴。作戦決行日に大事な連絡が届かないゴルツ将軍。内容と時間のバランスが微妙で、看板俳優が出演する大作だからって、無理やり170分の長尺映画にしたようにも思える。
[地上波(字幕)] 5点(2022-05-05 16:55:56)
439.  ドーン・オブ・ザ・デッド 《ネタバレ》 
-DAWN OF THE DEAD- “死人の夜明け” 大好きなゾンビのリメイク。ピーター、ロジャーにトム・サヴィーニも出てくるファンサービスに思わず『おぉ!』となってしまった。 ロメロ版との大きな違いはやはり“走る”事でしょう。走るゾンビはバタリアンの頃からあるので、それほど抵抗はなかったかな。ノロノロ歩くゾンビと違い、やっぱり走ると強そうに見えるし、怖い。銃がないと勝てる気がしない。  アナが襲われるまでの前置きが短く、外に出たら近所は地獄絵図。逃走中に事故に巻き込まれる車の不運。バスの中で襲われる人をただ見るだけの悲しさ。正常な人間にレイプされたのか裸の女性…森で車を壊すまでで、世の中の状況がだいたい解る創りが上手い。 話逸れるけどサラ・ポーリーがバスタブに飛び込むところ、小窓から地面に落ちるところなんて、体張ってるよなぁ。  ゾンビといえばショッピングモール。デパートとスーパーのイイトコ取りで、娯楽から何から生活に必要なものが一通り揃っている。設定次第でどんな商品も置けるショッピングモールは、ロメロ版の当時も今も、最も生存率の高そうな籠城施設だと思う。今回ガンショップをモールの外に設定したお陰で、ケネスとアンディの奇妙な友情も描けた。メッセージボードに血で何かを書くシーンは悲しくなった。  だけど何でも揃ってるモールを放棄してまで、未知の無人島に武装バスで向かう必要性は弱い。ロメロ版との違いを出すためかもしれないけど、もっと『コレは仕方ない』って状況を演出してほしかった。銃は沢山手に入ったんだから、私だったらモールを死守するな。 …とまぁ、そうやって『私ならこうするのに』を想像させてる時点で、この映画もゾンビ映画の名作だと思う。 スティーブンの死体から船の鍵を探すアナ。そういえば家で旦那に襲われる時も、真っ先に車の鍵を取ってたっけ。冷静で頭の回転が速い子なんだね。 エンディングで“その後”が描かれているのも良い。プロローグ同様、短い時間で何が起きたのかが伝わる。生存ルートは考えにくいけど…
[DVD(字幕)] 8点(2022-05-04 19:39:28)
440.  サスペリア(1977) 《ネタバレ》 
-Suspiria- 造語らしい。ラテン語の-SOSPIRI-“溜息・嘆き”から来てるとか。発音から日本語カタカナ表記はススピリアに近いと思うけど、サスペンスっぽいつづりのサスペリアに落ち着いたんじゃないだろうか?偶然の産物かも。 「決してひとりでは見ないでください」覚えてる覚えてる、もうCMが怖くって。タイトルといいCMといい、日本の配給会社が頭を捻って良い具合に相乗効果が生まれてたんだろう。  バックグラウンドミュージックのワクに収まらない音量のゴブリンのロック調の不気味な音楽は、一度聞いたら忘れられないインパクト。 そして映像の美しさ。赤、青、そして緑のスポットライト。光の三原色をあり得ないポイントで当ててくるセンス。 不気味というか趣味の悪い洋館。赤い壁と赤い内装。美しいかも?だけど住みたくないわ落ち着かないわ。 ジェシカ・ハーパー顔小っさ。目大っきい。バレエ教室の名門校というのも閉鎖空間っぽくて良い雰囲気。バレエ教室だけに若い女ばかりが襲われる…と言っても犠牲者は3人とダニエルか。 古いもの(洋館、オカルト、バレエ)に、新しもの(ロック、ライト、ホラー、若い女)をミキシング。特に音と色の思い切りの良さ、振り切れ具合が、この映画を当時のホラー映画の中でも飛び抜けた存在に押し上げていると思う。イタリアンホラーの代表作と思っていたけど、何故か舞台は西ドイツ・ベルリン。  ネットで当時のパンフレットを見たけど、映画から切り取った場面写真の美しいこと。漂う名画臭…でも内容は意味不明でチープだよ。 魔女が自分の正体に近づいた者たちを殺していくって内容っぽい。でも追い出したダニエルを殺す必要性はあったんだろうか?スージーに眠くなるワイン(睡眠薬?)飲ませる意味も不明。 発端は単なる好奇心。別に何もされてないけど怪しいからついつい詮索してしまう。謎の正体にたどり着いたら返り討ちにあってしまう。そもそもパットが殺されるまで特に殺人も起きてないなら、パットとサラが余計な詮索をしたために大人しく潜伏していた魔女組織を殺人に駆り立ててしまった訳で… 舞台が西ドイツということもあって、現代の魔女狩りとも言えたナチの残党狩りを連想させる。ってそんな難しいことを考えても意味がないから、映像の美しさとゴブリン音楽の調和を楽しむのが、この映画の正しい楽しみ方。 最後のスージーの微笑みも謎だけど、安堵?苦笑い?魔女に取り憑かれた?
[地上波(邦画)] 5点(2022-05-04 11:11:07)(良:1票)
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