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かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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461.  バルト・キングダム 《ネタバレ》 
脚本・監督と場所・主人公など基本的にはラトビアの映画だが、イギリスの資金が入っているからか台詞が全部英語なのは面白くない。 まず邦題はどうでもいいとして、英題のThe Pagan Kingは「異教の王」で、これは当時まだ現在のバルト三国から旧プロイセンにかけての地域がキリスト教化されていなかったことを背景にしている。また原題のNameja gredzensは、日本では「ナメイスの指輪」または「ナメイス・リング」と呼ばれている銀の指輪である。現地の伝統的な装身具で、字幕の説明によれば身につけた人の「誠意と勇気、自由」を示すものとのことである。 映画の主人公は、指輪の名前に入っているナメイス(Namejs、劇中ではナメイ)という13世紀の人物で、年代記などに名前が出ているが伝説的なところもあるらしい。ゼムガレZemgaleの王ということになっているが、そのゼムガレとは現在のラトビア全土を4または5の地方に区分したうちの1つに相当する(ちなみに以前に車で横断したことがあるが降りなかった)。当然それなりの面積と人口があったはずだが、国内向けの映画紹介で「村レベルの小国」と書いてあるのは、制作上の都合でそのようにしか見えなくなっているのをあらかじめ言い訳したと思われる。なおこれ以外にも、国内向けの映画紹介をそのまま信じると馬鹿を見る。  映画の内容は、現地を支配するため侵攻してきたドイツ人の騎士団(十字軍)と、主人公が率いる地元勢力との戦いが主軸になっており、何気なく現在のエストニア(サーレマー島)やリトアニア人(大公トライデニス)も登場している。史実としては、現在のラトビアと隣のエストニアはやがて騎士団に完全に支配されることがわかっているので、この映画も悲劇的な終わり方になると後味が悪いだろうと思っていたら、そこはうまくかわした感じで安心した。 映画紹介に書かれたような戦闘場面もなくはなく、特に最初の集団戦闘は映画「300」(2007米)を1/10くらいに縮小したようで、小さいながら死人の山もできていた。敵の殺し方がけっこう小気味よく、キリスト教自体は否定しないにせよ、当時の十字軍に対する強烈な反感は映像に出ていたように思われる。ほか恐らく現地での撮影だろうが風景が美しいところが多かった。 問題点を書くと、まず外国人にとってはとにかくわかりにくい映画で、とりあえず何を期待してどこまで我慢すればいいのかわからないのもつらいものがある。また最大の難点はスケールが著しく小さく見えることで、主人公の側がそれこそ村レベルな一方、敵の十字軍も船一艘に乗れる程度の兵員しか見えず、この辺は批判的な観客に叩かれる最大の要因になると思われる。ちなみにこれでもラトビア史上2番目に金のかかった映画らしい。  物語としては、戦記物というより前記「ナメイスの指輪」が一般に普及した由来を語る昔話のようなものかと思われる(信憑性は度外視として)。さらにいえば、これをもとにして現代のラトビア人にメッセージを伝えることが主目的にも見える。 劇中では当初、この指輪は権力の象徴として「王」が持つものとされていたが、戦いに際して主人公がこの指輪を全員に配ったことで、君主の権力を皆に分け与えた形になっていた。これにより国は民の力で運営するものだという、いわば現代の国民主権に通じる考え方が表現されており、同じ監督(アイガルス・グラウバ Aigars Grauba)の「バトル・オブ・リガ」(2007)にも通じるものがある。 この監督のラトビア・ナショナリズム映画第二弾といった印象だが、ナショナリズムといっても別に偏狭な思想で凝り固まっているわけでもない。戦いを前にした衆議では、殺されたくなければ戦うしかない、という主張のほかに、貢税を納めれば殺されずに済むだろうとか、子どもらを守って生き延びるのが第一だといったことを、空虚な観念論ではなく当事者の現実的な判断として主張する人々もいて、これが国民主権のあるべき姿を示していたようである。ちなみに男女共同参画っぽいところも出ていた。 そのほか物語中で、主人公に従うべき族長連中が、侵略者の危険性を認識していながら「誰かに戦いを任せて交易を続けたいだけだ」というのは現代にそのまま通じる話のようで、これはかなり手厳しい皮肉に聞こえた。  以上、映画としては絶賛するようなものでもないが、見るべきものもあって結果的には悪くなかった。ただしよほど関心がある人にしか勧められない。
[インターネット(字幕)] 6点(2019-03-23 10:27:25)
462.  バトル・キングダム 宿命の戦士たち 《ネタバレ》 
邦題は完全無視するとして、原題のЯрослав. Тысячу лет назадは「ヤロスラフ。千年前」の意味である。現在のロシア国家(及びウクライナ)の起源とされるキエフ大公国の時代、後に大公になったヤロスラフ(賢公)という人物がまだ最前線の地方に派遣されていた頃のエピソードで、大スペクタクルも何もなく、いわば下積み時代の苦労話のようなものに見える。 物語は、主人公のほか「ヴァリャーグ傭兵隊」「熊族」「盗賊」を加えた計4つの勢力が対立・連携しながら事態を動かしていく形で、基本的には先が見えないまま、裏切者は誰か、黒幕は誰なのかといったことを想像しながら見るミステリー調の展開になっている。一応の恋愛要素も入っており(2組)、スケールが小さいのでTVドラマレベルのようでもある。  主人公の本拠地だったロストフは、DVDの解説では「盗賊がはびこり 無法地帯と化した」とされているが、これはそもそもが無法地帯だったので盗賊がはびこっていた、という順序で考えるのが妥当と思われる。隅々まで社会秩序が行き渡っている現代日本では常識外れかも知れないが、この映画を見る上では、社会秩序は初めからあるものではなく、なかったところに作るものだと思っておく必要がある。 劇中のロストフ周辺では村スケールを越えた社会秩序が存在しておらず、略奪や誘拐・人身売買が横行している状態だった。そこをより広域的な大公国の版図に組み入れることで社会秩序を確立し、住民の基礎的な安全安心を確保しようとしたのが主人公ということになる。当時の現実がどうだったかは知らないが、少なくとも劇中の主人公はそのような感じのことを口にしていた。 これはDVDの解説にある単純な「正義感」の問題でもなく、国がその領土を治めることの基本的な意義を語っていたように思われる。主人公がこの時代からそのような役目を自任していたことが、後にキエフ大公として法典「ルースカヤ・プラウダ」を編纂することにつながった、というのがこの映画の考え方だと想像される。  主人公は、DVDの宣伝文で「英雄」と書いてある割に情けない君主で、熊族の村に捕われて公衆の面前で侮辱されて笑われたりもしていたが、これは最初に武力行使から入るのでなく、まず対話を求める姿勢を断固として取り続けたという意味らしい。終盤では一応の盛り上がりとして、絶対に妥協できない相手との戦闘場面もあり、英雄とまでいうかは別として勇敢な武人であることも表現されている。 ラストでは、この時代に築いた砦が後に主人公の名を取ったヤロスラヴリという都市に発展したことが語られていた。この都市とロストフは、いずれも現在はロシアの古都として扱われており、現在のロシアの中核部に当たる場所で昔こんな苦労話があったのだと、見たロシア人がしみじみ思う終幕だったと思われる…日本人なのでよくわからないが悪くないとは思った。  ちなみに「熊族」という言葉が最初に出てから、それは一体何なのか???ということがずっと気になっていた。ロシア語の聞き取りはできないのでテロップで見た限り、「族」もなく単に「熊」(複数)と書かれていたようだが、熊のような毛深い連中といった蔑称でもなく自称であるから、要は熊の神(ヴェレス)を信奉する部族ということだったのか。ロシア語の台詞を普通に話していたのでロストフの民と同様のスラブ人で、まだロストフ公の支配に属していないだけだったらしく、こういうのも当時の現地事情の表現につながっている。ちなみに前記ヤロスラヴリの市章には熊が描かれているとのことである。 もう一つ、長くなったついでに日本語字幕に対する苦情を書くと、まずロシアの「公」を「王子」と誤訳するのは他の映画でも見たことがあるが(英語からの重訳?)、別の台詞で「ロストフ公」と書いてなお「王子」とするのはどういう方針なのか、さらに「王子」の子をまた「王子」と書いてはさすがに変だと思わないかと言いたい。またテロップの訳で、лагерь разбойниковを「ロストフの野営地」とし、лагерь ростовцевを「盗賊の野営地」としているのは訳文を取り違えたのではないかと思うが、原語を知らなくても変に思うような低レベルの間違いはさすがに恥ずかしいというしかない。
[DVD(字幕)] 6点(2019-03-23 10:27:22)
463.  VIKING バイキング 誇り高き戦士たち 《ネタバレ》 
邦題が信用できないのは当然として、原題(Viking)までが諸国民の誤解を招きそうな名前になっている。 実際の内容は、現在のロシア国家(及びウクライナ)の起源とされるキエフ大公国(「ルーシ」)のウラジーミル1世の伝記のようなもので、予告編に出るような戦闘場面もあるが基本的には歴史物である。「2016年ロシア映画興行収入第1位」とのことで、実際かなりの力作に見える。 題名のバイキングは、そもそも上記「ルーシ」を建国したのが北欧のバイキング(スラブ人のいうヴァリャーグ)だったこと、及び主人公が最初の戦いに先立って北欧に赴き、新たにバイキングを戦力に加えたことに由来すると思われる。映像で目に見えるところでは、長距離の移動には川で船を使っていたのが明らかにバイキング風である。また序盤でロシア語の字幕が出ていたのは、主人公の軍勢に加わったばかりのバイキングがゲルマン系の言語を話していた場面と思われる。ちなみにベルセルクというのがただの狂人ではないことを見せている場面もあった。  粗筋を全部書いてしまうと、まずキエフ大公だった長兄ヤロポルクが不仲の次兄オレーグを殺し、次に弟のウラジーミル(主人公)がバイキングの軍勢を率いてキエフに侵攻、ヤロポルクを殺してキエフ大公の地位を継承した(980年とされる)。その後は遊牧民のペチェネグ人の攻撃を防ぐため東ローマ帝国(ビザンツ帝国)と提携し、そのビザンツからの要請に従って現在のクリミアにあった港湾都市ケルソン(もとは古代ギリシャの植民都市ケルソネソス)を攻略した。首尾よく降伏させてからは、それまでの悪行を悔いてキリスト教(正教)に帰依し(988年)、キエフにもキリスト教を広めたという話である。大まかに史実に沿った形と思われる。 その間、兄殺しのほかにも、ポロツク公国の公女を無理やり嫁にした件など結構非道なことをやっており、見る側として素直に共感できる主人公でもない。しかしそういう悪行があってこそ最後の改宗につながったという筋立てができており、主人公が次第にキリスト教を必要としていく過程も表現されている。宗教がストーリーの根幹になっているのは宗教嫌いの日本人なら気に入らないかも知れないが、このウラジーミルの時代に正教を受容したことが後にロシアの国家アイデンティティの重要な部分につながるので、ロシア側としてこの点は外せないと思われる。  そのほか視覚的にはあか抜けた印象で美しく動的な映像を見せている。町の作りなどはこれが正しいのか不明だが(あまりに粗末)、ポロツクやキエフの木造の城郭はそれらしく見えており、またケルソンがものすごい大都会という雰囲気も出していた。景観面でも主人公の立場の変化に応じて、ポロツクの森と雪、キエフの温暖な草原、黒海に面したケルソンの陽光といった差を見せていた。 登場人物としては主人公の妻(若手)と兄の妻(年増)が注目される。主人公の妻はツンデレで可愛いタイプだったが、途中で退場させられてしまったのは可哀想だった。
[インターネット(字幕)] 7点(2019-03-16 09:59:27)
464.  小さなバイキング ビッケ 《ネタバレ》 
スウェーデンの児童文学作家ルーネル・ヨンソンの「小さなバイキング」を原作としたドイツの実写映画である。日本でも1974~75年にTVアニメが放送されたことがあるが、そのアニメ自体がドイツと日本の共同製作だったらしい。あまり真面目に見ていなかったのでよく覚えていないが、主人公が名案を思いつくと星が飛散する(2回あった)というあたりはアニメ版そのままかと思った。 主人公の名前はドイツ語と英語ではヴィッキー(Wickie, Vicky)で、日本名のビッケは原作のVickeから来たものらしい。また仲良しの少女は本来Ylviという名前だそうだが、この映画の字幕では日本のアニメに合わせてチッチと書かれている。ほか映画の最後にかなり騒がしいテーマ曲が流れるが、どうやら日本以外ではこれを昔のアニメでも使っていたらしい。ほのぼの感のある日本版テーマ曲からするとかなり違和感があるが、この辺は感覚の違いと思うしかない。  内容としてはあからさまに子ども向けファンタジーだが、自分としてはけっこう面白かった。特に序盤は何気に笑わせる演出が多く、また中盤以降はバイキングにつきものの船と海をきれいに映像化しており、船が錨を下ろしたら魚群が避けた、といった少し気の利いた場面もある。そのほかビッケとチッチの2人が本当に愛嬌があって和まされた。この2人がこの映画の最大の功労者だったように思う(父さんと母さんもいい感じ)。 ちなみに苦情を書いておくと、話が荒唐無稽なのはいいとして、最初に1095年(平安後期、宋代)と特定していながら妙な現代ネタを出すのはやめてもらいたかった。Chinese State Circusの大卒金欠女などはアニメにも出ていたのか。こういうのが大人向けギャグのつもりだったとすれば大間違いというしかない。  以下余談として、2018年の大学入試センター試験で、この物語の舞台がノルウェーであるかのような問題があって批判が出ていた。出題者の意図はわかるので正解とされる答えを出すのは容易だが、事実と確定できないことをもとにした設問はやはりまずいだろうと思われる。ただ自分としては、ビッケがスウェーデンの話だったというのはこの事件で初めて知ったので役には立った。この映画では場所がどこだか不明だが(ノルウェーのようにも見えるが)、原作でははっきりスウェーデンと書いてあるらしい。
[DVD(字幕)] 6点(2019-03-16 09:59:25)(良:1票)
465.  草原の実験 《ネタバレ》 
中央アジアに実験場があったことは前から知っていたので、ロシア映画でこの題名なら「衝撃のラスト」がどういうものか想像がつくところはある。そういう先入観をもって社会派映画的に見ていたために、終わってみれば日本のアニメ「ピカドン」(1979)が10分程度でやっていることに1時間半もかけたという印象だった。そもそも「衝撃のラスト」自体があまりにもベタでそのまんまの出来事で、これはこういう映像を作ってみたかっただけではないのかという気もした。 またこの「実験」を社会問題として扱う場合、人が直接巻き込まれる危険性よりむしろ、日本でいえば「黒い雨」のような周辺地域への悪影響が長年にわたって生じたことが問題視されるのではと思われる(※図書紹介「核実験地に住む カザフスタン・セミパラチンスクの現在」)。しかしこの映画はそういうところにつながりそうな気配もなく、単に少女の恋物語を破滅的な幕引きにするためのイベントとして使っただけにも見える。この題材で日本人なら予想する類の社会批判を、ここから普通に読み取っていいのかどうか個人的には迷う状態だった。 ただし主演女優が日本の観客に向けたメッセージというのを聞くと、“現在の状態がいつまでも続いていく保証はないので、どうか今この時を大切にしてください”(大意)といった穏当な内容で、そういうことでいいのなら、個人的にはそれをそのままこの映画の解釈として採用してしまっていい気がした。やはり先入観を排して見ることが望まれる映画らしい。  ところで主人公は確かに鄙には稀な美少女だが(女優はモスクワ出身とのことで大都会の人だが)、自分としてはそんなところに目を奪われてしまうのは不謹慎だと思って自制しながら見ていた(社会派映画だと思ったので)。また全体的に映像が美的で、グラスに浮いた何かの実を口で吹いているなど細々とした描写も嫌いではない。台詞がないのは不自然なところもあったが、かえって何が起きているかを映像から読み取らなければならないので目が離せなくなる。結果としてよくわからない点もあったが、何度か見るとわかることも増えて来るタイプの物語かとは思った。 そのほかたまたま思いついたことを書くと、青春物語の三角関係で幼馴染が必ず泣く運命にあるのは日本だけのことではないらしい。恐らく無難・安定・停滞といった性質を幼馴染が負わされるからという構造的な問題だろうが。
[DVD(字幕)] 6点(2019-02-16 08:29:43)
466.  ヤクザガール 二代目は10歳 《ネタバレ》 
日本のヤクザが出るロシア映画である。原題の ”Дочь якудзы” は単に「ヤクザの娘」だが、日本向けにはかなりインパクトのある邦題がついており、これは見ずにはいられないという気にさせられる。 内容としては、ヤクザの組長の孫娘(娘ではない)がなぜかロシア(ウクライナ?)で対立組織に追われて逃避行し、そこに懸賞金目当ての現地勢力も加わってドタバタコメディをやらかす話である。それほど大爆笑でもないが結構感動的なところもあり、特に劇中出ていたロシアの諺?は心に訴えるものがある。またこの映画が好きだと思わせるのは何といっても孫娘の存在で、素直で心優しい少女でありながら横柄なクソガキなどは相手にせず、また金はなくてもシノギの心得はあるというあたりはすでに一人で生きていく素養を備えている(なぜかロシア語もうまい)が、何かと見せる人懐こい笑顔は愛らしい。  ところで劇中の日本文化の取扱いに関して、監督は一応日本に理解のある人物らしいが、ヤクザ文化とサムライ文化は基本的に別系統のものではないかとか、サムライが空中浮遊できるなら忍者の存在意義がなくなるだろうと言いたくなるところはある(ちなみに某新興宗教の影響でロシアにも空中浮遊できる人物は多いはずだ)。物語のキーワードは「義理」だったが、この言葉は現代日本では理不尽に課せられるものというイメージが強いので、ここは厳密にいえば「恩義」だろうと思われる。 一つ感心したのは登場人物の「先生」が汚職官僚に切腹を迫ったという話で、これはロシアというより当の日本でも、不始末があれば腹を切る(物理的に腹を切るかまたは他の方法により自決する)覚悟のない者が公職に就くなどあってはならない、くらいのことは言ってやっていい。なおその「先生」は千島列島を返すようロシア政府を説得したとのことで、これは日本側からすれば良心的ロシア人ということになるだろうが、そういうのは精神異常者というのが向こうの公式見解かも知れない。  ほかキャストについて、孫娘役の荒川ちかという人は、以前にホラーマンガ原作映画「富江」シリーズの「富江VS富江」(2007)で“ちび富江”をやっていたのを見たことがあるが、この映画では少し年齢が上がって、撮影時点では邦題のとおり満10歳だったらしい。今はもう大学生になっているようで、これからどういう道に進むのかわからないがとりあえず頑張ってもらいたい。 [追記]この映画に日本側から出演した俳優が2019/2/1に逮捕されたが、この映画自体はいまさら封印されるとかいうほどのものでもないだろうとは思う。舞台挨拶(2011/10/22)の様子など見ていると人物像が窺われるところがある。
[DVD(字幕)] 7点(2019-02-16 08:29:41)
467.  ヴァンパイア ナイト 《ネタバレ》 
キングレコードの製作である。こういう映画も恐らくそれなりに経営上の合理的判断に基づいて作られているのだと思われる。 まず、一応の映像作品として見せようとしている部分もあるようだが特に語りたくなるものはなく、それより冒頭いきなりキモ男から始まるのでは見るなと言っているのに等しい。またストーリー的には、人が鶏を食うなら吸血鬼が人を犠牲にして何が悪い、といったトーキョーグール風アピールも見えていたが半端に終わり、その後は必然性不明の子連れ狼とか入れ込んだりするので統一感もない。加えて明らかにおちゃらけた部分が多く、話の意味を真面目に読み取ってやろうという気分に全くさせないところがある。 あるいは話の意味など考える必要もなく、観客はただ映像を消費することだけが求められるというなら話がわかるが、それにしてもとにかくかったるい展開で、何だかわからない前振りを延々と見せられてストレスがたまった状態で半分くらい過ぎてしまい、後半に入ると動きが出るがスピード感もなくスリリングなところも爽快感も何もないまま終わってしまう。エンディング後の場面は続編でも作るつもりだったのか。 ちなみに全体的に撃つ/射る動作を始めてから何もできずに過ぎる時間が長いのが苛立たしい。  以上により要は、この人が出ているからおれは見るのだ、という確固たる意志がなければ耐えられない映画になっている。上野優華さんは最近悪役が多い気がするが、こういう役をやっていると本当に可愛い人だ。また自分としてはこれまで柳ゆり菜という人の印象があまりなかったが、この映画で改めてどういう感じの人だったか(主に顔と体型)を確認できた気がした。この2人に関して、個人的には特に湯上りの浴衣姿が好きだ(入浴場面はない)。 そういった類の理由で、例えば2点/10点くらいの評価をする観客が一定数いるだけで製作目的が達せられる映画なのかと思ったりした。それにしても協力したアーチェリーの競技団体や神奈川県の旅館にとっては不名誉な結果になったのではと心配になる。
[インターネット(邦画)] 2点(2019-02-08 23:21:49)
468.  誘拐少女<OV> 《ネタバレ》 
まず、見るからに低予算な上に娯楽性が全くなく、またDV男(妹尾青洸という役者)の顔を見たくないにもかかわらず最後まで出て来るのが不快なので、そういうのに耐えられない人は見ない方がいい。  内容としては極めて真面目な物語で、「大誘拐」のような痛快要素も全くない。要は父親のDVのせいで離婚した母親の娘2人(中高生)が、現状を打破するためにとんでもない行動を起こしたが、結果的には何とかなったという話である。 そもそもの動機は妹の復讐だったようだが、これはこの面で一歩先んじていた姉が収めたらしい。また学費は母親も納得の上で父親に出させることにしたと想像される。妹が自分は父親似ではないかと気にしていたらしいのは気の毒だが、しかしそこは姉が言ったように、自分で何とかしていくしかないという現実的な対処が見通されていたようである。少し困ったのはラストの一瞬で、姉妹の前面(カメラ位置)に誰かがいたかのような表情に見えたのが意味不明だったが、しかし適宜に解釈すれば、朝に意を決して出て行った姉妹が夜になって凱旋し、その時点ではもう父親からも母親からも距離をおいた一人の人間としての顔を見せていたと思えばいいか。 一方で、当のDV男も本来悪い人でないことが一応アピールされてはいたようだが、しかし本性の善悪がどうあれ威圧的・暴力的な言動が許されないのは当然のことである。こういう人間は一生治らないだろうから最後は孤独に寂しく死んでいくのが正しい結末だろうが、その前に学費を出させる必要があるので今すぐ死んでもらっても困るわけである。  ところで姉妹2人とその幼少時の2人がスターダストプロモーションの所属で、製作がSDPなので自社タレントのPR映画と思うが、その割に主演2人を可愛く見せることが優先されていないのはドラマ重視ということらしい。姉役の高橋春織という人は困ったような情けない表情が多く、美少女ともいいにくいが愛嬌があるとはいえる。また妹役の浅見姫香という人はとにかくきつい顔で、可愛いともいいにくいが美少女といえなくもない。とりあえずこの2人は印象に残ったので若手女優紹介の役目は果たしていたかも知れない。 ちなみにこの後に同じ監督の「恐喝少女」(2015)、「強盗少女」(2015)というのが制作されていて、「少女犯罪シリーズ」といわれているようだが特に見る予定はない(今回のがあまりに地味)。
[インターネット(邦画)] 5点(2019-02-08 23:21:46)
469.  青夏 きみに恋した30日 《ネタバレ》 
少女マンガ原作映画だが、このポスターデザインでは写る方も見る方も恥ずかしくなる。 夏休みの話なので青空と雲・緑の山・渓流・海・ヒマワリといったそれらしい映像が満載で、主な撮影場所は山村とリアス式海岸が近接する三重県度会郡から志摩にかけてだったらしい。「ハートの入江」(度会郡南伊勢町)に近い山頂で主人公を捉えたカメラが引いて、後に隠れていた友人や周辺の山河が視野に入って来るところは映像的な見所だったかも知れない。  物語としては、序盤からいきなり感情問題で角を立てるので気分が引いてしまう。田舎の純朴な少年にしてもまるで本物のガキのようなのは呆れたが、よくある完全無欠のイケメンよりはリアリティがあるといえなくもない。少し感心したのは期間限定なのでキスしないという真面目な態度で、これはこの男の純朴さがいい方向に出たということか。2週間程度のラブラブ期間中もそれほどベタつかず、ラストで決着がついて初めてキスを一回だけというのがいわゆる爽やかな青春ラブストーリーの雰囲気を出している。 また最初に「運命」という言葉が出ていながら自分で未来を作る方に重点があり、特に主人公が自分だけでなく、相手の男まで引っ張って2人の未来を作ってしまう展開はなかなかいい。こうなるともう運命という言葉自体が意味を失う気もするが、そもそも若い連中にとっての運命など不確定な未来に対する不安の表れでしかないところを、この物語では未来への意思を固める補強材として使ったということかも知れない。 若手女優に引かれてまたしょうもない少女マンガを見てしまったかと思っていたら、けっこう正統派の青春物語だったようで悪くなかった。  キャストについては、葵わかなさんはさすがに少し大人っぽいが16歳の印象も出しており、制服姿は可愛らしいがすっきり整った顔の美しさが見えるところもある。またライバル役の古畑星夏さんは、最近見たのは制服女子高生ばかりだったが今回は本来の年齢に近い役で、くっきりめのメイクが大人っぽく、夏ということもあって露出の多い服装だった(胸とか脚とか)のが刺激的で新鮮に見えた。ちなみに古畑星夏さんのお母さんがこの映画を見て、あんたいつも可哀想ね、と語っていたというネット上の記事には笑った。
[インターネット(邦画)] 6点(2019-02-02 09:29:44)
470.  わたしに××しなさい! 《ネタバレ》 
少女マンガ原作映画で、基本的にはラブコメらしい。 まずは題名に目を引かれるが、英題のMISSIONS OF LOVEというのが内容の端的な表現になっている。簡易なものから1、2と順に任務が課せられるが、3がこれだと最後はどこまで行くのかと思っていたら完遂しないまま放置され、その後は終盤で出た99が究極のミッションかと思えばそうでもなく、最後にまた3が復活していたのはお約束だろうが一件落着の印象を強めている。その後さらに99から桁がランクアップして一段上のステージに上ったようで、原作がどうだったのかわからないが(かなり省略があるようだが)これはこれでまとまった構成になっている。  物語としては、まず前半はテンポよくユーモラスに展開する。女子中高生向けに刺激的な要素を小出しにしてはぐらかして焦らして面白がる感じのようで、ポスタービジュアルもそういう趣向の一環と思われる。マンガっぽい映像表現も違和感がなく、主人公の部屋で机上に出現する少女(小説の主人公らしい)も楽しい。 後半になると男の暗い過去が明らかにされたりしてまたこういうやつかと思わされるが、終盤を珍しい感じのイベントで盛り上げて、ここで主人公の正体を皆に見せつける展開になるのが気分を高揚させる。続くラストのハッピーエンド感にもかなり嬉しくさせられてしまい、年齢性別としては明らかに対象外ながら、意外にも見てよかったと思わされる映画になっていた。 ちなみにweb小説原作の映画など素人レビュアーにクソミソに書かれそうだが、主人公にはくじけないで頑張ってもらいたい。  ところで主演女優はこれまであまり何度も見たことはなかったが、今回は洋風の顔立ちを生かした人間離れした美少女で、その上に冷徹な策士と恋に揺れる乙女とコメディエンヌの諸相を見せつけるので、結果的に玉城ティナという名前がかなり強烈に印象づけられた気がする。主人公はいつもこんな格好で外出しているのかという服装ばかりだったが、着ている本人の体型も含めて見栄えのする人物になっていた。 また「可憐なライバル」役の山田杏奈さんは、もっと内に秘めた黒いものがしみ出してくる感じかと予想したがそうでもなく、結局は素直で純粋な人物だったらしいと思わされたので大変結構である。「バッカみたい」のあたりは可愛らしい。 ちなみに高田里穂さん(編集者・川渕エリカ役)も長身で美形の人なのでもっと目立ってもらいたい。
[インターネット(邦画)] 6点(2019-02-02 09:29:43)(良:1票)
471.  TOKYO CITY GIRL-2016- 《ネタバレ》 
若い女性を主人公にして4人の監督が撮ったオムニバスである。前作「TOKYO CITY GIRL」(2015)は6話だったが、今回は話数が減って平均時間も長くなっている。  【LOCAL→TOKYO】 よくわからないが勝手に解釈すると、田舎には何もないと思って東京に出てもやはり何もないわけだが、田舎でもいいこと、やれることがたくさんあるとわかってから東京に出ればもっといいこと、もっとやれることがあるという意味か。 それにしても武田玲奈さんはいつでもどこでも可愛い人だ。友人(ともこ)役は見たことがあると思ったら芋生悠という人だったらしい。 【あなたの記憶(こえ)を、私はまだ知らない。】 心の欠落部分を埋めるために2人が過去の記憶を共有し、それが結果的に2人の心を結びつけたと思えばいいか。最後は特に言ってなかったが、主人公はあの店の常連になっていたと思われる。 主演は高見こころという人で、少し前に見た「ねこにみかん」(2013)から一転して地味系女子になっている。一方でケバめの後輩を演じていたのは意外にも入来茉里さんだったようで、役柄としては間違ったことを考えていても正しいアドバイスをする聡明な(適当な?)人物だった。 【幸せのつじつま】 かなり笑わされた(泣かされた)。当然ながらちゃんと辻褄を合わせるお話である。相手の男も真直ぐな感じでいい奴だ。 主演の飯田祐真という人はそれほど何度も見たことはないが、かなりの個性派女優かと思っていたら、今回は極端に可愛い方に振れている(それを期待して見たわけだが)。ちなみに他のエピソードでも特別出演として顔出ししているらしい。 【ひらり、いま。】 父親がイタい人物(相当上の世代に見える)かつ気色悪いオヤジなのでかなり引くが、娘と仲が悪いわけでもなかったらしい。引越先まで送って来た身内が去るときの心細い思いは遠い昔に経験している。 主演の増田有華という人はAKB48所属だったとのことで有名人らしい。この映画では少し素朴な可愛らしさを出している。  とにかく若い女性を元気にしようとする企画のようで、前作に比べてもハッピーエンドの印象が強くなっている。寓話的でリアリティに欠ける面もあるが問題にはならない。また男にとっては出演女優を見て和まされるという意義もある。物語的にも厳密な対象限定ではなく人間一般が共感できる内容で、東京のシティガールの話だからと田舎者が敬遠しなくていい映画だった。
[インターネット(邦画)] 7点(2019-01-27 08:28:09)
472.  TOKYO CITY GIRL 《ネタバレ》 
若い女性を主人公にして6人の監督が撮ったオムニバスである。東京のシティガールの映画など田舎者は遠慮すべきではないかと思ったりしたがあえて見た。  1「なんの意味もない」 なんの意味もないようでも、受け手の創造性が喚起されれば自ずと意味が生じる。これはある意味芸術かも知れない。 主演の青山美郷という人は別の悲惨な映画で悲惨な顔をしていたのを見たことがあるが(「人狼ゲーム ビーストサイド」(2014))、この映画では少しとぼけた感じながらも突破力のある女子高生をやっている。意外に感動作。 2「キッスで殺して」 大変申し訳ないが上司の言ったことが正しい(だいたい間違い)。主人公の本当の顔はラストでやっと明らかになる。 3「HOPE」 深刻な話だが、ここまで追い込まれて初めて達する境地に、20歳直前にして(幸いにも?)至ることができたということらしい。結末は不明だったが、そもそも人を不幸にして喜ぶタイプの企画でないことから自ずと知れる。それにしても比嘉梨乃さんは19歳にしては大人っぽい。 4「17歳、夏」 ひたすら下劣だが一応笑わせる。リスの交尾は珍しい。 5「EAST END」 題名はロンドンの東にあって、貧困層が多く居住することで知られている地域の名前(現在は再開発が進んでいるとのこと)。主人公は川の両岸に絶望的な断絶があると思い込んでいたようだが、別に「橋のない川」というわけでもなく(現に橋はかかっている)、要は自分で動けば事態は変えられるということだったらしい。ちなみに街の風景は主に京成立石駅周辺と思われる。 6「KOENJI 夢の寿命」 中央線の高円寺。新たな夢が見えたともいえないが、とりあえず生存可能限界を下回りそうになったところを間際で持ちこたえて、今度はアクティブな上昇局面に転じたということか。主人公は風俗嬢だが最後に見せ場のようなものがあり(街に憑いた不運の根源を打倒、さすが武田梨奈さん)、これがオムニバス全体の締めになっている。  エンディングの街頭インタビューを見ると、「夢」がテーマだったかのようでもあるが実際はそうでもなく、要は複数のエピソードに出る「愚痴聞き屋」というのがこの映画自体の立場だったのではないか。「夢」とまではいかなくても希望を語る内容ではあったかも知れない(4以外)。 ちなみにこの後「TOKYO CITY GIRL -2016-」というのも製作されているので併せて見るのが望ましい。
[DVD(邦画)] 7点(2019-01-27 08:28:08)
473.  狂々スタント狂想曲<OV> 《ネタバレ》 
こんなものを映画として扱っていいのかと思ったが、主要映画サイトに名前が載っており(レビューがついているかは別)、また福岡インディペンデント映画祭2011でグランプリ受賞(60分ムービー部門)などということが誇らしげに書いてあるので、世間的に映画扱いされているのは間違いないらしい。ただし決して真面目に見るものではないと一応書いておく。  外部情報によると、アクション関係の芸能プロダクションである「株式会社ワーサル」の自主制作とのことで、DVD特典に同社の「交通安全スタント」のイベント映像が入っているのは営業活動の一環と思われる。 監督や出演者も実際にアクション・スタント関係者らしいが、しかし「スタントウーマン」として出演する藤澤志帆という人は普通に女優であってスタントはやっていないと思われる。劇中でアクション演技をこなす場面はあったが、本人は「アクションもこんなにやったことがなかった」と言っていたのでこれ専門ということは全くない。ただし所属事務所のプロフィールを見ると、特技に「アクション、バク転」とは一応書いてある(2004年のTVドラマ「天国への応援歌 チアーズ ~チアリーディングに懸けた青春~」でも本人がバク転をしていたようだった)。 内容に関しては「4人のスタントマンを追った映像記録」と言っていたが要はフェイクドキュメンタリーで、見ているうちにこれはさすがにウソだろうという展開になり、最後に適当な理由で全員集めて、他の出演者も入れた5分程度のアクション(乱闘)場面を作って終わりになる。なおスタントの話として始まっていながら最後はアクション映画だったというのは話がずれている。  以上のどこが面白いのか自分としては説明できない(面白くないので)。見てよかったと思ったのは藤澤志帆さんが可愛い人で和まされることだけだったので、そこにだけ点数を入れておく。個人的には完全にこの人のPVだった。ちなみに前記イベントではMCをしていたらしい。
[DVD(邦画)] 2点(2019-01-22 20:59:47)
474.  天国への応援歌 チアーズ ~チアリーディングに懸けた青春~<TVM> 《ネタバレ》 
読売テレビのドキュメンタリーをもとにして日本テレビが製作した高校チアリーディング部のドラマである。ちなみに映画・TVドラマの「チア☆ダン」のチアダンスとは違うもので、映画の台詞で「誰かを放り投げたり」と言われていた方の競技ということになる。もとのドキュメンタリーは大阪府豊中市の高校の出来事だが、このドラマで見えた海や船溜まりのある風景は神奈川県三浦市だったらしい。 物語としては、前年に全国大会で優勝した際の部長が突然死去し、一度は意気消沈していた部員が奮起して、次の全国大会でまた優勝を果たす話である。「スポ根」ではなく「チア根」(苦しいことを楽しむ)だそうだが基本的には根性物で、当然ながら存在する選抜漏れの部員も含めて最後はそれぞれ得るものがあったという話になっている。劇中使われる「でーきーる」という掛け声はよかったかも知れない。  苦情としては、まず当初時点の低迷と最後の高揚の差を大きくしたいのだろうが最初の方を落ち込ませ過ぎで、本当にこんな悲惨な状態から全国大会優勝まで持って行けるのか怪しいものだという気がして来る。まあこういうドラマはだいたいそういうことになっている気はするわけだが。 またコーチを狂言回し的な役割にしていたらしいが成功しているとは思えない。いたる所でコーチの声でナレーションが入るが、まるきり当事者意識の感じられない観察とか論評ばかりでコーチの人格が疑われる。登場人物としても、自主性を重んじる建前らしいが部長や部員が苦しむのを眺めて放置するだけで、コーチの役割というものをどう考えているのかわからない。口を開けば皮肉か叱責か説教で、「練習の雰囲気が暗すぎる」とはお前のせいではないのかと言いたくなる。どうも「チア☆ダン」とあまりに開きのある人物像で呆れてしまった。  キャストについては当時注目の若手を揃えて人目を引く形になっており、3年生役は実際に全員が17~18歳くらいだったようで可愛らしい(今より)。撮影前には訓練でいろいろさせられていたようでご苦労様だが、どうせ若いから多少きついのは何でもなかろうと思ったりもする。個人的に人物+外見で一番いい役だと思ったのは主人公の親友(演・市川由衣)だった。ほか部長に指名されなかった瞬間の沢尻エリカの表情が好きだ。
[DVD(邦画)] 5点(2019-01-22 20:59:46)
475.  銀魂 《ネタバレ》 
原作は読んでいないが笑える映画ならいいかと思って見たところが大して笑えるわけでもなくかろうじて少し笑いかけてこらえたのは「てへぺろ」のところだけという有様でほかは橋本環奈の体形が気になってしょうがなかったという思い出しか残らず要は原作ファンが盛り上がるための映画だったのかと思いかけたところでネット上の評判を見るとどうもこのシリーズはイケメン揃いなことが売りになっているようでそういえば去年8月頃にうちの部署の女子が2を見に行きたいと言っていたのはそういうことだったのかと初めて得心がいってそれなら最初からムロツヨシも佐藤二朗も安田顕もどうでもよかったわけだと落ち着いた気分になったので大変よかったと思った。2は見ない。
[インターネット(邦画)] 4点(2019-01-19 08:58:25)
476.  夏ノ日、君ノ声 《ネタバレ》 
映像的に見栄えのするところはある。乳白色がかった海辺の風景などは独創的ともいえないだろうが嫌いでない。場所は基本的に静岡県牧之原市だったようで、海の向こう(左手)に陸地が見えたのは伊豆半島だったということか。主題歌が書き下ろしだったらしいのも悪くない。  物語としてはありがちな難病物のパターンで、かつ素直に共感できる話にもなっていない。全体的には、主人公の男が地元に帰って昔の記憶を清算した上で結婚の決意を固めた話だろうが、本当にこれでふっ切れたといえるのか疑問が残る。昔の少女を抱き締めたと思ったら現在の幼馴染だったというのでは、最初から相手のことをまともに見ていたのか怪しいことになり、そこでいちいち殴られなければ目が覚めないのでは困ったものである。また箱に花マルを描いたのは昔の記憶への評価を示すものではあるだろうが、これが最終的に決着をつけたことの証拠だとも言いがたい。幼馴染は人生の選択を誤ったのではないか。 加えて主人公の男が全く好きになれない。古畑星夏さんに向かって何という口のきき方をするのかと腹立たしい場面が多く、それは幼馴染で遠慮がなかったからというニュアンスも最終的には出ていたようだが、自分としては幼馴染も病院の少女も両方の気持ちを大事にしてもらいたかったのに、うまくいったように見えないのはこの男がバカだからだと全部この男のせいにしたくなる。 そのほか、わざわざ批判的な観客向けに突っ込みどころを大量に用意したかのように見えるのは大変よろしくない。一応の社会人として気になることを書くと、看護師というのは出血して倒れている人間に手当もしないで帰れというのが普通なのか。かつては主人公同様の不良だったのかも知れないが、主人公が不良という設定自体がストーリー中で浮いて見える。  登場人物に関しては、病院の少女が変に顔を近づけて来るのが蠱惑的で、これで男がその気になってしまったのかとは思った。それまで人付き合いがなかったために距離の取り方がわからないのかも知れないが、あるいはネコがコミュニケーションで顔を寄せる習性を思わせるところもあり、そうすると無音で近づいてきて人を驚かす場面があったのもそういうことだったのかも知れない。主演の荒川ちかという人は子役時代からの経歴がある人で、今回は年齢なりの素朴で純粋な少女役になっている。終盤で初めて声をあげて泣いたところは少し泣かされた。
[インターネット(邦画)] 6点(2019-01-19 08:58:24)
477.  おろち 《ネタバレ》 
監督・鶴田法男、脚本・高橋洋といえば明らかに邦画ホラーの構えだが、実際見るとふざけた怖がらせなどはなく、人間の心の闇を描き出そうとする極めて真面目な映画になっている。ただ白黒フィルムに写った女優の顔とか、少女が床に落ちた様子が「女優霊」(1995)を思わせるものはある(笑う女はいない)。 また開始時点が昭和25年で次は昭和44年頃かと思うが、映像面のほか人物の言動などでも年代がかった感じを出しており、舞台になった古めかしい洋館は昭和(戦後)の怪奇映画を思わせる。ちなみにまた後の時代に飛ぶのかと思っていたら最後までその時代で止まっていたが、原作の発表年代がそもそもこのあたりだったらしい。 そのような雰囲気はいいとして、物語的には昔のいわゆるメロドラマでも見ている感じでそれほど心を動かされない。まともな役者が熱演しているにもかかわらず心が痛いと思うこともなく、そうですかそれは大変でしたねとお愛想を言って終わりになるような感覚だった。また題名の主人公が意外に活躍しなかったのも不満だが、「やめなさい」と言ったところはかろうじて格好よかった。 その一方、エンディングで出た主題歌(柴田淳「愛をする人」)が少々古風ながら妙に心に刺さる曲で、これで映画全体の印象がかなり底上げされた感はある。映画に関しても、年代がかった物語のようで実際は人間の本質的なところを捉えていて、いつの世にも変わらないものが表現されていたのかも知れないと思い直したのはこの曲のせいである。監督は楽曲のタイアップがお嫌いかも知れないが(cf.「POV〜呪われたフィルム〜」(2012))、これを見れば必ずしも悪いことばかりではない。  なおキャストに関しては、まずは谷村美月嬢が可愛らしい(当時18歳くらいか)。この人も演技派だろうがナレーションは少し素人っぽく感じた。また姉妹対決では、個人的な好みの問題から中越典子さんを応援していたが、結局どっちがいい人ということもないわけである。この人には一瞬ほんのわずか色っぽい場面がある。
[インターネット(邦画)] 6点(2019-01-12 18:59:15)
478.  死にぞこないの青 《ネタバレ》 
まず前半で重要なのは、理不尽な仕打ちにはしっかり対抗する構えを見せないと、相手がどこまでもつけ込んで来る恐れがあるということである。主人公はもともとコミュニケーション能力が不足だったのか、三度続けて適切な対応を怠ったことで集中攻撃されたようだが、しかしその後は焼却炉での反撃で迫害側の一部に打撃を与え、同時に教員の弱味も衝いた形になっていた。これを一定の勝利と捉えて、あとは川原で青いのが言ったことを心にしっかり持てばそれでもよかったと思われる。  しかし後半に入ってからは不満が多くなる。原作がどうなっているのか一応読んだところ(年少者向けなので読みやすい)、原作の筋立てを比較的忠実に追いながらも巧妙にアレンジを加えていたようだが、その変えた部分が不満の原因だったようである。 まず映画では、教員の家族関係の話を加えることで、教員もまた救われるべき者として位置づけていたらしい。しかしそのように同情を引く扱いにされてしまうと、そもそも教員たるものが児童を監禁し暴行を加えた上に殺そうとまでしておいて、本当は怖かったなどと泣きを入れれば許されるのか、という怒りがかえって誘発される(お前が死んで妹を泣かせろ)。 また映画では、主人公と教員が対等な立場で和解したかのような演出になっており、これで父親の言った“話せばわかる”式の綺麗事がそのまま通った形になっているのが気に食わない。もし相手が単純に他人を虐げたい性癖の者であったりすれば和解しようなど有害無益であり、ここは実力で対抗したからこそ要求が可能になったというように、あくまでパワーバランス的な解釈でなければ納得できない。愚直に理解を求めていれば願いが天に通じるとでもいいたいようなのは戦前の発想か。 そのように、いわば“製作側の良心”のような改変を加えたことで、かえって自分としては毛嫌いするタイプの映画になってしまっていた。ちなみに主人公の姉を死なせたのはかわいそうだ。  なお出演者では谷村美月嬢が青い顔で迫力を出しているが、背景色との調和に配慮されていたようで特に違和感もなく、最後には清潔感のある姿もちゃんと見せていた。また子役では三吉彩花という人が出ていて、明らかに美少女だがかなりの変顔をしている場面があったりする。ほか知っている範囲では近藤真彩という人の顔も見えたが、広瀬アリスは誰がそうなのかわからなかった(目立っていたはずだが)。
[DVD(邦画)] 6点(2019-01-12 18:59:13)
479.  三十路女はロマンチックな夢を見るか? 《ネタバレ》 
宣伝写真の印象ではいわゆるギャング映画かと思うが、実際は堅気の主人公が、逃亡中の銀行強盗犯(男1女2)に同行する羽目になった話である。ロードムービー的なところがあり、場所としては房総半島をうろうろしているように見える(撮影は静岡県でもしている)。また最後に「大ドンデン返し」が用意されていることになっているので、見ようとする場合は事前情報を遮断した方が無難である。  その「大ドンデン返し」はそれ自体がけっこう複雑な構成になっているが、その一方で、メインの筋立ても複雑というか納得のいくものではない。 監督によるとテーマは「夢」とのことで、高校時代に一度それまでの夢を捨て去ったはずの主人公が、実際は納得できていないまま20代を過ごしてきたが、たまたま今回の事件をきっかけとして、30代なりにリニューアルした夢を手に入れたという話と解される。ただしその過程で主人公にも迷いがあり、隣部屋のオバサンが言ったような別の選択もあり得たのだろうが、題名への回答でいえば“見たが醒めた”ということだろうと思われる。 しかし、それにしても途中の行動の意味づけが不明瞭または両義的なため、見る側としては最後まですっきりせず、さっきのあれは一体何だったのか??という思いを残したまま終わってしまう。最終的な主人公の選択も唐突に思われたので、途中で表現不足になっていたところがあるのではないか。また、30代なりの夢を具体化したのがラストのイベントだったとすると、あまりに貧弱かつ今後の発展性も期待できないので落胆する。別に異動しなくても、前の部署でやっていたことがそのまま夢の実現につながるくらいの気持ち(この街の平和は私が守る!)が持てなければ、30歳を迎えてランクアップできたと言いがたいのではないか。 そのようなことで、個人的には「大ドンデン返し」だけで絶賛するわけにもいかない映画だった。  なお余談として、主人公の語っていた運動会の件は一般的な競争に関することであり、これを「夢」に関連づける必然性はない。また才能の有無を考えないという話は、結果的に才能のあった人間が後日談として語ることのような気がする。 ほかキャストに関して、武田梨奈さんは撮影当時25歳だったのに約30歳の役をやっており、そのせいか外見的にはさえない印象だった(演技は別として)。アクションはないが回し蹴りのようなのが1回だけある。
[DVD(邦画)] 4点(2019-01-06 18:59:42)(良:1票)
480.  海すずめ 《ネタバレ》 
愛媛県宇和島市の映画である。公式サイトによれば、宇和島藩主だった伊達家の第十三代ご当主が企画段階から関わったようなことが書いてあり、劇中でも本人役の出演者になっているが、これほど殿様が前面に出るのはご当地映画の新しいパターンかも知れない(蔵を訪ねた場面の演出には笑ってしまった)。主人公の名前(及び題名)の由来になったのも伊達家の家紋「竹に雀」だが、これは基本的に仙台の伊達家と同様でデザインを若干変えているらしい。 映画宣伝には「今でもお殿様が存在する珍しい街」と書いてあるが、ただし仙台の伊達家のご当主も現在は仙台市在住と思うのでそれほど珍しくない。ちなみにうちの地元の殿様は一貫して地元在住で地元貢献も多大なので宇和島伊達家には全く負けていない(石高も多い)。  内容としてはかなりいろんなものを詰め込んだ印象があり、そもそも主人公に自転車乗りと作家志望という2つの性格付けがなされているのでイメージが統一できない。ストーリーとしても「宇和島伊達400年祭」関連の文献探し(+島の高齢者)、主人公の作家としての成功と、図書館の自転車部門の存廃(+同僚の今後の生き方)の3つの話が並行しているように見える。主人公の台詞で「全てはつながる」と言っていたが、一応つないだようでいて個別に決着つけただけのようでもある。 この中で特に自転車の話を出す必然性がどこにあったのかと思うが、これは宇和島というより愛媛県として自転車関連施策を推進しているからではないかと想像される。宇和島市の図書館に自転車課はないだろうが、県庁には「自転車新文化推進課」というのがあるようで、そのように各方面の思惑がからんだ映画に見えた。  キャストに関しては、主演の武田梨奈さんは自転車をこいでいる健康的な姿と作家志望のキレイなお姉さんの二様が見られるほか、物憂げな顔でその辺を眺めているとか、眼差しに優しさを出しているあたりは女優の顔をしていて結構だ(アクションは全くない)。また上野優華さん(徳島県出身)は近年悪役が多い印象があるので、この映画で普通に可愛い(すごく可愛い)役だったのは安心した。岡田奈々さんはおっ母さん役だが今もかわいく見える。そのほか図書館の変人娘(演・佐生雪)にも少し注目したが、終盤に出たお姫様には結構驚いた(さすが宝塚/ちなみに愛媛県出身)。そもそも役柄の割に脚がきれいすぎると思っていた。
[DVD(邦画)] 5点(2019-01-06 18:59:40)(良:1票)
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