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かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1246
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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481.  仮面ライダーW FOREVER AtoZ/運命のガイアメモリ 《ネタバレ》 
仮面ライダーWの劇場版は「ビギンズナイト」に続いて2つ目だが、話の内容としては特別面白いというわけでもなく普通に見える。劇中世界が破滅に瀕していたようだが、そもそも一都市限定の話なのでスケール感はあまりない。さすがにアクションは派手でけっこう力が入っているように見えるが、これで現代の標準ということなのかも知れない。 また登場人物について、TV版は見ていないので劇中の照井竜と鳴海亜樹子が親密になる過程は自分的には飛んでいるが、これを見る限りほのぼのと幸せそうで結構なことである。またラストでの主人公2人のやり取りなど聞いていても、何より主要人物がみな愛すべきキャラクターだということがこのシリーズの魅力だったろうと想像する。ほか今回は敵方のオネエキャラの存在が光っていた。  ところで今回も個人的には園咲若菜という人物が目当てで見ていたわけだが、前作よりは画面に出る時間が少し長いものの、終始同じ撮影現場で変化がないので面白くない。微妙に表情をつけたりもしている(ちっ、というのもあった)が、ストーリー展開には寄与していないように見えるのは残念だった。 なお映画そのものとは無関係だが、この若菜姫のラジオ番組「園咲若菜のヒーリングプリンセス」は、現時点でもインターネットラジオのサイトが存続しており、聞けば非常に心癒されるものがある。4年も前のものということになるが、これが現在もなおこの番組のファン拡大に寄与し続けているのかも知れない。
[DVD(邦画)] 5点(2014-07-24 20:24:58)
482.  偽りなき者 《ネタバレ》 
まず劇中の園長に関して、知性によらず嫌悪感だけで全否定に至るような態度は知的生物たる人類の一員として恥ずかしい。責任者として児童と保護者に申し訳ないという思いで頭が一杯なのか、客観的にどうすべきかが全く見えていないらしいのも組織の管理者としては不適格である。自分の感情処理が最優先になっているにもかかわらず、本人は他人のためと思っているのだろうから始末が悪い。さらに周辺を動員して攻撃対象を孤立させるやり方は卑劣で悪辣であり、これも当人の本性が表に出たのだろうと思われる。これで責任感が強く良心的な人物などと思われているとすれば腹立たしい。 また児童の父親は、要は自分の子が嘘つき扱いされたことに反発したのだろうから主人公の訴え方はかなりまずい。せっかく直接話す機会が得られたのだから、淡々と経過を説明してあとは判断を任せればよかっただろう。親馬鹿はまだ仕方ないとしても、主人公までが感情に訴えるしか能がないのでは全く共感できず、こいつはバカかと呆れるだけである。なお主人公の支援者も基本的には情で動いていたように見えており、その点では対立勢力と同類と思われる。客観的な視点の持てる人物が劇中にいない(裁判所を除く)のは見ていて非常に苛立たしい。 そのほか自分の罪悪感を他人に転嫁して憎悪するタイプの人間もいたかも知れないが、何にせよ大多数の周辺住民は、特に切実な動機もなく自分なりの検証もせず態度保留するわけでもなく単に付和雷同で叩いていただけと思われる。日本の映画なら“これだから田舎は困る”で終わってしまいそうな話だが、外国映画のため素直に普遍的な問題として受け取ってもらえるのは幸いである。  以上、どうせ人間というのはこの程度のものであり、理性的な話が通用するなどと考えない方がいいのは世界共通のことらしい。こんな世の中に生きているよりも、おれはやってない、お前ら全員呪ってやる、と叫んで衆人環視の前で自決して果てれば、関係者全員に一生残る心の傷を負わせて復讐できるだろうが、ただし主人公には息子がいるのでそういう破滅的なことはできないわけである。 なお点数は個人的趣味の問題であまり高くできないが、客観的な評価としてはここの平均点(自分のを除く)に納得する。ストーリーが初めから主人公を追い込む方向で組まれているのは制作側の都合優先に思われなくもないが、映像が美しいのは印象に残った。
[DVD(字幕)] 5点(2014-06-11 20:28:33)(良:1票)
483.  PIECE ~記憶の欠片~ 《ネタバレ》 
一応説明しておくと、仮面ライダー・戦隊シリーズにヒーロー役で出た役者を活かすためのプロジェクト“TOEI HERO NEXT”というシリーズの第1弾である。この映画では「仮面ライダーオーズ」の2人がダブル主役で出ており、ほか自分の知っている範囲では「仮面ライダーW」の園咲若菜役も出演している。ちなみに現時点で第4弾まで出ているようである。 内容としては、変身ヒーローがおらずアクションもほとんどない東映特撮といったものだが、子ども向けというより若干シビアな感じになっている。「オーズ」のTVシリーズは見ていないので、主役2人が当時とキャラクターを変えているかはわからないが、少なくとも「零」役は5つの人格を瞬時に演じ分けるということをやっているので、これはなかなか頑張っているのではないかと思われる。特に「綾さん」を熱演しているのは非常に面白い(惚れてしまいそうだ)。本来の鑑賞動機は元カノ役を見ることだったが、そのほかイマカノ役もなかなか愛嬌のあるキャラクターを演じており、最終的には主役を含めて主要人物の皆に愛着がわいて来る作りになっている。 なお最後は明らかに謎を残して終わるので、このままでは続編がなくては済まない状態になっているが、現時点でこれの続編は出ていないようである。別に続編を期待するわけでもないが、その後がどうなったのかは気にならなくもない。
[DVD(邦画)] 5点(2014-06-09 20:33:17)
484.  くらげとあの娘 《ネタバレ》 
生真面目な映画である。自分が見る限り微妙に可笑しいところが2箇所あるが、ほかに笑える場面は全くない。あまり起伏もなしに物語が進み、見る側としては何が起こっているのかわからないまま気が抜けずに疲れるが、しかし子役が出る場面だけは普通に心なごむものがある。 主人公の男もどうやら子ども好きではあったらしいが、しかしこの主人公のダメ男ぶりには本当に呆れた。自分としても思い当たることがないわけではないが、これほどバカで優柔不断では観客としても全く応援する気にならない。最低限、知能程度が疑われるような行動はなしにしてもらえなかったかと思う。  それはそれとして物語を真面目に見るとすれば、自分で求めなければ得られない、というような基本的事項はもちろん、相手のサインをどう受け取るかというような点でも、非リア充系男子の婚活に役立ちそうな映画に見える(婚活イベントで上映すればいいのではないか)。理屈をいえば婚姻率の向上や晩婚化の回避、ひいては少子高齢化の抑制にも役立つ有意義な映画といえなくもない。 しかしラストは何が起こったのか正直よくわからなかった。最後のわずかな希望だけは逃すまいと絶望的な努力をする、という表現だったら評価しなくもなかったが、監督の説明を聞けば非常に安直な結末だったようで、結局は好意的に捉えようとする気が薄れてしまった。娯楽面だけでなく意味的な面でも不足した感があるのは非常に残念である。  そのほか個別の苦情をいわせてもらうと、まず実在の公共施設内で不健全な行為に及ぶ人物を出すのはやめてもらいたい。業界人は何でこういうのを当たり前のように思うのか。また自分がラストの意味を取りかねた理由は「一年後」という表示をその直前の場面からと理解したからで、序盤の細かい出来事をきっちり思い出さない限り誤解しかねないというのは一般の観客にとっては厳しい。数字を出したためにかえって12カ月>十月十日という方に意識が向いてしまったこともあり、どうもこれはミスリーディングだったのではないかと思われる。 なお余談として、ヒロインがアシカの真似をして吠える場面は「非・バランス」(2001)で派谷恵美さんが演じた少女を思わせるものがあった。こういうのは意識してやっていたのか。
[映画館(邦画)] 5点(2014-05-18 01:23:35)
485.  魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st 《ネタバレ》 
TVアニメ「魔法少女リリカルなのは」シリーズの劇場版である。この映画はTVシリーズ第1期(2004年、全13話)の劇場版だが、これに続いて第2期(2005年)の劇場版が2012年に出ている。 TVは当然見ていなかったが、この劇場版を見る限り、まずは主に絵柄のせいで好きになれる登場人物がほとんどいない。また人名が変に格好つけた感じで大人気ないのが多く、口に出して言うのが恥ずかしい。さらに、劇中に世間の指弾を受けそうな映像(変身場面の着替え)が入っているのは非常に問題だが、しかし思えば魔法少女というのはかなり前からそういうものだった気もして、自分の世代もそれに加担していただろうから偉そうなことはいえないかと思わなくもない。  ストーリーに関しては、母親(ただし偽)に依存しながらも虐待されて捨てられた娘が、友情の力で自立して生きる決心をした、ということのようで、それ自体は大変結構なお話ではあるが、ただしそういった自立の物語を9歳の子どもにやらせるのは年齢的に無理がある。またこのアニメのターゲット層に母と娘の話がふさわしいとも思われず、魔法少女アニメとしての性質からそのストーリーが必然的に導かれるわけでもない。要は魔法少女というものを介して小学生女児とターゲット層(それなりの年齢の独身男)を結びつけようとするのがこのアニメの本質であって、一見シリアスなストーリーは取ってつけたように見えるということである。虐待なしで普通の友情物語くらいにしておけばそれほど違和感はなかっただろうと思うが。  以上、文句ばかり書いたが、よかった点としては後半の「うんうんうん」という台詞と、ラストで携帯に電話が来たのが笑えることだった。また爆笑したのは「ごめんなさい、命令無視は、あとでちゃんと謝ります」という台詞がまるきり子どもの発想だったことで、これには“ごめんで済めば警察はいらない”と言ってやらなければならない。そのほかアニメファンなら映像面などで評価すべき点も多いのだろうと思われる。 自分としては大好きなアニメとはとても言えないが、DVDをただでもらったので点数は少し甘くする。見たくてもらったわけでもないが、続編もただでもらえれば見てやっていい。
[DVD(邦画)] 5点(2014-04-21 21:55:30)
486.  魔女の宅急便(2014) 《ネタバレ》 
[2018-01-19再視聴による改訂] 初見時は7点だったが、改めて見るととてもそんな点をつける気にならず、アニメ版との差が1点などということもありえない。劇場で見たことで若干印象がよくなったのと、公開中だったため遠慮があったのかと思われる。 とりあえず最初に書いたことのうちそれほど間違っていないと思うことを書くと、まず原作からわざわざアニメ版とは違うエピソードを選んで構成したようだが、空を飛ぶ場面や黒ネコの様子など、意外にアニメ版のイメージを踏襲しようとした感じもある。また主人公が元気で可愛らしく実写版なりの存在感を出していて、このキャスティングは大成功だったと思われる。 初見時に気になった点として、中盤でいかにも胡散臭い顔で登場した邪悪な人物は映画オリジナルではなく原作の2巻に由来しているが、この人物が主人公に深刻な心理的動揺をもたらしたにもかかわらず、最後は簡単に反省して終わりだったのがどうも拍子抜けだった。“ほんとはいい人”パターンが個人的に嫌いだからということもあるが、この人物が人間の心の悪を代表していたのなら、かえって街の人々の中に紛れた形にして再登場しなくともよかった気がした。ただしこの人物がエンディングの場面でわざわざまた黒い封筒を使っていたのは、どうやら当初段階に遡って呪いではなかったことを証明しようとしたらしく、このあたりは少し細かい作り込みのようである。  また今回再視聴時の感想としては、主人公が直面する悪意に関して観客が許容できるのは主人公と同年配までである。動物園で結構な年齢の男がガキのように駄々をこねていたのは非常に腹立たしく、“ほんとはいい人”パターンを適用するなどありえない馬鹿で不快な人物だった。その上こういう面相の役者がやるのでは洒落にならず、これは一体どういう思惑でこういうキャスティングになったのかと疑う。そのほかネコやカバの作り物感などにはいちいち突っ込まないとしても、物語的に最後の「この町に来てほんとに良かった」という台詞が素直に受け入れられる作りにはなっていない。 それでもこの映画を全否定できないのは結局、主人公/主演女優の存在のおかげということである。そういうわけで小芝風花さんの今後の活躍に期待します。
[映画館(邦画)] 5点(2014-03-14 19:55:28)
487.  遺体 明日への十日間 《ネタバレ》 
被災の直接描写は省略されているが、どうせもう見たくないので結構だ。死んではならない多くの人々が死んで、自分などが生きているのが情けない。劇中では若い女性がそのようなことを言っていたが、この人物にこの台詞は似合わない。  ところで原作の登場人物のうち、映画では民生委員の人物を主人公とすることで“人間の尊厳”に焦点を当てようとしていたらしく、これは題名との関係でも妥当と思われる。ただし原作では、被災地で働いた全ての人々がそれぞれの職務を果たそうと苦闘したことを伝えているのに対し、映画ではいちいち大げさに嘆いてみせる饒舌なこの主人公が特別の存在感を発揮していたのは正直なところ違和感を覚えた。 また原作は現地の実態を淡々と伝えようとしたかに見えているが、映画では明らかに独自のお話を作っているのがどうも気になる。現実には肉親のことを後回しにしても職務を優先した人々が多くいたはずだが、映画では友人と連絡が取れないという理由で部屋の隅に隠れてしまうような人物をわざわざ出してきて、こんな男の成長物語など見たくもないという気にさせられる。 そのほか原作から台詞だけを借りて来て周辺事情を伝えていないため、登場人物の真意がわからず苛立たしいだけの場面もある。こういう題材を扱ったものを低評価にすると人格を疑われるかも知れないが、残念ながらこの映画にはあまりいい点を付ける気にならない。  なお個別の場面としては、女性職員が小学生の遺体を見て泣き出したのは唐突で不自然だったが、ただし取り乱してしまってわけのわからない行動になっている様子自体は迫真の演技とも取れる。また目の前で娘を亡くした女性が他人を罵りながらも、実は言っていることが全て自分自身に向けられているのを全身で表現していたのは鬼気迫るものがあった。ほかにも女性の嗚咽は聞いていてつらいものが多かった。
[DVD(邦画)] 5点(2014-03-14 19:55:15)
488.  メリーさんの電話 《ネタバレ》 
「ムラサキカガミ」(2010)に続く紗綾(さあや)の主演ホラー2作目で、今回はAKB48の菊地あやかとのダブル主演という名目だが、実質的には紗綾の行動が主軸である。登場人物が女子だけなのは1作目と同じで、今回は微妙に男子向けサービスと思われる場面もあったのは前回の反省かも知れないが苦笑した。 題名の都市伝説に関しては、本物は冒頭(と最後?)に出るだけで、ほとんどは映画独自の話に変えられている。ホラー要素にオリジナリティが感じられず、設定やストーリーも緩い感じなのは前回同様だが、肩透かしながらも微妙に怖い画面づくりがされており、意図的ミスリード?ともいえる箇所があったりするのは低予算なりの工夫とも思われる。登場人物が暗くて怖いところへ入る際、普通のホラーであれば怖がらせのために暗くしたままにするところ、あえて電気を点けていたのは一般常識に合わせた感じで好印象だった。それからクライマックスで、前回に続いてまた便所に逃げ込むのかと思わせておいてからの展開は意表をついていた(笑)。  ところで劇中では、誰でも知っている有名な交霊術の名前をわざわざ変えて使っていたが、これは撮影中に本当に交霊術をやってしまうのを避けるためだとすれば良心的な対応と考えられる。また凶兆におびえた友人が思わず不吉なことを口にするのを主人公が諌める場面があったが、こういう不用意な連中が人心を不安に陥れ、あるいは自ら墓穴を掘るようなことをやらかすのに対して警告を発しているようなのも理性的に見える。特に今回は、主人公が前回同様に怖がりな性格ながらもしっかりした人物だったことで、“正しく怖がるのを恥じることはない”という若年者への教育的配慮が感じられる映画になっていた。 ただその割に、登場人物が芝居がかった調子で延々と昔語りをする場面があったりするので、そういうことを現場で口に出すのは自ら災難を呼び寄せるようなものだからやめろと言いたくなるが、まあこの語り自体は前回に続いての定例行事と理解した方がいいのかも知れない。何にせよ前回同様の実直な印象で個人的には結構好きだ。前回と共通のエンディングテーマも悪くない。  ちなみに冒頭のタイトルが無粋な感じの明朝体になっているのは、自分としては1968年のTV番組「怪奇大作戦」の第4話「恐怖の電話」を連想させるものがあったが、意識してやっていたのかはわからない。
[DVD(邦画)] 5点(2013-09-17 19:58:39)
489.  ムラサキカガミ 《ネタバレ》 
主演の紗綾(さあや)という人は結構いろんな映画で目にするので(主にホラーだが)、この映画が初主演というのは少し意外だった。本業はグラビアアイドルだったはずだが、終盤でおののく表情など見てもちゃんと役者の顔で熱演しているように見える。 女子しか出ないホラーとのことだが実際かなり地味な感じで、高校のテニス部であるのに季節柄ということなのか露出も少なく、屋内の場面も含めて男子向けサービスがほとんど皆無である。興行的にこういう作りでよかったのか疑問だが、自分としてはかえって真面目な映画に見えて好印象だった。 劇中の出来事は題名の都市伝説の通りでは全くないが、もとのままでは映画にならないので鏡が出る他の都市伝説の要素を取り入れて勝手に作ったものと思われる。既存のホラー要素の組み合わせが基本のようで独自性はほとんど感じられず、また特に前半は単なるこけおどしが多いが、それは低予算なりに全体的な緊張感を持続させるためとも思われる。終盤に出た生ゴミ集積所などは結構生々しい感じだった。  ストーリーとしては、何が起こったのかはよくわからないが一応真面目に考えると、まず鏡の中の人物はそもそも主人公のように感受性(共感力)が強く、従って怖がりな女子だけをターゲットにしていたと思われる。面白半分で来る連中は、そういう人物を強制的に連れて来る役割を果たすだけで、ほかは役に立たないので殺されるということではないか。 ここにあえて教訓的なものを求めるとすれば、①そもそも余計なことはするな ②やるなら他人を巻き込むな、ということだろう。やるならあくまで自己責任でと言いたいところだが、それができないのが女子高生ということか。そのほか序盤で、わざわざこの場で口にする話かというようなことを喜々としてしゃべっていた怪談マニアの教員が、最後に巻き添えを食っていたのも自業自得であり、これはなかなか道徳的な映画のようである。 派手なところは全くないが、低予算ながらも極めて実直な印象のあるホラーだった。
[DVD(邦画)] 5点(2013-09-17 19:58:35)
490.  恋するナポリタン 〜世界で一番おいしい愛され方〜 《ネタバレ》 
よくある話とはいえ、こういう荒唐無稽な設定を普通に受け入れる現代人は思考が柔軟なものだと感心する。そもそも題名からしてチープで安易だが(「恋する…」「世界で一番…」の両方)、中身の恋愛ドラマの方も納得がいくものではなく、ヒロインを幸せにするために男2人を使い捨てにしておいて、“だって死んじゃったんだからしょうがないじゃん”的に決着をつけたようなのは男の立場として悲しい。一方ではヒロインが乗り換えた先の男が、口は達者だがどことなく胡散臭い顔で素直に祝福してやる気にならないのも問題である。  ところで、自分にとっては食い物など①嫌いなもの、②まずいもの、③その他の3種類しかないので、劇中の料理がどれだけ美味そうなのかも実のところわからない。しかしこの映画では、劇中の武と瑠璃に“作る人”と“食べる人”の立場をきっちり代表させることで、人間にとっての料理(食料ではなく)の意義を端的に表現しようとしていることくらいはわかる。瑠璃が料理を食べるときのデレっとした嬉しそうな表情は中学生時代も現在も共通であり、またこの顔を見ることが武にとっても何よりの喜びだったわけで、そこには料理が仲立ちになって“作る人”と“食べる人”の両方が幸せになる関係が成り立っていたが、これは現実に料理に携わる人々の理想とするところではないかと思われる。それで成人後の武はシェフになり、また瑠璃もグルメ情報誌の編集者になったということなら、この関係が互いの資質を高め合って自己実現にもつながっていたということだろう。 味オンチの自分はそういう幸せな関係から疎外されていて不幸だとは思うものの、世の中に幸せな人が多いのはいいことだし、この映画を見て触発される人が多ければわが国の食文化の向上にもつながるのでは、と他人事ながら思わなくもない。武(佑樹)が南紀白浜の海岸で即興的に作った料理をその辺の皆さんにふるまうのを見ていると、料理人というのはみんなに幸せをふりまく人、というように感じられて、自分には利害関係がないながらも変に感動的だった。  まあ世間的にはあまり評判がよくない映画のようだが、それも料理に関わる上記の関係と恋愛感情をあえて混同させないようにしたことで、恋愛ドラマとしては捉えにくくなった面もあってのことと考えられる。そのため自分としては、まずは料理映画という面から一定の評価をしておきたい。
[DVD(邦画)] 5点(2013-08-11 18:25:36)
491.  宇宙人王(ワン)さんとの遭遇 《ネタバレ》 
宇宙人の使用言語について、使用人口が一番多いから、という説明はイカにもウソっぽく、個人的にはこれで宇宙人の信用度ががっくり落ちる(現に意志疎通の役に立ってない)。しかしほかに納得できる理由が思いつくわけでもなく、かえってどこまでも怪しい感じが残る。 それより映画の製作上は、やはり東洋人に対する西洋人の先入観を観客から引き出すための設定なのだろう。尋問者の「鏡見たことあるか」という発言に対する主人公の反応には、単に“外見に素朴な違和感を覚える”以上の偏見がちらりと感じられた。醜くて可哀想な劣等種族を法規や国際機関の手で守るという欧米流?の人道主義を、この人が何のためらいもなく全宇宙に適用しようとしていたのは微笑ましい。 以上はまあ東洋人としての感想だが、加えて当該国の最近の情勢や国際社会でのふるまいを反映した現実的な反応も予想され、日本人としてはこっちの方に誘導されそうである。「私の故郷では礼儀が重んじられています」という発言には大笑いした(それは仲間内限定の話だろうに)。  それで結末について、途中経過としては①完全にA、②完全にB、③全体としてはAだが個人の問題としては別、という3種類程度を予想していたが、劇中で実際にやっていたように、断片的な材料を並べるだけでも一応の心証は得られるように思う。自分は登場人物のうちでは秘密警察タイプだろうが(笑)、日本人が好むのは③のような結末ではないだろうか。あるいはそういう方向のどんでん返しがあるかと最後まで構えてはいたのだが、実際はあまりにもあっけらかんとした①だったのが逆に意外だったともいえる。 この映画を見て怒り出す人々もいるようだが、しかし出身地や外見や個別の物言いに関わらず信用できるかどうかは別の判断、という程度なら言っても支障ないだろう。劇中では移民系のアモニーケさんが、リアリストで猜疑心は強いが友好的な人物だったのはホッとした。  なお主人公は日本アニメを小馬鹿にしているようだが、「侵略!イカ娘」を見たことはないのだろうか(自分は見てないが)。
[DVD(字幕)] 5点(2013-03-20 19:52:18)(良:1票)
492.  先生を流産させる会 《ネタバレ》 
「告白」を超える問題作とのことだが、見ていないので比べられない。 女子固有の問題には踏み込む気にならないので、それ以外で思ったことを書く。  まず前半では、生徒・家庭・学校と周辺社会の問題をコンパクトにまとめていた印象がある。その上で主人公の教員が、「やって許されないことがある」という方針で断固戦う姿勢を見せていたのは痛快に思っていた。家庭事情や親子関係がどうのということはあるにせよ、やはり極端な問題行動は力づくでもやめさせることを考えなければならない。 しかし、この方針が最後まで貫徹されずに終わっていたのは非常に落胆した。実行するまでは一生懸命止めても、やっちゃった後はただ放免というのでは、止めようとしたこと自体が無意味になる。あれだけ恐い顔で脅していたのは単なる方便だったということなのか。現実世界の実態はどうあれ、主人公自身が自分の行動を無意味化したように見えるのは映画のストーリーとして変である。許されないことはあくまでやらせないか、やらせるのならそれなりの報いがあるか、どちらかでなければならない。  また終盤ではスプラッターまがいの惨劇が起こっていたが、その割に最後を教育映画っぽく丸めてしまったのは整合性に欠けている。制作者の意向としては、オヤジ連中が事件報道を見てケシカランと憤慨するとか、若い連中がネット上で厳罰を求めるような感覚に迎合したくないということのようだが、あれだけのことをやらせてしまっては、見ている側もただでは済ませられない気になって当然である。穏健にまとめるのが本意だったというなら、その前の過激な場面はミスリードとしか思えない。 さらに個人的に気に入らないのは、ご立派な教育映画のように終わったことで、何が何でも学校内でくるめてしまおうとする態度を容認しているように見えたことである。学校が外の社会とつながっていることは劇中でも出ていたはずであり、この点でもっと尖った形の問題作にできなかったのかというのが正直なところだった。  以上、そもそも制作意図がよくわからないのでいい点は付けられないが、生徒役の皆さんにはごくろうさまと言いたい。よくこんな映画に出たものだと思うが、舞台挨拶で出ていた「先生を感動させる会」の話は微笑ましい。 [2015-7-1追記]「告白」(2010)を見たが、全く超えていないではないか。アホか。
[DVD(邦画)] 5点(2012-12-03 20:53:16)(良:1票)
493.  おおかみこどもの雨と雪 《ネタバレ》 
何でオオカミ男でなければならないのか、と見る前から思っていたが、見た後も疑問は解消されなかった。別にハエ男でもいいだろうと言っているのではなく、子どもの成長と巣立ちに対する親の思いを描くなら にんげんおとこ、にんげんこどもでも当然可能だということである。もちろんファンタジックなアニメだからこそ見る気にもなり、それでこそ可能な映像表現もあるわけなので荒唐無稽なのは構わないが、全体のテーマとの関係では必然性のない浮いたアイデアのように思われた。これは時かけ、サマーウォーズとの比較でもそう思う。  またこの映画の内容だと、子連れの観客のうち母親にはアピールするだろう(何しろ受精の場面からある)が、子どもが面白がるかは不明だし、また従来のファン層と思われる青少年(男)は置き去りにされかねず、アニメ大作としては妙にバランスが悪い気がする。それでよければ別にいいのだが、前作までは作り手も観客も青少年(男)向けの映画という意識で一致していたのに、今回は背伸びして柄にもなく子育ての問題を扱ってみた、という感じで落ち着かない気分だった。  いずれも本筋から外れたことで申し訳ないが、どうも全体として釈然としない感覚が残り、また少し時間が経つと、見ているときにペンディングしていた細かい疑問点が山のように積み重なっていることにも気づく。ここで高評価の皆さんが書かれていることにも同感ではあるが、納得できないことを見過ごしにしたままで絶賛しようという気にはなれない。
[映画館(邦画)] 5点(2012-08-11 17:33:59)
494.  京都太秦物語 《ネタバレ》 
率直な印象としては、とにかく男二人が気にくわない。幼馴染もかなり痛い奴だが、研究者の方はあまりにもバカ丸出しで笑うこともできない。どちらも駄目な男で、観客としてはヒロインとの関係の発展が期待できない(したくない)ため、途中で今にも席を立ちそうになった。それでも他の客の邪魔になるのを避けて最後まで見たところ、ラストの場面だけは納得した。自分が泣けたわけではないが、思い当たることのある女性なら泣けるかも知れない。 ただ実は、キャッチコピーの印象からして最後にもう一つ波乱というか、もっと微妙な状態に陥る可能性もあるかと思ったのだが、何もなく普通に終わってしまったのは拍子抜けだった。この映画の性質上、これ以外の結末はありえなかったのかも知れないが。  ところで幼馴染の男が終盤、夢破れたときの滑り止め、というようなテキトーな感覚で一生の仕事を決めていたのは少し気になるが、それはまあいいとして(みんなそうだったろうから)、単純に親世代と同じく家族経営で豆腐店という前提だと、司書を目指していたはずのヒロインの夢までが消え去ることにならないか。男の方は実現困難な夢だったから断念するのは仕方ないが、ヒロインの夢は極めて現実的かつ実現途上にあり、観客としてもかなえてほしいという思いがある。地域連携映画という事情はあるにせよ、個人の志望より映画の都合(=商店街の都合)が優先するのでは、第三者の目からは理不尽に見えるので、ここは余計な不満の生じないようにしてほしかったと思う。 まあ特殊な成立事情の映画なので、あまり妙なところに突っ込まず、制作に関わった学生とともに映画の完成を喜んでやるべきなのかも知れない。しかし、そんなことまで斟酌しなくても、実は個人的にヒロイン(演:海老瀬はな)が好きになってしまったので、最終的な印象はそれほど悪くなかったというのが実態である。
[映画館(邦画)] 5点(2012-03-04 22:12:52)(良:1票)
495.  借りぐらしのアリエッティ 《ネタバレ》 
東京都の多摩地域に住んでいる小人が外人名前で外人顔で(材木にくっついて来た外来種?)、それでいてひらがなも読めるのが何とも荒唐無稽だが、ストーリーとしてはそれほど悪くない。劇中の少年がまだ若いのに、自分の生命などたかだか67億分の1(今だと70億分の1)でしかないと悟ってしまっているのは切ない気がするが、そのことで一方的に共感を寄せた相手には厳しくはねつけられてしまったわけで、この辺はさすが生命力豊かなジブリのヒロインだと思う。 ただ、少年の方が勇気をもらったのはいいとしても、少女の種族の未来はやはり先細りという予感しかなく、最後の小川の場面で、個人的にはターミネーター(1984)のラストシーンが思い出されたのはつらいものがあった。  ところで、この映画では家政婦の存在が非常に不快なわけだが(母親も相当不快だがまあいいとして)、実はああいう素質をかなりの人間が持っており、だからこそ彼らは絶滅しかけているという想定なのだろう。子どもの頃なら昆虫や小動物を虐殺するのはよくあることで、姿が人間に似ていれば余計に虐待のしがいがあるはずだ。大人はさすがにそういうことをしないのが普通だが、あの家政婦はもともと性質が自然人に近いため、虐待衝動がモロに出てしまっただけだと思われる。ここは家政婦を罵って終わりにするのでなく、人類すべてが自戒すべきということなのだろう。 しかし、今回の件であの家政婦を解雇したりすれば、近隣に悪口雑言をふりまいて嫌がらせの限りを尽くすのではないかと考えると、やはり出来が雑な人間はどうしようもないと思ったりする。まあ世間も人を見ているので、全部が全部真に受けるわけでもないだろうが。 そのように考えていると次第に話がそれてしまうが、とにかく最終的にはそれなりに面白いという印象が残ったのでそれなりの評価にしておく。
[地上波(邦画)] 5点(2012-02-18 22:39:36)(良:1票)
496.  いつか輝いていた彼女は 《ネタバレ》 
映画と音楽のコラボレーションによる映画祭「MOOSICLAB 2018」への出品を前提に制作されたもので、当時活動中だったバンド「MINT mate box」がそのままバンドとして出演して主題歌も提供している。またボーカルの人がそのまま劇中の重要人物という設定のため、本人の高校時代の悪業を暴く話になってしまっているのが変である。別に実話でもないだろうが。 監督の前田聖来という人は「女優出身の新鋭監督」と紹介されているが、個人的にはAKB48出演の学園ゾンビドラマ「セーラーゾンビ」(2014)で、演者として強い印象を残したので覚えていた。  まず苦情として登場人物とその名前が把握しにくい。また音量や発声のせいで発言が聞き取りにくいので何を言っているかわからない。35分なので甘く見ていたが、2回見てやっと内容がわかってきた気のする映画だった。 設定としては高校の芸能科とのことで、一般の共感を得ようとするには特殊な世界だが、もともと自意識の強い連中ばかりという理由にはなっている。主人公は地味に見えても実は何かと他人に羨まれる資質に恵まれていたようだったが、結局別方面に行ってしまった原因としてはその場の運のほか、「マホ」との違いは人間のスケールの差?、「詩織」との違いは上昇志向の差という感じか。確かに芸能やスポーツなど高校生の頃に決定的な差が出る世界もあるだろうが、その他普通人は高校時代が不遇だったからといって負け確定とも限らないので、主人公は腐らずに何か新しいことを発見してもらいたい。真面目すぎるのが問題なのか。 なおラストで「なつみ」と「佳那」もその後どうなっていたのか見たかった。「詩織」はクセモノ感が顔に出ていた。
[インターネット(邦画)] 4点(2023-09-09 10:11:09)
497.  大きな春子ちゃん Am I too big? 《ネタバレ》 
26人の監督によるバカ映画のオムニバス「フールジャパン ABC・オブ・鉄ドン」中の一編だそうで、2014年の「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」で上映されたとのことである。「鉄ドン」というネーミング自体が今となっては痛い感じだが、この映画も昔の歌から無意味に題名だけ借りて来て笑えないオヤジギャグ的印象がある。劇中の主人公が監督本人だったとのことで、制作者の年代感を恥ずかしげもなく出した映画になっている。  ジャンルとしては「バカ映画」ということになるが、そういう前提で要は特撮怪獣映画を作ったらしい。水着だったのは本来の棲家が海だったからで、最後にまた海へ去るのはゴジラなどの習性を受け継いだと思われる。 春子ちゃん本体に関しては、サイズの単位が何かと思ったらftだったのはなるほどと思った(尺でもよかったのでは)。ウルトラマン並みの高身長では本人も気にするかも知れないが、体重は軽いので安心してもらっていい。映像的には胸の柔らかさの表現に気を使っていたようだが、尻にガラスが刺さらなかったことからすると柔らかいが強靭という未知の生体組織でできていたらしい。 残念だったのは飛んできたのがアメリカの飛行機だったことだが(三沢ならまだしもテールコードのMOはアイダホ州マウンテンホーム空軍基地の所属ということになるので遠くからご苦労なことだ)、映像的な印象はそれほど悪くない。ラストの「終」は昭和の風情があり、洋上の富士も由緒正しい日本の風景といえる。  ほか春子ちゃん役は有元由妃乃という人で、尻の突き出し方などを見るとグラビアアイドルか何かかと思ったら普通に役者をしていた人らしい。前に見た超マイナー映画「サーチン・フォー・マイ・フューチャー」(2016)にも劇団員として出ていたようだが、今回はオヤジ好みの和ませる雰囲気を出していた。
[インターネット(邦画)] 4点(2023-08-05 14:10:01)
498.  ラ・ヨローナ ~泣く女~ 《ネタバレ》 
似た名前のグアテマラ映画「ラ・ヨローナ ~彷徨う女~」(2018)とは全く別物である。製作年ではグアテマラが先だが公開はこの映画の方が早かったらしい。 個人的にはホラーとして特筆したくなる点はなかったが、グアテマラの方と違って基本が娯楽映画のため、気合いを入れて見なくていいのは楽だった。ちなみに水の霊であるのに腕を握られると火傷したようになるのは、触れた箇所の水分を一気に吸収してしまう能力があるからかと思った。  ドラマの面では、一度は主人公を恨んでその子どもらを破滅させようとした人物が、後に自らの行いを悔いて主人公を助ける側に回っていたが、終幕時に今度は主人公の姿が水たまりに映っていたのは、全ての母性にラ・ヨローナ的な二面性が潜んでいると言いたいのか。よくわからないが児相職員必見の映画だったようでもある。 また主人公の行動様式がかなり苛立たしいところがあり、現に自分が超常現象に脅かされて神父の紹介で呪術医に頼んでおきながら、それでもなお呪法を小馬鹿にしてみせなければ済まないのは頭の働きが合理的でない。これは古い時代に西洋社会を支配していた教会の代わりに、1970年代頃は科学万能主義の支配で人々の思考が抑圧されていたとの表現か。シリーズのもとになった心霊研究家夫妻のように、この頃もオカルトとかスピリチュアルの類は盛んだったろうが、科学を信仰する人々との間では分断が進んでいたということかも知れない(適当な解釈だが)。シリーズの他の映画を見ていないのでこの映画だけの話なのかわからない。 なおラ・ヨローナの伝承は、単なる怖がらせの怪談というだけでなく社会的な意味づけもされているようで、例えばスペインの征服者に服従させられた先住民やその女性の象徴のように思われている面もあるらしい。しかしそれをこの映画では、結局は征服者のもたらした神の力で難なく撃破してしまっていたのが空しさを感じさせるともいえる。
[インターネット(字幕)] 4点(2023-07-22 10:18:43)(良:1票)
499.  白く濁る家 《ネタバレ》 
登場人物が3人の低予算映画である。前年公開の米ホラー映画に似ているという噂のようで、確かに屋根裏部屋とか窓に何かがぶつかるとか唐突な顔写真といった個別の要素が共通するところはある(ゲゲゲハウスは出ない)。それより題名が「黒く濁る村」(2010韓)の真似だとすれば、それと同様の雰囲気で小スケールという意味になる(見たことがないので不明)。 ホラーとしては発想の独自性があまり感じられない。怖がらせの仕掛けとしては主に背景音楽での脅しだったように思われる。  話の本筋について無理に考えると、男は母親に一生懸命歩み寄ろうとしていたが結局裏切られ、またその婚約者が「完璧な家庭」を優先して、理不尽な結末を受け入れたことでも裏切られた形になり、踏んだり蹴ったりで存在を抹消されて悲劇に終わったということか。ほかに兄弟は腹違いではなかったのかとか、父親が死んだ時の経過についてなど、想像が広がる可能性もあるだろうが特に立ち入る気にはならなかった。 いろいろ考えがあるようで緩いようでもあり、中途半端な感覚で終わる映画だったが、構想段階ではもっと長かったのを短縮したというような事情でもあったのか。とりあえず最後の覚悟の表情が大事だと思っておけばいいだろうとは思った。  出演者に関して、藤本泉という人は「通学シリーズ 通学電車」「同 通学途中」(2015)の高校生役(ユカちゃん)しか見たことがなかったが(「鬼談百景」にも出ていたが映像が暗い)、今回見ると目に迫力があって華もあり、この人の存在が映画全体の価値を高めていた気がする。その相手役も「人狼ゲーム」シリーズで見た時の印象は残っていた。今後一層の活躍を期待する。
[インターネット(邦画)] 4点(2023-06-10 10:00:09)
500.  チャイルド44 森に消えた子供たち 《ネタバレ》 
原作は読んでいないがこの映画に関しては、どちらかというと見て損した部類だった。時間が137分もあるが、それでも恐らく原作での詳細な設定や描写が断片化して半端になっているところが多々ある。 社会性という面でいえば、2015年の時点でこの物語を映画化することの意図がわからない。日本国内向け公式サイトでは一応、「全体主義国家がいかに人間の精神を崩壊させていくかという普遍的なテーマ」を扱っていると書いてあるが、結局はこの時代またはこの場所限定のことにしかなっておらず、誰も今の自分に関係あることとは思わない。ちなみに楽園に殺人は存在しないという建前は当時本当にあったのか知らないが、そういう現実度外視の観念論は東洋でも好まれそうな気はする(大陸でも半島でも列島でも)。 ドラマとしては、悪人顔の主人公を始めとして主要人物に誠意が感じられず信用できそうにもなく、この連中は何をやっているのかと中盤くらいまで突き放した気分でいたが、終盤にかけてやっと人々の意思がはっきりして来てまともに見られるようになる。それはそういう構成にしたのだろうが、それにしても結果的には話がうまく出来すぎで、最後は勧善懲悪物のようになっていたのはどうかと思った。アメリカの娯楽映画だからこれでいいのかも知れないが。 ちなみに世界のどこの場所の映画でも英語で作るのはさすが世界帝国だと思ったが、昔の邦画にもそういう例(大陸系)があったと思うので他国のことはいえない。
[インターネット(字幕)] 4点(2023-02-04 10:23:38)
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