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かたゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1874
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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481.  トゥ・ヘル 《ネタバレ》 
数年前に火事で妻と娘を失い、以来酒浸りの日々を送っている冴えないトラック運転手、ジョー。ある日、彼はたまたま立ち寄ったコンビニのトイレで謎の男に首を絞められている女性ジュリーを発見する。咄嗟に男を殴り倒し、彼女を救いだしたジョー。だが、感謝の言葉が聞けると思いきや、ジュリーから出てきたのは驚くべき言葉だった。「余計なことしないで!首を絞めるように頼んだのは私だから」――。なんと彼女は、バイク事故で瀕死の重傷を負った一人娘を助けるために自ら首を絞めてもらったのだと言う。詳しく訊いてみると、実はジュリーは、幼いころの臨死体験が原因で死の淵に立たされると死後の世界に入ることが出来るらしい。半信半疑で一緒に病院へと向かったジョーは、そこで彼女の娘が無事に意識を取り戻したことを知る。行く当てのなかったジョーは、そのまま彼女たち親子と一緒に暮らすことに。だが、ジョーはまだ知らなかった。実はちょっとした手違いから、生き返った娘の身体にはジョーの失った妻の魂が宿ってしまったことを……。毎度おなじみニコラス・ケイジ主演で送る、そんなオカルト・テイストのエロティック・サスペンス・スリラー。ぶっちゃけて言うと、最近のニコケイ・ブランドの映画の中でも一、二を争うくらいの恐ろしく程度の低い作品でしたね、これ。とにかく何もかもが適当すぎ!具体的に述べさせてもらうと、まず基本となる臨死体験のルールが曖昧過ぎて物語としての枠がふわふわし過ぎです。なんで首を絞められたら娘の命を救えるのか理屈が分からない。百歩譲ってそこを良しとしても、何故蘇生した娘の身体に間違ってニコケイの死んだ妻の魂が宿るのか、ほんと意味不明!!挙句、この母親とニコケイが速攻で一線を越えちゃうのはまあ分かるとしても、その後、何故か娘ともがんがんエッチやりまくるってどんなアホ展開?!そこら辺の親子丼ものAVの方がまだ説得力ありますって!最後もよー分からんまま、ニコケイが燃えて終わりってなんじゃそりゃ(笑)。こんなお粗末なもんで観客から金を取ろうなんて、もはや詐欺行為に等しいっすよ!娘とのエッチがバレて情けない顔で言い訳する白ブリーフ姿のニコケイに、母親が言った「早くズボン穿きなさい!」ってのが、この映画の中で唯一共感できるセリフでした(笑)。
[DVD(字幕)] 3点(2020-03-09 00:50:13)
482.  ファイナル・スコア 《ネタバレ》 
人質は、スタジアムの観客3万5000人――。米軍特殊部隊の元兵士であるマイケル・ノックスは、久しぶりにロンドンへと訪れる。目的は、かつてイラクで戦死した同僚の遺された家族に会うため。実の娘のように可愛がっている彼の娘ダニーとの久しぶりの再会を喜ぶマイケル。だが、ダニーは父の死をきっかけに荒んだ生活を送っていた。少しでも気を紛らわせようと、マイケルは彼女と一緒にサッカーの試合を観に行くことに。超満員のスタジアムは、人気チーム同士の対戦ということもあってかつてないほどの熱気に包まれていた。否応なくテンションが上がる二人。だが、彼らはまだ知らなかった。その裏で、凶悪なテロリストたちによって恐るべきテロ計画が進んでいたことを――。電波妨害によって外部との接触を遮断された巨大スタジアムには、いたるところに爆弾が仕掛けられていたのだ。瞬く間に指令室を占拠した犯人たちは、要求を呑まなければ観客ごとスタジアムを爆破すると宣言。密かにその事実に気付いたマイケルは、独自に行動を開始するのだが…。と言う、もう分かりやすいくらいダイ・ハードのテンプレにのっとったベタベタなアクション作品なのですが、演出のキレがいいので最後までぼちぼち楽しめました。エレベーターやレストランの厨房でのアクションシーンなど、わりかしグロ描写多めでサクサク進んでいくので普通に面白かったですね。それに、主人公の相棒となる中東系の警備員が愛すべきダメキャラで、そんなハードシーンのいい緩和剤となっているのが大変グッド。対するテロリストたちもそれぞれキャラが立っていて、特にイカレタ女兵士が本当に良い感じにぶっ壊れてます。彼女と、はねっかえり娘であるダニーとの激しい女の戦いは見ものでした。ただ、さすがに後半は突っ込みどころが多いのが本作の残念なところ。スタジアムの通路でバイクチェイスや激しい銃撃戦をやってるのに、観客が誰も気づかないってあり得ます?天井から主人公がダイブして巨大ビューイングにぶつかってるのにそのまま試合続行って、イギリス人はどんなけサッカーバカなんですか(笑)。また、ファンの人には申し訳ないんですが、主人公を演じた俳優さん、主役としていまいち華がないように感じました。見た目こそごりごりの軍人っぽいんですけど、銃を構えたり敵を追って走ったりする姿が全然サマになってないんです。この人、主役より脇役の方が合ってるんじゃないかな~。まあでもエンタメ映画としてはアクション・シーンもけっこう迫力あったしお話も分かりやすいし、気軽に観る分にはそこそこ楽しめると思います。
[DVD(字幕)] 6点(2020-03-08 00:30:16)
483.  モンスターズ/悪魔の復讐(2018) 《ネタバレ》 
1892年、8月4日。マサチューセッツ州のとある豪邸で起こった凶悪な殺人事件。当主であるアンドリュー・ボーデンとその妻が、斧で顔面を元の形が分からなくなるほど何度も強打されるという残忍な手口で殺害される。しかも逮捕されたのが彼らの実の娘だったということで、当時世間でセンセーショナルな話題を振りまいたことでも有名な未解決事件だ。本作は、後に一転して無罪となった娘リジーの犯行に至るまでの6カ月を当時一家の召使いであったブリジットの視点から描いたサスペンス・スリラー。ブリジットを演じるのは、『トワイライト』シリーズで一躍人気女優となったクリステン・スチュワート。リジー役には、アカデミー賞にノミネートされたこともある実力派のクロエ・セヴィニー。彼女たちが実は秘密の同性愛的関係にあり、ともに恨みを抱いていた被害者を二人協力して殺害したのではないかという新たな?解釈で描いているのが本作のポイント。娘であるリジーは持病の癲癇を理由に父から虐待に近い抑圧を受けていて、召使いであるブリジットは夜な夜な彼から性的虐待を受けていた――。このことを映画の三分の二近くもの時間をかけて丹念に描いている。だが、正直自分にはこれが退屈で仕方なかった。やたらと暗い画面でダラダラダラダラ続くので途中から眠気と闘いながらの鑑賞となってしまった。しかも物語の焦点となる、この二人の百合的関係も鳥小屋でちょろっとキスして抱き合う程度。この二人の歪な関係性をこそ最も力を入れて描くべきだったのに、これでは極めてバランスが悪いと言わざるを得ない。ようやく殺害にいたるシーンも二人が協力して斧で殴り殺すだけという何の捻りもない展開で、肩透かしもいいところ。大胆なヌードを披露した主演女優二人も、これでは単なる脱ぎ損ではないか。どうせ脱ぐなら、もっと百合シーンでこの二人のヌードを見たかった。クリステン・スチュワートの形のいいおっぱい(クロエさんの方は正直どうでもいい!笑)に、+1点。
[DVD(字幕)] 4点(2020-03-07 23:56:34)
484.  ビリーブ 未来への大逆転 《ネタバレ》 
男は外に働きに出て、女は家で家庭を守る――。米国社会に色濃く残る、そんな古い価値観からくる性差別の歴史。本作は、司法の世界に伝統的に残る性差別へと果敢に戦い、後に女性として初めて最高裁判事となったルース・ギンズバーグの半生を描いたもの。監督は社会性の強いエンタメを得意とするミミ・レダー。正直、自分は全く嵌まらなかったです、これ。別に僕は性差別主義者でもなんでもありませんが、ここまで全面的にフェミニズムを持ち出されるとちょっと引いちゃいます。このギンズバーグって人、なんだか田嶋陽子さんの若い頃みたいなイメージで、何を言っても「それは男社会の論理!」で反論されそうな、ぶっちゃけて言うと物凄く面倒臭い感じがして僕はどうも苦手です。肝心のドラマ部分も、いかにもミミ・レダー監督らしく丁寧に作られていて好感は持てるのですが、全体的に専門用語が多くて分かりづらい部分もちらほら。最後の主人公の演説も僕の頭が悪いせいかいまいちピンとこず、法廷劇としてそこまでカタルシスを得られなかったです。うーん、そんなわけで自分とは合わない作品でありました。
[DVD(字幕)] 5点(2020-03-04 22:24:04)
485.  魂のゆくえ 《ネタバレ》 
この狂った世界に、子供を生まれさせるのは間違っている――。ニューヨーク郊外に佇む、今年で創建250年を迎えた歴史ある教会「第一改革派教会」。責任者であるトラー牧師は、かつて一人息子をイラク戦争で失くし、以来神の教えに目覚めた敬虔な信者だ。孤独を愛し、ただ神の教えだけを心の糧に生きる彼は、ある日、妊娠中の女性メアリーからとある相談を受ける。環境保護活動に熱心な夫が、自分の子供を堕ろすことを強要してくるというのだ。世界はいま急速に破滅へと向かっている、この世界に子供を送り出すのは悲劇しか生まない、と。実際にトラー牧師が会ってみると、夫はただひたすら利益優先の大企業がいかに地球環境を破壊し続けているかを語り始めるのだった。また会うことを約束しその場は別れたものの、のちにトラー牧師はメアリーから更なる相談を受ける。なんと彼はガレージに自爆ベストを隠し持っているらしい。最悪の事態を想定し、ベストを持ち帰ったトラー牧師。だが、彼自身もまた、この世界に絶望を感じている自分を否定出来ないのだった……。神を信じつつもこの世界に希望を見失いはじめた、ある孤独な牧師の魂の遍歴を淡々と描いた哲学的なヒューマン・ドラマ。そんな信念の危機を迎え孤立を深めていく男を演じるのは人気俳優、イーサン・ホーク。監督は、70年代を代表する問題作『タクシー・ドライバー』の脚本を書いた、ポール・シュレイダー。ドラマティックなストーリー展開とは終始無縁、音楽もほぼ流れず、最後までただ淡々と続く暗い作品ながら、最後まで緊張感を途切れさせずに見せた監督の手腕は大したものだと思います。俳優たちの静かな熱演も素晴らしく、特に愛する者を失いながらそれでも懸命に生きようとする妻を演じたアマンダ・セイフライトは特筆に値します。この狂った世界に生きる価値などないのか――。病的な思考へと傾倒し、やがて過激な行動へと駆り立てられるこの主人公は現代の『タクシー・ドライバー』そのもの。それは間違っていると思いながらも、自爆ベルトへと袖を通す主人公にいつしか共感している自分が居ました。神なき時代を生きる現代人の苦悩に鋭く迫った、社会派の問題作と言っていいでしょう。ただ、残念だったのは後半の展開が幾分か腰砕けになってしまったところ。ここまで主人公の魂の苦悩を深く描いてきたのに、この結論はちょっと物足りない。なんなら絶望のどん底へと観客を徹底的に叩き堕とすくらいの覚悟が欲しかった。この現代に、安易な希望などいらない。
[DVD(字幕)] 7点(2020-03-02 00:12:14)
486.  オーヴァーロード 《ネタバレ》 
1944年、ナチスドイツとの熾烈な戦闘が繰り返されるヨーロッパ戦線。アメリカの若き空挺部隊の兵士たちは、ドイツ軍の猛攻撃を受けながらも輸送機で目的地上空まで辿り着く。パラシュートで何とかフランスの大地へと降り立った彼らは、郊外の小さな村へと到着するのだった。生き残ったのはボイス二等兵をはじめとする4人の兵士たち。教会にナチスが建てたという電波塔を速やかに破壊せよという命令を果たすため、彼らは偶然知り合った村娘の民家を隠れ家にしてそれぞれ任務遂行への道を探る。だが、目的の教会へと忍び込んだボイス二等兵は、そこで驚くべき光景を目にするのだった――。悪魔のようなナチスの科学者たちは、村人たちを材料に恐るべき実験を繰り返していた。なんと彼らは死人たちを蘇らせ、死をも恐れぬ兵士を創り上げようとしていたのだ!圧倒的に困難な状況の中、甦った死人軍団を相手に何とか任務遂行を目指すボイスたちだったが…。対ナチスの戦争ものとゾンビパニックものの奇跡の融合というアイデア一発勝負のそんな本作、戦争もののグロにゾンビもののグロを掛け合わせるというアイデアはけっこう新鮮で、このグロの相乗効果はなかなか良い感じでした。全体的に演出のキレも良く、特に冒頭ナチスの猛攻を受けながらのパラシュート降下シーンはかなりの迫力で摑みはばっちり。中盤、主人公がナチスのうじゃうじゃ居る教会内へと忍び込むシーンなども緊迫感があって普通に楽しかったですし。ナチスの人体実験と言うよく考えればけっこう不謹慎な内容ながら、これがなかなかゾンビものとよく合う。粘液質な液体からゾンビがぬるぬる出てきたり、首だけの女性がまだ生きていたりと、その手の映画のツボはちゃんと押さえられていたのもポイント高いです。ただ、さすがに後半脚本に突っ込みどころ満載なのが本作の残念なところ。あの村娘の家に囲われていた叔母ゾンビは、いったい何のために出てきたのでしょう?クライマックスは設定のむりむり加減がたたってだいぶ破綻しかけちゃってます。そもそもこの兵士たちが何のために戦ってるのか観ていていまいち分からなくなってくるので、物語としてのカタルシスがかなり弱い。電波塔破壊かゾンビ殲滅か、焦点をどちらか一本に絞るべきでした。とはいえ、エンタメ映画としてはある一定の水準に達しているので何も考えずに観る分にはぼちぼち楽しめると思います。
[DVD(字幕)] 6点(2020-03-01 00:35:07)
487.  翔んで埼玉 《ネタバレ》 
日本に唯一残された秘境、埼玉を巡る壮大な魂と誇りの物語。前評判通り、あまりにも荒唐無稽な内容でしたが完全にイキ切っていたのでけっこう面白かったです。同じ作者のギャグ少女漫画の名作『パタリロ』の初期のころの大ファンである自分としては、この毒のあるネタの数々はなかなか楽しめました。ただ、自分が関西在住で関東のこの地理的な関係性がいまいち呑み込めない部分もあったので、そこまで嵌まれなかったところも。でも、群馬県の扱いは酷すぎてさすがに笑っちゃいました。と、全体としてはまあまあって感じかな。もしこれを関西バージョンで撮るとすれば、やはり舞台は滋賀県になるんですかね?(笑)。決まり文句はもちろん、「滋賀県民には、琵琶湖の水でも……(以下自主規制)」
[DVD(邦画)] 6点(2020-02-24 02:04:06)(笑:1票)
488.  コーヒー&シガレッツ 《ネタバレ》 
都会の様々なカフェやホテルのロビーで日夜繰り返される何気ない日常。久々の再会を喜ぶ人や予期せぬ出会いに戸惑いを隠せない人々。交わされるくだらない会話も絶えず変化する人間関係も他人にしてみればありふれた光景でしかない。そこには友情や愛情もあれば、ちょっとほろ苦い嫉妬や諍いもある。でも一杯のコーヒーと至福の時をもたらす煙草さえあれば、人生はほんの少し豊かになる――。インディペンデント映画界の巨匠ジム・ジャームッシュがバラエティ豊かな面々を揃え、そんな人生の一断片をユーモアとペーソスを交えて捉えた11のエピソード。全編モノクロで撮られたそんなオムニバス作品、いかにもジム・ジャームッシュらしい独特の雰囲気とジャジーでお洒落な世界観を堪能できる一本でした。個性豊かな人々によって交わされる微妙に噛み合わない会話劇は何処かほろ苦さを感じさせ、それがコーヒーの苦みと煙草の紫煙によく合う。ロベルト・ベニーニやイギー・ポップ、スティーブ・ブシェミやビル・マーレイと言った何気に豪華なキャスト陣もばっちり嵌まってました。中でも一人二役を演じたケイト・ブランシェットは、さすがの貫禄。と、一つ一つのエピソードは程度の差こそあれ、けっこう面白かったのですが、一本の映画として観ればさすがに物足りない。オムニバスなので仕方ないのかも知れませんが、いかんせん中身が薄すぎます。この監督らしいペーソスに満ちた雰囲気は良かっただけに、なんとも惜しい。
[DVD(字幕)] 5点(2020-02-24 01:42:05)
489.  Z Bull ゼット・ブル 《ネタバレ》 
ストレス社会をぶっ飛ばせ!――。世界に冠たる一流兵器メーカー、アモテック社。そこは高性能銃器や小型地雷、破壊力抜群の重火器や最新型の戦闘ロボ、さらには清涼飲料水まで幅広く手掛けるグローバル企業だ。ある日、闘争心を高める兵士用エナジードリンク「ゾルト」を開発した社長は、全社員を集め、強制的に試飲させることに。だが、誰も知らなかった。そのエナジードリンクには致命的な〝欠陥〟があることを――。突如として狂暴化し、手近の武器を手に取るとお互いを殺し始める社員たち。一瞬にしてオフィスは血みどろの大パニックへと陥ってしまうのだった。遅刻してきた落ちこぼれ社員であるデズモンドは、目の前の信じられない光景に途方に暮れるばかり。同じくドリンクを飲まなかった落ちこぼれ社員たちと合流したデズモンドは、ほのかに好意を寄せている女子社員を救うため、そんな阿鼻叫喚の地獄絵図と化したオフィスへと乗り込んでゆく。果たしてデズモンドと仲間たちはこの絶体絶命の危機を脱することが出来るのか?アイデア一発勝負で撮られた、完全にB級であるそんな本作、まったく期待せずに今回鑑賞してみたのですが、これが意外や意外、なかなか面白いじゃないですか!まあゾンビものの単なる亜流と言ってしまえばそれまでだけど、全編に散りばめられた会社あるあるがけっこう笑える。経理部と営業部が無茶苦茶仲悪かったり、女社会である人事部がかなりドロドロだったり、典型的なパワハラ&モラハラな上司がブイブイ言わせていたりと、「あー、これ分かる分かる!」と終始ニヤニヤしっぱなし。日々のストレスを発散するかのように暴れまわる、ダメ社員主人公に思いっきり感情移入しながら見入っちゃいました。ドリンクを半分飲んだせいで我慢できないことがあると急に暴れ出すヒロインの女子社員もけっこう可愛くて、そんな彼女が前半ガムテープでぐるぐる巻きのまま移動させられるとこなんてすんごくキュート。そして、この会社が兵器メーカーであるとこも舞台として最高です。なんせクライマックスは、倉庫に保管されていた様々な武器爆弾に火炎放射器、果てはミサイルやバトルロボットまで持ち出して、もはやぶっ飛びまくり(笑)。うん、なかなか面白かった!!日々、会社のストレスにウンザリしているサラリーマン諸君にお薦めの一本です。
[DVD(字幕)] 7点(2020-02-24 00:42:25)
490.  あるスキャンダルの覚え書き 《ネタバレ》 
定年を間近に控えた、頭のお堅い歴史教師バーバラ。労働者階級の子供が多く通うという彼女の中学校にある日、若く美しい美術教師が赴任してくる。一回り以上歳の離れた夫とともに二人の子供を育てる彼女の名は、シーバ。等身大の魅力を放つ彼女は瞬く間に学校の人気者となるのだった。全く正反対の二人だったが、バーバラはすぐに彼女と仲良くなる。仕事の悩み、プライベートのこと、シーバからなんでも打ち明けられる関係になったバーバラ。だがある日、彼女はシーバの衝撃の秘密を目にしてしまう。なんと、シーバは自らが受け持つ15歳の生徒と肉体関係を伴う不倫関係に陥っていたのだ。この事実が公になれば、かなりのスキャンダルになりかねない。当然のように学年主任へと報告すると思われたバーバラだったが、その事実を元にとある計画を思いつく。やがてそれは学校を巻き込む一大スキャンダルへと発展してゆくのだった――。厳格で保守的なある一人のオールドミスの日記という形式で進む、二人の女性の愛と情欲が複雑に絡み合う心理ドラマ。主人公の理屈っぽくて厭味ったらしいおばさんをねちっこく演じるのは、本作でアカデミー主演女優賞にノミネートされたベテラン女優、ジュディ・デンチ。下半身ゆるゆるの奔放な若き女性教師を演じるのは、美貌と実力を兼ね備えたケイト・ブランシェット。この二人の今にも火花が飛び散りそうな演技合戦はなかなか見応えありました。いわゆるレズビアンのバーバラが、あの手この手でこの若く美しい女性を落とそうと画策する様が非常に丁寧に描かれております。とにかくこのおばはんのいかにもいやらしーいナレーションが不快感マックスで大変グッド。不倫相手であるヤリタイ盛りの15歳の少年も含め、誰も彼も自業自得としか言えないので、こいつらの見事なまでの堕ちっぷりは最後までけっこう楽しめました。ただ、これは好みの問題と言ってしまえばそれまでだけど、僕はこういう観れば観るほど気が滅入るうえに登場人物の誰にも感情移入できないようなお話はちょっと苦手です。特に主人公であるこの偏屈色ボケおばさんの粘液質な愛情表現に、観終わるころにはもうげんなりしちゃいました。彼女の大胆な入浴シーンなんて、いったい誰得なの?(笑)。うーん、完成度は確かに高いんですけど、こればっかりは好みの問題ですね。
[DVD(字幕)] 6点(2020-02-23 01:01:22)
491.  母なる証明 《ネタバレ》 
知的障害を持つ我が息子がある日、女子高生を殺害した罪で逮捕された。かなり深酒した息子が、夜道を歩いていた見ず知らずの少女を廃屋へと引きずり込み、暴行を加えようとしたが反撃された末の犯行だという。「こんなことあり得ない。あの子は虫も殺せないような優しい子なのよ」――。息子の潔白を信じて疑わない母親は、無罪を求めてそう世間に訴えかける。だが、出てくるのは息子に不利な証拠ばかり。警察も弁護士もマスコミもほとほと役に立たない。追い詰められた母親は、独自に調査を開始するのだった。泥酔しその夜の記憶が曖昧な息子、息子とは腐れ縁の地元のチンピラ、奔放な生活を送っていた被害少女、そして少女に弱みを握られていたという地元の有力者たち。少女を殺したのは、果たして誰なのか?事件に隠された深い闇へと踏み込んでいった母親は、やがて衝撃の真実を知ることに……。外国語映画として初めてアカデミー作品賞を受賞し今、ノリにノッているポン・ジュノ監督の代表作と言えるそんな本作、今更ながら今回鑑賞してみました。終始陰鬱で観れば観るほど気が滅入るようなお話ながら、なかなか完成度の高いダークミステリーの逸品に仕上がっていましたね、これ。二転三転するストーリー展開、母親役を演じた女優のナチュラルな演技、回想シーンの中で妖艶な魅力を放つ被害少女と、監督の才気溢れる演出にラストまでまさに一気呵成。中盤以降、もはや誰もが怪しいとしか思えない中、最後に明らかにされる衝撃的な真実。後味は最悪ながら、かなり濃密で充実した映画体験をさせていただきました。自分の子供のために母親が本当になすべきこととは何なのか?貧困の負の連鎖は永遠に続くのか?誰もが何かしら思わずにはいられない極めて深いテーマを扱った、良質の社会派ミステリー。この監督の他の作品も観てみようと思います。
[DVD(吹替)] 7点(2020-02-23 00:03:22)
492.  TOKYO! 《ネタバレ》 
その都市の名は、東京。世界中の様々な人間たちの夢や希望、憎しみや孤独、愛や欲望を丸ごと呑み込み、今もまだ増殖し続けるエキゾチック・シティだ。この特異な街を舞台に、時代の先端をゆく国際色豊かな3人の監督が独自に紡いだ摩訶不思議な3つの物語。映画監督志望の彼氏とともに、地元から上京してきた女優の卵。お互い才能もプランもないまま、友達の家へと転がり込んだ彼女は、次第に疎外感に苛まされてゆくことに。自分の居場所を求めて東京を彷徨い歩く彼女はやがて、自らに与えられた“役割”に気付いてゆく。――第1話『インテリア・デザイン』。東京の肥溜めのような地下世界からマンホールを通じて現れた隻眼の怪人は、旧日本軍が遺した手榴弾を使い無差別に日本人を殺戮してゆく。警察に捕まり、始まった裁判の中で怪人はまるで大昔の小説の主人公のように不条理な理論を展開するのだった。――第2話『メルド』。10年もの長きにわたって自宅へと引きこもっている中年の男は、土曜日にだけ頼むピザの宅配員の女の子に恋をする。だが、彼がとある“秘密”に気付いたことから彼女はお店を辞めてしまうのだった。自分の世界に閉じこもっていた男は、10年ぶりに外の世界へと出る決心をする。ただ彼女と会うために。――第3話『シェイキング東京』。第1話の監督は『エターナル・サンシャイン』で一躍時代の寵児となったミシェル・ゴンドリー。いかにも彼らしいマジカルな世界観は相変わらず健在で、このダメカップルのどうしようもない日常を気の利いた会話劇で描く前半はなかなか居心地が良かった。と思っていたら後半、彼女がまさかのメタモルフォーゼ。リアル人間椅子となった彼女はちょっぴりエロティック&グロテスクで大変グッド。ただ、いつもの彼らしいカラフルな映像は今回影を潜め、全体的に暗くて湿っぽく日常感に溢れているのは舞台が東京だからか。もっとポップさが欲しかった。6点。第2話の監督は、今回初めて作品を観たレオス・カラックス。正直、何がしたいのかさっぱり理解不能な作品だった。すんごく独り善がりな感じがして、短い作品なのにとても退屈に感じてしまった。また、若干日本人を小馬鹿にしたような表現が散見されるのも観ていて気持ちのいいものではない。4点。第3話の監督は、外国語映画として初めてアカデミー作品賞を受賞し今ノリにノッているポン・ジュノ。三本の中ではコレが一番良かった。太もものガーターのところに何故か電源ボタンが付いているピザのツンデレ配達員を演じた蒼井優がとても魅力的。他にも主人公の引きこもり描写や無人の東京の街並みなど、演出の細部にまで才気が感じられてさすがの貫禄だった。7点。というわけで、全体の平均を取って、総評としては6点。
[DVD(字幕)] 6点(2020-02-22 01:00:16)
493.  キラー・メイズ 《ネタバレ》 
ヒマを持て余した今年で30歳になろうという無職のダメ男が、何を思ったか自宅のリビングに段ボールで迷路を作り始めたことがそもそもの始まりだった。もともと凝り性だったせいもあり、出来上がったそれはなんと作った本人ですら三日も出てこれないほどの超大作に。迷い込んで出られなくなったという彼を救うため、同棲中の恋人や腐れ縁の友人たちが一致団結。半信半疑に入口を潜ってみるとそこには本当に広大な迷路が拡がっていた!しかも、内部には随所に危険な罠が仕掛けられていたのだった。さらには危険な悪の化身ミノタウロスまで登場し、獲物を求めて辺りを徘徊し始める。果たして彼らは無事にこの殺人迷路から抜け出すことが出来るのか?アイデア一発勝負で撮られた、完全に低予算のそんな本作、あまり期待せずに今回鑑賞してみました。舞台となる、全て段ボールで手造りされたであろうこのセットは確かにチープなんですけど、これがけっこう細かいところにまで独特のセンスや拘りが感じられて意外に最後まで観ていられる作品になってましたね、これ。まあ一言で言い表すなら、エッジの効いたNHK教育の子供番組みたいな感じで、折り紙の鶴や虫がそこら中にわさわさ動き回っていたり、ピアノの鍵盤が何処までも続く部屋があったりとなかなかに独創的。首を刎ねられた女性から噴き出す血が色鮮やかな紙吹雪なとこなんて、けっこうセンスを感じました。他にも遠近法を使ったビックリハウス的な部屋や、入った者が全員チープな段ボール製パペットになっちゃう部屋など視覚的に飽きさせない工夫が施されているのもポイント高いです。学生たちが自主製作で創ったようなノリで観たら、意外とセンス良かったみたいな感じかな。とはいえ、脚本が同じくらいチープなのはいただけませんけど。全く中身がないうえに、さして笑えないギャグが全編に渡って繰り返されるのがかなり寒い。致命的なのは、こんな殺人迷路が何故出来上がってしまったのか、その根本的な原因を曖昧なままに終わらせてしまったこと。とまあ、お話的には完全にナシだけど、この監督のヴィジュアル・センスにはほんのちょっとだけ将来性を感じました。
[DVD(字幕)] 5点(2020-02-21 03:44:43)
494.  スウィート17モンスター 《ネタバレ》 
彼女の名は、ネイディーン。何処にも居るような平凡なティーンエイジャーだ。別にクラスの人気者ってわけでもなく、勉強もスポーツも平均以下、憧れの男子にはSNSで友達申請するもずっと音沙汰なし、婚活失敗続きのママはずっとヒステリーを起こしっぱなし。そんな冴えない日々を送っていた彼女に、大事件が発生。なんと自分の兄と、唯一の友達で子供のころからの大親友でもあるクリスタが付き合うことになったのだ。「そんなの絶対あり得ない!」――。色ボケ兄貴も親友だと思っていたクリスタも怒ってばかりのママも分かってくれない学校の先生もクソったれな世界も何より自分のことが大嫌いになったネイディーンは、その日から人生の袋小路へと迷い込むのだった。果たしてお先真っ暗のネイディーンの人生に明日の光は差すのか?そんな八方塞がりのイケてない日々を送る17歳の女の子の日常をポップに描いた青春ドラマ。まあいわゆる今どき“こじらせ女子”の生態をリアルに描いたそんな本作なのですが、何より主役を演じたヘンリー・スタインフェルドの魅力に尽きると思います。最近のクロエ・グレース・モレッツを髣髴とさせる、この絶妙なブ……失礼、個性的なルックスがこの主人公のこじらせ具合にばっちり嵌まってました。ほとんどアドリブなんじゃないの、これ?って思わせるほど人の嫌がることを次から次へと捲し立てる彼女の減らず口には思わずニヤニヤ。うん、居るよね、こんな子。自意識過剰のかまってちゃんで、自分の思い通りにいかないとヒステリーを起こすトラブルメイカー。いやー、客観的に見る分にはすこぶる面白いですわ。まあ当事者になるのは絶対嫌ですけど(笑)。「いいよね、君は私と別れられて。私はこんな自分とは一生別れられないんだよ」。同じくこじらせ女子の生態を描き続けて芥川賞を受賞した日本の小説家に本谷有希子が居ますが、彼女のとある作品の中にあるこんな言葉を思い出しちゃいました。そんな彼女を温かく見守る、ウディ・ハレルソン演じる学校の先生もなかなかいい立ち位置でナイス!ただ、さすがに後半は余りにも迷走しすぎてちょっとしんどくなっちゃいましたので、そこは若干マイナスです。ネイディーン、さすがに男を振り回しすぎでしょ。まあそこらへんは好みの問題だろうけど、ぼちぼち面白かったです。
[DVD(字幕)] 7点(2020-02-20 03:01:25)(良:1票)
495.  Love Letter(1995) 《ネタバレ》 
「拝啓藤井樹様。お元気ですか?私は元気です」――。かつて恋人を山で失くし、失意の中に生きてきた神戸在住の女性、渡辺博子。彼の三回忌の法要に参列した彼女は、偶然目にした卒業アルバムで彼の当時の住所を知る。懐かしさから、博子は何げなくペンを手に取ると、彼に届くはずのない手紙を書くのだった。ポストに投函されたそれは、誰にも読まれることなく送り返されるはずだった。だが、手紙は何故か、北海道の小樽に住む彼と同姓同名の女性、藤井樹の元へと届けられる。「拝啓渡辺博子様。私は元気です。でもちょっと風邪気味です」――。ちょっとした悪戯心から樹はそう彼女に返信を書く。そうして何気なく始まった、見知らぬ者同士の文通。何度もやり取りされる中で、次第にそれは今はなき天国の彼の思い出を鮮やかに蘇らせるのだった。時を超えた二人の思い出はやがて、都会の片隅に小さな奇跡をもたらすことに……。映像作家、岩井俊二監督の長編映画デビュー作となる本作、今更ながら今回鑑賞してみました。結論を言います。素晴らしい作品でした。今まで観ていなかったことを激しく後悔。もう全編に渡って横溢する、このキラキラと光り輝くような豊かな詩情性に完全にやられました。白を基調とした美しい映像に一部の隙も無い完璧な構図、そして気品あふれるクラシカルな音楽ともはや魔法のような美しさにいつまでもずっと浸っていたいと思わずにはいられません。最初はあり得ないストーリー展開に戸惑わせつつも、真相が明らかになれば誰しも納得できるというこの考え抜かれた脚本も見事としか言いようがない。神戸と小樽で暮らすそっくりな風貌を持つ二人の女性、同姓同名のクラスメイト、肺炎で亡くなった父、本当は嫌いだった松田聖子の歌、暗い夜の駐輪場で自転車の淡い光に照らされた二人、誰も借りたことのないマイナーな本の貸出票に書かれた幾つもの彼女の名前、そして最後に彼が借りた『失われた時を求めて』に隠されていた秘密……。散りばめられた細かなエピソードの一つ一つに至るまで監督の才気が漲っていて、その完成度の高さには言葉を失ってしまいます。ただ一つ惜しいのは、豊川悦司の関西弁がいまいち嵌まっていなかったことぐらい。それ以外は、この洗練された美しさに今さらながら脱帽。若き岩井俊二の豊かな才能が完全に開花した、聞きしに勝る傑作でありました。
[DVD(字幕)] 9点(2020-02-19 20:41:23)(良:1票)
496.  500ページの夢の束 《ネタバレ》 
彼女の名は、ウェンディ。何処にでも居るような平凡な女の子。でも、一つだけ人と違うことがある。それは人と話すのが大の苦手で、自分の思い通りにならないことがあると思わず“かんしゃく”を起こしてしまう困った癖を持っていること。そう、彼女はいわゆる自閉症なのだ。唯一の肉親である姉の結婚を機にウェンディは福祉施設で暮らすようになり、今はパン屋さんで働き自立している。でも、本当の願いは思い出がたくさん詰まった自分のお家に帰ること。そんな折、姉の勝手な判断で大切なお家が売却されてしまうことを知るのだった。到底納得いかないウェンディはまたしてもかんしゃくを起こしてしまう。食事が喉を通らないほど落ち込んだ彼女が、考え込んだ末に思いついた解決法。それは、映画会社が主催する、自分の大好きなテレビドラマ「スタートレック」の脚本コンテストに応募し、賞金10万ドルを手に入れることだった。寝る間も惜しんで書き上げた500ページにも及ぶ原稿はすでに完成してある。だが、締切は明後日。とてもじゃないが、今から郵便局に預けにいってては間に合わない。仕方なくウェンディは、たった一人ロサンゼルスへと向かうバスへと乗り込むのだった。愛犬のピートを相棒にして――。自閉症と言う個性を抱えた一人の女性が、自らの夢を叶えるために遠く離れたロサンゼルスまで旅する姿を描いたロードムービー。前作で、障碍者と性と言う難しい問題をあくまで軽く爽やかに描いたこの監督らしい、ほのぼのとした空気に包まれた心温まるお話でしたね、これ。とは言ってももちろんキレイごとばかりではなく、当然そこには障碍のある人の生き辛さや家族の葛藤、世間の無関心やそんな弱者を食い物にする悪人の存在もちゃんと描かれる。でも、そこまで深刻になる一歩か二歩手前で引くこの監督の絶妙な匙加減は見事としか言いようがありません。特に居なくなった彼女を追って奔走する、トニ・コレット演じる施設職員には好感持ちまくりです。バスの運転手や医者、融通の利かない映画会社の事務員など嫌なやつも沢山出てくるのですが、それ以上に彼女のような魅力あふれる人々がいっぱい出てくるのがとてもいい(宇宙の言葉を突然話し出す、あの警官マジサイコー!)。そう、どんな人にだってちゃんと手を差し伸べてくれる優しい人が居ることを改めて教えられました。主演を務めたダコタ・ファニングも自閉症を抱えた若い女性をリアルに演じていてとても良かったです。最近妹の方が何かと話題になることが多いのですが、彼女にはこのまま演技派の道を歩んでいって欲しいものです。今回の結果は残念だったけど、必ず認めてもらえる日がきっと来るよ。そう思わずにはいられないヒューマン・ドラマの佳品でありました。お勧めです。
[DVD(字幕)] 8点(2020-02-18 22:39:07)
497.  バグダッド・スキャンダル 《ネタバレ》 
『石油・食糧交換プログラム』――。それはイラク戦争開戦前夜、欧米の経済制裁によって苦しむイラク国民を救うために国連主導で行われた人道援助だ。当時まだ独裁者として同国に君臨していたサダム・フセインによる大量破壊兵器開発を防ぐため、国連が窓口となって豊富な石油資源を市場価格で売却し食料や医薬品と交換してイラクへと還元させる。多くの人命を救うための人道的プログラムのはずだった。だが実際は、フセイン政権による横領や横流しが相次ぎ、さらには先進国の大手企業がその利権を巡って多くの不正行為に手を染めていた。驚くべきことに、監視者であった国連職員にまで汚職が蔓延していたのだ。若き職員マイケル・サリバンはその事実に気付き、すぐさま上司に報告するも実態は公にされることなく握りつぶされてしまう。だが、様々な国の思惑が複雑に交錯する国際情勢の中、やがてそれは国連を大きく揺るがす一大スキャンダルへと繋がっていくのだった……。本作は、200億円にも及ぶ大金が闇に消えたという実話を基にして描かれた硬派なポリティカル・サスペンスだ。主演を務めるのは若手俳優テオ・ジェームズ、他に制作も務めたというベテラン、ベン・キングズレーが名を連ねている。確かな取材や時代考証に基づいたであろう骨太な物語はなかなか見応えがあった。ニューヨークの国連本部から当時混乱を極めたイラクの首都バグダッドにまで拡がるそのスケールの大きさにも圧倒されるものがある。何より、この弱者を救うためのプログラムを利用し甘い蜜を吸い続けた、欧米各国の行き過ぎた資本の論理には戦慄させられる。人間とは、かくも欲深き生き物なのか――。「民主主義に汚職はつきものだ」と言うベン・キングズレーの言葉が重い。そんな醜い国際情勢によって翻弄される、主人公の国連職員とクルド人女性通訳との儚い恋物語は強く印象に残った。丁寧な手腕が光る政治サスペンスの逸品と言っていいだろう。ただ、こういう作品なので仕方ないのだろうが、お話として地味すぎるのが自分には少々退屈に感じてしまった。もう少しドラマティックに脚色しても良かったのではないか。世界の実態を知るという点では充分観る価値はあったが、人間ドラマとしては幾分か物足りなさの残る作品であった。
[DVD(字幕)] 6点(2020-02-17 23:10:59)
498.  エリザベス∞エクスペリメント 《ネタバレ》 
舞台は、人里離れた小高い丘の上に建つ豪華な別荘。そこに、持ち主であるノーベル賞を受賞した老科学者が若き婚約者を連れてやってくるところから物語は始まる。婚約者の名は、エリザベス。まるで人形のような完璧な美貌の持ち主である彼女を迎え入れるのは、科学者の息子である盲目の若者と家政婦のような謎の女性。誰もが何か秘密を隠しているような別荘の中で、科学者とエリザベスの愛欲に満ちた新婚生活が始まる。沢山の高価な服に高級な家具調度品、何不自由ない満たされた日々。だが、エリザベスは拭い切れない違和感を抱き始めるのだった。夫の目を盗み、秘密の地下室へと忍び込んだエリザベスは、そこであり得ないものを発見してしまう。それは昏睡状態で保存された、自分と瓜二つの若き女性だった――。果たして自分は何者なのか?エリザベスの出生の秘密を巡り、衝撃の物語が今幕を開ける……。とまあ、ここでぶっちゃけてネタバレすると彼女はこの科学者が創り出したクローンなわけなのですが、こんな単純なお話なのに、こんなにこんがらがったストーリー展開にする意味が分からない作品でしたね、これ。エリザベスの基となった人間はこの科学者の亡くなった奥さんで、しかも6体しか作り出せなかったのに、約束破って秘密の地下室に入ったからって簡単に殺しちゃうこの科学者の行動がまず意味不明過ぎます。物凄く怪しさ満点でしかも指紋認証で簡単に入れるのに、「この部屋に入ってはいけない」なんて言ったら誰だって入りたくもなりますって!え、これは「ここには誰も隠れてへんで!」って言う往年の吉本新喜劇のネタですか(笑)。さらにこの別荘の住人である女性科学者の謎の経歴やら実は息子もクローンだったという無駄にややこしいうえにさして盛り上がりに欠けるエピソードを絡めてくるもんだから、後半はもう眠たくって仕方なかったです。中途半端に哲学的な会話を盛り込んでみたり、全編にわたって変に凝った撮り方をしたりするのもこの面白くなさに拍車を掛けています。大胆なヌードを披露してくれたエリザベス役の女優さんも確かにキレイなんですけど、なんだかお人形さんのような作り物めいた感じなので、そこまで僕の股間に響かず…。うーん、観るだけ時間の無駄の凡作でした。4点!
[DVD(字幕)] 4点(2020-02-16 23:52:45)
499.  コード211 《ネタバレ》 
それは平凡な一日になるはずだった。いつものように――。定年を間近に控えたベテラン警察官、妻の妊娠を知り人生の絶頂に居る若手警官、学校での乱闘騒ぎから丸一日のパトカー同乗体験を余儀なくされたいじめられっ子の高校生、長年連れ添った妻との記念日を迎えた銀行の支店長、そして凶悪な犯罪者を追ってアフガニスタンからやって来たインターポールの刑事……。彼らの平凡な日常が、突如として切り裂かれる。街の一画にある大手銀行を狙って、元軍人たちで結成された凶悪な強盗集団が襲撃したのだ。何丁もの武器と大量の爆発物を用意した彼らは、瞬く間に銀行を占拠し、中に居た客や行員を人質にする。白昼堂々と行われた大胆な犯行。異変を察知した、偶然近くに居た警察官の通報により、緊急コード〝211〟が発動されるのだった。それは、現在進行中の銀行強盗を意味する秘密のコードだった――。果たして人々は無事にこの大惨事を乗り切ることは出来るのか?突如として修羅場と化した地方都市を背景に、偶然そこに居合わせた人々のサバイバルを臨場感たっぷりに描いたクライム・アクション。毎度おなじみニコラス・ケイジ主演で送るそんなオーソドックスな本作、まあやりたいことは分かるのですがなんだか全体的に演出の詰めが甘い作品でしたね、これ。一応群像劇っぽい作りになっているのですが、それぞれのエピソードの描き方がいまいちよく練られてません。例えばニコラス・ケイジ扮するベテラン警官、なんか妻を過去に失くしてそれが原因で娘と疎遠になってるっぽいんですが、そこらへんが説明不足でよく分からないんですよ。偶然パトカーに居合わせたという高校生もそのキャラ設定の詰めが甘くいまいち感情移入できない。インターポールの女性刑事に至っては、正直何がしたいのかさっぱり理解できません。終始こんな感じで、肝心のドラマ部分にうまく乗り切れないんですよ、残念ながら。対する銀行強盗たちも綿密に計画を練ってると思いきや、かなり行き当たりばったりの無為無策ぶりでちょっと呆れてしまうレベル。最後、追い詰められた彼らがどうするのかと思ったら、まさかの重たいバックを背負ってえっちらおっちら正面突破。当然のように瞬殺されるという捻りの無さには思わず苦笑しちゃいました。最近のニコケイ映画にしてはアクションシーンにけっこうお金を掛けていて、白昼の街並みで展開される銃撃戦などはなかなか迫力あっただけになんとも残念。
[DVD(字幕)] 5点(2020-02-15 23:00:44)
500.  シシリアン・ゴースト・ストーリー 《ネタバレ》 
マフィアに拉致監禁され、突然居なくなってしまった13歳の彼氏のことをただひたすら捜し続けた少女の姿を幻想的な映像で描いたピュア・ラブ・ストーリー。ギレルモ・デル・トロの作品を髣髴とさせるというキャッチコピーに惹かれて今回鑑賞してみましたが、正直「どこがやねん!」と思わず突っ込んじゃうくらい残念な作品でありました。もう雲泥の差ですよ、これ。とにかくストーリーの見せ方が恐ろしく稚拙。大して面白くもないお話がダラダラダラダラ続くうえ、意味不明なシーンが山ほど差し挟まれるもんだからもう眠いったらありゃしない。あの主人公が髪の毛を染めるシーンはいったい何の意味があったのでしょう?音楽の使い方もまるでなっちゃいない。何より、この「どうだい?芸術的だろう?」と言わんばかりの全編に横溢する監督の独り善がりなナルシズムが、もうとにかく気持ち悪くって仕方なかったです。そしてよく分からない唐突なラストシーンの後に表示される、実話を基にしたというテロップ。はっきり言って、これは死者への冒涜ではないかとすら僕には思えてしまった。正直、観る価値など欠片もない恐ろしいほどレベルの低い作品だと断言していいでしょう。主人公の女の子の今にもパンツが見えそうな超ミニスカート(実際何回か見えてたし!笑)に+1点!
[DVD(字幕)] 2点(2020-02-11 00:30:21)
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